特許第5854128号(P5854128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854128
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】シンチレータデュアルアレイの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 4/00 20060101AFI20160120BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   G21K4/00 A
   G01T1/20 B
   G01T1/20 D
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-507605(P2014-507605)
(86)(22)【出願日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2013056290
(87)【国際公開番号】WO2013146167
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-80291(P2012-80291)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】新田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】重川 祥
(72)【発明者】
【氏名】塩田 諭
(72)【発明者】
【氏名】長友 浩之
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−017489(JP,A)
【文献】 特開2010−127630(JP,A)
【文献】 特開2006−145431(JP,A)
【文献】 特開平05−019060(JP,A)
【文献】 特開2000−180555(JP,A)
【文献】 特開平08−233942(JP,A)
【文献】 特表2009−524015(JP,A)
【文献】 特開昭63−113387(JP,A)
【文献】 特表2008−538966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレータデュアルアレイの製造方法において、
平行な溝を介して配列された複数の第一のシンチレータバーと前記溝に充填された反射材用硬化樹脂とを有する第一のシンチレータバーアレイと、平行な溝を介して配列された複数の第二のシンチレータバーと前記溝に充填された反射材用硬化樹脂とを有する第二のシンチレータバーアレイとを、両シンチレータバーが積層方向に整列するように中間層用樹脂層を介して接合し、バーアレイ接合体を形成する工程と
前記バーアレイ接合体を前記第一及び第二のシンチレータバーの配列方向に切断し、複数のバーアレイ接合体片を形成する工程と、
前記バーアレイ接合体片の少なくとも一方の切断面を反射材用樹脂で被覆する工程を有し、
前記第一のシンチレータバーのピッチと前記第二のシンチレータバーのピッチとは同じであり、
前記第一のシンチレータバーと前記第二のシンチレータバーは異なるX線エネルギー検出感度分布を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、前記第一のシンチレータバーアレイ及び前記第二のシンチレータバーアレイのいずれか一方に前記中間層用樹脂層を設けた後で、両シンチレータバーアレイを接合することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、
支持プレートに固定した第一のシンチレータ基板に複数の平行な溝を形成し、前記溝に反射用硬化樹脂を充填し、所定の厚さに研削することにより前記第一のシンチレータバーアレイを形成し、
支持プレートに固定した第二のシンチレータ基板に複数の平行な溝を形成し、前記溝に反射用硬化樹脂を充填し、所定の厚さに研削することにより前記第二のシンチレータバーアレイを形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求2又は3に記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、一方のシンチレータバーアレイに前記中間層用樹脂層を形成する方法として、(a) 中間層形成領域を囲む枠を形成し、前記枠に液状の中間層用硬化性樹脂を流し込み、硬化後に所定の厚さに研削する方法、(b) フォトリソグラフィーにより中間層形成領域を囲むレジストパターンを形成し、前記レジストパターンに液状硬化性樹脂を流し込み、硬化後に所定の厚さに研削する方法、又は(c) 所定の厚さの中間層用の硬化樹脂板を接着する方法を採用することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、両シンチレータバーアレイに位置合せ溝を形成し、前記第一及び第二のシンチレータバーアレイのいずれか一方を下にして、その位置合せ溝にピンを嵌入し、他方のシンチレータバーアレイの位置合せ溝を前記ピンに合わせることにより両シンチレータバーを積層方向に整列させることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、複数のバーアレイ接合体片を支持プレート上に等間隔に固定し、液状硬化性樹脂で被覆し、前記樹脂を硬化させることによりデュアルアレイ集合体を形成し、前記デュアルアレイ集合体を前記バーアレイ接合体片間の樹脂層に沿って切断することにより個々のシンチレータデュアルアレイを得ることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、
