(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る集配電リング、及びこれを備えた電動機の構成例を示す説明図である。
図2は、第1乃至第4のバスリング1〜4を示し、(a)は平面図、(b)は保持部材5に収容された第1乃至第4のバスリング1〜4における給電端子周辺部の拡大図である。
【0015】
(集配電リング90及び電動機9の構成)
この電動機9は、ステータ91と、ロータ92と、ステータ91にモータ電流を集電及び配電する集配電リング90とを備えた三相交流モータである。なお、電動機9は、集配電リング90とステータ91とがロータ92の回転軸線Oに沿って並んでいるが、
図1では、便宜上、ステータ91を集配電リング90の内側に図示している。この電動機9は、例えば車両の走行のための駆動源として用いられる。
【0016】
ステータ91は、回転軸線Oを中心として環状に配置された磁性材料からなる複数のティース910に、例えばエナメル塗装によって絶縁被覆された複数相の巻線911,912,913を巻き回して構成されている。各ティース910には、U相の巻線911、V相の巻線912、又はW相の巻線913が巻き回されている。これら、複数相の巻線911,912,913には、U相,V相,及びW相の電流が供給される。なお、回転軸線Oは、環状に配置された複数のティース910の中心であり、ロータ92の回転軸と一致する。
【0017】
集配電リング90は、巻線911,912,913に対して集配電を行う第1乃至第4のバスリング1〜4と、第1乃至第4のバスリング1〜4を保持する環状の保持部材5とを備えている。
【0018】
第1のバスリング1は、回転軸線Oを中心とする環状の絶縁電線からなる環状導電体としての第1の環状導電体10と、第1の環状導電体10とU相の巻線911とを接続する複数(本実施の形態では8個)の第1の接続端子11と、第1の環状導電体10に給電するための1つの給電端子12とを有している。第1の環状導電体10は、絶縁電線の両端部が給電端子12に加締め固定されている。
【0019】
第2のバスリング2は、回転軸線Oを中心とする環状の絶縁電線からなる第2の環状導電体20と、第2の環状導電体20とV相の巻線912とを接続する複数(本実施の形態では8個)の第2の接続端子21と、第2の環状導電体20に給電するための1つの給電端子22とを有している。第2の環状導電体20は、絶縁電線の両端部が給電端子22に加締め固定されている。
【0020】
同様に、第3のバスリング3は、回転軸線Oを中心とする環状の絶縁電線からなる第3の環状導電体30と、第3の環状導電体30とW相の巻線913とを接続する複数(本実施の形態では8個)の第3の接続端子31と、第3の環状導電体30に給電するための1つの給電端子32とを有している。第3の環状導電体30は、絶縁電線の両端部が給電端子32に加締め固定されている。
【0021】
第1の環状導電体10は第2の環状導電体20の径方向内側に、第3の環状導電体30は第2の環状導電体20の径方向外側に、同心状に並列配置されている。すなわち、第2の環状導電体20は、第1の環状導電体10よりも大径に形成されて第1の環状導電体10の外周に配置され、第3の環状導電体30は、第2の環状導電体20よりも大径に形成されて第2の環状導電体20の外周に配置されている。
【0022】
第1乃至第3の給電端子12,22,32は、第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向の外側に突出し、図略の給電線を介してインバータに接続される。給電端子12,22,32には、軸方向の厚みを増大させて給電線側の端子を接続するための円筒状の導電リング120,220,230が例えば圧入によって固定されている。
【0023】
第1乃至第3のバスリング1〜3は、インバータから出力されるモータ電流を電動機9のU相,V相,W相の各巻線911,912,913にそれぞれ配電する。第4のバスリング4は、ステータ91の中性相のバスリングであり、各巻線911,912,913のそれぞれの端部が接続されている。
【0024】
第4のバスリング4は、円弧状に形成された複数(本実施の形態では8個)の円弧状導電体4aからなり、これらの円弧状導電体4aが保持部材5の周方向に沿って配置されることにより、全体として環状に構成されている。円弧状導電体4aは、所定の形状に成形された板状の導電性の素材を塑性変形させて形成されている。円弧状導電体4aは、複数箇所で屈曲されて円弧状に形成された円弧部40と、円弧部40から径方向外方に突出した第1乃至第3の中性相接続端子41〜43とを一体に有している。
【0025】
U相の巻線911の一端部911aは、第1の接続端子11を介して第1の環状導電体10に電気的に接続されている。U相の巻線911の他端部911bは、第4のバスリング4の第1の中性相接続端子41に電気的に接続されている。同様に、V相及びW相の巻線912,913の一端部912a,913aは、第2及び第3の接続端子21,31を介して第2及び第3の環状導電体20,30に電気的に接続され、巻線912,913の他端部912b,913bは、第4のバスリング4の第2及び第3の中性相接続端子42,43に電気的に接続されている。
【0026】
ロータ92は、図略の軸受によってステータ91と同軸上で回転可能に支持されたロータコア920と、ロータコア920の外周面に固定された複数の磁極を有する磁石921とを有している。
【0027】
