(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854713
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】プローバにおけるウエハ上のチップ配列検出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
H01L21/66 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-192695(P2011-192695)
(22)【出願日】2011年9月5日
(65)【公開番号】特開2013-55233(P2013-55233A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】伯耆田 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】船木 英次
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−009710(JP,A)
【文献】
特開2003−098112(JP,A)
【文献】
特開平04−023341(JP,A)
【文献】
特開2008−192809(JP,A)
【文献】
特開平04−305950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上に規則的に形成されたチップの動作を電気的に検査するため、テスタの各端子を前記チップの電極に接続するプローバにおいて、コンピュータが、ウエハステージ上にロードされた前記ウエハ上の前記チップの配列を検出する方法であって、
前記ウエハの中心位置を検出し、
ウエハアライメントカメラで、前記ウエハとの相対位置を変化させながら前記ウエハの表面画像を複数回撮像し、撮像した画像を合成して前記ウエハの前記中心位置から所定範囲の前記ウエハの表面画像を生成し、
前記所定範囲の全体が表示されるように、前記合成ウエハ表面画像を表示し、
前記チップの間の部分であるストリートの交点の位置を指示する入力を受け、
指示されたストリートの交点を登録し、
前記ストリートの交点に対して、指示された前記チップ内のアライメントマークを登録し、
登録した前記アライメントマークを含む前記チップと異なるチップの前記アライメントマークを検出して、2個の前記アライメントマークの位置関係から、前記ウエハ上の前記チップの配列を算出する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定範囲は、前記チップのサイズから、前記ストリートの交点を含むように決定される請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、単にウエハと称する。)上に形成された複数の半導体チップ(ダイ)(以下、単にチップと称する。)の電気的な検査を行うために、テスタの端子をチップの電極パッドに接続するプローバに関し、特にプローバにおいて、ウエハ上に形成されているチップの配列に関するデータが無い状態で、チップ配列を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、薄い円板状の半導体ウエハに各種の処理を施して、半導体装置(デバイス)をそれぞれ有する複数のチップ(ダイ)を形成する。各チップは電気的特性が検査され、その後ダイサーで切り離なされた後、リードフレームなどに固定されて組み立てられる。上記の電気的特性の検査は、プローバとテスタを組み合わせたウエハテストシステムで行われる。プローバは、ウエハをウエハステージに固定し、各チップの電極パッドにプローブを接触させる。テスタは、プローブに接続される端子から、電源および各種の試験信号を供給し、チップの電極に出力される信号をテスタで解析して正常に動作するかを確認する。
【0003】
プローバは、ウエハを保持するウエハステージと、ウエハステージの移動・回転部と、プローブの位置を検出するプローブ位置検出カメラと、ウエハアライメントカメラと、プローブカードが取り付けられるカードホルダと、を有する。プローブカードは、検査するデバイスの電極配置に応じて配置されたプローブを有し、検査するデバイスに応じて交換される。プローブ位置検出カメラはプローブの配置及び高さ位置を検出し、ウエハアライメントカメラはウエハW上の半導体チップ(ダイ)の電極パッドの位置を検出する。ウエハアライメントカメラの検出した画像の位置を示す座標系は、プローバのウエハステージの移動・回転機構の座標系と関連付けられている。ここでは、ウエハアライメントカメラの座標系と移動・回転機構の座標系を合わせてプローバの座標系と称する。
【0004】
