(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪レジスト組成物≫
本発明のレジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分)、光反応型クエンチャー(C)(以下、(C)成分)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、(B)成分から酸が発生し、該酸が(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させる。その結果、当該レジスト膜の露光部の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部は現像液に対する溶解性が変化しないため、現像することにより、ポジ型パターンの場合は露光部が、ネガ型パターンの場合は未露光部がそれぞれ溶解除去されてレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去される(ポジ型パターンを形成する)レジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去される(ネガ型パターンを形成する)レジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
【0015】
<(A)成分>
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である。
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、分子量が1000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
(A)成分としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分を用いてもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する低分子化合物成分を用いてもよく、それらを併用してもよい。
【0016】
本発明のレジスト組成物がアルカリ現像プロセスにおいてネガ型パターンを形成するレジスト組成物である場合、(A)成分としては、通常、アルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに、架橋剤成分が配合される。
アルカリ現像液に可溶性の基材成分は、水酸基、カルボキシ基、スルホンアミド基等のアルカリ可溶性基を有しており、架橋剤成分は、これらのアルカリ可溶性基と反応し得る反応性基を有している。そのため、かかるレジスト組成物は、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
アルカリ現像液に可溶性の基材成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂」という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば特開2000−206694号公報に開示されている、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル樹脂またはポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、特開2005−336452号公報、特開2006−317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル樹脂;特開2006−259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。
なお、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に水素原子以外の原子又は置換基が結合していてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤成分としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤などを用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0017】
本発明のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型パターンを形成し、溶剤現像プロセスにおいてネガ型パターンを形成するレジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸の作用により極性が増大する基材成分(A0)(以下「(A0)成分」という。)を用いることが好ましい。(A0)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても良好な現像コントラストを得ることができる。
アルカリ現像プロセスを適用する場合、該(A0)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により前記(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、アルカリ現像液で現像することによりポジ型パターンが形成できる。
また、溶剤現像プロセスを適用する場合、該(A0)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により前記(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大して有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、有機系現像液で現像することによりネガ型パターンが形成できる。
【0018】
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、(A0)成分(酸の作用により極性が増大する基材成分)であることが好ましい。すなわち、本発明のレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型となり、溶剤現像プロセスにおいてネガ型となるレジスト組成物であることが好ましい。
該(A0)成分は、酸の作用により極性が増大する樹脂成分(A1)(以下「(A1)成分」ということがある。)であってもよく、酸の作用により極性が増大する低分子化合物成分(A2)(以下「(A2)成分」ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0019】
{(A1)成分}
(A1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上混合して使用することができる。
(A1)成分としては、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するものが好ましい。
(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、さらに、−SO
2−含有環式基またはラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)を有することが好ましい。
(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、又は、前記構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基を含む構成単位(a3)を有することが好ましい。
【0020】
[構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO
3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化する。たとえば現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
【0021】
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
【0022】
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族環式基を含有する酸解離性基等が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基が挙げられる。式中、R
71〜R
73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0023】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
【0024】
脂肪族環式基を含有する酸解離性基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0025】
【化3】
[式中、R
14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0026】
【化4】
[式中、R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
【0027】
式(1−1)〜(1−9)中、R
14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
式(1−2)中のgは0〜4の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。
式(2−1)〜(2−6)中、R
15〜R
16のアルキル基としては、前記R
14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0028】
「アセタール型酸解離性基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基が形成される。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0029】
【化5】
[式中、R
1’,R
2’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0030】
式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
R
1’,R
2’における炭素数1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Yにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、上記R
1’,R
2’における炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yにおける脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
一般式(p1)で表される基としては、R
1’,R
2’のうち少なくとも1つが水素原子であるものが好ましい。すなわち、下記一般式(p1−1)で表される基が好ましい。
【0031】
【化6】
[式中、R
1’、n、Yは上記と同じである。]
【0032】
アセタール型酸解離性基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0033】
【化7】
[式中、R
17、R
18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R
19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R
17およびR
19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R
17の末端とR
19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
【0034】
式(p2)中、R
17、R
18におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。該アルキル基の炭素数は、1〜15が好ましい。R
17、R
18におけるアルキル基としては、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R
17、R
18のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、R
17、R
18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが特に好ましい。
R
19のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素数は1〜15が好ましい。
R
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
R
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R
17及びR
19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R
19の末端とR
17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R
17と、R
19と、R
19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR
17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0035】
構成単位(a1)としては、酸分解性基を含むものであれば特に限定されないが、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であって酸分解性基を含む構成単位であることが好ましい。
ここで、「エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位」とは、エチレン性二重結合を有する化合物におけるエチレン性二重結合が開裂して単結合となった構造の構成単位を意味する。
エチレン性二重結合を有する化合物としては、たとえば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル芳香族化合物、シクロオレフィンまたはその誘導体、ビニルスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル芳香族化合物が好ましい。
【0036】
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH
2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
本明細書において、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸、アクリル酸エステルをそれぞれα置換アクリル酸、α置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸とα置換アクリル酸とを包括して「(α置換)アクリル酸」、α置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸またはそのエステルのα位の炭素原子に結合する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
前記α位の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
前記α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基が好ましく、具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がヒドロキシ基で置換された基が挙げられる。
本発明において、(α置換)アクリル酸またはそのエステルのα位の炭素原子に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
「有機基」は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基としては、特に限定されないが、たとえば前述した芳香族基、極性変換基、後述する酸分解性基等の特性基、これらの特性基を構造中に含む特性基含有基等が挙げられる。該特性基含有基としては、たとえば、前記特性基に2価の連結基が結合した基等が挙げられる。2価の連結基としては、たとえば後述する一般式(a1−3)中のY
2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0037】
「アクリルアミドまたはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミド(以下、(α置換)アクリルアミドということがある。)、(α置換)アクリルアミドのアミノ基(末端の水素原子の一方または両方が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。
アクリルアミドまたはその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方を置換する置換基としては、有機基が好ましい。該有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方が置換基で置換された化合物としては、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステル中のα位の炭素原子に結合した−C(=O)−O−を、−C(=O)−N(R
b)−[式中、R
bは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]で置換した化合物が挙げられる。
式中、R
bにおけるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
【0038】
「ビニル芳香族化合物」は、芳香環および該芳香環に結合した1つのビニル基を有する化合物であり、スチレンまたはその誘導体、ビニルナフタレンまたはその誘導体等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物のα位の炭素原子(ビニル基の炭素原子のうち、芳香環に結合した炭素原子)に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されビニル芳香族化合物を(α置換)ビニル芳香族化合物ということがある。
【0039】
「スチレンまたはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいスチレン(以下、(α置換)スチレンということがある。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレン(以下、(α置換)ヒドロキシスチレンということがある。)、(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基で置換されていてもよいビニル安息香酸(以下、(α置換)ビニル安息香酸ということがある。)、(α置換)ビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換された化合物、等が挙げられる。
ヒドロキシスチレンは、ベンゼン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ベンゼン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ベンゼン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。水酸基の数が1つである場合は、ビニル基の結合位置のパラ4位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニル安息香酸は、安息香酸のベンゼン環に1つのビニル基が結合した化合物である。ベンゼン環におけるビニル基の結合位置は特に限定されない。
スチレンまたはその誘導体のベンゼン環に結合してもよい、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基としては、特に限定されず、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基として挙げた有機基が挙げられる。
(α置換)ビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基として挙げた有機基が挙げられる。
