(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記色見本検索部が、前記対象色推定部にて得た色彩推定値と前記色見本情報データに記憶された色見本の色彩値を比較することにより、色見本情報データに記憶した色見本から前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を所定の色差範囲において、前記色見本から前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を前記色彩推定値に近い順に所定個検索する
ことを特徴とする請求項1に記載の色選択補助装置。
色彩を施す前記対象用途と前記色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、
各着色物の透明性を示す着色物情報データと、
を前記記憶部がさらに記憶しており、
前記シミュレーション部が、
色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する前記対象用途に関する情報である対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得部と、
前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定部と、
前記色彩質感情報取得部で取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の色選択補助装置。
色彩を施す対象用途と色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、
各着色物の透明性を示す着色物情報データと、
をさらに記憶した前記記憶部を備えた装置において、
前記シミュレーションステップにおいて、
色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する対象用途に関する対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得ステップと、
前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定ステップと、
前記色彩質感情報取得ステップで取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理ステップと、
が実行される請求項8に記載の色選択補助方法。
色彩を施す対象用途と色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、
各着色物の透明性を示す着色物情報データと、
をさらに記憶した前記記憶部を備えたコンピュータシステムに、
前記シミュレーションステップにおいて、
色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する対象用途に関する対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得ステップと、
前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定ステップと、
前記色彩質感情報取得ステップで取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理ステップと、
を実行させる請求項10に記載の色選択補助プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すシステムは、撮影機器、撮影モード、光源の条件等の撮影条件ごとに変換パラメータを用意し、撮影した画像の参照色部分のRGB値と撮影条件ごとに予め準備された参照色部分のRGB値とを比較して、2つのRGB値が近い際の変換パラメータを選択する。そのため、室内のように撮影条件の範囲をある程度限定できる環境の場合はよいが、戸外で撮影した場合のように、撮影条件が多岐にわたるような場合、デザインに使う色を撮影した画像からその色を正確に再現することが困難である。特許文献2に示す方法では、グラフィックス画像といったイメージ画像の取り込みを想定していることから、戸外等で撮影した写真画像の特定色を再現するのには適していない。
【0007】
特許文献3に示す装置では、利用可能な塗色の選択は容易にできる。しかし、配色を行なう商品等の素材は、プラスチック、紙、金属などいろいろあり、これら素材、また、素材に着色するためのインキ等の着色剤の種類により、選択された塗色がその色の通り再現できないこともある。しかし、特許文献3に示す装置では、製品に用いる素材、インキの種類も考慮した場合、選択した色がどのように再現されるか確認することができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、デザインに使用したい色彩を見つけた際、その色彩を含んで撮影した写真画像から、その色彩をより正確に再現できる色選択補助装置、方法、及び、そのプログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、素材(原反)やインキ等の対象用途に対し、選択した色彩の再現結果を容易に確認できることで、色見本や色彩の選択を容易にする色選択補助装置、方法、及び、そのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の色選択補助装置は、色校正用カラーパッチの測色データ及び複数の色見本に対し、各色見本の色彩値を示す色見本情報データを記憶した記憶部と、前記色校正用カラーパッチが印刷された校正用カードを含めて撮影された写真画像であって、該写真画像より前記色校正用カラーパッチの位置を検出し、該色校正用カラーパッチの画像値を取得するパッチ画像値取得部と、前記測色データと前記色校正用カラーパッチの画像値より色校正を行った色彩値を求めるための行列を算出する推定行列算出部と、前記写真画像内において指定された位置の画像値を取得し、該取得した画像値と前記行列より、指定された位置の色彩推定値を求める対象色推定部と、前記対象色推定部にて得た色彩推定値と
前記記憶部に記憶した前記色見本の色彩値を示す前記色見本情報データを比較することにより、