前記第一のシンチレータバーアレイを、第一のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第一のシンチレータ基板にその厚さと同じ深さの複数の平行な溝を形成し、得られた貫通溝を有する第一のシンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記貫通溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第一の溝付きシンチレータ基板樹脂硬化体を所望の厚さに研削することにより形成し、
前記第二のシンチレータバーアレイを、第二のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第二のシンチレータ基板にその厚さと同じ深さの複数の平行な溝を形成し、得られた貫通溝を有する第二のシンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記貫通溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第二の溝付きシンチレータ基板樹脂硬化体を所望の厚さに研削することにより形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のシンチレータデュアルアレイの製造方法において、
前記第一のシンチレータバーアレイを、第一のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第一のシンチレータ基板にその厚さより浅い複数の平行な溝を形成することにより、複数の平行なシンチレータバーが連結部により結合された第一の櫛歯状シンチレータ基板を形成し、前記第一の櫛歯状シンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第一の櫛歯状シンチレータ基板樹脂硬化体を前記連結部が除去されるように所望の厚さに研削することにより形成し、
前記第二のシンチレータバーアレイを、第二のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第二のシンチレータ基板にその厚さより浅い複数の平行な溝を形成することにより、複数の平行なシンチレータバーが連結部により結合された第二の櫛歯状シンチレータ基板を形成し、前記第二の櫛歯状シンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第二の櫛歯状シンチレータ基板樹脂硬化体を前記連結部が除去されるように所望の厚さに研削することにより形成することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器等に用いるシンチレータデュアルアレイを高精度で効率良く製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線検査装置の一つにコンピュータ断層撮影装置[Computed Tomography(CT)装置]がある。CT装置は、X線ファンビームを放射するX線管と、多数の放射線検出素子を併設した放射線検出器とを有する。X線管と放射線検出器は、測定対象を中心にして対向するように配置される。X線管から放射されたX線ファンビームは測定対象を透過し、放射線検出器で検出される。1回の照射ごとに照射角度を変えてX線吸収データを収集し、コンピュータ解析により測定対象の断層面における個々の位置のX線吸収率を算出し、X線吸収率に応じた画像を構成する。放射線検出器として、シンチレータアレイ及びシリコンフォトダイオードを組合せた検出器、又はシンチレータアレイ及び光電子増倍管を組合せた検出器が用いられている。
【0003】
特開2001-174564号は、エネルギー分布が異なるX線を検出する二種類のシンチレータ素子がX線の透過方向に配置されており、各シンチレータ素子に対応する光検出素子がそのシンチレータ素子に垂直な方向に配置されており、複数のシンチレータ素子及び複数の光検出素子が列をなしているX線検出器アレイを開示している。複数のシンチレータ素子は光反射性物質で二次元マトリクス状に一体的にモールドされている。特開2001-174564号には、3段のシンチレータ素子がX線透過方向(j方向)に配置された例が図示されている。しかし、特開2001-174564号は、X線検出器アレイの製造方法を具体的に開示していない。
【0004】
X線エネルギーの検出感度分布が異なる二種類のシンチレータを用いたデュアルエネルギーの検出器として、WO 2006/114715(特表2008-538966号)は、放射線を受けるようにX線源に対向して備えられ、低エネルギーの放射線を光に変換して高エネルギーの放射線を透過する上部シンチレータと、上部シンチレータから前記光を受けて電気信号に変換する第一光検出器と、透過した高エネルギー放射線を光に変換する下部シンチレータと、前記下部シンチレータから前記光を受けて電気信号に変換する第二光検出器とを有する放射線検出器を開示している。しかし、WO 2006/114715はシンチレーションアレイの製造方法を具体的に開示していない。
【0005】