【0040】
「ビニルナフタレンまたはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニルナフタレン(以下、(α置換)ビニルナフタレンということがある。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)(以下、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)ということがある。)、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。
ビニル(ヒドロキシナフタレン)は、ナフタレン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ビニル基は、ナフタレン環の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよい。ナフタレン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ナフタレン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位または2位にビニル基が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、水酸基の数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5または6位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニルナフタレンまたはその誘導体のナフタレン環に結合してもよい置換基としては、前記(α置換)スチレンのベンゼン環に結合してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
【0041】
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸分解性基を含む構成単位(a11)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位(a12)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)から誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位(a13)、等が挙げられる。
【0042】
{構成単位(a11)}
構成単位(a11)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸分解性基を含む構成単位である。
構成単位(a11)としては、たとえば、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0043】
【化8】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;X
1は酸解離性基であり;Y
2は2価の連結基であり;X
2は酸解離性基である。]
【0044】
一般式(a1−0−1)において、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記α置換アクリル酸またはそのエステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げた炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
X
1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは式(a1−0−1)中のRと同様である。
X
2は、式(a1−0−1)中のX
1と同様である。
Y
2の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0045】
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0046】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
【0047】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基または原子)を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。
【0048】
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する2価の炭化水素基であり、置換基を有していてもよい。 芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。
前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0049】
(ヘテロ原子を含む2価の連結基)
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=NH)−、=N−等の非炭化水素系連結基、これらの非炭化水素系連結基の少なくとも1種と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記のうち、−C(=O)−NH−中の−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−中のHは、それぞれ、アルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
【0050】
Y
2としては、特に、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
Y
2が直鎖状または分岐鎖状アルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記2価の連結基としての「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」の説明中、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
Y
2が環状の脂肪族炭化水素基である場合、該環状の脂肪族炭化水素基としては、前記2価の連結基としての「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」の説明中、「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」として挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカンまたはテトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基が特に好ましい。
【0051】
Y
2がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、一般式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基[式中、Y
21およびY
22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
Y
2が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−中、Y
21およびY
22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基としては、式−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH
2)
a’−C(=O)−O−(CH
2)
b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Y
2におけるヘテロ原子を含む2価の連結基としては、少なくとも1種と非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせからなる有機基が好ましい。なかでも、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基がより好ましく、前記式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基好ましい。
【0052】
Y
2としては、上記のなかでも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、前記式−Y
21−O−Y
22−で表される基、前記式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基、または前記式−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基がさらに好ましい。
【0053】
構成単位(a11)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位等が挙げられる。
【0054】
【化9】
[式中、R、R
1’、R
2’、n、YおよびY
2はそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]’
【0055】
式中、Rは式(a1−0−1)中のRと同様である。
X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R
1’、R
2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR
1’、R
2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y
2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0063】
構成単位(a11)としては、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−14)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−15)で表される構成単位、および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0064】
【化17】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
21はアルキル基であり;R
22は、当該R
22が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり;R
23は分岐鎖状のアルキル基であり;R
24は、当該R
24が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基であり;R
25は炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。Y
2は2価の連結基であり、X
2は酸解離性基である。]
【0065】
各式中、R、Y
2、X
2についての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R
21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
R
22が、当該R
22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR
22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
該脂肪族単環式基は、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
【0066】
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−18)〜(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−18)〜(a1−1−29)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
【0067】
【化18】
[式中、R、R
21はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜4の整数である。]
【0068】
式(a1−0−12)中、R
23の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−4)〜(a1−1−5)、(a1−1−8)、(a1−1−12)、(a1−1−16)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−4)で表される構成単位が好ましい。
【0069】
式(a1−0−13)中、R
24は前記と同様である。
R
25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a1−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−3)、(a1−1−6)〜(a1−1−7)、(a1−1−9)〜(a1−1−11)、(a1−1−13)〜(a1−1−15)、(a1−1−17)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−13)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。
【0070】
式(a1−0−14)中、R
22は前記と同様である。
R
15およびR
16はそれぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a1−0−14)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−36)で表される構成単位が挙げられる。
【0071】
式(a1−0−15)中、R
24は前記と同様である。
R
15およびR
16はそれぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR
15およびR
16と同様である。
式(a1−0−15)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−32)〜(a1−1−35)で表される構成単位が挙げられる。
【0072】
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、特に式(a1−3)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY
2が前記−Y
21−O−Y
22−または−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
【0073】
【化19】
[式中、Rは前記と同じであり、R
13は水素原子またはメチル基であり、R
14はアルキル基であり、eは1〜10の整数であり、n’は0〜4の整数である。]
【0074】
【化20】
[式中、Rは前記と同じであり、Y
2’およびY
2”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性基であり、wは0〜3の整数である。]
【0075】
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R
13は、水素原子が好ましい。
R
14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様である。
eは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−31)で表される構成単位等が挙げられる。
【0076】
式(a1−3−03)中、Y
2’、Y
2” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
Y
2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y
2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
【0077】
【化21】
[式中、RおよびR
14はそれぞれ前記と同じであり、a’は1〜10の整数であり、b’は1〜10の整数であり、tは0〜4の整数である。]
【0078】
式(a1−3−03−1)〜(a1−3−03−2)中、a’、b’はそれぞれ、前記Y2における2価の連結基の説明で、式−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−で表される基の好ましい例としてあげた一般式−(CH
2)
a’−C(=O)−O−(CH
2)
b’−で表される基におけるa’、b’と同じである。
a’は、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
b’は、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
tは1〜4の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)、(a1−3−32)〜(a1−3−34)で表される構成単位が挙げられる。
【0079】
{構成単位(a12)}
構成単位(a12)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
水酸基の水素原子を置換する酸解離性基としては、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、アセタール型酸解離性基がより好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、酸解離性基と2価の連結基とから構成される基が挙げられる。2価の連結基としては、前記式(a1−3)中のY
2における2価の連結基と同様のものが挙げられ、特に、酸解離性基側の末端構造がカルボニルオキシ基である基が好ましい。この場合、該カルボニルオキシ基の酸素原子(−O−)に酸解離性基が結合していることが好ましい。
酸解離性基を含む置換基としては、R
11’−O−C(=O)−で表される基、R
11’−O−C(=O)−R
12’−で表される基が好ましい。式中、R
11’は酸解離性基であり、R
12’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。
R
11’における酸解離性基は、第3級アルキルエステル型酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましく、第3級アルキルエステル型酸解離性基がより好ましい。該第3級アルキルエステル型酸解離性基の好ましい例として、前述した−C(R
71)(R
72)(R
73)で表される脂肪族分岐鎖状酸解離性基、式(1−1)〜(1−9)で表される基、式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
R
12’におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。R
12’としては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
ベンゼン環に結合した水素原子を置換してもよい「水酸基以外の置換基」としては、特に限定されず、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、カルボキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
構成単位(a12)としては、下記一般式(a12−1)で表される構成単位が好ましい。
【0080】
【化22】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。pxは1〜3の整数であり、qxは0〜4の整数であり、px+qxは1〜5である。px個のX
cはそれぞれ独立に水素原子、酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であり、少なくとも1つは酸解離性基または酸解離性基を含む置換基である。qx個のR
cはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。]
【0081】
式(a12−1)中のRは、前記と同様である。
X
cにおける酸解離性基、酸解離性基を含む置換基としてはそれぞれ、前記と同様のものが挙げられる。
pxは1〜3の整数であり、1が特に好ましい。
pxが2または3である場合、式中の複数のX
