【実施例】
【0068】
以下、本実施形態に係るズーム光学系の各実施例について、図面に基づいて説明する。以下に表1〜表3を示すが、これらは第1実施例〜第3実施例における各レンズの諸元の表である。
【0069】
表中の[全体諸元]において、fはズーム光学系ZLのd線における広角端状態及び望遠端状態での焦点距離(mm)を、FNoは広角端状態及び望遠端状態でのFナンバーを、Yは像高を、Σdはズーム光学系ZLの最も物体側のレンズ面(第1面)から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離を示す。
【0070】
表中の[レンズデータ]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、Rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、ndはレンズに用いる硝材のd線(波長587.562nm)に対する屈折率を、νdはレンズに用いる硝材のd線を基準とするアッベ数を、Di(可変)は第i面の可変の面間隔を、*aは非球面を、*dは回折光学面を、*sは絞りを、曲率半径Rの欄の「∞」は平面を示す。表中、空気の屈折率(d線)「1.000000」の記載は省略する。
【0071】
表中の[非球面データ]には、[レンズデータ]において*aを付した非球面について、その形状を次式(a)で示す。ここで、hは光軸に垂直な方向の高さを、Z(h)は高さhにおける光軸方向の変位量(サグ量)を、cは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κはコーニック係数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。また、「E-n」は「×10
-n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10
-5」を示す。
【0072】
Z(h) = ch
2/[1+{1−(1+κ)c
2h
2)}
1/2]
+A4×y
4+A6×y
6+A8×y
8+A10×y
10+A12×y
12 …(a)
【0073】
表中の[回折光学面データ]には、[レンズデータ]に示した回折光学面について、その形状を次式(b)で示す。ここで、hは光軸に垂直な方向の高さを、Φ(h)は回折光学素子の位相関数を、λは入射光の波長を、Ciは第i次の位相差係数を示す。
【0074】
Φ(h) =(2π/λ)・(C2h
2+C4h
4+C6h
6+C8h
8+C10h
10) …(b)
【0075】
表中の[各群間隔データ]において、広角端状態及び望遠端状態における、第i面の可変間隔Di(但し、iは整数)を示す。
【0076】
表中の[ズーム光学系群データ]において、Gは群番号、群初面は各レンズ群の最も物体側の面番号を、群焦点距離は各レンズ群の焦点距離を示す。
【0077】
表中の[条件式]には、上記条件式(1)〜(7)に対応する値を示す。
【0078】
表中の焦点距離f、曲率半径R、面間隔d、その他の長さの単位は「mm」である。但し、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
【0079】
(第1実施例)
第1実施例について、
図2〜
図4及び表1を用いて説明する。
図2は、第1実施例に係るズーム光学系ZL(ZL1)の構成断面図及び広角端状態(W)から望遠端状態(T)までのズーム軌道を示す。
図2の構成断面図では、図示の煩雑さを回避すべく、回折光学素子PFを構成する回折光学素子要素の符号PF1、PF2と、回折光学面の符号Cの記載及び格子溝の形状の記載は省略し、単に回折光学素子PFの符号のみを記載する。
【0080】
第1実施例に係るズーム光学系ZL1は、
図2に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2と、負の屈折力を持つ第3レンズ群G3と、正の屈折力を持つ第4レンズ群G4と、正の屈折力を持つ第5レンズ群G5とから構成される。
【0081】
変倍時には、広角端状態から望遠端状態にかけて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が増加するように、第1レンズ群G1が物体側へ凸状の軌跡で移動し、第2レンズ群が物体側へ移動し、第3レンズ群G3が物体側へ移動し、第4レンズ群G4が物体側へ移動する。第5レンズ群G5は固定されており、ズーミングに際して移動しない。
【0082】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1の負レンズL11と、両凹レンズ形状の第2の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13とから構成される。第1の負レンズL11の像側レンズ面には密着複層型回折光学素子PFが設けられ、またこの面は非球面である。
