(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板部材の表面を研磨可能な研磨部材と、前記研磨部材を保持する保持機構とを備え、前記保持機構に保持された前記研磨部材を前記板部材の表面に当接させて相対移動させることにより、前記板部材の表面を研磨するように構成された研磨装置において、
前記保持機構に保持された前記研磨部材の表面を研削して前記表面の平面度を修正する研削ユニットを備え、
前記研削ユニットは、
前記研磨部材の表面と略平行な所定方向に延びる走行軸と、
前記走行軸に設けられ、前記研磨部材の表面を研削可能なドレスヘッド部と、
前記走行軸の前記所定方向に沿って前記ドレスヘッド部とは離れた位置に設けられ、前記研磨部材の表面形状を測定する測定部と、
前記ドレスヘッド部および前記測定部を前記走行軸に沿って前記所定方向に移動させる移動機構と、
前記測定部を前記走行軸に沿って移動させて前記研磨部材の表面形状を測定し、その測定結果に基づいて、前記ドレスヘッド部を前記走行軸に沿って移動させて前記研磨部材の修正研削を制御する制御部と、
前記研削ユニットの傾きを調整する第1調整機構とを有して構成され、
前記ドレスヘッド部は、前記研磨部材の表面形状に応じて、前記研磨部材の表面を研削する研削面の傾きを調整する第2調整機構を有して構成されることを特徴とする研磨装置。
前記研磨部材は、前記板部材の両面をそれぞれ研磨可能な一対の研磨部材であり、前記保持機構は、前記一対の研磨部材を互いに対向するように保持し、前記保持機構に保持された前記一対の研磨部材をそれぞれ前記板部材の両面に当接させて相対移動させることにより、前記板部材の両面を研磨するように構成されており、
前記研削ユニットは、前記保持機構に保持された前記一対の研磨部材のうち少なくともいずれかの研磨部材の表面を研削して前記表面の平面度を修正することを特徴とする請求項1または2に記載の研磨装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用した研磨装置1の概略構成を
図1に示す。研磨装置1は、キャリア15の側面を支持するキャリア支持機構20と、キャリア15に保持されたガラス板10を研磨する研磨ヘッド機構30と、研磨ヘッド機構30を構成する上皿31の表面31aを研削する上皿研削ユニット40(
図2を参照)と、研磨ヘッド機構30を構成する下皿36の表面36aを研削する下皿研削ユニット50(
図2を参照)とを主体に構成される。
【0011】
ガラス板10を搬送するためのキャリア15は、
図2にも示すように、枠部材16と、保持部材17とを有して構成される。枠部材16は、ステンレス等の金属材料を用いて、外周部が略円形の枠板状に形成され、枠部材16の内側に保持部材17が取り付けられる。保持部材17は、可撓性の高い樹脂材料を用いて中央に矩形の孔部を有する板状に形成され、ガラス板10の形状に合わせて形成された当該孔部にガラス板10が嵌合されて保持されるようになっている。このようにキャリア15に保持されたガラス板10は、図示しない搬送装置によりキャリア15とともに下皿36の表面36aに載置されるとともに、この状態でキャリア15の側面がキャリア支持機構20に支持される。なお、枠部材16および保持部材17は、ガラス板10よりも薄くなるように形成される。
【0012】
キャリア支持機構20は、
図2に示すように、キャリア15に対してそれぞれ等間隔(90度間隔)に配設された、3つのガイドローラ21,22,23と、1つの駆動ローラ24とを有して構成され、各ローラ21〜24によってキャリア15の側面を支持する。駆動ローラ24は、ローラ用モータ25と連結されており、ローラ用モータ25の回転駆動力を受けて回転するようになっている。そして、駆動ローラ24に対する回転駆動力は、キャリア15と駆動ローラ24との間の摩擦力を利用してキャリア15に伝達され、これにより、駆動ローラ24(ローラ用モータ25)の回転駆動力を利用して、キャリア15、すなわち下皿36の表面36aに載置されたガラス板10が回転駆動されるようになっている。
