特許第5855136号(P5855136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5855136高温度で加工したポリエチレンの難燃加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855136
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】高温度で加工したポリエチレンの難燃加工方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20160120BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20160120BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   C08J3/20 ZCES
   C08L23/04
   C08K5/3492
【請求項の数】11
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-551986(P2013-551986)
(86)(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公表番号】特表2014-513732(P2014-513732A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】US2012020766
(87)【国際公開番号】WO2012106073
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2014年12月10日
(31)【優先権主張番号】61/437,819
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ,マーク,リチャード
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−072585(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/089230(WO,A1)
【文献】 特表2004−530785(JP,A)
【文献】 特開2002−234964(JP,A)
【文献】 特表2006−504831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08L
C08J 3/00−28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化しかつ難燃加工したポリエチレン物品を調製するための方法であって、
当該方法が、
効率的に安定化させる量の1つ以上の大環状ヒンダートアミン光安定剤及び効率的に難燃加工する量の1つ以上の臭素化難燃剤をポリエチレン基質に添加する工程及び、
得られたポリエチレン混合物を250℃以上の温度に曝す工程、
を含み、
前記ヒンダートアミン光安定剤は、式I
【化1】
であり、式中、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または―R−Yであり、あるいは
は、式II
【化2】
または式III
【化3】
であり、式中、
nは、0または1であり、
rは、0、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、または―NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素またはモルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはヘキサヒドロアゼピン−1−イルであってもよく、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレン、またはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、またはC―C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O−Rまたは―NR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、またはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり
15は、水素、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、またはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、R、およびRの内の少なくとも1つの基が式IIの基である、
方法。
【請求項2】
前記ポリエチレン混合物を280℃以上の温度に曝す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒンダートアミン光安定剤が、
【化4】

【化5】
、または
【化6】
であり、かつ
前記臭素化難燃剤が、ポリ臭素化ジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルオキシド、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩、テトラブロモフタル酸、ビス−(N,N′−ヒドロキシエチル)テトラクロロフェニレンジアミン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)およびトリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレートからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
回転モールド、フィルム押出、またはラミネートフィルム押出ステップを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記臭素化難燃剤が、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩またはテトラブロモビスフェノールA、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエチレン基質の重量に基づき、前記ヒンダートアミン光安定剤を0.01重量%〜10重量%の量で添加し、かつ前記臭素化難燃剤を0.01重量%〜30重量%の量で添加する請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエチレン基質の重量に基づき、前記ヒンダートアミン光安定剤を0.5重量%〜7重量%の量で添加し、前記臭素化難燃剤を0.5重量%〜15重量%の量で添加する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の大環状ヒンダートアミン光安定剤および1つ以上の臭素化難燃剤を含む添加組成物であって、前記ヒンダートアミン光安定剤が、式I
【化7】
であり、式中、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または―R−Yであり、あるいは、
が、式II
【化8】
または式III
【化9】
の基であり、式中、
nは、0または1であり、
rは0、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、または―NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素またはモルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはヘキサヒドロキシアゼピン−1−イルであってよく、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレン、またはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、またはC−C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O―RまたはNR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニルまたはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり
15は、水素、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、またはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、RおよびRの内の少なくとも1つの基が、式IIの基であり、
前記臭素化難燃剤に対する前記ヒンダートアミンの重量:重量の比は、1:99〜99:1の範囲である、
添加組成物。
【請求項9】
前記ヒンダートアミン光安定剤が、
【化10】

【化11】
、または
【化12】
であり、
前記臭素化難燃剤が、ポリ臭素化ジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルオキシド、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩、テトラブロモフタル酸、ビス−(N,N′−ヒドロキシエチル)テトラクロロフェニレンジアミン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)およびトリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレートからなる群から選択される、請求項に記載の添加組成物。
【請求項10】