【0083】
回折光学素子PFは、異なる2つの紫外線硬化型樹脂からなる回折光学素子要素PF1とPF2がそれぞれ密着接合して構成されたものであり、その接合面は回折格子溝が形成された回折光学面Cとなっている(
図1参照)。本実施例では、回折光学素子要素PF1とPF2の構成材料として、以下の表中の[樹脂屈折率]に示す屈折率を有する樹脂を用いた。なお、樹脂屈折率は、樹脂硬化後の屈折率を示す。
【0084】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL21と、負レンズL22と正レンズL23との接合レンズと、正レンズL24とから構成される。
【0085】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL31と負レンズL32との接合レンズと、負レンズL33とから構成される。
【0086】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズL41と正レンズL42との接合レンズと、負レンズL43とから構成される。負レンズL41の物体側レンズ面は非球面である。
【0087】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL51と負レンズL52との接合レンズから構成されている。
【0088】
本実施例では、第3レンズ群G3の物体側に、絞りSPを配置する。絞りSPは、変倍時には広角端状態から望遠端状態において第3レンズ群G3と共に移動する。
【0089】
以下の表1に、第1実施例に係るズーム光学系ZL1の各諸元値を示す。表1における面番号1〜30は、
図2に示す曲率半径R1〜R30の各光学面に対応している。
【0090】
(表1)
[全体諸元]
広角端 望遠端
f = 24.8 〜 67.8
FNo= 2.9 〜 2.9
Y = 21.6 〜 21.6
Σd = 156.3 〜 141.5
[レンズデータ]
面番号 r d nd νd
1 449.276 2.88 1.65844 50.84
2 *a 26.646 0.01 1.52780 33.41
3 *a*d 26.646 0.01 1.55710 49.74
4 *a 26.646 14.06
5 -407.787 2.10 1.60311 60.69
6 70.826 0.15
7 53.361 5.27 1.75520 27.57
8 150.738 D8(可変)
9 49.742 3.58 1.66672 48.33
10 *a 220.067 9.68
11 131.177 1.80 1.71736 29.57
12 32.690 7.36 1.49782 82.57
13 -179.945 8.00
14 *a 47.836 5.93 1.58913 61.22
15 -186.821 D15(可変)
16 *s ∞ 1.30
17 878.033 3.50 1.86074 23.08
18 -46.301 1.15 1.74400 44.81
19 75.737 2.06
20 -69.602 1.20 1.74400 44.81
21 614.114 D21(可変)
22 *a 53560.956 1.30 1.74077 27.74
23 56.392 4.60 1.49782 82.57
24 -37.848 0.20
25 39.729 1.40 1.76200 40.11
26 35.201 0.08 1.55389 39.22
27 *a 43.244 D27(可変)
28 35.707 6.00 1.58267 46.48
29 -435.607 1.40 1.75520 27.57
30 68.740 41.70
[非球面データ]
第2,3,4面
κ=-1.2845
A4=0.322160E-05,A6=0.139792E-08,A8=-0.270408E-11,A10=0.291265E-14
A12=-0.105112E-17
第10面
κ=73.5073
A4=0.252669E-06,A6=-0.106583E-08,A8=0.272800E-11,A10=-0.693172E-14
第14面
κ=-0.3667
A4=-0.598146E-06,A6=-0.228182E-09,A8=0.519056E-13,A10=-0.809169E-15
第22面
κ=-8.0661e+019
A4=0.104993E-04,A6=-0.463141E-07,A8=0.163623E-09,A10=-0.311875E-12
第27面
κ=4.1806
A4=0.984974E-05,A6=-0.381469E-07,A8=0.609092E-11,A10=0.292963E-1
A12=-0.120149E-14
[回折光学面データ]
第3面
C2=6.8348E-05,C4=1.2529E-07,C6=-8.5928E-11