特開平9-211139号は、放射線により発光可能なシンチレータと、前記シンチレータの光を電気信号に変換する光検出器とを組み合わせてなる放射線検出器において、前記シンチレータとしてセラミックスシンチレータと単結晶シンチレータとを組み合わせることを特徴とする放射線検出器を開示している。セラミックスシンチレータは多結晶のGd2O2S: Pr等であり、単結晶シンチレータはCdWO4,Bi6Ge4O12等である。実施例では、セラミックスシンチレータと単結晶シンチレータとをエポキシ系接着剤で接着後、単結晶シンチレータにフォトダイオードを接着し、かつセラミックスシンチレータの上面にTiO2光反射層を形成している。しかし、このようなシンチレータの製造方法では工数が多いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、シンチレータデュアルアレイを高精度で効率良く製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシンチレータデュアルアレイの製造方法は、
平行な溝を介して配列された複数の第一のシンチレータバーと前記溝に充填された反射材用硬化樹脂とを有する第一のシンチレータバーアレイと、平行な溝を介して配列された複数の第二のシンチレータバーと前記溝に充填された反射材用硬化樹脂とを有する第二のシンチレータバーアレイとを、両シンチレータバーが積層方向に整列するように中間層用樹脂層を介して接合し、バーアレイ接合体を形成する工程と
前記バーアレイ接合体を前記第一及び第二のシンチレータバーの配列方向に切断し、複数のバーアレイ接合体片を形成する工程と、
前記バーアレイ接合体片の少なくとも一方の切断面を反射材用樹脂で被覆する工程を有し、
前記第一のシンチレータバーのピッチと前記第二のシンチレータバーのピッチとは同じであり、
前記第一のシンチレータバーと前記第二のシンチレータバーは異なるX線エネルギー検出感度分布を有する
ことを特徴とする。
【0008】
前記第一のシンチレータバーアレイ及び前記第二のシンチレータバーアレイのいずれか一方に前記中間層用樹脂層を設けた後で、両シンチレータバーアレイを接合するのが好ましい。
【0009】
支持プレートに固定した第一のシンチレータ基板に複数の平行な溝を形成し、前記溝に反射用硬化樹脂を充填し、所定の厚さに研削することにより前記第一のシンチレータバーアレイを形成し、支持プレートに固定した第二のシンチレータ基板に複数の平行な溝を形成し、前記溝に反射用硬化樹脂を充填し、所定の厚さに研削することにより前記第二のシンチレータバーアレイを形成するのが好ましい。
【0010】
一方のシンチレータバーアレイに前記中間層用樹脂層を形成する方法として、(a) 中間層形成領域を囲む枠を形成し、前記枠に液状の中間層用硬化性樹脂を流し込み、硬化後に所定の厚さに研削する方法、(b) フォトリソグラフィーにより中間層形成領域を囲むレジストパターンを形成し、前記レジストパターンに液状硬化性樹脂を流し込み、硬化後に所定の厚さに研削する方法、又は(c) 所定の厚さの中間層用の硬化樹脂板を接着する方法を採用するのが好ましい。
【0011】
両シンチレータバーアレイに位置合せ溝を形成し、前記第一及び第二のシンチレータバーアレイのいずれか一方を下にして、その位置合せ溝にピンを嵌入し、他方のシンチレータバーアレイの位置合せ溝を前記ピンに合わせることにより両シンチレータバーを積層方向に整列させるのが好ましい。
【0012】
複数のバーアレイ接合体片を支持プレート上に等間隔に固定し、液状硬化性樹脂で被覆し、前記樹脂を硬化させることによりデュアルアレイ集合体を形成し、前記デュアルアレイ集合体を前記バーアレイ接合体片間の樹脂層に沿って切断することにより個々のシンチレータデュアルアレイを得るのが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態では、(a) 前記第一のシンチレータバーアレイを、第一のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第一のシンチレータ基板にその厚さと同じ深さの複数の平行な溝を形成し、得られた貫通溝を有する第一のシンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記貫通溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第一の溝付きシンチレータ基板樹脂硬化体を所望の厚さに研削することにより形成し、(b) 前記第二のシンチレータバーアレイを、第二のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第二のシンチレータ基板にその厚さと同じ深さの複数の平行な溝を形成し、得られた貫通溝を有する第二のシンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記貫通溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第二の溝付きシンチレータ基板樹脂硬化体を所望の厚さに研削することにより形成する。
【0014】
