特許第5851970号(P5851970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5851970シリコーン樹脂組成物、並びにこれを用いたシリコーン積層基板とその製造方法、及びLED装置
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  • 特許5851970-シリコーン樹脂組成物、並びにこれを用いたシリコーン積層基板とその製造方法、及びLED装置 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851970
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】シリコーン樹脂組成物、並びにこれを用いたシリコーン積層基板とその製造方法、及びLED装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20160114BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20160114BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160114BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20160114BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20160114BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08K3/00
   C08J5/04CFH
   H01L33/00 400
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-237462(P2012-237462)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-88459(P2014-88459A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2014年11月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 紗以子
(72)【発明者】
【氏名】山口 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】柏木 努
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/119627(WO,A1)
【文献】 特開2010−089493(JP,A)
【文献】 特許第5667326(JP,B2)
【文献】 特開2009−079163(JP,A)
【文献】 特表2009−537992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00−83/16
C08J 5/00−5/24
C08K 3/00−3/40
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスクロス中に含浸させて硬化させることでシリコーン積層基板を製造するためのシリコーン樹脂組成物であって、
(A)RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を示す。)、及び、RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)からなり、RSiO1.5単位(ここで、RはR又はRである)で示されるT単位からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が4,000〜10,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン、
(B)RSiO1.5単位、RSiO単位及びRSiO(4−a−b)/2単位(ここで、Rは上記のとおりであり、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のアルケニル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、並びに
(D)充填剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して900質量部以下
を含有し、
前記(B)成分が、連続したRSiO単位を有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリコーン樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が、150℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
前記Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、前記Rが、ビニル基又はアリル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)及び(B)成分の一方又は両方が、シラノール基を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)成分は、
(D1)白色顔料以外の無機質充填剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して600質量部以下
(D2)白色顔料:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部
の一方又は両方を含むものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
前記(D2)成分が、二酸化チタン若しくは酸化亜鉛又はそれらを組み合わせたものであることを特徴とする請求項に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項7】
前記シリコーン樹脂組成物が、室温で固体状であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項8】
ガラスクロスと、該ガラスクロス中に含浸されたシリコーン樹脂組成物の硬化物とを有してなるシリコーン積層基板であって、
前記シリコーン樹脂組成物が、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物であることを特徴とするシリコーン積層基板。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物を溶剤に溶解・分散させた状態でガラスクロスに含浸させる工程と、
該ガラスクロスから前記溶剤を蒸発させて除去する工程と、
該ガラスクロスに含浸された前記シリコーン樹脂組成物を加圧成型下で加熱硬化させる工程と
を備えることを特徴とするシリコーン積層基板の製造方法。
【請求項10】
請求項に記載のシリコーン積層基板と、
該シリコーン積層基板上に実装されたLEDチップと
を備えることを特徴とするLED装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン樹脂組成物、並びにこれを用いたシリコーン積層基板とその製造方法、及びこのシリコーン積層基板を用いたLED装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの実装基板または電気電子部品などの実装基板としては、エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたものが多く使われているが、鉛フリーおよびLEDの高輝度化によるLED素子自体の発熱量の増大により、基板が劣化する問題がある。このようなことから、より高い耐熱性および耐候性が求められている。
