(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着テープを使用し、下記工程(A)〜(C)を含む半導体ウェハの加工方法であって、該半導体ウェハ表面保護用粘着テープの、ステンレス鋼に対する23℃での粘着力が0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ該粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上であり、前記粘着剤層に、酸価が20〜50(mgKOH/g)の(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
(A)半導体ウェハの表面に前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープを貼合する工程
(B)前記半導体ウエハの、前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープの貼合面とは反対側の表面を研削する工程、および、
(C)前記半導体ウェハから前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープを剥離する工程
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されている表面保護テープでは、密着面積が小さくかつ完全に回路パターン等に追従しない。そのため、研削時に表面保護テープ端部に水やダストが付着し、研削中に研削水やダストが表面保護テープ端部から内部へ浸透するシーページと呼ばれる現象が発生してしまう。そして、このシーページの発生により、研削水やダストが、表面保護テープの半導体ウェハに密着していない部分まで到達し、表面保護テープの浮きが生じてしまうという問題がある。
【0009】
従って、本発明は、上記問題点に鑑み、半導体ウェハを研削しても半導体ウェハの破損やシーページが生じず、容易に半導体ウェハから剥離することができ、糊残りを抑制することができる半導体ウェハ表面保護用粘着テープおよび半導体ウェハの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した。その結果、粘着剤層の特定温度におけるステンレス鋼(Steel Use Stainless、SUS、以下、「ステンレス鋼」または「SUS」と称することもある。)に対する粘着力が所定の範囲内にあり、かつ、粘着剤層の純水に対する接触角が特定の関係を満たす表面保護テープを作成するに至った。この表面保護テープは、半導体ウェハの表面に段差の大きい集積回路や狭ピッチの突起電極が形成されていても、半導体ウェハから容易に剥離することができ、剥離後のウェハ表面への糊残りを抑えられることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
(1)基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着テープであって、
ステンレス鋼に対する23℃での粘着力が0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ
前記粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上
であり、前記粘着剤層に、酸価が20〜50(mgKOH/g)の(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(2)前記粘着剤層のタック力が、100〜350KPaであることを特徴とする(1)に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(3)前
記(メタ)アクリル系ポリマー
の水酸基価が0〜
1.9(mgKOH/g)であって、前記粘着剤層が、該(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して硬化剤を
0.2〜5質量部含有する粘着剤組成物から得られてなることを特徴とする(1)または(2)に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(4)前記硬化剤が、グリシジルアミノ構造を有するエポキシ硬化剤であることを特徴とす
る(3
)に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(5)前記粘着剤層が、感圧型粘着剤層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(6)前記(メタ)アクリル系ポリマーが溶液重合法によるポリマーであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(7)前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミドおよびメタクリルアミドから選択されるモノマー成分のみからなることをを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(8)前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープが、表面の段差が30〜50μmである半導体ウェハに使用するものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の半導体ウェハ表面保護用粘着テープ。
(
9)基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着テープを使用し、下記工程(A)〜(C)を含む半導体ウェハの加工方法であって、該半導体ウェハ表面保護用粘着テープの、ステンレス鋼に対する23℃での粘着力が0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ該粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上
であり、前記粘着剤層に、酸価が20〜50(mgKOH/g)の(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
(A)半導体ウェハの表面に前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープを貼合する工程
(B)前記半導体ウエハの、前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープの貼合面とは反対側の表面(半導体ウェハの裏面)を研削する工程、および、
