(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板に設定される回路配置領域に設けられる内部回路と、外部の装置から前記内部回路に供給される電気信号により駆動される表示体とを備える表示装置であって、
前記フレキシブル基板は、回路配置領域から延在するはみ出し領域を有し、
前記フレキシブル基板の前記はみ出し領域には、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在し、外部の装置に接続される接続用配線が形成され、
はみ出し領域の端部には、前記外部の装置の外部コネクタに嵌合するコネクタ部が設け
られ、
前記接続用配線は、複数の導電層が絶縁膜を介して積層されて構成され、
前記絶縁膜には、コンタクトホールが、前記はみ出し領域におけるコネクタ部領域と、前記はみ出し領域におけるコネクタ部領域以外の領域とに形成され、
前記絶縁膜を介して積層される一対の前記導電層は、前記コンタクトホール中に形成される導電体によって電気的に接続され、
前記コネクタ部は、前記外部コネクタとの嵌合に必要な厚みを補う補強板が、前記フレキシブル基板の前記はみ出し領域の端部に貼合されて構成される、表示装置。
フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板に設定される回路配置領域に設けられる内部回路と、外部の装置から前記内部回路に供給される電気信号により駆動される表示体とを備える表示装置の製造方法であって、
前記フレキシブル基板に設定される回路配置領域に内部回路を設ける工程と、
前記フレキシブル基板の、前記回路配置領域から延在するはみ出し領域に、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在し、外部の装置に接続される接続用配線を形成する工程と、
前記表示体を設ける工程と、
はみ出し領域の端部に、前記外部の装置の外部コネクタに嵌合するコネクタ部を設ける工程とを含み、
前記接続用配線を形成する工程では、前記はみ出し領域が延在する方向と同じ方向に延在する第1導電層を形成し、前記第1導電層上に、コンタクトホールが前記はみ出し領域におけるコネクタ部領域と、前記はみ出し領域におけるコネクタ部領域以外の領域とに形成された絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上に第2導電層を形成し、
前記コネクタ部を設ける工程では、前記外部コネクタとの嵌合に必要な厚みを補う補強板を、前記フレキシブル基板の端部に貼合する、表示装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の表示装置では、表示装置自体がFPCと同様に機能する配線部を備えることにより、フレキシブル基板を用いることなく、外部の装置との電気的な接続を可能にしているが、この場合には、接続先の外部の装置のコネクタに適合する接続部になるように予めフレキシブル基板の厚みを特別に設定する必要があるため、基板選択の自由度が低下するという問題がある。
【0007】
また接続先の外部の装置のコネクタの種類が変更されると、この変更に合わせて基板の厚みも変更する必要がある。しかしながら、基板の厚みを変更する場合、工程に使用される装置を含めて、全てのプロセス条件を再設定する必要が生じることがある。そのため外部の装置のコネクタの種類に合わせて容易に基板の厚みを変更することができないという問題がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部の基板の厚みの自由度を高めるとともに、適用する外部コネクタの変更に合わせて簡易に設計を変更することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板に設定される回路配置領域に設けられる内部回路と、外部の装置から前記内部回路に供給される電気信号により駆動される表示体とを備える表示装置であって、
前記フレキシブル基板は、回路配置領域から延在するはみ出し領域を有し、
前記フレキシブル基板の前記はみ出し領域には、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在し、外部の装置に接続される接続用配線が形成され、
はみ出し領域の端部には、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部が設けられ、
前記コネクタ部は、前記外部コネクタとの勘合に必要な厚みを補う補強板が、前記フレキシブル基板の前記はみ出し領域の端部に貼合されて構成される、表示装置に関する。
【0010】
また本発明は、前記内部回路、前記表示体および前記接続用配線は、複数の層が積層された積層体からなり、
前記接続用配線は、当該接続用配線を構成する複数の層のうちの少なくとも一層が、前記内部回路および前記表示体を構成する層のいずれかと、同一の工程で同時に形成された層である、表示装置に関する。
【0011】
前記フレキシブル基板は液晶ポリマーからなる、表示装置に関する。
【0012】
前記接続用配線は、複数の導電層が絶縁膜を介して積層されて構成され、
前記絶縁膜には、コンタクトホールが形成され、
前記絶縁膜を介して積層される一対の前記導電層は、前記コンタクトホール中に形成される導電体によって電気的に接続される、表示装置に関する。
【0013】
前記表示体は、複数の有機EL素子を含んで構成される、表示装置に関する。
【0014】
フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板に設定される回路配置領域に設けられる内部回路と、外部の装置から前記内部回路に供給される電気信号により駆動される表示体とを備える表示装置の製造方法であって、