プローバでの検査シーケンスは、検査するデバイスに応じてプローブカードが交換されるごとに設定される。この時、一般に、ウエハのサイズおよびチップのサイズ(インデックス)等の情報は提供されるが、チップの配列等の情報は提供されない。そこで、プローバでは、ウエハアライメントカメラによりウエハのサンプルを撮像し、その画像をモニタ画面に表示し、オペレータが、チップの間のストリートと称される部分を認識し、画面上のストリートの交点を指示した上で、さらにチップ内のアライメントマークを指示する登録動作を行なう必要がある。プローバの制御部は、指示されたストリートの交点およびアライメントマークを登録し、さらに異なるチップのアライメントマークを検出して、2個のアライメントマークの位置関係から、プローバの座標系におけるチップの配列を検出する。
【0005】
ウエハアライメントカメラは、撮影倍率を複数の段階に切替可能であるのが一般的であり、広い範囲を表示する場合には低倍率で、回路パターンなどを表示・検出する場合には高倍率で、撮影する。特許文献1は、既に検出したストリートの位置に基づいて、ウエハアライメントカメラをウエハに対して相対的に移動して複数の高倍率の画像を撮影し、複数の画像を合成してチップ全体の高倍率画像を生成することを記載している。
【0006】
登録動作において、オペレータがストリートを認識するために、ウエハアライメントカメラによりウエハのサンプルを撮像する場合、できるだけ広い範囲を表示するために、ウエハアライメントカメラは低倍率の画像を撮像し、その画像をモニタ画面に表示する。オペレータは、表示された画面中にストリート交点が無い場合には、ウエハステージを移動してウエハアライメントカメラとウエハの相対位置を変更し、ストリート交点を探す作業を行なう。
【0007】
以上のようにしてプローバの位置座標系におけるチップの配列を検出した後、チップの配列方向がプローバの座標系に合うように、すなわちウエハ上のストリートの方向がプローバの座標系のX軸およびY軸方向に一致するように調整した後、ストリートの交点とアライメントマークの位置を再登録する。なお、プローバには、ウエハステージに載置されたウエハの厚さおよび円形のウエハの中心を検出する機能が設けられており、ウエハの中心からのストリートの交点位置を登録する。
【0008】
上記のような登録処理が終了すると、同じデバイスのウエハであれば、2回目以降、ウエハの中心を検出すれば、ストリートの交点およびアライメントマークを画像処理により自動的に検出することが可能であり、全自動で測定が行なえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−241686号公報
【特許文献2】特開2003−97930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これまで、チップサイズは、最大でも20mm×20mm程度が一般的であった。ウエハアライメントカメラが低倍率の撮影した画像サイズは、10mm程度であり、ウエハの画像を撮影すると、チップ全体を撮影することはできなくても、表示された画像内にストリートが存在する可能性はかなり高かった。そのため、オペレータは、容易にストリートおよびストリート交点を認識することができた。また、画像内にストリートが存在しない場合でも、ウエハステージを少し移動して撮像するウエハ上の位置を少し変更するだけで、画面内にストリートおよびストリート交点が現れ、容易に認識することができた。
【0011】
しかし、近年50mm×50mm以上のサイズの大チップが作られる場合がある。このような大チップ場合、表示された画像内にストリートが存在する可能性は非常に小さくなる。画像内にストリート交点が存在しない場合、ウエハステージを移動して撮像するウエハ上の位置を変えて、表示される画像内にストリート交点が出現するのを探すことになるが、広い範囲を移動しなければならない場合もあり、表示される画像にストリート交点が存在し、それを認識するのに大きな時間を要する場合が起こる。
【0012】
一般に、ウエハ表面を撮像した画像、特に低倍率の画像は、ウエハ表面に形成されたパターン等の関係で認識が難しい画像である。そのため、上記のようにストリート交点を探す作業は非常に煩雑で、オペレータにとって負担の大きな作業であり、作業時間も長くなるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するもので、大チップの場合でも、ウエハ上のチップ配列の検出が、オペレータの負担を軽減して行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を実現するため、本発明のウエハ上のチップ配列の検出方法は、ウエハアライメントカメラで、ウエハとの相対位置を変化させながら撮像した複数の画像を合成して所定範囲のウエハの表面画像を生成し、所定範囲の全体が表示されるように、合成ウエハ表面画像を表示することにより、オペレータがストリートを容易に認識できるようにする。
【0015】