(C)前記半導体ウェハから前記半導体ウェハ表面保護用粘着テープを剥離する工程
(
10)前記粘着剤層の厚みが、前記半導体ウェハ表面の凹凸段差と同じ、または該段差よりも大きいことを特徴とする(
9)に記載の半導体ウェハの加工方法。
【0012】
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「粘着剤層表面」というときには、特に断わりのない限り、基材フィルムの貼合面とは反対側の粘着剤層の表面を意味する。
本明細書において、凹凸を有する半導体ウエハ表面に半導体ウエハ表面保護用粘着テープを貼合するとは、粘着剤層表面を半導体ウエハ表面に向けて貼合することを意味する。
本明細書において、滴下直後とは、純水を粘着剤層に滴下後60秒経過するまでの範囲を表す。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」との用語は、アクリル及びメタクリルのいずれか又は双方を含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープは、半導体ウェハの凹凸表面に貼合し、該半導体ウェハ裏面を研削等して薄膜半導体ウェハに加工した場合に、ダストや研削水の浸入を防止することができるだけでなく、容易に剥離することができ、剥離後の半導体ウェハ表面への糊残りも抑えられる。
また、本発明の半導体ウェハの加工方法によれば、薄膜半導体ウェハを高い歩留まりで得ることができる。すなわち、本発明の半導体ウェハの加工方法は、薄膜半導体ウェハの製造方法として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープは、基材フィルムの少なくとも片面に、少なくとも1種類の粘着剤が塗布され、粘着剤層が形成されている。以下、本実施形態の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの各構成要素について詳細に説明する。
【0016】
<基材フィルム>
本発明に用いられる基材フィルムの材質としては、半導体ウェハの裏面を研削加工するときの衝撃からの保護を主目的とするものであって、特に水洗浄等に対する耐水性と加工部品の保持性を有することが重要である。このような基材フィルムとしては、例えば、特開2004−186429号公報に記載のものを挙げることができる。
基材フィルムの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のエンジニアリングプラスチック、またはポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。またはこれらの群から選ばれる2種以上が混合されたものもしくは複層化されたものでもよい。基材フィルムの厚みは50〜200μmが好ましい。
【0017】
<粘着剤層の構成>
(ベースポリマー)
本発明に用いられる粘着剤層は、紫外線などで硬化させることなく、そのまま剥離可能な感圧型の粘着剤層が好ましい。粘着剤層を構成するベースポリマーは特に限定されるものではないが、通常用いられる、アクリル(Acrylic)構造[CH
2=CH―C(=O)―またはCH
2=C(CH
3)―C(=O)―基を有するモノマーから得られた構造]を有するポリマーを主成分として用いることができる。本発明において、粘着剤層は、後述の粘着剤組成物を重合反応させてなるランダムまたは相互重合ポリマーが好ましい。
ここで、ベースポリマーとは、粘着剤層を構成するポリマー全体のうち、80質量%以上を占めるのが好ましい。
ベースポリマーとして(メタ)アクリル構造を有するポリマーを用いることにより、粘着力の制御が容易になり、ゲル分率等をコントロールできる。そのため、半導体ウェハが有機物によって汚染されることや、半導体ウェハ表面保護用粘着テープの剥離後に半導体ウェハに粘着剤が残存するのを低減することができる。
【0018】
ベースポリマーにおける(メタ)アクリル構造は、(メタ)アクリル系ポリマーをさらに架橋させることにより得ることができる。
ここで、「(メタ)アクリル系ポリマー」とは、(メタ)アクリル酸エステル単独重合体または(メタ)アクリル酸エステルを主たる構成単量体単位(好ましくは90質量%以上)とする共重合体を意味する。
共重合体の(メタ)アクリル系ポリマー((メタ)アクリル系共重合体)としては、例えば特開2003−82307号公報のように(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー混合物と、ラジカル重合性官能基を含みエチレンあるいはプロピレンオキサイド平均付加モル数が15以下のノニオンまたはアニオン系反応性乳化剤と、レドックス系重合開始剤によるエマルション重合により得られるアクリルエマルション系重合体を主成分とすることができる。
【0019】
本発明において、(メタ)アクリル系ポリマーは後述する硬化剤と反応しうる官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体の製造方法の1つとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のモノマー(1)と、後述する硬化剤と反応しうる官能基を有するモノマー(2)を有機溶剤中で共重合させる方法が挙げられる。
【0020】
モノマー(1)としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
モノマー(2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
(メタ)アクリル系共重合体は上記モノマー(1)と(2)を常法により溶液重合法によって共重合させることによって得られる。
【0023】
(硬化剤)
本発明において、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は硬化剤を含んでいることが好ましい。硬化剤は、(メタ)アクリル系ポリマーが有する官能基と反応させて粘着力および凝集力を調整するために用いられるものである。例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンなどの分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物などが挙げられる。
【0024】