前記臭素化難燃剤が、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩またはテトラブロモビスフェノールA、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)である、請求項またはに記載の添加組成物。
【請求項11】
250℃以上の高温度工程による前記ポリエチレン物品の調製における式I
【化13】
で表わされ、式中、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または―R−Yであり、あるいは、
が、式II
【化14】
または式III
【化15】
の基であり、式中、
nは、0または1であり、
rは0、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、または―NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素またはモルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはヘキサヒドロキシアゼピン−1−イルであってよく、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレン、またはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、またはC−C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O―RまたはNR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニルまたはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり、
15は、水素、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、またはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、RおよびRの内の少なくとも1つの基が、式IIの基である大環状ヒンダートアミン光安定剤および臭素化難燃剤の使用方法であって、前記物品が、熱、光、および酸素に対して安定であり、かつ難燃性であり、白色であり、平坦な表面組成を有し、かつ臭いがほとんどない、使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年1月31日出願の米国仮特許出願番号第61/437,819号の利益を主張するものであり、その内容は、参照として本明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は、ポリエチレンの難燃加工方法に関するものであり、ポリエチレンを高温度で加工する。この最終的なポリエチレン製品は、例えば、回転モールド工程により調製されるポリエチレンの中空品であり、またはポリエチレンフィルムまたは複層フィルムである。
【0003】
いくつかの例において、ポリエチレンを250℃以上、例えば280℃以上の温度で加工する。最も一般的には、これらの工程は、回転モールド工程またはラミネートフィルム工程を含む。多くの例において、ポリエチレンをヒンダードアミン光安定剤(HALS)で安定化し、かつ、例えば、臭素化難燃剤を添加して難燃剤を作成してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US7138448B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高温度の溶融加工の間、ヒンダードアミン光安定剤が臭素化難燃剤と相互作用し、顕著な臭いのする泡沫状の茶色の押出物を得るという結果になってしまうことが知られている。さらに、この相互作用は、ヒンダードアミンの効果をなくし得、これは野外での風化作用に弱い最終産物をもたらす。
【0006】
ポリオレフィン中で臭素化難燃剤と共にヒンダードアミン光安定剤を使用することは、例えば、米国特許第6,472,456号、米国特許第5,393,812号、米国特許第7,230,042号および米国特許第7,786,199号に記載されている。このヒンダードアミンは、一般的に、N−ヒドロカルビルオキシヒンダートアミンであり、同様にNORヒンダートアミンとしても知られている。NORヒンダートアミンは、臭素化難燃剤との有害な相互作用を有さないとされている。
【0007】
従来のヒンダートアミン、すなわち、N−HまたはN−アルキルヒンダートアミンは、ポリオレフィン中で臭素化難燃剤と共に使用することが提案されてはいなかった。このことは、250℃以上の温度、または280℃以上の温度にポリオレフィンを曝す工程に対して特に当てはまる。
【0008】
従来の大環状ヒンダードアミン光安定剤は、米国特許第4,442,250号に開示される。これらにポリオレフィン物品の安定化の有益性が開示されている。
【0009】
驚くべきことに、ある従来の大環状ヒンダートアミンを臭素化難燃剤と共に使用することによって、退色せず、かつほとんどまたは全く臭いのしない状態で、高温度で加工したポリエチレンを提供することが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
安定性および難燃性を有するポリエチレン物品を調製するための方法が開示され、この方法は、
効率的に安定化させる量の1つ以上の大環状ヒンダートアミン光安定剤および効率的に難燃加工する量の1つ以上の臭素化難燃剤をポリエチレン基質に添加する工程及び、
この結果として得られるポリエチレン混合物を250℃以上の温度に曝す工程と、
を含み、
このヒンダートアミン光安定剤は、式I
【0011】
【化1】
であり、式中、
は、水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキルまたは―R−Yであり、あるいは
は、式II
【0012】
【化2】
または式III
【0013】
【化3】
であり、式中、
nは0または1であり、
rは0、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、または-NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素もしくはモルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピぺリジン−1−イル、またはヘキサヒドロアゼピン―1−イルであり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレンまたはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、C−C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O−Rまたは―NR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6,−テトラメチルピペリド―4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、またはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、
14は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−Cアラルキル、またはC−C12アシルであり、
15は、水素、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、またはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、R、およびRの基の少なくとも1つは、式IIの基である。
【0014】
適切なポリエチレン基質は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分枝状低密度ポリエチレン(BLDPE)またはフィリップス触媒を使用して調製したポリエチレンおよびエチレンコポリマーならびにポリエチレン混合物がある。この場合、エチレンコポリマーは、コモノマーを異なる比率で含むことができる。言及されてもよい例は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンまたはイソブチレンなどの1−オレフィン、スチレン、シクロペンテン、シクロヘキセンもしくはノルボルネンなどの環式オレフィン、または、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエンもしくはエチリデンノルボルネンなどのジエンであってもよい。
【0015】
ポリエチレン基質は、同様に、ポリオレフィンを有するポリエチレン混合物を含む。ポリプロピレン(PP)および多様な種類のPEの混合物とポリエチレンの混合物の例は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UH MW HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分枝状低密度ポリエチレン(BLDPE)および特に、高比率のジエンを含むエチレンープロピレン―ジエンターポリマー(EPDM)を含む混合物である。
【0016】
ポリエチレンは、大部分の場合、250℃以上の温度で処置されない。本明細書の方法において、ポリエチレン混合物は、250℃以上、例えば、260℃以上、270℃以上、280℃以上、290℃以上、または300℃以上に曝される。
【0017】
好ましくは、このポリエチレン混合物は、280℃以上の温度に曝される。本発明において、高温度であることが最終的なポリエチレン物品の調製のために必要である。
【0018】
