(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、
図1の空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。
図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において
図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの転写面内において
図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0014】
図1を参照すると、第1実施形態の露光装置では、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出された光は、整形光学系2により所要の断面形状の光束に拡大された後、空間光変調ユニット3に入射する。
【0015】
空間光変調ユニット3は、
図2に示すように、照明光学系の基本光軸である光軸AXに沿った照明光路中の所定位置に設置可能な三角プリズム31と、照明光路中の所定位置(例えば三角プリズム31の設置位置とほぼ同じ位置)に選択的に設置可能な複数の回折光学素子32と、三角プリズム31の設置位置よりも後側の照明光路中の位置に設置可能な反射部材33とを備えている。
【0016】
また、空間光変調ユニット3は、照明光路から外れて固定的に設置された一対の空間光変調器34および35とを備えている。空間光変調ユニット3の具体的な構成および作用については後述する。以下の説明では、露光装置の構成および作用の理解を容易にするために、照明光路中には輪帯照明用の回折光学素子32が設置され、三角プリズム31および反射部材33は照明光路中に設置されていないものとする。
【0017】
この場合、整形光学系2を介した光源1からの光が、光軸AXに沿って回折光学素子32に入射する。輪帯照明用の回折光学素子32は、例えば矩形状の断面を有する平行光束が光軸AXに沿って入射した場合、ファーフィールド(またはフラウンホーファー回折領域)に、光軸AXを中心とした輪帯状の光強度分布を形成する機能を有する。回折光学素子32を経て、空間光変調ユニット3から射出された光は、リレー光学系4を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)5に入射する。
【0018】
リレー光学系4は、その前側焦点位置と回折光学素子32の位置とがほぼ一致し且つその後側焦点位置とマイクロフライアイレンズ5の入射面5aの位置とがほぼ一致するように設定されている。したがって、回折光学素子32を介した光は、マイクロフライアイレンズ5の入射面5aに、例えば光軸AXを中心とした輪帯状の光強度分布を形成する。マイクロフライアイレンズ5は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
【0019】
マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。マイクロフライアイレンズ5における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。なお、マイクロフライアイレンズ5として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号公報に開示されている。
【0020】
マイクロフライアイレンズ5に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、入射光束によって形成される照野とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源、すなわち光軸AXを中心とした輪帯状の実質的な面光源からなる二次光源(輪帯状の瞳強度分布)が形成される。マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍に形成された二次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り6に入射する。
【0021】
開口絞り6は、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍に形成される輪帯状の二次光源に対応した輪帯状の開口部(光透過部)を有する。開口絞り6は、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ大きさおよび形状の異なる開口部を有する複数の開口絞りと切り換え可能に構成されている。開口絞りの切り換え方式として、たとえば周知のターレット方式やスライド方式などを用いることができる。開口絞り6は、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定する。
【0022】
開口絞り6により制限された二次光源からの光は、一対のビームスプリッター11および14を順次透過した後、コンデンサー光学系7を介して、マスクブラインド8を重畳的に照明する。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド8には、マイクロフライアイレンズ5の矩形状の微小屈折面の形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。一方、ビームスプリッター11により反射されて照明光路から分岐光路へ導かれた光は、空間光変調器12、平面ミラー13、およびビームスプリッター14を介して、照明光路へ戻る。
【0023】
一対のビームスプリッター11,14、空間光変調器12、および平面ミラー13は、瞳強度分布を補正(調整)するための補正ユニットCMを構成している。補正ユニットCMの具体的な構成および作用については後述する。マスクブラインド8の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系9の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系9は、マスクブラインド8の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
【0024】
マスクステージMS上に保持されたマスクMには転写すべきパターンが形成されており、パターン領域全体のうちY方向に沿って長辺を有し且つX方向に沿って短辺を有する矩形状(スリット状)のパターン領域が照明される。マスクMのパターン領域を透過した光は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。すなわち、マスクM上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上においてもY方向に沿って長辺を有し且つX方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域(実効露光領域)にパターン像が形成される。
【0025】
