(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、照明光の使用に関して特別な効率要件が作られる照明光学系のための鏡面反射器の概念を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は、光源から進む照明光を誘導するための第1の伝達光学系と、第1の伝達光学系の下流にあり、複数の照明事前設定ファセットを有する照明事前設定ファセットミラーであって、照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状と照明事前設定ファセットの個別傾斜角とを用いて物体視野の事前設定照明を生成する照明事前設定ファセットミラーと、物体視野のテレセントリック照明がもたらされるような第1の伝達光学系及び照明事前設定ファセットミラーの配列とを有する物体視野を照明するためのマイクロリソグラフィのための照明光学系によって達成される。
【0006】
本発明による照明事前設定ファセットミラーを設けることによってもたらされる設計自由度は、物体視野のテレセントリック照明を可能にすることが本発明によって最初に認識された。物体視野のテレセントリック照明を有する場合は、それに続く投影光学系の入射瞳平面が定められないので、視野ファセットミラーと、それに続く投影光学系の入射瞳平面に配置された瞳ファセットミラーとを有する従来の照明光学系では、この種のテレセントリック照明は達成することができない。従って、共役瞳平面に第2のファセットミラーを有する従来の照明光学系は、付加的な結像光学要素を有する必要があり、従って、低い効率しか持たない。
【0007】
物体視野のテレセントリック照明は、照明されて結像される物体上の構造設計から構成される要件を低減する。特に、視野依存の結像補正の必要性が省かれる。
【0008】
鏡面反射器に対する代替であり、かつ基本的に公知の照明光学系であって、視野ファセットミラーと、この種の照明光学系の下流に置かれた投影光学系の瞳平面又はそれと共役な平面に配置された瞳ファセットミラーとを有する照明光学系の構成とは対照的に、本発明による照明光学系における照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状は、物体視野の事前設定照明が依存する実質的な影響変数を表す。視野ファセットミラーと瞳ファセットミラーとを有する従来の照明光学系では、瞳ファセットミラーの縁部形状は、この場合、照明角度分布だけに影響を与え、照明することができる物体視野の形状には影響を与えないので、瞳ファセットミラーの照明することができる縁部形状は、原理的に物体視野の照明の強度分布に関しては決定的ではない。その一方、本発明による照明光学系では、照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状は、物体視野の照明形状に対して直接的な影響を有する。
【0009】
光源の発光に対するコレクターを含むことができる光源配列と物体視野の間には、最大で3つの反射構成要素を配置することができる。この場合、言い換えれば、光源配列と物体視野の間には僅か3つ、又は更には僅か2つの反射構成要素しか必要とされない。それによって照明において、特に、例えば、5nmと30nmの間の波長のEUV光が使用される場合に照明光損失が低減する。光源配列と物体視野の間には、厳密に2つの反射構成要素を存在させることができる。
【0010】
照明事前設定ファセットミラーが、物体視野の形状に適応した事前設定縁部形状と、照明事前設定ファセットへの事前設定割り当てとを伴って照明されるように向けられた複数の伝達ファセットを有し、照明事前設定ファセットミラーの上流に配置された伝達ファセットミラーは、ここでもまた、鏡面反射器の原理を使用する場合の設計自由度を増大させる。伝達ファセットミラーを使用すると、照明事前設定ファセットミラーの照明される縁部形状、照明事前設定ファセットミラーの照明角度分布、及びその強度分布を照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状の範囲で厳密に事前設定することができる。
【0011】
伝達ファセットは、複数の伝達ファセット群にグループ分けすることができ、伝達ファセット群のうちの1つは、各場合に物体視野の完全な照明に向けて照明光を誘導する。伝達ファセットのこの種のグループ分けは、物体視野を完全に照明する複数のファセット群の定められた重ね合わせを可能にする。これらのファセット群は、空間的につながった伝達ファセットから構成される必要はない。伝達ファセットによるコレクター分離視野の完全な重ね合わせの場合には、互いに補完し合って完全な物体視野を形成する2つ又はそれよりも多くの補完的な部分群から構成されるファセット群を構成することが有利である。
【0012】
伝達ファセット群は、物体視野の縁部形状に幾何学的に類似する群縁部形状を有することができる。この種の縁部形状類似性は、物体視野の照明品質を改善する。
【0013】
伝達ファセット群を構成する伝達ファセットは、複数の縦列に配置することができ、複数の伝達ファセットは、縦列の各々の内で縦列方向に連続して配置される。この種の縦列配列は、伝達ファセット群に存在する個別伝達ファセットの数を増加させる。それによって特に、照明事前設定ファセットミラーの照明において角度分布及び強度分布の非常に精緻な事前設定が保証される。この場合、縦列方向は、特に、投影露光装置内で照明光学系が設計される物体変位デバイスと平行に延びている。
【0014】
伝達ファセットミラーの隣接縦列は、縦列方向に沿って互いに対してオフセットして配置された伝達ファセットを有することができる。縦列毎に互いに対してオフセットして配置されたこの種の伝達ファセットは、特に、物体視野縁部形状への群縁部形状の精緻な適応を可能にする。この場合、群縁部形状の曲率は、個別伝達ファセットの寸法によって制限されない。
【0015】
伝達ファセットは、縦列方向に対してゼロとは異なる角度で延びる切れ目によって互いから分離することができる。縦列方向に対して、特に、照明光学系によって照明される物体の物体変位方向に対して傾斜して延びるこの種の伝達ファセットは、ファセット分割に起因する物体視野照明の強度歪みを防止する。