U相,V相,W相の各巻線911,912,913には、図略のインバータから位相が互いに120°ずれた正弦波状のモータ電流が供給され、ステータ91に回転磁界を形成する。ロータ92は、磁石921がこの回転磁界による吸引力及び反発力により回転力を受け、この回転力によってステータ91に対して回転する。
【0028】
第1の環状導電体10は、断面円形の丸電線であり、銅等の良導電性を有する金属からなる中心導体101、及び中心導体101の外周を被覆する絶縁性の樹脂からなる絶縁被覆102を有する。第1の接続端子11及び第1の給電端子12との接続箇所では、絶縁被覆102が除去されて露出した中心導体101に第1の接続端子11及び第1の給電端子12の一端が加締めによって固定されている。
【0029】
同様に、第2の環状導電体20は、中心導体201、及び絶縁被覆202を有し、第2の接続端子21及び第2の給電端子22との接続箇所では、絶縁被覆202が除去されて露出した中心導体201に第2の接続端子21及び第2の給電端子22の一端が加締めによって固定されている。また同様に、第3の環状導電体30は、中心導体301、及び絶縁被覆302を有し、第3の接続端子31及び第3の給電端子32との接続箇所では、絶縁被覆302が除去されて露出した中心導体301に第3の接続端子31及び第3の給電端子32の一端が加締めによって固定されている。
【0030】
各巻線911,912,913の一端部911a,912a,913aは、保持部材5の底部に形成された挿通孔を軸方向に挿通して第1乃至第3の接続端子11,21,31に接続されている。また、各巻線911,912,913の他端部911b,912b,913bは、保持部材5の底部に形成された挿通孔を軸方向に挿通して第4のバスリング4の第1乃至第3の中性相接続端子41〜43に接続されている。
【0031】
(第1乃至第3の接続端子11,21,31の構成)
図3は、第1乃至第3の接続端子11,21,31を示す斜視図であり、(a)は第1の接続端子11を、(b)は第2の接続端子21を、(c)は第3の接続端子31を、それぞれ示す。
図4は、第2の接続端子21及びその周辺部を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0032】
本実施の形態では、第1乃至第3の接続端子11,21,31が、所定の形状に成形された平板状の導電部材を屈曲により塑性変形して形成されている。
【0033】
第1の接続端子11は、第1の環状導電体10の中心導体101に接続される第1の接続部111と、巻線911の一端部911aに接続される第2の接続部112と、第1の接続部111と第2の接続部112とを連結する連結部110とを有している。第2の接続部112は、第1の接続部111よりも第1の環状導電体10の径方向内側に位置している。
【0034】
連結部110は、第1の環状導電体10及び第4の円弧状導電体4aの間から第1の環状導電体10の軸方向一側(保持部材5の反対側)に先端部114aが延出された第1の延出部114と、第1の延出部114の先端部114aから第2の接続部112側に向かって第1の環状導電体10の径方向内側に延びる第2の延出部115と、第1の接続部111及び第1の延出部114の基端部114bの間に第1の環状導電体10の周方向に沿って円弧状に形成された円弧部113とを有している。第1の接続部111と第1の延出部114との間に円弧部113が介在することにより、第1の接続部111を第1の環状導電体10の中心導体101に加締める際、治具等が連結部110や第2の接続部112等に接触するおそれが軽減され、加締め作業が容易になる。
【0035】
第1の接続部111は、中心導体101を挟んで対向する一対の突片111a,111bと、一方の突片111aと他方の突片111bとの間に介在する断面半円状の湾曲部111cとを有している。第1の接続部111は、中心導体101に加締められることにより、一方の突片111aと他方の突片111bとが中心導体101に接触し、湾曲部111cが形成される。第1の接続部111は、第1の環状導電体10の周方向から見た場合に、第1の環状導電体10の径方向外方に開口したC字状を呈する。
【0036】
第2の接続部112は、第2の延出部115における径方向内側の端部に形成され、その端部から径方向外側に折り返された折り返し形状を有している。より具体的には、第2の接続部112は、巻線911の一端部911aを挟んで対向する一対の接触片112a,112bと、一方の接触片112aと他方の接触片112bとの間に介在する断面半円状の湾曲部112cとを有している。一方の接触片112aは、第2の延出部115の延伸方向に沿って、第2の延出部115に連続して形成されている。他方の接触片112bは、湾曲部112cで径方向外側に折り返された折り返し片として形成されている。第2の接続部112は、巻線911の一端部911aに例えばヒュージング(熱加締め)によって接続される。
【0037】
第2の接続端子21は、その連結部210における第2の延出部215の長さが第1の接続端子11の第2の延出部115よりも長い他は、第1の接続端子11と同様に形成されている。すなわち、第2の接続端子21は、第2の環状導電体20の中心導体201に接続される第1の接続部211と、巻線912の一端部912aに接続される第2の接続部212と、第1の接続部211と第2の接続部212とを連結する連結部210とを有している。
【0038】
