特許第5852866号(P5852866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5852866ポリフェノールのメチル化方法、及びそれを用いたメチル化ポリフェノールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852866
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】ポリフェノールのメチル化方法、及びそれを用いたメチル化ポリフェノールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 17/06 20060101AFI20160114BHJP
   C12R 1/645 20060101ALN20160114BHJP
【FI】
   C12P17/06
   C12P17/06
   C12R1:645
【請求項の数】9
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2011-263985(P2011-263985)
(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公開番号】特開2013-116055(P2013-116055A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】柳江 高次
(72)【発明者】
【氏名】木下 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】佐野 翔子
(72)【発明者】
【氏名】西村 栄作
(72)【発明者】
【氏名】栗田 郁子
(72)【発明者】
【氏名】木藤 圭次郎
(72)【発明者】
【氏名】中橋 かおり
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 嘉一
【審査官】 上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−232495(JP,A)
【文献】 特開2006−141242(JP,A)
【文献】 Applied and Environmental Microbiology,2009年,Vol.75, No.9,p.2765-2774
【文献】 Journal of Biological Chemistry ,1999年,Vol.274, No.31,p.21665-21672
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 17/06
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノールを含有する培地でSchizosaccharomyces属酵母を培養する工程を含む、ポリフェノールのメチル化方法。
【請求項2】
前記ポリフェノールが、フェノール酸、フラボノイド、またはスチルベンであることを特徴とする、請求項1に記載のメチル化方法。
【請求項3】
前記ポリフェノールが、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、ゲニステイン、エピカテキン、ルテオリン、ナリンゲリン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載のメチル化方法。
【請求項4】
前記ポリフェノールが、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)または没食子酸であることを特徴とする、請求項3に記載のメチル化方法。
【請求項5】
前記酵母が、Schizosaccharomyces pombe又はSchizosaccharomyces octosporusであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメチル化方法。
【請求項6】
メチル化ポリフェノールの製造方法であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のメチル化方法によって、ポリフェノールをメチル化する工程を含む製造方法。
【請求項7】
前記メチル化ポリフェノールが、(−)−エピガロカテキン−3−(3−O−メチル)ガレートまたは(−)−エピガロカテキン−3−(4−O−メチル)ガレートであって、前記ポリフェノールが、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記メチル化ポリフェノールが、3−O−メチルガレート、4−O−メチルガレート、または3,4−O−メチルガレートであって、前記ポリフェノールが、没食子酸であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
メチル化ポリフェノールのメチル化の位置を決定する方法であって、
請求項6に記載の製造方法によって、メチル化ポリフェノールを製造する工程と、
製造されたメチル化ポリフェノールのどの位置がメチル化されているかを決定する工程と、
を含む決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノールのメチル化方法、及びそれを用いたメチル化ポリフェノールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリフェノールの生理活性が話題になり、健康増進作用を有する様々な効能が見つかっている。特に、“べにふうき”などに豊富に含まれる茶メチル化カテキンは、強い抗アレルギー作用を有するとして注目を浴びている。
