(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
==目視検査支援装置の概要==
本発明の実施形態に係る目視検査支援装置1000の概要について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態に係る目視検査支援装置1000は、筐体108の中に、モニタ107、ステージ(載置台)102、視線計測部111、撮影部104、照明103、位置情報出力部310、画像処理部200を収容して構成される。
【0013】
また筐体108には、ステージ102に載置される検査対象物101を出し入れするための挿入取出口109、及び検査対象物101に対する目視検査を行う検査者がモニタ107に表示された検査対象物101の撮影画像410(
図7)を目視するための観察窓110が設けられている。
【0014】
撮影部104は、ステージ102に載置された検査対象物101を撮影する装置である。撮影部104は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の光学系装置により構成することができる。撮影部104は、検査対象物101を撮影し、撮影画像410を画像処理部200に出力する。また撮影部104は、検査対象物101を所定の倍率で拡大あるいは縮小して撮影することも可能である。この場合、撮影部104は、倍率を示す情報も画像処理部200に出力するようにしても良い。
【0015】
照明103は、ステージ102に載置された検査対象物101を照らす装置である。照明103は、例えば可視光の蛍光灯やLED等により構成される。
【0016】
視線計測部111は、モニタ107を目視する検査者の視線を検出する装置である。視線計測部111は、例えば、赤外線カメラと赤外線光源とを備えて構成することができる。この場合、視線計測部111は、モニタ107を目視する検査者の目に向けて、赤外線光源から赤外線のビームを照射する。そして視線計測部111は、所定時間毎に検査者の目を赤外線カメラで撮影し、検査者の目に映る赤外線ビームのスポットの位置と、検査者の瞳孔の中心位置と、の関係から、検査者の視線の向きを計測し、この視線の向きを示す情報を視線情報として画像処理部200に出力する。
【0017】
画像処理部200は、撮影部104から出力された検査対象物101の撮影画像410を取得し、モニタ107に表示すると共に、視線計測部111から所定時間毎に出力される視線情報に基づいて、モニタ107に表示された撮影画像410上の注視点の分布を求め、この注視点の分布に基づいて、検査者が目視検査を行った領域を表す画像を生成し、撮影部104から取得した検査対象物101の撮影画像410に重ね合わせて表示画像400としてモニタ107に出力する。
【0018】
モニタ107は、筐体108の観察窓110を通じて、外部から目視可能な位置に設置されている。検査対象物101の目視検査を行う検査者は、モニタ107に表示された表示画像400を、観察窓110を通じて目視することにより、検査対象物101に対する目視検査を行う。
【0019】
ステージ102は、検査対象物101に合わせて位置を調整することができるように構成されている。ステージ102の位置調整は、図示しない例えばステップモータを回転させることにより行うことができる。
【0020】
位置情報出力部310は、ステージ102の位置を示す位置情報を画像処理部200に出力する。例えば、位置情報出力部310は、上記ステップモータを回転させるためのパルス数を、ステージの位置を示す位置情報として画像処理部200に出力する。
【0021】
画像処理部200は、この位置情報に基づいて、モニタ107に表示されている検査対象物101のモニタ107上での位置の変化量を求め、この変化量に合わせて上記目視検査を行った領域を表す画像の位置を移動させることにより、これらの画像を重ね合わせて表示する。
【0022】
==目視検査支援装置の詳細説明==
次に、本実施形態に係る目視検査支援装置1000の詳細な構成について、
図3〜
図9を参照しながら説明する。
図3に示すように、目視検査支援装置1000は、モニタ107、視線計測部111、撮影部104、位置情報出力部310、画像処理部200を備えて構成される。
なお説明の都合上、モニタ107と、画像処理部200の構成要素である画像合成部211と、を画像表示部210としても説明する。また同様に、視線計測部111と、画像処理部200の構成要素である注視点特定部221と、を注視点算出部220としても説明する。