cは同じでも異なってもよい。たとえば1つが酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であり、他の1つまたは2つが水素原子であってもよい。同様に、qxが2〜4である場合、複数のR
cは同じでも異なってもよい。
式中のベンゼン環におけるOX
cの結合位置は特に限定されない。pxが1である場合は、α位の炭素原子(Rが結合した炭素原子)が結合した位置のパラ位(4位)が好ましい。pxが2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
R
cにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
R
cにおけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基としてはそれぞれ、前記Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0082】
{構成単位(a13)}
構成単位(a13)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)から誘導される構成単位の水酸基の水素原子が酸解離性基または酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位である。
構成単位(a13)において、水酸基の水素原子を置換する酸解離性基、酸解離性基を含む置換基としては、それぞれ、前記構成単位(a12)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
ナフタレン環に結合した水素原子を置換してもよい「水酸基以外の置換基」としては、特に限定されず、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、カルボキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
構成単位(a13)としては、下記一般式(a13−1)で表される構成単位が好ましい。
【0083】
【化23】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。xは1〜3の整数であり、yは0〜3の整数であり、zは0〜3の整数であり、x+y+zは1〜7である。x個のX
dはそれぞれ独立に水素原子、酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であり、少なくとも1つは酸解離性基または酸解離性基を含む置換基である。y+z個のR
dはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。]
【0084】
式(a13−1)中のRは、前記と同様である。
X
dにおける酸解離性基、酸解離性基を含む置換基としてはそれぞれ、前記と同様のものが挙げられる。
xは1〜3の整数であり、1が特に好ましい。
xが2または3である場合、式中の複数のX
dは同じでも異なってもよい。たとえば1つが酸解離性基または酸解離性基を含む置換基であり、他の1つまたは2つが水素原子であってもよい。同様に、x+yが2〜6である場合、複数のR
dは同じでも異なってもよい。
式中、α位の炭素原子(Rが結合した炭素原子)が結合するのは、ナフタレン環の1位でも2位でもよい。
式中のナフタレン環におけるOX
dの結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位または2位にα位の炭素原子が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、OX
dの数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5または6位が好ましい。OX
dの数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
R
dにおけるハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基としてはそれぞれ、前記R
cにおけるハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0085】
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a1)としては、上記の中でも、構成単位(a11)が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、15〜70モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、パターン形状等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0086】
[構成単位(a2)]
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、−SO
2−含有環式基またはラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有することが好ましい。
構成単位(a2)の−SO
2−含有環式基またはラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めうえで有効なものである。また、アルカリ現像液等の水を含有する現像液との親和性が向上する点で、アルカリ現像プロセスにおいて有効である。
なお、前記構成単位(a1)がその構造中に−SO
2−含有環式基またはラクトン含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
【0087】
ここで、「−SO
2−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO
2−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO
2−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO
2−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO
2−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO
2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO
2−を含む環式基、すなわち−O−SO
2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するサルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO
2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO
2−含有環式基は、−SO
2−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO
2−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO
2−含有脂肪族環式基である。
−SO
2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO
2−または−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH
2−が−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH
2−CH
2−が−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素環は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素環は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素環としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0088】
−SO
2−含有環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO
2−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
【0089】
【化24】
[式中、A’は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、zは0〜2の整数であり、R
27はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基である。]
【0090】
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−S−CH
2−、−CH
2−S−CH
2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR
27はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R
27におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO
2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
【0094】
−SO
2−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(3−1)で表される基が好ましく、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される基が最も好ましい。
【0095】
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
【0096】
構成単位(a2)としては、−SO
2−含有環式基またはラクトン含有環式基を有するものであれば他の部分の構造は特に限定されないが、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって−SO
2−含有環式基を含む構成単位(a2
S)、及びα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位(a2
L)からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位が好ましい。
【0097】
・構成単位(a2
S):
構成単位(a2
S)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−0)で表される構成単位が挙げられる。
【0098】
【化28】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
28は−SO
2−含有環式基であり、R
29は単結合または2価の連結基である。]
【0099】
式(a2−0)中、Rは前記と同様である。
R
28は、前記で挙げた−SO
2−含有環式基と同様である。
R
29は、単結合、2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R
29における2価の連結基としては、特に限定されず、たとえば、前記式(a1−3)中のY
2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、またはエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y
2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R
30−C(=O)−O−[式中、R
30は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a2
S)は、下記一般式(a2−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0100】
【化29】
[式中、RおよびR
28はそれぞれ前記と同様であり、R
30は2価の連結基である。]
【0101】
R
30としては、特に限定されず、たとえば、前記式(a1−3)中のY
2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
R
30の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−または−C(CH
3)
2CH
2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前述した、−Y
21−O−Y
22−、−[Y
21−C(=O)−O]
m’−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−がより好ましい。Y
21およびY
22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、m’は0〜3の整数である。なかでも、−Y
21−O−C(=O)−Y
22−が好ましく、−(CH
2)
c−O−C(=O)−(CH
2)
d−で表される基が特に好ましい。cは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。dは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。
【0102】
構成単位(a2
S)としては、特に、下記一般式(a2−0−11)または(a2−0−12)で表される構成単位が好ましく、式(a2−0−12)で表される構成単位がより好ましい。
【0103】
【化30】
[式中、R、A’、R
27、zおよびR
30はそれぞれ前記と同じである。]
【0104】
式(a2−0−11)中、A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
R
30としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。R
30における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a2−0−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a2−0−12a)または(a2−0−12b)で表される構成単位が好ましい。
【0105】
【化31】
[式中、RおよびA’はそれぞれ前記と同じであり、c〜eはそれぞれ独立に1〜3の整数である。]
【0106】
・構成単位(a2
L):
構成単位(a2
L)の例としては、たとえば前記一般式(a2−0)中のR
28をラクトン含有環式基で置換したものが挙げられ、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0107】
【化32】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R
29は単結合または2価の連結基であり、s”は0〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1である。]
【0108】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記同様である。
R’におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO
2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R
29は、前記一般式(a2−0)中のR
29と同様である。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0114】
構成単位(a2
L)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(a2−1)または(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
なかでも、前記式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−2−12)、(a2−2−14)、(a2−3−1)、(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0115】
また、構成単位(a2
L)としては、下記式(a2−6)〜(a2−7)で表される構成単位も好ましい。
【0116】
【化38】
[式中、R、R
29は前記同様である。]
【0117】
(A1)成分が有する構成単位(a2)は1種でも2種以上でもよい。たとえば構成単位(a2)として、構成単位(a2
S)のみを用いてもよく、構成単位(a2
L)のみを用いてもよく、それらを併用してもよい。また、構成単位(a2
S)または構成単位(a2
L)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
【0118】
[構成単位(a3)]
(A1)成分は、さらに、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、極性基を含む構成単位(a3)を有してもよい。(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、露光後の(A1)成分の極性がさらに向上する。極性の向上は、特にアルカリ現像プロセスの場合に、解像性等の向上に寄与する。
極性基としては、−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2、−CONH
2、等が挙げられる。−COOHを含むものとしては、(α置換)アクリル酸の構成単位も含む。
構成単位(a3)は、水素原子の一部が極性基で置換された炭化水素基を含む構成単位であることが好ましい。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。なかでも、当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基あることがより好ましい。
当該炭化水素基における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が挙げられる。
該脂肪族環式基(単環式基、多環式基)としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該脂肪族環式基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。
【0119】
当該炭化水素基における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基やヘテロアリールアルキル基)における芳香環から水素原子をさらに1つ除いた基;等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子を置換するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0120】
構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−1)で表される構成単位が好ましい。
【0121】
【化39】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。L
0は−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
n−(R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。R
0は−COOH、または置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する炭化水素基であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。]
【0122】
式(a3−1)中、Rのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rのハロゲン化アルキル基は、前記のRのアルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a3−1)中、L
0は、−C(=O)−O−、−C(=O)−NR
n−(R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)又は単結合である。R
nのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
式(a3−1)中、R
0は、置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する炭化水素基であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。
「置換基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基に結合した水素原子の少なくとも一部が置換基で置換されていることを意味する。
R
0における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
R
0における脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)が好適に挙げられ、これらの説明は上記と同様である。
R
0における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基であり、この説明は上記と同様である。
ただし、R
0は、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。この「任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい」とは、炭化水素基、又は置換基を有する炭化水素基をそれぞれ構成する炭素原子(置換基部分の炭素原子を含む。)の一部が、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよいこと、又は炭化水素基に結合した水素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよいこと、を意味する。
以下に、一例として任意の位置に酸素原子(O)を有するR
0について例示する。
【0123】
【化40】
[式中、W
00は炭化水素基であり、R
mは炭素数1〜5のアルキレン基である。]
【0124】
前記式中、W
00は炭化水素基であり、前記式(a3−1)中のR
0と同様のものが挙げられる。W
00は、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは脂肪族環式基(単環式基、多環式基)である。
R
mは、直鎖状、分岐鎖状であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基であることがより好ましい。
【0125】
構成単位(a3)のなかで好適なものとして、より具体的には、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位、下記一般式(a3−11)〜(a3−13)のいずれかで表される構成単位等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位としては、前記式(a3−1)中のL
0が単結合であり、R
0が−COOHである構成単位が挙げられる。
【0126】
【化41】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。W
01は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する芳香族炭化水素基である。P
02及びP
03はそれぞれ−C(=O)−O−又は−C(=O)−NR
n−(R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)である。W
02は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する環状の炭化水素基であり、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。W
03は置換基として−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する直鎖状の炭化水素基である。]
【0127】
[一般式(a3−11)で表される構成単位]
前記式(a3−11)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
W
01における芳香族炭化水素基は、前記式(a3−1)中のR
0における芳香族炭化水素基の説明と同様である。
W
01における芳香族炭化水素基は、−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2からなる群より選択される少なくとも一種以外の置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
以下に、一般式(a3−11)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0129】
[一般式(a3−12)で表される構成単位]
前記式(a3−12)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P
02は、−C(=O)−O−又は−C(=O)−NR
n−(R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)であり、−C(=O)−O−であることが好ましい。R
nのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W
02における環状の炭化水素基は、前記式(a3−1)中のR
0についての説明の中で例示した脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、芳香族炭化水素基とそれぞれ同様のものが挙げられる。
W
02は、任意の位置に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよく、この説明は前記式(a3−1)中のR
0の説明と同様である。
以下に、一般式(a3−12)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0132】
[一般式(a3−13)で表される構成単位]
前記式(a3−13)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
P
03は、−C(=O)−O−又は−C(=O)−NR
n−(R
nは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)であり、−C(=O)−O−であることが好ましい。R
nのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様である。
W
03における直鎖状の炭化水素基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがより好ましく、炭素数1〜3であることがさらに好ましい。
W
03における直鎖状の炭化水素基は、−OH、−COOH、−CN、−SO
2NH
2及び−CONH
2以外の置換基(a)をさらに有していてもよい。この置換基(a)としては、炭素数1〜5のアルキル基、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基等が挙げられる。置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
また、W
03における直鎖状の炭化水素基は、一例として下記一般式(a3−13−a)で表される構成単位のように、複数の置換基(a)を有してもよく、複数の置換基(a)同士が相互に結合して環が形成されてもよい。
【0133】
【化45】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。R
a1及びR
a2はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、脂肪族環式基(単環式基、多環式基)、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。但し、R
a1とR
a2とが相互に結合して環を形成してもよい。q
0は1〜4の整数である。]
【0134】
前記式(a3−13−a)中、Rは、前記式(a3−1)中のRの説明と同様である。
R
a1及びR
a2における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)は、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)と同様である。
また、R
a1とR
a2とは、相互に結合して環を形成してもよい。この場合、R
a1と、R
a2と、R
a1とR
a2とが共に結合した炭素原子とにより環式基が形成される。該環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、具体的には、前記置換基(a)における脂肪族環式基(単環式基、多環式基)についての説明の中で例示したモノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
q
0は1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0135】
以下に、一般式(a3−13)で表される構成単位の好適な具体例を示す。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0137】
(A1)成分が有する構成単位(a3)は1種であっても2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対して0〜85モル%であることが好ましく、0〜80モル%がより好ましい。構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果(解像性、リソグラフィー特性、パターン形状の向上効果)が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0138】
[構成単位(a4)]
(A1)成分は、さらに、必要に応じて、酸非解離性環式基を含む構成単位(a4)を有してもよい。(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に有機溶剤現像の場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により(B)成分から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、前記構成単位(a1)における酸解離性基を酸非解離性環式基で置換した構成単位が挙げられる。なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a41)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンから誘導される構成単位(a42)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいビニルナフタレンから誘導される構成単位(a43)等が好ましい。
【0139】
構成単位(a41)における酸非解離性の脂肪族環式基としては、たとえば、当該脂肪族環式基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合していない1価の脂肪族環式基、1級または2級のアルキル基の水素原子の1つを1価の脂肪族環式基で置換した基、等が挙げられる。
1価の脂肪族環式基としては、酸非解離性であれば特に限定されず、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。該脂肪族環式基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、炭素数が3〜30であるものが好ましく、5〜30であるものがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
該脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂肪族環式基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族環式基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。また、これらの脂肪族環式基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
該脂肪族環式基は、上記効果に優れることから、多環式であることが好ましい。特に、2〜4環式のものが好ましく、中でも、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基およびノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種が、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
【0140】
酸非解離性の脂肪族環式基としての1価の脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、当該脂肪族環式基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合していない1価の脂肪族環式基が挙げられる。具体的には、前記酸解離性基の説明で挙げた式(1−1)〜(1−9)で表される基におけるR
14を水素原子で置換した基;環骨格を構成する炭素原子のみによって形成された第3級炭素原子を有するシクロアルカンの前記第3級炭素原子から水素原子を除いた基;等が挙げられる。
1級または2級のアルキル基の水素原子の1つを1価の脂肪族環式基で置換した基としては、上記酸解離性基の説明で挙げた式(2−1)〜(2−6)のR
15またはR
16の少なくともひとつが水素原子となる基等が挙げられる。
【0141】
構成単位(a41)としては、前記構成単位(a11)における酸解離性基を酸非解離性の脂肪族環式基で置換した構成単位が挙げられ、前記一般式(a1−0−1)におけるX
1を酸非解離性の脂肪族多環式基で置換した構成単位、すなわち下記一般式(a4−0)で表される構成単位が好ましく、特に、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構成単位が好ましい。
【0142】
【化47】
[式中、Rは前記と同じであり、R
40は酸非解離性の脂肪族多環式基である。]
【0143】
【化48】
[式中、Rは前記と同じである。]
【0144】
構成単位(a42)として具体的には、たとえば前記構成単位(a12)の説明で挙げた一般式(a12−1)中、ベンゼン環に結合する−OX
cの数pxが0であり、任意の置換基R
cの数qxが0〜5の整数であるものが挙げられる。
構成単位(a43)として具体的には、たとえば前記構成単位(a13)の説明で挙げた一般式(a13−1)中、ナフタレン環に結合する−OX
dの数xが0であり、任意の置換基R
dの数y+zが0〜7の整数であるものが挙げられる。
【0145】
(A1)成分が有する構成単位(a4)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、5〜20モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0146】
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a4)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a1)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用、EB用、EUV用等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
【0147】
(A1)成分は、構成単位(a1)を有する重合体であることが好ましく、構成単位(a1)と、構成単位(a2)および(a3)から選ばれる少なくとも1種とを有する共重合体であることがより好ましい。なかでも、構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する共重合体であることが好ましく、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)とを有する共重合体であることが特に好ましい。
これらの重合体または共重合体としては、たとえば、構成単位(a1)および(a2)からなる共重合体、構成単位(a1)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
これらの重合体または共重合体が有する構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)または構成単位(a4)は1種でも2種以上でもよい。
【0148】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0149】
(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
【0150】
{(A2)成分}
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。
具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
低分子量フェノール化合物としては、特に、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、LWRに優れることから好ましい。
酸解離性基としては、特に限定されず、上記(A1)成分の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
(A2)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0151】
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、上記のなかでも、(A1)成分を含有することが好ましい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、マスクエラーファクター(MEF)、真円性(Circularity)、ラフネス低減等のリソグラフィー特性がより向上する。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0152】
<(C)成分>
(C)成分は、光反応型クエンチャーである。
「クエンチャー」は、酸拡散制御剤、すなわち露光により(B)成分等から発生する酸をトラップするもの、である。
「光反応型クエンチャー」は、露光前(または未露光部において)はクエンチャーとして作用し、露光(EB、EUV等の放射線の照射)後はクエンチャーとして作用しないものである。
本発明のレジスト組成物は、(C)成分として、少なくとも、下記一般式(c1)で表される化合物(以下、(C1)成分という。)を含有する。これにより、レジスト組成物の保存安定性が、従来の光反応型クエンチャーを用いた場合に比べて、優れたものとなっている。
【0153】
【化49】
[式中、R
1は水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
1〜R
3のうちの2つまたは3つが互いに結合して環を形成してもよい。Xは酸素原子又は硫黄原子である。nは0又は1である。Z
+は有機カチオンである。]
【0154】
式(c1)中、R
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
R
1における炭化水素基が「置換基を有していてもよい」とは、当該炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよく、当該炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されてもよいことを示す。
R
1における炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
【0155】
芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の環骨格を構成する原子の数は、5〜20であることが好ましく、5〜15がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
R
