特許第5850059号(P5850059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5850059X線を用いた形状測定装置、形状計測方法、及び構造物の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850059
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】X線を用いた形状測定装置、形状計測方法、及び構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   G01N23/04
【請求項の数】21
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-537526(P2013-537526)
(86)(22)【出願日】2012年10月3日
(86)【国際出願番号】JP2012075612
(87)【国際公開番号】WO2013051594
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2011-220259(P2011-220259)
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴志
【審査官】 南 宏輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−031182(JP,A)
【文献】 特開昭62−232547(JP,A)
【文献】 特開2003−139724(JP,A)
【文献】 特開平07−306165(JP,A)
【文献】 特開平02−260354(JP,A)
【文献】 特開2010−212072(JP,A)
【文献】 特開2010−185859(JP,A)
【文献】 特開昭63−302311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
H05G 1/00−2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体にX線を照射して前記物体を通過し、測定物に対するX線の照射角度を変えた複数の透過X線像を複数用いて、前記物体の形状を測定する形状測定装置であって、
X線を射出するX線源であって、
電子の衝突または電子の透過によりX線を発生するターゲット、
前記電子を前記ターゲットに導く導電子部材、及び、
前記ターゲットと前記導電子部材の少なくとも一部を収容するハウジングを含み、導管の中を流れる温度調整された流体によって前記ハウジングへの熱を冷却可能に構成されたX線源と、
前記物体を保持するステージと、
前記X線源から射出され、前記物体を通過した前記X線の少なくとも一部を検出する検出装置と、
支持面に支持されるチャンバ部材であって、前記X線源、前記ステージ、及び前記検出装置が前記支持面に沿って配置される内部空間を形成し、X線の外部空間への漏えいを防止し、前記内部空間を取り囲むことにより、前記内部空間を形成するチャンバ部材と、
前記内部空間を、第1空間と第2空間とに分けるとともに、前記第1空間に配置される、前記X線源の前記ターゲット及び又はハウジングに供給される温調した空気が、前記検出装置が配置される第2空間へ流通することを抑制する仕切部と、を備える形状測定装置。
【請求項2】
前記仕切部は、前記X線源と前記検出装置との間の少なくとも一部に配置される仕切部材を含む請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記仕切部材は、前記X線源から射出されたX線が通過可能な開口を有する請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記仕切部は、前記X線の照射方向と交差する方向に気体を供給する気体供給部を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記第1空間の温度を調整する第1温度調整装置を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記第1空間の温度調整は、前記第1空間に配置された部材の温度調整を含む請求項5に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記第1温度調整装置は、前記第1空間に温度調整された気体を供給する第1供給部を含む請求項5又は6に記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記第1供給部は、前記X線源の少なくとも一部に気体を供給する請求項7に記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記第1温度調整装置は、前記チャンバ部材の少なくとも一部の温度を調整する請求項8に記載の形状測定装置。
【請求項10】
前記第1空間及び前記第1空間に配置される部材の少なくとも一方の温度を検出する第1温度センサを備え、
前記第1温度調整装置は、前記第1温度センサの検出結果に基づいて、前記第1空間の温度を調整する請求項5〜9のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項11】
前記第2空間の温度を調整する第2温度調整装置を備える請求項1〜10のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項12】
前記ステージの少なくとも一部は、前記第2空間に配置される請求項1〜11のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項13】
前記ステージは、前記第1空間に配置される第1ステージと、前記第2空間に配置される第2ステージとを含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項14】
前記第1空間に配置され、前記第1ステージの位置を計測する第1計測装置と、
前記第2空間に配置され、前記第2ステージの位置を計測する第2計測装置と、を備え、
前記第1計測装置の分解能は、前記第2計測装置の分解能よりも高い請求項13に記載の形状測定装置。
【請求項15】
前記第1計測装置は、前記第1空間に配置され、第1間隔で形成された目盛を有する第1スケール部材と、前記第1ステージの少なくとも一部に配置され、前記第1スケール部材の目盛を検出する第1検出器と、を含み、
前記第2検出装置は、前記第2空間に配置され、第2間隔で形成された目盛を有する第2スケール部材と、前記第2ステージの少なくとも一部に配置され、前記第2スケール部材の目盛を検出する第2検出器と、を含み、
前記分解能は、前記目盛の間隔を含み、前記第1間隔は、前記第2間隔よりも小さい請求項14に記載の形状測定装置。
【請求項16】
前記導電子部材は、電子レンズもしくは偏光器である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の形状測定検査装置。
【請求項17】
前記第1空間を形成するチャンバ部材は、前記X線源から発生するX線の外部空間への漏えいを防止する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項18】
構造物の形状に関する設計情報を作製する設計工程と、
前記設計情報に基づいて前記構造物を作成する成形工程と、
作製された前記構造物の形状を請求項1〜17のいずれか一項に記載の形状測定装置を用いて計測する工程と、
前記測定工程で得られた形状情報と、前記設計情報とを比較する検査工程と、を有する構造物の製造方法。
【請求項19】
前記検査工程の比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を実施するリペア工程を有する請求項18に記載の構造物の製造方法。
【請求項20】
前記リペア工程は、前記成形工程を再実行する工程である請求項19に記載の構造物の製造方法。
【請求項21】
物体にX線を照射して物体の形状を計測する物体の形状計測方法であって
物体をステージで保持することと、
電子の衝突または電子の透過によりX線を発生するターゲット、前記電子を前記ターゲットに導く導電子部材、及び、前記ターゲットと前記導電子部材の少なくとも一部を収容するハウジングを含み、導管の中を流れる温度調整された流体によって前記ハウジングへの熱を冷却可能に構成されたX線源からX線を前記物体に向けて照射することと、
前記X線源から射出され、前記物体を通過した前記X線の少なくとも一部を検出装置で検出して得られる複数の透過X線画像を用いて、前記物体の形状を取得し、計測することと、
支持面に支持されるチャンバ部材であって、前記X線源、前記ステージ、及び前記検出装置が前記支持面に沿って配置される内部空間を形成し、X線の外部空間への漏えいを防止し、前記内部空間を取り囲むことにより、前記内部空間を形成するチャンバ部材であって、
前記内部空間を、第1空間と第2空間とに分けるとともに、前記第1空間に配置される、前記X線源の前記ターゲット及び又はハウジングに供給される温調した空気が、前記検出装置が配置される第2空間へ流通することを抑制する仕切部を含むチャンバ部材を用意することと
を備える形状計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いた形状測定装置、形状計測方法、及び構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の内部の情報を非破壊で取得する装置として、例えば下記特許文献に開示されているような、物体にX線を照射して、その物体を通過するX線を検出するX線装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0268869号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線装置において、温度が変化すると、例えばX線装置の部材が熱変形する可能性がある。その結果、検出精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、検出精度の低下を抑制できるX線装置、X線照射方法、及び構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、物体にX線を照射して物体を通過し、測定物に対するX線の照射角度を変えた複数の透過X線像を複数用いて、前記物体の形状を測定する形状測定装置であって、X線を射出するX線源であって、電子の衝突または電子の透過によりX線を発生するターゲット、前記電子を前記ターゲットに導く導電子部材、及び、前記ターゲットと前記導電子部材の少なくとも一部を収容するハウジングを含み、導管の中を流れる温度調整された流体によって前記ハウジングへの熱を冷却可能に構成されたX線源と、前記物体を保持するステージと、前記X線源から射出され、前記物体を通過した前記X線の少なくとも一部を検出する検出装置と、支持面に支持されるチャンバ部材であって、前記X線源、前記ステージ、及び前記検出装置が前記支持面に沿って配置される内部空間を形成し、X線の外部空間への漏えいを防止し、前記内部空間を取り囲むことにより、前記内部空間を形成するチャンバ部材と、前記内部空間を、第1空間と第2空間とに分けるとともに、前記第1空間に配置される、前記X線源の前記ターゲット及び又はハウジングに供給される温調した空気が、前記検出装置が配置される第2空間へ流通することを抑制する仕切部と、を備える形状測定装置が提供される。
【0007】
本発明に関連する発明において、物体にX線を照射して物体を通過するX線を検出するX線装置であって、X線を射出するX線源と、物体を保持するステージと、X線源から射出され、物体を通過したX線の少なくとも一部を検出する検出装置と、ステージの位置を計測する計測装置と、を備え、X線源から射出されるX線の照射方向に関してX線源に近い第1空間における計測装置の分解能は、第1空間よりも検出装置に近い第2空間における計測装置の分解能よりも高いX線装置が提供される。
【0008】
本発明に関連する発明において、物体にX線を照射して物体を通過するX線を検出するX線装置であって、X線を射出するX線源と、移動可能な第1ステージと、物体を保持して移動可能で、第1ステージとは異なる第2ステージと、X線源から射出され、物体を通過したX線の少なくとも一部を検出する検出装置と、を備えるX線装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様に従えば、構造物の形状に関する設計情報を作製する設計工程と、設計情報に基づいて構造物を作成する成形工程と、作製された構造物の形状を第1の態様の形状測定装置を用いて計測する工程と、測定工程で得られた形状情報と、設計情報とを比較する検査工程と、を有する構造物の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様に従えば、物体にX線を照射して物体の形状を計測する物体の形状計測方法であって、物体をステージで保持することと、電子の衝突または電子の透過によりX線を発生するターゲット、前記電子を前記ターゲットに導く導電子部材、及び、前記ターゲットと前記導電子部材の少なくとも一部を収容するハウジングを含み、導管の中を流れる温度調整された流体によって前記ハウジングへの熱を冷却可能に構成されたX線源からX線を前記物体に向けて照射することと、前記X線源から射出され、前記物体を通過した前記X線の少なくとも一部を検出装置で検出して得られる複数の透過X線画像を用いて、前記物体の形状を取得し、計測することと、支持面に支持されるチャンバ部材であって、前記X線源、前記ステージ、及び前記検出装置が前記支持面に沿って配置される内部空間を形成し、X線の外部空間への漏えいを防止し、前記内部空間を取り囲むことにより、前記内部空間を形成するチャンバ部材であって、前記内部空間を、第1空間と第2空間とに分けるとともに、前記第1空間に配置される、前記X線源の前記ターゲット及び又はハウジングに供給される温調した空気が、前記検出装置が配置される第2空間へ流通することを抑制する仕切部を含むチャンバ部材を用意することとを備える形状計測方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、検出精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るX線源の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る検出装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る検出装置の動作の一例を説明するための図である。
図5】第1実施形態に係る検出装置の動作の一例を説明するための図である。