【0023】
<撮影部>
撮影部104は、ステージ102に載置された検査対象物101を撮影する光学系装置を有して構成される。撮影部104は、検査対象物101の撮影画像410を画像処理部200に出力する。また撮影部104は、検査対象物101を撮影する際の拡大縮小率を示す倍率情報も画像処理部200に出力するようにしても良い。
【0024】
<モニタ>
モニタ107は、画像処理部200から出力される表示画像400を表示する装置である。モニタ107には、
図4に示すように、(i,j)の2値によりモニタ107上の位置が特定可能な2次元座標が事前に定められており、表示画像400を構成する各画素は、この座標により特定される位置に表示される。
【0025】
図4に示す例では、モニタ107の表示範囲は、座標(0,0)から座標(1747,1239)で示される長方形の範囲であり、そして検査対象物101の左下角部の画素が、座標(20,20)の位置に表示されていることが例示されている。
【0026】
<視線計測部>
視線計測部111は、モニタ107を目視する検査者の視線を所定時間ごと(例えば16.7ミリ秒ごとまたは60Hzの周期)に検出し、視線の向きを示す視線情報を出力する。
【0027】
上述したように視線計測部111は、一例として、所定時間毎に検査者の目を赤外線カメラで撮影し、検査者の目に映る赤外線ビームのスポットの位置と、検査者の瞳孔の中心位置と、の関係から、検査者の視線の向きを計測し、この視線の向きを示す情報を視線情報として画像処理部200に出力する。
【0028】
<位置情報出力部>
位置情報出力部310は、ステージ102の位置を示す位置情報を画像処理部200に出力する。例えば位置情報出力部310は、ステージ102の位置を移動させるためにステップモータに与えられたパルスの数を、ステージの位置を示す位置情報として画像処理部200に出力する。
【0029】
<画像処理部>
本実施形態に係る画像処理部200は、注視点特定部221と、注視点分布テーブル280と、目視領域特定部260と、目視領域画像生成部230と、画像合成部211と、指定領域情報記憶部270と、指定領域画像生成部240と、検査終了通知部290と、視線調整部250と、所定部位認識部300と、の各機能を有して構成される。
【0030】
画像処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリを備えて構成され、CPUがメモリに記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態に係る上記各機能が実現される。もちろん、画像処理部200の少なくとも一部の機能は、ハードウェア回路により実現することもできる。
【0031】
(視線調整部)
視線調整部250は、モニタ107を目視する検査者の実際の視線の向きと、視線計測部111が出力する視線情報と、の対応関係を検出する。
【0032】
このために、まず視線調整部250は、検査者の視線の向きと視線情報との対応関係を取得するためのテスト画像を、画像合成部211を通じてモニタ107に表示する。テスト画像には、例えば、検査者に注視してもらうための所定の目印が所定位置に点灯あるいは点滅して表示されている。
【0033】
そして視線計測部111が、このテスト画像に表示されている目印を注視している検査者の視線を検出し、視線の向きを示す視線情報を出力すると、視線調整部250は、その視線情報を取得する。このようにして視線調整部250は視線の向きと視線情報との対応関係を取得する。そして視線調整部250は、この視線情報と、事前に設定された標準値と、の差分をオフセット情報として注視点特定部221に出力する。
【0034】
このように、事前に検査者にテスト画像を目視させ、そのときの検査者の視線情報を計測し、標準値との差分をオフセット情報として求めることにより、視線計測部111から得られる視線情報を各検査者の個人差に応じて補正することができ、視線の検出精度を高めることができる。
【0035】
なおこのオフセット情報の算出は、少なくとも、検査者がこの目視検査支援装置1000を初めて使用する際に1回行えばよい。
【0036】
(注視点特定部)
注視点特定部221は、視線計測部111から出力された視線情報を取得し、上記オフセット情報によって検査者ごとの個人差を補正した上で、検査者のモニタ107上における注視点の位置を求める。