【0016】
照明事前設定ファセットミラーは、光源と伝達ファセットミラーとの間で照明光が通過して誘導される貫通開口部を有することができる。この種の貫通開口部は、かすめ入射を伴って作動しない照明光学系のミラー上で非常に小さい入射角を提供することを可能にする。それによって特に、照明光学系が装備された投影露光装置内の照明光として5nmと30nmの間の波長を有するEUV光が使用される場合に小さい伝達損失が保証される。
【0017】
一方で照明事前設定ファセットと、他方で任意的に付加的に存在する伝達ファセットとは、特に、アクチュエータによって傾斜させることができる傾斜可能なファセットとして構成することができる。この種の傾斜可能ファセットは、特に、少なくとも2つの傾斜位置の間で切り換えることができるファセットとして設計することができる。ファセット上の照明光の小さい入射角は、特に、異なる照明モードを調節するためのファセットが傾斜可能であるように設計され、変化する入射角に起因して、ある角度に最適化されたコーティングを設けることができない場合に高い効率に対して重要である。
【0018】
本発明による照明光学系と、物体視野を像視野に結像するための投影光学系とを有する光学系の利点は、本発明による照明光学系に関連して上記に解説したものに対応する。
【0019】
本発明による第2の態様により、冒頭で示した目的は、物体視野を照明するためのマイクロリソグラフィのための照明光学系と、光源から進む照明光を誘導するための第1の伝達光学系と、第1の伝達光学系の下流に配置されて複数の照明事前設定ファセットを有する照明事前設定ファセットミラーであって、照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状と照明事前設定ファセットの傾斜角とを用いて物体視野の事前設定照明を生成する照明事前設定ファセットミラーと、物体視野を像視野に結像するための投影光学系とを有し、照明事前設定ファセットミラーと物体視野の間、又は物体視野の後に投影光学系の入射瞳平面が配置され、投影光学系の入射瞳に適応した物体視野の照明がもたらされるような第1の伝達光学系及び照明事前設定ファセットミラーの配列が存在する光学系によって達成される。
【0020】
投影光学系の入射側の要件への物体視野照明の適応化を実施することは、この実施によって投影光学系の入射瞳平面に光学構成要素を配置すること、又はこの入射瞳平面を中継光学系を用いて別の位置に変位させることが余儀なく必要とされることなく、鏡面反射器の原理を用いて可能であることが認識されている。この場合、物体視野のすぐ前又は後に位置した入射瞳平面を有する投影光学系においてさえも、反射光学構成要素上で照明光の特に小さい入射角を提供することができる照明光を誘導する照明光学系の構成要素の配列が可能である。物体視野の近くに位置したこの種の入射瞳平面は、例えば、瞳掩蔽投影光学系において見出されることになる。その結果、照明光のより小さい反射損失がもたらされる。
【0021】
物体視野からの入射瞳平面の間隔と照明事前設定ファセットミラーからの物体視野の間隔との間の間隔比は、0.9よりも小さく、0.8よりも小さく、0.7よりも小さく、0.6よりも小さいとすることができ、更には0.5よりも小さいとすることができる。この種の間隔比では、第2の態様による光学系の上記に解説した利点は、特に明確に浮かび出る。本発明による光学系では、物体視野からの入射瞳平面の間隔とは独立して、照明事前設定ファセットミラーからの入射瞳平面の間隔を800mmよりも大きいとすることができる。
【0022】
本発明による第3の態様により、冒頭で示した目的は、物体視野を照明するためのマイクロリソグラフィのための照明光学系と、光源から進む照明光を誘導するための第1の伝達光学系と、第1の伝達光学系の下流に配置されて複数の照明事前設定ファセットを有する照明事前設定ファセットミラーであって、照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状と照明事前設定ファセットの傾斜角とを用いて物体視野の事前設定照明を生成する照明事前設定ファセットミラーと、物体視野を像視野に結像するための投影光学系とを有し、投影光学系の設置長さ(B)と物体−像オフセット(d
OIS)との比が20よりも小さい光学系によって達成される。
【0023】
像側の大きい設置空間要件を通り越して照明光を同様に誘導することができ、この誘導のために照明光を誘導するための付加的な光学構成要素を必要とせず、更には収量を低減する極端な入射角を選択しなくてもよいように、鏡面反射器の原理の自由度は、大きい物体−像オフセットを有する投影光学系と有利に組み合わせることができる。投影光学系の設置長さと物体−像オフセットとの上述の比は、15よりも小さいとすることができ、更には10よりも小さいとすることができる。
【0024】
本発明による第4の態様により、冒頭で示した目的は、光源から進む照明光を誘導するための第1の伝達光学系と、第1の伝達光学系の下流に配置されて複数の照明事前設定ファセットを有する照明事前設定ファセットミラーであって、照明事前設定ファセットミラーの照明することができる縁部形状と照明事前設定ファセットの傾斜角とを用いて物体視野の事前設定照明を生成する照明事前設定ファセットミラーと、物体視野を像視野に結像するための投影光学系とを有し、光源と物体視野の間の照明光学系が中間焦点を有し、投影光学系の設置長さ(B)と中間焦点−像オフセット(D)との比が5よりも小さい物体視野を照明するためのマイクロリソグラフィのための照明光学系を有する光学系によって達成される。
【0025】
投影光学系の設置長さと中間焦点−像オフセットとのこの種の比を有する場合には、像側の大きい設置空間要件を通り越して照明光を誘導することができ、この誘導のために照明光を誘導するための付加的な光学構成要素を必要とせず、更には収量を低減する極端な入射角を選択しなくてもよいことを同様に保証することができる。投影光学系の設置長さと中間焦点−像オフセットとの比は、3よりも小さく、2よりも小さく、1.90よりも小さく、1.80よりも小さく、1.60よりも小さいとすることができ、特に1.31よりも小さいとすることができる。
【0026】