【0013】
研磨ヘッド機構30は、ガラス板10の上面および下面をそれぞれ研磨可能な上下一対の上皿31および下皿36と、上皿31および下皿36をそれぞれ互いに対向するように保持する上皿保持部32および下皿保持部37とを主体に構成される。上皿31は、セラミックス等の高剛性材料を用いて円盤状に形成され、研磨面となる上皿31の表面31aは高い平面度を有している。上皿保持部32は、下皿保持部37の上方に設けられ、上皿31の表面31aが下側を向くように上皿31を保持する。また、上皿保持部32は、上部スピンドル33と連結されて回転可能に構成されており、上皿保持部32とともに上皿31を回転および上下移動させることができるようになっている。
【0014】
下皿36は、セラミックス等の高剛性材料を用いて円盤状に形成され、研磨面となる下皿36の表面36aは高い平面度を有している。下皿保持部37は、上皿保持部32の下方に設けられ、下皿36の表面36aが上側を向くように下皿36を保持する。また、下皿保持部37は、下部スピンドル38と連結されて回転可能に構成されており、下皿保持部37とともに下皿36を回転させることができるようになっている。
【0015】
そして、キャリア15に保持されたガラス板10を図示しない搬送装置により下皿36の表面36aに載置し、上皿保持部32に保持された上皿31を下方に移動させて上皿31および下皿36をそれぞれガラス板10の両面(上面および下面)に当接させ、キャリア15の側面を支持するキャリア支持機構20の駆動ローラ24を回転駆動してキャリア15(ガラス板10)を回転させることにより、ガラス板10の両面を研磨する。なおこのとき、図示しない研磨剤供給装置により、上皿31および下皿36とガラス板10との当接部に研磨剤もしくは研磨液等が供給される。
【0016】
このようにしてガラス板10の両面が研磨される研磨装置1において、上皿研削ユニット40により上皿保持部32に保持された上皿31の表面31aを研削して当該表面31aの平面度を修正するとともに、下皿研削ユニット50により下皿保持部37に保持された下皿36の表面36aを研削して当該表面36aの平面度を修正するようになっている。そこで、下皿研削ユニット50について
図3〜
図5を追加参照しながら以下に説明する。なお、上皿研削ユニット40は、下皿研削ユニット50と上下の向きが逆になるだけで、下皿研削ユニット50と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0017】
さて、下皿研削ユニット50は、
図4に示すように、筐体部51と、制御装置55(
図3を参照)と、水平移動機構60と、ドレス昇降機構70と、測定部90と、ドレス回転機構100と、ドレスヘッド部110と、給水装置130と、エア供給制御部140とを主体に構成される。筐体部51は、下側が開放された水平方向に長い箱形に形成される。また、筐体部51は、
図3に示すように、下皿保持部37(およびキャリア支持機構20)の側方に配設され、下皿36の研削を行うときには、制御装置55の作動制御により、図示しない揺動機構を用いて常には所定の退避位置に位置する筐体部51が下皿36の上方に揺動するようになっている。このとき、筐体部51の先端側が下皿36の中心部近傍から半径方向に沿って延びるようになっており、後述するドレスヘッド部110の水平移動と下皿36の回転移動とを組み合わせることにより、下皿36の表面36a全体を研削できるようになっている。
【0018】
筐体部51の先端部には、傾斜調整ネジ52が設けられており、筐体部51の基端部に設けられた揺動中心軸53を中心として、筐体部51、すなわち下皿研削ユニット50の上下方向の傾き(水平レベル)を調整できるようになっている。なおこのとき、筐体部51の先端側の下部に第1ダイヤルゲージ57が取り付けられるとともに、第2ダイヤルゲージ58が取り付けられ、例えば、第1および第2ダイヤルゲージ57,58をそれぞれ下皿36の表面36aに当接させて計測した変位量に基づいて、下皿研削ユニット50の上下方向の傾き(水平レベル)が調整される。