図6】第2実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図7】第3実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図8】第4実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図9】第5実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図10】第6実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図11】第7実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図12】第8実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図13】第9実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図14】第10実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図15】第11実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図16】第12実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図17】第13実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図18】第14実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図19】第15実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図20】第16実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図21】第17実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図22】X線源の一例を示す図である。
図23】構造物製造システムのブロック構成図である。
図24】構造物製造システムによる処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をZ軸方向、水平面内においてZ軸方向と直交する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0014】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。
【0015】
検出装置1は、測定物SにX線XLを照射して、その測定物Sを透過した透過X線を検出する。X線は、例えば波長1pm〜30nm程度の電磁波である。X線は、約数10eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線、及び約20〜50keVの硬X線を含む。
【0016】
本実施形態において、検出装置1は、測定物SにX線を照射して、その測定物Sを通過したX線を検出するX線装置を含む。検出装置1は、測定物SにX線を照射して、その測定物Sを通過したX線を検出して、その測定物Sの内部の情報(例えば、内部構造)を非破壊で取得するX線CT検査装置を含む。本実施形態において、測定物Sは、例えば機械部品、電子部品等の産業用部品を含む。X線CT検査装置は、産業用部品にX線を照射して、その産業用部品を検査する産業用X線CT検査装置を含む。
【0017】
図1において、検出装置1は、X線XLを射出するX線源2と、測定物Sを保持して移動可能なステージ装置3と、X線源2から射出され、ステージ装置3に保持された測定物Sを通過したX線の少なくとも一部を検出する検出器4と、検出装置1全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。
【0018】
また、本実施形態において、検出装置1は、X線源2から射出されるX線XLが進行する内部空間SPを形成するチャンバ部材6を備えている。本実施形態において、X線源2、ステージ装置3、及び検出器4は、内部空間SPに配置される。
【0019】
本実施形態において、検出装置1は、内部空間SPを、X線源2が配置される第1空間SP1と、検出器4が配置される第2空間SP2とに分ける仕切部100を備えている。仕切部100の少なくとも一部は、内部空間SPに配置される。第1空間SP1と第2空間SP2とは、仕切部100によって仕切られる。本実施形態において、X線源2が、第1空間SP1に配置される。ステージ装置3の少なくとも一部、及び検出器4が、第2空間SP2に配置される。
【0020】
本実施形態において、仕切部100は、X線源2と検出器4との間の少なくとも一部に配置される仕切部材102を含む。本実施形態において、仕切部材102は、X線源2からのX線XLが通過可能な通過部101を有する。X線源2から射出されたX線XLは、通過部101を介して、第2空間SP2に供給される。
【0021】
本実施形態において、通過部101は、X線源2から射出されたX線XLが通過可能な開口を含む。開口は、仕切部材102の少なくとも一部に形成される。なお、通過部101は、X線XLが透過可能な透過部材でもよい。透過部材は、例えば、ベリリウム薄膜、炭素薄膜などを用いることが可能である。仕切部材102が、その透過部材を支持してもよい。
【0022】
また、本実施形態において、検出装置1は、第1空間SP1の温度を調整する調整システム360を備える。本実施形態において、調整システム360は、制御装置5に制御される。本実施形態において、調整システム360は、第1空間SP1に温度調整された気体Gを供給する供給口7を含む。供給口7は、第1空間SP1に配置される。供給口7は、第1空間SP1に面している。本実施形態において、供給口7は、X線源2の少なくとも一部に、温度調整された気体Gを供給する。
【0023】
本実施形態において、チャンバ部材6は、支持面FR上に配置される。支持面FRは、工場等の床面を含む。チャンバ部材6は、複数の支持部材6Sに支持される。チャンバ部材6は、支持部材6Sを介して、支持面FR上に配置される。本実施形態においては、支持部材6Sにより、チャンバ部材6の下面と、支持面FRとは離れる。すなわち、チャンバ部材6の下面と支持面FRとの間に空間が形成される。なお、チャンバ部材6の下面の少なくとも一部と支持面FRとが接触してもよい。
【0024】
本実施形態において、チャンバ部材6は、鉛を含む。チャンバ部材6は、内部空間SPのX線XLが、チャンバ部材6の外部空間RPに漏出することを抑制する。
【0025】
本実施形態おいて、検出装置1は、チャンバ部材6に取り付けられ、チャンバ部材6よりも熱伝導率が小さい部材6Dを有する。本実施形態において、部材6Dは、チャンバ部材6の外面に配置される。部材6Dは、内部空間SPの温度が外部空間RPの温度(温度変化)の影響を受けることを抑制する。すなわち、部材6Dは、外部空間RPの熱が内部空間SPに伝わることを抑制する断熱部材として機能する。部材6Dは、例えばプラスチックを含む。本実施形態において、部材6Dは、例えば発泡スチロールを含む。
【0026】
X線源2は、測定物SにX線XLを照射する。本実施形態において、X線源2は、所謂、X線源である。X線源2は、測定物SのX線吸収特性に基づいて、測定物Sに照射するX線の強度を調整可能である。X線源2は、X線XLを射出する射出部8を有する。X線源2は、点X線源を形成する。本実施形態において、射出部8は、点X線源を含む。X線源2は、測定物Sに円錐状のX線(所謂、コーンビーム)を照射する。なお、X線源2から射出されるX線の拡がる形状は円錐状に限られず、例えば、扇状のX線(所謂、ファンビーム)でもよい。
【0027】
射出部8は、+Z方向を向いている。本実施形態において、射出部8から射出されたX線XLの少なくとも一部は、内部空間SPにおいて、+Z方向に進行する。すなわち、本実施形態において、X線XLの照射方向は、Z軸方向である。
【0028】
ステージ装置3は、測定物Sを保持して移動可能なステージ9と、ステージ9を移動する駆動システム10とを備えている。
【0029】
本実施形態において、ステージ9は、測定物Sを保持する保持部11を有するテーブル12と、テーブル12を移動可能に支持する第1可動部材13と、第1可動部材13を移動可能に支持する第2可動部材14と、第2可動部材14を移動可能に支持する第3可動部材15とを有する。
【0030】
テーブル12は、保持部11に測定物Sを保持した状態で回転可能である。テーブル12は、θY方向に移動(回転)可能である。第1可動部材13は、X軸方向に移動可能である。第1可動部材13がX軸方向に移動すると、第1可動部材13とともに、テーブル12がX軸方向に移動する。第2可動部材14は、Y軸方向に移動可能である。第2可動部材14がY軸方向に移動すると、第2可動部材14とともに、第1可動部材13及びテーブル12がY軸方向に移動する。第3可動部材15は、Z軸方向に移動可能である。第3可動部材15がZ軸方向に移動すると、第3可動部材15とともに、第2可動部材14、第1可動部材13、及びテーブル12がZ軸方向に移動する。
【0031】
本実施形態において、駆動システム10は、第1可動部材13上においてテーブル12を回転させる回転駆動装置16と、第2可動部材14上において第1可動部材13をX軸方向に移動する第1駆動装置17と、第2可動部材14をY軸方向に移動する第2駆動装置18と、第3可動部材15をZ軸方向に移動する第3駆動装置19とを含む。
【0032】
第2駆動装置18は、第2可動部材14が有するナットに配置されるねじ軸20Bと、ねじ軸20Bを回転させるアクチュエータ20とを備える。ねじ軸20Bは、ベアリング21A、21Bによって回転可能に支持される。本実施形態において、ねじ軸20Bは、そのねじ軸20Bの軸線とY軸とが実質的に平行となるように、ベアリング21A、21Bに支持される。本実施形態において、第2可動部材14が有するナットとねじ軸20Bとの間にボールが配置される。すなわち、第2駆動装置18は、所謂、ボールねじ駆動機構を含む。
【0033】
第3駆動装置19は、第3可動部材15が有するナットに配置されるねじ軸23Bと、ねじ軸23Bを回転させるアクチュエータ23とを備える。ねじ軸23Bは、ベアリング24A、24Bによって回転可能に支持される。本実施形態において、ねじ軸23Bは、そのねじ軸23Bの軸線とZ軸とが実質的に平行となるように、ベアリング24A、24Bに支持される。本実施形態において、第3可動部材15が有するナットとねじ軸23Bとの間にボールが配置される。すなわち、第3駆動装置19は、所謂、ボールねじ駆動機構を含む。
【0034】
第3可動部材15は、第2可動部材14をY軸方向にガイドするガイド機構25を有する。ガイド機構25は、Y軸方向に長いガイド部材25A、25Bを含む。アクチュエータ20、及びねじ軸20Bを支持するベアリング21A、21Bを含む第2駆動装置18の少なくとも一部は、第3可動部材15に支持される。アクチュエータ20がねじ軸20Bを回転することによって、第2可動部材14は、ガイド機構25にガイドされながら、Y軸方向に移動する。
【0035】
本実施形態において、検出装置1は、ベース部材26を有する。ベース部材26は、チャンバ部材6に支持される。本実施形態において、ベース部材26は、支持機構を介して、チャンバ部材6の内壁(内面)に支持される。ベース部材26の位置は、実質的に固定される。
【0036】
ベース部材26は、第3可動部材15をZ軸方向にガイドするガイド機構27を有する。ガイド機構27は、Z軸方向に長いガイド部材27A、27Bを含む。アクチュエータ23、及びねじ軸23Bを支持するベアリング24A、24Bを含む第3駆動装置19の少なくとも一部は、ベース部材26に支持される。アクチュエータ23がねじ軸23Bを回転することによって、第3可動部材15は、ガイド機構27にガイドされながら、Z軸方向に移動する。
【0037】
なお、図示は省略するが、本実施形態において、第2可動部材14は、第1可動部材13をX軸方向にガイドするガイド機構を有する。第1駆動装置17は、第1可動部材13をX軸方向に移動可能なボールねじ機構を含む。回転駆動装置16は、テーブル12をθY方向に移動(回転)可能なモータを含む。
【0038】
本実施形態において、テーブル12に保持された測定物Sは、駆動システム10によって、X軸、Y軸、Z軸、及びθY方向の4つの方向に移動可能である。なお、駆動システム10は、テーブル12に保持された測定物Sを、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動させてもよい。また、本実施形態においては、駆動システム10は、ボールねじ駆動機構を含むこととしたが、例えば、ボイスコイルモータを含んでもよい。例えば、駆動システム10は、リニアモータを含んでもよいし、平面モータを含んでもよい。
【0039】
本実施形態において、ステージ9は、内部空間SPにおいて移動可能である。ステージ9は、射出部8の+Z側に配置される。ステージ9は、内部空間SPのうち、射出部8よりも+Z側の第2空間SP2において移動可能である。ステージ9の少なくとも一部は、通過部101を介して、射出部8と対向可能である。ステージ9は、保持した測定物Sを、射出部8と対向する位置に配置可能である。ステージ9は、射出部8から射出されたX線XLのX線路上に、測定物Sを配置可能である。
【0040】
本実施形態において、検出装置1は、ステージ9の位置を計測する計測システム28を備えている。本実施形態において、計測システム28は、エンコーダシステムを含む。
【0041】
計測システム28は、テーブル12の回転量(θY方向に関する位置)を計測するロータリーエンコーダ29と、X軸方向に関する第1可動部材13の位置を計測するリニアエンコーダ30と、Y軸方向に関する第2可動部材14の位置を計測するリニアエンコーダ31と、Z軸方向に関する第3可動部材15の位置を計測するリニアエンコーダ32とを有する。
【0042】
本実施形態において、ロータリーエンコーダ29は、第1可動部材13に対するテーブル12の回転量を計測する。リニアエンコーダ30は、第2可動部材14に対する第1可動部材13の位置(X軸方向に関する位置)を計測する。リニアエンコーダ31は、第3可動部材15に対する第2可動部材14の位置(Y軸方向に関する位置)を計測する。リニアエンコーダ32は、ベース部材26に対する第3可動部材15の位置(Z軸方向に関する位置)を計測する。
【0043】
ロータリーエンコーダ29は、例えば第1可動部材13に配置されたスケール部材29Aと、テーブル12に配置され、スケール部材29Aの目盛を検出するエンコーダヘッド29Bとを含む。スケール部材29Aは、第1可動部材13に固定されている。エンコーダヘッド29Bは、テーブル12に固定されている。エンコーダヘッド29Bは、スケール部材29A(第1可動部材13)に対するテーブル12の回転量を計測可能である。
【0044】
リニアエンコーダ30は、例えば第2可動部材14に配置されたスケール部材30Aと、第1可動部材13に配置され、スケール部材30Aの目盛を検出するエンコーダヘッド30Bとを含む。スケール部材30Aは、第2可動部材14に固定されている。エンコーダヘッド30Bは、第1可動部材13に固定されている。エンコーダヘッド30Bは、スケール部材30A(第2可動部材14)に対する第1可動部材13の位置を計測可能である。
【0045】