前記記憶部に記憶した色見本から前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を所定の色差範囲において複数選択する色見本検索部と、前記色見本検索部が求めた前記色見本の前記色彩推定値に対応する色彩を、光源との関係から指定された使用用途の素材に対して色彩を施した際の状況を確認しやすい当該所定の湾曲面を有する立体に対して指定された対象用途に施した場合のレンダリング画像を生成するシミュレーション部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の色選択補助装置は、
前記色見本検索部が、前記対象色推定部にて得た色彩推定値と前記色見本情報データに記憶された色見本の色彩値を比較することにより、色見本情報データに記憶した色見本から
前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を所定の色差範囲において、前記色見本から前記色彩推定値に近い
色彩値の色彩の色見本を
前記色彩推定値に近い順に所定個検索することを特徴とする。
【0011】
本発明の上
記色選択補助装置は、前記記憶部が、前記校正用カード内において、特定位置に対する校正用カラーパッチの位置を示す校正用カードデータをさらに記憶し、前記パッチ画像値取得部は、前記写真画像上で利用者に指定された位置を、前記特定位置として、前記校正用カードデータに含まれるカラーパッチの位置を利用して、前記写真画像よりカラーパッチを抽出し、カラーパッチの画像値を取得する。
【0012】
本発明の第2の色選択補助装置は、色彩を施す前記対象用途と前記色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、各着色物の透明性を示す着色物情報データと、を前記記憶部がさらに記憶しており、前記シミュレーション部が、色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する前記対象用途に関する情報である対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物
情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得部と、前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定部と、前記色彩質感情報取得部で取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の上
記色選択補助装置は、前記レンダリング処理部で作成されたレンダリング画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された立体に対する利用者の移動・回転指示の入力により、前記立体の移動/回転行列を算出する立体移動算出部をさらに備え、前記レンダリング処理部は、前記移動/回転行列を用いて、移動・回転させた前記立体に対して、前記レンダリング用パラメータを用いて、レンダリング画像を作成する。
【0014】
本発明の上
記色選択補助装置は、前記記憶部が、複数の色見本に対し、各色見本の色彩値を示す色見本情報データをさらに記憶し、前記色彩を特定する特定情報は、前記色見本情報データ内の色見本より選択された色彩を特定する情報である。
【0015】
本発明の上
記色選択補助装置は、前記着色物情報データが、各着色物の耐性に関する情報をさらに含み、前記色彩質感情報取得部にて取得された着色物の組合せおよび該着色物の配合率を前記表示部に表示させる配合情報表示部と、前記色彩質感情報取得部にて取得された着色物に基づき、前記着色物情報データより該着色物の耐性に関する情報を取得し、該着色物に関する耐性の情報を前記表示部に表示させる着色物情報表示部をさらに備える。
【0016】
本発明の第1の色選択補助方法は、色校正用カラーパッチの測色データ及び複数の色見本に対し、各色見本の色彩値を示す色見本情報データを記憶した記憶部を備えた装置において、前記色校正用カラーパッチが印刷された校正用カードを含めて撮影された写真画像であって、該写真画像より前記色校正用カラーパッチの位置を検出し、該色校正用カラーパッチの画像値を取得するパッチ画像値取得ステップと、前記測色データと前記色校正用カラーパッチの画像値より色校正を行った色彩値を求めるための行列を算出する推定行列算出ステップと、前記写真画像内において指定された位置の画像値を取得し、該取得した画像値と前記行列より、指定された位置の色彩推定値を求める対象色推定ステップと、前記対象色推定ステップにて得た色彩推定値と
前記記憶部に記憶した前記色見本の色彩値を示す前記色見本情報データを比較することにより、
前記記憶部に記憶した色見本から前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を所定の色差範囲において複数選択する色見本検索ステップと、色見本検索ステップで求められた前記色彩推定値に対応する色彩を、光源との関係から指定された使用用途の素材に対して色彩を施した際の状況を確認しやすい当該所定の湾曲面を有する立体に対して指定された対象用途に施した場合のレンダリング画像を生成するシミュレーションステップとが実行されることを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の色選択補助方法は、色彩を施す対象用途と色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、各着色物の透明性を示す着色物情報データと、をさらに記憶した前記記憶部を備えた装置において、前記シミュレーションステップにおいて、色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する対象用途に関する対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物
情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得ステップと、前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定ステップと、前記色彩質感情報取得ステップで取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理ステップと、が実行されることを特徴とする。
【0018】
本発明の第1の色選択補助プログラムは、色校正用カラーパッチの測色データ