【0003】
さらに、電子機器の高機能化に伴い、電子部品の高密度集積化や高密度実装化が図られており、積層基板の薄層化が求められているが、薄層化により反りが発生し、接続不良といった不具合が発生するという問題があった。基板の反りは、一般に熱膨張率の小さい無機フィラーを大量に充填し、基板全体の熱膨張率を低下させる方法が用いられてきたが、流動性の低下や、ドリル加工性の低下など、多くの問題が発生し易い(特許文献1参照)。そのため、樹脂の改良による熱膨張率の低下が検討されている。
【0004】
近年、耐熱性、耐候性等の特性に優れているシリコーン積層基板をLEDの実装基板または電気電子部品等の実装基板として使用することが検討されている(特許文献2参照)。しかし、シリコーン樹脂は、従来の実装基板に用いられているエポキシ樹脂と比較して、ガラス転移温度が低いため、薄層化による反りが発生し易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−182851号公報
【特許文献2】特開2010−89493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ガラス転移温度が高いシリコーン樹脂組成物、およびこれを用いた熱膨張率が低く、反りや変形が抑制された、耐熱性、耐候性等の特性に優れたシリコーン積層基板とその製造方法、及びLED装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、
ガラスクロス中に含浸させて硬化させることでシリコーン積層基板を製造するためのシリコーン樹脂組成物であって、
(A)RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を示す。)、及び、RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)からなり、RSiO1.5単位(ここで、RはR又はRである)で示されるT単位からなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン、
(B)RSiO1.5単位、RSiO単位及びRSiO(4−a−b)/2単位(ここで、Rは上記のとおりであり、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のアルケニル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、並びに
(D)充填剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して900質量部以下
を含有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物を提供する。
【0008】
このようなシリコーン樹脂組成物は、T単位からなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン((A)成分)を含有するので、その硬化物は高いガラス転移温度を有し、これを用いて製造されたシリコーン積層基板は、熱膨張率が低く、反りや変形が抑制され、耐熱性、耐侯性等の特性に優れたものとなる。
【0009】
また、前記シリコーン樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は、150℃以上であることが好ましい。
【0010】
硬化物がこのような高いガラス転移温度を有するシリコーン樹脂組成物であれば、耐熱性が高く、確実に反りや変形を抑制できるシリコーン積層基板を製造するのにより好適なものとすることができる。
【0011】
また、このとき、前記Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、前記Rが、ビニル基又はアリル基であることが好ましい。
【0012】
このようなシリコーン樹脂組成物であれば、シリコーン積層基板を製造するのにより好適に用いることができる。
【0013】
前記(A)及び(B)成分の一方又は両方が、シラノール基を含有するものであることが好ましい。
【0014】
このようなものであれば、高い接着性を有するので、より好適に用いることができる。
【0015】
また、前記(B)成分が、連続したRSiO単位を有するものであることが好ましい。
【0016】
このようなものであれば、ポリマー分子をRSiO1.5単位等による分岐構造を有するとともに、RSiO単位の連続により直鎖状にも延伸させることができる。
【0017】
前記(D)成分は、
(D1)白色顔料以外の無機質充填剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して600質量部以下
(D2)白色顔料:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部
の一方又は両方を含むものであることが好ましい。
【0018】
このようなシリコーン樹脂組成物であれば、効率よくシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の強度を向上させることができるとともに、目的に応じて白色とすることができ、シリコーン積層基板を製造するのにより好適に用いることができる。
【0019】
前記(D2)成分が、二酸化チタン若しくは酸化亜鉛又はそれらを組み合わせたものであることが好ましい。
【0020】
これらは、基板を効率よく白色にすることができ、光学装置用に好適なものとすることができる。
【0021】
さらに、前記シリコーン樹脂組成物が、室温で固体状であることが好ましい。
【0022】
このようなシリコーン樹脂組成物であれば、取り扱いが容易であり、シリコーン積層基板を製造するのにより好適に用いることができる。
【0023】
また、本発明では、ガラスクロスと、該ガラスクロス中に含浸されたシリコーン樹脂組成物の硬化物とを有してなるシリコーン積層基板であって、
前記シリコーン樹脂組成物が、上述のシリコーン樹脂組成物であることを特徴とするシリコーン積層基板を提供する。
【0024】
このようなシリコーン積層基板であれば、熱膨張率が低く、反りや変形が抑制され、耐熱性、耐候性等の特性に優れたものとなる。
【0025】
また、上記のシリコーン樹脂組成物を溶剤に溶解・分散させた状態でガラスクロスに含浸させる工程と、
該ガラスクロスから前記溶剤を蒸発させて除去する工程と、
該ガラスクロスに含浸された前記シリコーン樹脂組成物を加圧成型下で加熱硬化させる工程と
を備えるシリコーン積層基板の製造方法を提供する。
【0026】
このようなシリコーン積層基板の製造方法であれば、反りや変形が抑制され、耐熱性、耐候性等の特性に優れたシリコーン積層基板を容易に製造することができる。
【0027】
上記のシリコーン積層基板と、
該シリコーン積層基板上に実装されたLEDチップと
を備えるLED装置を提供する。
【0028】
このようなLED装置であれば、耐熱性、耐候性等の特性に優れたLED装置として好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るシリコーン樹脂組成物であれば、高いガラス転移温度を有し、熱膨張が低く、耐熱性、耐候性等の特性に優れたシリコーン積層基板を製造するのに好適に用いることができる。従って、これを用いて作製されたシリコーン積層基板は、たとえばLED等発光装置用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明のLED装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、熱膨張率が低く、反りや変形が抑制され、耐熱性、耐候性等の特性に優れたシリコーン積層基板を製造するための、ガラス転移温度が高いシリコーン樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0032】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、