こうして、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式にしたがって、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内において、X方向(走査方向)に沿ってマスクステージMSとウェハステージWSとを、ひいてはマスクMとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には静止露光領域のY方向寸法に等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有するショット領域(露光領域)に対してマスクパターンが走査露光される。
【0026】
第1実施形態では、上述したように、マイクロフライアイレンズ5により形成される二次光源を光源として、照明光学系(2〜9)の被照射面に配置されるマスクMをケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系(2〜9)の照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。なお、瞳強度分布とは、照明光学系(2〜9)の照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。
【0027】
マイクロフライアイレンズ5による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ5の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ5の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。
図1の構成において、空間光変調ユニット3、リレー光学系4、およびマイクロフライアイレンズ5は、マイクロフライアイレンズ5よりも後側の照明瞳に瞳強度分布を形成する分布形成光学系を構成している。
【0028】
空間光変調ユニット3では、
図3に示すように、光軸AXと平行な軸線、例えば光軸AXから+X方向に間隔を隔ててY方向に延びる軸線32aを中心として回転可能な回転板32bに、互いに特性の異なる複数の回折光学素子32が取り付けられている。回転板32bには軸線32aを通る一対の線分により規定される扇形形状の切欠き部32baが形成され、複数の回折光学素子32は軸線32aを中心とする円に沿って間隔を隔てて回転板32bに取り付けられている。こうして、軸線32aを中心した回転板32bの回転により、所望の回折光学素子32が照明光路中の所定位置に選択的に設置される。また、切欠き部32baを照明光路中に位置決めすることにより、回折光学素子32が照明光路中に設置されない状態が実現される。
【0029】
空間光変調ユニット3において、輪帯照明用の回折光学素子に代えて、複数極照明(2極照明、4極照明、8極照明など)用の回折光学素子を照明光路中に設定することによって、複数極照明を行うことができる。複数極照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに複数極状(2極状、4極状、8極状など)の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、複数極照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ5の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした複数の所定形状(円弧状、円形状など)の照野からなる複数極状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳にも、その入射面に形成された照野と同じ複数極状の瞳強度分布が形成される。
【0030】
また、輪帯照明用の回折光学素子に代えて、円形照明用の回折光学素子を照明光路中に設定することによって、通常の円形照明を行うことができる。円形照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、円形照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ5の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした円形状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳にも、その入射面に形成された照野と同じ円形状の瞳強度分布が形成される。また、輪帯照明用の回折光学素子に代えて、適当な特性を有する回折光学素子を照明光路中に設定することによって、様々な形態の変形照明を行うことができる。
【0031】
空間光変調ユニット3では、一対の空間光変調器34および35の使用に際して、回折光学素子32を照明光路から退避させ、三角プリズム31および反射部材33を照明光路中に設置する。三角プリズム31および反射部材33は、それぞれX方向に沿って延びる三角柱状の形態を有し、例えば
図4に示すように、XY平面に沿って矩形形状の開口を有する枠部材30により保持されている。したがって、枠部材30を+X方向へ移動させて回転板32bの切欠き部32baに位置決めすることにより、三角プリズム31および反射部材33を照明光路中の所定位置にそれぞれ設置することができる。また、回転板32bの切欠き部32baから枠部材30を−X方向へ移動させることにより、三角プリズム31および反射部材33を照明光路から退避させることができる。
【0032】
図2に示すように、三角プリズム31および反射部材33が照明光路中の所定位置にそれぞれ設置された状態では、光軸AXに沿って三角プリズム31に入射した光が、光軸AX1によって規定される第1分岐光路に沿って進む第1の光と、光軸AX2によって規定される第2分岐光路に沿って進む第2の光とに分割される。三角プリズム31を経て第1分岐光路に沿って進む第1の光は、枠部材30の一方の開口を通過して、第1空間光変調器34に入射する。第1空間光変調器34により変調された光は、反射部材33の第1反射面33aにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。
【0033】
一方、三角プリズム31を経て第2分岐光路に沿って進む第2の光は、枠部材30の他方の開口を通過して、第2空間光変調器35に入射する。第2空間光変調器35により変調された光は、反射部材33の第2反射面33bにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。以下、説明を単純化するために、第1空間光変調器34と第2空間光変調器35とは互いに同じ構成を有し、光軸AXを含んでXY平面に平行な面に関して対称に配置されているものとする。したがって、第2空間光変調器35について第1空間光変調器34と重複する説明を省略し、第1空間光変調器34に着目して、空間光変調ユニット3における空間光変調器34,35の作用を説明する。
【0034】
第1空間光変調器34は、
図2および
図5に示すように、二次元的に配列された複数のミラー要素34aと、複数のミラー要素34aを保持する基盤34bと、複数のミラー要素34aを覆うカバーガラス(カバー基板;
図5では図示を省略)34cと、基盤34bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素34aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部34dとを備えている。なお、