本発明の方法は、例えば、回転成形(回転モールド)工程またはフィルムまたはラミネートフィルム押出成形工程を含むものであり、これらの工程は、上述の250℃以上の高温を使用する。このポリエチレン物品は、一般的に、フィルム、ラミネートフィルムもしくは物品、または回転モールド物品である。
【0019】
成形した物品もしくはフィルムまたはラミネートフィルムへと最終的に形成する前に、このポリエチレン基質ならびにヒンダートアミンおよび臭素化難燃剤を含む添加剤は、押出機、捏加機、または混合器中で溶融ブレンドされてもよい。この溶融したポリエチレン混合物を冷却し、かつ通常、粒状にする。この粒状であり、「添加された」ポリエチレンは、本明細書の方法の最終的な成形加工のステップとして、その後、高温条件に曝される。
【0020】
高いレベルの添加剤を含むポリマーマスターバッチを同様に使用してもよい。マスターバッチは、例えば、ポリマーの重量に基づき最大40重量%以上の添加剤を含んでもよい。ポリエチレンは、マスターバッチのポリマーとして使用されてもよく、または代替的に、熱可塑性ポリマーが使用されてもよい。
【0021】
あるいは、フィルム成形ステップなどの成形ステップ用のポリエチレン組成物を溶融かつ運搬するために使用される押出機のような物品成形ステップの最終段階において、ポリエチレン基質および(ポリエチレンまたはポリエチレンに添加処理される)光安定剤および難燃剤添加物を、共に溶融ブレンドしてもよい。
【0022】
回転モールド(回転成形)は、グラスファイバを補強し得る非常に大きなプラスチック中空品の生産のために使用される。この工程は、ブラスチック材料で型の半分を充填することを含む。次いで、その型を他の半分で閉鎖して、異なる軸を中心に回転する間、型の壁に溶融したプラスチックが広がるように、プラスチックの型をオーブン中で加熱かつ回転する。この中空品を冷却後に得る。この方法において、例えば、HDポリエチレンから貯蔵タンクを生産することが可能である。この工程は、通常、300℃を超え、場合によっては、400℃を超える範囲の温度を必要とする。
【0023】
フィルムは、単層または複層フィルムであってもよい。押出、共押出、押出コーティング、ラミネート化、吹き出しおよび鋳造を含む当業者に知られている技術のいずれかによりこれらのフィルムを形成してもよい。単軸の方向またはフィルムの平面に相互に垂直である方向に沿った平坦なフィルムまたは管の工程によりこのフィルムを得てもよい。フィルムの1つ以上の層が、同一または異なる程度に横および/または縦方向に配列されてもよい。この方向付けは、個々の層をまとめる前後に行われ得る。例えば、ポリエチレン層は、配列されたポリプロピレン層上に押出してコーティングまたはラミネートされ得、またはポリエチレンおよびポリプロピレンが、フィルム内へ共押出され、その後、配列される。同様に、方向づけられたポリプロピレンは、配列されたポリエチレンにラミネートされることができ、または、配列されたポリエチレンを、ポリプロピレン上にコーティングすることができ、その後任意に、この組み合わせをさらに方向付けることができる。概して、このフィルムが、最大15、好ましくは5および7の間の割合で縦方向(MD)に配列され、かつ、最大15、好ましくは7〜9の割合で横方向(TD)に配列される。しかしながら、別の実施形態において、このフィルムは、MDおよびTDの両方向の同じ範囲に配列される。
【0024】
このポリエチレン組成物は、多層または多相物品またはラミネート材料の層として使用されてもよい。ラミネートは、少なくとも2つの材料層を有する。このラミネートは、1つの層が、臭素化化合物およびヒンダートアミン光安定剤を備えたポリエチレン組成物を有するフィルム構造であってもよい。このラミネートは、1つ以上のこのような層を有していてもよい。ラミネートは、熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーと同様に、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、他のポリオレフィン組成物、ポリスチレン(、ポリ酢酸ビニル、およびアクリルポリマーなどのビニルポリマー、エポキシポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリユリア、ポリイミド、ポリカーボネート、上述のポリマーの組み合わせのコポリマー、グラフト、お前記のポリマーの合成の混合物、および熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマーから選択される、1つ以上のポリマーを含む層をさらに含んでもよい。このフィルム層は、紙、木、ボール紙、金属、金属箔、金属化表面、ガラス、布、スパンボンドファイバ、不織布(特にポリプロピレン不織布)上、または、インク、ダイ、色素などでコーティングした基質上でラミネートされてもよい。
【0025】
ポリエチレンフィルムは、意図する使用に応じて、例えば、1〜5,000μm、好ましくは1〜3,500μmの厚さで変動してもよい。しかしながら、通常、1〜100μmまたは1〜250μmの厚さのフィルムが適切である。パッケージ用のフィルムは、通常、10〜60ミクロンの厚さである。シーリング層の厚さは、概して0.2〜50μmである。フィルムまたはシーリング層の内部および外側の両表面上にシーリング層があってもよく、またはこのシーリング層が、内部または外側の表面上のみに存在してもよい。
【0026】
ラミネートの一例は、ポリエチレン組成物の層でコーティングした織布または不織布ファイバーウエブ(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、綿またはナイロン(ポリアミド)ファイバ)である、布の層を有する織布または不織布ウェブラミネートである。このラミネートの構造は、熱および圧力の使用を介して、例えば、成形、押圧を使用し、または布およびポリエチレンフィルムの巻回束を形成することにより作成されてもよい。この層は、十分な時間、圧力下で加熱され、ラミネートを生成してもよい。
【0027】
添加したポリエチレンは、同様に、限定するものではないが、押出し鋳込射出成形、ガス支援射出成形、押出吹込成形、射出吹込成形、射出延伸、圧縮成形、回転モールド、フォーム成形、熱成形、板押出、および異形押出を含むいずれかの成形工程において、成形した製品を作成するために使用されてもよい。この成形工程は、当業者によく知られている。本明細書に記述した組成物は、いずれかの適切な当業者の方法により望ましい形状として形成され、かつ物品として使用されてもよい。熱成形、真空成形、吹込み成形、回転モールド、スラッシュ成形、トランスファー成形、湿式レイアップ成形または接触成形、注型成形、冷間成形、マッチド・ダイ成形、押出し鋳込射出成形スプレー技術、プロフィールの共押出もしくはそれらの組み合わせの方法が概して使用される。
【0028】
上述のように、最終的なポリエチレン物品は、概して、フィルム、ラミネートフィルム、または物品または回転モールドした中空品である。最終的な物品は、同様に、テープ、シート、ファイバ、または他の固体成形製品であってもよい。
【0029】
他の工程において、この添加したポリエチレンは、熱成形、吹込み成形、プロフィール共押出、または注入成形工程により物品へと形成されてもよい。
【0030】
本発明の方法は、添加したポリエチレンが250℃以上の高温度に曝される少なくとも1つのステップを含む。
【0031】
本発明のヒンダートアミン光安定剤および臭素化難燃剤が、ペレット、または小型の顆粒などの密度化した形態と共に混合してもよい。その後、密度化した化合物が、ポリエチレン基質への添加のために使用されてもよい。あるいは、この添加剤が、1つの溶融段階においてまたは異なる溶融段階において別々に添加されてもよい。
【0032】
したがって、本発明の別の態様は、1つ以上の式Iの大環状ヒンダートアミン光安定剤および1つ以上の臭素化難燃剤を含む添加組成物である。
【0033】
式Iのヒンダートアミンおよび臭素化難燃剤を含む密度化した添加組成物において、臭素化難燃剤に対するヒンダートアミンの重量:重量の比は、1:99〜99:1の範囲である。
【0034】
本発明の式Iの環状ヒンダートアミン光安定剤の調製は、米国特許第4,442,250号に開示され、この内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0035】
式Iの化合物は、例えば、Ν,Ν′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの環状の縮合物、
【0036】
【化4】
N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの縮合物、
【0037】
【化5】
またはN,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−モルフォリノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの環状の縮合物
【0038】
【化6】
であり、式中、
12は好ましくは水素またはメチルであり、
およびRは、好ましくはC−C12アルキレンであり、
Xは、好ましくは―O―または―NR16−であり、
16は好ましくは水素であり、かつRは好ましくはC‐C18アルキルであり、
Xは、好ましくはt−オクチルアミノまたはモルフォリノである。
【0039】
好ましくは、式Iのヒンダートアミンは、Ν,Ν′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1、3,5−トリアジンの環状の縮合物、またはN,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−モルフォリノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの環状の縮合物である。
【0040】