ガラスクロス中に含浸させて硬化させることでシリコーン積層基板を製造するためのシリコーン樹脂組成物であって、
(A)RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を示す。)、及び、RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)からなり、RSiO1.5単位(ここで、RはR又はRである)で示されるT単位からなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン、
(B)RSiO1.5単位、RSiO単位及びRSiO(4−a−b)/2単位(ここで、Rは上記のとおりであり、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のアルケニル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、並びに
(D)充填剤:(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して900質量部以下
を含有するものであるシリコーン樹脂組成物であれば、高いガラス転移温度を有し、これを用いて製造されたシリコーン積層基板は、熱膨張率が低く、反りや変形が抑制され、耐熱性、耐候性等の特性に優れたものとなることを見出した。
【0033】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書において、「室温」とは15〜30℃の温度を意味する。「半固体」とは、可塑性を持ちながら流動性を持たない性質を有し、温度・応力・歪みなどの外部からのストレスによって液体又は固体の性質を呈する状態であることを意味する。また、Phはフェニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、Viはビニル基を示す。
【0034】
(シリコーン樹脂組成物)
本発明のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)〜(D)成分を含み、本発明のシリコーン積層基板を製造するのに好適に使用される。本発明の組成物は室温で固体状であることが好ましく、室温で可塑性の固体であることがより好ましい。室温で固体状の組成物は、取り扱いが容易である。
以下、本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
【0035】
−(A)成分−樹脂構造のオルガノポリシロキサン−
本発明の組成物の重要な構成成分である(A)成分は、RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を示す。)、及び、RSiO1.5単位(ここで、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)からなり、
前記RSiO1.5単位とRSiO1.5単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンである。
【0036】
前記(A)成分は、RSiO1.5単位(ここで、RはR又はRである)で示されるT単位からなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンである。なお、Rが分岐状のアルキル基又は環状のアルキル基(シクロアルキル基)である場合、炭素数は3〜10である。
【0037】
なお、上記のRSiO1.5単位とRSiO1.5単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなる構造とは、下記一般式(1):
【0038】
【化1】
(ここで、mは36〜360、nは4〜40の整数)
で表されるT単位からなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン連鎖構造を意味する。
【0039】
(A)成分の分子中においては、RSiO1.5単位とRSiO1.5単位はポリマー分子を分岐させ或いは三次元網状化させる。RSiO1.5単位のR(特に、ビニル基又はアリル基)は、後述する(B)成分のRSiO(4−a−b)/2単位のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)とヒドロシリル化付加反応することにより、本発明の組成物を硬化させる役割を果たす。
【0040】
(A)成分を構成する必須の二種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO1.5単位:RSiO1.5単位のモル比は、95〜50:50〜5、特に90〜70:30〜10(但し、合計で100)であることが得られる硬化物の特性上好ましい。
【0041】
また、この(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は1,000〜100,000、特に4,000〜10,000の範囲にある固体もしくは半固体状のものが好適である。
【0042】
このような樹脂構造のオルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、上記モル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解及び縮合を行うことによって合成することができる。
【0043】
ここで、RSiO1.5単位の原料としては、MeSiCl、EtSiCl、PhSiCl、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン等が例示することができる。
【0044】
SiO1.5単位の原料としては、ViSiCl等のビニル基又はアリル基を有するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン等が例示することができる。
【0045】
なお、本発明において、(A)成分のオルガノポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、RSiO1.5単位は、その末端がシラノール基又はメトキシ基であるシロキサン単位であってもよい。この場合、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、シラノール基又はメトキシ基を含有することがある。
【0046】
また、本発明において、(A)成分のオルガノポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、RSiO1.5単位、RSiO1.5単位又はこれらの2種以上の組合せ中に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれてもよい。(A)成分のオルガノポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)程度含有することができる。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、(HO)SiO1.5単位、R(HO)SiO単位、R(HO)SiO0.5単位、R(HO)SiO単位、R(HO)SiO0.5単位が挙げられる。