及び複数の色見本に対し、各色見本の色彩値を示す色見本情報データを記憶した記憶部を備えたコンピュータシステムに、前記色校正用カラーパッチが印刷された校正用カードを含めて撮影された写真画像であって、該写真画像より前記色校正用カラーパッチの位置を検出し、該色校正用カラーパッチの画像値を取得するパッチ画像値取得ステップと、前記測色データと前記色校正用カラーパッチの画像値より色校正を行った色彩値を求めるための行列を算出する推定行列算出ステップと、前記写真画像内において指定された位置の画像値を取得し、該取得した画像値と前記行列より、指定された位置の色彩推定値を求める対象色推定ステップと、前記対象色推定ステップにて得た色彩推定値と
前記記憶部に記憶した前記色見本の色彩値を示す前記色見本情報データを比較することにより、
前記記憶部に記憶した色見本から前記色彩推定値に近い色彩値の色彩の色見本を所定の色差範囲において複数選択する色見本検索ステップと、色見本検索ステップで求められた前記色彩推定値に対応する色彩を、光源との関係から指定された使用用途の素材に対して色彩を施した際の状況を確認しやすい当該所定の湾曲面を有する立体に対して指定された対象用途に施した場合のレンダリング画像を生成するシミュレーションステップとを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の色選択補助プログラムは、本発明の第1の色選択補助プログラムは、色彩を施す対象用途と色彩との組合せごとに、該対象用途にて該色彩を現すための着色物の組合せおよび該着色物の配合率、および、該対象用途の光学的な反射パラメータ、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値、を示す配合情報データと、各着色物の透明性を示す着色物情報データと、をさらに記憶した前記記憶部を備えたコンピュータシステムに、前記シミュレーションステップにおいて、色彩を特定する特定情報と、該色彩を適用する対象用途に関する対象用途情報との入力を受け、前記特定情報と前記対象用途情報を用いて、前記配合情報データより、着色物の組合せおよび該着色物の配合率、対象用途の光学的反射パラメータ、および、該対象用途にて該色彩を施した際の色彩値を取得するとともに、前記着色物
情報データより、前記取得した着色物の透明性を得て、該対象用途にて該色彩を施した際の透明性を求める色彩質感情報取得ステップと、前記対象用途に対して前記色彩を表現する前記立体を特定する立体特定ステップと、前記色彩質感情報取得ステップで取得した色彩値、前記色彩を施した際の透明性、前記対象用途の反射パラメータをレンダリング用パラメータとして用いて、前記特定された立体に対するレンダリング画像を作成するレンダリング処理ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の第1の色選択補助装置、方法、および、そのプログラムによれば、戸外等において、デザインに使用したい色彩を目にした際、その色彩を含んで撮影した写真画像から、その色彩をより正確に再現できる、という効果が得られる。また、予め準備された色見本から再現した色彩に近い色見本を容易に選択できる、という効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明の第1の色選択補助装置、方法、および、そのプログラムによれば、選択した色彩を、素材(原反)やインキ等の対象用途に対し、指定した色彩の再現結果を仮想立体へのレンダリング結果にて容易に確認できることで、色見本や色彩の選択を容易にすることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態による色選択補助装置につき、図面を参照して説明する。
図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、色選択補助装置1は、各種処理を行なう処理部10、表示デバイス11、ユーザの操作入力を受け付ける入力デバイス12、カメラモジュール13、通信デバイス14、各種データを記憶する不揮発性メモリ17を備える。ここで、色選択補助装置1は、利用者が携帯できる装置が好ましく、通信機能を備えた携帯情報装置である、いわゆる、スマートフォンにおいて実現されることが好ましい。入力デバイス12は、マウス、トラックボール、ジョイ・スティック等でもよいが、携帯性を考慮するとタッチ・パネルが好ましい。
【0024】
不揮発性メモリ17は、色見本情報DB・71、配合情報DB・72、着色物情報DB・73、管理情報DB・74を含む各種データを記憶する。色見本情報DB・71は、複数の色見本について、各色見本の色彩値などの情報を備える。配合情報DB・72は、色彩を施す対象用途と指定した色彩との組合せにおいて、その色彩をその対象用途に施す際の着色物の組合せおよびその着色物の配合率などの情報を備える。着色物情報DB・73は、各着色物の透明性などのデータを備える。管理情報DB・74は、利用者がデザイン等で使用したい色の候補を分類管理するためのストックリストの情報や、色選択補助装置1における各種設定情報を備える。
【0025】
ここで、“対象用途”とは、その色彩をつける素材[原反](例えば、紙、PET、アルミ、など)とその素材に色彩を施す際の着色剤の種類(例えば、インキを用いる場合におけるオフセット用インキ、金属用インキ等のインキの種類)の組合せを示す。また、“着色物”とは、指定された着色剤の種類で指定された色彩を表現するために色をつける色材を意味する。“着色物”は、例えば、インキにおけるベースインキ、繊維を染める際の染料、プラスチックそのものに色をつけるためのマスターバッチ等である。なお、以下では、“着色剤の種類”としてインキの種類を、その際の“着色剤”としてベースインキとする場合を例にして説明する。
【0026】
処理部10は、画面出力処理部61、入力処理部62、写真画像処理部63、通信処理部64、写真色近似検索部20、色見本情報表示部30、シミュレーション部40、管理情報処理部50を含む。画面出力処理部61は、表示デバイス11を制御して、画面表示制御を行なう。入力処理部62は、入力デバイス12を制御し、入力された信号を入力命令に変換する。写真画像入力部63は、カメラモジュール13を制御し、カメラモジュールで撮影された画像をデジタル写真画像とする処理を行なう。通信処理部64は、通信デバイス14を制御して、無線ないしは有線通信により、インターネットに代表される通信網、あるいは、電話回線網との通信制御を行なう。
【0027】
写真色近似検索部20は、カメラモジュール13で撮影された写真画像中において、利用者の指定した位置の色彩値を、推定予測して取得する。さらに、写真色近似検索部20は、色見本情報DB・71に蓄積されている色見本から、取得した色彩値に近い色見本を検索する。色見本情報表示部30は、利用者の指定する検索条件にあった色見本を色見本情報DB・71から求めて表示する処理を行なう。さらに、色見本情報表示部30は、利用者の要求に応じて、利用者の指定した色彩の情報、その色彩を指定した対象用途に施す際のベースインキに関する情報、その色彩を指定した対象用途に施す際のデザインツールで必要となる情報などを他の装置に送信する処理も行なう。