像側の一般的な設置空間要件は、像平面内で像視野の中心から測定して約1m、特に照明光学系の構成要素の方向にも約1mであり、更には像平面と垂直に投影光学系から離れるように測定しても約1mである。
【0027】
本発明による第5の態様により、冒頭で示した目的は、光源から進む照明光を誘導するための第1の伝達光学系と、物体視野を像視野に結像するための投影光学系とを有し、投影光学系の設置長さ(B)と照明光ビーム−像オフセット(E)との比が5よりも小さい物体視野を照明するためのマイクロリソグラフィのための照明光学系を有する光学系によって達成される。
【0028】
第5の態様による光学系の利点は、第4の態様による光学系に関連して上述したものに対応する。第5の態様による光学系では、照明光学系の中間焦点は必ずしも存在しなくてもよい。物体視野の照明事前設定は、第4の態様による光学系の照明事前設定ファセットミラーによるものとは個別に設計することができる。投影光学系の設置長さと照明光ビーム−像オフセットとの比は、3よりも小さく、2よりも小さく、1.90よりも小さく、1.80よりも小さく、1.60よりも小さいとすることができ、特に1.30の領域内のものとすることができる。
【0029】
第2、第3、又は第4、又は第5の態様による光学系は、本発明による照明光学系の上述の特徴、特に伝達ファセットミラーに関する特徴と組み合わせることができる。
【0030】
本発明による光学系と光源、特にEUV光源とを有する投影露光装置、及びレチクルを準備する段階と、照明光に感応するコーティングを有するウェーハを準備する段階と、本発明による投影露光装置を用いてレチクルの少なくとも一部分をウェーハ上に投影する段階と、ウェーハ上で照明光によって露光された感光層を現像する段階とを有する微細構造化構成要素を生成するための生成方法、及び本発明により生成された微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素の利点は、本発明による照明光学系及び本発明による光学系に関連して上述したものに対応する。
【0031】
図面を用いて本発明の構成を以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1において子午断面に非常に概略的に示しているマイクロリソグラフィのための投影露光装置1は、照明光3のための光源2を有する。光源は、5nmと30nmとの波長範囲の光を生成するEUV光源である。光源は、LPP(レーザ生成プラズマ)光源又はDPP(放電生成プラズマ)光源とすることができる。
【0034】
光源2から進む照明光3を誘導するために伝達光学系4が使用される。伝達光学系4は、
図1ではその反射効果に関してのみ示しているコレクター5、及び以下により詳細に説明する伝達ファセットミラー6を有する。コレクター5と伝達ファセットミラー6の間には照明光3の中間焦点5aが配置される。中間焦点5aの領域内の照明光3の開口数は、NA=0.182である。伝達ファセットミラー6、従って、伝達光学系4の下流には、同様に下記でより詳細に以下に説明する照明事前設定ファセットミラー7が配置される。照明事前設定ファセットミラー7の下流の照明光3のビーム経路には、下流にある、投影露光装置の投影光学系10の物体平面9に配置されたレチクル8が配置される。投影光学系10及び以下に説明する更に別の構成の投影光学系は、各場合に投影レンズシステムである。
【0035】
位置関係の表示を容易にするために、下記では直交xyz座標系を使用することにする。x方向は、
図1では作図面と垂直に、それに向けて延びている。y方向は、
図1では右に延びている。
図1ではz方向は下向きに延びている。
【0036】
光学構成要素5から7は、投影露光装置1の照明光学系11の構成要素である。物体平面9内のレチクル8上の物体視野12は、定められた方式で照明光学系11によって照明される。物体視野12は、弓形又は部分円形状を有し、他方と平行な2つの弧形及びy方向に長さy
0を有して延び、x方向に互いから間隔x
0を有する2つの真っ直ぐな側縁部によって制限される。アスペクト比x
0/y
0は13対1である。
図1の挿入図は、物体視野12の正確な縮尺のものではない平面図を示している。縁部形状12aは弓形である。別の同様に可能な物体視野12では、その形状は矩形である。
【0037】
図1では、投影光学系10を部分的かつ非常に概略的にしか示していない。投影光学系10の物体視野側の開口数13及び像視野側の開口数14を示している。例えば、EUV照明光3に対して反射性を有するミラーとして構成することができる、投影光学系10の示している光学構成要素15、16の間には、これらの光学構成要素15、16の間で照明光3を誘導するための投影光学系10の更に別の光学構成要素が位置する。
【0038】
投影光学系10は、物体視野12をそれ程詳細には示していないホルダによってレチクル8と同様に保持されるウェーハ19上の像平面18内の像視野17に結像する。ウェーハホルダの設置空間要件を
図1の20に矩形の取り囲みで示している。設置空間要件20は、x、y、及びzの方向に、設置空間内に収容される構成要素に依存する広がりを有する矩形である。設置空間要件20は、例えば、像視野17の中心から発して、x方向及びy方向に1mの広がりを有する。z方向では、設置空間要件20は、像平面18から発して同様に例えば1mの広がりを有する。照明光学系11及び投影光学系10内の照明光3は、各場合に設置空間要件20を通り越して誘導されるように誘導すべきである。
【0039】
伝達ファセットミラー6は、複数の伝達ファセット21を有する。
図2に記載の子午断面内には、これらの伝達ファセット21のうちから合計で9つの伝達ファセット21を有するラインを略示しており、
図2ではこれらの9つの伝達ファセット21を左から右に21
1から21
9で示している。実際には伝達ファセットミラーは、実質的により多くの複数の伝達ファセット21を有し、これは
図3及び
図4から明らかになる。伝達ファセット21は、複数の伝達ファセット群22にグループ分けされる。より明確に認識することができるように、これらの伝達ファセット群22のうちの1つを
図4の縁部に強調している。
【0040】