リニアエンコーダ31は、第3可動部材15に配置されたスケール部材31Aと、第2可動部材14に配置され、スケール部材31Aの目盛を検出するエンコーダヘッド31Bとを含む。スケール部材31Aは、第3可動部材15に固定されている。エンコーダヘッド31Bは、第2可動部材14に固定されている。エンコーダヘッド31Bは、スケール部材31A(第3可動部材15)に対する第2可動部材14の位置を計測可能である。
【0046】
リニアエンコーダ32は、ベース部材26に配置されたスケール部材32Aと、第3可動部材15に配置され、スケール部材32Aの目盛を検出するエンコーダヘッド32Bとを含む。スケール部材32Aは、ベース部材26に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、第3可動部材15に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、スケール部材32A(ベース部材26)に対する第3可動部材15の位置を計測可能である。
【0047】
検出器4は、内部空間SPにおいて、X線源2及びステージ9よりも+Z側に配置される。検出器4は、第2空間SP2において、ステージ9よりも+Z側に配置される。検出器4の位置は、所定の位置に固定される。なお、検出器4が移動可能でもよい。ステージ9は、内部空間SPのうち、X線源2と検出器4との間の空間を移動可能である。ステージ9は、第2空間SP2のうち、検出器4の−Z側の空間で移動可能である。ステージ9は、射出部8から射出されたX線XLの照射範囲内に、配置可能である。
【0048】
検出器4は、測定物Sを透過した透過X線を含むX線源1からのX線XLが入射する入射面である受X線面33を有するシンチレータ部34と、シンチレータ部34において発生した光を受光する受光部35とを有する。検出器4の受X線面33は、ステージ9に保持された測定物Sと対向可能である。
【0049】
シンチレータ部34は、X線が当たることによって、そのX線とは異なる波長の光を発生させるシンチレーション物質を含む。受光部35は、光電子倍増管を含む。光電子倍増管は、光電効果により光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を含む。受光部35は、シンチレーション部34において発生した光による微弱な電気信号を増幅する。つまり、受光部35は、シンチレーション部34において発生した光を、電気信号に変換して出力する。
【0050】
検出器4は、シンチレータ部34を複数有する。シンチレータ部34は、XY平面内において複数配置される。シンチレータ部34は、アレイ状に配置される。検出器4は、複数のシンチレータ部34のそれぞれに接続するように、受光部35を複数有する。なお、検出器4は、入射するX線を、光に変換することなく直接電気信号に変換してもよい。言い換えると、検出器4は、必ずしもシンチレータ部34を有するシンチレーション検出器に限られず、他の種類のX線検出器を用いることもできる。例えば、シリコン検出器などの半導体検出器、電離箱などの気体検出器などのように、入射するX線を光に変換することなく直接電気信号に変換する検出器を用いることもできる。
【0051】
供給口7は、X線源2の少なくとも一部に、温度調整された気体Gを供給する。本実施形態において、調整システム360は、気体Gの温度を調整する調整装置36を備える。調整装置36は、例えば電力によって作動する。供給口7は、調整装置36からの気体Gを内部空間SP(第1空間SP1)に供給する。
【0052】
本実施形態において、調整装置36は、チャンバ部材6の外部空間RPに配置される。本実施形態において、調整装置36は、支持面FRに配置される。調整装置36は、導管37と接続される。導管37は、外部空間RPに配置される。調整装置36とチャンバ部材6とは、離れている。導管37の少なくとも一部とチャンバ部材6とは、離れている。
【0053】
チャンバ部材6は、導管38を有する。導管38は、内部空間SPと外部空間RPとを結ぶように形成される。導管38の一端の開口は、外部空間RPに面するように配置される。導管38の他端の開口は、内部空間SPに面するように配置される。導管37の流路は、導管38の一端の開口と接続される。本実施形態において、導管38の他端の開口が、供給口7として機能する。
【0054】
本実施形態において、調整装置36は、例えば外部空間RPの気体を取り入れて、その気体の温度を調整する。調整装置36によって温度調整された気体Gは、導管37の流路、及びチャンバ部材6の導管38を介して、供給口7に送られる。供給口7は、X線源2の少なくとも一部と対向するように配置される。供給口7は、調整装置36からの気体GをX線源2の少なくとも一部に供給する。調整装置36は、供給口7を介して、調整装置36からの気体GをX線源2の少なくとも一部に供給する。調整装置36は、導管37と導管38を一体に備えていても構わないし、導管37と導管38との少なくとも一部が別々の部材でも構わない。
【0055】
図2は、本実施形態に係るX線源2の一例を示す断面図である。図2において、X線源2は、電子を発生するフィラメント39と、電子の衝突又は電子の透過によりX線を発生するターゲット40と、電子をターゲット40に導く導電子部材41とを備えている。また、本実施形態において、X線源2は、導電子部材41の少なくとも一部を収容するハウジング42を備えている。本実施形態において、フィラメント39、導電子部材41、及びターゲット40のそれぞれが、ハウジング42に収容されている。
【0056】
フィラメント39は、例えばタングステンを含む。フィラメント39に電流が流れ、その電流によってフィラメント39が加熱されると、フィラメント39から電子(熱電子)が放出される。フィラメント39の形状は、先端が尖っており、その尖った部分から電子が放出される。フィラメント39の形状は、コイル状に巻かれている。なお、X線源2における(熱)電子の供給源は、必ずしもフィラメントに限られない。例えば電子銃を用いることもできる。
【0057】
ターゲット40は、例えばタングステンを含み、電子の衝突又は電子の透過によりX線を発生する。本実施形態において、X線源2は、所謂、透過型である。本実施形態において、ターゲット40は、電子の透過により、X線を発生する。
【0058】
例えば、ターゲット40を陽極とし、フィラメント39を陰極として、ターゲット40とフィラメント39との間に電圧が加えられると、フィラメント39から飛び出した熱電子が、ターゲット(陽極)40に向かって加速し、ターゲット40に照射される。これにより、ターゲット40からX線が発生する。
【0059】
導電子部材41は、フィラメント39とターゲット40との間において、フィラメント39からの電子の通路の周囲の少なくとも一部に配置される。導電子部材41は、例えば集束レンズ、対物レンズ等の電子レンズもしくは偏光器を含み、フィラメント39からの電子をターゲット40に導く。導電子部材41は、ターゲット40の一部の領域(X線焦点)に電子を衝突させる。ターゲット41において電子が衝突する領域の寸法(スポットサイズ)は、十分に小さい。これにより、実質的に点X線源が形成される。
【0060】
本実施形態においては、ハウジング42の外面に、供給口7から温度調整された気体Gが供給される。本実施形態において、供給口7は、ハウジング42の外面の少なくとも一部と対向する。本実施形態において、供給口7は、X線源2(ハウジング42)よりも上方(+Y側)に配置される。供給口7は、X線源2の上から、X線源2のハウジング42の外面に気体Gを吹き付ける。
【0061】
X線源2において、ターゲット40に電子が照射されると、その電子のエネルギーのうち、一部のエネルギーが、X線となり、一部のエネルギーが、熱となる。ターゲット40に対する電子の照射により、ターゲット40、ターゲット40の周囲の空間、及びターゲット40の近傍に配置されている部材の温度が上昇する。
【0062】
ターゲット40の温度が上昇すると、例えばターゲット40が熱変形したり、ハウジング42が熱変形したり、フィラメント39とターゲット40との相対位置が変動したりする可能性がある。また、ターゲット40を含むX線源2の温度が上昇すると、X線源2が配置されている第1空間SP1の温度が変動する可能性がある。また、ターゲット40を含むX線源2の温度が上昇すると、例えば第1空間SP1に配置されている、X線源2とは別の検出装置1の部材の少なくとも一部が熱変形する可能性がある。また、ターゲット40を含むX線源2の温度が上昇すると、例えばステージ9及び駆動システム10を含むステージ装置3の少なくとも一部が変形したり、ガイド部材26が熱変形したり、検出器4が熱変形したりする可能性がある。また、X線源2の温度が上昇すると、X線源2とステージ9との相対位置が変動したり、X線源2と検出器4との相対位置が変動したり、ステージ9と検出器4との相対位置が変動したりする可能性がある。このように、X線源2の温度が変化すると、検出装置1の部材の少なくとも一部が熱変形したり、部材どうしの相対位置が変動したりする可能性がある。その結果、検出装置1の検出精度(検査精度、測定精度)が低下する可能性がある。
【0063】
本実施形態においては、熱を発生するX線源2が配置される第1空間SP1と、ステージ装置3及び検出器4が配置される第2空間SP2とが、仕切部100によって分けられている。仕切部100は、第1空間SP1から第2空間SP2への流体(気体及び液体の一方又は両方)の流通を抑制する。また、仕切部100は、第2空間SP2から第1空間SP1への流体の流通を抑制する。仕切部100は、例えば第1空間SP1の気体が第2空間SP2へ移動することを抑制する。また、仕切部100は、例えば第2空間SP2の気体が第1空間SP1へ移動することを抑制する。したがって、例えばX線源2が発する熱により、第1空間SP1の温度と第2空間SP2の温度とが異なっても、第1空間SP1の気体が第2空間SP2へ移動することが抑制されているので、第1空間SP1の気体と第2空間SP2の気体とが混じることにより、第2空間SP2の温度とが、変わることが抑制される。したがって、例えばX線源2が発する熱により、第1空間SP1の気体の温度が上昇しても、その第1空間SP1の気体が第2空間SP2へ移動することが抑制される。すなわち、仕切部100によって、第1空間SP1から第2空間SP2への気体の移動、及び第2空間SP2の温度変化が抑制される。そのため、例えばステージ装置3及び検出器4等、第2空間SP2に配置されている検出装置1の部材の少なくとも一部が熱変形したり、部材どうしの相対位置が変動したりすることを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態においては、熱を発生するX線源2が配置される第1空間SP1の温度を調整する調整システム360を設けたので、X線源2を含む第1空間SP1に配置される検出装置1の部材の温度が調整される。これにより、X線源2を含む第1空間SP1の部材の少なくとも一部が熱変形したり、第1空間SP1の温度が変動したり、内部空間SPの部材どうしの相対位置が変動したりすることが抑制される。
【0065】
また、本実施形態においては、調整システム360は、熱を発生するX線源2が配置される第1空間SP1の温度を集中的に調整すればよく、使用エネルギー(例えば調整装置36が使用する電力量)を抑制することができる。すなわち、調整システム360を使って、第1、第2空間SP1、SP2を含む内部空間SP全体の温度を調整する場合に比べて、調整システム360の使用エネルギーを抑制することができる。このように、本実施形態においては、内部空間SPの一部の空間を温度調整することによって、部材の熱変形、及び部材同士の相対位置の変動等を抑制することができる。
【0066】
なお、本実施形態において、供給口7は、X線源2に温度調整された気体Gを供給することとしたが、第1空間SP1に配置されているX線源2とは異なる部材に温度調整された気体Gを供給してもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る検出装置の動作の一例について説明する。
【0068】
本実施形態においては、図3のフローチャートに示すように、検出装置1のキャリブレーション(ステップSA1)と、測定物Sに対するX線XLの照射及び測定物Sを通過した透過X線の検出(ステップSA2)と、測定物Sの内部構造の算出(ステップSA3)とが実行される。
【0069】
キャリブレーション(ステップSA1)について説明する。図4は、本実施形態に係るキャリブレーションの一例を示す模式図である。図4に示すように、キャリブレーションにおいて、テーブル12に測定物Sとは異なる基準部材Rが保持される。また、キャリブレーションにおいて、供給口7から温度調整された気体Gが第1空間SP1に供給される。温度調整された気体Gが供給口7から第1空間SP1に供給されることによって、その気体Gによって、X線源2を含む第1空間SP1の温度が調整される。また、供給口7からの温度調整された気体Gの少なくとも一部が、通過部101を介して、第2空間SP2に流入する場合、その第2空間SP2の温度も調整される。なお、供給口7からの温度調整された気体Gの少なくとも一部が、第2空間SP2に流入しなくても、仕切部100によって、第2空間SP2の温度変化が抑制される。
【0070】
以下の説明において、供給口7から供給された気体Gによって調整された、X線源2を含む内部空間SPの温度を適宜、所定温度Ta、と称する。
【0071】
図4に示すように、本実施形態において、基準部材Rは、球体である。基準部材Rの外形(寸法)は、既知である。基準部材Rは、熱変形が抑制された物体である。基準部材Rは、少なくとも測定物Sよりも熱変形が抑制された物体である。内部空間SPにおいて温度が変化しても、基準部材Rの外形(寸法)は、実質的に変化しない。なお、本実施形態では、基準部材Rの形状は球体に限られない。
【0072】
制御装置5は、計測システム28でステージ9の位置を計測しつつ、駆動システム10を制御して、基準部材Rを保持したステージ9の位置を調整する。制御装置5は、基準位置Prに基準部材Rが配置されるように、ステージ9の位置を調整する。
【0073】
制御装置5は、供給口7からの気体Gの供給の少なくとも一部と並行して、X線源2からX線を射出するために、フィラメント39に電流を流す。これにより、フィラメント39が加熱され、フィラメント39から電子が放出される。フィラメント39から放出された電子は、ターゲット40に照射される。これにより、ターゲット40からX線が発生する。
【0074】
X線源2から発生したX線XLの少なくとも一部は、基準部材Rに照射される。所定温度Taにおいて、基準部材RにX線源2からのX線XLが照射されると、その基準部材Rに照射されたX線XLの少なくとも一部は、基準部材Rを透過する。基準部材Rを透過した透過X線は、検出器4の受X線面33に入射する。検出器4は、基準部材Rを透過した透過X線を検出する。所定温度Taにおいて、検出器4は、基準部材Rを透過した透過X線に基づいて得られた基準部材Rの像を検出する。本実施形態において、所定温度Taにおいて得られる基準部材Rの像の寸法(大きさ)は、寸法Waである。検出器4の検出結果は、制御装置5に出力される。
【0075】