式Iの化合物は、同様に、有機または無機酸塩の形態であってもよい。例えば、式(I)の塩は、
【0041】
【化7】
であり、式中、
HYは、有機酸または無機酸であり、かつnは1〜4の整数である。
【0042】
例えば、HYは、無機プロチオン酸を含むハロゲン、無機酸を含むリン、無機酸を含む硫黄、C−Cアルキルカルボン酸、ペルフルオロC−Cアルキルカルボン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選択される。
【0043】
アルキルは、分枝状または非分枝状基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルフェニル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラ−メチルブチル、1−メチルへプチル、3−メチルへプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシルまたは1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシルである。
【0044】
アルケニルは、アルキルの不飽和した形であり、例えば、イソプロペニル、プロペニル、ヘキセニル、ヘプテニルなどが挙げられる。
【0045】
シクロアルキルは、置換型または非置換型があり、かつ、例えば、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。
例えば、シクロヘキシルまたはtert−ブチルシクロヘキシルがある。
【0046】
アリールは、例えば、フェニルまたはナフチルまたはビフェニルであるが、C−C置換型フェニル、C−Cアルコキシ置換型フェニル、ヒドロキシ、ハロゲンまたはニトロ置換型フェニルが含まれる。アルキル置換型フェニルの例は、エチルベンゼン、トルエン、キシレンおよびそれらのアイソマー、メシチレンまたはイソプロピルベンゼンである。ハロゲン置換型フェニルは、例えば、ジクロロベンゼンまたはブロモトルエンが含まれる。
【0047】
アラルキルは、例えば、1から3基のC−Cアルキル基にフェニル基上に置換されたまたは置換されていないフェニルアルキルであり、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、2−フェニルエチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジルまたは4−tert−ブチルベンジルである。例えば、ベンジルがある。
【0048】
アルキレンは、分枝状または非分枝状誘導基であり、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレンまたはドデカメチレンである。
【0049】
シクロアルキレンは、2つ以上の原子価および少なくとも1つの環状構造を有する置換型炭化水素基であり、例えば、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレンまたはシクロオクチレンである。例えば、シクロヘキシレンがある。
【0050】
アリーレンは、C−Cアルキルによりそれぞれ置換されたまたは非置換型のフェニレン、ナフチレンまたはビフェニレンであり、例えば、1,2−、1,3−、もしくは1,4−フェニレン、または1,2−、1,3−、1,4−、1,6−、1,7−、2,6−、もしくは2,7−ナフチレンが挙げられる。例えば、1,4−フェニレンがある。
【0051】
アラルキレンは、例えば、フェニルアルキリデンであり、かつ、例えば、ベンジリデン、2−フェニルエチリデン、または1−フェニル‐2−ヘキシリデンである。
【0052】
ヒンダートアミン光安定剤は、最終物品の望ましい使用のための有効量、例えば、ポリエチレン基質の重量に基づき、0.01重量%〜10重量%の量で添加される。様々な実施形態において、ヒンダートアミン光安定剤は、ポリエチレン基質の重量に基づき、少なくとも0.2重量%、または少なくとも0.5重量%、および/または最大重量%または最大2重量%の量を添加する。好ましくは、ヒンダートアミン光安定剤を、ポリエチレン基質の重量に基づき、0.5重量%〜7重量%、または0.5重量%〜5重量%までの量を添加する。したがって、ヒンダートアミン光安定剤は、最終物品へと形成されるポリエチレン組成物へ導入される添加剤またはマスターバッチ組成物内により縮合されていてもよい。したがって、これらの重量%は、最終的なポリエチレン物品のポリエチレン基質に基づき量を示す。
【0053】
臭素化難燃剤は、商業的に利用可能であり、例えば、米国特許第6,472,456号、米国特許第5,393,812号、米国特許第7,230,042号、および米国特許第7,786,199号に示され、これらの開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0054】
臭素化難燃剤は、限定するものではないが、テトラブロモビスフェノール A(TBBPA)ならびに、エステル、エーテル、およびオリゴマーなどの誘導体があり、例えば、TBBPAに基づくテトラブロモフタル酸塩エステル、ビス(2,3−ジブロモプロポキシ)テトラブロモビスフェノール A、臭素化炭酸塩オリゴマー、TBBPAの縮合物に基づく臭素化エポキシオリゴマー、ならびにエピクロルヒドリン、TBBPAのコポリマー、ならびに1,2−ジブロモエタン;ジブロモ安息香酸、ジブロモスチレン(DBS)およびそれらの誘導体;
エチレンブロモビステトラブロモフタルイミド、ジブロモネオペンチルグリコール、ジブロモシクロオクタン、トリスブロモネオペンタノール、トリス(トリブロモフェニル)トリアジン、2,3−ジブロモプロパノール、トリブロモアニリン、トリブロモフェノール、テトラブロモシクロペンタン、テトラブロモビフェニルエステル、テトラブロモジペンタエリスリトール、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモ酸化ジフェニル、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモフェニル安息香酸塩、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロデカン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、オクタブロモビフェニル、オクタブロモ酸化ジフェニル、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルオキシド、デカブロモジフェニル エーテル、デカブロモジフェニル、臭素化トリメチルフェニルインダン、テトラブロモクロロトルエン、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリスチレン、臭素化エポキシオリゴマー、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、ジブロモプロピルアクリレート、ジブロモヘキサクロロシクロペンタジエノシクロオクタン、N′−エチル(ビス)ジブロモノルボルネン(nonborane)ジカルボキシイミド、テトラブロモビスフェノールS、N′N′−エチルビス(ジブロモノンボルネン)ジカルボキシイミド、ヘキサクロロシクロペンタジエノ−ビス−(2,3−ジブロモ−1−プロピル)フタル酸塩、臭素化リン酸塩系ビス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩およびトリス(トリブロモネオペンチル)リン酸塩およびトリス(ジクロロブロモプロピル)亜リン酸エステル、N,N′−エチレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモフタル酸 ジオール[2−ヒドロキシプロピル−オキシ−2−2−ヒドロキシエチル−エチルテトラブロモフタル酸塩]、ビニルブロミド、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、ポリ臭素化ジベンゾ−p−ジオキシン、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレート、エチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩を含む。
【0055】
商業的に利用可能な臭素化難燃剤の好適な例は、ポリ臭化ジフェニル酸化物(DE−60F)、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO;SAYTEX(登録商標)102E)、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩(PB370(登録商標),FMC Corp.またはFR370,ICL/Ameribrom)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩、テトラブロモフタル酸、ビス−(N,N′−ヒドロキシエチル)テトラクロロフェニレンジアミン、テトラブロモビスフェノール A ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(PE68)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)(SAYTEX(登録商標)BT−93)、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(FF680)、テトラブロモ―ビスフェノールA(SAYTEX(登録商標)RB100)、エチレン ビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)(SAYTEX(登録商標)BN−451)およびトリス−(2,3−ジブロモプロピレ)−イソシアヌレートを含む。