【0037】
注視点の位置は、上記補正後の視線情報と、モニタ107と検査者の目との間の距離や角度等の位置関係を示す情報とから、算出することができる。モニタ107と検査者の目との位置関係を示す情報は、事前に設定値として記憶しておくようにすることもできるし、上記視線調整部250が検査者の視線の向きを調整する際に、合わせて計測しておくようにしても良い。
【0038】
注視点特定部221は、視線計測部111から所定時間毎に視線情報を取得する毎に、モニタ107における注視点の位置を算出し、注視点分布テーブル280に記録する。
【0039】
(注視点分布テーブル)
注視点分布テーブル280は、上記注視点特定部221が算出した、検査者の注視点の位置を記憶するテーブルである。注視点分布テーブル280の一例を
図5に示す。
【0040】
図5に示すように、注視点分布テーブル280は、No欄と、注視点位置欄とを含む。
注視点位置欄には、注視点特定部221によって算出された注視点の位置を示す情報が記載される。注視点の位置は、モニタ107上の位置を表す(i,j)の座標値により特定される。
またNo欄には、注視点位置欄に注視点の位置を示す情報が記録された順序を示す情報が記録される。
【0041】
このように所定時間毎に注視点分布テーブル280に記録される注視点の位置情報を、順序情報と共に記憶しておくことにより、検査者がモニタ107上を目視した際の移動経路を特定することもできる。
【0042】
なお、No欄に記録される値は、視線計測部111が視線情報を計測した時刻としてもよいし、あるいは注視点特定部221が注視点を算出した時刻としてもよいし、あるいは、注視点分布テーブル280に注視点が記録された時刻を示す情報としても良い。
【0043】
(目視領域特定部)
目視領域特定部260は、注視点分布テーブル280に記録されている各注視点の位置の分布に基づいて、検査者が目視検査を行った領域を目視領域として特定する。
目視領域特定部260は、様々な方法により目視領域を特定することが可能である。
【0044】
例えば、目視領域特定部260は、注視点分布テーブル280から、順序が連続する注視点を最初に2個取り出し、それらの注視点同士の距離が所定値以下に収まる場合に、それらの注視点間を直線でつないだ際に形成される線分に沿った所定幅の領域を目視領域として特定すると共に、以下、順次一つずつ連続する注視点を取り出し、連続する注視点の距離が所定値以下に収まっている間、目視領域を順次拡大していくようにして、目視領域を特定していくことができる。
【0045】
あるいはまた、例えば、目視領域特定部260は、注視点の分布密度が所定値以上である領域を目視領域として特定することができる。この場合、目視領域特定部260は、例えば、モニタ107上における注視点の密度が相対的に高い微小な領域をまず特定し、この微小領域内の注視点の密度が上記所定値以上である場合には、この微小領域を核にして、徐々に領域を周囲に広げながら、注視点の密度が所定値を下回らない最大の領域を求める。そして目視領域特定部260はこの領域を目視領域として定める。
【0046】
あるいは目視領域特定部260は、例えば、モニタ107上における注視点の密度が相対的に高い微小領域をまず特定し、この微小領域内の注視点の密度が上記所定値以上である場合には、この微小領域を含む所定形状及び所定面積の領域を仮定し、この所定領域内の注視点の密度が上記所定値以上である場合に、この所定領域を目視領域として定める。この場合、目視領域特定部260は、上記所定領域として例えば所定半径の円内の領域とすることもできるし、所定サイズの方形領域とすることもできる。あるいは、任意形状の領域としても良い。
【0047】
また、目視領域特定部260は、所定時間内に特定された注視点の分布密度が所定値以上である領域を目視領域として特定するようにすることもできる。例えば、目視領域特定部260は、まず、直近に特定された所定個数(例えば5個)の注視点を抽出し、これらの注視点のうち任意の2個の注視点間の距離の最大値が所定値よりも小さい場合に、これら所定個数の注視点を内包する最小の領域(微小領域)を求め、この微小領域内の注視点(すなわち上記所定個数の注視点)の密度が所定値以上である場合には、この微小領域を含む所定形状及び所定面積の領域を仮定し、その後上記所定時間以上連続して、新たに特定される全ての注視点が、この所定領域内で特定された場合に、この所定領域を目視領域として定める。