すなわち、本発明のプローバは、ウエハ上に規則的に形成されたチップの動作を電気的に検査するため、テスタの各端子をチップの電極に接続するプローバにおいて、ウエハステージ上にロードされた前記ウエハ上のチップの配列を検出する方法であって、ウエハの中心位置を検出し、ウエハアライメントカメラで、ウエハとの相対位置を変化させながらウエハの表面画像を複数回撮像し、撮像した画像を合成してウエハの中心位置から所定範囲のウエハの表面画像を生成し、所定範囲の全体が表示されるように、合成ウエハ表面画像を表示し、指示されたチップの間の部分であるストリートの交点を登録し、ストリートの交点に対して、指示されたチップ内のアライメントマークを登録し、登録したアライメントマークを含むチップと異なるチップのアライメントマークを検出して、2個のアライメントマークの位置関係から、ウエハ上のチップの配列を算出する、ことを特徴とする。
【0016】
所定範囲は、チップのサイズから、かならずストリート交点が含まれるように決定する。
【0017】
本発明によれば、ウエハの中心位置から所定範囲のウエハの表面画像を合成して表示する。所定範囲をチップのサイズ以上とすれば、合成画像にはかならずストリートが含まれるので、オペレータは表示された合成画像において、ストリート交点を容易に認識できる。
プローバにおける一連の動作は、コンピュータにより構成される制御部により行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チップ配列等の情報が提供されないウエハのストリート交点およびチップ内のアライメントマークの登録動作を行なう際のオペレータの負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】プローバとテスタでウエハ上のチップを検査するウエハテストシステムの基本構成を示す図である。
【
図2】ウエハ上に形成された大チップの配列例を示す図である。
【
図3】実施形態におけるウエハのストリート交点およびチップ内のアライメントマークの登録動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、実施形態のウエハテストシステムの概略構成を示す図である。ウエハテストシステムは、プローバ10とテスタ30とで構成される。図示のように、プローバ10は、ウエハWを保持するウエハステージ16と、ウエハステージ16をZ軸方向に移動すると共にZ軸を中心として回転するZ軸移動・回転部15と、プローブの位置を検出するプローブ位置検出カメラ18と、プローブ位置検出カメラ18をZ軸方向に移動するカメラ移動機構17と、Z軸移動・回転部15及びカメラ移動機構17を支持してX軸方向に移動する(X軸)移動台14と、X軸移動台14を支持してY軸方向に移動するY軸移動台13と、Y軸移動台13を支持する移動ベース12と、移動ベース12を支持する基台11と、基台11に支持される支柱19及び20と、支柱19及び20に支持されるヘッドステージ21と、図示していない支柱に設けられたウエハアライメントカメラ22と、ヘッドステージ21に設けられたカードホルダ23と、カードホルダ23に取り付けられるプローブカード24と、を有する。移動・回転機構については広く知られているので、ここでは説明を省略する。また、プローバ10は、図示していないが、制御部、ディスプレイおよびコントロールパネルを有している。制御部は、例えば、コンピュータにより構成される。また、ディスプレイは、ウエハアライメントカメラ22およびプローブ位置検出カメラ18の撮像した画像や、オペレータへの指示・情報などを表示する。オペレータは、ディスプレイを見ながらコントロールパネルを介してウエハテストシステムに指示を与える。制御部は、方向キーやマウス等によりオペレータが指示した画面上の位置を、プローバの座標系の位置として読み取る機能を有する。
【0021】
プローブカード24は、検査するデバイスの電極配置に応じて配置されたプローブ25を有し、検査するデバイスに応じて交換される。プローブ位置検出カメラ18はプローブの配置及び高さ位置を検出し、ウエハアライメントカメラ22はウエハW上の半導体チップ(ダイ)の電極パッドの位置を検出する。
【0022】
テスタ30は、テスタ本体31と、テスタ本体31に設けられたコンタクトリング32とを有する。プローブカード25には各プローブに接続される端子が設けられており、コンタクトリング32はこの端子に接触するように配置されたスプリングプローブを有する。テスタ本体31は、図示していない支持機構により、プローバ10に対して保持される。
【0023】
検査するウエハWは、図示していないウエハロード機構により、プローバ10の外部のカセットからウエハステージ16上に搬送され、検査の終了したウエハは、ウエハアンロード機構により、プローバ10の外部のカセットに搬送される。ウエハロードとウエハアンロードを、同一の機構で行なう場合もある。
【0024】
ウエハロード機構は、ウエハWの外周およびノッチまたオリフラを検出し、ある程度の位置精度でウエハをウエハステージ16上に搬送する。したがって、ウエハステージ16上にチャックされたウエハWは、プローバの座標系に対してある程度の位置精度で配置され、ストリートもプローバの座標系に対してある程度の方向精度で載置されている。また、前述のように、ウエハアライメントカメラ22の検出した画像は、プローバの座標系と関連付けられている。