[回折光学素子 光学データ]
nC nd nF ng
低屈折率 1.523300 1.527800 1.539100 1.549100
高屈折率 1.553800 1.557100 1.565000 1.571300
[各群間隔データ]
広角端 望遠端
D8 53.42 1.08
D15 0.15 24.41
D21 17.19 1.00
D27 0.50 25.94
[ズーム光学系 群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 1 -40.58
G2 9 44.42
G3 17 -54.63
G4 22 100.66
G5 28 173.02
[条件式]
条件式(1)ν1p =27.57(正レンズL13)
条件式(2)Δ(θg,F) =0.0112(正レンズL13)
条件式(3)ν1dave =46.4
条件式(4) fDOE =-7315.48
条件式(5)|φdoei/φi| =0.0056
条件式(6)|TK/fw| =3.63
条件式(7)Pmin =0.094
【0091】
表1から、第1実施例に係るズーム光学系ZL1は、条件式(1)〜(7)を満たすことが分かる。
【0092】
図3、
図4は、第1実施例に係るズームレンズ系ZLの諸収差図である。
図3は広角端状態における撮影距離無限遠での縦収差図であり、
図4は望遠端状態における撮影距離無限遠での縦収差図である。縦収差図には、各図における左側から、(縦方向の)球面収差、非点収差、及び歪曲収差が記載されている。各収差図は、いずれも第1実施例に係るズーム光学系ZL1を物体側から光線追跡したものである。
【0093】
球面収差図において、dはd線(波長587.562nm)、CはC線(波長656.273nm)、FはF線(波長486.133nm)、gはg線(波長435.835nm)における収差を示す。また球面収差図において、縦軸は入射瞳半径の最大値を1として規格化して示した値を、横軸は各線における収差の値(mm)を示す。非点収差図は、d線における収差を示し、実線Sはサジタル像面を、破線Tはメリディオナル像面を示す。また非点収差図において、縦軸は像高(mm)を、横軸は収差の値(mm)を示す。歪曲収差図は、d線における収差を示す。また歪曲収差図において、縦軸は像高(mm)を、横軸は収差の割合(百分率(%値))を示す。
【0094】
以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
【0095】
各収差図から明らかなように、第1実施例に係るズーム光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において、球面収差、非点収差、歪曲収差等を含め、諸収差が良好に補正されていることが分かる。
【0096】
(第2実施例)
第2実施例について、
図5〜
図7及び表2を用いて説明する。
図5は、第2実施例に係るズーム光学系ZL(ZL2)の構成断面図及び広角端状態(W)から望遠端状態(T)までのズーム軌道を示す。
図5の構成断面図では、図示の煩雑さを回避すべく、回折光学素子PFを構成する回折光学素子要素の符号PF1、PF2と、回折光学面の符号Cの記載及び格子溝の形状の記載は省略し、単に回折光学素子PFの符号のみを記載する。
【0097】
第2実施例に係るズーム光学系ZL2は、
図5に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2と、負の屈折力を持つ第3レンズ群G3と、正の屈折力を持つ第4レンズ群G4と、正の屈折力を持つ第5レンズ群G5とから構成される。
【0098】
変倍時には、広角端状態から望遠端状態にかけて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が増加するように、第1レンズ群G1が物体側へ凸状の軌跡で移動し、第2レンズ群が物体側へ移動し、第3レンズ群G3が物体側へ移動し、第4レンズ群G4が物体側へ移動する。第5レンズ群G5は固定されており、ズーミングに際して移動しない。
【0099】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1の負レンズL11と、両凹レンズ形状の第2の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13とから構成される。第1の負レンズL11の像側レンズ面には密着複層型回折光学素子PFが設けられ、またこの面は非球面である。
【0100】
回折光学素子PFは、異なる2つの紫外線硬化型樹脂からなる回折光学素子要素PF1とPF2がそれぞれ密着接合して構成されたものであり、その接合面は回折格子溝が形成された回折光学面Cとなっている(
図1参照)。本実施例では、回折光学素子要素PF1とPF2の構成材料として、以下の表中の[樹脂屈折率]に示す屈折率を有する樹脂を用いた。なお、樹脂屈折率は、樹脂硬化後の屈折率を示す。