【0028】
シミュレーション部40は、所定の仮想立体に対して、利用者の指定する色彩を、指定する対象用途に施した場合の、レンダリング画像を生成・表示する。また、シミュレーション部40は、使用する着色物に関する情報の表示処理を行なう。シミュレーション部40は、質感表示部41、配合情報表示部42、着色物情報表示部43から構成される。質感表示部41は前述のレンダリングに関する処理を行なう。配合情報表示部42は、着色物となるベースインキの組合せ、および、ベースインキの配合率を表示デバイス11に表示させる処理を行なう。着色物情報表示部43は、ベースインキに関する情報、例えば、ベースインキの耐性の情報を表示デバイス11に表示させる処理を行なう。
【0029】
図2は、色選択補助装置1のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、色選択補助装置1は、前述の表示デバイス11、入力デバイス12、カメラモジュール13、通信デバイス14、不揮発性メモリ17のほか、CPU・15、揮発性メモリからなるRAM・15、および、それらを接続するバス18から構成される。ここで、不揮発性メモリ17は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディス等である。
図1の処理部1に示す機能は、不揮発性メモリ17に記憶されたコンピュータ・プログラムが、CPU・15により、RAM・15、および、不揮発性メモリ17等を利用して実行されることにより実現される。なお、色選択補助装置1は、処理部10の一部機能について高速化するための専用のハードウェアを備えるようにしてよい。また、カメラモジュール13は、色選択補助装置1に内臓されているものに限らず、独立したデジタルカメラで撮影した写真画像をそのデジタルカメラから色選択補助装置1に入力できる構成としても良い。
【0030】
図3A、
図3B、
図3Cは、それぞれ、色見本情報DB・71、配合情報DB・72、着色物情報DB・73に備えられる情報項目を示した図である。始めに、
図3Aに示す色見本情報DB・71について説明する。
【0031】
色見本帳といわれる紙に印刷された細長いカード状の色見本は、数千種類にも及ぶ。これらの色見本を1つの束にすると取り扱いが不便なことから、300程度の色見本の束の色見本帳として扱われている。また、特定のテーマをもった色見本を集めた色見本帳もある。例えば、ある国の伝統色に関する色見本を集めた色見本帳がある。色見本情報DB・71は、このように色見本の集まりである色見本帳として管理するための見本帳リストを備える。この見本帳リストは、色見本帳名、色見本帳の解説や、その色見本帳で管理される色見本を特定する色見本IDなどの情報を含む。各色見本は、色見本ごとに、その色見本の色見本ID、色見本の色彩を数値化したL*a*b*値、RGB値、CMYK値、マンセル値、その色見本の由来の説明文、色見本の色名、色見本の識別用番号、色見本の分光反射率などの情報を含む。なお、CMYK値は、予め定められた印刷紙、印刷方法、たとえば、アート紙にプロセス印刷をした場合における値とする。さらに、CMYK値は、前述の予め定められた印刷紙、印刷方法以外の印刷紙、印刷方法でのCMYK値を拡張的に含めても良い。
【0032】
配合情報DB・72は、インキの種類と素材となる原反の組合せである対象用途に関するインキ/原反組合せ情報を含む。対象用途の例としては、(インキの種類、原反)が(オフセットインキ、アート紙)、(金属用インキ、アルミ直)などである。また、配合情報DB・72は、対象用途を特定する組合せID、原反の拡散反射パラメータや鏡面反射パラメータといった光学的な反射パラメータも含む。さらに、配合情報DB・72は、対象用途とその対象用途に施す色彩との組合せごとに準備される配合IDを備える。この配合IDには、組合せID、色見本ID、インキ盛り、ベースインキID、配合率、XYZ値、L*a*b*値等の情報が関連付けられて収められる。ここで、組合せID、色見本IDは、それぞれ前述した対象用途、色見本を特定するIDであり、インキ盛りは、インキの膜厚に関する情報である。ベースインキIDは、その対象用途にその色彩を施す際に用いるインキを作るためのベースインキを特定する情報で、1つまたは2つ以上のベースインキIDから構成される。配合率は、ベースインキIDで特定されたベースインキのそれぞれの配合率を示す情報である。XYZ値は、レンダリングをする際に利用されるXYZ表色系の色彩値、L*a*b*値は他のシステムにて、デザインのンシミュレーション等をする際に用いられるL*a*b*表色系の色彩値である。
【0033】
着色物情報DB・73は、ベースインキごとに、ベースインキを特定するベースインキIDを含み、そのベースインキIDには、それぞれ、ベースインキ名称、耐性情報、透明性、RGB値等が関連付けられている。耐性情報としては、例えば、そのベースインキの耐光性、耐アルコール性、耐ボイル性などの耐性情報の名称や、その耐性値である。RGB値は、そのベースインキの表示デバイスへの表示色値である。
【0034】
図4、
図5、
図6は、色選択補助装置1の表示画面の遷移例を示した図である。これらの図を用いて、色選択補助装置1の使用例を説明する。
図4の(a)から(f)に示す処理は、
図1の色見本表示部30による処理にて表示される。
図4の(a)は、ホーム画面の一例である。ホーム画面には、各色見本帳の表示領域101と、各種処理の為のボタン106、114が表示される。表示領域101は、色見本情報DB・71に含まれる見本帳リストの情報に応じて、各色見本帳が表示される。利用者が表示領域101のいずれかの色見本帳を選択すると、画面(b)に遷移する。画面(b)では、表示領域102に選択された色見本帳のイメージ表示がされ、表示領域103には、表示領域102で利用者が確認している色見本の色彩が表示される。表示領域102には、色見本帳をめくっているような表示にすることが好ましく、利用者の表示画面への操作アクションにより色見本帳をめくっている位置が変わるように表示する。表示領域102、103への表示は、色見本情報DB・71に含まれる見本帳リスト、見本帳リストに含まれる色見本ID、めくられている色見本のRGB値等を利用して表示処理が行なわれる。利用者の表示領域103へのタッチなどによる色見本選択操作により、選択された色見本の詳細を示す画面(c)に遷移する。表示領域104には、選択された色見本の色彩が表示される。表示領域105には、選択された色見本に関する情報である、色名、由来や、YMCK値、RGB値等の色彩値が表示される。表示領域104、105への表示は、色見本情報DB・71に含まれる情報であって、選択された色見本と関連付けられた各種情報が利用される。