連結部210は、第1の環状導電体10及び第2の環状導電体20の間から第2の環状導電体20の軸方向一側(保持部材5の反対側)に先端部214aが延出された第1の延出部214と、第1の延出部214の先端部214aから第2の接続部212側に向かって第2の環状導電体20の径方向内側に延びる第2の延出部215と、第1の接続部211及び第1の延出部214の基端部214bの間に第2の環状導電体20の周方向に沿って円弧状に形成された円弧部213とを有している。
【0039】
第1の接続部211は、一対の突片211a,211b及び湾曲部211cを有するC字状であり、加締めによって第2の環状導電体20の中心導体201に接続される。第2の接続部212は、一対の接触片212a,212b及び湾曲部212cを有し、ヒュージングによって巻線912の一端部912aに接続される。
【0040】
第3の接続端子31は、第1及び第2の接続端子11,21と同様に、第3の環状導電体30の中心導体301に接続される第1の接続部311と、巻線913の一端部913aに接続される第2の接続部312と、第1の接続部311と第2の接続部312とを連結する連結部310とを有しているが、連結部310の形状が第1及び第2の接続端子11,21の連結部110,210と異なっている。
【0041】
連結部310は、第2の環状導電体20及び第3の環状導電体30の間から第3の環状導電体30の軸方向一側(保持部材5の反対側)に先端部314aが延出された第1の延出部314と、第1の延出部314の先端部314aから第2の接続部312側に向かって第3の環状導電体30の径方向内側に延びる第2の延出部315と、第1の接続部311及び第1の延出部314の基端部314bの間に第3の環状導電体30の周方向に沿って円弧状に形成された円弧部313とを有している。
【0042】
第2の延出部315は、第1の延出部314の端部に連続して第3の環状導電体30の周方向に延びる第1連結部315aと、第1連結部315aの端部から第3の環状導電体30の径方向内方に延びる第2連結部315bと、第2連結部315bの端部から第1連結部315aに対向して第3の環状導電体30の周方向に延びる第3連結部315cと、第3連結部315cの端部から第3の環状導電体30の径方向内方に延びる第4連結部315dとを有している。
【0043】
第1の接続部311は、一対の突片311a,311b及び湾曲部311cを有するC字状であり、加締めによって第3の環状導電体30の中心導体301に接続される。第2の接続部312は、一対の接触片312a,312b及び湾曲部312cを有し、ヒュージングによって巻線913の一端部913aに接続される。
【0044】
第1乃至第3の接続端子11,21,31の第2の接続部112,212,312は、それぞれ同様の構成を有している。このうち、第2の接続端子21の第2の接続部212について、
図4を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、
図4に示すように、巻線912が断面長方形状の平角銅線であり、その断面における長辺に沿って一対の接触片212a,212bが対向する。一方の接触片212aは巻線912の一端部912aに接触する接触面212a´を有し、他方の接触片212bは巻線912の一端部912aに接触する接触面212b´を有している。接触面212a´及び接触面212b´は、巻線912の一端部912aを挟んで対向している。第2の接続部112は、巻線912の一端部912aの延伸方向から見た場合に、第2の環状導電体20の径方向外方に開口している。
【0045】
また、第1の接続端子11の第1の延出部114、第2の接続端子21の第1の延出部214、及び第3の接続端子31の第1の延出部314は、それぞれ第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向に導電部材の厚さ方向を有している。
【0046】
以上のように構成された電動機9は、図略のインバータに第1乃至第3の給電端子12,22,32が接続され、第1乃至第3のバスリング1〜3のそれぞれにおける第1乃至第3の接続端子11,21,31の第2の接続部112,212,312を介して巻線911,912,913の一端部911a,912a,913aにインバータから出力された三相交流電流が供給される。巻線911,912,913の他端部911b,912b,913bは、中性相としての第4のバスリング4に接続され、巻線911,912,913に三相交流電流による回転磁界が発生することにより、ロータ92がステータ91に対して回転する。
【0047】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に述べる作用及び効果が得られる。
【0048】
(1)巻線911,912,913に接続される第2の接続部112,212,312は、第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向内側に延びる第2の延出部115,215,315の先端部に形成されているため、第2の接続部112,212,312と第1の環状導電体10のさらに内側に位置する巻線911,912,913の一端部911a,912a,913aとの接続が容易になる。
【0049】
(2)第1乃至第3の接続端子11,21,31の円弧部113,213,313が第1乃至第3の環状導電体10,20,30及び第4の円弧状導電体4aの周方向に沿って円弧状に形成されているため、第1乃至第4のバスリング1〜4の径方向における大型化の抑制につながる。