本発明の他の実施形態では、(a) 前記第一のシンチレータバーアレイを、第一のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第一のシンチレータ基板にその厚さより浅い複数の平行な溝を形成することにより、複数の平行なシンチレータバーが連結部により結合された第一の櫛歯状シンチレータ基板を形成し、前記第一の櫛歯状シンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第一の櫛歯状シンチレータ基板樹脂硬化体を前記連結部が除去されるように所望の厚さに研削することにより形成し、(b) 前記第二のシンチレータバーアレイを、第二のシンチレータ基板を支持プレート上に固定し、前記第二のシンチレータ基板にその厚さより浅い複数の平行な溝を形成することにより、複数の平行なシンチレータバーが連結部により結合された第二の櫛歯状シンチレータ基板を形成し、前記第二の櫛歯状シンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆することにより前記溝に前記液状硬化性樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させ、得られた第二の櫛歯状シンチレータ基板樹脂硬化体を前記連結部が除去されるように所望の厚さに研削することにより形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法により、医療用CT装置や、手荷物検査用CT装置等に使用する放射線検出器を構成するためのシンチレータデュアルアレイを高精度で効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による製造方法を示すフローチャートである。
図2】ステップA2により得られた溝付きYGAG基板を示す斜視図である。
図3】ステップA3による樹脂の充填及び硬化を示す斜視図である。
図4】ステップA3により得られた溝付きYGAG基板樹脂硬化体を示す斜視図である。
図5】ステップA4により得られたYGAGバーアレイを示す斜視図である。
図6】ステップA7により得られた位置合せ溝付きYGAGバーアレイを示す斜視図である。
図7】ステップa2により得られた溝付きGOS基板を示す斜視図である。
図8】ステップa3による樹脂の充填及び硬化を示す斜視図である。
図9】ステップa3により得られた溝付きGOS基板樹脂硬化体を示す斜視図である。
図10】ステップa4により得られたGOSバーアレイを示す斜視図である。
図11(a)】ステップa5により中間層用樹脂層を形成したGOSバーアレイを示す斜視図である。
図11(b)】ステップa6により一様な厚さに研削した中間層用樹脂層を有するGOSバーアレイを示す斜視図である。
図12】ステップa7により得られた位置合せ溝付きGOSバーアレイを示す斜視図である。
図13】位置合せ溝付きGOSバーアレイの中間層用樹脂層に位置合せ溝付きYGAGバーアレイを接着するステップA8を示す斜視図である。
図14】ステップA8により得られたバーアレイ接合体を示す断面図である。
図15】回転砥石によりバーアレイ接合体を所定の厚さに切断するステップA9-1を示す斜視図である。
図16】ステップA9-1により得られたバーアレイ接合体片からZ軸方向端部を切除するステップA9-2を示す斜視図である。
図17】ステップA9-2によりZ軸方向端部を切除したバーアレイ接合体片を示す拡大斜視図である。
図18】バーアレイ接合体片を樹脂で被覆するステップA10を示す斜視図である。
図19】ステップA10により得られた樹脂被覆デュアルアレイ集合体を示す斜視図である。
図20】ステップA11により得られたデュアルアレイ集合体を示す斜視図である。
図21(a)】ステップA12により得られたデュアルアレイを示す拡大斜視図である。
図21(b)】図21(a) のA-A断面図である。
図22】本発明の他の実施形態において、支持プレートに固定したYGAG基板に未貫通の溝を形成して、櫛歯状YGAG基板を作製する様子を示す斜視図である。
図23】未貫通の溝を有する櫛歯状YGAG基板を樹脂で被覆する様子を示す斜視図である。
図24(a)】本発明の他の実施形態の櫛歯状YGAG基板樹脂硬化体を示す斜視図である。
図24(b)】図24(a) のB-B断面図である。
図25】本発明の他の実施形態において、支持プレートに固定したGOS基板に未貫通の溝を形成して、櫛歯状GOS基板を得る様子を示す斜視図である。
図26】未貫通の溝を有する櫛歯状GOS基板を樹脂で被覆する様子を示す斜視図である。
図27(a)】本発明の他の実施形態の櫛歯状GOS基板樹脂硬化体を示す斜視図である。
図27(b)】図27(a) のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。各実施形態の説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも当てはまる。
【0018】
本発明では、X線エネルギーに対する検出感度分布が異なる2つのシンチレータ基板を用いる。低エネルギー側の検出感度が高い第一のシンチレータ基板として、例えばCe、Pr等の希土類元素で賦活した(Y1-xGdx)3+a(GauAl1-u)5-aO12(x=0.10〜0.5、u=0.2〜0.6、及びa=−0.05〜0.15)の組成式を有するイットリウム−ガドリニウム−アルミニウム−ガリウムガーネット(YGAG)シンチレータを用い、高エネルギー側の検出感度が高い第二のシンチレータ基板として、例えばPr、Ce及びTbから選ばれた少なくとも1種で賦活したGd2O2Sの組成式を有するガドリニウムオキシサルファイド(GOS)シンチレータを用いるのが好ましい。第一のシンチレータ基板として、YGAGの代わりにZnSeを用いることもできる。また第二のシンチレータ基板として、GOSの代わりにGGAGを用いることもできる。GGAGは、例えばCe、Pr等から選ばれた少なくとも1種で賦活した(Gd1-xLux)3+a(GauAl1-u)5-aO12(x=0〜0.5、u=0.2〜0.6、及びa=−0.05〜0.15)の主組成を有する。本発明の製造方法を、YGAGシンチレータアレイ及びGOSシンチレータアレイの組合せを例にとって以下詳細に説明するが、本発明はこの組合せに限定されるものではない。