図5では、図面の明瞭化のために、第1反射面33aへの光の入射角が
図2における入射角よりもかなり大きく設定されている。
【0035】
空間光変調器34は、
図6に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素(光学要素)34aを備え、第1分岐光路に沿って入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。説明および図示を簡単にするために、
図5および
図6では空間光変調器34が4×4=16個のミラー要素34aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素34aを備えている。
【0036】
図5を参照すると、光軸AX1と平行な方向に沿って空間光変調器34に入射する光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素34aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
【0037】
空間光変調器34では、すべてのミラー要素34aの反射面が1つの平面に沿って設定された基準の状態(以下、「基準状態」という)において、光軸AX1と平行な方向に沿って入射した光線が、空間光変調器34で反射された後に、第1反射面33aにより光軸AXとほぼ平行な方向に向かって反射されるように構成されている。また、空間光変調器34の複数のミラー要素34aが配列される面は、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に位置決めされている。
【0038】
したがって、空間光変調器34の複数のミラー要素SEa〜SEdによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、マイクロフライアイレンズ5の入射面5aに所定の光強度分布SP1〜SP4を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器34の複数のミラー要素SEa〜SEdが射出光に与える角度を、空間光変調器34の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である面5a上での位置に変換する。
【0039】
同様に、空間光変調器35の複数のミラー要素によって反射されて所定の角度分布が与えられた光も、マイクロフライアイレンズ5の入射面5aに所定の光強度分布を形成する。こうして、マイクロフライアイレンズ5が形成する二次光源の光強度分布(瞳強度分布)は、第1空間光変調器34およびリレー光学系4が入射面5aに形成する第1の光強度分布と第2空間光変調器35およびリレー光学系4が入射面5aに形成する第2の光強度分布との合成分布となる。
【0040】
空間光変調器34(35)は、
図6に示すように、平面形状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小な反射素子であるミラー要素34a(35a)を含む可動マルチミラーである。各ミラー要素34a(35a)は可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部34d(35d)の作用により独立に制御される。各ミラー要素34a(35a)は、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素34a(35a)の反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
【0041】
なお、各ミラー要素34a(35a)の反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。
図6には外形が正方形状のミラー要素34a(35a)を示しているが、ミラー要素34a(35a)の外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素34a(35a)の隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)とすることができる。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素34a(35a)の間隔を必要最小限に抑えることができる。
【0042】
第1実施形態では、空間光変調器34,35として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素34a(35a)の向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば特表平10−503300号公報およびこれに対応する欧州特許公開第779530号公報、特開2004−78136号公報およびこれに対応する米国特許第6,900,915号公報、特表2006−524349号公報およびこれに対応する米国特許第7,095,546号公報、並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素34a(35a)の向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
【0043】
こうして、第1空間光変調器34では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部34dの作用により、複数のミラー要素34aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素34aがそれぞれ所定の向きに設定される。第1空間光変調器34の複数のミラー要素34aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、
図7に示すように、マイクロフライアイレンズ5の入射面5aに、例えば光軸AXを中心としてX方向に間隔を隔てた2つの円形状の光強度分布20aおよび20bを形成する。
【0044】
同様に、第2空間光変調器35では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部35bの作用により、複数のミラー要素35aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素35aがそれぞれ所定の向きに設定される。第2空間光変調器35の複数のミラー要素35aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、
図7に示すように、マイクロフライアイレンズ5の入射面5aに、例えば光軸AXを中心としてZ方向に間隔を隔てた2つの円形状の光強度分布20cおよび20dを形成する。
【0045】
こうして、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳(開口絞り6が配置されている位置)に、4極状の光強度分布20a〜20dに対応する4極状の光強度分布21a〜21dを形成する。さらに、開口絞り6と光学的に共役な別の照明瞳位置、すなわち結像光学系9の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASが配置されている位置)にも、4極状の光強度分布20a〜20dに対応する4極状の光強度分布が形成される。
