(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバコード同士や光ファイバケーブル同士の接続部の補強構造として、(1)光ファイバ心線同士の融着接続し、接続部に補強部材を配設し、内側チューブを被せて収縮させた後、さらに外側チューブを被せて収縮させるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来の補強スリーブ107を加熱補強する際の温度を示す図である。光ファイバコード同士や光ファイバケーブル同士の接続部の補強構造としては、他に、
図8に示すように、(2)内部チューブ101に光ファイバ心線123aと光ファイバ心線123bとの接続部125を収納し、内部チューブ101の外壁に沿って抗張力体103を配置し、内部チューブ101および抗張力体103を外部チューブ105で覆った状態で加熱し、内部チューブ101を溶融させつつ外部チューブ105を収縮させるものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、(1)の方法では、光ファイバ心線同士の融着後に、補強部材、内部チューブ、外部チューブを順次設置するため、工程が複雑であり、補強構造の形成に時間を要した。(2)の方法は、光ファイバ心線同士の接続部125を配置した補強スリーブ107を一体で加熱することにより、補強構造の形成を高速化するものであるが、光ファイバ心線同士の融着接続動作は20秒以下に高速化されているのに対し、補強スリーブ107による加熱補強を確実に行なうには一般に30〜40秒程度を要した。(2)の方法において、さらなる高速化を図るためには、補強スリーブ107による加熱補強に要する時間を短縮する必要があった。
【0006】
(2)の方法において、補強スリーブ107による加熱補強に要する時間を短縮するための対策として、加熱収縮に使用する発熱体の構造を工夫して加熱温度の上昇を図るものがあった。
【0007】
図9は、(2)の方法において、高速で補強構造を形成する過程を示す図である。
図9の(a)図は、光ファイバ心線123aと光ファイバ心線123bとの接続部125を補強スリーブ107の内部チューブ101に収納した状態を示す。(2)の方法では、
図9の(a)図に示す状態で、補強スリーブ107を発熱体に設置する。発熱体は、
図8の破線109に示すように、補強スリーブ107の設置前には、中央部の温度が高く、端部の温度が低くなるように温度勾配が設けられている。この温度設定は、補強スリーブ107の中央部から端部に向かって収縮を進めるためものである。
【0008】
図9の(b)図および
図9の(c)図は、外部チューブ105および内部チューブ101が変形する過程を示す。発熱体に補強スリーブ107を設置すると、
図8の実線111に示すように、補強スリーブ107を設置した部分の温度が下がり、補強スリーブ107の端部の外側の温度が相対的に高くなる。そのため、発熱体に設置した補強スリーブ107では、まず、
図9の(b)図に示すように、外部チューブ105の中央部115および端部113からの収縮、内部チューブ101の中央部117からの溶融が進む。次に、
図9の(c)図に示すように、外部チューブ105の端部113よりも発熱体の中央側に配置されている内部チューブ101の端部119からの溶融が始まる。
【0009】
図9の(d)図は、補強構造127が形成された状態を示す。加熱終了後は、
図9の(d)図に示すように、外部チューブ105が十分に収縮し、内部チューブ101が溶融して光ファイバ心線123の接続部125の周囲に固着する。しかし、補強構造127では、内部に空気層121が残る場合がある。
【0010】
