(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850737
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】結束バンド固定具の着脱治具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/32 20060101AFI20160114BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20160114BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20160114BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
H02G3/32
F16B21/04 K
F16L3/137
F16L3/08 D
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-279866(P2011-279866)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-132130(P2013-132130A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】西本 慎司
【審査官】
甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−156515(JP,U)
【文献】
特開昭62−007326(JP,A)
【文献】
特開平11−270749(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0290100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22− 3/40
F16B 21/00−21/20
F16L 3/00− 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基板部と、該基板部の上面に配設され配線コード又は配管を結束する結束バンドが挿通可能なバンド挿通部と、該バンド挿通部から両側に延出して該基板部に立設されたリブ部と、該基板部の裏面に連結部を介して配設され内部に電気配線コード又は流体の配管が配備された加工装置の骨格を形成するC型溝を有するフレームの、該C型溝中に挿入されてから回転することにより該基板部と共働して該フレームを挟み込む係止部と、を備えた結束バンド固定具を、該フレームに着脱する結束バンド固定具の着脱治具であって、
該着脱治具は、該結束バンド固定具の該バンド挿通部及び該リブ部を収容可能な凹部を底面に有する本体と、該本体に連結されて持ち手となる把持部を有するハンドルとから構成され、
該結束バンド固定具を該フレームに対して着脱する際、該バンド挿通部及び該リブ部を該着脱治具の該凹部に収容後、該ハンドルの該把持部を持って該着脱治具を回転させ、該結束バンド固定具の該係止部を該フレームの該C型溝に係止又は該C型溝から離脱させることを特徴とする結束バンド固定具の着脱治具。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記本体に形成された横方向貫通穴中に摺動可能に挿入された棒状部材から構成されることを特徴とする請求項1記載の結束バンド固定具の着脱治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束バンドを各種装置を構成するレール状のフレームに固定するための結束バンド固定具をフレームに着脱するために使用する結束バンド固定具の着脱治具に関する。
【背景技術】
【0002】
四方向にC型溝を有し所定の規格で形成されたアルミニウム合金製の構造材は、各種加工装置等の骨格を形成するフレームとして多く用いられている。切削装置、研削装置等の加工装置において、装置内部には様々な電気配線コードや液体及びエアの配管が配備されているが、配線コードや配管をフレームに固定する際には、ケーブルクランプ等と呼ばれる結束バンド固定具が多用されている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
この結束バンド固定具を使用すると、ケーブルで直接配線コードや配管とフレームを結束するより短い結束バンドで固定可能であり、フレームの一面に固定された結束バンド固定具に結束バンドを使用して配線コードや配管を固定するため、同様な位置のフレームの他の面に別の配線コードや配管を固定することも容易に可能となるので、加工装置又は工作機械分野等でよく使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1126502号公報
【特許文献2】実開平5−22813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この結束バンド固定具はフレームと強固に固定する目的で係止部の噛み合い交差が小さく形成されているため、係止部をC型溝中に挿入して捻ってフレームに固定する際又はフレームに固定されている結束バンド固定具をフレームから離脱させる際に非常に大きな力を入れる必要がある。
【0006】
しかも、この結束バンド固定具は一つの加工装置等の装置に多く用いられているため、装置製造の現場においてこの結束バンド固定具をフレームに固定する作業に多大な労力が必要となっていた。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、結束バンド固定具を装置のフレームに容易に着脱可能な結束バンド固定具の着脱治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、板状の基板部と、該基板部の上面に配設され配線コード又は配管を結束する結束バンドが挿通可能なバンド挿通部と、該バンド挿通部から両側に延出して該基板部に立設されたリブ部と、該基板部の裏面に連結部を介して配設され
内部に電気配線コード又は流体の配管が配備された加工装置の骨格を形成するC型溝を有するフレームの