【0101】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL21と、負レンズL22と正レンズL23との接合レンズと、正レンズL24とから構成される。
【0102】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL31と負レンズL32との接合レンズと、負レンズL33とから構成される。
【0103】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズL41と正レンズL42との接合レンズと、負レンズL43とから構成される。負レンズL41の物体側レンズ面は非球面である。
【0104】
第5レンズ群G5は、正レンズL51から構成されている。
【0105】
本実施例では、第3レンズ群G3の物体側に、絞りSPを配置する。絞りSPは、変倍時には広角端状態から望遠端状態において第3レンズ群G3と共に移動する。
【0106】
以下の表2に、第2実施例に係るズーム光学系ZL2の各諸元値を示す。表2における面番号1〜29は、
図5に示す曲率半径R1〜R29の各光学面に対応している。
【0107】
(表2)
[全体諸元]
広角端 望遠端
f = 24.8 〜 67.8
FNo= 2.9 〜 2.9
Y = 21.6 〜 21.6
Σd = 154.6 〜 156.2
[レンズデータ]
面番号 r d nd νd
1 1373.856 2.88 1.65844 50.84
2 *a 26.403 0.01 1.52780 33.41
3 *a*d 26.403 0.01 1.55710 49.74
4 *a 26.403 14.04
5 -339.817 2.10 1.51742 52.20
6 75.213 0.15
7 58.908 7.00 1.75520 27.57
8 181.498 D8(可変)
9 45.700 4.46 1.67000 57.35
10 *a 149.654 10.23
11 120.621 1.80 1.72342 38.03
12 31.386 7.76 1.49782 82.57
13 -156.090 8.07
14 65.708 5.13 1.62041 60.25
15 -147.316 D15(可変)
16 *s ∞ 1.30
17 498.394 3.50 1.86074 23.08
18 -41.091 1.15 1.64769 33.73
19 68.531 2.82
20 -41.212 1.20 1.58267 46.48
21 277.500 D21(可変)
22 *a 39.968 1.40 1.72825 28.38
23 33.184 5.49 1.49782 82.57
24 -37.638 0.20
25 -156.917 2.13 1.67270 32.19
26 41.520 0.08 1.55389 39.22
27 *a 59.020 D27(可変)
28 47.383 7.00 1.48749 70.31
29 -2567.589 41.80
[非球面データ]
第2,3,4面
κ=-1.1680
A4=0.182938E-05,A6=-0.243771E-08,A8=0.736133E-11,A10=-0.765274E-14
A12=0.237652E-17
第10面
κ=-10.9723
A4=0.226737E-05,A6=-0.481488E-09,A8=0.133671E-11,A10=-0.194355E-14
第22面
κ=0.5896
A4=0.305972E-05,A6=-0.407149E-08,A8=-0.641264E-10,A10=0.108717E-12
第27面
κ=3.1944
A4=0.139947E-04,A6=0.385271E-07,A8=-0.411716E-09,A10=0.198530E-11
A12=-0.440321E-14
[回折光学面データ]
第3面
C2=4.9111E-05,C4=5.4082E-08,C6=8.3034E-10
C8=-2.2413E-12,C10=1.6777E-15
[回折光学素子 光学データ]
nC nd nF ng
低屈折率 1.523300 1.527800 1.539100 1.549100
高屈折率 1.553800 1.557100 1.565000 1.571300
[各群間隔データ]
広角端 望遠端
D8 49.96 2.39
D15 0.15 31.29
D21 14.07 1.00
D27 0.50 31.62
[ズーム光学系 群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 1 -41.01
G2 9 47.18
G3 17 -53.40
G4 22 115.53
G5 28 95.52
[条件式]
条件式(1)ν1p =27.57(正レンズL13)