【0019】
[1] 第一の実施形態
図1は本発明の第一の実施形態によるシンチレータデュアルアレイの製造方法を示すフローチャートである。まず図2に示すように、第一のシンチレータ基板として、Ce元素で賦活したイットリウム−ガドリニウム−アルミニウム−ガリウムガーネット(YGAG)の組成を有するシンチレータ焼結体からなる矩形板状のYGAG基板1を、その表面faを下にして、第一の支持プレート30の表面fsに接着材(図示せず)を介して固着する(ステップA1)。接着材は、YGAG基板1を固定し、後のステップでもその位置を正確に保持できるものであれば特に限定されず、例えば接着剤、両面接着フィルム、両面接着テープ等を用いることができる。なかでも、位置合せ精度及びハンドリング性の観点から感圧又は感熱の接着剤又は両面接着フィルムが好ましい。
【0020】
切削用回転砥石19を用いて、YGAG基板1に両端部5b、5bを残して背面bbから接着材まで到達する複数の平行な貫通溝3bを形成する。貫通溝3bの形成により、図2に示すように、分離された複数の平行なYGAGバー2bからなる溝付きYGAG基板1bが得られる(ステップA2)。溝付きYGAG基板1bの両端部5b、5bは後のステップA9又はA12で切り落とされる。図2に示すx軸、y軸及びz軸は、それぞれYGAG基板1の厚さ方向、溝3bの方向及び溝3bの配列方向である。
【0021】
図3に示すように、第一の支持プレート30の側面に液状硬化性樹脂溜め用のフィルム31F,31R,31B,31Lを貼る。各フィルム31F,31R,31B,31Lの幅は第一の支持プレート30の側面の高さより十分に大きいので、第一の支持プレート30から上方に突出するフィルム31F,31R,31B,31Lは、液状硬化性樹脂32を堰止めるための空間を形成する。なお、複数枚のフィルムを用いる代わりに、第一の支持プレート30の側面に沿って折り曲げた一枚のフィルムを用いても良い。YGAGセルが発光する際に反射材として機能する樹脂層3d(図21参照)を形成する液状硬化性樹脂32として、例えば白色の酸化チタン微粒子を混合した液状熱硬化性エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。液状硬化性樹脂32を前記空間内に入れると、液状硬化性樹脂32は溝付きYGAG基板1bの貫通溝3bに流入するとともに、溝付きYGAG基板1bの上面及び側面を被覆する(ステップA3)。液状硬化性樹脂32の硬化により、複数のYGAGバー2bは一体化される。
【0022】
フィルム31F,31R,31B,31L及び第一の支持プレート30を除去すると、図4に示すように溝付きYGAG基板1bが硬化樹脂32’で一体化された溝付きYGAG基板樹脂硬化体33が得られる。溝付きYGAG基板樹脂硬化体33の表面fbに接着材が残留している場合、それを剥離液、研削加工又は研磨加工により除去する。溝付きYGAG基板1bが露出するように溝付きYGAG基板樹脂硬化体33の背面bb2側を研削加工することにより、図5に示すように一様な厚さh1を有するYGAGバーアレイ6cが得られる(ステップA4)。溝付きYGAG基板樹脂硬化体33を構成する部材に相当するYGAGバーアレイ6c中の部材の参照番号は、同じ数字の後に「b」の代わりに「c」が付けられている。なお、例えば剥離液により接着材を除去する場合のように溝付きYGAG基板1bが所望の厚さh1に保持されている場合、YGAGバーアレイ6cの厚さが(h1+α)となるように、背面bb2の研削後に厚さαの樹脂層を残しても良い。YGAGバーアレイ6cにおいて、YGAGバー2cの外周に樹脂層32cが形成されている。
【0023】
図6に示すように、YGAGバーアレイ6cのうち各端部5c、5cを通る部分の背面bc側に、y軸方向の研削により位置合せ溝38、38を形成し、位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’とする(ステップA7)。なお、厚さαの樹脂層を残す場合、位置合せ溝38、38を表面fcに形成する。
【0024】
また第二のシンチレータ基板として、Pr及びCe元素で賦活したガドリニウムオキシサルファイド(GOS)の組成を有するシンチレータ焼結体からなる矩形板状のGOS基板10を作製する。GOS基板10はYGAG基板1より厚い。GOS基板10を、その表面Faを下にして、第二の支持プレート40の表面Fsに接着材(図示せず)を介して固着する(ステップa1)。接着材は、YGAG基板1の固着に用いるのと同じで良い。
【0025】
切削用回転砥石19を用いて、GOS基板10に、両端部15b、15bを残して背面Bbから接着材まで到達する複数の平行な貫通溝13bを形成する。貫通溝13bの形成により、図7に示すように、分離した複数の平行なGOSバー12bを有する溝付きGOS基板11bが得られる(ステップa2)。GOSバー12bの幅及びピッチはYGAGバー2bの幅及びピッチと同じである。溝付きGOS基板11bの両端部15b、15bは後のステップA9又はA12で切り落とされる。図7に示すx軸、y軸及びz軸は、それぞれGOS基板10の厚さ方向、溝13bの方向及び溝13bの配列方向である。
【0026】