【0035】
ホーム画面(a)において、利用者が、検索ボタン106を選択すると、画面(d)に遷移する。画面(d)には、色見本の検索条件を設定する為の表示領域107と、検索された結果を表示する表示領域108が含まれる。表示領域107に示される検索条件としては、RGB、CMYK等の色彩値や、色見本の番号である識別用番号が設定できるようになっている。設定された条件に基づき検索された1または複数の色見本が表示領域108にカラー表示される。画面(d)における処理は、色見本情報DB・71に含まれる色見本の色彩値、識別用番号等を利用して行なわれる。利用者が、表示領域108に表示された色見本のいずれかを選択すると、画面(c)に遷移する。
【0036】
画面(c)において、利用者が、詳細表示されている色見本を商品等のデザインで使用する色彩の候補とするために、ストック・ボタン109を選択すると、画面(e)に遷移する。画面(e)の表示領域110には、使用する色の候補リストが示されており、画面(c)で選択された色見本が新たな色の候補としてリストに追加表示される。ここで、ストックリストは、デザイン等で使用したい色の候補を分類管理するために使用され、色指定補助装置1において、複数のストックリストを設定可能なように構成されている。画面(e)の例では、“ストックリストA”に画面(c)で指定した色見本が追加されたものとする。なお、
図4で示していないが、利用者は、管理情報処理部50の機能を用いて、画面(c)で指定した色見本を追加するストックリストを、予め選択、あるいは、作成しておくものとする。なお、指定したストックリストに選択した色見本が追加されると、管理情報DB・74におけるストックリストの情報が更新される。
【0037】
利用者が、画面(e)において、ストックリスト内の色見本を指定し、エクスポート・ボタン111を選択すると、その指定した色見本を施す素材選択の処理を経て、画面(f)の電子メール送信画面(f)に遷移する。ここで、“素材選択”とは、インキの種類と原反の組合せである対象用途を選択する処理である。この対象用途の選択は、例えば、画面に表示されるホイールの回転操作によりリストが順次表示されるホイール選択表示を利用しておこなわれる。画面(f)の表示領域113は、送信される電子メールの本文部分に記載される情報項目の例を示している。情報項目としては、選択された色見本の識別用番号あるいは色見本ID、選択された対象用途に指定された色見本の色彩を施す際のベースインキに関する情報やその配合情報が含まれる。これらは、利用者のインキの発注等に利用される。また、電子メールの本文に含まれる別の情報項目としては、他のシステム、例えば、パーソナル・コンピュータ等で実行されるデザイン用ツールで利用可能な情報として、選択した色見本の色名、そのL*a*b*値、選択した対象用途の素材(原反)を特定するコードなどが含まれる。素材選択、画面(f)の表示においては、配合情報DB・72や着色物情報DB・73に含まれる情報が利用される。なお、素材(原反)とその素材を特定するコードは、不揮発性メモリ17内に対応表が記憶されており、その情報を利用する。
【0038】
利用者が、
図4に示すホーム画面(a)にて、写真・ボタン114を選択すると、カメラモジュール13で撮影された写真画像を処理するための
図5に示す画面(g)に遷移する。なお、画面(g)に関する表示処理は、
図1の写真色近似検索部20にて行なわれる。画面(g)において、表示領域121は処理する写真画像を表示する領域である。なお、処理する写真画像は、校正用カード122を含めて撮影された写真画像であるものとする。ここで、校正用カードは、
図7に示すように、複数の異なる色彩の校正用カラーバッチが印刷されたカードである。写真撮影の際に、利用者は、この校正用カード122のパッチの印刷されていない部分を手に持ち、校正用カード122をカメラの前にかざす。そして、利用者は、利用者が用いたい色を含む風景と一緒に校正用カード122が含まれるように撮影する。
図7に示すように校正用カード122には、符号127等に示すカラーパッチのほか、色彩の校正処理の為のデータを求める処理の実行指示をするための例えば“Touch”と記載のされた特定位置128のパッチも含む。利用者が、表示画面121に表示される校正用カード122の特定位置128を画面タッチ等により位置指定し、その後、写真画像中の使用したい色を示す部分である対象色を位置指定すると、色補正された対象色の色彩値の推定値が求められる。さらに、求めた対象色の色彩推定値を用いて、近似する色彩を有する色見本の選択が行なわれ、選択された色見本が
図5の表示領域123に表示される。利用者が、表示領域123に表示された色見本を選択すると、画面遷移符号(C)で示すように
図4の画面(e)に遷移し、ストックリストに選択した色見本が保存される。なお、利用者が、表示領域123に表示された色見本を選択した場合、画面遷移符号(D)で示すように
図4の画面(c)に遷移し、選択した色見本の詳細情報を確認するようにしても良い。これにより、利用者は、デザインに使用したい色が目に留まった際、カメラモジュール等で撮影した写真画像中において、デザインに使用したい色を指定するだけで、撮影条件による影響が軽減され、色補正された選択色の色彩推定値を得ることができる。さらに、利用者は、予め準備されている複数の色見本からその色に近似する色見本を得ることができる。
【0039】
利用者が、
図4に示す画面(c)にて、画像表示・ボタン115を選択すると、
図6に示す画面(h)に遷移する。画面(h)には、その指定した色見本の色彩を施す素材選択の処理を経て遷移する。ここで、“素材選択画面”とは、インキの種類と原反の組合せである対象用途を選択する処理で、
図6の選択表示124は、
図4の符号112で説明した選択表示と同様である。なお、画面(h)に関する表示処理は、