【0046】
第1実施形態の露光装置は、投影光学系PLを介した光に基づいて投影光学系PLの瞳面における瞳強度分布を計測する瞳強度分布計測装置10を備えている。計測装置(計測部)10は、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された撮像面を有するCCD撮像部を備え、投影光学系PLの像面上の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光線が投影光学系PLの瞳面に形成する瞳強度分布)をモニターする。計測装置10の計測結果は、制御部CRに供給される。計測装置10の詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号公報を参照することができる。
【0047】
露光装置では、マスクMのパターンをウェハWに高精度に且つ忠実に転写するために、パターン特性に応じた適切な照明条件のもとで露光を行うことが重要である。第1実施形態では、照明瞳に光強度分布を固定的に形成する手段として、互いに異なる特性を有し且つ照明光路中に選択的に設置可能な複数の回折光学素子32を備えている。したがって、輪帯状の瞳強度分布を固定的に形成する輪帯照明用の回折光学素子、複数極状の瞳強度分布を固定的に形成する複数極照明用の回折光学素子などから選択された1つの回折光学素子32を照明光路中に設定することにより、瞳強度分布(ひいては照明条件)を離散的に変更することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、照明瞳に光強度分布を可変的に形成する手段として、複数のミラー要素34a,35aの姿勢がそれぞれ個別に変化する一対の空間光変調器34,35を備えている。したがって、第1空間光変調器34の作用により照明瞳に形成される第1光強度分布および第2空間光変調器35の作用により照明瞳に形成される第2光強度分布をそれぞれ自在に且つ迅速に変化させることができる。すなわち、第1空間光変調器34の作用により照明瞳に形成される第1光強度分布と第2空間光変調器35の作用により照明瞳に形成される第2光強度分布とからなる瞳強度分布を自在に且つ迅速に変化させることができる。
【0049】
例えば4極照明用の回折光学素子(または一対の空間光変調器34,35)によりマイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳(以下、単に「照明瞳」ともいう)に形成される4極状の瞳強度分布は、
図7に示すように、光軸AXを挟んでX方向に間隔を隔てた一対の面光源21aおよび21bと、光軸AXを挟んでZ方向に間隔を隔てた一対の円弧状の実質的な面光源21cおよび21dとを有する。ここで、照明瞳におけるX方向はマイクロフライアイレンズ5の矩形状の微小レンズの短辺方向であって、ウェハWの走査方向に対応している。また、照明瞳におけるZ方向は、マイクロフライアイレンズ5の矩形状の微小レンズの長辺方向であって、ウェハWの走査方向と直交する走査直交方向(ウェハW上におけるY方向)に対応している。
【0050】
ウェハW上には、
図8に示すように、Y方向に沿って長辺を有し且つX方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域ERが形成され、この静止露光領域ERに対応するように、マスクM上には矩形状の照明領域(不図示)が形成される。ここで、静止露光領域ER内の1点に入射する光が照明瞳に形成する4極状の瞳強度分布は、入射点の位置に依存することなく、互いにほぼ同じ形状を有する。しかしながら、4極状の瞳強度分布を構成する各面光源の光強度は、入射点の位置に依存して異なる傾向がある。
【0051】
具体的には、静止露光領域ER内の中心点P1に入射する光が形成する4極状の瞳強度分布の場合、Z方向に間隔を隔てた一対の面光源の光強度の方が、X方向に間隔を隔てた一対の面光源の光強度よりも大きくなる傾向がある。一方、静止露光領域ER内の中心点P1からY方向に間隔を隔てた周辺の点P2,P3に入射する光が形成する4極状の瞳強度分布の場合、Z方向に間隔を隔てた一対の面光源の光強度の方が、X方向に間隔を隔てた一対の面光源の光強度よりも小さくなる傾向がある。
【0052】
一般に、照明瞳に形成される瞳強度分布の外形形状にかかわらず、ウェハW上の静止露光領域ER内の中心点P1に関する瞳強度分布(中心点P1に入射する光が照明瞳に形成する瞳強度分布)のZ方向に沿った光強度分布は、
図9(a)に示すように、中央において最も小さく周辺に向かって増大する凹曲線状の分布を有する。一方、ウェハW上の静止露光領域ER内の周辺点P2,P3に関する瞳強度分布のZ方向に沿った光強度分布は、
図9(b)に示すように、中央において最も大きく周辺に向かって減少する凸曲線状の分布を有する。
【0053】
そして、瞳強度分布のZ方向に沿った光強度分布は、静止露光領域ER内のX方向(走査方向)に沿った入射点の位置にはあまり依存しないが、静止露光領域ER内のY方向(走査直交方向)に沿った入射点の位置に依存して変化する傾向がある。このように、ウェハW上の静止露光領域ER内の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が照明瞳に形成する瞳強度分布)がそれぞれほぼ均一でない場合、ウェハW上の位置毎にパターンの線幅がばらついて、マスクMの微細パターンを露光領域の全体に亘って所望の線幅でウェハW上に忠実に転写することができない。
【0054】
第1実施形態では、ウェハW上の静止露光領域ER内の各点に関する瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整するための調整手段として、補正ユニットCMを備えている。第1実施形態の補正ユニットCMでは、
図1に示すように、マイクロフライアイレンズ5を経た光が、ビームスプリッター11によって反射されて分岐光路へ導かれ、空間光変調器12に入射する。空間光変調器12を経た光は、平面ミラー13およびビームスプリッター14によって順次反射されて照明光路に戻り、コンデンサー光学系7を介してマスクブラインド8に達する。
【0055】
空間光変調器12は、空間光変調ユニット3中の空間光変調器34,35と同様の構成を有する。すなわち、空間光変調器12は、二次元的に配列された複数のミラー要素(光学要素)12aと、複数のミラー要素12aを保持する基盤12bと、複数のミラー要素12aを覆うカバーガラス12cと、基盤12bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素12aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部12dとを備えている。そして、空間光変調器12は、分岐光路に沿って入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。
【0056】