図8に示すように、第二の支持プレート40の側面に液状硬化性樹脂溜め用のフィルム41F,41R,41B,41Lを貼る。各フィルム41F,41R,41B,41Lの幅は第二の支持プレート40の側面の高さより十分に大きいので、第二の支持プレート40から上方に突出するフィルム41F,41R,41B,41Lは、液状硬化性樹脂42を堰止めるための空間を形成する。なお、複数枚のフィルムを用いる代わりに、第二の支持プレート40の側面に沿って折り曲げた一枚のフィルムを用いても良い。GOSセルが発光する際に反射材として機能する樹脂層13d(図21参照)を形成する液状硬化性樹脂42は溝付きYGAG基板1bの形成に用いた液状硬化性樹脂32と同じで良い。液状硬化性樹脂42を前記空間内に入れると、液状硬化性樹脂42は溝付きGOS基板11bの貫通溝13bに進入するとともに、溝付きGOS基板11bの上面及び側面を被覆する(ステップa3)。液状硬化性樹脂42の硬化により、複数のGOSバー12bは一体化される。
【0027】
フィルム41F,41R,41B,41L及び第二の支持プレート40を除去すると、図9に示すように溝付きGOS基板11bが硬化樹脂42’により一体化された溝付きGOS基板樹脂硬化体43が得られる。溝付きGOS基板樹脂硬化体43の表面Fbに接着材が残留している場合、それを剥離液、研削加工又は研磨加工により除去する。溝付きGOS基板11bが露出するように溝付きGOS基板樹脂硬化体43の背面Bb2側を研削加工することにより、図10に示すように一様な厚さh2を有するGOSバーアレイ16cが得られる(ステップa4)。溝付きGOS基板樹脂硬化体43を構成する部材に相当するGOSバーアレイ16c中の部材の参照番号は、同じ数字の後に「b」の代わりに「c」が付けられている。なお、例えば剥離液により接着材を除去する場合のようにGOSバーアレイが所望の厚さh2に保持されている場合、GOSバーアレイ16cの厚さが(h2+α)となるように、背面Bb2の研削後に厚さαの樹脂層を残しても良い。GOSバーアレイ16cにおいて、GOSバー12cの外周に樹脂層42cが形成されている。
【0028】
図11(a) に示すように、GOSバーアレイ16cの背面Bcに中間層用樹脂層47cを形成する(ステップa5)。中間層用樹脂層47cは酸化チタン(TiO2)を含有する液状熱硬化性エポキシ樹脂が好ましい。図11(b) に示すように、形成された樹脂層47cを研削し、一様な厚さh3を有する中間層用樹脂層47c’とする(ステップa6)。中間層用樹脂層の形成方法としては、(a) 中間層形成領域を囲む枠を粘着テープ等で形成し、前記枠に液状の中間層用硬化性樹脂を流し込み、硬化後に所定の厚さh3に研削する方法、(b) フォトリソグラフィーにより中間層形成領域を囲むレジストパターンを形成し、前記レジストパターンにバーコーターやスピンコーター、スプレーコーターなどで液状硬化性樹脂層を流し込み、硬化後に所定の厚さh3に研削する方法、(c) 所定のサイズ(厚さ:h3)の中間層用の硬化樹脂板をGOSバーアレイ16cの背面Bcに接着する方法等が挙げられる。
【0029】
図12に示すように、樹脂層47c’の両端近傍で端部15c、15cを通る部分の背面Bc側に、Y軸方向の研削により位置合せ溝48、48を形成し、位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’とする(ステップa7)。位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’の両位置合せ溝38、38の位置、及び位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’の両位置合せ溝48、48の位置は、後述するようにピン39、39を介して両バーアレイ6c’、16c’を重ねたときに、YGAGバー2cのピッチとGOSバー12cのピッチとが一致するように設定する。なお、中間層用樹脂層47c’を形成するステップa6と位置合せ溝を形成するステップa7の順序を逆にしても良い。
【0030】
位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’の各位置合せ溝48、48にピン39、39を配置し、接着剤で固定する。中間層用樹脂層47c’に熱硬化性接着剤を薄く塗布する。熱硬化性接着剤の塗布量は、硬化した接着剤の厚さと中間層用樹脂層47c’の厚さとの和が、YGAGバーとGOSバーの所望の間隔となるように設定する。熱硬化性接着剤は、硬化後に中間層用樹脂層47c’と同じになるものが好ましい。
【0031】
図13に示すように、位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’の位置合せ溝48、48に固定されたピン39、39に位置合せ溝38、38を合わせて、位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’を中間層用樹脂層47c’に接着する(ステップA8)。両位置合せ溝38、38及び48、48に嵌まるピン39、39を使用することにより、位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’を位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’に精度良く配置することができる。位置合せ精度の観点から、ピン39、39は、両位置合わせ溝の内周面に当接して位置決めされる形状及び寸法を有するのが好ましく、例えば図13に示すように断面円形であるのが好ましく、例えば直径0.2〜1 mmのステンレススチール製丸棒が好ましい。
【0032】