図1のシミュレーション部40にて行なわれる。表示領域125には、予め定められた仮想立体、あるいは、利用者が選択した仮想立体、例えば、円柱状の立体が、指定された素材(原反)で指定されたインキの種類にて、指定された色彩を施した際のレンダリング画像が表示される。また、表示領域125で表示された仮想立体に対する利用者による移動・回転指示により、移動・回転後の仮想立体のレンダリング画像が求められ再表示される。表示領域126には、指定されたインキの種類で指定された色彩とする際の、各ベースインキ名称、それらの配合情報、各ベースインキの耐性等の情報や、インキのインキ盛りの量等の情報が表示される。ベースインキの配合情報は、数値で表しても良いし、ベースインキのRGB値を利用して配合率に対応してベースインキのRGB値で色分けされた棒状の表示としても良いし、あるいは、それらが併用されてもよい。これにより、利用者は、レンダリング画像により、素材、インキの種類を考慮したし色彩イメージを容易に得ることができる。また、色彩を施す際に用いられるベースインキの耐性が確認でき、デザインしている商品等の用途に合ったインキが使用可能かも容易に確認することができる。なお、この処理の後、画面遷移符号(C)、(D)、(E)に示すように、利用者の指示に応じて、
図4の画面(e)、(c)、(f)のいずれかの画面に遷移する。
【0040】
次に、
図1の写真色近似検索部20の処理について詳細に説明する。
図8は、写真色近似検索部20の機能をさらに細分化した機能ブロック図である。写真色近似検索部20は、パッチ画像値取得部201、推定行列算出部202、対象色推定部203、色見本検索部204を備える。さらに、写真色近似検索部20は、不揮発性メモリ17に記憶された校正用カラーパッチのパッチ測色データ、および、校正用カードデータの2つのデータ205を処理において使用する。
【0041】
ここで、パッチ測色データは、校正用カード122に印刷された各カラーパッチの所定波長幅ごとの分光反射率情報を例とした測色値である。校正用カードデータは、
図7に示す校正用カードの特定位置128となるパッチに対する示す各校正用カラーパッチの位置、および、それら位置における前記パッチ測色データに該当する色彩値である。パッチ測色データは、
図10に示されるように、校正用カラーパッチの各色を測色し(ステップS230)、測色した値が登録された(ステップS231)データである。なお、
図10において、各カラーパッチの番号は“i”で示され、その番号は校正用カード122上のカラーパッチの位置と対応付けて管理される番号である。各カラーパッチの測色した色彩値、ここでは、分光反射率は、Col_i_kで示される。カラーパッチの個数を“N”、測色した色彩値(分光反射率を示すデータ個数)を示すためのデータ数を“K”とすると、“i”は1以上N以下の整数となり、“k”は1以上K以下の整数となる。なお、
図7の例では、カラーパッチ数は、全パッチ数12から特定位置128のパッチを除く“11”となる。
【0042】
パッチ画像値取得部201は、校正用カード122を含めて撮影された写真画像より、校正用カード122内の各カラーパッチ位置を検出し、各カラーパッチの色彩値を取得する。推定行列算出部202は、各カラーパッチのパッチ測色データとパッチ画像値取得部201で取得した各カラーパッチの色彩値より、色校正を行った色彩値を求めるための変換行列を求める。対象色推定部203は、処理対象となる写真画像内において、利用者により指定された位置の対象色のRGB画像値を取得し、この取得したRGB画像値と推定行列算出部202にて求めた行列より、指定された位置の色彩推定値を求める。色見本検索部204は、対象色推定部203にて得た色彩推定値と色見本情報DB・71に記憶された色見本の色彩値を比較し、色見本情報DB・71に記憶された色見本から色彩推定値に近い、色見本を特定する。
【0043】
図9は、写真色近似検索部20の処理を示すローチャートである。図において、ステップS210からS212はパッチ画像値取得部201の処理を、テップS213は推定行列算出部202の処理を、ステップS214からS216は対象色推定部203の処理を、ステップS217からS220は色見本検索部204の処理を示す。写真色近似検索部20は、処理対象となる写真画像の入力を受けることで処理を開始する。なお、入力される写真画像は、
図5で説明したように、校正用カード122を含めて撮影された写真画像であることを前提とする。
【0044】
パッチ画像値取得部201は、
図5の表示領域121に表示した写真画像から、校正用カード122の特定位置128、たとえば、
図7に示す“Touch”と記載されたパッチを利用者にポインティングさせる表示を行なうなどで、利用者に特定位置128のパッチを指定するように促す。そして、パッチ画像値取得部201は、写真画像上の特定位置128の位置情報を取得する(ステップS210)。
【0045】
次に、パッチ画像値取得部201は、校正用カードデータを利用して、カラーパッチ各色のRGB値を取得する(ステップS211)。校正用カードデータには、特定位置に対する各カラーパッチの位置情報および各位置の色彩値が収められている。これら情報を用いることで、特定位置から、各カラーパッチ画像の切り出し、および、抽出した位置の画像値の取得を容易にすることができる。例えば、写真画像において、利用者が指定した位置の近傍を探索することで、特定位置128を示すパッチの写真画像上の大きさ(画素数)や傾きを検出できる。この情報を元に、各カラーパッチの特定位置に対する写真画像上の位置や、写真画像における校正用カードの推定・算出することが可能となり、各カラーパッチの位置の抽出、および、抽出した位置の画像値の取得の処理の高速化を図ることができる。ここで、 “i”は前述の通り各カラーパッチの番号であり、カラーパッチ番号“i”のRGB画像値を、Red_i_0(R)、 Green_i_0(G)、 Blue_i_0(B)とする。続いて、パッチ画像値取得部201は、パッチ測定データに収められている各カラーパッチの色彩値である分光反射率を取得する(ステップS212)。これら、取得された各カラーパッチのRGB画像値、および、色彩値(測色データ)は、推定行列算出部202に渡される。
【0046】
図11は、推定行列算出部202の処理(
図9のステップS213)の詳細な処理ステップを表した図である。推定行列算出部202の処理について、
図11を用いて説明する。推定行列算出部202は、ステップS211で取得された各カラーパッチのRGB画像値を用いて数1に示すRGB画像値ベクトルvを算出する(ステップS240)。数1において、R,G,Bは、各カラーパッチのRGB画像値である。なお、カラーパッチ“i”のRGB画像値ベクトルは、v_i(“i”は1以上N以下の整数)で表すものとする。
【0048】
推定行列算出部202は、カラーパッチ各色iの測色データCol_i_k(“i”は1以上N以下の整数;“k”は1以上K以下の整数)から数2を用いて、パッチ測色値行列rを算出する(ステップS241)。なお、パッチ測色値行列rは、固定的な行列となるので、パッチ測色データをパッチ測色値行列rとして記憶しておいても良い。