【0025】
検査するデバイスに応じてプローブカードが交換されると、ウエハ上のチップの配列を規定するため、ストリートの交点およびチップ内のアライメントマークの登録動作を行なう必要がある。
【0026】
図2は、実施形態でストリートの交点およびチップ内のアライメントマークの登録を行なうウエハW上に形成された大チップの配列例を示す図である。この例では、ウエハW上に9個のチップCが、3×3の配列で形成され、チップCの間の部分がストリートSであり、ストリートSの交点がストリート交点S’である。
図2において、Aは、ウエハアライメントカメラ22を低倍率にして撮像する時の撮像範囲を示す。高倍率にした場合には、撮像範囲はさらに小さくなる。
【0027】
図2に示すように、低倍率でのウエハアライメントカメラ22の撮像範囲Aは、チップCのサイズに比べて小さく、ストリートSおよびストリート交点S’を探すのが容易でないことが分かる。
【0028】
図3は、実施形態におけるウエハのストリート交点およびチップ内のアライメントマークの登録動作フローを示す図である。一連の動作は、制御部により制御される。
【0029】
ステップS11では、ウエハロード機構により、ウエハWのノッチまたはオリフラおよび外周が検出される。
【0030】
ステップS12では、ウエハロード機構により、ウエハWがウエハステージ16上に搬送(ロード)される。ウエハステージ16上に搬送されチャックにより固定されたウエハWは、ウエハステージ16上にある程度の位置精度で位置している。したがって、ウエハWの中心は、ウエハステージ16上の中心付近に値しており、ウエハWのストリートもプローバの移動機構のX軸およびY軸方向に近似した方向に伸びている。言い換えれば、チャックされたウエハWは、プローバの座標系に対してある程度の位置精度で配置されている。しかし、プローブを電極パッドに接触させて検査を行なうには不十分である。
【0031】
ステップS13では、ウエハWの厚さおよび中心位置を検出する。ウエハWの厚さは、専用の厚さ測定器を使用して測定しても、ウエハアライメントカメラ22でウエハWの表面の焦点位置を検出して測定することも可能である。ウエハWの厚さおよび中心位置は、例えば、ウエハアライメントカメラ22で、円形のウエハWのエッジを3箇所以上、例えば4箇所検出することにより算出することができる。
【0032】
ステップS14では、ウエハアライメントカメラ22がウエハWの中心位置を撮像するように、ウエハステージ16を移動する。
【0033】
ステップS15では、ウエハWをウエハアライメントカメラに対して、ウエハアライメントカメラ22の撮像範囲ずつ移動して複数の画像を撮像し、ウエハWの中心位置に対して所定範囲の合成画像を生成する。このような動作は一般に走査と呼ばれる。所定範囲は、例えば、チップCのサイズより若干大きな範囲であり、その場合、所定範囲の合成画像内にかならずストリート交点S’が含まれる。
【0034】
一般に、検査するデバイスを変更する時には、ウエハに関する情報としてチップサイズを示すインデックスが外部から指示される。チップが長方形の場合には、X方向のインデックスXIとY方向のインデックスYIが指示される。ウエハアライメントカメラ22の撮像範囲のサイズがXS×YSの場合、mXS>XIおよびnYS>YIとなるように、mおよびnを決定し、m×n個の画像を合成する。
【0035】
ステップS16では、所定範囲がすべて表示されるように、合成画像をディスプレイに表示する。この時、少なくとも1個のストリート交点S’が画面上に表示される。合成画像の画素数は、ディスプレイの画素数より大きいので、合成画像を圧縮するか画素を間引いて、画素数を合わせて表示する。
【0036】
図4は、合成画像の表示例を示す図である。
図4の(A)は、
図2において、所定範囲の中心にウエハWの中心が位置するように走査を行って画像を合成した場合の例であり、合成画像は15×15個の撮像範囲の画像Aを合成しており、4個のストリート交点S’が画面D上に表示される。ストリートSは、画面のX軸およびY軸に対して傾いている。
【0037】
図4の(B)は、15×15個の撮像範囲の画像Aの合成画像であり、1個のストリート交点S’が画面D上に表示される。
【0038】
前述のように、ウエハW上のチップCの配列は各種あり、それに関する情報は供給されない。また、ウエハWの中心位置に対して所定範囲をどのように設定するかは任意であり、どのような合成画像が生成されるかは、合成画像を生成するまで分からない。例えば、
図2と異なり、ウエハWの中心位置付近にストリート交点S’が存在する場合もある。また、ウエハWの中心位置に対して、X軸方向およびY軸方向について±(所定範囲)/2の範囲を走査する場合も、ウエハWの中心位置からX軸方向およびY軸方向についてそれぞれ一方向に走査する場合もある。
【0039】