伝達ファセット群22のx/yアスペクト比は、少なくとも物体視野12のx/yアスペクト比と同じ程度の大きさである。図示の構成では、伝達ファセット群22のx/yアスペクト比は、物体視野12のx/yアスペクト比よりも大きい。伝達ファセット群22は、物体視野12の縁部形状に類似する部分円湾曲群縁部形状を有する。
【0041】
伝達ファセット群22の各々は、各々が、y方向に互いに隣合わせて配置された伝達ファセット21の7つのラインを有し、互いに対してx方向にオフセットして配置された16個の縦列によって配置される。伝達ファセット21の各々は矩形である。特に
図4では、伝達ファセット21のx/yアスペクト比を一方でx方向に、他方でy方向に同じ縮尺では示していない。実際には伝達ファセット21に対して1/1のx/yアスペクト比を選択することができる。
【0042】
伝達ファセット群22の各々は、物体視野12のそれぞれの完全な照明に向けて照明光3の一部をもたらす。
【0043】
図3から推定することができるように、各場合に数10個のファセット群22を有する合計で6つの群縦列が存在する。ファセット群22のこの縦列毎の配列は、
図3に環状距離視野によって略示している照明光ビーム23が結果として事実上完全に記録されるようなものである。
【0044】
図4から推定することができるように、これらの伝達ファセット21は、伝達ファセット21の選択された隣接縦列において互いに対してy方向にオフセットして配置される。これを
図4に2つの縦列S1及びS2を用いて例示している。これらの2つの縦列S1、S2において互いに隣接して存在する、伝達ファセット群22の伝達ファセット21は、各場合に互いに対してy方向に伝達ファセット21のy広がりの約半分だけオフセットして配置される。他の隣接縦列(例えば、
図4のS3及びS4を参照されたい)の場合には、これらの縦列において互いに隣接して存在する、伝達ファセット群22の伝達ファセット21は、各場合に互いに対してy方向に伝達ファセット21のほぼ完全なy広がりだけオフセットして配置される。このオフセットに起因して、個別伝達ファセット21のy広がりの寸法に関して取り扱い可能なサイズにも関わらず、伝達ファセット群22の大きい事前設定曲率半径を提供することができる。
【0045】
伝達ファセット21は、照明事前設定ファセットミラー7が、事前設定縁部形状24(
図5を参照されたい)と、照明事前設定ファセットミラー7の照明事前設定ファセット25に対する伝達ファセット21の事前設定割り当てとを伴って照明されるように向けられる。
【0046】
照明事前設定ファセット25に対する伝達ファセット21の事前設定割り当ての例を
図2に示している。各場合に伝達ファセット21
1から21
9に割り当てられる照明事前設定ファセット25をこの割り当てに従って示している。像視野25は、この割り当てに起因して25
6、25
8、25
3、25
4、25
1、25
7、25
5、25
2、及び25
9の順に左から右に照明される。
【0047】
ファセット21、25のインデックス6、8、及び3は、
図2では左から右に番号が振られた3つの物体視野点26、27、28を第1の照明方向から照明する3つの照明チャンネルVI、VIII、及びIIIを含む。ファセット21、25のインデックス4、1、及び7は、3つの物体視野点26から28を第2の照明方向から照明する3つの更に別の照明チャンネルIV、I、VIIに属する。ファセット21、25のインデックス5、2、及び9は、3つの物体視野点26から28を第3の照明方向から照明する3つの更に別の照明チャンネルV、II、IXに属する。
【0048】
以下に割り当てられた照明方向は各場合に等しい。
−照明チャンネルVI、VIII、III
−照明チャンネルIV、I、VII
−照明チャンネルV、II、IX
従って、照明事前設定ファセット25への伝達ファセット21の割り当ては、物体視野のテレセントリックな照明がもたらされるようなものである。
【0049】
伝達ファセットミラー6及び照明事前設定ファセットミラー7を用いた物体視野12の照明は、鏡面反射器方式で発生する。鏡面反射器の原理は、US 2006/0132747 A1から公知である。
【0050】
投影光学系10は、930mmの物体−像オフセットd
OISを有する。物体−像オフセットd
OISは、像視野7の中心点上の法線が物体平面9を通る貫通点からの物体視野12の中心点の間隔として定められる。投影光学系10を有する投影露光装置1は、1280mmの中間焦点−像オフセットDを有する。中間焦点−像オフセットDは、中間焦点5aからの法線の像平面18上での貫通点から像視野17の中心点の間隔として定められる。投影光学系10を有する投影露光装置1は、1250mmの照明光ビーム−像オフセットEを有する。照明光ビーム−像オフセットEは、照明光ビーム3が像平面18を通る貫通領域からの像視野17の中心点の間隔として定められる。
【0051】
一方で大きい物体−像オフセットd
OISに起因して、更には大きい中間焦点−像オフセットD又は大きい照明光ビーム−像オフセットEに起因して、光源2と伝達ファセットミラー6との間でz方向に対して事実上平行に設置空間20を通り越して進む照明光3の誘導が可能である。この照明光誘導は、ファセットミラー6及び7における照明光3の小さい入射角を保証する。伝達ファセットミラー6における平均入射角は3.5°である。照明事前設定ファセットミラー7における平均入射角は6.5°である。
【0052】
入射角は、照明光3の主ビームのそれぞれの反射付近の間の角度の半分として定められる。この場合、主ビームは、ファセットミラー6、7の使用反射面の中心を互いに繋ぐ照明光3のビームである。小さい入射角に起因して、ファセットミラー6、7の相応に高い反射効率がもたらされる。
【0053】
照明事前設定ファセットミラー7の照明の縁部形状24とは別に、
図5は、縁部形状24の範囲の照明事前設定ファセットミラー7の照明の強度分布も例示している。
図5にはこの強度分布を等強度線図で示している。縁部形状24を反映する最外側等強度線は、ランダム単位で「100」の照明強度に対応する。内側に向うそれぞれの隣接等強度線は、各場合に同じ単位で値100だけ増大する強度が存在する、同じ強度負荷を有する位置を示している。ほぼアメリカンフットボールの形状を有する最内側照明形状29は、値700を有する照明強度に対応する。全体としての縁部形状24は、US 2006/0132747 A1における鏡面反射器の照明に関連して既に原理的に説明されているように、上部に豆形又は腎臓形の開放部の形状を有する。