【0019】
水平移動機構60は、筐体部51の内部に配設された走行軸61と、走行軸61と螺合された走行体62と、走行軸61を回転駆動する走行軸用モータ64とを主体に構成され、走行体62と繋がるドレスヘッド部110を走行軸61に沿って水平移動(すなわち、下皿36の表面36aと略平行な方向に移動)させるようになっている。走行軸61は、いわゆるボールネジであり、筐体部51の先端部近傍から基端部まで跨って、走行軸61の中心軸を中心に回転自在に取り付けられる。なお、走行軸61は筐体部51と略平行に延びることになる。走行軸61の先端部には、走行軸用従動プーリ63が取り付けられている。
【0020】
走行体62は、走行軸61と螺合されており、走行軸61の回転に応じて水平(往復)移動するようになっている。この走行体62には、ドレス昇降機構70の昇降ベース部材71が連結され、これにより、ドレス昇降機構70およびドレス回転機構100を介して繋がるドレスヘッド部110を走行軸61に沿って水平移動させることが可能になる。また、走行体62には、測定部90が連結されており、測定部90の接触式変位センサ91をドレスヘッド部110とともに水平移動させることができるようになっている。
【0021】
走行軸用モータ64は、筐体部51の内側に取り付けられており、走行軸用モータ64の回転軸に走行軸用減速機65が連結されるとともに、走行軸用減速機65の出力軸に走行軸用駆動プーリ66が連結される。走行軸用駆動プーリ66と走行軸用従動プーリ63との間にベルトが巻き掛けられ、走行軸用モータ64の回転駆動力が走行軸用減速機65、走行軸用駆動プーリ66、および走行軸用従動プーリ63を介して走行軸61に伝達され、走行軸用モータ64により走行軸61が回転駆動される。なお、走行体62と繋がるドレスヘッド部110の走行軸61上の原点位置を検出する走行軸用原点検出センサ67および、ドレスヘッド部110(走行体62)が走行軸61の先端部および基端部に達したか否かを検出する走行軸用リミットセンサ68,69が、筐体部51の内側に取り付けられている。
【0022】
ドレス昇降機構70は、水平移動機構60の走行体62と連結された昇降ベース部材71と、昇降ベース部材71に取り付けられた2つの昇降用ボールネジ72,75と、昇降用ボールネジ72,75と螺合された昇降部材77と、昇降用ボールネジ72,75を回転駆動する昇降用モータ78とを主体に構成され、昇降部材77と繋がるドレスヘッド部110を昇降用ボールネジ72,75に沿って昇降させるようになっている。昇降ベース部材71は、箱形に形成されており、水平移動機構60の走行体62と連結されて水平移動可能に構成される。
【0023】
2つの昇降用ボールネジ72,75はそれぞれ、昇降ベース部材71の内部に回転自在に取り付けられる。このとき、各昇降用ボールネジ72,75はそれぞれ、互いに平行となるように上下方向を向いている。第1の昇降用ボールネジ72の下端部には、第1の昇降用従動プーリ73が取り付けられ、第1の昇降用ボールネジ72の上端部には、駆動伝達プーリ74が取り付けられている。また、第2の昇降用ボールネジ75の上端部には、第2の昇降用従動プーリ76が取り付けられ、第2の昇降用従動プーリ76と駆動伝達プーリ74との間にベルトが巻き掛けられる。
【0024】