【0050】
(3)第1乃至第3の接続端子11,21,31の第1の延出部114,214,314が第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向に導電部材の厚さ方向を有しているため、第1の環状導電体10と第2の環状導電体、及び第2の環状導電体20と第3の環状導電体30の間の隙間を詰めることができる。つまり、第1乃至第3の接続端子11,21,31の第1の延出部114,214,314が第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向に導電部材の幅方向を有している場合と比べて、幅の寸法よりも厚みの寸法の方が小さい分、第1乃至第3の環状導電体10,20,30の径方向の寸法を小さくすることが可能となる。したがって、第1乃至第3のバスリング1〜3の径方向における大型化の抑制につながる。
【0051】
(4)第2の接続部112,212,312は、径方向内側の端部から径方向外側に折り返された形状を有しているため、導電部材の成形及び屈曲が容易になる。また、第2の接続部112,212,312は第2の延出部115,215,315から連続して形成されているため、第2の接続部112,212,312における第1乃至第3の環状導電体10,20,30の軸方向の高さは、第2の延出部115,215,315における第1乃至第3の環状導電体10,20,30の軸方向の高さと同じである。したがって、第1乃至第3のバスリング1〜3の軸方向における高さ(厚み)を小さくでき、電動機9の薄型化を図ることができる。
【0052】
(変形例)
図5は、第1の実施の形態の変形例に係る第2の接続端子21A及びその周辺部を示す斜視図である。
【0053】
なお、本変形例、後述する第2の実施の形態、及び第3の実施の形態において、第1の実施の形態について説明したものと共通する機能を有する構成要素については、同一の又は対応する符号及び名称を付してその説明を省略する。
【0054】
本変形例に係る第2の接続端子21Aは、第2の接続部212Aの形状が、第1の実施の形態に係る第2の接続部212の形状と異なる。より具体的には、一対の接触片212Aa,212Abが巻線912の延伸方向に沿って保持部材5側に向けて延出している。一対の接触片212Aa,212Abにおける導電部材の幅(巻線912の延伸方向の高さ)は、第2の延出部215Aの幅(第2の環状導電体20の軸方向の高さ)よりも大きく形成されている。したがって、一対の接触片212Aa,212Abと巻線912の一端部912aとの接触面積は、第1の実施の形態における一対の接触片212a,212bと巻線912の一端部912aとの接触面積よりも大きい。
【0055】
本変形例よれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(4)の作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。またさらに、第2の接続部212Aと巻線912との接触面積が大きいため、第2の接続端子21Aと巻線912との接続がより確実となる。なお、第1の接続端子11A及び第3の接続端子31Aについても同様である。
【0056】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る第2の接続端子21B及びその周辺部を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【0057】
本実施の形態に係る第2の接続端子21Bは、第2の接続部212B及び第2の延出部215Bの形状が、第1の実施の形態に係る第2の接続部212及び第2の延出部215の形状と異なる。以下、より具体的に説明する。
【0058】
第2の接続部212Bは、巻線912の一端部912aを挟んで対向する一対の接触片212Ba,212Bbと、一方の接触片212Baと他方の接触片212Bbとの間に介在する断面半円状の湾曲部212Bcとを有している。第2の接続部212Bは、巻線912の一端部912aの延伸方向から見た場合に、第2の環状導電体20の径方向内方に開口している。
【0059】
第2の延出部215Bは、第1の延出部214の端部から第2の環状導電体20の径方向内側に延びる第1連結部215Baと、第1連結部215Baの端部から第1の延出部214に対向して第2の環状導電体20の周方向に延びる第2連結部215Bbと、第2連結部215Bbの端部上側から第2の環状導電体20の軸方向に延びて第2の接続部212Bの湾曲部212Bcにつながる基部215Bcとを有している。
【0060】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(3)の作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。
【0061】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る第2の接続端子21C及びその周辺部を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【0062】
本実施の形態に係る第2の接続端子21Cは、連結部210Cの形状が第2の実施の形態に係る連結部210Bの形状と異なる。より具体的には、連結部210Cは、第1の接続部211から第2の環状導電体20の軸方向に延びる第1の延出部214と、第1の延出部214の先端