【0048】
あるいは、目視領域特定部260は、例えば、直近に特定された所定個数(例えば5個)の注視点をまず抽出し、これらの注視点のうち任意の2個の注視点間の距離の最大値が所定値よりも小さい場合に時間計測を開始し、計測開始後例えば3秒以内に特定された全ての注視点を内包する最小の領域の面積を求め、この領域内の注視点の密度が所定値以上である場合に、この領域を目視領域として特定する。
【0049】
このように、所定時間内に特定された注視点の分布密度が所定値以上の領域を目視領域として定めるようにすることにより、検査者が、モニタ107上のある領域を集中的に目視した場合に、注視点が所定時間以上滞留した領域を目視領域として特定することができる。
【0050】
一方、所定時間以内か否かによらず、注視点の分布密度が所定値以上となる領域を目視領域として定めるようにした場合には、例えば検査者がモニタ107の全体を満遍なく目視した場合であっても、最終的に一定量以上の視線が注がれた領域を目視領域として特定することができる。
【0051】
目視領域特定部260は、このようにして目視領域を特定すると、目視領域を示す目視領域情報を出力する。目視領域情報を
図6に例示する。
図6(A)は、円の中心位置と半径とにより目視領域を特定する場合の目視領域情報を示す。No欄は、複数の目視領域が特定された場合に、それらの目視領域を識別するための識別情報である。
図6(B)は、i軸方向の一辺の長さと、j軸方向の一辺の長さとにより方形の目視領域を特定する場合の目視領域情報を示す。
図6(C)は、多角形の頂点で囲まれる領域を目視領域とする場合の目視領域情報を示す。
図6(D)は、順序が連続する複数の注視点を結ぶ所定幅の線分を目視領域とする場合の目視領域情報を示す。
【0052】
また詳細は後述するが、指定領域情報記憶部270に指定領域情報が記憶されている場合には、この指定領域情報により特定される指定領域内の注視点の分布に基づいて、目視領域を判定することもできる。
【0053】
なお、注視点特定部221は、視線計測部111から新たな視線情報を取得する毎に、その視線情報に基づいて新たな注視点を算出し、注視点分布テーブル280に記録している。
【0054】
そのため目視領域特定部260は、所定時間毎に繰り返し注視点分布テーブル280の内容を取得し、例えば、注視点の分布密度が所定値以上である領域を新たに検出する毎に、この領域を新たな目視領域として特定し、そして、新たな目視領域を表す目視領域情報を出力する。
【0055】
(目視領域画像生成部)
目視領域画像生成部230は、目視領域特定部260から目視領域情報を取得すると、この目視領域情報に基づいて目視領域を視覚的に表す目視領域画像420を生成する。
【0056】
また目視領域画像生成部230は、目視領域特定部260によって新たな目視領域が特定され、新たな目視領域情報を取得すると、上記生成した目視領域画像420を更新して、新たな目視領域を追加していくようにする。
【0057】
(画像合成部)
画像合成部211は、目視領域画像生成部230から目視領域画像420を取得し、撮影部104から検査対象物101の撮影画像410を取得し、これらの画像を重ね合わせた表示画像400をモニタ107に出力する。
【0058】
画像合成部211は、撮影部104から撮影画像410を取得した際に、この撮影画像410を構成する各画素がモニタ107上のどの位置に表示されるかを(i,j)の座標値で特定する一方で、目視領域画像生成部230から取得した目視領域画像420についても、モニタ107上のどの位置に表示されるかを(i,j)の座標値で特定することにより、これらの画像を重ね合わせる。
【0059】
検査対象物101の撮影画像410に目視領域画像420を重ね合わせた表示画像400がモニタ107に表示されている様子を、
図7に示す。
図7に示す例では、目視領域は所定半径の円により特定されている。
【0060】
なお、検査対象物101を載置したステージ102の位置が移動した場合には、撮影画像410に映し出されている検査対象物101のモニタ107上での表示位置が移動するため、目視領域画像420内の目視領域の表示位置とずれるが、その場合、画像合成部211は、位置情報出力部310から出力される位置情報に基づいて、検査対象物101のモニタ107上での表示位置の変化量を算出し、その変化量に合わせて目視領域画像420の表示位置をモニタ107上で移動させるようにする。
【0061】