制御装置5は、基準部材Rの像の寸法及び基準部材Rの寸法に基づいて、X線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置を算出する。また、本実施形態では、球体は一つであるが、球体を複数用いてもよい。球体を複数用いる場合、例えば、Y軸方向及びZ軸方向の一方又は両方において互いの球体の位置を異ならせてもよい。また、球体を複数用いる場合、基準部材Rの像ではなく、基準部材R同士の距離に基づいて、X線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置を算出してもよい。また、基準部材R同士の距離の算出は、基準部材Rの中心位置同士の距離でも、基準部材Rの外形の所定の位置同士の距離でもよい。
【0076】
本実施形態において、内部空間SPの温度Tが変化すると、透過X線に基づいて得られる像の寸法(大きさ)が変化する。なお、透過X線に基づいて得られる像の寸法とは、検出器4が取得する像の寸法であり、例えば、受X線面33に形成される像の寸法を含む。
【0077】
例えば、温度Tが変化すると、X線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置(Z軸方向に関する相対位置)が変動する。例えば、内部空間SPが基準温度(理想温度、目標温度)Trである場合、基準位置Prに配置されている基準部材Rに照射されたX線XLに基づいて検出器4が取得する像の寸法は、基準寸法Wrとなる。
【0078】
一方、内部空間SPが基準温度Trとは異なる温度TXである場合、例えばX線源2、ステージ9、検出器4、ベース部材26(スケール32A)、及びチャンバ部材6の少なくとも一部が熱変形し、X線源2と、ステージ9に保持されている基準部材Rと、検出器4との相対位置が変動する可能性がある。その結果、例えば、基準部材Rが基準位置Prに配置されるように、計測システム28の計測結果に基づいてステージ9の位置が調整されても、実際には、基準部材Rは、基準位置Prに配置されない可能性がある。換言すれば、内部空間SPが温度TXである場合、基準部材Rは、基準位置Prとは異なる位置PXに配置される可能性がある。なお、位置PXは、X線源2及び検出器4の少なくとも一方に対する基準部材Rの相対位置を含む。
【0079】
また、内部空間SPが温度TXであり、X線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置が変動すると、検出器4が取得する像の寸法WXは、基準寸法Wrとは異なる。
【0080】
本実施形態において、制御装置5は、記憶装置を含む。記憶装置には、内部空間SPの温度Tと、その温度Tにおいて基準部材Rに照射されたX線XLのうち基準部材Rを通過した透過X線に基づいて得られる基準部材Rの像(画像)の寸法(大きさ)との関係が記憶されている。
【0081】
また、上述のように、内部空間SPの温度Tの変化に伴って、X線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置が変化する。また、その相対位置の変化に伴って、検出器4が取得する像の寸法が変化する。記憶装置には、相対位置と像の寸法との関係も記憶されている。
【0082】
なお、記憶装置に記憶されている情報は、予備実験及びシミュレーションの少なくとも一方により求められる。
【0083】
したがって、制御装置5は、記憶装置に記憶されている情報と、検出器4によって取得された基準部材Rの像の寸法とに基づいて、温度TにおけるX線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置を算出することができる。
【0084】
例えば、内部空間SPが所定温度Taである場合、制御装置5は、記憶装置に記憶されている情報と、検出器4によって取得された基準部材Rの像の寸法Waとに基づいて、その所定温度TaにおけるX線源2と基準部材Rと検出器4との相対位置を算出することができる。
【0085】
キャリブレーションが終了した後、測定物Sの検出が行われる(ステップSA2)。図5は、本実施形態に係る検出の一例を示す模式図である。図5に示すように、検出において、テーブル12に測定物Sが保持される。制御装置5は、ステージ装置3を制御して、測定物SをX線源2と検出器4との間に配置する。
【0086】
また、検出において、供給口7から温度調整された気体Gが第1空間SP1に供給される。温度調整された気体Gが供給口7から第1空間SP1に供給されることによって、その気体Gによって、X線源2を含む第1空間SP1の温度が調整される。また、供給口7からの温度調整された気体Gの少なくとも一部が、通過部101を介して、第2空間SP2に流入する場合、その第2空間SP2の温度も調整される。なお、供給口7からの温度調整された気体Gの少なくとも一部が、第2空間SP2に流入しなくても、仕切部100によって、第2空間SP2の温度変化が抑制される。
【0087】
制御装置5は、内部空間SPが所定温度Taになるように、供給口7から温度調整された気体Gを、X線源2を含む第1空間SP1に供給する。
【0088】
制御装置5は、計測システム28でステージ9の位置を計測しつつ、駆動システム10を制御して、測定物Sを保持したステージ9の位置を調整する。
【0089】
制御装置5は、供給口7からの気体Gの供給の少なくとも一部と並行して、X線源2からX線を射出するために、フィラメント39に電流を流す。これにより、フィラメント39が加熱され、フィラメント39から電子が放出される。フィラメント39から放出された電子は、電場により加速されつつ、ターゲット40に照射される。これにより、ターゲット40からX線が発生する。
【0090】
X線源2から発生したX線XLの少なくとも一部は、測定物Sに照射される。所定温度Taにおいて、測定物SにX線源2からのX線XLが照射されると、その測定物Sに照射されたX線XLの少なくとも一部は、測定物Sを透過する。測定物Sを透過した透過X線は、検出器4の受X線面33に入射する。検出器4は、測定物Sを透過した透過X線を検出する。所定温度Taにおいて、検出器4は、測定物Sを透過した透過X線に基づいて得られた測定物Sの像を検出する。本実施形態において、所定温度Taにおいて得られる測定物Sの像の寸法(大きさ)は、寸法Wsである。検出器4の検出結果は、制御装置5に出力される。
【0091】
本実施形態において、制御装置5は、所定温度Taにおいて測定物Sに照射されたX線XLのうち、測定物Sを通過した透過X線の検出結果を、キャリブレーションの結果を用いて補正する。
【0092】
例えば、制御装置5は、所定温度Taにおいて得られた測定物Sの像が、基準温度Trにおいて得られる像となるように、その所定温度Taにおいて得られた測定物Sの像を補正する。
【0093】
例えば、制御装置5は、所定温度Taにおいて得られた測定物Sの像の寸法Wsである場合、その寸法Wsに、補正値であるWr/Waを乗ずる。すなわち、制御装置5は、演算Ws×(Wr/Wa)を実行する。これにより、制御装置5は、内部空間SPの実際の温度が所定温度Taの場合でも、基準温度Trにおける測定物Sの像(像の寸法)を算出することができる。
【0094】
本実施形態において、制御装置5は、測定物SにおけるX線源2からのX線XLの照射領域を変えるために、測定物Sの位置を変えながら、その測定物SにX線源2からのX線XLを照射する。すなわち、制御装置5は、複数の測定物Sの位置ごとで、測定物SにX線源2からのX線XLを照射し、その測定物Sを透過した透過X線を、検出器4で検出する。
【0095】
本実施形態において、制御装置5は、測定物Sを保持したテーブル12を回転して、X線源2に対する測定物Sの位置を変えることによって、測定物SにおけるX線源2からのX線XLの照射領域を変える。
【0096】
すなわち、本実施形態において、制御装置5は、測定物Sを保持したテーブル12を回転させながら、その測定物SにX線XLを照射する。テーブル12の各位置(各回転角度)において測定物Sを通過した透過X線(X線透過データ)は、検出器4に検出される。検出器4は、各位置における測定物Sの像を取得する。
【0097】
制御装置5は、検出器4の検出結果から、測定物の内部構造を算出する(ステップSA3)。本実施形態において、制御装置5は、測定物Sの各位置(各回転角度)のそれぞれにおいて測定物Sを通過した透過X線(X線透過データ)に基づく測定物Sの像を取得する。すなわち、制御装置5は、測定物Sの像を複数取得する。
【0098】
制御装置Sは、測定物Sを回転させつつその測定物SにX線XLを照射することにより得られた複数のX線透過データ(像)に基づいて演算を行って、測定物Sの断層画像を再構成して、測定物Sの内部構造の三次元データ(三次元構造)を取得する。これにより、測定物Sの内部構造が算出される。測定物の断層画像の再構成方法としては、例えば、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法が挙げられる。逆投影法及びフィルタ補正逆投影法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2002/0154728号明細書に記載されている。また、逐次近似法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2010/0220908号明細書に記載されている。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、仕切部100を設けたので、第1空間SP1が温度変化しても、第2空間SP2の温度変化を抑制できる。また、本実施形態においては、第1空間SP1の温度を調整するようにしたので、使用エネルギーを抑制しつつ、第1空間SP1の温度変化も抑制できる。
【0100】
そのため、第1、第2空間SP1、SP2を含む内部空間SPに存在する部材の少なくとも一部が熱変形したり、部材どうしの相対位置が変動したりすることを抑制することができる。
【0101】
したがって、検出装置1の検出精度の低下を抑制できる。例えば、検出装置1は、測定物Sの内部構造に関する情報を精確に取得することができる。
【0102】
なお、本実施形態において、制御装置5は、少なくともX線源2がX線XLを射出している期間、そのX線源2を含む第1空間SP1に供給口7から温度調整された気体Gを供給してもよい。換言すれば、制御装置5は、少なくともフィラメント39に電流が流れている期間、第1空間SP1に温度調整された気体Gを供給してもよい。これにより、第1空間SP1の気体、及び第1空間SP1に配置されている部材の少なくとも一部の温度変化が抑制される。
【0103】
なお、X線源2からX線XLが射出されない期間の少なくとも一部において、第1空間SP1に温度調整された気体Gが供給されてもよい。
【0104】
なお、本実施形態においては、測定物Sに対するX線XLの照射領域を変更して、測定物Sの像を複数取得し、その複数の像(画像)に基づいて、測定物Sの内部構造の三次元データを取得することとしたが、1つの像(画像)に基づいて、測定物Sの内部構造に関する情報を取得することとしてもよい。
【0105】
なお、本実施形態においては、供給口7がX線源2の上方(+Y側)に配置されることとしたが、X線源2の+X側に配置されてもよいし、−X側に配置されてもよいし、−Y側に配置されてもよい。また、X線源2に対向する供給口7が複数配置されてもよい。例えば、ハウジング42を囲むように、複数の供給口7が配置されてもよい。
【0106】
なお、本実施形態において、供給口7が、Z軸方向に関して複数配置されてもよい。
【0107】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0108】
図6は、第2実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図6において、調整システム360は、第1空間SP1に温度調整された気体Gを供給する供給口7と、第1空間SP1の気体の少なくとも一部を第1空間SP1から排出する排出口43とを備えている。本実施形態において、排出口43から排出される気体は、供給口7から供給された気体Gの少なくとも一部を含む。
【0109】
チャンバ部材6は、導管44を有する。導管44は、第1空間SP1と外部空間RPとを結ぶように形成される。導管44の一端の開口は、第1空間SP1に面するように配置される。導管44の他端の開口は、外部空間RPに面するように配置される。本実施形態において、導管44の一端の開口が、排出口43として機能する。第1空間SP1の気体の少なくとも一部は、排出口43から排出され、導管44を流れた後、導管44の他端の開口を介して、外部空間RPに排出される。
【0110】
本実施形態において、導管44の他端の開口は、導管45の一端と接続される。導管45の他端は、調整装置36と接続される。本実施形態において、排出口43から排出された気体は、チャンバ部材6の導管44、及び導管45の流路を介して、調整装置36に送られる。
【0111】
本実施形態において、調整装置36は、排出口43から排出された気体の温度を調整する。調整装置36は、排出口43からの気体の温度を調整して、供給口7へ送る。供給口7は、調整装置36からの温度調整された気体GをX線源2の少なくとも一部に供給する。
【0112】
このように、本実施形態においては、調整装置36、導管37の流路、導管38、内部空間SP、導管44、及び導管45の流路によって、気体を循環する循環システムが形成される。
【0113】
本実施形態において、排出口43は、X線源2の少なくとも一部と対向するように配置される。本実施形態において、供給口7は、X線源2の上方(+Y側)に配置され、排出口43は、X線源2の下方(−Y側)に配置される。X線源2は、供給口7と排出口43との間に配置される。
【0114】
本実施形態において、調整装置36は、気体を吸引可能な真空システムを含む。調整装置36の真空システムが作動することによって、排出口43は、第1空間SP1の気体の少なくとも一部を吸引する。すなわち、本実施形態において、真空システムを含む調整装置36は、第1空間SP1の気体の少なくとも一部を、排出口43を介して第1空間SP1から強制的に排出する。
【0115】
本実施形態において、調整装置36は、供給口7からの気体Gの供給の少なくとも一部と並行して、排出口43からの気体の排出を行う。これにより、第1空間SP1において、供給口7から排出口43へ向かう気体の流れが生成される。供給口7からの気体Gの供給の少なくとも一部と並行して、排出口43からの気体の排出が行われることによって、第1空間SP1の気体の流れが整えられる。
【0116】
なお、供給口7からの気体Gの供給が停止された状態で、排出口43からの気体の排出(吸引)が行われてもよい。なお、排出口43からの気体の排出(吸引)が停止された状態で、供給口7からの気体Gの供給が行われてもよい。例えば、供給口7から気体Gが供給され、排出口43からの気体の吸引が行われない第1動作と、供給口7からの気体Gの供給が停止され、排出口43からの気体の吸引が行われる第2動作とが交互に行われてもよい。
【0117】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0118】