【0056】
同様に、本発明の臭素化難燃剤と共に、またはこれに代えて塩素化難燃剤をうまく使用してもよいと考えられる。塩化難燃剤は、同様に、米国特許第6,472,456号、米国特許第5,393,812号、米国特許第7,230,042号および米国特許第7,786,199号に開示されている。塩素化難燃剤は、例えば、トリス(2−クロロエチル)亜リン酸エステル、ビス−(ヘキサクロロシクロエンタデノ(entadeno))シクロオクタン、トリス(1−クロロ−2−プロピル)リン酸塩、トリス(2−クロロエチル)リン酸塩、ビス(2−クロロエチル)ビニルリン酸塩、ヘキサクロロシクロペンタジエン、トリス(クロロプロピル)リン酸塩、トリス(2−クロロエチル)リン酸塩、トリス(クロロプロピル)リン酸塩、ポリ塩化ビフェニル、単量体クロロエチルホスホン酸エステルおよび高沸点ホスホン酸エステルの混合物、トリス(2,3−ジクロロプロピル)リン酸塩、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、ポリ−p−クロロエチル トリホスホン酸エステル混合物、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン(DECLORANE PLUS)、塩素化パラフィン、およびヘキサクロロシクロペンタジエン誘導体がある。
【0057】
臭素化難燃剤は、標準試験により決定され得る有効量で最終物品中に存在する。この臭素化難燃剤は、ポリエチレン基質の重量に基づき、0.01〜30重量%、0.2重量%〜20重量%、または0.5重量%〜15重量%、または1重量%〜5重量%の量が添加されてもよい。多様な実施形態において、臭素化難燃剤は、ポリエチレン基質の重量に基づき、少なくとも0.2重量%、または少なくとも0.5重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも5重量%および/または最大3重量%、または最大5重量%、または最大10重量%、または最大15重量%、または最大20重量%の量が添加される。したがって、この臭素化合物は、最終物品へと形成されるポリエチレン基質内へ導入され得る添加剤またはマスターバッチ組成物中で縮合されてもよい。したがってこれらの重量の値は、最終的なポリエチレン物品内のポリエチレン基質に基づく最終重量%を示す。
【0058】
追加の添加剤を本発明のポリエチレン基質に添加してもよい。例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアジン、ベンゾフェノンおよび安息香酸塩UV吸収剤、有機リン安定剤、ヒドロキシルアミン安定剤、ベンゾフラノン安定剤、酸化アミン安定剤、ヒンダートフェノール抗酸化剤および/またはさらなるヒンダートアミン光安定剤から選択される紫外線吸収剤がある。この追加の添加剤は、ポリエチレン基質の重量に基づき、0.1〜10重量%の値で使用される。
【0059】
特に、追加の添加剤は、有機リン安定剤、ヒンダートフェノール抗酸化剤、ヒドロキシルアミン、他のヒンダートアミンおよび安息香酸塩UV吸収剤から選択される。
【0060】
有機リン安定剤は、例えば、亜リン酸エステルおよび亜ホスホン酸エステル安定剤として知られており、かつ、トリフェニル亜リン酸エステル、ジフェニルアルキル亜リン酸エステル、フェニルジアルキル亜リン酸エステル、トリス(ノニルフェニル)亜リン酸エステル、トリラウリル亜リン酸エステル、トリオクタデシル亜リン酸エステル、ジステアリルペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)亜リン酸エステル、ビス(2,4−ジ− −クミルフェニル)ペンタエリトリトール(pentaerythrtitol)ジ亜リン酸エステル、ジイソデシルペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル(D)、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル(E)、ビスイソデシルオキシ−ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジ亜リン酸エステル、トリステアリルソルビトールトリ亜リン酸エステル、テトラキス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジ亜ホスホン酸エステル(H)、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(C)、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホリン(A)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチル亜リン酸エステル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチル亜リン酸エステル(G)、2,2′,2”−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3′5,5′−テトラ−tert−ブチル−1,1´−ビフェニル2,2′−ジイル)亜リン酸エステル](B)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)オクチル亜リン酸エステル、ポリ(4,4′−{2,2′−ジメチル−5,5′−ジ−t−ブチルフェニルスルフィド−}オクチル亜リン酸エステル)、ポリ(4,4′{−イソプロピリデンジフェノール}−オクチル亜リン酸エステル)、ポリ(4,4′−{イソプロピリデンビス[2,6−ジブロモフェノール]}−オクチル亜リン酸エステル)、ポリ(4,4′−{2,2′−ジメチル−5,5′−ジ−t−ブチルフェニルスルフィド}−ペンタエリスリチルジ亜リン酸エステル)、
【0061】
【化8】
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
および
【0071】
【化18】
を含む。
【0072】
ヒンダートフェノール系酸化防止剤は、例えば、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]またはオクタデシル 3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートのモノエチルエステルのカルシウム塩を含む。
【0073】
ヒンダートアミン光安定剤は、例えば、
1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合物、MW3100−4000、
【0074】
【化19】
N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状縮合物、MW1200−3100、
【0075】
【化20】
2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンおよび1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物
【0076】
【化21】
であり、式中R´は、
【0077】
【化22】
である、縮合物、
2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンでエンドキャップした4,4′−ヘキサ−メチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)および2,4−ジクロロ−6−[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合産物であるオリゴマー化合物、MW2600−3400
【0078】
【化23】
(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)ブチルアミンと塩化シアヌールと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンを反応させることにより得られる産物を反応させることにより得られる産物、
【0079】
【化24】
であり、式中、
R´=RまたはHであり、
かつR=
【0080】
【化25】
である産物と、
N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−モルフォリノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの直鎖状縮合物
【0081】
【化26】
N,N′−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−モルフォリノ−2,6−ジクロロ-1,3,5−トリアジンの直鎖状縮合物
【0082】
【化27】
7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4,5]デカンおよびエピクロルヒドリンの反応産物
【0083】
【化28】
、無水マレイン酸−C18−C22− −オレフィン−コポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンの反応産物
【0084】
【化29】
N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン)を有する2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)−ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンの反応産物
【0085】
【化30】