昇降用モータ78は、昇降ベース部材71に取り付けられており、昇降用モータ78の回転軸に昇降用減速機79が連結されるとともに、昇降用減速機79の出力軸に昇降用駆動プーリ80が連結される。昇降用駆動プーリ80と第1の昇降用従動プーリ73との間にベルトが巻き掛けられ、昇降用モータ78の回転駆動力が昇降用減速機79、昇降用駆動プーリ80、および第1の昇降用従動プーリ73を介して第1の昇降用ボールネジ72に伝達されるとともに、駆動伝達プーリ74および第2の昇降用従動プーリ76を介して第2の昇降用ボールネジ75に伝達され、昇降用モータ78により第1および第2の昇降用ボールネジ72,75がそれぞれ回転駆動される。なお、昇降部材77と繋がるドレスヘッド部110の昇降用ボールネジ72,75上の原点位置を検出する昇降用原点検出センサ81および、ドレスヘッド部110(昇降部材77)が昇降用ボールネジ72,75の上端部および下端部に達したか否かを検出する昇降用リミットセンサ82,83が、昇降ベース部材71に取り付けられている。
【0025】
測定部90は、下皿36の表面36aの高さを測定する接触式変位センサ91と、接触式変位センサ91を昇降させる昇降シリンダ92とを主体に構成される。接触式変位センサ91は、先端に設けられたプローブを下皿36の表面36aに接触させることで、下皿36の表面36aの高さを測定し、その測定信号を制御装置55(
図3を参照)に出力する。昇降シリンダ92は、いわゆるエアシリンダであり、ロッド部が連結部材93を介して接触式変位センサ91と連結され、空気圧を利用して接触式変位センサ91を昇降させる。そのため、昇降シリンダ92の配管は、スピードコントローラ94,95を介してエア供給制御部140のシリンダ駆動バルブ152と接続される。また、昇降シリンダ92は、水平移動機構60の走行体62と連結されており、ドレスヘッド部110とともに接触式変位センサ91を水平移動可能に構成される。なお、接触式変位センサ91が所定の上昇位置および下降位置に達したか否かを検出する昇降用リミットセンサ96,97が、昇降シリンダ92に内蔵されている。
【0026】
ドレス回転機構100は、ドレス昇降機構70の昇降部材77に回転可能に取り付けられたスピンドル101と、スピンドル101を回転駆動する回転用モータ104とを主体に構成され、スピンドル101の下端部に連結されたドレスヘッド部110を回転させるようになっている。スピンドル101は、中空円筒状に形成されており、ドレス昇降機構70の昇降部材77に回転可能に取り付けられるとともに、当該昇降部材77とともに昇降可能に構成される。
【0027】
スピンドル101の下端部にはドレスヘッド部110が連結されており、ドレスヘッド部110の内部(後述の圧力室H)へ空気を給排するためのエア通路がスピンドル101の内部に形成される。一方、スピンドル101の上端部にはロータリージョイント103が取り付けられており、エア供給制御部140の加圧用管路141と接続される。また、スピンドル101の中央部近傍には、回転用従動プーリ102が取り付けられる。
【0028】
回転用モータ104は、ドレス昇降機構70の昇降部材77に取り付けられており、回転用モータ104の回転軸に回転用減速機105が連結されるとともに、回転用減速機105の出力軸に回転用駆動プーリ106が連結される。回転用駆動プーリ106と回転用従動プーリ102との間にベルトが巻き掛けられ、回転用モータ104の回転駆動力が回転用減速機105、回転用駆動プーリ106、および回転用従動プーリ102を介してスピンドル101に伝達され、回転用モータ104によりスピンドル101が回転駆動される。なお、スピンドル101と繋がるドレスヘッド部110の回転を検出する回転検出センサ107が、昇降部材77に取り付けられている。
【0029】
ドレスヘッド部110は、
図5に示すように、スピンドル101の下端部に連結されたヘッドハウジング111と、ヘッドハウジング111の開口部を塞ぐように設けられた研削工具121とを主体に構成される。ヘッドハウジング111は、スピンドル101と連結される連結部112と、連結部112の下側に連結されたプレート部113と、プレート部113の下側に連結されたアウターリング117とを主体に構成され、これらによって下側に開口した有底円筒形に形成される。
【0030】