具体的には、空間光変調器12は、空間光変調器34,35と同様に、平面形状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小な反射素子であるミラー要素12aを含む可動マルチミラーである。各ミラー要素12aは可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部12dの作用により独立に制御される。各ミラー要素12aは、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素12aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
【0057】
補正ユニットCMは、空間光変調器12のすべてのミラー要素12aの反射面が1つの平面に沿って設定された基準状態において、光軸AXと平行な方向に沿ってビームスプリッター11に入射した光線が、空間光変調器12で反射された後に、平面ミラー13およびビームスプリッター14を介して光軸AXと平行な方向に向かうように構成されている。また、空間光変調器12の複数のミラー要素12aが配列される面は、コンデンサー光学系7の前側焦点位置またはその近傍に位置決めされている。換言すれば、空間光変調器12の複数のミラー要素12aが配列される面は、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な位置またはその近傍の位置に配置されている。
【0058】
したがって、空間光変調器12の複数のミラー要素12aによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、平面ミラー13、ビームスプリッター14およびコンデンサー光学系7を介して、マスクブラインド8の位置に所定の光強度分布(照野)を形成する。すなわち、コンデンサー光学系7は、空間光変調器12の複数のミラー要素12aが射出光に与える角度を、空間光変調器12の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)であるマスクブラインド8の開口部の面上での位置に変換する。
【0059】
ここで、本発明の原理を説明するために、
図10に示すような単純化モデルを想定する。
図10の単純化モデルでは、マイクロフライアイレンズ5が、その単位波面分割面である微小屈折面の長手方向(Z方向)に沿って5つの射出側の微小屈折面5ba,5bb,5bc,5bd,5beを有する。また、微小屈折面5ba〜5beの直後には、偏角プリズム要素15a,15b,15c,15d,15eがそれぞれ配置されている。この状態は、マイクロフライアイレンズ5の1つの微小屈折面に対して空間光変調器12の1つのミラー要素12aが配置されている状態に対応する。ただし、ミラー要素12aの場合には光の射出方向は連続的または離散的に変化するが、偏角プリズム要素15a〜15eの場合には光の射出方向は固定的である。
【0060】
この場合、偏角プリズム要素15a〜15eが射出光に与える角度変化は、偏角プリズム要素15a〜15eを経た光がマスクブラインド8の位置(被照射面であるマスクMまたはウェハWと光学的に共役な位置)に形成する照野の位置変化に変換される。すなわち、
図10において、中央の微小屈折面5bcを経た光は、対応する偏角プリズム要素15cによって角度変化を受けることなく、マスクブラインド8の位置に照野16cを形成する。その結果、照野16cは、マスクブラインド8の開口部8aに対してZ方向に位置変化(シフト)することなく形成される。
【0061】
微小屈折面5bbおよび5beを経た光は、偏角プリズム要素15bおよび15eによってそれぞれ図中上向きに角度変化を受け、マスクブラインド8の位置に照野16bおよび16eを形成する。その結果、照野16bおよび16eは、偏角プリズム要素15bおよび15eが射出光に与える角度変化に応じた距離だけ開口部8aに対して+Z方向にシフトして形成される。同様に、微小屈折面5baおよび5bdを経た光は、偏角プリズム要素15aおよび15dによってそれぞれ図中下向きに角度変化を受け、マスクブラインド8の位置に照野16aおよび16dを形成する。その結果、照野16aおよび16dは、偏角プリズム要素15aおよび15dが射出光に与える角度変化に応じた距離だけ開口部8aに対して−Z方向にシフトして形成される。
【0062】
図10では、各照野16a〜16eにおける光強度分布がそれぞれ一様(均一)で且つ光強度が互いに等しいものと想定し、互いに同じ形状を有する長方形により各照野16a〜16eを示している。
図10に模式的に示す例では、微小屈折面5bcおよび偏角プリズム要素15cを経た光は、マスクブラインド8に遮られることなく、被照射面であるマスクMのパターン面の照明(ひいてはウェハWの露光面の照明)に寄与する。しかしながら、その他の微小屈折面および対応する偏角プリズム要素を経た光の一部は、マスクブラインド8に遮られてマスクMの照明に寄与することがない。
【0063】
このように、偏角プリズム要素を経た光の一部(ひいてはミラー要素12aを経た光の一部)は、マスクブラインド8に遮られてマスクMの照明に寄与しない。また、偏角プリズム要素が射出光に与える角度変化(ひいてはミラー要素12aが射出光に与える角度変化)に応じて、当該光線が開口部8aの面に入射する位置は、本来の位置(補正ユニットCMの存在しないとき、ひいては偏角プリズム要素が存在しないときの入射位置)から変化する。
【0064】
角度変化を受けた光の一部が照明に寄与しないこと、および開口部8aの面に入射する位置が本来の位置から変化することは、開口部8aの面の各点に関する瞳強度分布が変化することを、ひいては開口部8aの面の各点を通過した光が結像光学系9の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布が変化することを意味している。この点は、次の
図11および
図12を参照した説明により容易に理解される。ただし、マスクブラインド8の開口部8aの面に形成される光強度分布は、偏角プリズム要素が射出光に与える角度変化(ひいてはミラー要素12aが射出光に与える角度変化)に応じて変化するため、マスクM(ひいてはウェハW)上で照度ムラが発生する。
【0065】
次に、
図11および
図12に示すような別の単純化モデルを参照して、補正ユニットCMの作用、ひいては空間光変調器12の作用を説明する。
図11では、照明瞳に形成される4極状の瞳強度分布の各面光源21a〜21dからの光に対してそれぞれ1つのミラー要素12aが作用するときに、Y方向に沿って2×Lの寸法を有するウェハW上の静止露光領域ERに形成される光強度分布(照野)を模式的に示している。また、
図11に示す単純化モデルでは、面光源21a,21bおよび21dからの光に作用するミラー要素12aは基準状態にあり、面光源21cからの光に作用するミラー要素12aだけが基準状態にはない。
【0066】
この場合、4極状の瞳強度分布21a〜21dからの光の大部分は、一対のビームスプリッター11および14を透過し、例えば光強度分布が一様な照野17mを静止露光領域ERに形成する。面光源21a,21b,21dからの光のうち、ビームスプリッター11によって反射された光は、基準状態にあるミラー要素12aを経て、例えば光強度分布が一様な照野17a,17b,17dを静止露光領域ERに形成する。面光源21cからの光のうち、ビームスプリッター11によって反射された光は、基準状態にないミラー要素12aによる角度変化を受けて、例えば光強度分布が一様な照野17cを静止露光領域ERに形成する。