前記フレキシブル基板に設定される回路配置領域に内部回路を設ける工程と、
前記フレキシブル基板の、前記回路配置領域から延在するはみ出し領域に、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在し、外部の装置に接続される接続用配線を形成する工程と、
前記表示体を設ける工程と、
はみ出し領域の端部に、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部を設ける工程とを含み、
前記コネクタ部を設ける工程では、前記外部コネクタとの勘合に必要な厚みを補う補強板を、前記フレキシブル基板の端部に貼合する、表示装置の製造方法に関する。
【0015】
前記内部回路、前記表示体および前記接続用配線は、複数の層が積層された積層体からなり、
前記接続用配線は、当該接続用配線を構成する複数の層のうちの少なくとも一層を、前記内部回路および前記表示体を構成する層のいずれかと、同一の工程で同時に形成する、表示装置の製造方法に関する。
【0016】
前記接続用配線の少なくとも一部を、印刷法によって形成する、表示装置の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部の基板の厚みの自由度を高めるとともに、適用する外部コネクタの変更に合わせて簡易に設計を変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、表示装置1と、当該表示装置1に接続される外部の装置5とを模式的に示す図である。
図2は、表示装置1の端部を拡大して模式的に示す断面図である。
【0021】
表示装置は、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板に設定される回路配置領域に設けられる内部回路と、外部の装置から前記内部回路に供給される電気信号と電力により駆動される表示体とを備える表示装置であって、前記フレキシブル基板は、回路配置領域から延在するはみ出し領域を有し、前記フレキシブル基板の前記はみ出し領域には、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在し、外部の装置に接続される接続用配線が形成され、はみ出し領域の端部には、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部が設けられ、前記コネクタ部は、前記外部コネクタとの勘合に必要な厚みを補う補強板が、前記フレキシブル基板のはみ出し領域の端部に貼合されて構成される。
【0022】
図1および
図2に示す実施形態の表示装置1では、フレキシブル基板11に設定される回路配置領域2に内部回路3が設けられ、さらにこの内部回路3上に、表示体として複数の有機EL(Electro Luminescence)素子が整列して設けられる。なお内部回路3とは、表示装置1の回路配置領域2に設けられる電気回路のことを意味する。
【0023】
フレキシブル基板11は回路配置領域2から延在するはみ出し領域8を有する。本実施形態では、フレキシブル基板11には、回路配置領域2から、所定の間隔をあけて互いに同方向に延在する二本のはみ出し領域8が設けられる。
【0024】
フレキシブル基板11には可撓性を有する基板が用いられる。たとえば透光性を示す基板および透光性を示さない基板のいずれの基板であっても、本発明のフレキシブル基板11として用いることができる。なお表示体4に表示される画像情報を、フレキシブル基板11を通して視認する形態の表示装置では、フレキシブル基板11には光透過性を示す基板が用いられる。
【0025】
このようなフレキシブル基板には、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、全芳香族ポリアミド(別名:アラミド)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM、別名:ポリアセタール)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)等に代表される樹脂で構成された基板や、銅板やアルミホイル基板などの金属ホイル基板を用いることができる。
【0026】
図2に示す実施形態では、フレキシブル基板11の回路配置領域2には、有機薄膜トランジスタ、キャパシタなどからなる内部回路3が設けられる。本実施形態ではこの内部回路3が、アクティブマトリックス型の表示装置を実現する回路として機能する。なお他の実施形態では、内部回路3として、パッシブマトリックス型の表示装置を実現する回路配線を設けてもよい。
【0027】
内部回路3上には、表示体4が設けられる。この表示体4は、外部の装置5から前記内部回路3に供給される電気信号により駆動され、所定の画像情報を表示する。外部の装置5から前記内部回路3に供給される電気信号には、たとえば制御信号および映像信号も含まれる。また通常は外部の装置5から前記内部回路3には電力が供給される。このように、制御信号、映像信号および電力により、表示体4が駆動される。表示体4は、たとえば複数の有機EL素子、電子ペーパー表示素子、および液晶が充填された液晶表示素子などによって構成される。これらのなかでも、表示体4としては、複数の有機EL素子から構成されることが好ましい。なお電子ペーパー表示素子には種々の方式のものがあり、その方式としてはたとえばマイクロカプセル方式、電子流体方式、電子泳動方式、エレクトロウェッティング方式、および化学変化方式などがあげられる。