2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンでエンドキャップした4,4′−ヘキサ−メチレンビス(アミノ−1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)および2,4−ジクロロ−6−[(1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合産物であるオリゴマー化合物、MW2600−3400
【0086】
【化31】
および
2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンでエンドキャップした4,4′−ヘキサ−メチレンビス(アミノ−1,2,2,6,6−ペンタ(pentaa)メチルピペリジン)および2,4−ジクロロ−6−[(1,2,2,6,6−ペンタ(pentaa)メチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合産物であるオリゴマー化合物
【0087】
【化32】
であり、式中、
nは、総モル重量が1000g/モルを超えるような整数である。
【0088】
特に、他の有益なヒンダートアミンは、米国特許第6,472,456号、米国特許第5,393,812号、米国特許第7,230,042号、米国特許第7,786,199号および米国特許第6,388,072号に開示されたNORヒンダートアミン、N−ヒドロキシカルビルオキシヒンダートアミンの分類におけるアミンであり、この内容は、本明細書に参照として組み込まれる。他のヒンダートアミンは、特に、シクロヘキシルオキシヒンダートアミン、特に、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン)と2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンの反応産物である。
【0089】
ヒドロキシルアミン安定剤は、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、Ν,Ν−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジドデシルヒドロキシルアミン、Ν,Ν−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、Ν,Ν−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−テトラデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−ヘプタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルヒドロキシルアミンまたはN,N−ジ(水素化獣脂)ヒドロキシルアミンである。
【0090】
酸化アミン安定剤は、例えば、GENOX EP、ジ(C16−C18)アルキル メチル 酸化アミン、CAS# 204933−93−7である。
【0091】
ベンゾフラノン安定剤は、例えば、3−(4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−one、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル)−ベンゾフラン−2−one、3,3′−ビス(5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)ベンゾフラン−2−one)、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−one、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−one、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−one、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−oneまたは3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−oneである。
【0092】
安息香酸UV吸収剤は、例えば、置換型または非置換型安息香酸のエステルであり、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチラート、フェニルサリチラート、オクチルフェニルサリチラート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩がある。
【0093】
ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールならびにヒドロキシフェニルトリアジンおよびベンゾフェノンUV吸収剤は、例えば、米国特許第6,444,733号に開示される。
【0094】
同様に、着色剤、色素および賦形剤を本発明のポリエチレン基質に添加してもよい。
【0095】
好適な色素は、ルチル、アナターゼまたは板チタン石といった3つの結晶形態の二酸化チタン、群青、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス(bismuth vanadate)、カーボンブラック、アルミニウム粉などの金属色素を含む効果色素、および雲母などの光沢色素などの無機酸色素および例えば、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、アゾ化合物、イソインドリン誘導体、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン誘導体およびインダントロンといった有機酸がある。色素は、ポリエチレン基質の重量に基づき、単一またはいずれかと組み合わせて最大5重量%の量にて含まれてもよい。
【0096】
ダイは、使用されるプラスチックに完全に溶解し、または分子的に分散した形態にて存在する着色剤のいずれかであり、したがって、ポリマーの高透過、非拡散着色を提供するために使用することができる。他のダイは、例えば、蛍光ダイなどの電磁スペクトルの可視部分中で蛍光する有機化合物である。ダイは、ポリエチレン基質の重量に基づき、一般的に最大5重量%の量で、単一またはいずれかの組み合わせにおいて含まれてもよい。
【0097】
粒状充填剤は、1つの実施形態において、0.001〜50重量%の量で存在してもよく、別の実施形態においては、ポリエチレン基質の重量に基づき、0.01〜25重量%で存在し、さらなる別の実施形態では0.2〜10重量%で存在してもよい。望ましい充填剤は、限定するものではないが、チタンジオキシド、炭化ケイ素、シリカ(およびシリカの沈殿物または非沈殿物である他の酸化物)、酸化アンチモン、炭酸鉛、亜鉛白、リトポン、ジルコン、コランダム、スピネル、アパタイト、バライト粉、硫酸バリウム、カーボンブラック、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルクならびに水和型もしくは非水和型のAl、CrもしくはFeおよびC0および/もしくはHP0を備えたMg、Ca、またはZnイオン類のハイドロタルサイト化合物;石英粉末、塩化水素マグネシウム(hydrochloric magnesium)炭酸塩、ガラスファイバー、粘土、アルミナ、および他の金属酸化物および炭酸塩、金属水酸化物、クロム、亜リン酸、三酸化アンチモン、シリカ、シリコンならびにこれらの組み合わせを含む。これらの充填剤は、特に、当業者に知られている他のいずれかの充填剤および多孔質充填剤および支持物質を含んでもよい。
【0098】
他の(非臭素化)難燃剤が、同様に、本発明の方法に使用されてもよい。
【0099】
ハロゲン化しない他の難燃剤は、本発明のポリエチレン組成物中に含まれてもよい。リン含有難燃剤は、ホスファゼン難燃剤から選択されてもよく、このことは、当業者によく知られており、例えば、欧州特許第1104766号、特許第07292233号公報、独国特許発明第19828541号、独国特許発明第1988536号、特許第11263885号公報、米国特許第4,079,035号、米国特許第4,107,108号、米国特許第4,108,805号および米国特許第6,265,599号に開示される。非ハロゲン化亜リン酸系難燃剤は、トリフェニルリン酸塩、リン酸塩エステル、ホスホニウム誘導体、ホスホン酸エステル、リン酸エステルおよびリン酸塩エステルなどの亜リン酸を含む化合物であり、かつ、このことは、米国特許第7,786,199号に開示される。亜リン酸系難燃剤は、通常、結合したアルキル(一般的に直鎖)またはアリール(芳香環)基である、リン酸コアから構成される。例として、赤リン、無機リン酸塩、不溶解性アンモニウムリン酸塩、アンモニウムポリリン酸塩、アンモニウム尿素ポリリン酸塩、アンモニウムオルトリン酸塩、炭酸アンモニウムリン酸塩、アンモニウム尿素リン酸塩、ジアンモニウムリン酸塩、アンモニウムメラミンリン酸塩、ジエチレンジアミンポリリン酸塩、ジシアンジアミドポリリン酸塩、ポリリン酸塩、尿素リン酸塩、メラミンピロリン酸塩、メラミンオルトリン酸塩、ジメチルメチルホスホン酸エステルのメラミン塩、ジメチル水素亜リン酸エステルのメラミン塩、ボロン−ポリリン酸塩のアンモニウム塩、ジメチルメチルホスホン酸エステルの尿素塩、オルガノリン酸塩、ホスホン酸エステルおよびホスフィンオキシドを含む。リン酸エステルは、例えば、トリエチルリン酸塩、トリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、トリオクチルリン酸塩などのトリアルキル誘導体、トリフェニルリン酸塩、クレシルジフェニルリン酸塩およびトリクレシルリン酸塩などのトリアリール誘導体、ならびに2−エチルヘキシル−ジフェニルリン酸塩およびジメチル−アリールリン酸塩およびオクチルフェニルリン酸塩などのアリール―アルキル誘導体を含む。
【0100】