【0047】
−(B)成分−樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン−
本発明の組成物の重要な構成成分の一つである(B)成分は、RSiO1.5単位、RSiO単位及びRSiO(4−a−b)/2単位(ここで、Rは上記のとおりであり、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)からなり、
上記RSiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜50個、好ましくは8〜40個、更に好ましくは10〜35個である直鎖状のシロキサン構造を部分的に含有する樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0048】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの末端は、シラノール基又はメトキシ基であってもよい。
【0049】
なお、上記のRSiO単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜50個である構造とは、下記一般式(2):
【0050】
【化2】
(ここで、mは5〜50の整数)
で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を形成していることを意味する。
【0051】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中に存在するRSiO単位全体の少なくとも一部、好ましくは50モル%以上(50〜100モル%)、特には80モル%以上(80〜100モル%)が、分子中でかかる一般式(2)で表される連鎖構造を形成していることが好ましい。連続したRSiO単位を有することにより、部分的に架橋点間距離が長くなり、可とう性を付与することができるので、硬化物の脆さが改善され、ガラスクロスや銅箔への高い接着性を有する。
【0052】
(B)成分の分子中においては、RSiO単位はポリマー分子を直鎖状に延伸するように働き、RSiO1.5単位はポリマー分子を分岐させ或いは三次元網状化させる。RSiO(4−a−b)/2単位の中のケイ素に結合した水素原子は、上述した(A)成分が有するアルケニル基とヒドロシリル化付加反応することにより本発明の組成物を硬化させる役割を果たす。
【0053】
(B)成分を構成する必須の三種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO1.5単位、RSiO単位、RSiO(4−a−b)/2単位のモル比はそれぞれ90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが得られる硬化物特性上好ましい。
特に、RSiO1.5単位:RSiO単位モル比が70〜30:30〜70(但し、合計で100)であれば、硬化物の脆さが改善され、ガラスクロスや銅箔への高い接着性を有する。
【0054】
また、この(B)成分のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあるものが作業性、硬化物の特性などの点から好適である。
【0055】
このような樹脂構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で上記三種のシロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解を行うことによって合成することができる。
【0056】
ここで、RSiO1.5単位の原料としては、MeSiCl、EtSiCl、PhSiCl、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシランに対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン等を例示することができる。
【0057】
SiO単位の原料としては、
ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl、
ClMeSiO(MeSiO)(PhMeSiO)SiMeCl、
ClMeSiO(MeSiO)(PhSiO)SiMeCl、
HOMeSiO(MeSiO)SiMeOH、
HOMeSiO(MeSiO)(PhMeSiO)SiMeOH、
HOMeSiO(MeSiO)(PhSiO)SiMeOH、
MeOMeSiO(MeSiO)SiMeOMe、
MeOMeSiO(MeSiO)(PhMeSiO)SiMeOMe、
MeOMeSiO(MeSiO)(PhSiO)SiMeOMe
(但し、j=3〜48の整数(平均値)、かつk=0〜47の整数(平均値)、L=1〜48の整数(平均値)、かつk+L=3〜48の整数(平均値))
等を例示することができる。
【0058】
また、RSiO(4−a−b)/2単位は、RHSiO単位、RHSiO0.5単位、HSiO単位、RSiO0.5単位から選ばれる1種のシロキサン単位又は2種以上のシロキサン単位の組み合わせであることを示す。その原料としては、MeHSiCl、MeHSiCl、PhHSiCl、PhHSiCl等のクロロシラン類、これらのクロロシラン類のそれぞれに対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン類等を例示することができる。
【0059】
なお、本発明において、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、RSiO1.5単位は、その末端がシラノール基又はメトキシ基であるシロキサン単位であってもよい。この場合、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、シラノール基又はメトキシ基を含有することがある。
【0060】
また、本発明において、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、RSiO1.5単位、RSiO単位、RSiO(4−a−b)/2単位又はこれらの2種以上の組合せ中に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれる。(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)程度含有することがある。上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、(HO)SiO1.5単位、R(HO)SiO単位、(HO)SiO単位、H(HO)SiO単位、H(HO)SiO0.5単位、RH(HO)SiO0.5単位、H(HO)SiO0.5単位が挙げられる。
【0061】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中のアルケニル基の合計量に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)がモル比で0.1〜4.0となる量、特に好ましくは0.5〜3.0となる量、更に好ましくは0.8〜2.0となる量である。0.1未満では硬化反応が進行せず、シリコーン樹脂組成物の硬化物を得ることが困難であり、4.0を超えると未反応のSiH基が硬化物中に多量に残存するため、シリコーン樹脂組成物の硬化物の物性が経時的に変化する原因となる。
【0062】
本発明では、接着性付与のために(A)及び(B)成分の一方又は両方がシラノール基を含有するものであることが好ましい。該シラノール基を有するシロキサン単位の量は、(A)成分のオルガノポリシロキサンまたは(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、全シロキサン単位に対して40モル%以下(0〜40モル%)程度である。