1における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基や、ヘテロアリールアルキル基);等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子を置換するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
R
1における芳香族炭化水素基の炭素数は5〜20であることが好ましく、5〜15がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、芳香族炭化水素基が、水素原子の一部または全部が置換基を有する場合、芳香族炭化水素基の炭素数には、該置換基における炭素数を含まないものとする。
【0156】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されてもよい。
該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、カルボキシ基、−COO
−Z
+(Z
+は前記と同じである。)、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’等が挙げられる。R
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアリール基としては、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。それらの中でも、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、フェニル基またはナフチル基が好ましい。
【0157】
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R
47)(R
48)−O−R
49
[式中、R
47、R
48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R
49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R
47、R
48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R
47、R
48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0158】
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56
[式中、R
50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R
56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R
50−C(=O)−O−R
56におけるR
56を、R
56’で置き換えた基も挙げられる。R
56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
R
56’におけるアルキル基は、前記R
49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R
49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、後述するR
1における脂肪族炭化水素基の説明で挙げる式(L1)〜(L7)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
R
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
【0159】
−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’におけるR
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
また、R
6’、R
7’、R
8’は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
R
6’、R
7’、R
8’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7’、R
8’においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
【0160】
R
1における脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基(アルキル基)であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、鎖状、環状のいずれであってもよい。鎖状の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。環状の脂肪族炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。
該脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されてよい。
該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部を置換するヘテロ原子を含む置換基におけるヘテロ原子は、炭素原子および水素原子以外の原子を意味し、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部を置換する置換基として具体的には、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、カルボキシ基、−COO
−Z
+(Z
+は前記と同じである。)、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’等が挙げられる。R
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。脂肪族炭化水素基が環状である場合、置換基としてアルキル基を有していてもよい。これらの置換基は、それぞれ、前記芳香族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0161】
R
1における脂肪族炭化水素基としては、鎖状のアルキル基、鎖状の不飽和炭化水素基または環状のアルキル基が好ましい。
鎖状のアルキル基の炭素数は1〜20であり、1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
鎖状のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等が挙げられる。
これらの鎖状のアルキル基は、当該アルキル基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されてよい。該置換基としては、前記で脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該置換基としては、上記の中でも、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0162】
鎖状の不飽和炭化水素基の炭素数は2〜20であり、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。
鎖状の不飽和炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
直鎖状の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基等が挙げられる。
分岐鎖状の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基等が挙げられる。
鎖状の不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、プロペニル基(アリル基)が好ましい。
これらの鎖状のアルキル基は、当該アルキル基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されてよい。該置換基としては、前記で脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該置換基としては、上記の中でも、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0163】
環状のアルキル基の炭素数は3〜20であり、5〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
環状のアルキル基は、単環式であっても多環式であってもよい。
単環式の環状のアルキル基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。モノシクロアルカンとしては、炭素数5〜6のモノシクロアルカンが好ましく、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の環状のアルキル基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンが好ましく、例えばアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状のアルキル基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、前記で脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
環状のアルキル基は、当該環状のアルキル基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部を置換してもよいヘテロ原子を含む置換基として前記で挙げたものと同様のものが挙げられる。それらのなかでも、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。
炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換された環状のアルキル基の好ましい例としては、たとえば下記式(L1)〜(L7)、(S1)〜(S4)で表される環式基等が挙げられる。
【0164】
【化50】
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R
94’−または−S−R
95’−であり、R
94’およびR
95’はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0165】
式中、Q”、R
94’およびR
95’におけるアルキレン基としては、それぞれ、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基またはアルキルメチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
これらの環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、前記環状のアルキル基の環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部を置換してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0166】
R
1としては、上記の中でも、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基がより好ましい。
これらの中でも、式(c1)中のnが0である場合は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、フッ素置換されていてもよいメチル基、フッ素置換されていてもよいエチル基またはフッ素置換されていてもよいフェニル基が最も好ましい。
また、式(c1)中のnが1である場合は、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基が好ましく、多環式の環状のアルキル基が特に好ましい。
該多環式の環状のアルキル基としては、フッ素置換されていてもよいポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(L1)〜(L7)、(S1)〜(S4)で表される環式基等が好ましい。
ポリシクロアルカンとしては前記と同様のものが挙げられる。ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基等が好ましく、これらの基はいずれもフッ素置換されていてもよい。
多環式の環状のアルキル基としては、フッ素置換されていてもよいアダマンチル基または前記式(L7)で表される環式基が最も好ましい。
【0167】
R
2及びR
3における置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記R
1における置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
本発明において、R
2及びR
3はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0168】
式(c1)においては、R
1〜R
3のうちの2つまたは3つが互いに結合して環を形成してもよい。たとえばR
2とR
3とが互いに結合して環を形成してもよく、R
1とR
3とが互いに結合して環を形成してもよく、R
1〜R
3の全てが互いに結合して環を形成してもよい。これらのなかでも、R
2とR
3とが互いに結合するか、またはR
1〜R
3の全てが互いに結合することが好ましい。
R
2とR
3とが互いに結合して環を形成する場合、該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常、飽和であることが好ましい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえばR
2、R
3のいずれか一方または両方が環構造を含む場合(たとえば環状のアルキル基または芳香族炭化水素基である場合)、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
R
2とR
3とが互いに結合して形成される環の具体例としては、前記環状のアルキル基の説明で挙げたモノシクロアルカンから、少なくとも、同一の炭素原子に結合した2個の水素原子を除いた基、ポリシクロアルカンから、少なくとも、同一の炭素原子に結合した2個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
R
2とR
3とが互いに結合して環を形成している場合の(C1)成分の好ましい例として、下記一般式(c1−01)で表されるものが挙げられる。
【0169】
【化51】
[式中、R
1、n、X、Z
+はそれぞれ前記と同じである。qは0〜2の整数である。]
【0170】
R
1〜R
3の全てが互いに結合して環を形成する場合、該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常、飽和であることが好ましい。該環は通常、多環式である。
R
1〜R
3の全てが互いに結合して形成される環の具体例としては、前記環状のアルキル基の説明で挙げたポリシクロアルカンのうち、環骨格を構成する炭素原子のみによって形成された第3級炭素原子を有するポリシクロアルカンの前記第3級炭素原子から水素原子を除き、かつ該第3級炭素原子に隣接する炭素原子を酸素原子または硫黄原子で置換した基等が挙げられる。該基においては、環骨格中の前記酸素原子に結合する炭素原子のうち、前記第3級炭素原子以外の炭素原子の1つにオキソ基(=O)が置換してもよい。
このような基としてより具体的には、環骨格中の酸素原子の隣に第3級炭素原子が存在するラクトン環から前記第3級炭素原子から水素原子を除いた基(たとえば前述した式(L2)、(L5)〜(L7)における結合手が−O−の隣の第3級炭素原子に結合した基)等が挙げられる。
【0171】
Xは、酸素原子、硫黄原子のいずれであってもよい。
nが1である場合は、合成しやすさ等の点で、Xが酸素原子であることが好ましい。
nは0、1のいずれであってもよい。nが1であると(つまりエステル結合となると)、nが0である場合(つまりエーテル結合の場合)よりも、(C1)成分におけるアニオン部の共役酸のpKa値が低くなりレジスト組成物としての安定性が向上するので好ましい。
なお、n=0の場合、R
1は、上述の炭化水素基のうち、芳香族炭化水素基、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基、炭素数2以上の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。芳香族炭化水素基、またはフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であると、(C1)成分における前記pKa値が低くなるので好ましい。炭素数2以上の脂肪族炭化水素基であると(A)成分との相溶性が向上するので好ましい。該炭素数2以上の脂肪族炭化水素基は上述の環状のアルキル基であることがより好ましい。
【0172】
Z
+は有機カチオンである。
Z
+の有機カチオンとしては、特に限定されず、例えば、従来、レジスト組成物のクエンチャーに用いられる光分解性塩基(光反応型クエンチャー)や、酸発生剤成分に用いられるオニウム塩(オニウム系酸発生剤)等のカチオン部として知られている有機カチオンを用いることができる。このような有機カチオンとしては、例えば、下記一般式(ca−1)または(ca−2)で表されるカチオンが挙げられる。これらの中でも、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましい。
【0173】
【化52】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。式(ca−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。]
【0174】
式(ca−1)中のR
1”〜R
3”、式(ca−2)中のR
5”〜R
6”は、それぞれ、後述する(B)成分の説明で挙げる一般式(b−1)中のR
1”〜R
3”、式(b−2)中のR
5”〜R
6”と同じである。
【0175】
(C1)成分としてより具体的には、下記一般式(c1−1)、(c1−2)または(c1−3)で表される化合物等が挙げられる。
これらのうち、式(c1−1)または(c1−2)で表される化合物は、前記式(c1)中のnが0であるものに相当し、式(c1−3)で表される化合物は、前記式(c1)中のnが1であるものに相当する。
【0176】
【化53】
[式中、Z
+は前記と同じである。R
1qは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2q及びR
3qはそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2qとR
3qとが互いに結合して環を形成してもよい。R
1rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2r及びR
3rはそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2rとR
3rとが互いに結合して環を形成してもよい。R
1sは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2s及びR
3sはそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2sとR
3sとが互いに結合して環を形成してもよい。]
【0177】
式(c1−1)中、Z
+は前記一般式(c1)中のZ
+と同じである。
式(c1−1)中のR
1q、R
2q、R
3qとしてはそれぞれ、前記一般式(c1)中のR
1、R
2、R
3と同様のものが挙げられる。
R
1qとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基が特に好ましい。
R
2q、R
3qは、両方が水素原子であるか、または互いに結合して環を形成していることが好ましく、R
2qおよびR
3qの両方が水素原子であることが最も好ましい。
式(c1−2)中のZ
+、R
1r、R
2r、R
3rはそれぞれ、前記一般式(c1−1)中のZ
+、R
1q、R
2q、R
3qと同様である。
【0178】
式(c1−3)中のR
1s、R
2s、R
3sとしてはそれぞれ、前記一般式(c1)中のR
1、R
2、R