【0028】
フレキシブル基板11のはみ出し領域8には、前記内部回路から当該はみ出し領域の端部にまで延在する接続用配線6が設けられる。この接続用配線6は、外部の装置5に接続される。
【0029】
たとえば接続用配線6は、はみ出し領域8において、当該はみ出し領域8が延在する方向と同じ方向に延在する。接続用配線6は、通常は1本の配線に限らずに、複数本の配線から構成される。すなわち接続用配線6は、はみ出し領域8において、当該はみ出し領域8が延在する方向と同じ方向に延在する複数本の配線から構成される。なおこの複数本の配線は、互いに離間して配置される。本実施形態では、複数本の配線間には電気絶縁性を示す部材が充填される。具体的には、後述する絶縁膜14および保護膜17が複数本の配線間に介在する。これにより複数本の配線が互いに電気的に絶縁される。
【0030】
接続用配線の好ましい形態としては、当該接続用配線が、複数の導電層が絶縁膜を介して積層されて構成され、前記絶縁膜には、コンタクトホールが形成され、前記絶縁膜を介して積層される一対の前記導電層は、前記コンタクトホール中に形成される導電体によって電気的に接続される形態のものがあげられる。
【0031】
本実施形態では接続用配線6は、複数の導電層が絶縁膜を介して積層されて構成される。具体的には、第1導電層13と第2導電層15とが絶縁膜14を介して積層されて構成される。そして第1導電層13と第2導電層15との間に設けられる絶縁膜14には、コンタクトホールが形成され、絶縁膜14を介して積層される第1導電層13と第2導電層15とは、前記コンタクトホール中に形成される導電体によって電気的に接続される。本実施形態ではコンタクトホール中に形成される導電体は、第2導電層15と連続する導電体であり、後述するように第2導電層15を形成するさいに、この第2導電層15の形成にともなって形成される。
【0032】
このように複数の導電層を電気的に接続して接続用配線を構成することにより接続用配線の電気抵抗を下げることができる。
【0033】
また表示装置の好ましい形態としては、前記内部回路、前記表示体および前記接続用配線は、複数の層が積層された積層体からなり、前記接続用配線は、当該接続用配線を構成する複数の層のうちの少なくとも一層が、前記内部回路および前記表示体を構成する層のいずれかと、同一の工程で同時に形成された層である形態があげられる。
【0034】
本実施形態では内部回路3、接続用配線6が、複数の層が積層された積層体からなる。接続用配線6は、前述したように、当該接続用配線6を構成する第1導電層13、第2導電層15、および絶縁膜14を含んで構成され、また前記内部回路は、後述するように第1導電層13、第2導電層15、および絶縁膜14を含んで構成される。そして当該接続用配線6を構成する第1導電層13、第2導電層15、および絶縁膜14と、前記内部回路3を構成する第1導電層13、第2導電層15、および絶縁膜14とは、それぞれ、同一の工程で同時に形成される。
【0035】
このように、前記内部回路および前記表示体を構成する層のいずれかと、接続用配線を構成する複数の層のうちの少なくとも一層とを、同じ工程で同時に形成することにより、別々の工程でそれぞれを個々に形成する場合に比べて、工程数を削減することができる。
【0036】
はみ出し領域8の端部には、前記外部の装置5の外部コネクタに勘合するコネクタ部9が設けられる。
【0037】
このコネクタ部9は、前記外部コネクタとの勘合に必要な厚みを補う補強板18が、前記フレキシブル基板11の端部に貼合されて構成される。補強板18は、上述の接続用配線6が、フレキシブル基板11の一方の表面上に設けられる場合には、フレキシブル基板11の他方の表面上に設けられる。
【0038】
コネクタ部9は、当該コネクタ部9に勘合する前記外部の装置5の外部コネクタの仕様に合わせて、その厚みL1が設定される。すなわち補強板18を合わせたコネクタ部9全体の厚みL1が、当該コネクタ部9に勘合する前記外部の装置5の外部コネクタの仕様に合わせて設定される。したがって、補強板18の厚みは、補強板18を合わせたコネクタ部9全体の厚みL1が所定の値になるように設定される。
【0039】
本実施形態では、フレキシブル基板11に貼合する補強板18の厚みを変えるだけで、当該補強板18を合わせたコネクタ部9全体の厚みL1を変更することができるため、当該コネクタ部9に勘合する前記外部の装置5の外部コネクタの仕様に合わせて、容易にコネクタ部9全体の厚みL1を変更することができ、前記外部の装置の外部コネクタに勘合するコネクタ部の設計の自由度を高めることができる。
【0040】
例えば、外部の装置を薄型化するために、外部の装置のコネクタを実装高さ1.0mmのヒロセ電機株式会社製FH36シリーズ(例えば、FH36W−51S−0.3SHW(50))から実装高さ0.9mmの京セラエルコ株式会社製6295シリーズ(例えば、04 6295 051 000 883+)に変更する場合、前記コネクタ部の厚さを0.2±0.03mmから0.15±0.03mmへ変更する必要が有るが、本発明を用いる事で容易に外部コネクタの変更へ対応することが可能となる。
【0041】
つぎに
図3〜
図12を参照して、表示装置1の製造方法について説明する。
図3は、フレキシブル基板11上の表示装置1を模式的に示す図である。本実施形態では、まず複数の表示装置1をフレキシブル基板11上に形成し、そののち、各表示装置1を切り出すことにより、個々の表示装置1を作製する。
【0042】
まずフレキシブル基板11を用意する(
図4参照)。つぎに、このフレキシブル基板11上に所定の素子を形成することを可能にするために、フレキシブル基板11をたとえば公知の所定の方法で洗浄する。