【0063】
(C)成分−白金族金属系触媒−
この触媒成分は、本発明の組成物の付加硬化反応を生じさせるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがある。該触媒としてはヒドロシリル化反応を促進するものとして従来公知であるいずれのものも使用することができる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、HPtCl・pHO,KPtCl,KHPtCl・pHO,KPtCl,KPtCl・pHO,PtO・pHO,PtCl・pHO,PtCl,HPtCl・pHO(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができ、これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0064】
(C)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、前記(A)成分及び(B)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲である。
【0065】
(D)成分−充填剤−
(D)成分の充填剤は、本発明のシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の強度を向上させることを目的として、本発明の組成物に添加される。(D)成分としては、公知の充填剤であればいずれのものであってよく、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、アルミナ、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。補強性無機質充填剤としては、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ類、ヒュームド二酸化チタン、アルミナ、窒化アルミ等が挙げられる。非補強性無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、酸化亜鉛等を挙げられる。(D)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
【0066】
(D)成分の配合量は、得られるシリコーン積層基板の線膨張率および強度の観点から、(A)および(B)成分の合計量100質量部当り900質量部以下(0〜900質量部)の範囲であり、600質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることが好ましく、10〜600質量部、特には50〜500質量部の範囲であることがより好ましい。
【0067】
下記の(D1)及び/又は(D2)成分を含有する充填剤は、(D)成分として本発明のシリコーン積層基板に好適に用いられ、LED装置に用いるシリコーン積層基板に特に好適に用いられる。
(D1)無機質充填剤
(D1)は、白色顔料以外の無機質充填剤であり、本発明のシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の機械的強度を向上させることを目的として、本発明の組成物に添加される。(D1)成分としては、通常、シリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができ、公知の無機質充填剤であればいずれのものであってもよく、例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられ、とくに、溶融シリカ、溶融球状シリカが好ましい。(D1)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
【0068】
(D1)成分の平均粒径および形状は特に限定されない。(D1)成分の平均粒径は、通常0.5〜50μmであるが、得られるシリコーン樹脂組成物の成型性および流動性からみて、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(D1)成分の無機質充填剤は、樹脂と無機質充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものであってもよい。このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
また、(D1)成分の無機質充填剤は、該無機質充填剤を有機溶剤に分散させたスラリーの状態でも本発明の組成物に添加することができる。
【0069】
(D1)成分の配合量は、得られるシリコーン積層基板の線膨張率および強度の観点から、(A)および(B)成分の合計量100質量部当り600質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることが好ましく、10〜600質量部、とくには50〜500質量部の範囲であることがより好ましい。
【0070】
(D2)白色顔料
(D2)成分は白色顔料であり、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物を白色にするための白色着色剤として用いられる。(D2)成分は、得られるシリコーン積層基板が光を反射することが必要である場合には、該シリコーン積層基板の光反射率を上げることを目的として、本発明の組成物に添加されるが、特に光を反射することを必要としないシリコーン積層基板を得る場合には本発明の組成物に添加されないこともある。ここで、「シリコーン積層基板が光を反射することが必要である」とは、後述のとおり、該シリコーン積層基板は光反射率が全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)であることをいう。(D2)成分としては、従来から一般的に使用されている公知の白色顔料であれば制限なく使用できるが、好適には二酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウムまたはこれらの2種以上の組み合わせが用いられる。該組み合わせとしては、二酸化チタンと具体的に例示された他の白色顔料の少なくとも1種との組み合わせが挙げられる。これらのうち、二酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウムがより好ましく、二酸化チタンが更により好ましい。二酸化チタンの結晶形はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、ルチル型が好ましく使用される。
【0071】
白色顔料は、平均粒径が、0.05〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。また、(D2)成分の白色顔料と(A)および(B)成分の樹脂成分ならびに(D1)成分の無機質充填剤との混合性および分散性を高めるため、(D2)成分の白色顔料を、Alの水酸化物、Siの水酸化物などの水酸化物等で予め表面処理してもよい。なお、平均粒径は、上述のとおり、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。(D2)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
【0072】