【0067】
照野17mは、該当する光が補正ユニットCMを経ないため、静止露光領域ERに対してY方向(照明瞳におけるZ方向に対応)にシフトすることなく形成される。照野17a,17b,17dは、該当する光が補正ユニットCMへ導かれるが、対応するミラー要素12aが基準状態にあるため、静止露光領域ERに対してY方向にシフトすることなく形成される。照野17cは、該当する光が基準状態にないミラー要素12aを経て角度変化を受けるため、静止露光領域ERに対して、例えば−Y方向にシフトして形成される。すなわち、照野17cは、静止露光領域ERの内部に形成される照野部分17caと、静止露光領域ERの外部に形成される照野部分17cbとからなる。
【0068】
すなわち、面光源21cからの光のうち補正ユニットCMを経た光は、静止露光領域ERにおいてY座標が−Lの点およびY座標が0の点には達するが、Y座標が+Lの点には達しない。一方、照野17a,17b,17dからの光のうち補正ユニットCMを経た光は、Y座標が+Lの点を含む静止露光領域ER上のすべての点に達する。したがって、補正ユニットCMが存在しない場合に静止露光領域ERに形成される照野の光強度を100%とし、照野17mの光強度を90%とし、各照野17a〜17dの光強度を2.5%と想定するとき、Y座標が+Lの点に関する瞳強度分布において面光源21cの光強度が2.5%低下することになる。
【0069】
実際には、マイクロフライアイレンズ5の各微小屈折面に比して空間光変調器12のミラー要素12aの反射面ははるかに小さく、照明瞳に形成される4極状の瞳強度分布の各面光源21a〜21dからの光に対して、例えば数万個〜数十万個のミラー要素12aを作用させることが可能である。
図12では、図面の明瞭化のために、面光源21cからの光に対して10個のミラー要素12aが作用しているものとし、各ミラー要素12aを経た光が形成する10個の照野17cを、図中水平方向に延びる10本の線分で示している。これらの線分は、各ミラー要素12aにより射出光に付与される角度変化に応じてY方向にそれぞれシフトしている。
【0070】
図12を参照すると、面光源21cからの光に対して多数のミラー要素12aが作用する場合、これらのミラー要素12aの姿勢を個別に制御することにより、Y座標に沿った各点に関する瞳強度分布において面光源21cの光強度を高い自由度で調整することが可能であることがわかる。同様に、他の面光源21a,21b,21dについても、対応する多数のミラー要素12aの姿勢を個別に制御することにより、Y座標に沿った各点に関する瞳強度分布において面光源21a,21b,21dの光強度をそれぞれ高い自由度で調整することが可能であることがわかる。
【0071】
なお、
図10〜
図12を参照した説明では、補正ユニットCMの作用(ひいては空間光変調器12の作用)の理解を容易にするために、ミラー要素12aの姿勢を一方向に変化させて、ミラー要素12aを経た光に対して一方向に角度変化を付与している。しかしながら、実際には、例えば互いに直交する二方向にミラー要素12aの姿勢を変化させて、ミラー要素12aからの射出光に対して任意の方向に所要の角度変化を付与することができる。したがって、空間光変調器12の作用により、ウェハW上の静止露光領域ER内の一方向に沿った各点に関する瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整するだけでなく、任意の点に関する瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整することができる。
【0072】
第1実施形態では、空間光変調ユニット3を用いて新たな瞳強度分布を形成する際に、すなわち瞳強度分布の切り換え(ひいては照明条件の切り換え)に際して、瞳強度分布計測装置10を用いて投影光学系PLの結像領域(静止露光領域ERに対応する領域)内の各点に関する瞳強度分布を計測する。あるいは、瞳強度分布の切り換えに連動することなく、必要に応じて、結像領域内の各点に関する瞳強度分布を随時計測する。そして、制御部CRは、計測装置10の計測結果に応じて、補正ユニットCM内の空間光変調器12を制御することにより、結像領域内の各点に関する瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整する。
【0073】
なお、第1実施形態では、上述したように、ウェハ(被照射面)W上の光量分布が、補正ユニットCM中の空間光変調器12による調整の影響を受ける。この場合、必要に応じて、公知の構成を有する光量分布調整部の作用により、静止露光領域ER内の照度分布または静止露光領域(照明領域)ERの形状を変更することができる。具体的に、照度分布を変更する光量分布調整部としては、特開2001−313250号および特開2002−100561号(並びにそれらに対応する米国特許第6771350号および第6927836号)に記載された構成および手法を用いることができる。また、照明領域の形状を変更する光量分布調整部としては、国際特許公開第WO2005/048326号パンフレット(およびそれに対応する米国特許公開第2007/0014112号公報)に記載された構成および手法を用いることができる。
【0074】
以上のように、光源1からの光に基づいて被照射面としてのマスクMを照明する第1実施形態の照明光学系(2〜9)では、照明瞳と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されて、光の入射位置に応じて当該光の射出方向を変化させる補正部としての空間光変調器12を備えている。したがって、空間光変調器12の複数のミラー要素12aの姿勢を個別に制御することにより、ウェハW上の静止露光領域ER内の各点に関する瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整することができる。また、第1実施形態の露光装置(2〜WS)では、ウェハW上の静止露光領域ER内の各点での瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整する照明光学系(2〜9)を用いて、マスクMの微細パターンに応じた適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいてはマスクMの微細パターンを露光領域の全体に亘って所望の線幅でウェハW上に忠実に転写することができる。
【0075】
なお、第1実施形態では、照明光路に沿って入射した光の一部を振幅分割型のビームスプリッター11により反射して空間光変調器12へ導くとともに、空間光変調器12を経た光の一部を振幅分割型のビームスプリッター14により照明光路へ戻している。しかしながら、振幅分割型のビームスプリッター11および14に代えて、偏光分離型の偏光ビームスプリッターを用いることにより、ビームスプリッターにおける光量損失を抑えることができる。
【0076】
また、第1実施形態では、第1空間光変調器34による第1光強度分布と第2空間光変調器35による第2光強度分布とを照明瞳において異なる箇所に形成する例を示しているが、第1光強度分布と第2光強度分布とは互いにその一部が重畳していても良く、また完全に重畳(第1光強度分布と第2光強度分布とが同じ分布かつ同じ位置に形成)していても良い。