3と同様のものが挙げられる。
R
1sとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜15の鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の環状のアルキル基がより好ましく、多環式の環状のアルキル基が特に好ましい。
R
2q、R
3qは、両方が水素原子であるか、または互いに結合して環を形成していることが好ましく、R
2qおよびR
3qの両方が水素原子であることが最も好ましい。
【0179】
(C1)成分の好ましい具体例を以下に示す。各式中、Z
+は前記と同じである。
【0181】
(C1)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分中の(C1)成分の割合は、80質量%以上が好ましく、100質量%であってもよい。
【0182】
(C1)成分は、公知の方法により製造できる。
例えば、(C1)成分のアニオン基に由来する酸(R
1−[C(=O)]n−X−C(R
2)(R
3)−COOH)と、所望のカチオンZ
+を有する塩との塩交換反応により(C1)成分を得ることができる。
上記塩交換反応に用いる酸(R
1−[C(=O)]n−X−C(R
2)(R
3)−COOH)は、公知の方法により製造できる。例えばnが1であるものは、後述する(G)成分の説明で、式(g1−1)で表される化合物の製造方法として挙げた方法と同様にして製造できる。
【0183】
本発明のレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(C1)成分以外の光反応型クエンチャー(以下「(C2)成分」という。)を含有してもよい。
(C2)成分としては、光反応型クエンチャーとして機能するものであれば特に限定されず、たとえばレジスト組成物用等として提案されている公知のものが使用できる。
(C2)成分の具体例として、たとえば、前記一般式(c1)中のアニオン(R
1−[C(=O)]n−X−C(R
2)(R
3)−C(=O)−O
−)以外のアニオンと、カチオンとからなる塩基性化合物(例えば、カルボン酸オニウム塩、アルキルスルホン酸オニウム塩、アリールスルホン酸オニウム塩、スルホニルアミド酸オニウム塩、スルホニルイミド酸オニウム塩)が挙げられる。かかる塩基性化合物は、(B)成分等から発生する酸(強酸)を塩交換によりトラップする。
なお、本発明において「塩基性化合物」とは、(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物をいう。
【0184】
レジスト組成物中の(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましく、1.5〜5.5質量部であることが特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、解像性、ラフネス、露光余裕度等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0185】
<(B)成分>
(B)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分である。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0186】
【化55】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。式(b−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R
4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。]
【0187】
前記式(b−1)中、R
1”〜R
3”における置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アリール基等が挙げられる。
無置換のアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
置換アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
x等が挙げられる。R
6’、R
7’、R
8’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。R
9’は含窒素炭化水素基である。R
11”は置換基を有していてもよいアリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表す。R
21”、R
31”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。xは1または2であり、Q
1は(x+1)価の連結基を表す。
【0188】
上記の置換基のうち、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’としてはそれぞれ、前記一般式(c1)中のR
1における芳香族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
9’における含窒素炭化水素基としては、前記芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基における炭素原子の一部を窒素原子で置換したものが挙げられる。好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアミノアルキル基における窒素原子に結合した水素原子の1つまたは2つが炭素数1〜10のアルキル基で置換された(モノまたはジ)アルキルアミノアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基におけるハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられ、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
−O−Q
1−(O−R
11”−S
+(R
21”)(R
31”))
xにおいて、R
11”における置換基を有していてもよいアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基としてはそれぞれ、R
1”における置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基、アルケニル基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
R
21”、R
31”としてはそれぞれ式(b−1)中のR
2”、R
3”と同様のものが挙げられる。
xは1または2である。
Q
1は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
Q
1における2価の連結基としては、上記Y
2の2価の連結基と同様のものが挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
Q
1における3価の連結基としては、2価の連結基から水素原子を1個除いた基、2価の連結基にさらに2価の連結基が結合した基、等が挙げられる。2価の連結基としては上記Y
2の2価の連結基と同様のものが挙げられる。Q
1における3価の連結基としては、アリーレン基に3個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。
【0189】
置換基として−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
xを有する場合、R
1”〜R
3”のうち、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
xを有するのは1つであることが好ましい。
置換基として−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
xを有するカチオンの好ましい具体例として、下記の一般式(ca−0)で表されるものが挙げられる。
【0190】
【化56】
[式中、R
11”は置換基を有していてもよいアリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表す。R
21”、R
31”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。xは1または2であり、Q
1は(x+1)価の連結基を表す。]
【0191】
R
1”〜R
3”における置換基を有していてもよいアルキル基としては、たとえば、無置換のアルキル基、該無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換アルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
x等が挙げられる。
これらはそれぞれ、R
1”〜R
3”における置換アリール基が有していてもよい置換基として挙げたアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
xと同様のものが挙げられる。
【0192】
R
1”〜R
3” における置換基を有していてもよいアルケニル基としては、たとえば、無置換のアルケニル基、該無置換のアルケニル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルケニル基等が挙げられる。
無置換のアルケニル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
置換アルケニル基における置換基としては、R
1”〜R
3”における置換アルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0193】
式(b−1)中のカチオン(S
+(R
1”)(R
2”)(R
3”))のなかで、R
1”〜R
3”がそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基である場合の好適なものとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−46)で表されるカチオンが挙げられる。
【0195】
【化58】
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
【0197】
式(b−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。この場合、該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえばR
1”〜R
3”のうち、環を形成する2つのいずれか一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R
1”〜R
3”が結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していてもよい。該ヘテロ原子としては、たとえば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
式(b−1)中のカチオン(S
+(R
1”)(R
2”)(R
3”))のなかで、R
1”〜R
3” のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例として、たとえば、下記式(ca−12)〜(ca−15)で表されるカチオン部が挙げられる。
【0198】
【化60】
[式中、Q
2は単結合、メチレン基、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、カルボニル基、−SO−、−SO
2−、−SO
3−、−COO−、−CONH−または−N(R
N)−(該R
Nは炭素数1〜5のアルキル基である。)であり;R
81〜R
86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n
1〜n
5はそれぞれ独立して0〜3の整数であり、n
6は0〜2の整数である。]
【0199】
【化61】
[式中、uは1〜3の整数であり、R
9は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアルキル基であり、R
10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基または水酸基であり、R
4’は置換基を有していてもよいアルキレン基である。]
【0200】
式(ca−12)〜(ca−13)中、R
81〜R
86におけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R
81〜R
86に付された符号n
1〜n
6が2以上の整数である場合、複数のR
81〜R
86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n
1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n
2およびn
3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n
4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n
5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n
6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
前記式(ca−12)又は(ca−13)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
【0202】
式(ca−14)〜(ca−15)中、uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
R
9は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアルキル基である。
R
9におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、R
1”〜R
3”における置換アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
x等が挙げられる。
R
9における置換基を有していてもよいアルキル基としては、前記R
1”〜R
3”における置換基を有していてもよいアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
10は、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基または水酸基である。
R
10におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、R
9におけるフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
10における置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基におけるアルキル基としてはそれぞれ、前記R
1”〜R
3”におけるにおけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
R
4’におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
R
4’におけるアルキレン基が有していてもよい置換基としては、R
1”〜R
3”における置換アルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
x等が挙げられる。
前記式(ca−14)または(ca−15)で表されるカチオンの好適なものとしては、たとえば以下に示すもの等が挙げられる。
【0204】
式(ca−14−1)中、R
dは置換基である。該置換基としては、上記R
9のフェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R
6’、−O−C(=O)−R
7’、−O−R
8’、−O−R
9’、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−Q
1−[O−R
11”−S
+(R
21”)(R
3”)]
x等が挙げられる。R
7”、R
8”、R
9”は、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基である。
【0205】
式(b−2)中のR
5”〜R
6”における置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基としては、R
1”〜R
3” における置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基と同様のものが挙げられる。
R
5”〜R
6”のうち、少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましく、両方が置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましい。
式(b−2)中のカチオン(I
+(R
5”)(R
6”))の好ましい具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、等が挙げられる。
【0206】
式(b−1)〜(b−2)中のR
4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表す。
R
4”としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R
4”としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R
4”としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R
4”がアルキル基の場合の「R
4”SO
3−」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0207】
前記R
4”としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
【0208】
前記R
4”としてのアリール基は、R
1”〜R
3”、R
5”〜R
6”におけるアリール基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
前記R
4”としてのアルケニル基は、R
1”〜R
3”、R
5”〜R
6”におけるアルケニル基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましい。
【0209】
前記R
4”におけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
R
4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X
3−Q’−[式中、Q’は酸素原子を含む2価の連結基であり、X
3は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R
4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0210】
X
3−Q’−で表される基において、Q’は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q’は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO
2−)が連結されていてもよい。
該組み合わせとしては、たとえば、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−、−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−、−R
95−SO
2−O−R
94−O−C(=O)−(式中、R
91〜R
95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R
91〜R
95におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
Q’としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−が好ましい。
【0211】
X
