【実施例】
【0023】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0024】
(実施例1)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各1600g秤量した。
(混合粉A):90.5Co−9.5TiO
2(mol%)
(混合粉B):72.36Co−20.73Cr−6.91SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが50μmと150μmの篩を用いて篩分し、粒径が50〜150μmの焼結体粉Aを得た。
【0025】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを726.7g、混合粉Bを944.1gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):80Co−12Cr−4TiO
2−4SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1050℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.2%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0026】
実施例1のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co中にTiO
2が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr合金中にSiO
2が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.1μm
2であった。
【0027】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は5個であった。
【0028】
(比較例1)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で1670.7g秤量した。
(ターゲット組成):80Co−12Cr−4TiO
2−4SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1050℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.5%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0029】
比較例1のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr合金中にTiO
2とSiO
2が分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.1μm
2と、実施例1に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0030】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は13個と実施例1に比べて、パーティクル数が多かった。
【0031】
(実施例2)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):68.15Co−22.29Pt−4.78TiO
2−4.78Cr
2O
3(mol%)
(混合粉B):59.68Co−32.26Cr−8.06SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0032】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを1550.6g、混合粉Bを550.6gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−14Pt−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度97.9%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0033】
実施例2のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Pt中にTiO
2とCr
2O
3が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr合金中にSiO
2が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.4μm
2であった。
【0034】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は3個であった。
【0035】
(実施例3)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):81.76Co−9.12Pt−4.56TiO
2−4.56Cr
2O
3(mol%)
(混合粉B):32.75Co−35.09Cr−23.39Pt−8.77SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0036】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを1312.0g、混合粉Bを788.0gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−14Pt−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度97.6%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0037】
実施例3のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Pt中にTiO
2とCr
2O
3が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt合金中にSiO
2が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。実施例3のターゲットの組織写真を、
図1に示す。
図1において、太枠内がCo−Pt−TiO
2−Cr
2O
3(非Cr系領域)であり、太枠外がCo−Cr−Pt−SiO
2(Cr系領域)である。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.5μm
2であった。
【0038】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は2個であった。
【0039】
(比較例2)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で2100.0g秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−14Pt−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.6%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0040】
比較例2のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr−Pt合金中にTiO
2とSiO
2とCr
2O
3が分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.3μm
2と、実施例2、3に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0041】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は15個と実施例2、3に比べて、パーティクル数が多かった。
【0042】
(比較例3)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):81.76Co−9.12Pt−4.56TiO
2−4.56Cr
2O
3(mol%)
(混合粉B):32.75Co−35.09Cr−23.39Pt−8.77SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、気流分級機を用いて分級し、平均粒径が18μmの焼結体粉Aを得た。
【0043】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを1312.0g、混合粉Bを788.0gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−14Pt−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度97.6%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0044】
比較例3のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Pt中にTiO
2とCr
2O
3が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt合金中にSiO
2が分散した領域(Cr系領域)とが、明確に分離して確認できない組織になっていた。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.1μm
2であった。実施例2、3に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0045】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は10個と実施例2、3に比べて、パーティクル数が多かった。
【0046】
(比較例4)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):75.34Co−16.44Pt−4.11SiO
2−4.11Cr
2O
3(mol%)
(混合粉B):37.04Co−44.44Cr−7.41Pt−11.11TiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0047】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを1619.9g、混合粉Bを480.1gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−14Pt−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.1%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0048】
比較例4のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Pt中にSiO
2とCr
2O
3が分散した領域と、Co−Cr−Pt合金中にTiO
2が分散した領域とを有し、Co−Pt中にSiO
2とCr
2O
3が分散した領域がCo−Cr−Pt合金中にTiO
2が分散した領域中に点在していることを確認した。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.6μm
2であった。実施例2、3に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0049】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は18個と実施例2、3に比べて、パーティクル数が多かった。
【0050】
(実施例4)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、平均粒径10μmのB粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):80.96Co−9.52Pt−9.52TiO
2(mol%)
(混合粉B):53.45Co−20.69Cr−13.79Pt−5.17B−6.9SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0051】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを1217.8g、混合粉Bを882.2gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−12Pt−3B−4TiO
2−4SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度96.5%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0052】
実施例4のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Pt中にTiO
2が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt−B合金中にSiO