【0077】
また、第1実施形態では、照明光路に沿って(光軸AXに沿って)入射した光を互いに異なる2つの方向に進む2つの光に分割する分割部材として、三角プリズム31を用いている。しかしながら、光の分割数は2に限定されることなく、例えば回折光学素子を用いて入射光を3つ以上の光に分割することもできる。一般に、照明光路に沿って入射した光を互いに異なる複数の方向に進む複数の光に分割し、分割した光の数と同数の空間光変調器を併設することができる。また、上述の実施形態の構成において、一対の空間光変調器34,35のうちの一方の空間光変調器34だけを用いる構成も可能である。この場合、分割部材としての三角プリズム31に代えて、例えば偏角プリズムを用いることができる。
【0078】
また、第1実施形態では、補正ユニットCM中の空間光変調器12を、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な位置またはその近傍に配置している。しかしながら、これに限定されることなく、例えば
図13の第2実施形態に示すように、結像光学系9の瞳位置またはその近傍に、補正部としての空間光変調器12を配置することもできる。
図13の第2実施形態は、
図1の第1実施形態と類似の構成を有するが、照明光路中に空間光変調器12を配置している点が第1実施形態と相違している。
図13では、
図1の構成要素と同様の機能を有する要素に、
図1と同じ参照符号を付している。
【0079】
上述したように、結像光学系9の瞳位置は、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な位置であり、照明瞳と呼ぶことのできる位置である。したがって、
図13の第2実施形態では、補正部としての空間光変調器12が照明光路中の照明瞳の位置またはその近傍の位置に配置されていることになる。第2実施形態では、マイクロフライアイレンズ5からの光が、分岐光路に導かれることなく、照明光路に沿って空間光変調器12に入射し、空間光変調器12により照明光路に沿って反射される。すなわち、第2実施形態では、ビームスプリッター11により分岐光路へ導かれた光だけが空間光変調器12による補正の対象になる第1実施形態とは異なり、マイクロフライアイレンズ5の直後の瞳強度分布からの光のほぼすべてが空間光変調器12による補正の対象になる。
【0080】
なお、上述の各実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光やKrFエキシマレーザ光などを用いる場合、露光光の吸収率が低い気体である窒素ガスやヘリウムガスのような不活性ガスで光路を充満させるか、あるいは光路をほぼ真空状態に保持する必要がある。各実施形態では、空間光変調器34,35および12を固定的に設置しているので、カバーガラス34c,35c,12cを含むパージ壁(不図示)を設けることができる。この場合、空間光変調器34,35,12の本体部分(可動部を含む部分)が気密空間の外側に配置されるので、パージを良好に維持しながら空間光変調器34,35,12の自在な動作が可能である。
【0081】
また、上述の各実施形態では、空間光変調ユニット3とマイクロフライアイレンズ5との間の光路中に、フーリエ変換レンズとして機能する集光光学系としてのリレー光学系4が配置されている。しかしながら、これに限定されることなく、リレー光学系4に代えて、アフォーカル光学系、円錐アキシコン系、変倍光学系などを含む光学系を配置することもできる。この種の光学系は、国際公開第2005/076045A1号パンフレット、およびそれに対応する米国特許出願公開第2006/0170901A号に開示されている。
【0082】
なお、上述の説明では、照明瞳に4極状の瞳強度分布が形成される変形照明、すなわち4極照明を例にとって、本発明の作用効果を説明している。しかしながら、4極照明に限定されることなく、例えば輪帯状の瞳強度分布が形成される輪帯照明、4極状以外の他の複数極状の瞳強度分布が形成される複数極照明などに対しても、同様に本発明を適用して同様の作用効果を得ることができることは明らかである。
【0083】
また、上述の説明では、ウェハWのショット領域にマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、ウェハWの各露光領域にマスクMのパターンを一括露光する動作を繰り返すステップ・アンド・リピート方式の露光装置に対して本発明を適用することもできる。
【0084】
また、上述の説明では、二次元的に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する空間光変調器として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば特開平6−281869号公報及びこれに対応する米国特許第5,312,513号公報、並びに特表2004−520618号公報およびこれに対応する米国特許第6,885,493号公報の
図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば特表2006−513442号公報およびこれに対応する米国特許第6,891,655号公報や、特表2005−524112号公報およびこれに対応する米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
【0085】
また、上述の説明では、補正部として複数のミラー要素を有する反射型の空間光変調器を用いているが、これに限定されることなく、たとえば米国特許第5,229,872号公報に開示される透過型の空間光変調器を用いても良い。複数の光学要素を有する透過型の空間光変調器の一例として、
図14および
図15に示すように、複数の液体封入型の可変頂角プリズムを備えた補正部を用いることができる。
図14は、照明光学系の光軸を含む面に沿った補正部の断面図である。
図15は、
図14の補正部を図中右側から見た図である。
【0086】
図14において、保持部41は、複数の可変頂角プリズム(42a〜45a,42b〜45b,42c〜45c)が二次元的に配列されるように、これら複数の可変頂角プリズムを保持している。各可変頂角プリズムは、一対の平行平面板(42a,43a;42b,43b;42c,43c)と、これら一対の平行平面板の端面を結合する変形可能な蛇腹(44a;44b;44c)と、これら一対の平行平面板と蛇腹とで形成される空間に充填される光透過性液体とを備える。そして、一対の平行平面板のうち、保持部41によって保持されている平行平面板(42a;42b;42c)とは反対側の平行平面板(43a;43b;43c)は、保持枠(46a;46b;46c)で保持されており、これら保持枠は、アクチュエータ(47a;47b;47c)により保持部41に対して傾くように駆動される。これにより、一対の平行平面板(42a,43a;42b,43b;42c,43c)のなす頂角が変更され、各可変頂角プリズムを通過する光が、頂角に応じて偏向される。
【0087】
図16および