このようにして、画像合成部211は、撮影画像410と目視領域画像420とを重ね合わせて表示する際に、位置情報出力部310から出力されたステージ102の位置情報に基づいて、撮影画像410に重ね合わせる目視領域画像420の位置を定める。
【0062】
これにより、検査対象物101を移動させた場合であっても、モニタ107に表示される目視領域画像も検査対象物101に追従して移動するので、検査者が、どこまで目視したか、どこを目視していないかを、正確に表示することができる。
【0063】
あるいは、画像合成部211は、後述する所定部位認識部300から出力される検査対象物101の所定部位の撮影画像410内の位置情報の変化量に合わせて、目視領域画像420の表示位置をモニタ107上で移動させるようにする。
【0064】
このようにして、画像合成部211は、撮影画像410と目視領域画像420とを重ね合わせて表示する際に、上記所定部位の撮影画像410内の位置情報に基づいて、撮影画像410に重ね合わせる目視領域画像420の位置を定める。
【0065】
このようにしても、検査対象物101を移動させた場合であっても、モニタ107に表示される目視領域画像も検査対象物101に追従して移動するので、検査者が、どこまで目視したか、どこを目視していないかを、正確に表示することができる。
【0066】
(所定部位認識部)
所定部位認識部300は、撮影部104から出力される撮影画像410を取得し、撮影画像410内に映し出されている検査対象物101の画像から、所定部位を画像認識する。この所定部位は、例えば、検査対象物101の形状が長方形である場合には、その四隅の位置とすることができる。あるいは、検査対象物101上に特定形状の目印やパターンを印刷しておくようにし、この目印やパターンを所定部位として認識するようにすることもできる。
所定部位認識部300は、認識した所定部位の撮影画像410内における位置を示す位置情報を出力する。
【0067】
(指定領域情報記憶部)
指定領域情報記憶部270は、検査者が目視検査を行うべき領域が、指定領域として事前に定められている場合に、その指定領域を示す指定領域情報を記憶する。指定領域情報記憶部270の一例を
図8に示す。
【0068】
図8に示す例では、モニタ107に表示される表示画像400において、i方向の幅及びj方向の幅によって特定される方形領域が指定領域として定められていることが示されている。
【0069】
また目視判定密度欄には、指定領域に対して検査者が目視を行ったか否かを目視領域特定部260が判定するための判定条件が、指定領域毎に記載されている。
図8に示す例では、指定領域内の注視点の数が目視判定密度欄に記載されている値以上になった場合、すなわち指定領域内の注視点の分布密度が所定値以上になった場合に、その指定領域に対する目視が行われたと判定される。
【0070】
(指定領域画像生成部)
指定領域画像生成部240は、指定領域情報記憶部270から指定領域情報を取得し、この指定領域情報に基づいて指定領域を視覚的に表す指定領域画像430を生成する。
【0071】
そして、画像合成部211は、指定領域画像生成部240から指定領域画像430を取得し、撮影部104から取得した検査対象物101の撮影画像410に重ね合わせた表示画像400をモニタ107に出力する。
画像合成部211は、撮影部104から取得した撮影画像410を構成する各画素がモニタ107上のどの位置に表示されるかを示す(i,j)の座標値と、指定領域画像生成部240から取得した指定領域画像430がモニタ107上のどの位置に表示されるかを示す(i,j)の座標値と、を合わせることにより、これらの画像を重ね合わせる。
【0072】
検査対象物101の撮影画像410に、指定領域画像430及び目視領域画像420を重ね合わせた表示画像400がモニタ107に表示されている様子を
図9に示す。
図9に示す例では、撮影画像410の全面に亘り、升目状に複数の長方形の指定領域が指定されており、そのうち、
図9に示す表示画像400において左上付近の指定領域が目視領域として特定されたことが示されている。
【0073】
(検査終了通知部)
検査終了通知部290は、指定領域情報記憶部270から指定領域情報を取得し、目視領域特定部260から目視領域情報を取得し、目視領域特定部260が、全ての指定領域を目視領域として特定したか否かを検知する。
そして検査終了通知部290は、目視領域特定部260が、全ての指定領域を目視領域として特定したことを検知した場合に、検査対象物101に対する目視検査が終了した旨の情報を出力する。