(D2)成分の配合量は、(A)および(B)成分の合計量100質量部当り1〜300質量部であることが好ましく、3〜200質量部であることがより好ましく、10〜150質量部であることが特に好ましい。該配合量が1質量部未満では、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物の白色度が十分とはならない場合がある。該配合量が300質量部を超えると、本発明のシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の機械的強度を向上させることを目的として添加される(D1)成分の無機質充填剤の全充填剤に占める割合が低くなりすぎる場合がある。なお、(D2)成分の白色顔料の量は、シリコーン樹脂組成物全体において1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更により好ましい。
【0073】
−その他の成分‐
本発明の組成物には、上述した(A)〜(D)成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。
【0074】
接着助剤
本発明の組成物には、接着性を付与するため、接着助剤(接着性付与剤)を必要に応じて添加できる。接着助剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマーや、下記一般式(3)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、その加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)及びこれらの2種以上の組合せなどが挙げられる。
【0075】
【化3】
(式中、Rは、下記式(4)
【0076】
【化4】
(ここでRでは水素原子又は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であり、vは1〜6、特に1〜4の整数である。)
で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、Rの少なくとも1個は式(4)の有機基である。)
【0077】
一般式(3)におけるRの脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基などの炭素原子数6〜8のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、式(4)におけるRの一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、上記Rについて例示したアルケニル機及びシクロアルケニル基、さらにフェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
【0078】
さらに、接着助剤としては、1,5−ビス(グリシドキシプロピル)−1,3,5,7−テトメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等、並びに、下記式に示される化合物が例示される。
【0079】
【化5】
(式中、g及びhは各々0〜50の範囲の整数であって、しかもg+hが2〜50、好ましくは4〜20を満足するものである。)
【0080】
【化6】
【0081】
【化7】
【0082】
上記の有機ケイ素化合物のうち、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物に特に良好な接着性をもたらす化合物は、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基と、アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物である。
【0083】
接着助剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度である。該配合量が多すぎると、シリコーン樹脂組成物の硬化物の硬度に悪影響を及ぼしたり表面タック性を高めたりする恐れがある。
【0084】
硬化抑制剤
本発明のシリコーン樹脂組成物には必要に応じて適宜硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤は(A)成分100質量部当たり通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部添加される。
【0085】
−調製−
本発明のシリコーン樹脂組成物は、所要の成分を均一に混合することによって調製される。通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行う。勿論、前述してアセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、(A)〜(C)成分を均一に混合してベース組成物を得て、このベース組成物にトルエン、キシレン、ヘプタン等の溶剤を加えたのち、更に(D)成分を添加することにより、溶液または分散液として調製してもよい。(D)成分は、(D1)及び/又は(D2)成分を含有し、該シリコーン樹脂組成物は、(A)〜(C)成分を均一に混合してベース組成物を得た。このベース組成物にトルエン、キシレン、ヘプタン等の溶剤を加えた後、更に(D1)及び/又は(D2)成分を添加することにより、分散液として調製してもよい。
【0086】
ガラス転移温度
一般に、シリコーン樹脂組成物は、熱衝撃サイクルテストの基準を満たすことが求められており、当該テストは−60℃〜140℃の温度範囲で実施されるものである。従って、150℃以上のガラス転移温度を有する本発明のシリコーン樹脂組成物であれば、当該テストを有効にクリアすることができる。
【0087】
(シリコーン積層基板)
本発明のシリコーン積層基板は、
ガラスクロスと、
前記ガラスクロス中に充填され、かつ、前記ガラスクロス表面を被覆するシリコーン樹脂組成物の硬化物と
を有してなるシリコーン積層基板である。
シリコーン積層基板の厚さは、該基板の用途や該基板の製造に用いるガラスクロスの厚さ等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。なお、シリコーン積層基板としては、例えば、LED装置用シリコーン積層基板、電気電子部品等の実装用シリコーン積層基板が挙げられる。
【0088】
本発明の一実施形態において、上記シリコーン積層基板は、LED装置に用いるシリコーン積層基板であって、(D)成分の充填剤は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して600質量部以下の(D1)成分と、場合により(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部の(D2)成分とを含有する。本発明のLED装置に用いるシリコーン積層基板は、光反射率が全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)、より好ましくは85〜99%である。本発明において、光反射率は、例えば、光反射率測定器X−rite 8200(積分球分光光度計、X−rite社(US)製)等により測定される。なお、本発明において、可視光領域とは400〜700nmの領域を意味する。
【0089】
また、本発明のLED装置に用いるシリコーン積層基板は、温度200℃、23時間加熱し耐熱変色試験を行った後の光反射率が、全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)、より好ましくは85〜98%である。
【0090】
−ガラスクロス−