なお、本実施形態においては、調整装置36が真空システムを含み、排出口43が第1空間SP1の気体を吸引(強制排気)可能であることとしたが、調整装置36が真空システムを含まなくてもよい。例えば、第1空間SP1の気体が排出口43から自然排気されてもよい。
【0119】
なお、本実施形態において、調整装置36は、排出口43からの気体の全部を温度調整して、供給口7に送ってもよい。
【0120】
なお、本実施形態において、調整装置36は、排出口43からの気体の一部を温度調整して供給口7に送り、残りの気体を外部空間RPに放出してもよい。なお、調整装置36は、排出口43からの気体の全部を外部空間RPに放出してもよい。その場合、調整装置36は、例えば外部空間RPの気体を取り入れて、その気体の温度を調整し、その温度調整された気体Gの少なくとも一部を供給口7へ送ってもよい。
【0121】
なお、本実施形態においては、排出口43から排出された気体は、調整装置36に送られることとしたが、調整装置36に送られることなく、外部空間RPに放出されてもよい。
【0122】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、調整装置36が外部空間RPに配置されることとしたが、調整装置36の一部が内部空間SPに配置されてもよいし、調整装置36の全部が内部空間SPに配置されてもよい。例えば、調整装置36は、内部空間SPの気体を取り入れて、その気体の温度を調整し、その温度調整された気体Gを供給口7へ送ってもよい。
【0123】
なお、本実施形態においては、供給口7がX線源2の上方(+Y側)に配置されることとしたが、X線源2の+X側に配置されてもよいし、−X側に配置されてもよいし、−Y側に配置されてもよい。なお、本実施形態においては、排出口43がX線源2の下方(−Y側)に配置されることとしたが、X線源2の+X側に配置されてもよいし、−X側に配置されてもよいし、+Y側に配置されてもよい。なお、本実施形態においては、供給口7と排出口43との間にX線源2が配置されることとしたが、例えばX線源2の+Y側に供給口7が配置され、+X側及び−X側の一方又は両方に排出口43が配置されてもよい。また、X線源2に対向する供給口7が複数配置されてもよい。また、X線源2に対向する排出口43が複数配置されてもよい。例えば、ハウジング42を囲むように、複数の供給口7が配置されてもよいし、複数の排出口43が配置されてもよい。
【0124】
なお、本実施形態において、供給口7が、Z軸方向に関して複数配置されてもよいし、排出口43が、Z軸方向に関して複数配置されてもよい。
【0125】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0126】
図7は、第3実施形態に係る検出装置1の一部を示す図である。なお、以下の説明においては、X線源2の+Y側に供給口7が配置され、−Y側に排出口43が配置される場合を例にして説明するが、上述したように、供給口7及び排出口43の数及び位置は任意に定めることができる。また、排出口43が省略されてもよい。
【0127】
図7において、検出装置1は、第1空間SP1及び第1空間SP1に配置される部材の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ46を備えている。本実施形態において、温度センサ46は、第1空間SP1及び第1空間SP1に配置されるX線源2の温度を検出する。なお、温度センサ46が、X線源2とは異なる第1空間SP1に配置される部材の温度を検出してもよい。
【0128】
本実施形態において、温度センサ46は、温度センサ46A、46B、46C、46Dを含む。温度センサ46Aは、供給口7とX線源2との間に配置されている。温度センサ46Aは、供給口7及びX線源2のそれぞれから離れている。温度センサ46Bは、排出口43とX線源2との間に配置されている。温度センサ46Bは、排出口43及びX線源2のそれぞれから離れている。温度センサ46Cは、X線源2のハウジング42の外面に接続されている。温度センサ46Cは、供給口7と対向するように配置される。温度センサ46Dは、X線源2のハウジング42の外面に接続されている。温度センサ46Dは、排出口43と対向するように配置される。
【0129】
温度センサ46A、46Bは、第1空間SP1の温度を検出可能である。温度センサ46Aは、供給口7とX線源2との間の空間の温度を検出可能である。温度センサ46Bは、排出口43とX線源2との間の空間の温度を検出可能である。温度センサ46C、46Dは、X線源2の温度を検出可能である。
【0130】
本実施形態において、温度センサ46A〜46Dは、キャリブレーション(図3のステップSA1)において、温度を検出する。また、本実施形態において、温度センサ46A〜46Dは、測定物Sに対するX線XLの照射及び測定物Sを通過した透過X線の検出(図3のステップSA2)において、温度を検出する。換言すれば、温度センサ46A〜46Dは、少なくともX線源2がX線XLを射出する期間において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する。
【0131】
温度センサ46A〜46Dの検出結果は、制御装置5に出力される。本実施形態において、制御装置5は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、調整システム360を制御する。調整システム360は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、第1空間SP1の温度を調整する。
【0132】
本実施形態において、制御装置5は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、少なくとも調整装置36の動作を制御する。調整装置36は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、その調整装置36から供給される気体Gの温度を調整する。制御装置5は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度が目標温度になるように、調整装置36から送出される気体Gの温度を調整する。換言すれば、制御装置5は、温度センサ46A〜46Dの検出結果に基づいて、温度センサ46A〜46Dの検出値と、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度の目標値との差が小さくなるように、調整装置36から送出される気体Gの温度を調整する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0134】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0135】
図8は、第4実施形態に係る検出装置1の一部を示す図である。本実施形態において、検出装置1は、第1空間SP1に配置され、供給口7Dを有するノズル部材47を備えている。本実施形態において、検出装置1は、ノズル部材47を複数有する。本実施形態において、検出装置1は、4つのノズル部材47を有する。ノズル部材47はそれぞれ、供給口7Dを有する。
【0136】
ノズル部材47の供給口7Dは、X線源2の少なくとも一部に温度調整された気体Gを供給する。ノズル部材47は、X線源2の周囲の少なくとも一部に配置される。ノズル部材47は、供給口7Dとハウジング42の外面とが対向するように配置される。
【0137】
本実施形態において、ノズル部材47は、X線源2に対して移動可能である。検出装置1は、ノズル部材47を移動可能な駆動システムを有する。制御装置5は、その駆動システムを制御して、X線源2に対してノズル部材47を移動することができる。制御装置5は、ノズル部材47を移動して、ハウジング42の外面の任意の領域に、供給口7Dからの気体Gを供給することができる。
【0138】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0139】
なお、本実施形態において、ノズル部材47(供給口7D)は、1つでも、2つでも、3つでもよいし、5以上の任意の数だけ配置されてもよい。
【0140】
なお、本実施形態において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、供給口7Dから供給される気体Gの温度が調整されてもよい。
【0141】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0142】
図9は、第5実施形態に係るX線源2Eの一部を示す図である。本実施形態において、X線源2Eは、ハウジング42Eを有する。ハウジング42Eは、導管48を有する。
【0143】
本実施形態において、検出装置1は、ハウジング42Eの導管48に温度調整された流体を供給する調整装置49を備える。調整装置49は、例えば温度調整された液体を供給してもよいし、温度調整された気体、あるいはエアロゾルを供給してもよい。
【0144】
導管48は、スパイラル状に形成されている。導管48は、入口48Aと出口48Bとを有する。調整装置49は、導管50を介して、入口48Aに接続される。調整装置49から送出された流体は、導管50の流路を介して、入口48Aに送られる。調整装置49から入口48Aに送られた流体は、導管48を流れる。導管48を流れた流体は、出口48Bから出る。
【0145】
出口48Bは、導管51と接続されている。出口48Bから出た流体は、導管51の流路を流れる。出口48Bから出た流体は、例えば外部空間RPに排出されてもよい。なお、出口48Bから出た流体は、調整装置49に送られてもよい。調整装置49は、出口48Bから排出された流体の温度を調整してもよい。また、調整装置49は、出口48Bから排出され、調整装置49で温度調整された流体を、導管48に送ってもよい。
【0146】
なお、本実施形態において、X線源2E及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ52を設けてもよい。調整装置49は、その温度センサ52の検出結果に基づいて、導管48に供給される流体の温度を調整してもよい。
【0147】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2Eを含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0148】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0149】
図10は、第6実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図10において、検出装置1は、供給口7Fと結ばれ、供給口7Fに供給される気体Gfが流れる導管38Fと、導管38Fに配置され、温度調整される温度調整部材53とを備えている。導管38Fは、例えばチャンバ部材6に形成されている。供給口7Fは、導管38Fの端の開口を含む。
【0150】
本実施形態においては、温度調整部材53に接触した気体Gfが、供給口7Fから供給される。これにより、温度調整部材53によって温度調整された気体Gfが、供給口7FからX線源2の少なくとも一部に供給される。
【0151】
温度調整部材53は、例えばペルチェ素子を含む。ペルチェ素子は、制御装置5に制御される。制御装置5は、供給口7Fから目標温度の気体Gfが供給されるように、ペルチェ素子を含む温度調整部材53を制御する。
【0152】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0153】
なお、本実施形態において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、温度調整部材53が制御されてもよい。
【0154】
なお、チャンバ部材6とは異なる部材に形成されている流路に温度調整部材53が配置されてもよい。例えば、第1空間SP1に配置されるノズル部材が有する流路に温度調整部材53が配置されてもよい。温度調整部材53に接触した気体が、ノズル部材が有する供給口からX線源2に供給されることによって、X線源2等の温度変化を抑制することができる。
【0155】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0156】
図11は、第7実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図11において、検出装置1は、供給口7Gと結ばれ、供給口7Gに供給される気体Ggが流れる導管38Gと、導管38Gに配置され、温度調整される温度調整部材54とを備えている。導管38Gは、例えばチャンバ部材6に形成されている。供給口7Gは、導管38Gの端の開口を含む。
【0157】
本実施形態においては、温度調整部材54に接触した気体Ggが、供給口7Gから供給される。これにより、温度調整部材54によって温度調整された気体Ggが、供給口7GからX線源2の少なくとも一部に供給される。
【0158】
本実施形態において、検出装置1は、温度調整部材54に温度調整された液体を供給する供給装置55を有する。供給装置55は、例えば電力によって作動する。本実施形態において、温度調整部材54は、導管を有する。導管は、液体が流入する入口54Aと、液体が出る出口54Bとを有する。温度調整部材54は、例えば金属製である。
【0159】
供給装置55と、入口54Aとは、導管によって接続される。供給装置55は、温度調整された液体を、導管の流路を介して入口54Aに送る。供給装置55から送出され、入口54Aに流入した液体は、温度調整部材54の導管を流れる。これにより、温度調整部材54は、供給装置55からの液体によって温度調整される。
【0160】
本実施形態において、供給装置55は、制御装置5に制御される。制御装置5は、供給口7Gから目標温度の気体Ggが供給されるように、供給装置55を制御する。
【0161】
本実施形態において、出口54Bは、導管を介して、回収装置56と接続される。温度調整部材54の導管を流れ、出口54Bから出た液体は、導管の流路を介して、回収装置56に回収される。
【0162】
本実施形態において、回収装置56は、回収した液体を供給装置55に送ってもよい。供給装置55は、回収装置56からの液体の温度を調整してもよい。また、供給装置55は、回収装置56からの液体の温度を調整し、その温度調整された液体を温度調整部材54に供給してもよい。
【0163】
本実施形態において、供給装置55及び回収装置56は、導管38Gの外側に配置される。なお、供給装置55の少なくとも一部が、導管38Gに配置されてもよい。なお、回収装置56の少なくとも一部が、導管38Gに配置されてもよい。
【0164】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0165】
なお、本実施形態において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、供給装置55が制御されてもよい。
【0166】
なお、チャンバ部材6とは異なる部材に形成されている流路に温度調整部材54が配置されてもよい。例えば、第1空間SP1に配置されるノズル部材が有する流路に温度調整部材54が配置されてもよい。温度調整部材54に接触した気体が、ノズル部材が有する供給口からX線源2に供給されることによって、X線源2等を含む第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0167】