【0054】
縁部形状24は、物体視野12にわたる望ましい照明角度分布に依存し、更に物体視野12にわたる望ましい強度分布に依存する。縁部形状24は、照明事前設定ファセットミラー7の照明事前設定ファセット25にわたって可変的になり、言い換えれば、それぞれの事前設定値に依存する。
【0055】
一方で伝達ファセット21と、他方で照明事前設定ファセット25とは、アクチュエータを用いて傾斜可能にすることができ、従って、物体視野12にわたる照明光3の照明角度分布と強度分布の両方を事前設定することができる。
【0056】
上述の縁部形状24を伴って照明事前設定ファセットミラー7によって照明される物体視野12の部分円形状も、同様に対応して上方に開く。従って、物体視野12の事前設定照明は、一方でファセットミラー6、7を有する鏡面反射器配列を用いて、照明事前設定ファセットミラー7の照明することができる縁部形状24により、他方で照明事前設定ファセット25の個別傾斜角を用いてもたらされる。
【0057】
図6は、物体視野12を照明する上で照明光学系11の代わりに使用することができる照明光学系30を有する更に別の構成の投影露光装置1を示している。
図1から
図5を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しない。
【0058】
照明光学系30では、照明事前設定ファセットミラー7には中心貫通開口部31が設けられる。照明光3は、光源2と伝達ファセットミラー6との間で貫通開口部31を通じて誘導される。
図6には詳細に示していない伝達ファセットミラー6の伝達ファセット21は、伝達ファセット21の後の照明光3が、照明事前設定ファセットミラー7の貫通開口部31の周囲に配置された照明事前設定ファセット25上に入射するように向けられる。この場合、照明事前設定ファセットミラー7の照明及び照明ファセット25の傾斜角は、物体視野12が、
図2に関連して上述したようにテレセントリックに照明されるようなものである。
【0059】
貫通開口部31を有する照明事前設定ファセットミラー7のこの構成を掩蔽構成とも呼ぶ。
【0060】
照明事前設定ファセットミラー7の掩蔽設計に起因して、照明光学系30は、照明光学系11と比較してファセットミラー6、7上に更に小さい平均入射角を有して達成することができる。伝達ファセットミラー6の平均入射角は0°である。照明光学系30の照明事前設定ファセットミラー7上の平均入射角は6.5°である。
【0061】
中間焦点5aの領域内の照明光3の開口数は、NA=0.193である。
【0062】
照明光学系30及び投影光学系10を有する投影露光装置1は、1070mmの中間焦点−像オフセットを有する。照明光学系30及び投影光学系10を有する投影露光装置1は、1030mmの照明光ビーム−像オフセットを有する。
【0063】
下記では
図7を用いて、物体視野12を照明する上で照明光学系11又は30の代わりに使用することができる照明光学系32を有する更に別の構成の投影露光装置1を以下に説明する。
図1から
図6を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しないことにする。
【0064】
図1に記載の構成の投影光学系10の代わりに、
図7に記載の投影露光装置1は投影光学系33を有する。
【0065】
照明光学系32は、伝達ファセットミラー6及び照明事前設定ファセットミラー7の他に、かすめ入射に向けて照明事前設定ファセットミラー7と物体視野12との間で照明光3を偏向するのに使用されるミラー34を更に有する。
【0066】
投影光学系33は、投影光学系10と比較すると、90mmと非常に小さい物体−結像収差コンパクトディスク読取専用メモリゲート電極オフセットd
OISを有する。
【0067】
図7に記載の構成における照明光学系32を使用すると、物体視野12も、テレセントリックに照明される。このテレセントリック照明は、ファセットミラー6、7の対応する向き及び照明によって得られる。
【0068】
中間焦点5aの領域内の照明光3の開口数は、NA=0.167である。
【0069】
照明光学系32及び投影光学系33を有する投影露光装置1は、930mmの中間焦点−像オフセットDを有する。照明光学系32及び投影光学系33を有する投影露光装置1は、1070mmの照明光ビーム−像オフセットEを有する。
【0070】
図8を用いて、物体視野12を照明する上で
図7に記載の照明光学系32の代わりに使用することができる照明光学系35と、
図7に記載の投影光学系33の代わりに使用することができる投影光学系36とを有する更に別の構成の投影露光装置1を以下に説明する。
図1から
図7を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しないことにする。
【0071】
投影光学系36は、物体視野12の前の照明光3のビーム経路に位置した入射瞳37を有する。
【0072】
2つのファセットミラー6、7のファセット21、25は、照明光学系35内で互いに対して、光学投影システム36の入射瞳37のこの位置に適応した物体視野12の照明がもたらされるように配置される。この入射瞳37では、照明光ビーム3の断面成形及び発散は、投影光学系36における入射側で誘導することができる結像光ビームに対応する。
【0073】
入射瞳37は、
図8に記載の照明光学系35の照明事前設定ファセットミラー7とかすめ入射のためのミラー34の間に位置する。
図8に記載の構成における物体視野12からの入射瞳37の間隔と、物体視野12からの照明事前設定ファセットミラー7の間隔との比は約0.38であり、言い換えれば、0.50よりも小さい。照明光学系35の構成に基づいて、この比は、基本的に1よりも小さく、例えば、0.9よりも小さく、0.8よりも小さく、0.7よりも小さく、又は0.6よりも小さい。
図8に記載の構成における入射瞳37と照明事前設定ファセットミラー7の間の間隔は500mmよりも大きく、特に800mmよりも大きいとすることができる。
【0074】