図17の例は、各可変頂角プリズムを、平凸レンズ(52a;52b;52c)と平凹レンズ(53a;53b;53c)との組み合わせとしたものである。この例では、各平凸レンズ(52a;52b;52c)が保持部51に固定され、この平凸レンズの凸面に沿った方向に平凹レンズ(53a;53b;53c)が可動である。各平凹レンズは、アクチュエータ(54a;54b;54c)によって駆動される。
図16および
図17の例においても、平凸レンズおよび平凹レンズ(52a,53a;52b,53b;52c,53c)のなす頂角が変更されると、各可変頂角プリズムを通過する光が、頂角に応じて偏向される。なお、平凸レンズおよび平凹レンズはシリンドリカルレンズでも良い。
【0088】
図18および
図19の例は、補正部として複数の偏角プリズム対を備えた例である。保持部61は、偏角プリズム(62a;62b;62c)をそれぞれの軸(AX62a;AX62b;AX62c)廻りに回転可能に保持している。各偏角プリズム(62a;62b;62c)の斜面側には、斜面の法線方向の軸(AX63a;AX63b;AX63c)廻りに回転可能に設けられた偏角プリズム(63a;63b;63c)が配置されている。これらの偏角プリズム(63a;63b;63c)は、偏角プリズム(62a;62b;62c)に対して回転可能である。
【0089】
図18および
図19の例では、偏角プリズム(63a;63b;63c)を各軸(AX63a;AX63b;AX63c)廻りに回転させることで二次元的に配列された偏角プリズム対(62a,63a;62b,63b;62c,63c)の頂角が変更され、偏角プリズム(62a;62b;62c)を各軸(AX62a;AX62b;AX62c)廻りに回転させると(このとき偏角プリズム(63a;63b;63c)も一体に回転する)、頂角の方向(各軸(AX62a;AX62b;AX62c)を中心とする方位)も変更される。これら各偏角プリズム(62a,63a;62b,63b;62c,63c)はアクチュエータ(64a;64b;64c)によって回転駆動される。
図18および
図19の例においても、各偏角プリズム対の頂角が変更されると、それに応じて各偏角プリズム対を通過する光が偏向される。なお、各偏角プリズム対(62a,63a;62b,63b;62c,63c)は、可変頂角プリズムとみなすことができる。
【0090】
また、上述の説明では、補正部として複数のミラー要素を有する反射型の空間光変調器を用いているが、これに限定されることなく、局所的に変形可能な反射面を有する補正部や、局所的に変形可能な屈折面を有する補正部を用いることもできる。局所的に変形可能な反射面を有する補正部の一例として、
図20に示すように、変形可能ミラーを備えた補正部を用いることができる。
図20の例に示す変形可能ミラーは、基板73にマトリクス状に配置された複数のアクチュエータ72によって反射面71の裏面側から反射面を押し引きする構成となっており、各アクチュエータ72の駆動により反射面71の形状が変更される。
【0091】
なお、上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットに開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。なお、パターン面が横置きの場合であっても可変パターン形成装置を用いても良い。
【0092】
さて、上述の実施形態では、被照射面上の各点での瞳強度分布をそれぞれほぼ均一に調整していたが、被照射面上の各点での瞳強度分布を均一ではない所定の分布に調整しても良い。また、被照射面上の各点での瞳強度分布をそれぞれ互いに異なる所定の分布に調整しても良い。たとえば、露光装置自体の瞳強度分布の均一性以外に起因する線幅誤差や、フォトリソグラフィ工程において露光装置と組み合わせて使用される塗布現像処理装置(コータデベロッパ)や加熱/冷却処理装置など露光装置以外の装置に起因する線幅誤差を補正するために、被照射面上の各点での瞳強度分布をそれぞれ互いに異なる所定の分布に調整しても良い。
【0093】
後述するように、半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程では、ウエハ等の被処理体の表面にフォトレジスト(感光性材料)膜を形成した後、これに回路パターンを露光し、さらに現像処理を行うことによってレジストパターンを形成している。このフォトリソグラフィ工程は、ウエハにレジスト塗布を行うレジスト塗布処理ユニットや露光後のウエハを現像する現像処理ユニット等を有する塗布現像処理装置(コータデベロッパ)と、この装置に連続して一体的に設けられた露光装置とにより行われている。
【0094】
そして、このような塗布現像処理装置は、例えばウエハ上にレジスト膜を形成した後、或いは現像処理の前後にウエハに対して加熱処理や冷却処理等の熱処理を行う加熱処理装置や冷却処理装置を有している。ここで、ウエハ面内でレジスト膜厚が均一でなかったり、これらの熱処理でウエハ面内の温度分布が一様でなかったりする場合には、ショット領域内の線幅均一性の分布がウエハW上のショット領域の位置によって異なる性状を呈する場合がある。
【0095】
また、上述のレジストパターンをマスクとして、レジストパターンの下層にある被エッチング膜をエッチングするエッチング装置においても、ウエハ面内の温度分布が一様でない場合には、ショット領域内の線幅均一性の分布がウエハW上のショット領域の位置によって異なる性状を呈することがある。
【0096】
このような塗布現像処理装置やエッチング装置等に起因するウエハ上のショット領域の位置によるショット領域内の線幅均一性の分布の変動は、ウエハ内でショット位置に依存しないある程度安定した誤差分布(システマチックな誤差分布)を持っている。したがって、上述の実施形態にかかる露光装置において、照射面上の各点での瞳強度分布をそれぞれ互いに異なる所定の分布に調整することによって、ショット領域内の線幅均一性の分布の変動を補正することが可能である。
【0097】
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0098】
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。
図21は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
図21に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
【0099】
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
【0100】
図22は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
図22に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
【0101】
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
【0102】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【0103】
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF
2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。