しかし、これまで、茶メチル化カテキンは、ほとんどが天然の茶葉から抽出されたものであり、人工的に合成した報告は、茶カテキンメチル化酵素(COMT:Catechol O-methyltransferase)を用いたものだけであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−306806
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安価で効率の良いポリフェノールのメチル化方法、及びそれを用いたメチル化ポリフェノールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様は、ポリフェノールを含有する培地でSchizosaccharomyces属酵母を培養する工程を含む、ポリフェノールのメチル化方法である。前記ポリフェノールは、フェノール酸、フラボノイド、またはスチルベンであってもよく、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、ゲニステイン、エピカテキン、ルテオリン、ナリンゲリン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸であってもよいが、特に、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレートまたは没食子酸であることが好ましい。また、前記酵母が、Schizosaccharomyces pombe又はSchizosaccharomyces octosporusであってもよい。
【0006】
本発明の他の一実施態様は、メチル化ポリフェノールの製造方法であって、上記いずれかのメチル化方法によって、ポリフェノールをメチル化する工程を含む。前記メチル化ポリフェノールが、(−)−エピガロカテキン−3−(3−O−メチル)ガレート(EGCg−3”Me)または(−)−エピガロカテキン−3−(4−O−メチル)ガレート(EGCg−4”Me)であって、前記ポリフェノールが、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)であってもよく、前記メチル化ポリフェノールが、3−O−メチルガレート、4−O−メチルガレート、または4,5−O−メチルガレートであって、前記ポリフェノールが、没食子酸であってもよい。
【0007】
本発明のさらなる一実施態様は、メチル化ポリフェノールの特定方法であって、上記いずれかの製造方法によってメチル化ポリフェノールを製造する工程と、製造されたメチル化ポリフェノールのどの位置がメチル化されているかを決定する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、安価で効率の良いポリフェノールのメチル化方法、及びそれを用いたメチル化ポリフェノールの製造方法を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1-1】図1−1〜図1−3は、本発明の一実施形態における、代表的な基質の構造式を示した図である。
図1-2】(図1−1の続き)
図1-3】(図1−2の続き)
図2-1】図2−1〜図2−7は、本発明の一実施例において、様々なSchizosaccharomyces属の酵母を用いてEGCgをメチル化したときに得られたクロマトグラム。分析標品と比較した。
図2-2】(図2−1の続き)
図2-3】(図2−2の続き)
図2-4】(図2−3の続き)
図2-5】(図2−4の続き)
図2-6】(図2−5の続き)
図2-7】(図2−6の続き)
図3-1】図3−1〜図3−11は、本発明の一実施例において、酵母としてSchizosaccharomyces pombeを使用し、様々なポリフェノールをメチル化したときに得られたクロマトグラム。四角く囲った数字は、産生されたメチル化体のピーク(菌のみのサンプルのLC/MS(SIRモード)クロマトグラムに比べて増加したピーク)を表す。
図3-2】(図3−1の続き)
図3-3】(図3−2の続き)
図3-4】(図3−3続き)
図3-5】(図3−4の続き)
図3-6】(図3−5の続き)
図3-7】(図3−6の続き)
図3-8】(図3−7の続き)
図3-9】(図3−8の続き)
図3-10】(図3−9の続き)
図3-11】(図3−10の続き)
図4-1】図4−1〜図4−3は、酵母としてSchizosaccharomyces pombeを使用し、没食子酸をメチル化ししたときに得られたクロマトグラム。分析標品(メチル化没食子酸)と比較した。四角く囲った数字は、産生されたメチル化体のピーク(菌のみのサンプルのLC/MS(SIRモード)クロマトグラムに比べて増加したピーク)を表す。
図4-2】(図4−1の続き)
図4-3】(図4−2の続き)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0011】
本発明のポリフェノールのメチル化方法は、ポリフェノールを含有する培地でSchizosaccharomyces属酵母を培養する工程を含む。
【0012】
メチル化するポリフェノールは、特に限定されず、(1)クロロゲン酸、カフェ酸、没食子酸などのフェノール酸、(2)レスベラトロール、ピセアタンノールなどのスチルベン(誘導体を含む)(3)フラボノール(ケルセチン、ルチンなど)、フラボン(アピゲニン、ルテオリンなど)、イソフラボン(ダイゼイン、ゲニステインなど)、フラバノン(ナリンゲニン、ナリンジンなど)、フラバノール(カテキン)(EGCg、ECなど)、アントシアニジン(シアニジンなど)などのフラボノイド、または(4)セサミンやピノレシノールなどのリグナンのほか、これらの異性体や配糖体を例示できる。図1に、代表的な基質の構造式を示す。
【0013】