なお、本実施形態においては、温度調整部材54に液体が供給されることとしたが、温度調整された気体が供給されてもよい。
【0168】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0169】
図12は、第8実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図12において、検出装置1は、第1空間SP1に配置され、温度調整される温度調整部材57を備えている。また、本実施形態において、検出装置1は、第1空間SP1に配置され、気体の流れを生成可能な生成装置58を備えている。生成装置58は、例えば送風機を含む。
【0170】
本実施形態において、温度調整部材57は、生成装置58とX線源2との間に配置される。生成装置58は、温度調整部材57からX線源2に向かうように、気体の流れを生成する。これにより、温度調整部材57に接触し、温度調整された気体が、X線源2を含む第1空間SP1に供給される。
【0171】
本実施形態おいて、温度調整部材57は、複数配置されている。温度調整部材57は、間隔をあけて配置されている。生成装置58からの気体は、複数の温度調整部材57の間隙を流れて、X線源2に供給される。
【0172】
温度調整部材57は、例えばペルチェ素子を含む。ペルチェ素子は、制御装置5に制御される。制御装置5は、X線源2に供給される気体が目標温度になるように、ペルチェ素子を含む温度調整部材57を制御する。
【0173】
本実施形態において、検出装置1は、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ59を備えている。制御装置5は、その温度センサ59の検出結果に基づいて、温度調整部材57を制御してもよい。
【0174】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0175】
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0176】
図13は、第9実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図13において、検出装置1は、第1空間SP1に配置され、温度調整される温度調整部材60を備えている。また、本実施形態において、検出装置1は、第1空間SP1に配置され、気体の流れを生成可能な生成装置61を備えている。生成装置61は、例えば送風機を含む。
【0177】
本実施形態において、温度調整部材60は、生成装置61とX線源2との間に配置される。生成装置61は、温度調整部材60からX線源2に向かうように、気体の流れを生成する。これにより、温度調整部材60に接触し、温度調整された気体が、X線源2を含む第1空間SP1に供給される。
【0178】
本実施形態において、検出装置1は、温度調整部材60に温度調整された液体を供給する供給装置62を有する。供給装置62は、例えば電力によって作動する。本実施形態において、温度調整部材60は、導管を有する。導管は、液体が流入する入口60Aと、液体が出る出口60Bとを有する。温度調整部材60は、例えば金属製である。
【0179】
供給装置62と、入口60Aとは、導管によって接続される。供給装置62は、温度調整された液体を、導管の流路を介して入口60Aに送る。供給装置62から送出され、入口60Aに流入した液体は、温度調整部材60の導管を流れる。これにより、温度調整部材60は、供給装置62からの液体によって温度調整される。
【0180】
本実施形態おいて、温度調整部材60は、気体が流通可能な通路60Rを有する。生成装置61からの気体は、通路60Rを流れて、X線源2に供給される。
【0181】
本実施形態において、供給装置62は、制御装置5に制御される。制御装置5は、X線源2に供給される気体が目標温度になるように、供給装置62を制御する。
【0182】
本実施形態において、出口60Bは、導管を介して、回収装置63と接続される。温度調整部材60の導管を流れ、出口60Bから出た液体は、導管の流路を介して、回収装置63に回収される。
【0183】
本実施形態において、回収装置63は、回収した液体を供給装置62に送ってもよい。供給装置62は、回収装置63からの液体の温度を調整してもよい。また、供給装置62は、回収装置63からの液体の温度を調整し、その温度調整された液体を温度調整部材60に供給してもよい。
【0184】
本実施形態において、供給装置62及び回収装置63は、内部空間SPの外側に配置されてもよいし、供給装置62の少なくとも一部が、外部空間RPに配置されてもよいし、回収装置63の少なくとも一部が、外部空間RPに配置されてもよい。
【0185】
本実施形態において、検出装置1は、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサ64を備えている。制御装置5は、その温度センサ64の検出結果に基づいて、供給装置62を制御してもよい。すなわち、供給装置62は、温度センサ64の検出結果に基づいて、温度調整部材60に供給する液体の温度を調整してもよい。
【0186】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0187】
なお、本実施形態においては、温度調整部材60に液体が供給されることとしたが、温度調整された気体あるいはエアロゾルが供給されてもよい。
【0188】
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0189】
図14は、第10実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図14において、検出装置1は、第1空間SP1を形成するチャンバ部材6の少なくとも一部の温度を調整する調整装置65を備えている。
【0190】
本実施形態において、調整装置65は、チャンバ部材6の少なくとも一部に配置されたペルチェ素子65Pを含む。本実施形態において、ペルチェ素子65Pは、複数配置される。本実施形態において、ペルチェ素子65Pは、X線源2に面するように配置される。本実施形態において、ペルチェ素子65Pは、第1空間SP1に面するチャンバ部材6の内面に配置される。
【0191】
なお、ペルチェ素子65Pの少なくとも一部が、チャンバ部材6の内部に配置されてもよい。なお、ペルチェ素子65Pの少なくとも一部が、チャンバ部材6の外面に配置されてもよい。
【0192】
調整装置65は、制御装置5に制御される。制御装置5は、X線源2、チャンバ部材6、及び第1空間SP1の少なくとも一つが目標温度になるように、ペルチェ素子65Pを含む調整装置65を制御する。
【0193】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0194】
なお、本実施形態において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、調整装置65が制御されてもよい。
【0195】
なお、本実施形態においては、調整装置65が設けられるチャンバ部材6が供給口7を有しているが、例えば図12及び図13を参照して説明したような、供給口を有していないチャンバ部材6に調整装置65が設けられてもよい。
【0196】
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0197】
図15は、第11実施形態に係る検出装置1の一例を示す図である。図15において、検出装置1は、第1空間SP1を形成するチャンバ部材6Kの少なくとも一部の温度を調整する調整装置66を備えている。
【0198】
本実施形態において、チャンバ部材6Kは、導管67を有する。本実施形態において、導管67は、X線源2の周囲の少なくとも一部に配置される。調整装置66は、チャンバ部材6Kの導管67に、温度調整された流体を供給する。
【0199】
本実施形態において、調整装置66は、導管67に温度調整された液体を供給する供給装置68を有する。供給装置68は、例えば電力によって作動する。導管67は、液体が流入する入口67Aと、液体が出る出口67Bとを有する。
【0200】
供給装置68と、入口67Aとは、導管によって接続される。供給装置68は、温度調整された液体を、導管の流路を介して入口67Aに送る。供給装置68から送出され、入口67Aに流入した液体は、導管67を流れる。これにより、チャンバ部材6Kは、供給装置68からの液体によって温度調整される。
【0201】
本実施形態において、供給装置68は、制御装置5に制御される。制御装置5は、X線源2、チャンバ部材6、及び第1空間SP1の少なくとも一つが目標温度になるように、供給装置68を制御する。
【0202】
本実施形態において、出口67Bは、導管を介して、回収装置69と接続される。導管67を流れ、出口67Bから出た液体は、導管の流路を介して、回収装置69に回収される。
【0203】
本実施形態において、回収装置69は、回収した液体を供給装置68に送ってもよい。供給装置68は、回収装置69からの液体の温度を調整してもよい。また、供給装置68は、回収装置69からの液体の温度を調整し、その温度調整された液体を導管67に供給してもよい。
【0204】
本実施形態において、供給装置68及び回収装置69は、内部空間SPの外側に配置される。なお、供給装置68の少なくとも一部が、内部空間SPに配置されてもよい。なお、回収装置69の少なくとも一部が、内部空間SPに配置されてもよい。
【0205】
以上説明したように、本実施形態においても、X線源2を含む第1空間SP1の部材の温度変化、及び第1空間SP1の温度変化を抑制することができる。
【0206】
なお、本実施形態において、X線源2及び第1空間SP1の少なくとも一方の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、供給装置68が制御されてもよい。
【0207】
なお、本実施形態においては、導管67に液体が供給されることとしたが、温度調整された気体や、エアロゾルなどの流体が供給されてもよい。
【0208】
なお、本実施形態においては、調整装置66が設けられるチャンバ部材6が供給口7を有しているが、例えば図12及び図13を参照して説明したような、供給口を有していないチャンバ部材6に調整装置66が設けられてもよい。
【0209】
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0210】
図16は、本実施形態に係る検出装置1Lの一例を示す図である。本実施形態において、検出装置1Lは、第2空間SP2の温度を調整する調整システム110を備える。本実施形態において、調整システム110は、制御装置5に制御される。本実施形態において、調整システム110は、第2空間SP2に温度調整された気体Gを供給する供給口111を含む。供給口111は、第2空間SP2に配置される。供給口111は、第2空間SP2に面している。本実施形態において、供給口111は、検出器4の少なくとも一部に、温度調整された気体Gを供給する。なお、供給口111が、例えばステージ装置3の少なくとも一部に、温度調整された気体Gを供給してもよい。
【0211】
本実施形態において、調整システム110は、気体Gの温度を調整する調整装置112を備える。調整装置112は、例えば電力によって作動する。供給口111は、調整装置112からの気体Gを内部空間SP(第2空間SP2)に供給する。
【0212】
本実施形態において、調整装置112は、チャンバ部材6の外部空間RPに配置される。本実施形態において、調整装置112は、支持面FRに配置される。調整装置112は、導管113と接続される。導管113は、外部空間RPに配置される。調整装置112とチャンバ部材6とは、離れている。導管113の少なくとも一部とチャンバ部材6とは、離れている。
【0213】
チャンバ部材6は、導管114を有する。導管114は、第2空間SP2と外部空間RPとを結ぶように形成される。導管114の一端の開口は、外部空間RPに面するように配置される。導管114の他端の開口は、第2空間SP2に面するように配置される。導管113の流路は、導管114の一端の開口と接続される。本実施形態において、導管114の他端の開口が、供給口111として機能する。
【0214】
本実施形態において、調整装置112は、例えば外部空間RPの気体を取り入れて、その気体の温度を調整する。調整装置112によって温度調整された気体Gは、導管113の流路、及びチャンバ部材6の導管114を介して、供給口111に送られる。供給口111は、検出器4及びステージ装置3の少なくとも一方と対向するように配置される。供給口111は、調整装置112からの気体Gを検出器4及びステージ装置3の少なくとも一方に供給する。
【0215】
以上説明したように、本実施形態によれば、調整システム110を設けたので、第2空間SP2の部材の温度変化、及び第2空間SP2の温度変化を抑制することができる。
【0216】
なお、本実施形態において、第2空間SP2の気体の少なくとも一部を第2空間SP2から排出する排出口が設けられてもよい。また、その排出口から排出された気体が、調整装置112に送られてもよい。調整装置112は、真空システムを含んでもよいし、含まなくてもよい。調整装置112は、第2空間SP2の気体の少なくとも一部を、排出口から強制的に排出してもよい。なお、第2空間SP2の気体が排出口から自然排気されてもよい。また、調整装置112は、その排出口から排出された気体の温度を調整してもよい。また、調整装置112は、その排出口からの気体の温度を調整して、供給口111へ送ってもよい。すなわち、調整装置112、導管113の流路、導管114、第2空間SP2、及びその排出口と調整装置112とを結ぶ流路によって、気体を循環する循環システムが形成されてもよい。なお、排出口から排出された第2空間SP2の気体は、調整装置112に送られることなく、外部空間RPに放出されてもよい。
【0217】
なお、本実施形態においては、調整装置112が外部空間RPに配置されることとしたが、調整装置112の一部が内部空間SP(第2空間SP2)に配置されてもよいし、調整装置112の全部が内部空間SP(第2空間SP2)に配置されてもよい。例えば、調整装置112は、内部空間SPの気体を取り入れて、その気体の温度を調整し、その温度調整された気体Gを供給口111へ送ってもよい。
【0218】
なお、本実施形態においては、供給口111が検出器4(ステージ装置3)の上方(+Y側)に配置されることとしたが、検出器4(ステージ装置3)の+X側に配置されてもよいし、−X側に配置されてもよいし、−Y側に配置されてもよい。第2空間SP2の気体を排出する排出口も、検出器4(ステージ装置3)に対して任意の位置に配置されてもよい。
【0219】
なお、本実施形態において、供給口111は、複数配置されてもよい。例えば、供給口111が、Z軸方向に関して複数配置されてもよい。
【0220】