2が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.8μm
2であった。
【0053】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は6個であった。
【0054】
(比較例5)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、平均粒径10μmのB粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で2100.0g秤量した。
(ターゲット組成):65Co−12Cr−12Pt−3B−4TiO
2−4SiO
2(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度96.2%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0055】
比較例5のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr−Pt−B合金中にTiO
2とSiO
2が分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.5μm
2と、実施例4に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0056】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は19個と実施例4に比べて、パーティクル数が多かった。
【0057】
(実施例5)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、平均粒径10μmのRu粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):89.29Co−10.71TiO
2(mol%)
(混合粉B):54.16Co−16.67Cr−13.89Pt−6.94Ru−4.17SiO
2−4.17Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0058】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを465.5g、混合粉Bを1634.5gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):64Co−12Cr−10Pt−5Ru−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.8%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0059】
実施例5のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co中にTiO
2が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt−Ru合金中にSiO
2とCr
2O
3が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.1μm
2であった。
【0060】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は2個であった。
【0061】
(比較例6)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、平均粒径10μmのRu粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのCr
2O
3粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で2100.0g秤量した。
(ターゲット組成):64Co−12Cr−10Pt−5Ru−3TiO
2−3SiO
2−3Cr
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.9%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0062】
比較例6のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr−Pt−Ru合金中にTiO
2とSiO
2とCr
2O
3が分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.0μm
2と、実施例5に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0063】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は12個と実施例5に比べて、パーティクル数が多かった。
【0064】
(実施例6)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径10μmのB
2O
3粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):89.29Co−10.71TiO
2(mol%)
(混合粉B):61.11Co−16.67Cr−13.89Pt−4.17SiO
2−4.17B
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0065】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを471.4g、混合粉Bを1528.6gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):69Co−12Cr−10Pt−3TiO
2−3SiO
2−3B
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度850℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.3%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0066】
実施例6のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co中にTiO
2が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt合金中にSiO
2とB
2O
3が分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.9μm
2であった。
【0067】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は6個であった。
【0068】
(比較例7)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径10μmのB
2O
3粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で2000.0g秤量した。
(ターゲット組成):69Co−12Cr−10Pt−3TiO
2−3SiO
2−3B
2O
3(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度850℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.7%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0069】
比較例7のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr−Pt合金中にTiO
2とSiO
2とB
2O
3が分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、3.1μm
2と、実施例6に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0070】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は18個と実施例6に比べて、パーティクル数が多かった。
【0071】
(実施例7)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのMnO粉末を用意した。そして、混合粉Aと混合粉Bを作製するために、それぞれ以下の組成比で各2000g秤量した。
(混合粉A):89.29Co−10.71TiO
2(mol%)
(混合粉B):61.10Co−16.67Cr−13.89Pt−2.78SiO
2−5.56MnO(mol%)
そして秤量した粉末をそれぞれ粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。その後、混合粉Aのみをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件で、ホットプレスして焼結体(焼結体A)を得た。その後、この焼結体をジョークラッシャーと石臼型粉砕機を用いて粉砕した後、目開きが38μmと106μmの篩を用いて篩分し、粒径が38〜106μmの焼結体粉Aを得た。
【0072】
次に焼結体粉Aと混合粉Bとをスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、焼結体粉Aを470.2g、混合粉Bを1529.8gそれぞれ秤量した。
(ターゲット組成):69Co−12Cr−10Pt−3TiO
2−2SiO
2−4MnO(mol%)
そして秤量した粉末をボール容量約7リットルの遊星運動型ミキサーに投入し、20分間混合して、二次焼結体作製用の混合粉を得た。このようにして得た二次焼結体作製用の混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度950℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.2%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0073】
実施例7のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co中にTiO
2が分散した領域(非Cr系領域)と、Co−Cr−Pt合金中にSiO
2とMnOが分散した領域(Cr系領域)とを有し、非Cr系領域がCr系領域中に点在していることを確認した。
さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、1.6μm
2であった。
【0074】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は6個であった。
【0075】
(比較例8)
金属原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径2μmのPt粉末を用意し、酸化物原料粉末として、平均粒径1μmのTiO
2粉末、平均粒径1μmのSiO
2粉末、平均粒径3μmのMnO粉末を用意した。次に、これらの粉末をスパッタリングターゲット全体の組成が下記の組成比となるように、合計で2000.0g秤量した。
(ターゲット組成):69Co−12Cr−10Pt−3TiO
2−2SiO
2−4MnO(mol%)
そして秤量した粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。このようにして得た混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度950℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98.7%の焼結体を得た。さらに、この焼結体を旋盤で切削加工して、直径が180mm、厚さ5mmの円盤状のスパッタリングターゲットを得た。
【0076】
比較例8のスパッタリングターゲットの組織を観察したところ、Co−Cr−Pt合金中にTiO
2とSiO
2とMnOが分散していることを確認した。さらに、ターゲット組織面上の任意に選んだ8箇所において、100μm×75μmの視野サイズでターゲット研磨面の組織を撮影し、その撮影された組織写真を画像処理ソフトで二値化し、酸化物一粒子当たりの平均面積を求めたところ、2.9μm
2と、実施例6に比べて酸化物が粗大化するという結果になった。
【0077】
次に、このターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kw、Arガス圧1.5Paとし、2kWhrのプレ・スパッタを実施した後、4インチ径のシリコン基板上へ目標膜厚1000nmでスパッタした。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンタで測定した。その結果、シリコン基板上のパーティクル数は13個と実施例6に比べて、パーティクル数が多かった。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例1〜7のいずれにおいても、個々の酸化物粒子の平均面積は2.0μm
2未満であり、酸化物が微細に分散していることが確認された。こうした組織構造が、スパッタリング時に発生するパーティクル量を抑制し、成膜時の歩留まりを向上ために非常に重要な役割を有することが分かる。