他の亜リン酸系難燃剤の例は、メチルアミンボロン−リン酸塩、白色有機性の塩であるリン酸塩、リン酸マグネシウム、エタノールアミンジメチルリン酸塩、環状ホスホン酸エステル、トリアルキル ホスホン酸エステル、カリウムアンモニウムリン酸塩、白色有機性の塩であるリン酸塩、アニリンリン酸塩、トリメチルホスホルアミド、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、ビス(5,5−ジメチル−2−チオノ−1,3,2−ジオキサホスホリンアミル)オキシド、ジメチルホスホノ−N−ヒドロキシメチル−3−プロピオンアミド、トリス(2−ブトキシエチル)リン酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリドおよびテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩などのテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、n−ヒドロキシメチル−3−(ジメチルホスホノ)−プロピオナマイド、ボロン−ポリリン酸塩のメラミン塩、ボロン−ポリリン酸塩、トリフェニル亜リン酸エステル、アンモニウムジメチルリン酸塩、メラミンオルトリン酸塩、アンモニウム尿素リン酸塩、アンモニウムメラミンリン酸塩のアンモニウム塩、ジメチルメチルホスホン酸エステルのメラミン塩、ジメチル亜リン酸水素エステルのメラミン塩などを含む。
【0101】
金属水酸化物難燃剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三水酸化アルミニウム(ATH)およびヒドロキシ炭酸塩などの無機水酸化物を含む。
【0102】
メラミン系難燃剤は、(a)メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5トリアジン)と、(b)(ホウ酸、シアン尿酸、リン酸またはピロ/ポリ−リン酸などの有機または無機酸を有する塩を含む)メラミン誘導体、(c)メラミンホモログといった、3つの化学基を含む非ハロゲン化難燃剤ファミリーである。メラミン誘導体は、例えば、メラミンシアン尿酸塩(メラミンおよびシアン尿酸の塩)、メラミンモノ−リン酸塩(メラミンおよびリン酸の塩)、メラミンピロリン酸塩およびメラミンポリリン酸塩を含む。メラミンホモログは、メラム(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン−n−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−-2−イル)、メレム(2,5,8−トリアミノ1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン)およびメロン(melon)(ポリ[8−アミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン−2,5−ジイル)を含む。
【0103】
ホウ酸系難燃剤化合物は、ホウ酸亜鉛、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、ホウ酸アンモニウム、およびホウ酸カルシウムを含む。ホウ酸亜鉛は、化学組成物xZnO・zHOを有するホウ素系難燃剤である。ホウ酸亜鉛は、単一または酸化アンチモン、アルミナ3水和物、水酸化マグネシウムまたは赤リンなどの他の化学化合物と組み合わせて使用することができる。この難燃化合物は、ハロゲン化亜鉛またはオキシハライド−亜鉛を介して反応し、このことにより、ハロゲンソース(halogen sources)の分解を加速させ、かつ鎖の形成を促進させる。
【0104】
シリコン系物質は、(ヒドロキシまたはメトキシ)基を有し、または(置換型炭化水素)官能反応基を有さない直鎖状および分枝状鎖型のシリコンを含む。
【0105】
粉末状の金属含有難燃剤物質の例は、単一もしくは他の難燃剤物質と組み合わせて使用することができ、この物質の例は、限定するものではないが、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、タルカン、水酸化アルミナ、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、アルミナ三水和物、アルミナマグネシウム、カルシウムシリカ塩、シリカナトリウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、アンモニウムモリブデート、酸化鉄、酸化銅、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、粘土、ナトリウム重水素リン酸塩、スズ、モリブデンおよび亜鉛を含む。
【0106】
さらに、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が追加的な難燃剤として考えられる。
【0107】
酸化アンチモンは、適切な追加的な難燃剤である。
【0108】
他の難燃剤および難燃協力剤は、最終的なポリエチレン物品のポリエチレン基質の重量に基づき、最大20重量%の酸化アンチモン、最大70重量%の金属水和物、および最大1重量%のフッ素ポリマーアンチドリップ剤(anti−dripping agents)などのように、通常の量で含まれていてもよい。
特定の実施形態
【0109】
要約すると、以下の開示が、好ましい実施形態である。
【0110】
実施形態1
安定化しかつ難燃加工したポリエチレン物品を調製するための方法であって、この方法は、
効率的に安定化させる量の1つ以上の大環状ヒンダートアミン光安定剤および効率的に難燃加工する量の1つ以上の臭素化難燃剤をポリエチレン基質に添加することと、
この結果として得られるポリエチレン混合物を250℃以上の温度に曝すことと、
を含み、
このヒンダートアミン光安定剤が、式I
【0111】
【化33】
であり、式中、
が水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキルまたは−R−Yであり、または、
が式II
【0112】
【化34】
または式III
【0113】
【化35】
の基であり、式中、
nが0または1であり、
rが0、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、または−NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素、モルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはヘキサヒドロキシアゼピン−1−イルであり、
、R、RおよびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレン、またはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、またはC−C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O−Rまたは-NR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、またはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり、
14は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−Cアラルキル、またはC−C12アシルであり、
15は、水素、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、またはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、RおよびR基の内の少なくとも1つが式IIの基である。
【0114】
実施形態2
280℃以上の温度にポリエチレン混合物を曝すことを含む、実施形態1に記載の方法。
【0115】
実施形態3
ヒンダートアミン光安定剤が、
【0116】
【化36】
【0117】
【化37】
【0118】
【化38】
であり、
臭素化難燃剤が、ポリ臭素化ジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルオキシド、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩、テトラブロモフタル酸、ビス−(N,N′−ヒドロキシエチル)テトラクロロフェニレンジアミン、テトラブロモビスフェノール A ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノール A、エチレン ビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)およびトリス−(2,3−ジブロモプロピル(propyle))−イソシアヌレートからなる群から選択される、実施形態1または2に記載の工方法程。
【0119】
実施形態4
回転モールド(ロトモールド)、フィルム押出、またはラミネートフィルム押出ステップを含む、実施形態1〜3に記載の方法。
【0120】
実施形態5
臭素化難燃剤が、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩またはテトラブロモビスフェノール A、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)である、実施形態1〜4に記載の方法。
【0121】
実施形態6
ポリエチレン基質の重量に基づき、ヒンダートアミン光安定剤を0.01重量%〜10重量%の量で添加し、かつ臭素化難燃剤を0.01重量%〜30重量%の量で添加し、例えば、ポリエチレン基質の重量に基づき、ヒンダートアミンを0.5重量%〜7重量%の量で添加し、かつ臭素化難燃剤を0.5重量%〜15重量%の量で添加する、実施形態1〜5に記載の方法。