連結部112は、中央に開口を有する円盤状に形成され、連結部112の中央部上側にスピンドル101の下端部が連結される。連結部112の開口はスピンドル101の内部と繋がっており、スピンドル101の内部(エア通路)からヘッドハウジング111の内部(後述の圧力室H)に空気が給排されるようになっている。プレート部113は、中央に開口を有する円盤状に形成され、連結部112の外周部下側に連結される。アウターリング117は、プレート部113と同等の外径を有する断面視L字型のリング状に形成され、プレート部113の外周部下側に連結される。アウターリング117の底部には、複数のガイドピン118が上方を向いて取り付けられている。
【0031】
プレート部113の下側におけるアウターリング117の内側には、インナーリング114が取り付けられており、インナーリング114の内側上面に取り付けられた固定リング115との間に、ダイヤフラム116の外周側が挟持される。ダイヤフラム116は、ゴム等の弾性の高い樹脂材料を用いて円盤状に形成され、ダイヤフラム116の外周側がインナーリング114と固定リング115との間に挟持されるとともに、内周側が研削工具121の上部プレート122と下部プレート123との間に挟持される。これにより、ヘッドハウジング111と、研削工具121と、ダイヤフラム116とに囲まれて、ヘッドハウジング111内に圧力室Hが形成される。そして、研削工具121の中央上面で圧力室H内の空気圧を受けて、研削工具121が上下方向(下皿36の表面36aへ向かう方向)へ往復移動できるようになっている。
【0032】
研削工具121は、上部プレート122と、上部プレート122の下側に連結された下部プレート123と、下部プレート123の下側に連結された研削部材125とを有して構成される。上部プレート122は円盤状に形成され、下部プレート123との間にダイヤフラム116の内周側が挟持される。下部プレート123は、上部プレート122よりも外径の大きい円盤状に形成され、上部プレート122の下側に連結される。研削部材125は、例えばダイヤモンド砥粒を含んだセラミック材を用いて、下部プレート123よりも外径の小さい円盤状に形成され、下部プレート123の下側に連結される。そして、研削部材125の表面(下面)が下皿36の表面36aを研削する研削面となる。
【0033】
下部プレート123の外周部には、ヘッドハウジング111のガイドピン118と位置整合した複数のガイド溝124が形成されており、ヘッドハウジング111のアウターリング117に取り付けられた複数のガイドピン118がそれぞれ、ガイド溝124に係合するようになっている。これにより、スピンドル101と連結されたヘッドハウジング111の回転駆動力は、ガイドピン118およびガイド溝124を介して研削工具121に伝達される。なお、ガイド溝124は、ガイドピン118よりも若干大きく形成されており、研削工具121が下皿36の表面36aの形状に対し倣う(傾斜する)ことができるようになっている。
【0034】
給水装置130は、
図4に示すように、下皿表面36aの研削中に洗浄水を供給する装置であり、給水装置130の給水管路139には、上流側から順に、水供給源Bと繋がる通路の開閉を行うマスターバルブ131と、給水管路139内の水圧を所望の水圧に減圧するレギュレータ132と、給水管路139の開閉を行う給水バルブ133とが配設される。給水バルブ133は、エア供給制御部140のセンサ用管路151から分岐して供給される空気の圧力を受けて、給水管路139を開放し、洗浄水を供給するようになっている。なお、センサ用管路151と給水バルブ133との間の管路には、給水バルブ133による給水管路139の開閉作動を制御する給水作動バルブ155が配設されている。また、給水バルブ133において、給水バルブ133を通過する水の流量を調節することが可能である。
【0035】