空気層121は、外部チューブ105の端部113が内部チューブ101の端部119よりも先に収縮して開口部を閉ざしてしまい、内部チューブ101の内部から補強スリーブ7の外部への空気の押し出しが阻害されることにより、補強構造127内に残留する。補強構造127の内部に残留する空気層121や気泡は、光ファイバ接続部の長期信頼性を損なう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、内部に空気層や気泡を残すことなく、高速で光ファイバ心線の接続部を補強できる補強スリーブおよび光ファイバ心線の接続部の補強構造を提供することである。
【0012】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、光ファイバ心線の接続部を補強する補強スリーブであって、熱収縮性チューブと、前記熱収縮性チューブの内部に配置された筒状の熱溶融性部材と、前記熱溶融性部材に沿って、前記熱収縮性チューブの内部に配置された抗張力材と、を具備し、
前記熱収縮性チューブの断面は円形であって、前記熱溶融性部材は、内部に光ファイバ心線の接続部が配置可能であって、前記熱溶融性部材の断面は、円形
に凹みを設けて扁平された形状であって、
前記熱収縮性チューブの内壁に沿った円形部と、前記抗張力材の外周に沿った凹みを有し、前記熱溶融性部材は、前記熱収縮性チューブの内壁に沿って配置され、前記抗張力材は、前記熱溶融性部材の凹みの外壁に沿って配置されて、前記熱溶融性部材と前記抗張力材とが、位置ずれしないように固定されていることを特徴とする補強スリーブである。
【0013】
第1の発明の補強スリーブを用いれば、抗張力材を、熱溶融性部材の凹みの外壁に沿って配置することにより、抗張力材と熱溶融性部材との位置ずれが防止される。
【0014】
第2の発明は、熱収縮性チューブと、前記熱収縮性チューブの内部に配置された筒状の熱溶融性部材と、前記熱溶融性部材に沿って、前記熱収縮性チューブの内部に配置された抗張力材と、を具備する補強スリーブを用い、
前記熱収縮性チューブを円形の断面とし、前記熱溶融性部材を、円形
に凹みを設けて扁平された形状の断面とし、
前記熱収縮性チューブの内壁に沿った円形部と、前記抗張力材の外周に沿った凹みを有し、前記熱溶融性部材を、前記熱収縮性チューブの内壁に沿って配置し、前記抗張力材を、前記熱溶融性部材の凹みの外壁に沿って配置するとともに、前記補強スリーブの前記熱溶融性部材に光ファイバ
心線を挿通した状態で、前記光ファイバ心線の先端を他の光ファイバ心線の先端と融着接続し
て接続部を形成し、前記補強スリーブを前記光ファイバ心線の
前記接続部の位置に移動し、前記補強スリーブを加熱し、前記熱収縮性チューブを収縮させ、前記熱溶融性部材を溶融させることにより、前記抗張力材と前記光ファイバ心線の接続部とを一体化することを特徴とする光ファイバ心線の接続部の補強方法である。
【0015】
第2の発明によれば、抗張力材を、熱溶融性部材の凹みの外壁に沿って配置することにより、抗張力材と熱溶融性部材との位置ずれが防止される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内部に空気層や気泡を残すことなく、高速で光ファイバ心線の接続部を補強できる補強スリーブおよび光ファイバ心線の接続部の補強構造を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、補強スリーブ7の構成部材を示す図である。
図1の(a)図は熱溶融性部材1の斜視図、
図1の(b)図は抗張力材3の斜視図、
図1の(c)図は熱収縮性チューブ5の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、補強スリーブ7は、熱溶融性部材1、抗張力材3、熱収縮性チューブ5からなる。
図1の(a)図に示すように、熱溶融性部材1は、筒状の部材である。熱溶融性部材1は、断面が扁平な円形とするのが望ましい。熱溶融性部材1は、例えばエチレン酢酸ビニル(以下EVAとする)系の樹脂製である。熱溶融性部材1は、90℃以上で良好に溶融することが望ましい。