なお、本実施形態においては、供給口111から供給される気体Gによって、第2空間SP2の温度が調整されることとしたが、例えば上述の第3〜第11実施形態に従って、第2空間SP2の温度が、例えば第2空間SP2に配置されたノズル部材の供給口から供給される気体によって調整されてもよいし、温度調整部材に接触した気体によって調整されてもよいし、ペルチェ素子によって調整されてもよいし、チャンバ部材6の導管を流れる流体によって調整されてもよい。また、第2空間SP2に配置された部材の温度を検出する温度センサ、及び第2空間SP2の温度を検出する温度センサの少なくとも一方の検出結果に基づいて、第2空間SP2の温度が調整されてもよい。
【0221】
なお、本実施形態においては、第1空間SP1の温度を調整する調整システム360と、第2空間SP2の温度を調整する調整システム110との両方が設けられることとしたが、調整システム360で、第1空間SP1の温度と第2空間SP2の温度とを調整しても構わない。
【0222】
<第13実施形態>
次に、第13実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0223】
図17は、第13実施形態に係る検出装置1Mの一例を示す図である。検出装置1Mは、内部空間SPを形成するチャンバ部材6を有する。
【0224】
本実施形態において、チャンバ部材6が形成する内部空間SPは、X線源2が配置され、供給口7からの気体Gが供給される第1空間SP1と、検出器4が配置される第2空間SP2とを含む。第1空間SP1と第2空間SP2とは、仕切部100によって仕切られる。第1空間SP1は、X線源2に近い空間であり、第2空間SP2は、第1空間SP1よりも検出器4に近い空間である。仕切部100は、X線源2からのX線XLが通過可能な通過部101を有する。X線源2から射出されたX線XLは、通過部101を介して、第2空間SP2に供給される。
【0225】
供給口7から第1空間SP1に供給された気体Gによって、X線源2を含む第1空間SP1の温度が調整される。なお、図17に示す例は、第2空間SP2の温度を調整する調整システムは設けられていないが、設けられてもよい。
【0226】
本実施形態において、検出装置1Mは、第1空間SP1に配置される第1ステージ装置74と、第2空間SP2に配置される第2ステージ装置75とを含む。第1ステージ装置74と、第2ステージ装置75とは、X線源2から射出されるX線XLの照射方向(Z軸方向)に配置される。第1ステージ装置74の少なくとも一部は、Z軸方向に関してX線源2に近い第1空間SP1において移動する。第2ステージ装置75の少なくとも一部は、Z軸方向に関して第1空間SP1よりも検出器4に近い第2空間SP2において移動する。
【0227】
本実施形態において、第2ステージ装置75は、上述の実施形態で説明したステージ装置3と同様の構成である。また、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムも、上述の実施形態で説明した計測システム28と同様の構成である。
【0228】
第1ステージ装置74は、ステージ76と、ステージ76を駆動する駆動システム77とを含む。ステージ76は、測定物を保持可能なテーブル78と、テーブル78を移動可能に支持する第1可動部材79と、第1可動部材79を移動可能に支持する第2可動部材80とを含む。第1可動部材79は、例えばX軸方向等に移動可能である。第2可動部材80は、例えばY軸方向等に移動可能である。
【0229】
本実施形態において、駆動システム77は、テーブル78を回転する回転駆動装置と、第1可動部材79を移動する第1駆動装置と、第2可動部材79を移動する第2駆動装置とを含む。
【0230】
本実施形態において、第1、第2可動部材79、80が移動することによって、テーブル78は、X軸、Y軸、θX、θY、及びθZ方向の5つの方向に移動可能である。本実施形態において、テーブル78は、Z軸方向に関してほぼ移動しない。なお、テーブル78が、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能でもよい。
【0231】
本実施形態において、第1ステージ装置74の駆動システム77が有するアクチュエータの分解能は、第2ステージ装置75の駆動システムが有するアクチュエータの分解能よりも高い。本実施形態において、駆動システム77は、例えばリニアモータ、平面モータ、ボイスコイルモータ等、ローレンツ力によって作動するアクチュエータを含む。
【0232】
なお、第1ステージ装置74の駆動システム77が有するアクチュエータの分解能と、第2ステージ装置75の駆動システムが有するアクチュエータの分解能とが同じでもよい。
【0233】
本実施形態において、検出装置1Mは、第1空間SP1に配置され、ステージ76の位置を計測する計測システム81を有する。本実施形態において、計測システム81は、エンコーダシステムを含む。
【0234】
計測システム81は、テーブル78の回転量(θY方向に関する位置)を計測するロータリーエンコーダと、第1可動部材79の位置を計測するリニアエンコーダと、第2可動部材14の位置を計測するリニアエンコーダとを有する。
【0235】
本実施形態において、第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81の分解能は、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムの分解能よりも高い。分解能は、例えばエンコーダシステムのスケール部材の分解能を含む。スケール部材の分解能は、スケール部材の目盛の間隔を含む。すなわち、本実施形態において、第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81が有するスケール部材の目盛の間隔は、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムが有するスケール部材の目盛の間隔よりも小さい。
【0236】
本実施形態において、第1ステージ装置74の位置決め精度と、第2ステージ装置75とで、位置決めに関する精度が異なっていても構わない。位置決めに関する精度とは、ステージ装置の軸による位置決めにおいて、設定した目標位置に対して実際に停止した位置の正確さを含む。また、位置決めに関する精度には、例えば同一の目標位置に対して繰り返し位置決めを行い、毎回のズレ量を表す繰り返し位置決め精度を含んでいても構わない。
【0237】
なお、第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81の分解能と、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムの分解能とが同じでもよい。
【0238】
本実施形態においては、供給口7から第1空間SP1に供給された気体Gによって、第1空間SP1に配置される第1ステージ装置74の少なくとも一部の温度が調整される。
【0239】
また、本実施形態においては、供給口7から第1空間SP1に供給された気体Gによって、第1空間SP1に配置される計測システム81の少なくとも一部の温度が調整される。
【0240】
また、供給口7から第1空間SP1に供給された気体Gによって、X線源2、第1ステージ装置74、及び計測システム81のみならず、第1空間SP1に配置される部材の少なくとも一部の温度が調整される。
【0241】
以上説明したように、本実施形態においては、2つのステージ装置74、75を設けたので、第1ステージ装置74に保持された測定物、及び第2ステージ装置75に保持された測定物のそれぞれを測定することができる。換言すれば、第1空間SP1に配置される測定物、及び第2空間SP2に配置される測定物のそれぞれを測定することができる。X線源2に近い第1空間SP1に配置される測定物の像は、高倍率で検出器4に検出される。検出器4に近い第2空間SP2に配置される測定物の像は、第1空間SP1に配置される測定物の像よりも低倍率で検出される。したがって、望みの倍率に基づいて、2つのステージ装置74、75を使い分けることができる。
【0242】
また、本実施形態においては、第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81の分解能は、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムの分解能よりも高い。すなわち、高倍率用の第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81の分解能は、低倍率用の第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムの分解能よりも高い。したがって、測定物の像を高倍率で取得しようとする場合、検出精度の低下を抑制することができる。
【0243】
<第14実施形態>
次に、第14実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0244】
図18は、第14実施形態に係る検出装置1Nの一例を示す図である。図18に示すように、第1、第2ステージ装置74、75を有する検出装置1Lにおいて、仕切部100が無くてもよい。その場合においても、内部空間SPのうち、X線XLの照射方向(Z軸方向)に関してX線源2に近い第1空間SP1に配置される第1ステージ装置74、及び第1空間SP1よりも検出器4に近い第2空間SP2に配置される第2ステージ装置75の少なくとも一方を用いて、望みの倍率で測定物を検出することができる。また、第1ステージ装置74のステージ76の位置を計測する計測システム81の分解能を、第2ステージ装置75のステージの位置を計測する計測システムの分解能よりも高くすることによって、例えば、測定物の像を高倍率で取得しようとする場合、検出精度の低下を抑制することができる。
【0245】
なお、図18に示す例において、第1空間SP1に温度調整された気体Gを供給する供給口7は、X線源2に気体Gを供給してもよいし、第1空間SP1の第1ステージ装置74の少なくとも一部に気体Gを供給してもよい。なお、供給口7が、第2空間SP2の第2ステージ装置75の少なくとも一部に気体Gを供給してもよい。なお、供給口7が省略されてもよい。
【0246】
<第15実施形態>
次に、第15実施形態について説明する。図19は、第15実施形態に係る検出装置1Pの一例を示す図である。
【0247】
図19において、検出装置1Pは、内部空間SPを形成するチャンバ部材6と、X線源2と、ステージ装置300と、検出器4とを備えている。内部空間SPは、X線XLの照射方向に関してX線源2に近い第1空間SP1と、第1空間SP1よりも検出器4に近い第2空間SP2とを含む。
【0248】
本実施形態において、X線源2は、第1空間SP1に配置される。検出器4は、第2空間SP2に配置される。
【0249】
ステージ装置300は、測定物Sを保持して移動可能なステージ9と、ステージ9を移動する駆動システム10とを備えている。本実施形態において、ステージ9は、第1空間SP1及び第2空間SP2を移動する。
【0250】
また、本実施形態において、検出装置1Pは、第1空間SP1に温度調整された気体Gを供給する供給口7を備えている。供給口7は、X線源2に気体Gを供給可能である。また、供給口7は、第1空間SP1に配置されたステージ9の少なくとも一部に気体Gを供給可能である。
【0251】
ステージ9は、測定物Sを保持する保持部11を有するテーブル12と、テーブル12を移動可能に支持する第1可動部材13と、第1可動部材13を移動可能に支持する第2可動部材14と、第2可動部材14を移動可能に支持する第3可動部材15とを有する。
【0252】
駆動システム10は、第1可動部材13上においてテーブル12を回転させる回転駆動装置16と、第2可動部材14上において第1可動部材13をX軸方向に移動する第1駆動装置17と、第2可動部材14をY軸方向に移動する第2駆動装置18と、第3可動部材15をZ軸方向に移動する第3駆動装置19とを含む。
【0253】
ステージ装置300のステージ9及び駆動システム10は、上述の実施形態で説明したステージ装置3のステージ9及び駆動システム10と同様の構成である。
【0254】
検出装置1Pは、ベース部材26を有する。ベース部材26は、チャンバ部材6に支持される。本実施形態において、ベース部材26は、支持機構を介して、チャンバ部材6の内壁(内面)に支持される。ベース部材26の位置は、実質的に固定される。
【0255】
本実施形態において、検出装置1Pは、ステージ9の位置を計測する計測システム280を備えている。本実施形態において、計測システム280は、エンコーダシステムを含む。
【0256】
計測システム280は、テーブル12の回転量(θY方向に関する位置)を計測するロータリーエンコーダと、X軸方向に関する第1可動部材13の位置を計測するリニアエンコーダと、Y軸方向に関する第2可動部材14の位置を計測するリニアエンコーダとを有する。また、計測システム280は、Z軸方向に関する第3可動部材15の位置を計測するリニアエンコーダ320を有する。
【0257】
リニアエンコーダ320は、ベース部材26に配置されたスケール部材32Aと、第3可動部材15に配置され、スケール部材32Aの目盛を検出するエンコーダヘッド32Bとを含む。スケール部材32Aは、ベース部材26に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、第3可動部材15に固定されている。エンコーダヘッド32Bは、スケール部材32A(ベース部材26)に対する第3可動部材15の位置を計測可能である。
【0258】
本実施形態において、スケール部材32Aは、第1空間SP1及び第2空間SP2に配置される。本実施形態において、スケール部材32Aは、第1空間SP1に配置される第1部分321Aと、第2空間SP2に配置される第2部分322Aとを含む。
【0259】
本実施形態において、第1空間SP1におけるリニアエンコーダ320の分解能は、第2空間SP2におけるリニアエンコーダ320の分解能よりも高い。本実施形態において、第1空間SP1に配置される第1部分321Aの目盛の間隔は、第2空間SP2に配置される第2部分322Aの目盛の間隔よりも小さい。
【0260】
以上説明したように、本実施形態においては、ステージ9が第1空間SP1及び第2空間SP2を移動するため、そのステージ9で測定物を保持することによって、第1空間SP1に配置される測定物、及び第2空間SP2に配置される測定物のそれぞれを測定することができる。X線源2に近い第1空間SP1に配置される測定物の像は、高倍率で検出器4に検出される。検出器4に近い第2空間SP2に配置される測定物の像は、第1空間SP1に配置される測定物の像よりも低倍率で検出される。
【0261】
また、本実施形態においては、ステージ9の位置を計測するリニアエンコーダ320の分解能は、第1空間SP1における分解能のほうが、第2空間SP2における分解能よりも高い。したがって、測定物の像を高倍率で取得しようとする場合、検出精度の低下を抑制することができる。
【0262】
<第16実施形態>
次に、第16実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0263】