ガラスクロスは特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、石英ガラスクロス、無アルカリガラスクロス、高引張強度のTガラスクロスを用いることができる。ガラスクロスはシート状であって、その厚さは、本発明のシリコーン積層基板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、10〜2,000μm、好ましくは10〜1,000μm、より好ましくは20〜300μmである。本発明のシリコーン積層基板においては、ガラスクロスの厚さは、該シリコーン積層基板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。
【0091】
−シリコーン樹脂組成物の硬化物−
上述した(A)〜(D)成分を含むシリコーン樹脂組成物をガラスクロス中に含浸させて硬化することで、硬化物が上記ガラスクロス中に充填され、かつ、該ガラスクロス表面を被覆することになる。本発明のシリコーン積層基板において、該硬化物はガラスクロスの片面のみを被覆しても両面を被覆してもよいが、該ガラスクロスの両面を被覆することが好ましい。該ガラスクロス表面を被覆する硬化物の厚さは、本発明のシリコーン積層基板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。本発明のシリコーン積層基板においては、該ガラスクロス表面を被覆する硬化物の厚さは、本発明のシリコーン積層基板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは50〜2,000μm、より好ましくは60〜1,000μmである。
【0092】
(シリコーン積層基板の製造方法)
本発明のシリコーン積層基板は、
上記(A)〜(D)成分を含むシリコーン樹脂組成物を溶剤に溶解・分散された状態でガラスクロスに含浸させ、
次に、該ガラスクロスから前記溶剤を蒸発させて除去し、
次に、該ガラスクロスに含浸された前記シリコーン樹脂組成物を加圧成型下で加熱硬化させる
ことにより得ることができる。ここで、(D)成分として、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して600質量部以下の(D1)成分と、場合により(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部の(D2)成分とを含有する充填剤を用いることにより、本発明のシリコーン積層基板を得ることができる。
【0093】
−溶剤−
溶剤は、上述したシリコーン樹脂組成物を溶解・分散させることができ、かつ、該組成物が未硬化または半硬化の状態に保持される温度で蒸発させることができるものであれば特に限定されず、例えば、沸点が50〜200℃、好ましくは80〜150℃の溶剤が挙げられる。LED装置用のシリコーン積層基板を製造する場合には、上述したシリコーン樹脂組成物を溶解・分散することができ、かつ、該組成物が未硬化または半硬化の状態に保持される温度で蒸発させることができるものであれば特に限定されず、例えば、沸点が50〜150℃、好ましくは60〜100℃の溶剤が挙げられる。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系非極性溶剤;エーテル類等が挙げられる。溶剤の使用量は、上述したシリコーン樹脂組成物が溶剤・分散し、得られた溶液または分散液をガラスクロスに含浸させることができる量であれば、特に制限されず、該シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは、10〜200質量部、より好ましくは20〜100質量部である。LED装置用のシリコーン積層基板を製造する場合には、上述したシリコーン樹脂組成物が溶解・分散し、得られた溶液または分散液をガラスクロスに含浸させることができる量であれば、特に制限されず、該シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは、10〜200質量部、より好ましくは50〜100質量部である。
【0094】
上述したシリコーン樹脂組成物の溶液または分散液は、例えば、ガラスクロスを該溶液または分散液に浸漬することにより、または、ガラスクロスの片面もしくは両面にディップ装置等を用いて塗布することにより、ガラスクロスに含浸させることができる。
【0095】
溶剤の蒸発は、例えば、上述したシリコーン樹脂組成物を溶剤に溶解・分散された状態で含浸させたガラスクロスを、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜100℃で放置させることにより行うことができる。適宜、オーブン、ドライヤー等の加熱装置を用いてもよい。
【0096】
加圧成型下での加熱硬化は、例えば、熱プレス機、真空プレス機等を用いて、好ましくは1〜100MPa、より好ましくは5〜50MPaの圧力下、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜180℃の温度下で行うことができる。加圧成型時間は、好ましくは10〜150分、より好ましくは40〜120分である。また、50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間のポストキュアを行うことができる。
【0097】
(LED装置)
本発明のLED装置は、本発明のシリコーン積層基板と、該基板上に実装されたLEDチップとを備える。図1は本発明のLED装置の一例を示す断面図である。図1に示すLED装置1において、本発明のシリコーン積層基板2上には陽極と陰極とからなる電極パターン3が作製され、電極パターンの一方の電極にダイボンディングペースト4を介してLEDチップ5がダイボンディングされている。LEDチップ5と電極パターン3の他方の電極との間にはボンディングワイヤー6が接続されている。電極パターン3の一部、LEDチップ5およびボンディングワイヤー6は透明封止体7によって封止されている。
【0098】
電極パターン3は、公知の方法で作製すればよく、例えば、本発明のシリコーン積層基板2と、該基板2の片面または両面に設けられた銅箔とを有する銅箔積層基板に対してエッチングなどを行うことにより作製することができる。ダイボンディングペースト4としては、例えば、銀ペーストなどが挙げられる。ボンディングワイヤー6としては、例えば、金線等が挙げられる。透明封止体7は、例えば、シリコーン封止剤、エポキシ封止剤などの公知の封止剤を、適宜所望の形状に成型して、硬化させることにより設けることができる。
【実施例】
【0099】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
【0100】
(合成例1)
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A1)−
PhSClで示されるオルガノシラン:562.1g(90モル%)、VCl:47.8g(10モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、T単位からなる三次元網状構造のビニル基含有樹脂(A1)を合成した。この樹脂は、重量平均分子量4000、ビニル基含有量は0.08モル/100gである。
【0101】
(合成例2)
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A2)−
PhSClで示されるオルガノシラン:499.6g(80モル%)、VCl:95.6g(20モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、T単位からなる三次元網状構造のビニル基含有樹脂(A2)を合成した。この樹脂は、重量平均分子量4200、ビニル基含有量は0.14モル/100gである。
【0102】
(合成例3)
−ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂(B1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl:40.3g(9.1モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は11000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
【0103】
(合成例4)
−ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂(B2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl:31.6g(9.1モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は9000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
【0104】
(実施例1)
合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A1):71g、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B1):129g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌してベース組成物を得た。このベース組成物に、溶剤としてトルエン290gを加え、さらにアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を395gおよび、酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm、(株)石原産業製)を10g加えて、シンキーミキサーで撹拌し、シリコーン樹脂組成物のトルエン分散液を調製した。
【0105】
このトルエン分散液にガラスクロス(日東紡製、厚さ:100μm)を浸漬することにより、該トルエン分散液を該ガラスクロスに含浸させた。該ガラスクロスを80℃で8分間放置することによりトルエンを蒸発させた。トルエンを蒸発させた後のガラスクロスの両面には、室温で固体の皮膜が形成されていた。該ガラスクロスを熱プレス機にて160℃20分間、その後200℃で70分間加圧成型してシリコーン積層基板を得た。また、前記ガラスクロスを銅箔(古河電気工業製、厚さ35μm)2枚の間に挟み、熱プレス機にて160℃20分間、その後200℃で70分間加圧成型して銅張積層基板を得た。
【0106】
(実施例2)
実施例1において、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B1)の代わりに、合成例4で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B2)を用いた以外は実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
【0107】
(実施例3)
実施例1において、合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A1)の代わりに、合成例2で得られたビニル基含有樹脂(A2):53gを用い、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B1):147gを用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
【0108】
(実施例4)
実施例3において、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B1)の代わりに、合成例4で得られたビニル基含有樹脂(B2)を用いた以外は、実施例3と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
【0109】
(比較例合成1)
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A3)−
特開2010−89493号公報の実施例を参考にし、RSiO1.5で示されるT単位構造以外のオルガノポリシロキサンを含有した、ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A3)を合成した。合成方法は、PhSiClで示されるオルガノシラン:952.5g(81.6モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:398.0g(9.1モル%)、MeViSiCl:37.8g(4.8モル%)、MeViSiCl:30.2g(4.5モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は14000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
【0110】
(比較例1)
実施例1において、T単位からなる三次元網状構造のビニル基含有樹脂(A1)の代わりに、T単位構造以外のオルガノポリシロキサンを含有した、ビニル基含有樹脂(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
【0111】
(比較例2)
実施例1で作製したシリコーン積層基板の代わりに、市販の白色ガラスエポキシ基板を用いて、耐熱変色性試験を行った。
【0112】
1.外観
得られたシリコーン積層基板の表面の均一性、即ち、該表面が平滑であるか、凹凸を有し不均一であるかどうかを目視により確認した。
【0113】
2.ガラス転移温度(Tg)
実施例及び比較例において調製した、シリコーン積層基板製造用シリコーン樹脂組成物のトルエン分散液を用いて、加熱オーブンにより熱硬化させ、1.0mm厚のシートを得、DMA装置(商品名:Q800型,(株)ティー・エイ・インスツルメント)を用いて動的粘弾性測定を行った。尚、ガラス転移温度は、1Hzにおいてtanδが最大値を示す温度とした。
【0114】
3.線膨張係数
得られた銅張積層基板の銅箔をエッチング処理によって除去したのち、JIS C 6484に従って熱機械分析TMA装置(商品名:TMA/SS6100,(株)エスアイアイ・ナノテクノロジー)を用いて、該基板に対して垂直な方向(Z方向)の線膨張係数を、ガラス転移温度よりも低い温度範囲および高い温度範囲において測定した。
【0115】
4.耐熱変色性
得られた銅張積層基板の銅箔をエッチング処理によって除去したのち、該積層基板表面の青色LEDの平均波長(470nm)における反射率を光反射率測定機X−rite 8200(積分球分光光度計、X−rite社(US)製)にて測定し、さらに200℃23時間加熱処理したのちの反射率も同様に測定した。
【0116】
これらの各測定結果を表1、2に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
表1が示すように、本発明に係るT単位からなる、三次元網状構造のビニル基含有樹脂を用いることで、従来のシリコーン積層基板製造用シリコーン樹脂組成物と比較して、ガラス転移温度が著しく高く、線膨張係数が低く、反りや変形が抑制された、シリコーン積層基板を得ることができた。
【0119】
【表2】
【0120】
表2が示すように、本発明のシリコーン積層基板は、汎用のエポキシ基板と比較して耐熱性の特性に著しく優れており、加工時の加熱およびLEDチップの発熱量の増大による基板の劣化を防ぐことができることが明確となった。
【0121】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0122】
1…LED装置、 2…シリコーン積層基板、 3…電極パターン、
4…ダイボンディングペースト、 5…LEDチップ、 6…ボンディングワイヤー、
7…透明封止体。
図1