この通知は、例えば、図示しないチャイムやブザー等からの音声出力により行ってもよいし、モニタ107にその旨のメッセージを表示するようにしてもよいし、モニタ107を点滅させる等としても良い。
【0074】
==目視検査支援装置の処理の流れ==
次に、本実施形態に係る目視検査支援装置1000の処理の流れについて、
図10〜
図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
<指定領域が指定されていない場合>
検査者が目視すべき指定領域が事前に設定されていない場合のフローチャートを
図10に示す。
【0076】
まず、目視検査支援装置1000は、モニタ107の表示画像400を初期化する(S1000)。表示画像400の初期化は、具体的には、例えば画像メモリ212をクリアすることにより行う。またこのとき、目視検査支援装置1000は、注視点分布テーブル280の内容も初期化する。この初期化処理は、例えば図示しないスイッチを検査者が操作して、目視検査支援装置1000に初期化の指示入力を行うことにより行うようにすることができる。
【0077】
次に目視検査支援装置1000は、撮影部104から撮影画像410を取得し(S1010)、表示画像400をモニタ107に出力する(S1020)。
続いて目視検査支援装置1000は、モニタ107の表示画像400を目視している検査者が目視した領域である目視領域を特定する(S1030)。
具体的には、注視点特定部221が、視線計測部111により計測された検査者の視線情報に基づいてモニタ107上の注視点を求め、注視点分布テーブル280に記録していく。そして目視領域特定部260が、注視点の分布に基づいて目視領域を特定する。
そして目視検査支援装置1000は、目視領域画像生成部230が生成した目視領域画像420と、撮影画像410とを重ね合わせて、表示画像400としてモニタ107に出力する(S1040)。
【0078】
以上の処理を、検査対象物101に対する目視検査が終了するまで繰り返す(S1050)。この場合、目視検査が終了したか否かの判定は、モニタ107に表示されている目視領域画像420を見ながら、検査者自らが行う。
目視検査が終了した場合には、検査者は次の検査対象物101をステージ102に載置して、目視検査支援装置1000が、S1000からの処理を繰り返し行う(S1060)。
【0079】
<指定領域が指定されている場合>
次に、検査者が目視すべき指定領域が事前に設定されている場合のフローチャートを
図11に示す。
【0080】
まず、目視検査支援装置1000は、モニタ107の表示画像400を初期化する(S2000)。表示画像400の初期化は、具体的には、例えば画像メモリ212をクリアすることにより行う。またこのとき、目視検査支援装置1000は、注視点分布テーブル280の内容も初期化する。この初期化処理は、例えば図示しないスイッチを検査者が操作して、目視検査支援装置1000に初期化の指示入力を行うことにより行うようにすることができる。
【0081】
次に目視検査支援装置1000は、撮影部104から撮影画像410を取得し(S2010)、表示画像400をモニタ107に出力する(S2020)。
そして目視検査支援装置1000は、指定領域画像生成部240が生成した指定領域画像430を撮影画像410と重ね合わせて、表示画像400としてモニタ107に出力する(S2030)。
続いて目視検査支援装置1000は、モニタ107の表示画像400を目視している検査者が目視した領域である目視領域を特定する(S2040)。
【0082】
具体的には、注視点特定部221が、視線計測部111により計測された検査者の視線情報に基づいてモニタ107上の注視点を求め、注視点分布テーブル280に記録していく。そして目視領域特定部260が、注視点の分布に基づいて目視領域を特定する。このとき、目視領域特定部260は、各指定領域内の注視点の分布に基づいて、指定領域毎に目視が行われたか否かを判定することにより、目視領域を特定する。
そして目視検査支援装置1000は、目視領域画像生成部230が生成した目視領域画像420と、撮影画像410と、指定領域画像430と、を重ね合わせて、表示画像400としてモニタ107に出力する(S2050)。
【0083】