エア供給制御部140は、ドレスヘッド部110のヘッドハウジング111の内部に空気を供給する加圧用管路141と、測定部90の昇降シリンダ92に空気を供給するセンサ用管路151と、測定部90により下皿36の表面36aの高さを測定するときに下皿36の表面36aに残った水分を吹き飛ばす空気を供給するエアブロー用管路161の3つの管路を有して構成される。加圧用管路141は、エア供給源Aからスピンドル101(ロータリージョイント103)を介してヘッドハウジング111の内部に繋がっており、加圧用管路141には、上流側から順に、エア供給源Aと繋がる通路の開閉を行うマスターバルブ142と、加圧用管路141内の空気圧を減圧する第1レギュレータ143と、加圧用管路141内の空気圧をさらに減圧する第2レギュレータ144と、加圧用制御ユニット145とが配設される。
【0036】
加圧用制御ユニット145は、制御装置55(
図3を参照)からの空気圧制御信号を受けて加圧用管路141内の空気圧を所定の空気圧に制御する電空レギュレータ146と、電空レギュレータ146よりも下流側の管路に設けられた開閉バルブ149とを有して構成される。また、電空レギュレータ146と開閉バルブ149との間の管路には、当該管路内の空気圧を検出して電空レギュレータ146に出力する第1圧力センサ147と、当該管路内の空気圧を予備的に検出する第2圧力センサ148とが配設されている。開閉バルブ149は、第2レギュレータ144の下流側から分岐して供給される空気の圧力を受けて、常には加圧用管路141を開放し、電空レギュレータ146によって得られた所定の空気圧を有する空気をヘッドハウジング111の内部に供給するようになっている。一方、制御装置55から所定の駆動信号が入力されると、開閉バルブ149は、加圧用管路141を閉鎖するとともに、ヘッドハウジング111の内部を大気圧に開放し、ヘッドハウジング111内の加圧空気を外部に排出するようになっている。そのため、開閉バルブ149には、空気の排出音を抑えるサイレンサ149aが取り付けられている。
【0037】
センサ用管路151は、加圧用管路141における第1レギュレータ143の下流側から分岐して昇降シリンダ92に繋がっており、センサ用管路151には、シリンダ駆動バルブ152が配設されている。シリンダ駆動バルブ152は、制御装置55(
図3を参照)からの切替信号を受け、センサ用管路151からの空気を昇降シリンダ92内の2つのシリンダ室のうちいずれか一方に切り替えて供給する。これにより、シリンダ駆動バルブ152を切替作動させることで、昇降シリンダ92による接触式変位センサ91の昇降作動を切り替えることができる。
【0038】
エアブロー用管路161は、加圧用管路141における第2レギュレータ144の下流側から分岐しており、エアブロー用管路161には、エアブロー用管路161を開閉する開閉バルブ162が配設されている。開閉バルブ162は、センサ用管路151から分岐して供給される空気の圧力を受けて、エアブロー用管路161を開放し、下皿36の表面36aに残った水分を吹き飛ばす空気を供給するようになっている。なお、センサ用管路151と開閉バルブ162との間の管路には、開閉バルブ162によるエアブロー用管路161の開閉作動を制御するエアブロー作動バルブ156が配設されている。
【0039】
以上のように構成される下皿研削ユニット50により、下皿保持部37に保持された下皿36の表面36aを研削して当該表面36aの平面度を修正するには、まず、制御装置55の作動制御により、図示しない揺動機構を用いて所定の退避位置に位置する筐体部51を下皿36の上方に揺動させる。このとき、水平移動機構60によりドレスヘッド部110を水平移動させるとドレスヘッド部110の回転軸が下皿36の中心軸(回転軸)と同軸になるようにする。これにより、水平移動機構60によってドレスヘッド部110および測定部90(接触式変位センサ91)が下皿36の半径方向に沿って水平移動することになる。またこのとき、傾斜調整ネジ52を用いて、筐体部51、すなわち下皿研削ユニット50の上下方向の傾き(水平レベル)を調整する。
【0040】