位置合せ溝付きGOSバーアレイ16c’の中間層用樹脂層47c’に位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’を接着した後、プレス板(図示せず)を介して位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’をX軸方向に均等に押圧し、位置合せ溝付きYGAGバーアレイ6c’の背面bcを中間層用樹脂層47c’に固着させる。熱硬化性接着剤が硬化した後にプレス板を外し、図14に示すバーアレイ接合体52を得る。バーアレイ接合体52は、中間層用樹脂層47c’を挟む領域以外では両位置合せ溝付きバーアレイ6c’、16c’の間に樹脂51が充填されている。上記位置合せ方法により、YGAGバー2cとGOSバー12cとが中間層用樹脂層47c’を介して正確に対向するように、両位置合せ溝付きバーアレイ6c’、16c’の位置合せを高精度で行うことができる。
【0033】
図15に示すように回転砥石54によりバーアレイ接合体52をZ軸方向に所定の幅Wに切断すると(ステップA9-1)、図16に示すように中間層47dを有する複数のバーアレイ接合体片55が得られる。バーアレイ接合体52を構成する部材に相当するバーアレイ接合体片55中の部材の参照番号は、同じ数字の後に「c」の代わりに「d」が付けられている。
【0034】
各バーアレイ接合体片55は、YGAGセル2dと樹脂層3dがZ軸方向に交互に配列したYGAGセル列と、GOSセル12dと樹脂層13dがZ軸方向に交互に配列したGOSセル列と、両セル列の間に設けられた樹脂層47dからなる中間層とを有し、各YGAGセル2dと各GOSセル12dとはX軸方向に整列している。図16に示すように各バーアレイ接合体片55を直線X-X'、X-X'に沿って切断すると(ステップA9-2)、Z軸方向端部が切除され、図17に示すようにYGAGセル2d及び樹脂層3dからなるYGAGセル列と、中間層47dと、GOSセル12d及び樹脂層13dからなるGOSセル列とを有するバーアレイ接合体片57が得られる。図示の例では、Z軸方向端部に樹脂層3d、13dが位置しているが、勿論YGAGセル2d及びGOSセル12dが位置しても良い。
【0035】
図18に示すように、複数のバーアレイ接合体片57を接着材を介して第三の支持プレート60上に配置した後、第三の支持プレート60の側面に液状硬化性樹脂溜め用のフィルム61F,61R,61B,61Lを貼る。フィルム61F,61R,61B,61Lの幅は第三の支持プレート60の側面の高さより十分に大きいので、第三の支持プレート60から上方に突出するフィルム61F,61R,61B,61Lは、液状硬化性樹脂62を堰止めるための空間を形成する。なお、複数枚のフィルムを用いる代わりに、第三の支持プレート60の側面に沿って折り曲げた一枚のフィルムを用いても良い。液状硬化性樹脂62は、溝付きYGAG基板1b及び溝付きGOS基板11bの形成に用いた液状硬化性樹脂32、42と同じで良い。前記空間に液状硬化性樹脂62を充填し、硬化させる(ステップA10)。これにより、バーアレイ接合体片57は、第三の支持プレート60との対向面を除いて、GOSセル12d及びYGAGセル2dの反射材として機能する硬化樹脂62で被覆される。
【0036】
硬化した樹脂62からフィルム61F,61R,61B,61L及び第三の支持プレート60を除去することにより、図19に示すように複数のバーアレイ接合体片57が硬化樹脂62’により一体化された樹脂被覆デュアルアレイ集合体63を得る。樹脂被覆デュアルアレイ集合体63の表面bb1(第三の支持プレート60側の面)に接着材が残留している場合、それを剥離液、研削加工又は研磨加工により除去する。次いで、樹脂被覆デュアルアレイ集合体63の背面bs1側を研削加工し、図20に示すように一様な所望の厚さh4を有するデュアルアレイ集合体67を得る(ステップA11)。
【0037】
デュアルアレイ集合体67を、バーアレイ接合体片57間の樹脂層の中央で分割し、図21(a) に示すようにGOSセルアレイ及びYGAGセルアレイを有するデュアルアレイを得る(ステップA12)。所定の寸法とするために、デュアルアレイの外周を加工しても良い。このデュアルアレイは、YGAGセル2d及び樹脂層3dがZ軸方向に交互に配列したYGAGセル列と、GOSセル12d及び樹脂層13dがZ軸方向に交互に配列したGOSセル列と、両列の間の樹脂中間層47dとからなり、各YGAGセル2dと各GOSセル12dとはX軸方向に整列している。
【0038】
図21(b) に示すように、YGAGセル2d及びGOSセル12dの周囲を覆う樹脂層は、中間層47d、背面層62d、YGAGセル2d側の側面層62d’、及びGOSセル12d側の側面層62d”からなる。いずれの樹脂層も白色の酸化チタン微粒子を含有する硬化性エポキシ樹脂からなる。X線は側面層62d’を透過してYGAGセル2dに入射し、YGAGセル2dが発光する。中間層47d、背面層62d及び側面層62d'はYGAGセル2dの発光を反射するとともに、外部からの光を遮断する光反射層として機能する。X線はさらに中間層47dを透過し、エネルギーが減衰されてGOSセル12dに入射し、GOSセル12dが発光する。デュアルアレイの表面bb1ではYGAGセル2d及びGOSセル12dが露出しており、X線の入射により発光したYGAGセル2d及びGOSセル12dから出た光は、YGAGセル2d及びGOSセル12dに対向する位置に配置された受光素子(図示せず)に入射する。
【0039】
[2] 第二の実施形態