【0020】
図1の(b)図に示すように、抗張力材3は、棒状の部材である。抗張力材3は、断面を船形とするのが望ましい。抗張力材3は、ガラス製等とする。
図1の(c)図に示すように、熱収縮性チューブ5は、筒状の部材である。熱収縮性チューブ5は、断面を円形とするのが望ましい。熱収縮性チューブ5は、ポリエチレン(以下PEとする)系の樹脂製である。熱収縮性チューブ5は、120℃〜230℃程度で良好に収縮することが望ましい。
【0021】
図2は、補強スリーブ7の斜視図、
図3は、補強スリーブ7の概要を示す図である。
図3の(a)図は、補強スリーブ7の軸方向の断面図を、
図3の(b)図は、補強スリーブ7の周方向の立面図を、
図3の(c)図は、補強スリーブ7の周方向の断面図を示す。なお、
図3の(a)図は、
図3の(b)図に示す矢印C−Cによる断面図、
図3の(b)図は、
図3の(a)図に示す矢印Aの方向から見た立面図、
図3の(c)図は、
図3の(a)図に示す矢印B−Bによる断面図である。
【0022】
図2、
図3に示すように、補強スリーブ7では、熱収縮性チューブ5の内部11に、熱溶融性部材1および抗張力材3が配置される。抗張力材3は、熱溶融性部材1の外壁に沿って配置される。
図3の(a)図に示すように、熱溶融性部材1の長さ21は熱収縮性チューブ5の長さ19よりも長い。熱溶融性部材1は、端部17が、熱収縮性チューブ5の端部15から突出するように配置される。熱溶融性部材1の端部17の、熱収縮性チューブ5の端部15からの突出長さ23は、0.1mm以上、0.5mm未満とするのが望ましい。抗張力材3は、光ファイバ25(
図5)の補強に必要な長さとし、熱収縮性チューブ5の端部15から突出しないように配置される。
【0023】
図2、
図3の(a)図、
図3の(c)図に示すように、補強スリーブ7は、長さ方向の中央付近に、熱収縮性チューブ5と抗張力材3とを固定するかしめ固定部9を有する。かしめ固定部9では、熱により熱収縮性チューブ5と抗張力材3とが融着される。また、
図3の(c)図に示すように、補強スリーブ7は、熱溶融性部材1と抗張力材3との融着部分10を有する。融着部分10では、熱により熱溶融性部材1と抗張力材3とが融着される。
【0024】
次に、補強スリーブ7を用いて、光ファイバ心線の接続部を補強する方法について説明する。
図4は、補強スリーブ7を加熱補強する際の温度を示す図である。実線37は、第1の実施の形態における加熱補強時の発熱体温度を示す。破線35は、従来の方法による加熱補強時の発熱体温度を示す。実線37に示すように、第1の実施の形態では、発熱体温度が、破線35に示す従来の発熱体温度と比較して、発熱体の中央、端部ともに高温に設定される。但し、温度の上昇幅は発熱体の中央よりも端部の方が大きい。これは、加熱時間を短縮するためには、全体としての熱量を増す必要があるが、中央部の温度を上げ過ぎると、熱収縮チューブ等の焼きつき等の恐れがある。これに対し、従来は空気溜まり対策として端部温度を下げていたが、本発明では、この部分の温度を上昇させて熱量を増加させるとともに、端部の空気だまりを防止するものである。したがって、第1の実施の形態では、発熱体温度は略フラットに設定される。発熱体温度は、熱収縮性チューブ5の収縮温度や熱溶融性部材1の溶融温度に応じて適切に設定される。
【0025】
図5は、高速で補強構造33を形成する過程を示す図である。
図5の(a)図は、光ファイバ心線27aと光ファイバ心線27bとの接続部28を補強スリーブ7の熱溶融性部材1内に収納した状態を示す。補強構造33を形成するには、まず、補強スリーブ7の熱溶融性部材1に光ファイバコードや光ファイバケーブルなどの光ファイバ25を挿通し
た状態で、光ファイバ心線27aの先端を他の光ファイバ心線27bの先端と融着接続する。次に、補強スリーブ7を光ファイバ心線27の接続部28の位置に移動し、
図5の(a)図に示す状態とする。そして、