【0122】
実施形態7
1つ以上の大環状ヒンダートアミン光安定剤および1つ以上の臭素化難燃剤を含む添加組成物であって、このヒンダートアミン光安定剤が、式I
【0123】
【化39】
であり、式中、
が水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または−R−Yであり、または
が、式II
【0124】
【化40】
または式III
【0125】
【化41】
であり、式中
nが0または1であり、
rが0、1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、または―NR16−であり、
全体としてXRは、同様に、塩素、モルフォリノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはヘキサヒドロアゼピン−1−イルであってもよく、
、R、RおよびRは、独立して、水素、C−C12、C−Cヒドロキシアルキル、C−C12アルケニル、C−C12シクロアルキル、C−C18アリール、C−Cアラルキル、または式IIの基であり、
およびRは、独立して、C−C12アルキレン、C−C12イミノジアルキレン、またはオキサジアルキレン、C−C12シクロアルキレン、C−C12アリーレン、またはC−C12アラルキレンであり、
は、C−Cアルキレンであり、
Yは、−O−RまたはNR1011であり、
は、水素またはC−C18アルキルであり、
10およびR11は、独立して、C−Cアルキル、2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イルまたは1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリド−4−イルであり、
12は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、またはC−Cアラルキルであり、
13は、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり、
14は、水素、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−Cアラルキル、またはC−C12アシルであり、
15は、水素、C−Cアルコキシ、C―Cアルケニルオキシまたはベンジルオキシであり、
16は、Rについて定義されたものと同じであり、
、R、R、R、およびR基の内の少なくとも1つは、式IIの基であり、
臭素化難燃剤に対するヒンダートアミンの重量:重量の比が、1:99〜99:1である、添加組成物。
【0126】
実施形態8
ヒンダートアミン光安定剤が、
【0127】
【化42】
【0128】
【化43】
【0129】
【化44】
であり、かつ
臭素化難燃剤が、ポリ臭素化ジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルオキシド、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩、テトラブロモフタル酸、ビス−(N,N′−ヒドロキシエチル)テトラクロロフェニレンジアミン、テトラブロモビスフェノール Aビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、オクタブロモジフェニルエーテル、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノール A、エチレン ビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミドおよびトリス−(2,3−ジブロモプロピル(propyle))−イソシアヌレートから選択される、実施形態7に記載の添加組成物。
【0130】
実施形態9
臭素化難燃剤が、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩またはテトラブロモビスフェノール A、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)である、実施形態7または8に記載の添加組成物。
【0131】
実施形態10
250℃以上の高温度工程によるポリエチレン物品の調製における式Iの大環状ヒンダートアミン光安定剤および臭素化難燃剤の使用であって、この物品が、熱、光、および酸素に安定であり、かつ難燃性であり、さらに、白色であり、平坦な表面組成を有しかつ臭いがほとんどない、使用。
実施例
【0132】
実施例1 高温度工程
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を以下に概説する添加剤と乾式混合する。量は重量の一部である。280℃まで加熱したある工場の2軸押出機内にこの混合物を導入した。この押出機は、18mmの直径のスクリューおよび25の割合の直径に対する長さのスクリューを有する。スクリューの回転は、20rpmにセットされ、かつその出力レートは、約10Ibs./時間である。この押出成形物を、色、表面組成、および臭いを収集しかつ試験する。この観察は、以下に概説する。
【0133】
全ての処方は、LDPEの91.6重量部および酸化アンチモンの1.9重量部を含む。それぞれの処方は、臭素化難燃剤としてトリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩の5.5重量部を含む。それぞれの処方は、さらに、あるヒンダートアミン光安定剤の1.0重量部をさらに含む。
【0134】
処方1は、本発明の処方である。処方2〜5は、比較によるものである。
【0135】
処方1の押出物は、白いであり、平坦な表面組成を有し、かつほとんど臭いがない。
【0136】
処方2〜5の押出物は、全て茶褐色であり、すべてが粗い表面組成を有し、かつ顕著な臭いを有する。
【0137】
処方1
【0138】
【化45】
は、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの環状縮合物の一部を含む。
【0139】
処方2
【0140】
【化46】
は、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1、3,5−トリアジン、MW1200−3100の直鎖状縮合物であるオリゴマー化合物の一部を含む。
【0141】
処方3
【0142】
【化47】
は、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸、MW 3100−4000の縮合物であるオリゴマー化合物の一部を含む。
【0143】
処方4は、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを含むヒンダートアミン混合物の一部を含む。
【0144】
処方5
【0145】
【化48】
は、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンでエンドキャップした4,4′−ヘキサメチレンビス(アミノ−1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)および2,4−ジクロロ−6−[(1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジン、MW 2600−3400の縮合産物であるオリゴマー化合物の一部を含む。
【0146】
実施例2 高温工程
実施例1は、テトラブロモビスフェノール A、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)の5.5重量部と各処方の臭素化難燃剤を置き換えることを繰り返した。
【0147】
本発明の処方の押出物は、白色であり、平坦な表面組成であり、かつ臭いがほとんどない。
【0148】
4つの比較の処方の押出物は、茶褐色であり、それぞれが粗い表面組成および顕著な臭いを有する。
【0149】
実施例3 回転モールド工程によるポリエチレン中空品の調製
(通常のメルトインデックスが、3.5g/10分、密度が0.935g/cmの)ヘキセンと共重合した100重量部の密度であるポリエチレンをステアリン酸亜鉛の0.050重量部および追加の添加剤の組み合わせと乾式混合する。この混合物をMaddockの24:1L/Dスクリューを使用し、100rpmで混合して、Superior/MPM押出機内にて、232℃でペレット状に溶融しかつ混合する。この処方はさらに、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの本発明の環状縮合物の一部ならびにトリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩およびテトラブロモビスフェノール A、ビス(2,3−ジブロモプロピル エーテル)から選択される臭素化難燃剤の5つの部分を含む。
【0150】
この混合したペレットを、回転モールド工程の前に単一の特定の寸法(150〜500μm)に砕粉する。この砕粉ステップは、粒子の表面組成を増加させ、より早く熱吸収することを導き、したがって、総合的なエネルギー消費を減少させることとなる。
【0151】
この回転モールド工程を、実験室規模装置FSP M20 “Clamshell”で実行する。この砕粉した樹脂をアルミニウムのキャスト型に入れ、ガス燃焼オーブン中で2軸回転する。温度が4分以内に288℃まで上昇するように、高温の空気がチャンバー内の送風機により循環される。この温度を特定の時間維持する。その後、このオーブンを開け、さらに回転したまま、7分間霧状の水をスプレーした後、この型を7分間空気循環させて冷却し、さらに2分間追加的な冷却ステップを行う。全体の加熱および冷却のサイクルを通して、主要な軸の速度は、回転比4.5:1で6rpmを維持し、冷却サイクルの後、型を開き、この中空の対象物を除去する。