3−Q’−で表される基において、X
3は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
X
3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。X
3における芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基としてはそれぞれ、前記一般式(c1)中のR
1の説明で挙げた芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
X
3としては、特に、置換基を有していてもよい環式基が好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい環状のアルキル基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基が置換していてもよいフェニル基、または置換基が置換していてもよいナフチル基が好ましい。該置換基としては、フッ素原子が好ましい。
置換基を有していてもよい環状のアルキル基としては、置換基を有していてもよい多環式の環状のアルキル基が好ましい。該多環式の環状のアルキル基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L7)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
【0212】
前記R
4”としては、上記の中でも、ハロゲン化アルキル基、または置換基としてX
3−Q’−を有するものが好ましい。
置換基としてX
3−Q’−を有する場合、R
4”としては、X
3−Q’−Y
5−[式中、Q’およびX
3は前記と同じであり、Y
5は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X
3−Q’−Y
5−で表される基において、Y
5のアルキレン基としては、前記Q’で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y
5として、具体的には、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
3)−、−C(CF
3)
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
2CF
3)−、−C(CF
3)(CF
2CF
3)−;−CHF−、−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
2CF
3)−、−C(CH
3)(CF
3)−、−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
3)CH(CF
3)−、−C(CF
3)
2CH
2−;−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−等が挙げられる。
【0213】
Y
5としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−;−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−;−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2CF
2−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、又はCH
2CF
2CF
2−が好ましく、−CF
2−、−CF
2CF
2−又は−CF
2CF
2CF
2−がより好ましく、−CF
2−が特に好ましい。
【0214】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0215】
R
4”がX
3−Q’−Y
5−で表される基であるR
4”SO
3−の具体例としては、たとえば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
【0217】
【化65】
[式中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、R
7は置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
【0218】
R
7の置換基としては、前記一般式(c1)中のR
1の説明で、環状のアルキル基の環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部を置換してもよい置換基として挙げたものや、芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR
7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0219】
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)中のアニオン部(R
4”SO
3−)を、下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0220】
【化66】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0221】
式(b−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(b−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0222】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0223】
【化67】
[式(B−1)中、R
31、R
32はそれぞれ独立に有機基を表す。]
【0224】
R
31、R
32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
R
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R
32のアルキル基、アリール基としては、前記R
31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0225】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0226】
【化68】
[式(B−2)中、R
33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
34はアリール基である。R
35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0227】
【化69】
[式(B−3)中、R
36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R
38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0228】
前記一般式(B−2)において、R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0229】
前記一般式(B−3)において、R
36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R
34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
【0230】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜86頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0232】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0233】
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0234】
<(G)成分>
本発明のレジスト組成物は、さらに、酸(G)(以下「(G)成分」という。)を含有することが好ましい。(G)成分を配合することで、レジスト組成物の保存安定性がさらに向上する。
(G)成分としては、カルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、スルホニルアミド酸、スルホニルイミド酸、リンのオキソ酸およびその誘導体等が挙げられる。
これらのうち、カルボン酸としては、たとえば、下記一般式(g1)で表される化合物(G1)が挙げられる。
【0235】
【化71】
[式中、R
g11は置換基を有していてもよい炭化水素基である。]
【0236】
一般式(g1)中、R
g11は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、前記一般式(c1)中のR
1の説明で挙げた脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
また、R
g11は、前記一般式(c1)中のR
1−[C(=O)]
n−X−C(R
2)(R
3)−で表される基と同じであってもよい。
化合物(G1)として具体的には、前記(C)成分の説明で挙げた(C1)成分の具体例における「−COO
− Z
+」が「−COOH」になった化合物、その他の脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。それらの具体例を以下に示す。また、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の、カルボキシ基を2つ以上有する多価カルボン酸も挙げられる。
【0239】
化合物(G1)は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により合成したものを用いてもよい。
化合物(G1)のうち、R
1−[C(=O)]
n−X−C(R
2)(R
3)−で表される基を有する化合物;たとえば下記一般式(g1−1)で表される化合物は、以下のように、化合物(i−1)と化合物(i−2)とを反応させることにより合成できる。
【0240】
【化74】
[式(g1−1)中、Rr
1は水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rr
2及びRr
3はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rr
1〜Rr
3のうちの2つまたは3つが互いに結合して環を形成してもよい。Xは酸素原子又は硫黄原子である。]
【0241】
式(g1−1)中、Rr
1、Rr
2、Rr
3、X、nはそれぞれ、前記一般式(c1)中のR
1、R
2、R
3、X、nと同様である。
【0242】
【化75】
[式中、Rr
1、Rr
2、Rr
3、X、nはそれぞれ前記と同様である。P
1はハロゲン原子(好ましくは塩素原子または臭素原子)である。]
【0243】
スルホン酸としては、下記一般式(g2)で表される化合物(G2)が好ましい。
【0244】
【化76】
[式中、R
g12は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素原子にはフッ素原子は置換されていないものとする)である。]
【0245】
一般式(g2)中、R
g12の置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、前記一般式(c1)中のR
1の説明で挙げた脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでもR
g12の置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)であることがより好ましい。
R
g12の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、前記(B)成分の説明で、一般式(b−1)または(b−2)中のR
4”における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X
3−Q’−[式中、Q’は酸素原子を含む2価の連結基であり、X
3は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。ただし、R
g12において、SO
3−におけるS原子に隣接する炭素は、フッ素置換されていないものとする。
化合物(G2)として具体的には、以下に例示するものが挙げられる。
【0247】
スルホニルアミド化合物としては、下記一般式(g3)で表される化合物(G3)が好ましい。
【0248】
【化78】
[式中、R
g13は有機基である。Y
13は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、R
f13はフッ素原子を含む炭化水素基である。]
【0249】
一般式(g3)中、R
g13の有機基としては、特に限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基、−O−C(=O)−C(R
C2)=CH
2(R
C2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である)、または−O−C(=O)−R
C3(R
C3は炭化水素基である)が好ましい。
R
g13におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。R
2のアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
R
g13におけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
【0250】
−O−C(=O)−C(R
C2)=CH
2中、R
C2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
R
C2における炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
R
C2におけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
R
C2としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0251】
−O−C(=O)−R
C3中、R
C3は炭化水素基である。
R
C3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基であってもよい。R
C3の炭化水素基として具体的には、前記一般式(c1)中のR
1の説明で挙げた脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでも、R
C3の炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。R
C3が脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することによりリソグラフィー特性が良好となる。
【0252】
R
3cとしては、上記の中でも、−O−C(=O)−C(R
C2)=CH
2、または−O−C(=O)−R
C3が好ましい。なかでも、−O−C(=O)−C(R
C2’)=CH
2(R
C2’は水素原子又はメチル基である。)、又は、−O−C(=O)−R
C3’(R
C3’は脂肪族環式基である。)であることが好ましい。
【0253】
Y
13は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基である。
Y
13の直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、上記式(a1−3)中のY
2の説明で挙げた2価の連結基のうち、「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y
13の環状のアルキレン基としては、上記式(a1−3)中のY
2の説明で挙げた2価の連結基のうち、「環状の脂肪族炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y
13のアリーレン基としては、上記式(a1−3)中のY
2の説明で挙げた2価の連結基のうち、「芳香族炭化水素基」と同様ものが挙げられる。
なかでも、Y
13としては、アルキレン基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
【0254】
化合物(G3)として具体的には、以下の化合物等が挙げられる。
【0256】
スルホニルイミド酸としては、ビス(アルキルスルホニル)イミド酸等が挙げられ、当該アルキル基は電子吸引性基で置換されていないことが好ましい。
【0257】
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、当該炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
【0258】
(G)成分としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)成分としては、上記の中でも、カルボン酸を含有することが好ましく、化合物(G1)を含有することがより好ましい。
レジスト組成物が(G)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(G)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。(G)成分の含有量が下限値以上であることにより、(G)成分によるレジスト組成物の保存安定性効果が向上する。他方、(G)成分の含有量が上限値以下であることにより、良好なリソグラフィー特性(感度等)が得られやすくなる。
【0259】
<その他の任意成分>
[(D)成分]
本発明のレジスト組成物は、任意の成分として、前記(C)成分に該当しない塩基性化合物(D)(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。
(D)成分としては、前記(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物であり、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(A)成分や(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであり、且つ(C)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。たとえば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH
3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)、環式アミン、その他の脂肪族アミン等が挙げられる。
【0260】
前記アルキルアミンが有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は2〜20であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンが有するヒドロキシアルキル基におけるアルキル基としては、前記アルキルアミンが有するアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0261】
前記アルキルアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;が挙げられる。
前記アルキルアルコールアミンの具体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
【0262】
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0263】
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられる。
【0264】
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
【0265】
(D)成分はいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0266】
[(F)成分]