酵母は、Schizosaccharomyces属であれば、特に限定されず、Schizosaccharomyces pombe、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces cryophilusなどを例示できる。各種における系統も特に限定されず、Schizosaccharomyces pombeでは、RIB5313、RIB5314、RIB5301、NBRC1628など、Schizosaccharomyces octosporusでは、NBRC10373、NBRC0360などを例示できる。
【0014】
培地は、酵母培養用培地であれば特に限定されず、例えば、YPD培地、YNB培地、YCB培地、YM培地などが例示できる。
【0015】
酵母を培養する際、ポリフェノールは、培地作製時に添加しても、培地を作製後に添加しても、培地に酵母を接種後に添加しても、培地中で、酵母をある程度増やしてから添加してもよい。添加するポリフェノールは、精製したポリフェノールであってもよいが、ポリフェノールを含む抽出物であってもよい。例えば、クロロゲン酸やカフェ酸を含むコーヒー豆(生又は炒ったもの)、ケセルチンやルチンを含む蕎麦やそば茶、ルテオリンを含むエゴマやシソ、イソフラボンを含む大豆、フラバノールを含む緑茶、シアニジンを含む黒豆や赤色液果類果実、リグナンを含むゴマや亜麻、などの粉砕物やエキスであっても良い。ポリフェノールの培地中の濃度は特に限定されず、当業者が適宜、容易に選択できるが、0.001〜100mg/mLが好ましく、0.01〜10mg/mLがより好ましく、0.1〜1mg/mLが最も好ましい。
【0016】
ポリフェノールを含有する培地でSchizosaccharomyces属酵母を培養する培養条件は、特に限定されず、当業者に慣用されるものであればよいが、例えば、25〜30℃で、振とうしてもしなくても良く、8時間〜96時間、またはそれ以上の時間にわたり、培養する。
【0017】
このようにして、ポリフェノールを含有する培地でSchizosaccharomyces属酵母を培養することによってポリフェノールをメチル化し、メチル化ポリフェノール、好ましくはフェノール性水酸基(−OH)がメチル化(−OCH)されたメチル化ポリフェノールを製造することができる。そして、製造したメチル化ポリフェノールは、Schizosaccharomyces属酵母を培養した培地から、周知技術を用いて回収することができる。回収方法は特に限定されず、例えば、ヘキサンで脱脂処理後、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを蒸発させ、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル、アセトン、又はそれらの混合物などの溶媒で溶解させることができる。
【0018】
得られたメチル化ポリフェノールについて、どの位置がメチル化されているかを決定することにより、メチル化ポリフェノールを特定することができる。メチル化の位置の決定は、当業者にとって周知の様々な方法で行うことができる。例えば、既に同定されているメチル化ポリフェノールを比較標品として、比較分析すれば良い。比較分析方法としては、LC/MSや、HPLCを用いることができる。
【実施例】
【0019】
[実施例1] 様々な酵母株を用いて(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)をメチル化し、分析標品と比較した。
【0020】
(1)使用した基質
【化1】
(I)(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)
【0021】
(2)使用した酵母株
Schizosaccharomyces pombe RIB5313
Schizosaccharomyces pombe RIB5314
Schizosaccharomyces pombe RIB5301
Schizosaccharomyces pombe NBRC1628
Schizosaccharomyces octosporus NBRC10373
Schizosaccharomyces octosporus NBRC0360
Saccharomyces cerevisiae RIB1001
Saccharomyces bayanus RIB3001
Saccharomyces oviformis RIB3031
Kluyveromyces marxianus RIB2011
【0022】
(3)サンプルの調製
各酵母株の15% グリセロールストック溶液(OD660=1)を、15% グリセロール溶液で10−2〜10−4に希釈し、100mLのYPD培地に接種した。30℃、60〜80時間、180rpmで振とう培養し、酵母を回収した。次に、Buffered Peptone Water(メルク製)(10% D−グルコース−10mM アスコルビン酸−1mg/mL EGCg含有、HClにてpH5.0に調整)を用い、OD660=0.8に希釈し、30℃、24〜96時間、180rpmで振とう培養した。各培養時間に6mLずつ培養液を回収し、3500rpmで30分間遠心した。得られた上層のうち5mLを回収し、5mLのヘキサンを添加後、2分間ボルテックスして遠心した。上層を除去し、このヘキサン脱脂処理を、もう1度行なった。そして、1N HClを300μL添加してpHを下げた後、5mLの酢酸エチルを添加して、2分間ボルテックスして遠心した。得られた上層(酢酸エチル層)を回収し、酢酸エチルでの抽出操作をさらに2回繰り返した。エバポレーターにて酢酸エチルを蒸発させて沈殿を乾固し、1mLの100%メタノールに再溶解した。1cmのsep−pakを通した後、0.2μmのフィルターを通してろ過し、LC/MS/MSのための分析サンプルとした。