また、本発明における粘着剤組成物は、上記エポキシ系化合物とともに、下記硬化剤を含んでいても良く、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどの分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物、テトラメチロール−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロール−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネートなどの分子中に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン系化合物等が挙げられる。
本発明において、硬化剤として上記エポキシ化合物を1種用いることが好ましい。
【0025】
粘着剤組成物における硬化剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.2〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。
【0026】
((メタ)アクリル系ポリマーの酸価および水酸基価)
(メタ)アクリル系ポリマーの酸価は、10〜70(mgKOH/g)が好ましく、20〜70(mgKOH/g)がより好ましく、30〜60(mgKOH/g)がさらに好ましく、30〜50(mgKOH/g)が特に好まし
く、本発明では、20〜50(mgKOH/g)である。
一方、(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価は、0〜5(mgKOH/g)が好ましく、0〜3(mgKOH/g)がより好まし
く、本発明では、0〜1.9(mgKOH/g)が好ましい。
粘着剤組成物における硬化剤の含有量、(メタ)アクリル系ポリマーの酸価および水酸基価が上記範囲内にあることで、表面保護テープにおける粘着剤層の粘着力を制御し、粘着剤層の高い凝集力で糊残りおよびシーページの発生を効果的に抑制することができる。
【0027】
酸基は硬化剤のような共有結合ではないが、酸基同士で疑似架橋を構成するため、高い凝集力を得るために必要であり、糊残りの抑制に効果がある。
また、酸価と水酸基価が同じである場合、酸基と硬化剤で架橋を形成する反応の際に水酸基が反応を阻害し、粘着剤層の経時安定性が悪くなる場合がある。また、水酸基を多く含んだ場合、同粘着力であっても凝集力は酸基よりも低く糊残りが生じてしまう場合がある。そのため、酸価が水酸基価より大きいことが好ましい。
【0028】
なお、(メタ)アクリル系ポリマーは、半導体ウェハ表面への追従性の観点から、その質量平均分子量は10万〜150万が好ましい。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定したものとする。
【0029】
<粘着剤層の物理的特性>
(ステンレス鋼に対する粘着力)
本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープは、23℃でのステンレス鋼に対する粘着力が、0.3〜10N/25mm、かつ50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下である。ここで、ステンレス鋼は、JIS G 4305に規定されているSUS304鋼板で、鏡面仕上げのものを研磨紙で磨いたものである。磨き方についてはJIS Z 0237に基づき仕上げられており、研磨紙は280番の粗さのものを用いている。なお、粘着力の測定方法は後述する。
【0030】
23℃でのステンレス鋼に対する粘着力が、0.3N/25mm未満であると、スクライブラインにダストや研削水が浸入しやすくなる。また、23℃でのステンレス鋼に対する粘着力が、10N/25mmを越えると、加熱しても粘着力の低下が少なく、剥離不良のリスクが高まる。
23℃での粘着力は貼合や研削時の表面保護テープの半導体ウェハに対する密着性に関係する。加熱は、粘着剤層を構成するポリマーを架橋させ、研削後の表面保護テープを半導体ウェハから剥離する際に必要となる。50℃に加熱したときのステンレス鋼に対する粘着力が23℃での粘着力の40%を超えると、加熱して表面保護テープを半導体ウェハから剥離する際糊残りしやすくなる。
上記の要因としては定かではないが、粘着剤層中では硬化剤とは別に酸基で疑似的な架橋形成が行われており、高温になるにつれて徐々に疑似架橋が破壊され凝集力が下がる。50℃に加熱したときのステンレス鋼に対する粘着力が23℃での粘着力の40%を超えると、その粘着力が凝集力より大きくなり半導体ウェハの表面段差に引っかかって千切れが生じると考えられる。
【0032】
本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの粘着剤層表面における純水の接触角は、純水滴下直後は100°以上であり、105°以上が好ましい。一方、滴下から10分後の純水の接触角は65°以上であり、75°以上が好ましい。
【0033】
半導体ウェハ表面保護用粘着テープの粘着剤層表面における純水の接触角が、純水滴下直後100°未満であると、耐水性が低いため半導体ウェハの裏面を研削したときにシーページを引き起こしてしまう。また、滴下から10分後の純水の接触角は65°未満であると水の浸透率が高く耐水性が低いため、半導体ウェハの裏面を研削した時にシーページを引き起こしてしまうことがある。
【0034】
接触角の上限に特に制限はないが、純水滴下直後は120°以下、滴下から10分後は100°以下が実際的である。
純水滴下直後の接触角が120°を超えると、半導体ウェハへの濡れ性が低くなりすぎて、密着性が不十分となる場合がある。
【0035】
本発明におけるタック力および純水の接触角φの調整は、上記の素材の種類、ポリマーの組成(組み込むモノマー成分の種類と量)、硬化剤や光重合開始剤の使用の有無、種類や使用量で所望の範囲に調整することができる。
【0036】
(粘着剤層のタック力)
本発明において、粘着剤層のタック力は、100〜350kPaが好ましく、150〜240kPaがより好ましく、170から200kPaが特に好ましい。粘着剤層のタック力が100〜350kPaであると、ダスト浸入をより良好に防止することができ、剥離を軽減することができる。なお、タック力の測定方法は後述する。
【0037】
(粘着剤層の厚み)