【0043】
有機薄膜トランジスタなどのように空気に触れることによって特性が低下する素子をフレキシブル基板11上に形成する場合には、基板としてガスバリア性の高いフレキシブル基板11を用いることが好ましく、さらには、フレキシブル基板11の表面上にバリア膜を形成することが好ましい。ガスバリア性の観点からは、フレキシブル基板11には、上述した基板のなかでも、液晶ポリマー(LCP)を用いたものを用いることが好ましい。なおフレキシブル基板11には、0.1g/m
3・24hr・atm未満の基板を用いることが好ましい。このように高いガスバリア性を有する基板をフレキシブル基板11として採用することにより、たとえバリア膜の層数を少なくしたとしても、必要なガスバリア性を達成することができ、バリア膜の成膜工程数を削減することができる。
【0044】
また、いわゆるアクティブマトリクスを実現する内部回路3をフレキシブル基板11上に形成するさいには、多くの熱処理工程を経ることから、フレキシブル基板11には、熱に対する耐性を有し、温度変化による寸法変化の小さいものを用いることが好ましい。このような観点からは、液晶ポリマー(LCP)または全芳香族ポリアミドからなる基板をフレキシブル基板11として採用することが好ましい。
【0045】
本実施形態ではフレキシブル基板11を洗浄したのち、このフレキシブル基板11上に密着層12を形成する(
図5参照)。本実施形態では密着層12は回路配置領域2のみならず、はみ出し領域8にも形成する。密着層12は電気絶縁性を有する薄膜からなる。この密着層12には、上述のバリア膜や平坦化膜としても機能する薄膜を用いてもよい。密着層12は、無機膜や有機膜、または無機膜と有機膜との積層体によって構成される。その材料および構成は、フレキシブル基板の材質や当該密着層12の備えるべき機能に合わせて適宜選択される。たとえば密着層12を構成する無機膜は、ゾルーゲルや前駆体を含む液からを用いた塗布法や、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法を含むCVD法やスパッタリング法などのPVD法などにより形成することができる。なお本明細書では塗布法には印刷法も含まれる。無機膜の材料としては、たとえばSiOx,SiNx,SiOxNy、Al2O3等の酸化物や、窒化物があげられる。
【0046】
密着層12を構成する有機膜は、高分子化合物などを塗布成膜し、これを焼成する方法や、CVD法、PVD法により形成することができる。有機膜の材料には、有機膜の備えるべき機能に合わせて適宜選択され、たとえばパリレン、エポキシ樹脂、PS(Polystyrene)樹脂、PVP(Polyvinyl phenol)樹脂、PMMA(Poly(methyl methacrylate))樹脂などがあげられる。
【0047】
つぎに第1導電層13を密着層12上に形成する(
図6参照)。この第1導電層13は、内部回路3を構成する能動素子などの電極および配線、並びに、はみ出し領域8に形成される接続用配線6の一部を構成する。たとえば内部回路3を構成する有機薄膜トランジスタのゲート電極は、この第1導電層13によって構成される。この第1導電層13は、たとえば密着層12上に導電性薄膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法により導電性薄膜を所定の形状にパターニングすることにより形成される。なお導電性薄膜は、スパッタリング法、真空蒸着法などのPVD法や、導電性インクを密着層12上に全面に塗布する方法により形成することができる。またたとえば、銅箔などの金属箔フィルムがその表面に予め貼り合わされたフレキシブル基板11を用意し、この金属箔フィルムをフォトリソグラフィ工程でパターニングすることによって第1導電層13をパターン形成してもよい。さらにはスパッタリング法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法などによって、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)や金属メッシュパターンを含む透明導電薄膜がその表面上にあらかじめ成膜されたフレキシブル基板を用意し、この透明導電膜をフォトリソグラフィ工程でパターニングすることによって第1導電層13をパターン形成してもよい。
【0048】
またたとえばフレキシブル基板11上に導電性薄膜を形成した後に、この導電性薄膜をパターニングするのではなく、たとえば有版印刷法もしくは無版印刷法により、直接的に所定のパターンの導電性薄膜を形成することにより、所定のパターンで第1導電層13を形成してもよい。このように、直接的に所定のパターンの導電性薄膜を形成することにより工程を簡略化することができる。
【0049】
またさらにはめっき法により第1導電層13を形成してもよい。たとえばフォトリソグラフィ法や、有版印刷法もしくは無版印刷法により、あらかじめ所定のパターンの活性層をフレキシブル基板11上に形成しておき、この基板上に、無電解めっき法や、無電解めっき法と電解めっき法の組合せにより所定の位置に金属薄膜を形成し、第1導電層13を形成してもよい。
【0050】
金属薄膜の材料は特に限定されるものではないが、PVD法で成膜する場合は、Au、Ag、Cu、Mo、W、Ti、Al、Pd、Pt、Ta等の金属、これらの金属の合金、これらの金属の化合物があげられる、伝導性が高い材料が好ましい。
【0051】
金属箔の材料は、特に限定されるものではないが、Au、Ag、Cu、Mo、W、Ti、Al、Pd、Pt、Ta等の金属、これらの金属の合金、これらの金属の化合物が挙げられ、伝導性が高い材料が好ましい。
【0052】