図5の(a)図に示す状態で、補強スリーブ7を発熱体に設置する。発熱体の温度は、
図4の実線37に示すように設定されている。
【0026】
図5の(b)図から
図5の(d)図は、熱収縮性チューブ5および熱溶融性部材1が変形する過程を示す。発熱体に設置した補強スリーブ7では、まず、
図5の(b)図に示すように、熱収縮性チューブ5の中央部29からの収縮および熱溶融性部材1の中央部31からの溶融が、矢印Dに示す方向に進む。また、熱収縮性チューブ5の端部15からの収縮が、矢印Eに示す方向に進む。
【0027】
補強スリーブ7では、
図5の(c)図に示すように、矢印Fに示す熱収縮性チューブ5の中央部29からの収縮および熱溶融性部材1の中央部31からの溶融の方が、矢印Gに示す熱収縮性チューブ5の端部15からの収縮よりも高速で進む。これは、補強スリーブ7では、熱溶融性部材1の端部17が熱収縮性チューブ5の端部15から突出しており、熱溶融性部材1の端部17が熱を吸収するとともに、外周に熱収縮チューブの無い領域が形成されるため、当該領域の熱溶融性部材1の変形(外周から潰される方向の変形)が抑制されることにより、熱収縮性チューブ5の端部15が収縮しにくくなるためである。
【0028】
補強スリーブ7では、
図5の(d)図に示すように、熱収縮性チューブ5の端部15からの収縮がある程度進んで熱溶融性部材1に追従する状態となった後、熱収縮性チューブ5の収縮および熱溶融性部材1の溶融が、矢印Hに示すように中央部から端部の方向に進む。
【0029】
図5の(e)図は、補強構造33が形成された状態を示す。加熱終了後は、
図5の(e)図に示すように、熱収縮性チューブ5が十分に収縮し、熱溶融性部材1が溶融して光ファイバ心線27の接続部28の周囲に固着する。第1の実施の形態では、
図5の(b)図から
図5の(e)図に示すように、熱収縮性チューブ5の端部15や熱溶融性部材1の端部17の開口部が、収縮や溶融により部材の内部から押し出された空気が外部に排出されるまで確保される。そのため、補強構造33では、内部に空気層や気泡が残留しない。
【0030】
このように、第1の実施の形態では、熱溶融性部材1と熱収縮性チューブ5、熱溶融性部材1と抗張力材3をあらかじめ固定しておくことにより、補強スリーブ7の構成部材が位置ずれしないよう一体化される。このため、補強構造33を形成するための各工程において、補強スリーブ7の扱いが容易となる。
【0031】
第1の実施の形態では、熱溶融性部材1の端部17が熱収縮性チューブ5の端部15から突出した補強スリーブ7を用いるため、熱収縮性チューブ5と熱溶融性部材1とを高速で同時に加熱する際、熱溶融性部材1の端部17が熱を吸収し、また、変形が抑制されることにより、熱収縮性チューブ5の端部15が収縮しにくくなる。そのため、補強スリーブ7の内部から押し出される空気が外部に完全に排出されるまで、熱溶融性部材1の端部17や熱収縮性チューブ5の端部15の開口部が確保され、補強構造33の内部に空気層や気泡が残留することがない。なお、通常は、接続部の外周に複数層の保護層を形成する場合には、それぞれの層に対して別々に加熱を行う必要がある。また、外部チューブに内部チューブをあらかじめ挿通した補強スリーブを用いる場合でも、通常は、外部チューブに内部チューブを挿通した後に所定長さに切断されるため、少なくとも内外チューブの長さが一致する。したがって、一体の補強スリーブを用いる場合には、内部チューブが外部チューブの両端から突出することはない。
【0032】
また、熱溶融性部材1の端部17の、熱収縮性チューブ5の端部15からの突出長さ23を0.1mm以上、0.5mm未満とすることにより、補強構造33の外観不良や位置による強度のばらつきの発生等を防止できる。
【0033】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図6は、補強スリーブ7aの概要を示す図である。