条件式(2)Δ(θg,F) =0.0112(正レンズL13)
条件式(3)ν1dave =43.5
条件式(4)fDOE =-10181.00
条件式(5)|φdoei/φi| =0.0040
条件式(6)|TK/fw| =3.60
条件式(7)Pmin =0.055
【0108】
表2から、第2実施例に係るズーム光学系ZL2は、条件式(1)〜(7)を満たすことが分かる。
【0109】
図6、
図7は、第2実施例に係るズームレンズ系ZLの諸収差図である。
図6は広角端状態における撮影距離無限遠での縦収差図であり、
図7は望遠端状態における撮影距離無限遠での縦収差図である。縦収差図には、各図における左側から、(縦方向の)球面収差、非点収差、及び歪曲収差が記載されている。各収差図は、いずれも第2実施例に係るズーム光学系ZL2を物体側から光線追跡したものである。
【0110】
各収差図から明らかなように、第2実施例に係るズーム光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において、球面収差、非点収差、歪曲収差等を含め、諸収差が良好に補正されていることが分かる。
【0111】
(第3実施例)
第3実施例について、
図8〜
図10及び表3を用いて説明する。
図8は、第3実施例に係るズーム光学系ZL(ZL3)の構成断面図及び広角端状態(W)から望遠端状態(T)までのズーム軌道を示す。
図8の構成断面図では、図示の煩雑さを回避すべく、回折光学素子PFを構成する回折光学素子要素の符号PF1、PF2と、回折光学面の符号Cの記載及び格子溝の形状の記載は省略し、単に回折光学素子PFの符号のみを記載する。
【0112】
第3実施例に係るズーム光学系ZL3は、
図8に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2と、負の屈折力を持つ第3レンズ群G3と、正の屈折力を持つ第4レンズ群G4と、正の屈折力を持つ第5レンズ群G5とから構成される。
【0113】
変倍時には、広角端状態から望遠端状態にかけて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が増加するように、第1レンズ群G1が物体側へ凸状の軌跡で移動し、第2レンズ群が物体側へ移動し、第3レンズ群G3が物体側へ移動し、第4レンズ群G4が物体側へ移動する。第5レンズ群G5は固定されており、ズーミングに際して移動しない。
【0114】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1の負レンズL11と、両凹レンズ形状の第2の負レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13とから構成される。第1の負レンズL11の像側レンズ面には密着複層型回折光学素子PFが設けられ、またこの面は非球面である。
【0115】
回折光学素子PFは、異なる2つの紫外線硬化型樹脂からなる回折光学素子要素PF1とPF2がそれぞれ密着接合して構成されたものであり、その接合面は回折格子溝が形成された回折光学面Cとなっている(
図1参照)。本実施例では、回折光学素子要素PF1とPF2の構成材料として、以下の表中の[樹脂屈折率]に示す屈折率を有する樹脂を用いた。なお、樹脂屈折率は、樹脂硬化後の屈折率を示す。
【0116】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL21と、負レンズL22と正レンズL23との接合レンズと、正レンズL24とから構成される。
【0117】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正レンズL31と負レンズL32との接合レンズと、負レンズL33とから構成される。
【0118】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズL41と正レンズL42との接合レンズと、負レンズL43とから構成される。負レンズL41の物体側レンズ面は非球面である。
【0119】
第5レンズ群G5は、正レンズL51から構成されている。
【0120】
本実施例では、第3レンズ群G3の物体側に、開口絞りSPを配置する。開口絞りSPは、変倍時には広角端状態から望遠端状態において第3レンズ群G3と共に移動する。
【0121】
以下の表3に、第3実施例に係るズーム光学系ZL3の各諸元値を示す。表3における面番号1〜29は、
図8に示す曲率半径R1〜R29の各光学面に対応している。
【0122】
(表3)
[全体諸元]
広角端 望遠端
f = 24.8 〜 67.6
FNo= 2.9 〜 2.9
Y = 21.6 〜 21.6
Σd = 146.4 〜 157.1
[レンズデータ]
面番号 r d nd νd
1 541.278 2.88 1.62041 60.25