レジスト組成物には、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有させることができる。(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。かかる重合体としては、構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記式(f1)で表される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記式(f1)で表される構成単位と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記式(f1)で表される構成単位と共重合される前記構成単位(a1)としては、前記構成単位(a11)が好ましく、前記式(a1−1)で表される構成単位がより好ましく、前記式(a1−1−02)で表される構成単位が特に好ましい。
【0267】
【化80】
[式中、Rは前記同様であり、R
41およびR
42はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、複数のR
41またはR
42は同じであっても異なっていてもよい。a1は1〜5の整数であり、R
7”はフッ素原子を含む有機基である。]
【0268】
式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、R
41、R
42のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。R
41、R
42の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。R
41、R
42の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもR
41、R
42としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、a1は1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0269】
式(f1−1)中、R
7”はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、R
7”としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、メチル基、−CH
2−CF
3、−CH
2−CF
2−CF
3、−CH(CF
3)
2、−CH
2−CH
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
3が最も好ましい。
【0270】
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
【0271】
(F)成分は、例えば、各構成単位を誘導するモノマーを、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。また、該重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、ディフェクトの低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、それぞれ、市販のものを用いてもよく、公知の方法に製造したものを用いてもよい。
【0272】
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分を配合する場合、(F)成分は、通常、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
【0273】
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0274】
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0275】
上記本発明のレジスト組成物は、(C)成分を含有することで、解像性、焦点深度幅、マスク再現性、パターン寸法の面内均一性、パターン形状(たとえば断面形状の矩形性、ホールパターンの真円性等)等のリソグラフィー特性が良好である。
また、本発明のレジスト組成物は、(C)成分として、特定構造のアニオンを有する(C1)成分を用いることで、従来のものを用いる場合に比べて、保存安定性に優れており、保存温度や保存期間の違いによる性能の変動が少ない。
たとえば(F)成分として前記構成単位(f1)を有する樹脂成分を含有する場合、形成されるレジスト膜は、表面の疎水性が高い(たとえば後退角が65°以上)ものとなる。かかる疎水性の高さは、上記のとおり、液浸露光において有用であるが、(C)成分として従来のものを用いた場合、特に保存温度が高い場合、保存後に疎水性が低下する(後退角が小さくなる)問題がある。(C)成分として(C1)成分を用いることで、このような角度変化を抑制できる。
上記のような保存安定性の向上効果は、酸(G)を併用する場合に特に優れている。
【0276】
(C)成分として(C1)成分を用いることにより保存安定性が向上する理由としては、(C1)成分が、対アニオンとして、電子密度が低く、pKaが4以下の高い酸性度を有するアニオンを有することによると考えられる。すなわち、(C1)成分を構成するアニオンは、−COO
−が結合した炭素原子の隣の位置(β位)にXが存在することで、Xが存在しない場合に比べて、電子密度が低下し、pKaが4以下となっている。対アニオンの酸性度が高いことで、(C1)成分が、レジスト組成物の保存中に、エステル結合等の求核攻撃により分解しやすい構造を有する他の成分(たとえばアクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する樹脂成分)を求核攻撃しにくく、該求核攻撃による他の成分の分解が抑制されていると考えられる。
Xの導入の有無およびその導入位置がカルボン酸アニオンの酸性度に与える影響を示すため、酢酸およびそのα位の炭素原子に置換基が結合した酢酸誘導体をpKaとともに例示する。また、β位に酸素原子を有する環式のカルボン酸をpKaとともに例示する。
以下に示すとおり、β位に酸素原子または硫黄原子が導入されることで、pKaが大きく低下する。一方、γ位に酸素原子がまたは硫黄原子が導入されても、pKaはほとんど低下しない。
以下の式中、(※)を付した化合物については、少なくともpKa4以下((※)を付した化合物の上に記載した2つの化合物のpKa値と同等)であると考えられる。
なお、カルボン酸のpKaと、該カルボン酸のアニオンのpKaとは同じである。
【0278】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばKrFエキシマレーザー露光装置、ArFエキシマレーザー露光装置、EB描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さないEBの直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
【0279】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
【0280】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高い。
【0281】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C
3HCl
2F
5、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5、C
5H
3F
7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0282】
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法におり実施でき、該方法としてはたとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0283】
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、たとえば前記有機系現像液が含有する有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法におり実施でき、該方法としてはたとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0284】
≪化合物≫
本発明の化合物は、下記一般式(c1)で表される。
【0285】
【化82】
[式中、R
1は水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
1〜R
3のうちの2つまたは3つが互いに結合して環を形成してもよい。Xは酸素原子又は硫黄原子である。nは0又は1である。Z
+は有機カチオンである。]
【0286】
本発明の化合物は、上記本発明のレジスト組成物が含有する成分として挙げた(C1)成分と同じものである。
本発明の化合物は、光反応型クエンチャーとして有用な新規な化合物であり、化学増幅型レジスト組成物に好適に配合することができる。
【実施例】
【0287】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式中に(1)と表示される化合物を「化合物(1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
なお、NMRによる分析において、
1H−NMRの内部標準および
13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
19F−NMRの内部標準はヘキサフルオロベンゼンである(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした)。
【0288】
<合成例0−1:酸(G4)>
窒素雰囲気化、ヒドロキシ酢酸5gにジクロロメタン50gを加え攪拌した。反応液を10℃以下に冷却し、温度を保ちながら1−アダマンタンカルボニルクロライド13gのCH
2Cl
2(26g)溶液を滴下した。 10℃以下で30分攪拌後、25℃まで昇温し、15時間攪拌した。反応液を10℃以下に冷却し、1%HClを50g加え10分間攪拌し洗浄を行い、25℃の純水50gで三回洗浄した。得られた溶液をヘキサン500gに30分かけて滴下し、30分熟成後、ろ過した。得られた粉体を40℃の真空乾燥を12時間行い粉末(12.2g)を得た。得られた粉末をNMR分析したところ目的物であることがわかった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ(ppm)=4.42(s,2H,CH
2),1.58−1.93(m,15H,Ad)
【0289】
【化83】
【0290】
<合成例0−2:酸(G5)>
1−アダマンタンカルボニルクロライドのかわりに、下記化合物を使用した他は合成例1と同様にして酸(G5)を得た。
【0291】
【化84】
【0292】
<(C)成分合成例>
以下の手順で、以下に示すアニオンan−1〜an−5のいずれ1種と、カチオンca−1〜ca−60のいずれ1種との塩(化合物1−1〜1−60、2−1〜2−60、3−1〜3−60、4−1〜4−60、5−1〜5−60)を得た。
目的の化合物のアニオンに対応する酸(an−4は上記合成例0−1で得られた酸(G4)、an−5は上記合成例0−2得られた酸(G5)、その他のアニオンは市販の酸)と、所望のカチオンを有する塩とを反応(塩交換)させて目的の化合物を得た。
【0293】
【化85】
【0294】
【化86】
【0295】
【化87】
【0296】
【化88】
【0297】
得られた化合物の構造は、
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)、フッ素原子を含むものについてはさらに
19F−NMR(376MHz,DMSO−d6)で分析することにより同定した。
各化合物のアニオン、カチオン、NMR分析結果を下記表1〜21に示す。
【0298】
【表1】
【0299】
【表2】
【0300】
【表3】
【0301】
【表4】
【0302】
【表5】
【0303】
【表6】
【0304】
【表7】
【0305】
【表8】
【0306】
【表9】
【0307】
【表10】
【0308】
【表11】
【0309】
【表12】
【0310】
【表13】
【0311】
【表14】
【0312】
【表15】
【0313】
【表16】
【0314】
【表17】
【0315】
【表18】
【0316】
【表19】
【0317】
【表20】
【0318】
【表21】
【0319】
<
参考例1〜
3、実施例4〜5、参考例6〜8、実施例9〜10、参考例11〜13、実施例14〜15、参考例16〜25、比較例1〜12>
表22〜24に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
【0320】
【表22】
【0321】
【表23】
【0322】
【表24】
【0323】
表22〜24中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される高分子化合物[Mw=5500、Mw/Mn=1.42、重合組成比(モル比):l/m/n/o=45/40/5/10]
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される化合物。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される高分子化合物[Mw=24000、Mw/Mn=1.38、重合組成比(モル比):l=100]。
(C)−1〜(C)−15:それぞれ表25に示す構造(カチオンとアニオンとの組み合わせ)の化合物(いずれも、前記(C)成分合成例で合成した)。
(C)−16〜(C)−24:それぞれ下記化学式(C)−16〜(C)−24で表される化合物。
(G)−1〜(G)−10:それぞれ下記化学式(G)−1〜(G)−10で表される化合物である。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0324】
【化89】
【0325】
【化90】
【0326】
【表25】
【0327】
【化91】
【0328】
【化92】
【0329】
得られたレジスト組成物について、以下に示す評価を行った。
ただし、本発明者らは、後退角が65°未満であると、浸漬露光時にレジスト膜から(B)成分等が液浸媒体(水)中に溶出し、露光装置の汚染が懸念されるため、以下の保存安定性の評価で、40℃保存後の後退角が65°未満であったレジスト組成物については、後述するレジストパターン形成および該レジストパターン形成における各種リソグラフィー特性(感度、MEF、CDU、真円性、焦点深度幅特性)の評価を行わなかった。
レジストパターン形成および該レジストパターン形成における各種リソグラフィー特性の評価において、各例のレジスト組成物は、40℃1ヶ月保存後のものを使用した。
【0330】
[保存安定性]
各例のレジスト組成物を、−20℃または40℃の環境下にて1ヶ月保存した後、以下の手順でレジスト膜を形成し、後退角(°)を測定した。結果をそれぞれ表26に示す。
(レジスト膜の形成)
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。該有機系反射防止膜上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
(後退角の測定)
形成したレジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に水を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、後退角の測定を行った(後退角の測定:水50μL)。
【0331】
次に、上記のようにして測定した−20℃保存後の後退角、40℃保存後の後退角から、下記の計算式により、角度変化(%)を算出した。結果を表26に示す。
角度変化={(−20℃保存後の後退角)−(40℃保存後の後退角)/(−20℃保存後の後退角)}×100
【0332】
[レジストパターンの形成]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
各例のレジスト組成物をそれぞれ、上記反射防止膜上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で80℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[ニコン社製;NA(開口数)=1.07,Annular(out−0.97/In−0.78)w/XY−Pol.液浸媒体:水]により、フォトマスク(バイナリー)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
その後、80℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液(商品名:NMD−W、東京応化工業株式会社製)で20秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。続いて、ホットプレート上で100℃、45秒間のポストベークを行った。
その結果、いずれの例においても、直径70nmのホールがピッチ122.50nmで等間隔に配置されたコンタクトホールパターン(以下、CHパターン)が形成された。
該CHパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)を求めた。その結果を表26に示す。
【0333】
[MEF(マスクエラーファクター)]
上記Eopにて、ターゲットサイズが異なるフォトマスクを使用した以外は前記[レジストパターンの形成]と同様にしてCHパターンを形成した。このとき、フォトマスクのターゲットサイズは、ピッチを122.50nmに固定したまま、ホール直径を70nm±5nmの範囲内で1nm刻みで変化させた。
形成された計11点のCHパターンの、各ホールのホール直径(nm)を縦軸、ターゲットサイズのホール直径(nm)を横軸としてプロットした。このときの直線の傾きを「MEF」として算出した。その結果を表26に示す。
MEFは、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。
【0334】
[CDU(パターン寸法の面内均一性)]
上記[レジストパターンの形成]で得られたターゲットサイズのCHパターンについて、CHパターン中の100個のホールを、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により上から観察し、各ホールのホール直径(nm)を測定した。その測定結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。その結果を「CDU」として表26に示す。
このようにして求められる3σは、その値が小さいほど、当該レジスト膜に形成された複数のホールの寸法(CD)均一性が高いことを意味する。
【0335】
[ホールの真円性]
上記[レジストパターンの形成]で得られたターゲットサイズのCHパターンについて、CHパターン中の25個のホールを、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により上から観察し、各ホールの中心から外縁までの距離を24方向測定した。その測定結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。その結果を表26に示す。
このようにして求められる3σは、その値が小さいほど当該ホールの真円性が高いことを意味する。
【0336】
[焦点深度幅特性]
上記Eopにて、焦点を適宜上下にずらした以外は前記[レジストパターンの形成]と同様にしてCHパターンを形成した。このとき、ホール直径がターゲットサイズ(70nm)±5%の範囲内で形成できる焦点深度の幅(単位:μm)を求めた。その結果を「DOF」として表26に示す。
【0337】
【表26】
【0338】
上記結果に示すとおり、
参考例1〜
3、実施例4〜5、参考例6〜8、実施例9〜10、参考例11〜13、実施例14〜15、参考例16〜25のレジスト組成物は、40℃で1ヶ月保存した後に形成したレジスト膜の後退角が、−20℃で1ヶ月保存した後に形成したレジスト膜の後退角とほぼ同じであり、保存安定性に優れていた。また、感度、MEF、CDU、真円性、焦点深度幅特性等の各種リソグラフィー特性も良好であった。
一方、比較例1〜
12のレジスト組成物は、40℃で1ヶ月保存した後に形成したレジスト膜の後退角が、−20℃で1ヶ月保存した後に形成したレジスト膜の後退角に比べて大きく低下していた。これは、保存中に、(C)成分によって(F)成分が分解されたためと考えられる。