図20は、第16実施形態に係る検出装置1Qの一例を示す図である。図20は、内部空間SPを第1空間SP1と第2空間SP2とに分ける仕切部100Qの一例を示す。
【0264】
図20において、仕切部100Qは、X線XLの照射方向(Z軸方向)と交差する方向に気体を供給する気体供給部150を有する。本実施形態において、気体供給部150は、X線源2から射出されるX線XLの光路(X線路)の周囲の少なくとも一部に配置される。図20において、気体供給部150は、X線XLの光路に対して+Y側に配置される。気体供給部150は、気体を供給する複数の供給口を有する。気体供給部150は、X線XLの照射方向(X軸方向)と交差するY軸方向(−Y方向)に気体を供給する。
【0265】
本実施形態において、仕切部100Qは、気体供給部150と対向するように配置された気体回収部151を有する。気体回収部151は、X線XLの光路に対して−Y側に配置される。気体回収部151は、気体を回収(吸引)する複数の回収口を有する。気体回収部151は、気体供給部150からの気体の少なくとも一部を回収する。
【0266】
本実施形態において、気体供給部150からの気体の供給の少なくとも一部と並行して、気体回収部151からの気体の回収が行われる。本実施形態において、気体供給部150から供給された気体によって、所謂、気体カーテンが形成される。すなわち、本実施形態において、仕切部100Qは、気体カーテンを含む。気体カーテンによって、第1空間SP1及び第2空間SP2の一方から他方への流体の移動が抑制される。
【0267】
以上説明したように、本実施形態によれば、気体カーテンを含む仕切部100Qによって、第1空間SP1が温度変化しても、第2空間SP2の温度変化を抑制できる。
【0268】
<第17実施形態>
次に、第17実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0269】
図21は、第17実施形態に係る検出装置1Rの一例を示す図である。本実施形態に係る検出装置1Rは、温度調整された気体などを供給する供給口は設けられておらず、後述のように、第1空間SP1内の気体を排出する排出口が設けられている。図21に示されているように、内部空間SPは仕切部100により第1空間SP1と第2空間SP2とに分けられている。そして、チャンバ部材6には、第1空間SP1と外部空間RPとを連通する排気流路を画成する導管144が設けられている。導管144の第1空間SP1側の開口である排出口144Aは、X線源2の上方(+Y方向)に配置されている。導管144は、排出口144Aから上方(+Y方向)に向かって延在するように形成されている。
【0270】
X線源2の周りの気体が、X線源2の駆動によって発生する熱によって暖められると、X線源2の周りの気体は比重が小さくなって上昇する。ここで、上述のように、排出口144AがX線源2の上方に配置されるとともに、導管144が上方に向かって延びているため、X線源2の周りの暖められた気体を効率よく導管144を通じて外部空間RPに排出することができる。このとき、X線源2の周りの気体が入れ替わることになるので、第1空間SP1における局所的な温度上昇を抑えることができる。つまり、検出装置1Rの、第1空間SP1内に配置された部材の温度上昇を抑えることができ、それらの部材が熱変形する可能性を抑えることができる。これにより、検出装置1Rの検出精度の低下を抑えることができる。
【0271】
なお、排出口144Aは、必ずしもX線源2の上方に配置されていなくてもよく、例えば、X線源2の下方に配置されてもよい。この場合であっても、X線源2の周りの気体を排出口144Aを通じて外部空間RPに排出することができる。また、X線源2の周りの気体を排出口144Aに向かって移動させるために気流を生成する生成装置(例えば、送風器など)を設けてもよい。また、導管144は必ずしも直線状の形状でなくてもよく、必要に応じて任意の形状にしうる。また、導管144(及び排出口144A)は必ずしも1つでなくてもよく、チャンバ部材6に複数の導管144及び排出口144Aが形成されてもよい。
【0272】
なお、上述の第1〜第17実施形態においては、X線源2が、所謂、透過型であることとしたが、反射型でもよい。図22は、反射型のX線源2Lの一例を示す図である。
【0273】
図22において、X線源2Lは、フィラメント、及び導電子部材を含む電子射出部70と、ターゲット71とを備えている。本実施形態において、電子射出部70は、フィラメント及び導電子部材を収容するハウジング72を備えている。ターゲット71は、ハウジング72(電子射出部70)の外側に配置されている。電子射出部70の導電子部材は、フィラメントから発生した電子をターゲット71に導く。電子射出部70からの電子は、ターゲット71に衝突する。ターゲット71は、電子の衝突によりX線XLを発生する。
【0274】
本実施形態において、ターゲット71は、電子射出部70からの電子が照射される第1面71Aと、第1面71Aとは異なる方向を向く第2面71B及び第3面71Cを有する。本実施形態においては、第1面71Aに電子が照射されることによって、X線XLが発生する。
【0275】
なお、図22に示す例では、ターゲット71に温度調整された気体Gを供給する供給口7Lを有するノズル部材73が配置されている。本実施形態において、ノズル部材73は、第1面71Aに気体Gを供給する供給口7Lを有する第1ノズル部材73Aと、第2面71Bに気体Gを供給する供給口7Lを有する第2ノズル部材73Bとを含む。第1ノズル部材73Aの供給口7Lは、第1面71Aと対向する。第2ノズル部材73Bの供給口7Lは、第2面71Bと対向する。
【0276】
なお、第3面71Cに気体Gを供給する供給口7Lが配置されてもよい。なお、第1面71Aに気体Gが供給され、第2、第3面71B、71Cに気体Gが供給されなくてもよいし、第2面71Bに気体Gが供給され、第1、第3面71A、71Cに気体Gが供給されなくてもよいし、第3面71Cに気体Gが供給され、第1、第2面71A、71Bに気体Gが供給されなくてもよい。なお、第2、第3面71B、71Cに気体Gが供給され、第1面71Aに気体Gが供給されなくてもよいし、第1、第3面71A、71Cに気体Gが供給され、第2面71Bに気体Gが供給されなくてもよい。
【0277】
なお、上述の各実施形態においては、温度調整された気体がX線源に供給されることとしたが、例えばステージ装置の少なくとも一部に供給されてもよいし、計測システムの少なくとも一部に供給されてもよい。例えば、温度調整された気体が、計測システムのスケール部材に供給されてもよい。
【0278】
なお、上述の各実施形態において、X線源に向けて温度調整された気体を供給する第1の供給口と、ステージ装置の少なくとも一部に向けて温度調整された気体を供給する第2の供給口とが設けられてもよい。また、上述の各実施形態において、X線源に向けて温度調整された気体を供給する第1の供給口と、計測システムの少なくとも一部に向けて温度調整された気体を供給する第3の供給口とが設けられてもよい。
【0279】
なお、上述の各実施形態において、少なくともX線源からX線XLが射出されるときに、温度調整された気体がX線源に供給されることとしたが、X線源からX線XLが射出されているときであっても、例えば測定物を保持したステージの位置に基づいて、温度調整された気体の供給と供給停止とが行われてもよい。例えば、ステージがX線源に近い位置に配置される場合(Z軸方向に関するステージとX線源との距離が第1距離の場合)、温度調整された気体をX線源に供給し、ステージがX線源から遠い位置に配置される場合(Z軸方向に関するステージとX線源との距離が第1距離よりも長い第2距離の場合)、X線源に対する気体の供給を停止してもよい。あるいは、Z軸方向に関するステージとX線源との距離が、閾値より短い場合、温度調整された気体をX線源に供給し、閾値より長い場合、X線源に対する気体の供給を停止してもよい。換言すれば、測定物Sを高倍率で検出(測定)する場合、温度調整された気体をX線源に供給し、低倍率で検出(測定)する場合、X線源に対する気体の供給を停止してもよい。
【0280】
なお、上述の各実施形態においては、X線源から射出されるX線XLがX線であり、検出装置1がX線CT検査装置であることとしたが、X線源から射出される電磁波が、X線の波長とは異なる波長の電磁波であってもよい。つまり、X線源から射出される電磁波が、上述の超軟X線、軟X線、X線、硬X線などの(広義の)X線であってもよいことはもちろんであるが、測定物を透過しうる限りにおいて、これらの広義のX線よりも波長の長い電磁波、又は波長の短い電磁波であってもよい。上述の各実施形態で説明した各要素は、測定物を通過した透過電磁波を検出する装置であれば、X線の波長とは異なる波長の電磁波を用いる装置にも適用可能である。
【0281】
なお、上述の各実施形態においては、検出装置1がX線源を有することとしたが、X線源が検出装置1に対する外部装置でもよい。換言すれば、X線源が検出装置の少なくとも一部を構成しなくてもよい。
【0282】
<第18実施形態>
次に、第18実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0283】
第18実施形態においては、上述した検出装置1を備えた構造物製造システムについて説明する。
【0284】
図23は、構造物製造システム200のブロック構成図である。構造物製造システム200は、上述の位置計測装置100と、その位置計測装置100の計測対象のプローブ装置50と、設計装置110と、成形装置120と、制御装置(検査装置)130と、リペア装置140とを備える。本実施形態においては、構造物製造システム200は、自動車のドア部分、エンジン部品、ギア部品、及び回路基板を備える電子部品等の成形品を作成する。
【0285】
設計装置110は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置120に送信する。また、設計装置110は、作成した設計情報を制御装置130の後述する座標記憶部131に記憶させる。ここで、設計情報とは、構造物の各位置の座標を示す情報である。成形装置120は、設計装置110から入力された設計情報に基づいて上記構造物を作製する。成形装置120の成形工程は、鋳造、鍛造、及び切削等を含む。
【0286】
検出装置1は、測定した座標を示す情報を制御装置130へ送信する。また、プローブ装置50は、作成された構造物(被測定物)の座標を測定し、測定した座標を示す情報を制御装置130へ送信する。制御装置130は、座標記憶部131と、検査部132とを備える。座標記憶部131には、設計装置110により設計情報が記憶される。検査部132は、座標記憶部131から設計情報を読み出す。検査部132は、検出装置1から受信した座標を示す情報から、作成された構造物を示す情報(形状情報)を作成する。検査部132は、形状測定装置170から受信した座標を示す情報(形状情報)と座標記憶部131から読み出した設計情報とを比較する。検査部132は、比較結果に基づいて、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部132は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合、修復可能であるか否か判定する。修復できる場合、検査部132は、比較結果に基づいて、不良部位と修復量を算出し、リペア装置140に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
【0287】
リペア装置140は、制御装置130から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づいて、構造物の不良部位を加工する。
【0288】
図24は、構造物製造システム200による処理の流れを示したフローチャートである。まず、設計装置110が、構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS101)。次に、成形装置120は、設計情報に基づいて上記構造物を作製する(ステップS102)。次に、検出装置1は構造物の形状に関する座標を測定する(ステップS103))。次に制御装置130の検査部132は、検出装置1から作成された構造物の形状情報と、上記設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作成された否かを検査する(ステップS104)。
【0289】
次に、制御装置130の検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS105)。作成された構造物が良品である場合(ステップS106 YES)、構造物製造システム200はその処理を終了する。一方、作成された構造物が良品でない場合(ステップS106 NO)、制御装置130の検査部132は、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS107)。
【0290】
作成された構造物が修復できる場合(ステップS107 YES)、リペア装置140は、構造物の再加工を実施し(ステップS108)、ステップS103の処理に戻る。一方、作成された構造物が修復できない場合(ステップS107 YES)、構造物製造システム200はその処理を終了する。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0291】
以上により、上記の実施形態における形状測定装置170が構造物の座標を正確に測定することができるので、構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
【0292】
なお、上述の各実施形態において、測定物Sは産業用部品に限られず、人体等でもよい。また、上述の各実施形態において、X線装置1が医療用に用いられてもよい。
【0293】
上述の各実施形態においては、X線源及び検出装置を所定の位置に固定し、ステージを回転させ、測定物Sの像を取得しているが、走査方法はこれに限られない。X線源及び検出装置の一方が所定の位置に固定され、他方が移動可能でもよい。また、X線源及び検出装置の両方が、移動可能でもよい。
【0294】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用したX線検出装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【産業上の利用可能性】
【0295】
本発明は、本発明は、製造された構造物が良品であるか否かを判定できる構造物製造システムに適用することができる。これにより、製造された構造物の検査精度を向上させることができ、構造物の製造効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0296】
1…検出装置、2…X線源、3…ステージ装置、4…検出器、7…供給口、9…ステージ、36…調整装置、100…仕切部、R…基準部材、RP…外部空間、S…測定物、SP…内部空間、SP1…第1空間、SP2…第2空間、XL…X線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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