2 *a 24.918 0.01 1.52780 33.41
3 *a*d 24.918 0.01 1.55710 49.74
4 *a 24.918 13.66
5 -1884.105 2.10 1.56384 60.71
6 82.335 0.15
7 52.740 4.44 1.68893 31.16
8 111.258 D8(可変)
9 42.908 5.90 1.74000 44.81
10 *a 78.686 8.56
11 78.465 1.80 1.74950 35.25
12 29.201 8.42 1.49782 82.57
13 -145.003 7.87
14 56.224 5.44 1.65100 56.24
15 -185.363 D15(可変)
16 *s ∞ 1.30
17 -833.557 3.50 1.86074 23.08
18 -37.536 1.15 1.64769 33.73
19 60.171 3.77
20 -30.999 1.20 1.54814 45.51
21 -247.421 D21(可変)
22 *a 52.989 1.30 1.54814 45.51
23 31.203 6.33 1.49782 82.57
24 -33.095 0.20
25 -870.002 3.38 1.71736 29.57
26 46.113 0.08 1.55389 39.22
27 *a 57.706 D27(可変)
28 57.488 5.72 1.62041 60.25
29 -2567.589 41.80
[非球面データ]
第2,3,4面
κ=-1.0548
A4=0.196198E-05,A6=-0.337901E-09,A8=0.506747E-11,A10=-0.672772E-14
A12=0.318737E-17
第10面
κ=-6.4009
A4=0.316676E-05,A6=-0.809020E-09,A8=0.101113E-11,A10=-0.159292E-148
第22面
κ = 0.4590
A4=0.134892E-06,A6=-0.142020E-07,A8=-0.182191E-10,A10=0.617701E-13
第27面
κ = 1.4571
A4=0.981089E-05,A6=0.110465E-07,A8=-0.220627E-09,A10=0.120511E-11
A12=-0.275363E-14
[回折光学面データ]
第3面
C2=5.6215E-05,C4=1.6670E-07,C6=1.6313E-10
C8=-9.4388E-13,C10=8.2737E-16
[回折光学素子 光学データ]
nC nd nF ng
低屈折率 1.523300 1.527800 1.539100 1.549100
高屈折率 1.553800 1.557100 1.565000 1.571300
[各群間隔データ]
広角端 望遠端
D8 45.72 2.51
D15 0.15 23.61
D21 10.65 0.10
D27 0.67 41.64
[ズーム光学系 群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 1 -40.98
G2 9 44.40
G3 17 -45.75
G4 22 95.94
G5 28 90.71
[条件式]
条件式(1)ν1p =31.16(正レンズL13)
条件式(2)Δ(θg,F) =0.0072(正レンズL13)
条件式(3)ν1dave =50.7
条件式(4)fDOE =-8894.42
条件式(5)|φdoei/φi| =0.0046
条件式(6)|TK/fw| =3.55
条件式(7)Pmin =0.076
【0123】
表3から、第3実施例に係るズーム光学系ZL3は、条件式(1)〜(7)を満たすことが分かる。
【0124】
図9、
図10は、第3実施例に係るズームレンズ系ZLの諸収差図である。
図9は広角端状態における撮影距離無限遠での縦収差図であり、
図10は望遠端状態における撮影距離無限遠での縦収差図である。縦収差図には、各図における左側から、(縦方向の)球面収差、非点収差、及び歪曲収差が記載されている。各収差図は、いずれも第3実施例に係るズーム光学系ZL3を物体側から光線追跡したものである。
【0125】
各収差図から明らかなように、第3実施例に係るズーム光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において、球面収差、非点収差、歪曲収差等を含め、諸収差が良好に補正されていることが分かる。
【0126】
以上説明したように、本発明によれば、回折光学素子を効果的に使用することにより、小型で、全ズーム範囲に亘り色収差を始めとした諸収差を良好に補正し、高い光学性能を有したズーム光学系を提供することができる。
【0127】
なお、本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。