また透明導電膜の材料は特に限定されるものではないが、ITO、IZO、ZnO、ZTO、IGZO等の金属酸化物があげられる。さらに、金属メッシュパターンの材料は特に制限されるものではないが、Au、Ag、Cu、Mo、W、Ti、Al、Pd、Pt、Ta等の金属、これらの金属の合金、これらの金属の化合物が挙げられ、伝導性が高い材料が好ましい。
【0053】
有版印刷もしくは無版印刷により第1導電層13を成膜する場合に使用するインクには種々の導電性インクを用いることができる。使用するインクは、伝導性の高い材料を含むインクが好ましく、たとえばPEDOT/PSSなどの導電性高分子化合物を含むインク、無機材料のナノパーティクル微粒子を分散させた微粒子分散インク、銀塩などの金属化合物インクがあげられる。微粒子分散インクの微粒子としては、ナノ−Au、ナノ−Ag、ナノ−Cu、ナノ−Pd、ナノ−Pt、ナノ−Ni、ナノ−ITO、ナノ−酸化銀等の微粒子を挙げることができる。なおナノ−酸化銀を含む微粒子分散インクには、還元剤を混合して用いてもよい。
【0054】
第1導電層13の膜厚は、特に制限はないが、好ましくは、50nm〜50μmであり、より好ましくは、50nm〜300nmである。
【0055】
第1導電層13を塗布法により形成するさいに使用するインクの溶媒は、密着層12に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば密着層12を溶解し難い溶媒を用いることが好ましい。
【0056】
本実施形態では、内部回路3の一部を構成する第1導電層13を形成するさいに、同時に接続用配線6の一部とコネクタ部9を構成する第1導電層13を形成する。はみ出し領域では、第1導電層13は、接続用配線6の延在する方向と同じ方向に延在するように形成され、複数本の線状の配線として形成される。
【0057】
つぎに第1導電層13上に絶縁膜14を形成する(
図7参照)。絶縁膜14には高分子化合物材料からなる有機絶縁膜を用いることが好ましい。高分子化合物材料としては、PS樹脂、PVP樹脂、PMMA樹脂、含フッ素樹脂、PI樹脂、PC樹脂、PVA(Polyvinyl alcohol)樹脂やこれらの樹脂に含有される繰り返し単位を複数含む共重合体などがあげられる。これらのなかでも高分子化合物材料としては、耐溶剤性などのプロセス耐性や安定性に優れる、架橋性を有する共重合体を用いることが好ましい。たとえば絶縁膜14は、スピンコート法により高分子化合物材料を成膜することにより形成することができる。
【0058】
本実施形態では絶縁膜14は、回路配置領域2のみならず、はみ出し領域8にも形成される。なおはみ出し領域8では、絶縁膜14は、第1導電層13のみならず、線状に形成された複数本の第1導電層13間にも形成される。これによって、線状に形成された複数本の第1導電層13間の電気的な絶縁が確保される。
【0059】
つぎに、絶縁膜14上に形成される後述の第2導電層15と、第1導電層13との電気的な導通を確保するために、絶縁膜14の所定の部位にコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールはたとえばフォトリソグラフィ法によって形成することができる。
【0060】
なお他の実施の形態では、絶縁膜14を成膜した後にコンタクトホールを形成するのではなく、所定の部位に選択的に絶縁膜14をパターン形成することにより、コンタクトホールが形成された絶縁膜14を形成することが好ましい。たとえば有版印刷法もしくは無版印刷法により絶縁膜14をパターン形成することにより、コンタクトホールが形成された絶縁膜14を得ることができる。また感光性樹脂を絶縁膜14の形成に用いることにより、フォトリソグラフィ法で所定のパターンの絶縁膜14を形成することができる。
【0061】
はみ出し領域8では、接続用配線6の低抵抗化のために、第1導電層13と、後述する第2導電層15との電気的な導通を確保することが好ましく、この電気的な導通を確保するために、絶縁膜14にコンタクトホールを形成することが好ましい。
図7に示すように、はみ出し領域8では、複数のコンタクトホールを絶縁膜14に形成することが好ましい。なお他の実施形態としては、はみ出し領域8に絶縁膜14を形成しない形態もとりうる。なお有版印刷を用いて絶縁膜14を印刷して形成する場合には、非転写部の間隔が広すぎると、当該非転写部へもインクが印刷されることがある。この意図せぬ非転写部への絶縁膜14の転写を防止するためにも、非転写部の間隔を所定の間隔以下にすることが好ましく、一定の間隔で絶縁膜14のパターンを配置することがより好ましい。
【0062】
絶縁膜14の膜厚は、特に制限はないが、好ましくは、10nm〜1μmであり、より好ましくは、100nm〜600nmである。
【0063】
絶縁膜14を塗布法により形成するさいに使用するインクの溶媒は、密着層12と第1導電層13に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば密着層12と第1導電層13に対する直交溶媒を用いることが好ましい。
【0064】
つぎに第2導電層15を形成する(
図8参照)。この第2導電層15は、内部回路3を構成する能動素子などの電極および配線、並びに、はみ出し領域8に形成される接続用配線6の一部とコネクタ部9を構成する。たとえば内部回路3を構成する有機薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極は、この第2導電層15によって構成される。
【0065】