例えば、投影光学系36が中心瞳掩蔽を用いて設計された場合には、物体視野12の近くに配置されたこの種の入射瞳37が存在する。この種の投影光学系の例は、EP 1 905 594 A1に引用されている従来技術に見出される。従って、ファセットミラー6、7によって形成される鏡面反射器を有する照明光学系35の構成に起因して、照明事前設定ファセットミラー7は、入射瞳37よりも物体視野12から遠くに移動して配置することができる。それによってファセットミラー6、7上に小さい入射角がもたらされる。伝達ファセットミラー6上には、4.7°の平均入射角が存在する。照明事前設定ファセットミラー7上には、7.5°の平均入射角が存在する。かすめ入射のためのミラー34は、ファセットミラー6、7上のこれらの小さい平均入射角にも関わらず、コレクター5から中間焦点5aを通じて伝達ファセットミラー6に向う照明光3の垂直から大きく逸脱する主入射方向を可能にする。それによって投影光学系36が有意な物体−像オフセットを有する必要なく、照明光3が設置空間20を通り越して誘導されることが保証される。
【0075】
中間焦点5aの領域内の照明光3の開口数は、NA=0.184である。
【0076】
照明光学系35及び投影光学系36を有する投影露光装置1は、880mmの中間焦点−像オフセットDを有する。照明光学系35及び投影光学系36を有する投影露光装置1は、910mmの照明光ビーム−像オフセットEを有する。
【0077】
図9は、
図4に記載の配列とは別の伝達ファセット38の配列及びこれらの伝達ファセット38の伝達ファセット群39への別のグループ分けを示している。
図9では、伝達ファセット群39をx方向に部分的にしか示しておらず、伝達ファセット群39は、
図4に記載の伝達ファセット群22のものに対応するx/yアスペクト比を有する。伝達ファセット群22とは対照的に、伝達ファセット群39は、設計において矩形である。これらの伝達ファセット群39の各々を用いて、物体視野12に対する変形としての設計において矩形の物体視野を照明することができる。矩形の伝達ファセット群39を用いて弓形物体視野12を照明することができ、この場合、例えば、対応する視野形状に対するかすめ入射が保証される。
【0078】
伝達ファセット38による伝達ファセットミラー6の覆いは、家壁を木製のこけら板で覆うのに似ている。伝達ファセット群39の各々は、互いに隣合わせて位置する伝達ファセット38の上下に配置された7つのラインを有する。これらのラインの間の切れ目40は、水平に、言い換えれば、x方向に連続して延びている。ラインのうちの1つの内で隣接する伝達ファセット38の間の切れ目41は、y方向に対して、言い換えれば、伝達ファセット38の配列の縦列方向に対して角度Tで延びている。図示の構成では、角度Tは約12°である。他の切れ目角度T、例えば、5°、8°、19°、15°、及び20°の切れ目角度が可能である。
【0079】
個別伝達ファセット38は、伝達ファセット群39のx/yアスペクト比に対応するx/yアスペクト比を有する。
図9に記載の図ではそのように見えないのは、伝達ファセット38をx方向に非常に圧縮して示していることによる。
【0080】
図1に記載の構成による投影光学系10の設置長さB、言い換えれば、物体平面9と像平面18の間の間隔と、物体−像オフセットd
OISとの比B/d
OISは約1.8である。設置空間20を通り越して照明光3を誘導する上で、設置空間20のサイズに基づいて、20よりも小さい他の比、例えば、15、12、10、8、6、4、又は3という比B/d
OISを使用することができる。同様により小さい比比B/d
OISも可能である。
【0081】
図1、
図6、及び
図7に関連して説明した投影光学系の設置長さB、言い換えれば、物体平面9と像平面18の間の間隔は1800mmである。
【0082】
図10は、投影露光装置1において上記に概略的に説明した投影光学系の代わりに使用することができる投影光学系42のための光学設計の第1の構成を示している。2つの互いに分離した視野点から進む照明光3の個別結像ビーム43の進路が示されている。結像ビーム43のうちの1つとして、中心視野点の主ビーム、言い換えれば、物体視野12又は像視野17のコーナを繋ぐ対角線の交点上に厳密に位置する視野点の主ビームを同様に示している。
【0083】
投影光学系42では、像平面18は、物体平面9の後の投影光学系42の最初の視野平面である。言い換えれば、投影光学系42は、いかなる中間像平面も持たない。
【0084】
投影光学系42は、像側に0.25という開口数を有する。投影光学系42の設置長さB、言い換えれば、物体平面9と像平面18の間の間隔は1585mmである。
【0085】
物体平面9が像平面18と平行に配置されない原理的に可能であるが図示していない投影光学系の構成の場合には、全長Bは、像平面からの中心物体視野点の間隔として定められる。奇数のミラー数、例えば、7つ又は9つのミラーを有し、同様に可能であるが図示していない投影光学系では、設置長さは、ミラーのうちの1つと視野平面のうちの1つの間の最大間隔として定められる。
【0086】
投影光学系42の物体−像オフセットd
OISは、1114.5mmである。この場合、物体−像オフセットd
OISは、像平面18上への中心物体視野点の垂直投影Pと中心像点の間の間隔として定められる。
【0087】
従って、
図10に記載の投影光学系における設置長さBと物体−像オフセットd
OISの間の比は、約1.42である。
【0088】
像平面18における投影光学系42の視野サイズは、y方向に2mm、x方向に26mmであり、物体平面9では、y方向に8mm、x方向に108mmである。
【0089】
物体視野12及び像視野17は矩形である。基本的に視野は、対応するxyアスペクト比を有する部分リング形とすることができる、言い換えれば、湾曲視野として存在させることができる。
【0090】
視野のy寸法をスリット高さとも呼び、x寸法をスリット幅とも呼ぶ。
【0091】
物体視野12上、言い換えれば、反射マスク又はレチクル上の結像ビーム43の入射角βは6°である。他の入射角βも可能である。
【0092】
投影光学系42は、物体視野12から始めて照明光3による入射の順に番号が振られた合計で6つのミラーM1、M2、M3、M4、M5、M6を有する。ミラーM3及びM6は凹である。ミラーM4は凸である。