図6の(a)図は補強スリーブ7aの斜視図、
図6の(b)図は補強スリーブ7aの軸方向の断面図、
図6の(c)図は補強スリーブ7aの周方向の立面図である。
図6の(b)図は、
図6の(c)図に示す矢印J−Jによる断面図、
図6の(c)図は、
図6の(b)図に示す矢印Iの方向から見た立面図である。
【0034】
図6に示すように、補強スリーブ7aは、熱溶融性部材1a、抗張力材3a、熱収縮性チューブ5aからなる。熱溶融性部材1aは、筒状の部材である。熱溶融性部材1aの断面は、凹みを有する扁平な円形とするのが望ましい。熱溶融性部材1aは、例えばEVA系の樹脂製である。抗張力材3aは、棒状の部材である。抗張力材3aは、断面を円形とするのが望ましい。抗張力材3aは、金属製等とする。熱収縮性チューブ5aは、筒状の部材である。熱収縮性チューブ5aは、断面を円形とするのが望ましい。熱収縮性チューブ5aは、PE系の樹脂製である。
【0035】
補強スリーブ7aでは、熱収縮性チューブ5aの内部11aに、熱溶融性部材1aおよび抗張力材3aが配置される。上述した熱溶融性部材1aの凹みは、抗張力材3aの外周に沿った形状とする。補強スリーブ7aでは、抗張力材3aを、熱溶融性部材1aの凹みの外壁に沿って配置することにより、抗張力材3aと熱溶融性部材1aとの位置ずれが防止される。
【0036】
図6の(b)図に示すように、熱溶融性部材1aの長さ21aは熱収縮性チューブ5aの長さ19aよりも長い。熱溶融性部材1aは、端部17aが、熱収縮性チューブ5aの端部15aから突出するように配置される。熱溶融性部材1aの端部17aの、熱収縮性チューブ5aの端部15aからの突出長さ23aは、0.1mm以上、0.5mm未満とするのが望ましい。抗張力材3aは、熱収縮性チューブ5aの端部15aから突出しないように配置される。
【0037】
図7は、補強スリーブ7aを用いた補強構造33aの斜視図である。補強構造33aの形成方法は、第1の実施の形態の補強構造33の形成方法と同様である。すなわち、補強スリーブ7aの熱溶融性部材1aに光ファイバ25を挿通した状態で、光ファイバ心線の先端を他の光ファイバ心線の先端と融着接続した後、補強スリーブ7aを光ファイバ心線の接続部の位置に移動し、補強スリーブ7aを発熱体に設置して加熱する。発熱体の温度は、
図4の実線37に示すように設定されている。
【0038】
発熱体を用いた加熱により、補強スリーブ7aでは、熱収縮性チューブ5aが収縮し、熱溶融性部材1aが溶融して光ファイバ心線の接続部の周囲に固着して、補強構造33aが形成される。熱収縮性チューブ5aの収縮および熱溶融性部材1aの溶融の過程は、第1の実施の形態における熱収縮性チューブ5の収縮および熱溶融性部材1の溶融の過程と同様である。補強構造33aにおいても、熱収縮性チューブ5aの端部15aや熱溶融性部材1aの端部17aの開口部が、収縮や溶融により部材の内部から押し出された空気が外部に排出されるまで確保されるため、内部に空気層や気泡が残留しない。
【0039】
このように、第2の実施の形態においても、熱溶融性部材1aの端部17aが熱収縮性チューブ5aの端部15aから突出した補強スリーブ7aを用いる。そのため、熱収縮性チューブ5aと熱溶融性部材1aとを高速で同時に加熱する際、補強スリーブ7aの内部から押し出される空気が外部に完全に排出されるまで熱溶融性部材1aの端部17aや熱収縮性チューブ5aの端部15aの開口部が確保され、補強構造33aの内部に空気層や気泡が残留することがない。
【0040】
また、熱溶融性部材1aの端部17aの、熱収縮性チューブ5aの端部15aからの突出長さ23aを0.1mm以上、0.5mm未満とすることにより、補強構造33aの外観不良や位置による強度のばらつきの発生等を防止できる。
【0041】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。