部から第2の環状導電体20の径方向内側に延びる第2の延出部215Caと、第2の延出部215Caの先端部から第2の環状導電体20の軸方向に延びて第2の接続部212Bの湾曲部212Bcにつながる基部215Ccとを有している。
図7に示すように、第2の延出部215Caは、第2の環状導電体20の周方向に導電部材の幅方向を有し、第2の環状導電体20の軸方向に導電部材の厚さ方向を有している。
【0063】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(3)の作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。また、さらに、第2の延出部215Caは、第2の環状導電体20の軸方向に導電部材の厚さ方向を有しているため、第2のバスリング2の軸方向における薄型化を図ることができる。
【0064】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0065】
[1]環状に配置された複数のティース(910)に巻き回された複数相の巻線(911,912,913)に対して集配電を行う複数のバスリング(第1乃至第3のバスリング1〜3)を備え、前記複数のバスリング(第1乃至第3のバスリング1〜3)は、中心導体(101,201,301)を絶縁体(絶縁被覆102,202,302)で被覆してなる複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)と、前記環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の周方向の複数箇所に設けられた複数の接続端子(第1乃至第3の接続端子11,21,31)とを有し、前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)は、同心状かつ径方向に並列して配置され、前記複数の接続端子(第1乃至第3の接続端子11,21,31)は、前記中心導体に接続された第1の接続部(111,211,311)と、前記巻線(911,912,913)に接続される第2の接続部(112,212,312)と、前記第1の接続部(111,211,311)及び前記第2の接続部(112,212,312)を連結する連結部(110,210,310)とを有し、前記連結部(110,210,310)は、前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の間から前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の軸方向一側に先端部(114a,214a,314a)が延出された第1の延出部(114,214,314)と、前記第1の延出部(114,214,314)の前記先端部(114a,214a,314a)から前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の径方向一側に延びる第2の延出部(115,215,315)とを含み、前記第2の接続部(112,212,312)は、前記第2の延出部(115,215,315)における前記径方向一側の端部に形成されている、集配電リング(90)。
【0066】
[2]前記第2の接続部(112,212,312)は、前記径方向一側の端部から径方向他側に折り返された折り返し片(他方の接触片112b,212b,312b)を有する、[1]に記載の集配電リング(90)。
【0067】
[3]前記連結部(110,210,310)は、前記第1の接続部(111,211,311)と前記第1の延出部(114,214,314)の基端部(114b,214b,314b)との間に前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の周方向に沿って円弧状に形成された円弧部(113,213,313)を含む、[1]又は[2]に記載の集配電リング(90)。
【0068】
[4]前記複数の接続端子(第1乃至第3の接続端子11,21,31)は、平板状の導電部材を屈曲して形成され、前記連結部(110,210,310)は、第1の延出部(114,214,314)が前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の径方向に前記導電部材の厚さ方向を有して前記複数の環状導電体(第1乃至第3の環状導電体10,20,30)の間に配置された、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の集配電リング(90)。
【0069】
[5][1]乃至[4]の何れか1項に記載の集配電リング(90)と、前記複数のティース(910)及び前記複数相の巻線(911,912,913)を巻き回してなるステータ(91)と、前記複数相の巻線(911,912,913)の磁界によって前記ステータ(91)に対して回転するロータ(92)とを備えた、電動機(9)。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0071】
上記実施の形態では、第1乃至第3の接続端子は平板状の導電部材からなるが、これに限らず、例えば断面が円状の導電部材でもよく、特にその形状に制限はない。
【0072】
また、上記実施の形態では、接触面212a´及び接触面212b´は互いに平行に対向していたが、これに限らず、巻線912の一端部912aを挟むように配置されていればよい。