図10にはミラーM1からM6の反射面のみを示しており、全てのミラー本体又は関係するホルダを示していない。
【0093】
ミラーM1からM6は、各場合にある入射角スペクトルを伴って照明光3による入射を受ける。この入射角スペクトルは、それぞれのミラーM1からM6上の最小入射角α
minと最大入射角α
maxの間の差である。
図10には、これを投影光学系42の絶対最大入射角を有する最後から2番目のミラーM5の例を用いて示している。
【0094】
以下の表は、ミラーM1からM6における入射角スペクトルα
max−α
minを反映している。
【0096】
図10に示している子午断面内では、最小入射角α
minは、ミラーM5上でその右手縁部において発生し、約14°である。
図10では、最大入射角α
maxは、ミラーM5の左手縁部で発生し、約24°である。従って、ミラーM5は、10°の入射角スペクトルを有する。同時にこの入射角スペクトルは、ミラーM1からM6のうちの1つにおける最大入射角度差である。従って、投影光学系42のミラーM1からM6上の入射角は、小さい角度という近似(0°≦α≦7°)が非常に良好に満たされる事実上限定的な範囲で変動する。従って、ミラーM1からM6は、各場合にこれらのミラーの反射面にわたって均一な厚みの反射コーティングで被覆される。
【0097】
反射コーティングは、特に、EUV反射コーティングは、公知である多層コーティング、言い換えれば、交替するモリブデン層とシリコン層との積層体である。僅か10°という小さい最大入射角スペクトルに起因して、投影光学系42の全てのミラーM1からM6上の反射が、これらのミラーのミラー面にわたってほぼ一定であることが保証される。従って、投影光学系42では、それぞれのミラー面上での望ましくない反射進路又は不適切に大きいアポディゼーションは発生しない。アポディゼーションは、瞳にわたる照明光3の強度分布の変化として定められる。投影光学系7の瞳平面内の照明光3の最大強度をI
maxで表し、この瞳平面にわたる照明光3の最小強度をI
minとすると、例えば、次式の値は、アポディゼーションの尺度である。
A=(I
max−I
min)/I
max
【0098】
ミラーM1からM6のうちの少なくとも1つは、双円錐形基本形状を有する反射自由曲面として構成され、以下の曲面式によって表すことができる反射面を有する。
【0099】
この場合、x及びyは、反射面を通る法線の貫通点として定められる座標原点から始まる、反射面上の座標を表す。この貫通点は、理論的に使用反射面の外側に位置する可能性もある。
【0100】
zは、反射自由曲面の矢高を表す。係数cvx及びcvyは、xz断面及びyz断面内の反射自由曲面の曲率を表す。係数ccx及びccyは円錐パラメータである。
【0101】
この自由曲面式は、先頭の双円錐項及びそれに続く係数a
jiを有するxy多項式を有する。
【0102】
投影光学系42内のミラーM1からM6の光学面の配列及び形状を以下の表によって指定する。
【0103】
表1は、最初の縦列には、選択面を番号で定めている。第2の縦列には、それぞれの面のそれぞれの次の面からのz方向の間隔を提供している。表1の第3の縦列は、全体座標系に対するそれぞれの面の局所座標系のy偏心を提供している。
【0104】
表1の最後の縦列は、投影光学系42の構成要素への定められた面の割り当てを可能にする。
【0106】
表2は、ミラーのそれぞれの反射自由曲面、M6(面2)、M5(面3)、M4(面4)、M3(面5)、M2(面6)、及びM1(面7)に関するデータを表す。提供していない係数は、ゼロに等しい。更に、RDX=1/cvx、RDY=1/cvyが適用される。
【0109】
図11は、投影露光装置1において投影光学系42の代わりに使用することができる更に別の構成の投影光学系44を示している。投影光学系42を参照して上述したものに対応する投影光学系44の構成要素は、同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しない。
【0110】
投影光学系44は、像側に0.25という開口数を有する。光学投影システム44の設置長さBは、1000mmである。投影光学系44における物体−像オフセットd
OISは、656.5mmである。従って、比B/d
OISは、約1.52である。
【0111】
投影光学系44においても、最大入射角スペクトルはミラーM5に存在し、M5において12°である。
図11ではミラーM5における最小入射角は右手縁部に存在し、約6°である。
図11ではミラーM5上の最大入射角は左手縁部に存在し、約18°である。投影光学系44においても、像平面18は、物体平面9の後の最初の視野平面である。
【0112】
投影光学系44においても、ミラーM1からM6のうちの少なくとも1つが双円錐反射自由曲面として構成される。投影光学系44内のミラーM1からM6の光学面の配列及び形状を以下の表によって指定する。
【0113】
表3は、最初の縦列に、選択面を番号で定めている。第2の縦列には、それぞれの面のそれぞれの次の面からのz方向の間隔を提供している。表3の第3の縦列は、全体座標系に対するそれぞれの面の局所座標系のy偏心を提供している。
【0114】
表3の最後の縦列は、投影光学系44の構成要素への定められた面の割り当てを可能にする。
【0116】
表4は、ミラーのそれぞれの反射自由曲面、M6(面2)、M5(面3)、M4(面4)、M3(面5)、M2(面6)、及びM1(面7)に関するデータを表す。提供していない係数は、ゼロに等しい。
【0117】
更に、RDX=1/cvx、RDY=1/cvyが適用される。
【0122】
図12は、投影露光装置1において投影光学系42の代わりに使用することができる更に別の構成の投影光学系45を示している。投影光学系42を参照して上述したものに対応する投影光学系45の構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しないことにする。
【0123】
投影光学系45は、像側に0.32という開口数を有する。光学投影システム45の設置長さBは、1000mmである。投影光学系45における物体−像オフセットd
OISは、978mmである。従って、比B/d
OISは、約1.02である。
【0124】