、該C型溝中に挿入されてから回転することにより該基板部と共働して該フレームを挟み込む係止部と、を備えた結束バンド固定具を、該フレームに着脱する結束バンド固定具の着脱治具であって、該着脱治具は、該結束バンド固定具の該バンド挿通部及び該リブ部を収容可能な凹部を底面に有する本体と、該本体に連結されて持ち手となる把持部を有するハンドルとから構成され、該結束バンド固定具を該フレームに対して着脱する際、該バンド挿通部及び該リブ部を該着脱治具の該凹部に収容後、該ハンドルの該把持部を持って該着脱治具を回転させ、該結束バンド固定具の該係止部を該フレームの該C型溝に係止又は該C型溝から離脱させることを特徴とする結束バンド固定具の着脱治具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の着脱治具を用いると、結束バンド固定具を小さい力でフレームに対して容易に着脱可能に固定できるという効果を奏する。更に、着脱治具のハンドルを本体に対して摺動可能にすることで、着脱治具を回転させる際に、回転範囲の近傍に障害物等があった場合、障害物がない範囲でハンドルを回転後、ハンドルを本体に対して摺動させて反対方向に突出させてから、ハンドルを把持して更に回転を継続できるため、装置内部の構成が密になった小型化要求の高い装置の製造に用いる際に非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2(A)は本発明実施形態に係る結束バンド固定具の着脱治具の斜視図、
図2(B)はその底面側斜視図である。
【
図3】結束バンド固定具の使用例を示す加工装置の外観斜視図である。
【
図4】一面に結束バンド固定具が固定されたフレームの横断面図である。
【
図5】本発明の着脱治具を使用して結束バンド固定具をフレームに固定する様子を示す分解斜視図である。
【
図6】結束バンド固定具のバンド挿通部に挿通された結束バンドで配線コード又は配管を結束する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、結束バンド固定具10の斜視図が示されている。結束バンド固定具10は、板状の基板部12と、基板部12の上面に配設され配線コード又は配管を結束する結束バンドが挿通可能なバンド挿通部14と、バンド挿通部14の角部から両側に延出して基板部12に立設された一対のリブ部16と、連結部18(
図4参照)を介して基板部12の裏面に配設された係止部20とから構成される。
【0012】
基板部12の裏面と係止部20の表面との間隔は、結束バンド固定具10が装着されるC型溝を有するフレームの板厚より僅かばかり狭く形成されている。即ち、フレームの板厚との噛み合い交差が小さく形成されている。結束バンド固定具10はその全体が樹脂から一体的に形成されているのが好ましい。
【0013】
図2(A)を参照すると、本発明実施形態に係る結束バンド固定具の着脱治具22の斜視図が示されている。
図2(B)はその底面側斜視図を示している。着脱治具22の本体24は大径部24aと小径部24bとから構成される。
【0014】
本体大径部24aの底面には、
図2(B)に示すように、結束バンド固定具10のバンド挿通部14を収容する円形凹部26と、リブ部16を収容する凹部28が連続して形成されている。
【0015】
本体小径部24bの上端近傍には横方向貫通穴29が形成されており、この横方向貫通穴29中に棒状の把持部30aと両端の係止部30bとを有するハンドル30が挿入されている。ハンドル30は矢印A方向に摺動可能である。着脱治具22は例えばアルミニウム合金から形成されている。
【0016】
図3を参照すると、切削装置、研削装置等の加工装置32の外観斜視図が示されている。加工装置32の骨格は横断面が
図4に示すような形状のフレーム(構造材)34を組み合わせて構成されている。フレーム34の外側には外装カバー36が被せられている。
【0017】
フレーム34の適当箇所に結束バンド固定具10を本発明の着脱治具22を使用して固定し、結束バンド固定具10に挿入された結束バンドで配線コード又は配管を固定してフレーム34に沿って引き回すようになっている。
【0018】
図4を参照すると、フレーム(構造材)34の横断面図が示されている。フレーム34はアルミニウム合金から形成されており、その横断面は正方形となっている。フレーム34は四面を有しており、各面には一対の突出部38により画成された長手方向に伸長するC型溝40が形成されている。各面にC型溝40が長手方向に伸長して形成されているため、結束バンド固定具10はフレーム34の何れの面にも固定可能である。
【0019】
図5を参照して、本発明の着脱治具22を使用した結束バンド固定具10のフレーム34への固定方法について説明する。まず、結束バンド固定具10の係止部20をフレーム34のC型溝40に対して長手方向に平行にしてC型溝40中に挿入する。
【0020】
次いで、結束バンド固定具10のバンド挿通部14及びリブ部16を着脱治具22の凹部26,28中に挿入し、着脱治具20のハンドル30の把持部30aを手で把持してハンドル30を矢印Rで示す左右何れかの方向に回転させる。
【0021】
これにより、結束バンド固定具10が強制的に回転されて基板部12と係止部20との間にフレーム34の突出部38を挟みこんで結束バンド固定具10がフレーム34に固定される。
【0022】
このように結束バンド固定具10をフレーム34に固定した後、
図6に示すように、結束バンド44をバンド挿通部14に挿通して、配線コード又は配管42を結束バンド44で結束する。
【0023】
フレーム34に固定されている結束バンド固定具10をフレーム34から離脱させる際には、着脱治具22の凹部26,28中に結束バンド固定具10のバンド挿通部14及びリブ部16を挿入してから、着脱治具22のハンドル30を回転することにより、結束バンド固定具10をフレーム34のC型溝40から容易に離脱させることができる。
【0024】
着脱治具22の棒状のハンドル30は横方向貫通穴29中を矢印Aで示す方向に摺動可能に挿入されていることから、着脱治具22を回転させる際に、回転範囲の近傍に障害物等があった場合、障害物がない範囲でハンドル30を回転後、ハンドル30を摺動させて反対方向に突出させ、突出したハンドル30の把持部30aを手で把持して回転を継続できるため、装置の内部が密になった箇所でも結束バンド固定具10をフレーム34に対して容易に着脱することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 結束バンド固定具
14 バンド挿通部
16 リブ部
20 係止部
22 着脱治具
24 本体
26,28 凹部
30 ハンドル
34 フレーム(構造材)
38 突出部
40 C型溝
42 配線コード又は配管
44 結束バンド