いずれにしても、上記のようにして所定範囲の合成画像を生成すれば、少なくとも1個のストリート交点S’が合成画像に含まれ、ディスプレイに表示される。
オペレータは、ディスプレイに表示された合成画像を観察し、画面上にストリート交点S’の位置を、コントローラを介して入力する。
【0040】
ステップS17では、指示されたストリート交点S’の位置をプローバ10の座標系において登録する。
【0041】
ステップS18では、ストリートSの方向を検出する。傾いているストリートSの検出は、例えば、特許文献2に記載された方法で行う。なお、オペレータにディスプレイに表示した合成画像上でストリート交点S’以外のストリートS上の位置を指示するように要求し、指示されたストリートS上の位置と既に指示されているストリート交点S’からストリートSの方向を検出してもよい。
【0042】
オペレータは、ディスプレイに表示された合成画像を観察し、アライメントマークを指示する。アライメントマークは、チップ内に1個のみあり、且つ識別が容易なパターンであることが望ましい。例えば、電極パッドなどは識別が容易であるが、同じ形状のものが他にも存在するため、アライメントマークとして好ましくない。オペレータはこのような条件を満たすパターンを指示する。
【0043】
ステップS19では、ウエハアライメントカメラ22で、オペレータの指示したアライメントマークを高倍率で撮像し、その画像をストリート交点S’との位置関係を含めて登録する。
【0044】
ステップS20では、登録したアライメントマークを含むチップと異なるチップのアライメントマークを検出する。登録されたアライメントマークから、ステップS18で算出したストリートの方向に、インデックス(チップサイズ)分移動すると、別のチップアライメントマークに到達する。もし、複数のインデックス分移動すると、さらに離れたアライメントマークに到達する。このようにして他のチップのアライメントマークを容易に検出することができる。
【0045】
制御部は、以上の動作を行なって、異なるチップのアライメントマークを高倍率で撮像し、登録されているアライメントマークとの位置関係から、チップの配列方向θ、すなわちストリートの方向を精密に算出する。
【0046】
ステップS21では、算出したチップの配列方向θが、プローバの座標系のX軸およびY軸に一致するように、ウエハステージ16の回転位置を補正する。その後、ストリートの交点とアライメントマークの位置を自動で再登録する。
【0047】
以上で、ウエハのストリート交点およびチップ内のアライメントマークの登録動作が終了する。
【0048】
上記のような登録処理が終了すると、同じデバイスのウエハであれば、2回目以降、ウエハの中心を検出すれば、ストリートの交点およびアライメントマークを画像処理により自動的に検出することが可能であり、全自動で測定が行なえる。
【0049】
なお、検査を行なうには、さらに、プローブ位置検出カメラが検出したプローブの配列にチップの電極パッドの配列を一致させる必要がある。そこで、ウエハステージを回転してチップの電極パッドの配列をプローブの配列に一致させると共に、プローバの座標系におけるプローブの配列を登録する。これ以後の移動動作は、この登録したプローバの座標系におけるプローブの配列に基づいて行なう。例えば、プローブの配列がプローバの座標系に対して微少量回転している場合には、この微少量の回転を無視して長い距離移動すると誤差が大きくなりプローブが電極パッド外に接触するという問題が生じる。そこで、ウエハステージを微少量回転すると共に、プローバの座標系における移動を、この微少量分補正しながら行う。さらに、プローブの配列を精密に測定するため、プローブを実際に電極パッドに接触させた時の接触痕(針跡)をウエハアライメントカメラにより検出する場合もある。
【0050】
上記の動作が終了すると、ウエハW上のチップの検査が行える状態になる。検査を行う場合には、ウエハロード機構により、ノッチまたはオリフラおよび外周を検出したウエハWをウエハステージ16上に搬送し固定する(ロードする)。さらに、ウエハステージ16上に固定されたウエハWの厚さおよび中心位置を検出し、異なるチップのアライメントマークを検出してθを精密に検出し、ウエハステージ16を回転して、プローブの配列との関係を含めてθ補正を行う。そして、アライメントマークまたはストリート交点との位置関係が規定されている電極パッドの位置を検出もしくは算出し、電極パッドが対応するプローブの直下に位置するようにウエハステージ16を移動させた後、ウエハステージ16を上昇させて、プローブ25を電極パッドに接触させる。以上で、テスタ30による検査が行なえる状態になる。
以上、実施形態を説明したが、各種の変形例が可能であるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
12 移動ベース
14 X軸移動台
15 Z軸移動・回転部
16 ウエハステージ
18 プローブ位置検出カメラ
22 ウエハアライメントカメラ
24 プローブカード
26 プローブ