【0050】
続いて、推定行列算出部202は、RGB信号値ベクトルv_i(“i”は1以上N以下の整数)とパッチ測色値行列rより、数3により、相互相関行列R_rvを算出する(ステップS242)。なお、数3において、v’_i (“i”は1以上N以下の整数)は、v_iの転置ベクトルである。
【0052】
推定行列算出部202は、RGB信号値ベクトルv_i(“i”は1以上N以下の整数)より、数4を用いて、RGB信号値ベクトルvの自己相関行列R_vvを算出する(ステップS243)。数3において、v’_i (“i”は1以上N以下の整数)は、v_iの転置ベクトルである。
【0054】
そして、推定行列算出部202は、ステップS242で求めた相互相関行列R_rvと、ステップS243で求めた自己相関行列R_vvの逆行列R
-1_vvを用いて、数5により、写真画像のRGB値から校正の行なわれた色彩値を求めるための色彩値推定行列Gを算出する(ステップS244)。
【0056】
図9に戻り、対象色推定部203は、
図5の表示領域121に表示した写真画像内において利用したい色である対象色をポインティングさせるなど、利用者に対象色Tを指定するように促す。そして、対象色推定部203は、写真画像上の対象色Tの位置情報を取得する(ステップS214)。続いて、対象色推定部203は、写真画像上で指定された対象色TのRGB画像値を取得する(ステップS215)。なお、対象色TのRGB画像値は、写真画像上で指定された位置のRGB画像値でもよいし、指定された位置を中心とした所定範囲のRGB画像値の平均値でもよい。
【0057】
対象色推定部203は、対象色TのRGB画像値から数1に示す対象色TのRGB画像値ベクトルvを求める。そして、対象色推定部203は、ステップ213で求めた色彩値推定行列Gに対して、対象色TのRGB画像値ベクトルvを掛けることにより、対象色Tの色彩推定値Col_T_k(“k”は1以上K以下の整数)を求める(ステップS216)。このステップS216で求められる対象色Tの色彩値推定Col_T_kは、K個のデータからなる対象色Tの推定分光反射率である。さらに、対象色推定部203は、対象色Tの推定分光反射率から所定の演算式によりL*a*b*表色系における色彩値である対象色Tの推定L*a*b*値を求める。
【0058】
続いて、色見本検索部204は、色見本情報DB・71に収められた各色見本の色彩値であるL*a*b*値を取得し(ステップS217)、ステップS216で求めた対象色Tの推定L*a*b*値と各色見本の色彩値であるL*a*b*値との色差値を求める(ステップS218)。色見本検索部204は、求めた色差値がより小さい色見本の色見本IDを保持する処理を順次行なう。色見本検索部204は、上記のステップS217からS219の処理を各色見本に対して行い、色差値が最小となる色見本の検索を行なう(ステップS219)。写真画像入力部20は、対象色Tの推定L*a*b*値(色彩推定値)に最も近い色見本の情報を
図5の表示領域123に表示させる処理を行なう。
【0059】
以上のようにして、写真画像入力部20は、写真画像から指定された対象色Tに最も近い色見本を検索する処理を行なう。なお、検索される色見本は1つに限るものではなく、対象色Tの色彩推定値と各色見本の色彩値との色差値が所定範囲となる複数の色見本、あるいは、色差の値が小さい順に所定個の色見本を検索するようにしても良い。
【0060】
次に、
図1のシミュレーション部40における質感表示部41の処理について詳細に説明する。
図12は、質感表示部41の機能をさらに細分化した機能ブロック図である。質感表示部41は、色彩質感情報取得部411、立体特定部412、レンダリング処理部413、立体移動算出部414により構成される。
【0061】
質感表示部41は、色彩を特定する特定情報となる色見本IDの入力を受け、処理を開始する。色彩質感情報取得部411は、指定されインキの種類、素材、色彩に基づき、レンダリング処理するために必要なパラメータを、配合情報DB・72、着色物情報DB・73より取得する。立体特定部412は、指定された対象用途に対して指定された色彩を表現する仮想立体を特定する。レンダリング処理部413は、色彩質感情報取得部411で取得された各種パラメータを用いて、立体特定部412にて特定された仮想立体に対するレンダリング画像を作成する。立体移動算出部414は、表示デバイス11に表示されたレンダリング画像に対する利用者の移動・回転指示の入力により、表示した立体の移動・回転行列を算出する。
【0062】
図13、
図14は、質感表示部41の処理を示すローチャートである。
図13において、ステップS310からS313は色彩質感情報取得部411の処理を、ステップS314は立体特定部412の処理を、ステップS315からS316はレンダリング処理部413の処理を示している。
図14において、ステップS320は立体移動算出部414の処理を、ステップS321からS322はレンダリング処理部413の処理を示している。始めに、
図13を用いて色彩質感情報取得部411、立体特定部412、レンダリング処理部413の処理の説明を行なう。
【0063】
色彩質感情報取得部411は、入力された色見本IDで示される色彩を施す対象用途(インキの種類、原反[素材])の選択をユーザに促す(ステップS310)。これは、
図6の符号124に関連する処理で、例えば、(オフセットインキ、アート紙)、(金属インキ、アルミ直)といったインキの種類と原反の組合せを利用者に提示し、その中から利用者に対象用途の選択を行なわせる。なお、利用者の選択した対象用途は、それに対応した組合せIDとして、色彩質感情報取得部411が取得する。
【0064】