【0023】
(4)LC/MS/MSの条件
システム:LC部はWaters Alliance 2695;MS部はWaters Quattro micro
カラム:Mightysil RP-18GP 150-4.6(3 um)(関東化学(株))
カラム温度:40℃
流速:0.4mL/分
溶離液:A液はアセトニトリル;B液は0.1%ギ酸溶液
グラディエント:A10%(0−1分)→A30%(40−41分)→A90%(45分)→A10%(50→60分)
モード:MRM (Multiple Reaction Monitoring)
比較分析標品:EGCg-3"Me, EGCg-4"Me(いずれも長良サイエンス(株))
【0024】
(5)結果
各Schizosaccharomyces属の酵母で得られたクロマトグラムを図2に示す。
検出された親イオンのm/zは、471.1、フラグメントイオンのm/zは、182.8、125.0、305.0であって、分析標品と比較した結果、式(II)に示す(−)−エピガロカテキン−3−(3−O−メチル)ガレート(EGCg−3”Me)及び式(III)に示す(−)−エピガロカテキン−3−(4−O−メチル)ガレート(EGCg−4”Me)が実際に合成されていた。
【化2】
(II)(−)−エピガロカテキン−3−(3−O−メチル)ガレート(EGCg−3”Me)
【化3】
(III)(−)−エピガロカテキン−3−(4−O−メチル)ガレート(EGCg−4”Me)
【0025】
得られた化合物の量(濃度(ug/mL))を表1に示す。
【表1】
【0026】
このように、Schizosaccharomyces属の酵母を用いた場合、EGCgのフェノール性水酸基がメチル化され、EGCg−3”Me及び式EGCg−4”Meが合成されたが、他の属の酵母(SaccharomycesやKluyveromyces)を用いた場合、メチル化カテキンは合成されなかった。
なお、基質を添加しなかった陰性対照実験でも、メチル化カテキンは合成されなかった。
【0027】
さらに、培養時間ごとの、得られた化合物の量(濃度(ug/mL))を2度測定し、その結果(平均値)を表2に示す。
【表2】
【0028】
[実施例2] 酵母としてSchizosaccharomyces pombeを使用し、様々なポリフェノールを基質としてメチル化を行なった。
(1)使用した基質
没食子酸
ケルセチン
ルテオリン
ゲニステイン
ナリンゲニン
レスベラトロール
ピセアタンノール
(以上の化合物の構造式は図1参照)
【0029】
【化4】
(IV)(−)−エピカテキン(EC)
【化5】
(V)(−)−エピカテキン−3−O−ガレート(ECg)
【化6】
(VI)(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)
【0030】
(2)使用した酵母株
Schizosaccharomyces pombe RIB5313
(3)サンプルの調製
[実施例1]と同様に行なった。
ただし、Buffered Peptone Waterに含有させた基質の濃度は、没食子酸が1mg/mL、緑茶エキス(三栄源FFI)が2mg/mL、その他は100μg/mLとした。
(4)LC/MSの条件
システム:LC部はWaters Alliance 2695;MS部はWaters Quattro micro
カラム:Mightysil RP-18GP 150-4.6(3 um)(関東化学(株))
カラム温度:40℃
流速:0.4mL/分
溶離液:A液はアセトニトリル;B液は0.1%ギ酸溶液
グラディエント:A10%(0−1分)→A30%(40−41分)→A90%(45分)→A10%(50→60分)
モード:SIR (Selected Ion Recording)
親イオンのm/z: 表3参照
【0031】
(5)結果
各ポリフェノールで得られたクロマトグラムを図3に示す。また、基質のm/z及び得られたメチル化体のm/zを表3に示す。
【表3】
このように、様々なポリフェノールを基質として用いたときでも、ポリフェノールは、メチル化され、モノメチル化体及びジメチル化体が得られた。
【0032】
[実施例3] 酵母としてSchizosaccharomyces pombeを使用して没食子酸をメチル化し、分析標品と比較した。
(1)使用した基質
没食子酸
(2)使用した酵母株
Schizosaccharomyces pombe RIB5313
(3)サンプルの調製
[実施例2]と同様に行なった。
(4)LC/MSの条件
[実施例2]と同様に行なった。
比較分析標品:3-O-methyl GA, 4-O-methyl GA, 3,4-O-methyl GA
(5)結果
分析標品(メチル化没食子酸)と比較したクロマトグラムを図4に示す。
基質イオンのm/zとして169.01、生産物イオンのm/zとして、モノメチル化体の183.0及びジメチル化体の197.04が得られ、それぞれ3−O−メチルガレート、4−O−メチルガレート及び3,4−O−メチルガレートの各ピークに一致していた。このように、没食子酸を用いた場合、没食子酸のフェノール性水酸基がメチル化され、式(VII)に示す3−O−メチルガレート、式(VIII)に示す4−O−メチルガレート、及び式(IX)に示す3,4−O−メチルガレートが実際に合成された。
【0033】
【化7】
(VII)3−O−メチルガレート
【化8】
(VIII)4−O−メチルガレート
【化9】
(IX)3,4−O−メチルガレート
図1-2】
図1-3】
図1-1】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図3-7】
図3-8】
図3-9】
図3-10】
図3-11】
図4-1】
図4-2】
図4-3】