以上の処理を、検査対象物101に対する目視検査が終了するまで繰り返す(S2060)。目視検査が終了したか否かの判定は、検査終了通知部290が、指定領域情報と、目視領域情報と、に基づいて、全ての指定領域が目視領域として特定されたか否かを判定することにより行う。
目視検査が終了した場合には、検査者は次の検査対象物101をステージ102に載置して、目視検査支援装置1000が、S2000からの処理を繰り返し行う(S2070)。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る目視検査支援装置1000によれば、目視検査の作業効率を向上させることができる。
【0085】
検査者は、モニタ107を通じて検査対象物101の目視検査を行う際に、自分が既に目視した領域を確認することが可能となる。これにより、目視検査の作業効率を向上させることができる。
例えば、検査者は検査対象物101に対して観察あるいは検査していない領域を容易に知ることができるので、観察や検査が効率よくすすめることができ、疲労も軽減することができる。
【0086】
また、観察画面上に視線があった領域を表示できるようにしたので、どこが観察あるいは検査していないか、容易に知ることができ、また、どのあたりにどの程度視線があったかなども計測、そして表示できるようにしたので、観察や検査を効率よくすすめることができ、疲労も軽減することができる。さらには信頼性の向上も可能である。
【0087】
さらに、視線の動きや観察および検査の順番なども確認しながらすすめることができ、見逃しや繰り返し何度もみなおすことがなくなり、観察や検査が効率よくすすめることが可能となり、観察や検査のための時間も短縮できる。さらには信頼性の向上また生産性の向上も可能である。
【0088】
なお、撮影部104及びステージ102、位置情報出力部310は、筐体108の内部に収容される構成を説明したが、筐体108の外部にあっても良い。この場合、ステージ102や撮影部104、位置情報出力部104が遠隔地にあって、撮影部104が撮影した撮影画像を、通信回線を通じて目視検査支援装置1000が受信し、モニタ107に表示するようにしても良い。このような場合、検査者による目視検査は、場所を選ばずに行うことができるので目視検査の作業効率を向上させることができる。
【0089】
また、検査対象物101は、挿入取出口109から検査者によって出し入れされる構成を説明したが、たとえば検査対象物101がベルトコンベア上を搬送されてきて、撮影部104により撮影される位置で停止するような構成でもよい。このような場合、検査者は、検査対象物101の出し入れを行わずに済むので、目視検査に集中して作業を行うことが可能となり、目視検査の作業効率を向上させることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、目視領域画像420は、検査者が目視検査を行っている間に表示され、目視領域特定部260が新たな目視領域を特定する毎に新たな目視領域が追加されていく構成を説明したが、例えば、検査者が、図示しないスイッチを操作して、目視領域画像420を表示させる指示入力を行った場合にだけ、目視領域画像420をモニタ107に重ねて表示させるようにすることもできる。このような場合、目視検査の工程において、検査者が目視し忘れた領域がないかのチェックを最後に行う際に、目視領域画像420を利用することが可能となる。これにより、たとえば目視検査中に目視領域画像420を見ないほうが作業を行いやすいと考える検査者に対しても、作業効率を向上させることが可能となる。
【0091】
また検査者は、例えば検査対象物101の中の一部の微細な部位に対して目視検査を行いたい場合に、撮影部104の倍率を変える指示入力を行い、モニタ107に拡大像を表示させるようにすることもできる。この場合、倍率を示す情報を、撮影部104から画像合成部211に入力するようにすることで、モニタ107に表示される撮影画像400の表示倍率に合わせて、目視領域画像及び指定領域画像の表示倍率を変更して、これらの画像を重ね合わせて表示することができる。
【0092】
また、撮影部104は、可視光により検査対象物101を撮影する場合について説明したが、紫外線、赤外線、X線等の可視光以外の波長の領域で検査対象物101を撮影するものであっても良い。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲を上記実施形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。