投影光学系45においても、最大入射角スペクトルはミラーM5に存在し、M5において13°である。
図12ではミラーM5における最小入射角は右手縁部に存在し、約9°である。
図12ではミラーM5上の最大入射角は左手縁部に存在し、約22°である。投影光学系45においても、像平面18は、物体平面9の後の最初の視野平面である。
【0125】
投影光学系44においても、ミラーM1からM6のうちの少なくとも1つが双円錐反射自由曲面として構成される。
【0126】
投影光学系45内のミラーM1からM6の光学面の配列及び形状を以下の表によって指定する。
【0127】
表5は、最初の縦列に、選択面を番号で定めている。第2の縦列には、それぞれの面のそれぞれの次の面からのz方向の間隔を提供している。表1の第3の縦列は、全体座標系に対するそれぞれの面の局所座標系のy偏心を提供している。
【0128】
表5の最後の縦列は、投影光学系45の構成要素への定められた面の割り当てを可能にする。
【0130】
表6は、ミラーのそれぞれの反射自由曲面、M6(面2)、M5(面3)、M4(面4)、M3(面5)、M2(面6)、及びM1(面7)に関するデータを表す。提供していない係数は、ゼロに等しい。更に、RDX=1/cvx、RDY=1/cvyが適用される。
【0135】
図13は、投影露光装置1において投影光学系42の代わりに使用することができる更に別の構成の投影光学系46を示している。投影光学系42を参照して上述したものに対応する投影光学系46の構成要素は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細には解説しないことにする。
【0136】
投影光学系46は、像側に0.35という開口数を有する。光学投影システム46の設置長さBは、1500mmである。投影光学系46では、物体−像オフセットd
OISは、580mmである。従って、比B/d
OISは、約2.59である。
【0137】
投影光学系46では、0.15°の最小入射角及び23.72°の最大入射角がミラーM5上に存在する。従って、ミラーM5上の入射角スペクトルは23.58°であり、投影光学系46のミラーのうちの1つの上の最大入射角スペクトルである。
【0138】
投影光学系46は、ミラーM4とM5の間に中間像平面47を有する。この中間像平面47は、結像ビーム43がミラーM6を通り越して誘導される位置の近くに存在する。
【0139】
投影光学系46のミラーM1からM6の反射自由曲面は、次式によって数学的に表すことができる。
ここで、次式が成り立つ。
【0140】
Zは、点x,y(x
2+y
2=r)における自由曲面の矢高である。
【0141】
cは、対応する非球面の頂点曲率に対応する定数である。kは、対応する非球面の円錐定数に対応する。C
jは、単項式X
mY
nの係数である。一般的にc、k、及びC
jの値は、投影光学系46内のミラーの望ましい光学特性に基づいて判断される。単項式の次数m+nは、自在に変更することができる。より高次の単項式は、より良好な像誤差補正を有する投影光学系の設計を誘導することができるが、計算することがより複雑である。m+nは、3と20超の間の値を使用することができる。
【0142】
自由曲面は、例えば、光学設計プログラム「CODE V(登録商標)」のマニュアルに説明されているゼルニケ多項式によって数学的に表すことができる。代替的に、自由曲面は、2次元スプライン面を用いて表すことができる。2次元スプライン面の例は、ベジェ曲面又は不均一有理基底スプライン(NURBS)である。2次元スプライン面は、例えば、xy平面内の点網とそれに関連付けられたz値とにより、又はこれらの点とこれらの点に付随する勾配とによって表すことができる。スプライン面のそれぞれの種類に基づいて、例えば、連続性及び微分可能性に関して固有の性質を有する多項式又は関数を用いた網点の間の内挿によって完全な面が得られる。この例は、解析関数である。
【0143】
投影光学系46のミラーM1からM6の反射面の光学設計データは、以下の表から推定することができる。これらの表のうちの最初のものは、光学構成要素の光学面及び開口絞りに関して、それぞれの頂点曲率の逆数値(半径)、及び物体平面から始まるビーム経路内で隣接する要素のz間隔に対応する間隔値(厚み)を提供している。第2の表は、ミラーM1からM6に対して上記に提供した自由曲面式における単項式X
mY
nの係数C
jを提供している。この場合、Nradiusは、正規化係数である。第2の表により、ミラー基準設計から始めてそれぞれのミラーが偏心されて(Y偏心)回転された(X回転)量も単位mmで示されている。この量は、上述の自由曲面設計法における平行変位及び傾斜に対応する。この場合、変位は、y方向に発生し、傾斜は、x軸の回りのものである。この場合、回転角を度で提供している。
【0148】
図13では、参照番号48は、中心物体視野点に属する主ビームを表す。
図13では、物体平面9上への1つの法線を49で表し、この法線は、中心物体視野点を通じて延びている。従って、主ビーム48と法線49は、物体平面9内で交差する。法線49からの主ビーム48の間隔は、物体平面9と像平面18の間の主ビーム48の進行するビーム経路に沿って単調に増大する。主ビーム48が像平面18を通過する時点で、言い換えれば、中心像視野点で、この間隔は、物体−像オフセットd
OISに等しい。物体平面9と像平面18の間のビーム経路内の法線49からの主ビーム48の間隔の単調な増大は、この間隔がビーム経路の進路に沿ってどこかで小さくなることはないことを意味する。投影光学系46では、この間隔は、主ビーム48が最後のミラーM6上に入射するまで絶えず大きくなる。この間隔は、ミラーM6上の主ビーム48の入射点と像平面18の間で一定に留まる。
【0149】
投影露光装置1を用いて微細構造化構成要素、特に高度に集積された半導体構成要素、例えば、メモリチップを生成するために、最初にレチクル8及びウェーハ19が準備される。次に、投影露光装置1の投影光学系により、レチクル8上の構造がウェーハ19上の感光層上に投影される。その後に、感光層を現像することにより、微細構造がウェーハ19上に生成され、この微細構造から、微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素が生成される。