なお、はみ出し領域8では、第2導電層15は、たとえば平面視で第1導電層13と重なる位置に形成される。すなわち第2導電層15は、第1導電層13と同様に、接続用配線6の延在する方向と同じ方向に延在するように形成され、複数本の線状の配線として形成される。そして、はみ出し領域8において、第2導電層15を形成するさいに、絶縁膜14に形成されたスルーホール中にも導電体が形成される。これによって、はみ出し領域8において、第1導電層13と第2導電層15とが電気的に導通される。
【0066】
第2導電層15は前述した第1導電層13と同様の方法で所定のパターンに形成することができる。また第2導電層15の材料も、第1導電層13の説明において例示したものを使用することができる。なお第2導電層15は、たとえば有機絶縁膜からなる絶縁膜14に対して与えるダメージを抑制することが可能な方法で形成することが好ましい。またダメージ緩和層などのように、第2導電層15を形成するさいに絶縁膜14に与えるダメージを保護するための保護層をあらかじめ絶縁膜14上に形成した後に、第2導電層15を形成してもよい。なおこの保護層は、第2導電層15の形成後に、第2導電層15に覆われていない部位を除去してもよく、また除去が不要であれば除去しなくてもよい。
【0067】
なお、工程の簡易化の観点からは、接続用配線の少なくとも一部は、印刷法によって形成することが好ましい。
【0068】
第2導電層15の膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、50nm〜50μmであり、より好ましくは、100nm〜600nmである。
【0069】
なお第2導電層15を塗布法により形成する場合に使用するインクの溶媒は、絶縁膜14に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば絶縁膜14を溶解し難い溶媒を用いることが好ましい。
【0070】
つぎに有機薄膜トランジスタの能動層16を形成する(
図9参照)。能動層16は、絶縁膜14に対して可能な限りダメージを与えない方法で形成することが好ましい。
【0071】
たとえば能動層16は、当該能動層16が形成されるべき部位にのみ、選択的に能動層16となる材料を成膜することによって形成してもよい。具体的にはメタルマスクなどのマスクを介して、真空蒸着法によって能動層16となる材料を所定の領域のみに成膜することによって能動層16を形成してもよい。また能動層16となる薄膜をまず形成し、フォトリソグラフィー法によってこの薄膜をパターニングすることにより、能動層16が形成されるべき部位に能動層16を形成してもよい。さらには、回路配置領域2において、能動層16を形成すべき部位に開口部を有する樹脂膜を、絶縁膜14の露出部と第2導電層15上に形成し、その後、一面に能動層16を真空蒸着法で成膜してもよい。なお樹脂膜の開口部は、フレキシブル基板11から離間するほどその断面が小さくなる、逆テーパー形状に形成される。このような逆テーパ形状の開口部を樹脂膜に形成することにより、開口部内に形成された能動層16と、樹脂膜上に形成された能動層と同じ材料の薄膜とが切断されることになり、樹脂膜がセパレータとしても機能する。また、有版印刷法もしくは無版印刷法により、当該能動層16が形成されるべき部位にのみ、選択的に能動層16となる材料を成膜することによって能動層16を形成することが好ましい。
【0072】
有版印刷法もしくは無版印刷法により能動層16を形成するさいに使用するインクには、無機半導体材料の分散インクや低分子化合物、高分子化合物などの有機半導体材料を含むインク等を用いることができるが、高分子有機半導体材料を含むインクを用いることが好ましい。また有版印刷法もしくは無版印刷法によって能動層16を成膜した後に、能動層16のモルフォロジーを制御するため、または溶媒を揮発するために、適宜、焼成処理を施してもよい。能動層16の膜厚は、素子特性に好ましくない影響を与えない範囲であれば特に制限はないが、好ましくは、15nm〜1000nmであり、より好ましくは、15nm〜150nmである。
【0073】
能動層16を塗布法又は印刷法により形成するさいに使用するインクの溶媒は、絶縁膜14、第2導電層15に対してダメージを与えないのもが好ましく、たとえば絶縁膜14、第2導電層15を溶解し難い溶媒を用いることが好ましい。
【0074】
無機半導体材料の分散インクとしては、ZnO、IGZO、ZTO、ITO、IZOおよびSiなどの酸化物半導体の分散インクやゾル−ゲル液などがあげられる。
【0075】
有機半導体材料としては、ペンタセン(Pentacene)や銅フタロシアニン等の蒸着により成膜しうる低分子化合物、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(6,13-bis(triisopropylsilylethynyl)pentacene(Tips-Pentacene))、13,6−N−スルフィニルアセトアミドペンタセン(13,6-N-sulfinylacetamidopentacene(NSFAAP))、6,13−ジヒドロ−6,13−メタノペンタセン−15−オン(6,13-Dihydro-6,13-methanopentacene-15-one(DMP))、ペンタセン−N−スルフィニル−n−ブチルカルバマート付加物(Pentacene-N-sulfinyl-n-butylcarbamate adduct)、ペンタセン−N−スルフィニル−tert−ブチルカルバマート(Pentacene-N-sulfinyl-tert-butylcarbamate)等のペンタセン前駆体、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン([1]Benzothieno[3,2-b]benzothiophene(BTBT))、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、可溶性基としてアルキル基等を有するオリゴチオフェン等の低分子化合物又はオリゴマー、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等のポリチオフェン、フルオレンコポリマー(例えば、フルオレンジイル基とチオフェンジイル基とを有する共重合体)等の高分子化合物等があげられる。