色彩質感情報取得部411は、取得した組合せIDおよび色見本IDをもとに、配合情報DB・72を検索し、組合せIDおよび色見本IDに対応する配合IDを取得する。そして、色彩質感情報取得部411は、取得した配合IDに関連付けられた情報より、利用者により選択されたインキの種類にて選択された色見本の色彩を得るためのベースインキの組合せを示す1つまたは複数のベースインキIDと、それらの配合率を取得する(ステップS311)。また、色彩質感情報取得部411は、ステップS311で取得した配合IDに関連付けられた色彩値である、XYZ表色系におけるXYZ値を取得する(ステップS312)。次に、色彩質感情報取得部411は、対象用途の質感に関連する情報の取得を行なう(ステップS313)。ここで、質感に関連する情報としては、組合せIDより特定される素材(原反)の種類やその素材の光学的な反射パラメータに関する情報、着色物となるベースインキの透明性である。使用される各ベースインキの透明性は、ステップS311で取得されたベースインキIDをもとに、着色物情報DB・73を検索することにより取得する。色彩質感情報取得部411は、使用されるベースインキの配合率(H)とその透明性(T)を掛け合わせ(R=HxT)、使用される各ベースインキの掛け合わせ結果(R)を加算することにより、利用者に選択されたインキの種類において指定した色彩となるインキの透明性(t)を求める。以上のようにして、色彩質感情報取得部411は、レンダリングにおいて必要となるパラメータである、指定されたインクの種類で指定された色彩とする際の色彩値(XYZ値)、その色彩のインキの透明性(t)、素材の種類やその素材の光学的な反射パラメータを示す情報を取得する。
【0065】
次に、立体特定部412は、指定された素材に指定されたインキの種類で色彩を施す仮想立体を特定し、その立体の3次元情報を取得する(ステップS314)。なお、仮想立体は、いくつかの基本的な立体形状、例えば、円柱や、長方体、コーン状の立体など予め準備された立体を利用者に選択させてもよいし、予め固定的に定められた立体、例えば、円柱としても良い。なお、仮想立体は、光源との関係から指定された素材に対して指定されたインキの種類で色彩を施した際の状況を確認しやすい、湾曲した面を持つ立体、たとえば、円柱などが好ましい。
【0066】
レンダリング処理部413は、色彩質感情報取得部411で取得した色彩値(XYZ値)、その色彩のインキの透明性(t)、素材の種類やその素材の光学的な反射パラメータを、レンダリングの際に使用するパラメータとして使用する。そして、レンダリング処理部413は、立体特定部412で特定された3次元情報で示された仮想立体に対して、レンダリングの為の演算を行なう(ステップS315)。レンダリング処理としては、Zバッファ法、スキャンライン法、レイトレーシング法など、レンダリング処理部413におけるレンダリング処理で利用可能な手法であれば、いずれの手法であってもよい。レンダリング処理部413は、求めたレンダリング画像を表示デバイス11への表示処理を行なう(ステップS316)。これにより、レンダリング画像は、
図6の表示領域125に表示される。以上のようにして、利用者が選択した色見本を、利用者が選択したインキの種類で、指定された素材に適用した際の仮想立体のレンダリング画像が生成される。
【0067】
図14は、利用者が表示された仮想立体を移動・回転させる指示をした際の質感表示部41における立体移動算出部414、レンダリング処理部413の動作を示したフローチャートである。
図14を用いて、立体移動算出部414、レンダリング処理部413の動作を説明する。表示された仮想立体を移動・回転させる利用者の指示、例えば、
図6の表示領域125への移動や回転を意味する利用者のスクリーンタッチにより、立体移動算出部414の動作が開始する。まず、立体移動算出部414は、利用者が指示した移動・回転量に応じて、仮想立体の移動・回転行列を算出する(ステップS320)。
【0068】
次に、レンダリング処理部413は、立体特定部412で特定された3次元情報で示された仮想立体に対し、立体移動算出部414が算出した移動・回転行列を用いた、仮想立体の移動・回転処理を行なう。また、レンダリング処理部413は、色彩質感情報取得部411の取得した色彩値(XYZ値)、その色彩のインキの透明性(t)、素材の種類や反射パラメータを用いて、移動・回転させた仮想立体に対するレンダリング画像の再計算を行なう(ステップS321)。レンダリング処理部413は、再計算したレンダリング画像を表示デバイス11に表示させる(ステップS322)。以上のようにして、仮想立体を移動・回転させた際の、レンダリング画像の再表示を行なう。
【0069】
なお、色選択補助装置1は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯情報機器において実現されることが好ましいが、これに限定されるものではない。たとえば、デスクトップあるいはノート型のパーソナル・コンピュータにおいて実現されてもよい。
【0070】
また、色彩質感情報取得部411は、レンダリングにおいて必要となるパラメータとして、指定されたインクの種類で指定された色彩とする際の色彩値(XYZ値)、その色彩のインキの透明性(t)、素材の種類やその素材の光学的な反射パラメータを示す情報を取得すると説明した。しかし、レンダリング処理部413における処理が、上記全てのパラメータのうち、一部を使用してレンダリング画像の作成を行っても良い。また、レンダリング処理部413における処理が、上記全てのパラメータのうち一部を使用しない場合、色彩質感情報取得部411は、その使用しないパラメータの取得を行わないようにしても良い。
【0071】
また、図のステップS211に示すパッチ画像値取得部201の処理において、校正用カード122の特定位置128のカラーパッチを利用者に指定させることで、効率的に写真画像中における各カラーパッチの切り出し、およびそれらの画像値の取得が可能となるが、これに限定されるものではない。例えば、校正用カード122の形状データ、あるいは、イメージデータがあれば、画像のマッチング処理等で、写真画像中から校正用カードの画像を切り出すことができ、そこから、各カラーパッチの切り出し、画像値を得ることも可能である。
【0072】
また、
図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより色選択補助装置1を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、携帯情報機器やパーソナル・コンピュータ等、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、フラッシュメモリを内蔵した媒体等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0073】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0074】
また、色選択補助装置1の機能は、1つの機器の中で実現されるものとして説明したがこれに限るものではない。例えば、一部の機能を携帯情報装置において実現し、他の機能をインターネット等のネットワーク上に位置するサーバ装置で実現し、携帯情報装置が前述のサーバ装置と通信を行ないながら、携帯情報装置とサーバ装置との協働により、説明した色選択補助装置1の機能が実現されても良い。