次に、水平移動機構60により下皿36の半径方向に沿って測定部90を水平移動させながら、測定部90の接触式変位センサ91により複数の測定位置において下皿36の表面36aの高さを測定する。なおこのとき、測定部90の昇降シリンダ92は、シリンダ駆動バルブ152の切替作動により、下皿36の表面36aの高さを測定するときには、接触式変位センサ91のプローブが下皿36の表面36aに接触するまで接触式変位センサ91を下降させ、測定が終了すると接触式変位センサ91を上昇させる。そして、下皿保持部37に保持された下皿36を所定角度ずつ回転させながら上記測定を繰り返すことにより、下皿36の表面36aの高さを全体にわたって測定することが可能になる。接触式変位センサ91の測定信号は制御装置55に出力され、制御装置55は、接触式変位センサ91によって測定された各測定位置における下皿36の表面36aの高さに基づいて、下皿36の表面36aの平面度および(水平からの)傾斜角を算出する。
【0041】
下皿36の表面36aの平面度を算出すると、制御装置55は、算出した平面度が要求される平面度に達していない場合、接触式変位センサ91により測定された下皿36の表面36aの高さに応じて、例えば下皿表面36aにおける凸部分にドレスヘッド部110が移動するように水平移動機構60、ドレス昇降機構70、および下皿保持部37等の作動を制御し、さらに、下皿表面36aにおける凸部分を研削して平坦化するためにドレス回転機構100および電空レギュレータ146等の作動を制御して、ドレスヘッド部110の研削工具121(研削部材125)を回転させながら当該凸部分に押圧させる。このとき、下皿36の表面36aを平坦化するため、ドレス回転機構100によるドレスヘッド部110(研削工具121)の回転数や、電空レギュレータ146からヘッドハウジング111の内部に供給される空気圧(すなわち、研削工具121の押圧力)等を調整しながら、研削工具121(研削部材125)による下皿表面36aの研削が行われる。
【0042】
そして、下皿表面36aの研削を行った後、前述の場合と同様にして再び下皿36の表面36aの高さを測定し、算出した下皿36の表面36aの平面度が要求される平面度に達しているかどうか確認を行う。
【0043】
この結果、本実施形態の研磨装置1によれば、制御装置55が、接触式変位センサ91により測定された下皿36の表面36aの高さに応じて水平移動機構60の作動を制御するため、下皿表面36aにおける凸部分を選択的に研削することができ、下皿表面36aの平面度を向上させることが可能になる。また、下皿保持部37に保持された下皿36の表面36aを研削して当該表面36aの平面度を修正するため、下皿36の取り付け誤差等の影響を排除することができ、下皿表面36aの平面度をより向上させることが可能になる。
【0044】
このとき、下皿研削ユニット50は、ドレスヘッド部110の研削工具121を下皿36の表面36aに当接させて回転させることより、下皿36の表面36aを部分的に研削可能に構成されることが好ましく、このようにすれば、下皿表面36aにおける凸部分を効果的に研削することができる。
【0045】
さらに、ドレスヘッド部110は、下皿36の表面形状に応じて研削工具121の傾きを調整する(研削工具121が倣う)調整機構(ガイドピン118およびガイド溝124)を有して構成されることが好ましく、このようにすれば、下皿表面36aにおける凸部分をより平坦に研削することができる。
【0046】
また、上皿研削ユニット40および下皿研削ユニット50を用いて、ガラス板10の両面を研磨する上皿31および下皿36のうち少なくともいずれかの表面を研削して平面度を修正するようにすることが好ましく、このようにすれば、各皿の平面度だけでなく、上皿31および下皿36の表面同士の平行度を向上させることが可能になる。
【0047】
なお、上述の実施形態において、ガラス板10の両面を研磨する研磨装置1を例に説明したが、これに限られるものではなく、例えば、液晶ガラス基板やウェハ、金属板等の板部材を研磨する研磨装置においても、本発明を適用可能である。