【0076】
つぎに保護膜17を形成する(
図10参照)。なお保護膜17は能動層16に対して可能な限りダメージを与えない成膜手法によって形成することが好ましい。
【0077】
保護膜17は、たとえば真空蒸着法、原子層堆積法(ALD)法、スピンコート法などの塗布法を用いて絶縁膜14、第2導電層15及び能動層16上に一面に絶縁性薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により所定の形状にパターニングして、第2導電層15上の所定の部位にスルーホールを形成するとともに、コネクタ部9の第2導電層15が露出するよう絶縁性薄膜を除去する。さらには有版印刷法もしくは無版印刷法により、直接所定のパターンで保護膜17を形成することが好ましい。
【0078】
印刷する材料は、無機材料の分散インク、ゾルーゲル材料、低分子化合物、高分子化合物になどの有機材料を含むインク等の種々の材料が選択できるが、高分子材料を含むインクが好ましい。
【0079】
保護膜17の材料としては、無機や有機SOG(スピンオングラス)材料のほか、前述の絶縁膜14において例示した材料と同様のものをあげることができる。
【0080】
保護膜17の膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、50nm〜5μmであり、より好ましくは、500nm〜1.5μmである。
【0081】
保護膜17を塗布法により形成するさいに使用する溶媒は、絶縁膜14、第2導電層15、能動層16に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば絶縁膜14、第2導電層15、能動層16を溶解や腐食し難い溶媒を用いることが好ましい。
【0082】
つぎに、本実施形態では、保護膜17上に、有機EL素子を形成する(
図11参照)。有機EL素子は、第1電極31、所定の有機層32、第2電極33とから構成される。これら第1電極31、所定の有機層32、第2電極33を順次公知の方法によって形成することにより、内部回路3上に、有機EL素子が形成される。なお所定の有機層32は、2層以上積層してもよい。また有機EL素子は、塗布法によって形成してもよい。
【0083】
さらには他の実施形態として、所定の基板上に有機EL素子をあらかじめ形成しておき、この有機EL素子が形成された基板を、電気回路が形成されたフレキシブル基板11と貼り合せることにより、有機EL素子を保護膜17上に配置してもよい。
【0084】
つぎにフレキシブル基板11のはみ出し領域の端部に補強板18を貼合する(
図12参照)。この補強板18は、フレキシブル基板11の接続用配線6が形成された一方の表面とは反対側の他方の表面に貼合される。補強板18の設け方には特に制限はないが、たとえばポリイミドなどで作られた補強板18を、補材接着材によってフレキシブル基板11に貼り合わせる。補強板18の厚みは、コネクタ部の合計厚みL1が外部の装置の外部コネクタ(たとえばFPC・FFC用コネクタ)の仕様に合うように適宜選択される。たとえばヒロセ電機株式会社製FH23シリーズのFPC・FFCコネクタの場合は、コネクタ部9の合計の厚みL1が193μmになるように補強板18の厚みを選択すればよい。本工程で貼り合わせる補強板18は、外部の装置の外部コネクタの仕様に合致する領域に貼りあわせる必要がある。さらに好ましくは、後の工程で、金型によって、補強板を意図した幅に補強板18ごとに正確に切断できるように、切断後の幅よりも十分に幅広なものが好ましい。
【0085】
図3に示すように、一枚のフレキシブル基板11上に複数の表示装置1を一括して形成した場合には、各表示装置1を切り出す。たとえば目的の表示装置1の外周形状に合うように作製された抜き型を用いて、フレキシブル基板11から一括して表示装置1を切り出してもよく、またレーザーカッターを用いて目的の表示装置の外周形状に合うように切り出してもよい。なお抜き型を用いる方法は、一括で複数の表示装置1を切り出す方ことができ、さらに高速で連続して型抜きできるため、好ましい。
【0086】
抜き型の種類には特に制限はなく、目的に応じた物を選択することが出来る。例えば、トムソン型(ビク型)、ピナクルダイ、モービルダイ(NC彫刻刃型)、チタンダイ、フレキシブルダイ等があげられる。
【0087】
コネクタ部9における接続用配線6の表面には、接続部表面被覆層19を形成することが好ましい(
図2参照)。接続部表面被覆層19は、接続用配線6よりも酸化し難い材料によって形成されることが好ましい。接続部表面被覆層19は、単層の金属薄膜でも、複数種類の金属薄膜を積層した積層膜でもよい。このような積層膜としては、例えばニッケル薄膜と金薄膜とを積層した積層膜をあげることができる。
【0088】
接続部表面被覆層19は、例えばフレキシブル基板11、密着層12、第1導電層13、絶縁膜14、第2導電層15、保護膜17、有機EL素子に対してダメージを与えない方法によって形成することが好ましい。
【0089】