本発明の第二の実施形態によるシンチレータデュアルアレイの製造方法では、中間層をYGAG基板側に設ける。これ以外第一の実施形態と同じ工程により、デュアルアレイを作製することができる。
【0040】
[3] 第三の実施形態
本発明の第三の実施形態によるシンチレータデュアルアレイの製造方法は、第一の実施形態の方法において中間層用樹脂層を形成するステップa6と位置合せ溝を形成するステップa7の順序を逆にしたものである。すなわち、第三の実施形態の方法では、中間層用樹脂層を形成するステップa5の後に、位置合せ溝を形成するステップを行い、次いで中間層用樹脂層を研削するステップを行う。これ以外は第一の実施形態の方法と同じである。
【0041】
[4] 第四の実施形態
第四の実施形態の方法は、各シンチレータ基板にそれを貫通しない複数の平行な溝を形成し、得られた櫛歯状シンチレータ基板を液状硬化性樹脂で被覆し、前記液状硬化性樹脂を硬化させ、得られた櫛歯状シンチレータ基板樹脂硬化体を前記連結部が除去されるように所望の厚さに研削し、各バーアレイを得ることを特徴とする。それ以降のステップは第一の実施形態の方法と異ならないので、両バーアレイの作製までのステップを以下詳細に説明する。
【0042】
図22に示すように、YGAG基板1を接着材(図示せず)を介して第一の支持プレート30上に固定し、切削用回転砥石19を用いて、YGAG基板1に両端部5b、5bを残して接着材まで到達しない深さの複数の平行な溝3b’を形成する。溝3b’の形成により、複数の平行なYGAGバー2bと、YGAGバー2bの連結部とを有する櫛歯状YGAG基板1b’が得られる。櫛歯状YGAG基板1b’の両端部5b、5bは後のステップA9又はA12で切り落とされる。
【0043】
図23に示すように、第一の支持プレート30の側面に液状硬化性樹脂溜め用のフィルム31F,31R,31B,31Lを貼り、液状硬化性樹脂32を堰止めるための空間を形成する。液状硬化性樹脂32を前記空間内に入れると、液状硬化性樹脂32は櫛歯状YGAG基板1b’の溝に充填される。次いで液状硬化性樹脂32を硬化させると、複数のYGAGバー2bと硬化樹脂32’とは一体化する。
【0044】
フィルム31F,31R,31B,31L及び第一の支持プレート30を除去すると、図24(a) 及び図24(b) に示すように櫛歯状YGAG基板1b’が硬化樹脂32’と一体化した櫛歯状YGAG基板樹脂硬化体33’が得られる。図24(b) に示すように、櫛歯状YGAG基板1b’の連結部を除去するとともに、図5においてYGAGバー2cを両面に露出させるのと同様に、櫛歯状YGAG基板樹脂硬化体33’の表面fb及び背面bb2側を研削し、一様な厚さh1を有するYGAGバーアレイ6cを形成する。
【0045】
次に、図25に示すように、GOS基板10を接着材(図示せず)を介して第二の支持プレート40上に固定し、切削用回転砥石19を用いて、GOS基板10に、両端部15b、15bを残して接着材まで到達しない深さの複数の平行な溝13b’を形成する。溝13b’の形成により、複数の平行なGOSバー12bと、GOSバー12bの連結部とを有する櫛歯状GOS基板11b’が得られる。GOSバー12bの幅及びピッチはYGAGバー2bの幅及びピッチと同じである。櫛歯状GOS基板11b’の両端部15b、15bは後のステップA9又はA12で切り落とされる。
【0046】
図26に示すように、第二の支持プレート40の側面に液状硬化性樹脂溜め用フィルム41F,41R,41B,41Lを貼り、液状硬化性樹脂42を堰止めるための空間を形成する。液状硬化性樹脂42を前記空間内にいれると、液状硬化性樹脂42は櫛歯状GOS基板11b’の溝に充填される。次いで液状硬化性樹脂42を硬化させると、複数のGOSバー12bは硬化樹脂42’と一体化する。
【0047】
フィルム41F,41R,41B,41L及び第二の支持プレート40を除去すると、図27(a) 及び図27(b) に示すように櫛歯状GOS基板11b’が硬化樹脂42’と一体化した櫛歯状GOS基板樹脂硬化体43’が得られる。図27(b) に示すように、櫛歯状GOS基板11b’の連結部を除去するとともに、図10においてGOSバー12cを両面に露出させるのと同様に、櫛歯状GOS基板樹脂硬化体43’の表面Fb及び背面Bb2側を研削し、一様な厚さh2を有するGOSバーアレイ16cを形成する。
【0048】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0049】
実施例1
第一の実施形態の方法を用いて、(Y0.8Gd0.2Ce0.003)3.0(Ga0.5Al0.5)5.0O12の組成を有するYGAG焼結体からなるYGAG基板と、(Gd0.999Pr0.001Ce0.00001)2O2Sの組成を有するGOS焼結体からなるGOS基板から、下記の条件で図21に示すデュアルアレイを作製した。第一及び第二の支持プレートとしてガラス板を用いた。接着材には感熱両面接着フィルムを用い、位置合せ溝に入れるピンとして、ステンレススチール製の丸棒を用いた。反射材用樹脂として、白色のルチル型酸化チタン粉末を含有するエポキシ樹脂を用いた。回転砥石としてダイヤモンド砥石を用いた。第一の実施形態の方法は第一及び第二のシンチレータを1つずつ組み合わせてデュアルアレイを製造する特開平9-211139号に記載の方法より効率的であり、かつYGAGセル2d及びGOSセル12dの配列も高精度であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21(a)】
図21(b)】
図22
図23
図24(a)】
図24(b)】
図25
図26
図27(a)】
図27(b)】