接続部表面被覆層19の形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法や有版印刷法もしくは無版印刷法により、予め直接所定のパターンに活性層をパターニングした基板上へ、電解めっき法、無電解めっき法や無電解めっきと電解めっき法の組合せにより所定の位置に金属薄膜を形成するようにしてもよく、さらには有版印刷法もしくは無版印刷法や電解めっき法により、接続部表面被覆層19を形成すべき部位に直接的に所定のパターンの接続部表面被覆層19を形成することが好ましい。
【0090】
接続部表面被覆層19の材料は、酸化し難い材料が好ましく、金、銀、銅、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、パラジウム、および白金からなる群から選択された少なくとも1種の金属や、これらの合金、もしくは、ITO、IZO、ZTO、ZnOからなる群から選択された少なくとも1種の金属酸化物などが好ましく、中でも錫と亜鉛を含む合金である半田や、金、銀、銅、ニッケル、または錫が好ましい。
【0091】
接続部表面被覆層19を有版印刷もしくは無版印刷によって形成する場合に使用するインクには、種々の導電性インクが使用できるが、伝導性の高い材料を含むインクが好ましく、このようなインクとしては、上述した第1導電層13を形成するさいに使用されるインクがあげられ、これらのなかでも、微粒子分散インクの微粒子としてナノ−Auを用いたインクが好ましい。なお焼成温度の低温化や、接続部表面被覆層19以外の領域に加熱の影響が及ぶことを抑制するために、印刷法によりたとえばナノ−Auを含むインクを印刷した後、加圧焼成やフラッシュアニール等により、インクが塗布された領域を局所的に焼結してもよい。
【0092】
接続部表面被覆層19の膜厚は、特に制限はないが、好ましくは50nm〜5μmであり、より好ましくは100nm〜1μmである。
【0093】
なお、たとえばはみ出し領域8の長さが長く、接続用配線6のさらなる低抵抗化が必要な場合など、必要に応じて、補助導電層を第1導電層13および第2導電層15の少なくともいずれか一方の導電層の表面に重ねて形成してもよい。このような補助導電層は、各導電層の一方または両方の表面に重ねて形成してもよい。補助導電層は、スクリーン印刷法により形成されることが好ましく、たとえば厚みが数μm〜数十μmの補助導電層を形成することで、接続用配線6の低抵抗化を図ることができる。
【0094】
なお本実施形態では接続部表面被覆層19は、補強板18の貼合後に形成しているが、補強板18の貼合前に形成してもよい。たとえば接続部表面被覆層19は、第2導電層15を形成する工程につづいて、連続して形成してもよく、また、保護膜17形成後に形成してもよい。また本実施形態では接続部表面被覆層19を接続用配線の端部のみに形成しているが、この端部に加えて接続用配線上の必要な箇所に設けてもよく、接続用配線6上の全領域に形成してもよい。さらには、第2導電層15を形成する工程につづいて、接続部表面被覆層19を連続して成膜する場合には、接続用配線6上だけでなく、第2導電層15上の全ての領域に表面被覆層を設けてもよい。
【0095】
また、
図13、14に示すように、表示装置1と外部の装置とを最短距離で接続する場合には、はみ出し領域8を、コネクタ部9の形成に必要な長さに限定して短く設定してもよい。このようにはみ出し領域を短く設定することで、表示装置1と外部の装置とを最短距離で接続することができる。
【0096】
図15は本発明の他の実施形態の表示装置1を模式的に示す図である。また
図16は、周辺部品10および表示体4を設ける前の表示装置1の端部を拡大して模式的に示す断面図である。
図17は本実施形態の表示装置1の端部を拡大して模式的に示す断面図である。
【0097】
本実施形態では、前述の実施形態の表示装置1に加えて、はみ出し領域8に、周辺部品10を設けるための実装用パターン領域を設け、ここにたとえば周辺部品10を設けるためのパッドを設けている。そして、この実装用パターン領域に、周辺部品10を実装している。なお、前述したように、有機EL素子が形成された基板を、電気回路が形成されたフレキシブル基板11と貼り合せる場合には、そのさいに駆動ICなどの周辺部品10を実装すればよい。
【0098】
また前述の本実施形態では、コネクタ部9における接続用配線6の表面にのみ接続部表面被覆層19を形成していたが、本実施形態では、第2導電層15の表面のうちで、保護膜17で覆われていない領域全てに、接続部表面被覆層19を形成する。たとえば保護膜17を形成した後に、第2導電層15の露出領域全てに接続部表面被覆層19を設けることにより、接続部表面被覆層19を形成する。
【0099】
以上の構成以外は、前述の実施形態の表示装置と同様に構成される。
【0100】
このように表示体および内部回路が形成されるフレキシブル基板上に、駆動IC等の周辺部品10を実装することにより、引出配線数を削減することが可能となる。特に、高精細ディスプレイを構成する場合には、全ての配線をFPC・FFC用コネクタを介して外部の装置5へ接続することは困難であるが、引出配線数を削減することにより、外部の装置5への接続を容易におこなうことができる。また、はみ出し領域8が長い場合、全ての信号線を外部の装置5へ引き出すと、信号品質の劣化による誤動作や表示画質が劣化する可能性があるが、はみ出し領域8に周辺部品10を実装することにより、信号品質の劣化を抑制することができる。
【0101】
以上のように構成された本実施形態の表示装置は、前述の実施形態の表示装置と同様の効果を発現するとともに、引出配線数削減および表示品質を向上することができる。
【0102】
以上の各実施形態の表示装置について説明したが、本発明はこれらの実施形態の表示装置に限定されるものではなく、照明装置等にも用いられてもよい。