粘着剤層は、例えば、上述の(メタ)アクリル系ポリマーと硬化剤とを含む粘着剤組成物を、基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。粘着剤層の厚みは、半導体ウェハ表面の凹凸段差(半導体ウェハ表面の表面段差)と同じ、または該段差よりも大きいことが好ましく、10〜100μmが好ましく、半導体ウェハの表面段差よりも10μm以上厚いことが好ましい。半導体ウェハの表面段差とは、半導体ウェハの集積回路が形成されていない部分の表面から、集積回路が形成されている部分の表面までの長さ、すなわち集積回路の突起電極のうちの一番高い突起電極の高さである。粘着剤層の厚みを半導体ウェハの表面段差よりも10μm以上厚くすることにより、この表面段差に対して粘着剤層が追従しやすくなる。粘着剤層の厚みを半導体ウェハの表面段差よりも10〜40μm厚くすることが好ましく、20〜30μm厚くすることが好ましい。本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの粘着剤層は、表面段差50μm以下の半導体ウェハに好適に追従させることができる。なお、粘着剤層は複数の層が積層された構成であってもよい。また、基材フィルムと粘着剤層の間に、必要に応じてプライマー層などの中間層を設けてもよい。
なお、本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの粘着剤層が適用される半導体ウェハの厚みは特に制限されないが、30〜300μmが好ましい。
【0038】
また、必要に応じて、実用に供するまでの間、粘着剤層を保護するため通常セパレータとして用いられる合成樹脂フィルムを粘着剤層表面に貼付しておいても良い。合成樹脂フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムや紙などが挙げられる。合成樹脂フィルムの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていても良い。合成樹脂フィルムの厚みは、通常10〜100μm、好ましくは25〜50μm程度である。
【0039】
<半導体ウェハ表面保護用粘着テープの使用方法>
次に、本発明の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの使用方法の一例について説明する。
本発明の表面保護テープを適用する半導体ウェハに特に制限はなく、任意の形態の半導体ウェハの加工に適用可能である。
本発明の表面保護テープを用いた半導体ウェハの加工方法(以下、「本発明の加工方法」という。)は、少なくとも下記工程(A)〜(C)を含む。
【0040】
(A)半導体ウェハの表面に本発明の表面保護テープを貼合する工程
半導体ウェハの回路パターン面(半導体ウェハの表面)に、粘着剤層表面が貼合面となるように、本発明の表面保護テープを貼合する。
(B)前記半導体ウェハの、本発明の粘着テープの貼合面とは反対側の表面(半導体ウェハの裏面)を研削する工程
半導体ウェハの回路パターンの無い面側を半導体ウェハの厚みが所定の厚み、例えば10〜100μmになるまで研削する。
(C)前記半導体ウェハから本発明の粘着テープを剥離する工程
表面保護テープの貼合された面を下側にして加熱吸着台に載せ、その状態で、半導体ウェハの回路パターンの無い研削した面側に、ダイシング・ダイボンディングフィルムを、貼合用ロールを使用して貼合する。その後、表面保護テープの基材フィルムの背面に、ヒートシールタイプ(熱融着タイプ)の剥離テープを接着して半導体ウェハから表面保護テープを剥離する。
ここで、前記表面保護テープは、23℃でのステンレス鋼に対する粘着力が0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ該粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上である。
【0041】
本発明の加工方法を用いることで、薄膜半導体ウェハを高い歩留まりで得ることができる。すなわち、本発明の半導体ウェハの加工方法は、薄膜半導体ウェハの製造方法として好適である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
<<粘着剤組成物の調製>>
<調製例1>
2−エチルヘキシルアクリレートを90質量部、メタクリル酸メチルを5質量部、メタクリル酸を5質量部を酢酸エチル中で、55℃で10時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量50万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製、商品名「コロネートL」)を0.5質量部、エポキシ硬化剤(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)を0.6質量部配合し、粘着剤組成物を得た。水酸基価は0mgKOH、酸価は31mgKOHであった。
なお、質量平均分子量のGPC法による測定条件を以下に示す。
【0044】
[GPC法による測定条件]
使用機器:高速液体クロマトグラフィーLC−20AD[株式会社島津製作所製、商品名]
カラム:Shodex Column GPC KF−805[株式会社島津製作所製、商品名]
溶離液:クロロホルム
測定温度:45℃
流量:3.0ml/min
RI検出器:RID−10A
【0045】
<調製例2>
エポキシ硬化剤の配合量を2.2質量部に変更した以外は、調製例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
【0046】
<調製例3>
エポキシ硬化剤の配合量を1.2質量部に変更した以外は、調製例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
【0047】
<調製例4>
ブチルアクリレートを45質量部、2−エチルヘキシルアクリレートを50質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを1質量部、メタクリル酸を3質量部、を酢酸エチル中で、50℃で10時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量35万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製、製品名「コロネートL」)を1.0質量部、エポキシ硬化剤(三菱ガス化学社製、製品名「テトラッドC」)を0.5質量部配合し、粘着剤組成物を得た。
【0048】
<調製例5>
ブチルアクリレートを45質量部、2−エチルヘキシルアクリレートを50質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを4質量部、メタクリル酸を1.5質量部、を酢酸エチル中で、55℃で10時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量70万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製、製品名「コロネートL」)を2.0質量部、エポキシ硬化剤(三菱ガス化学社製、製品名「テトラッドC」)を0.1質量部配合し、粘着剤組成物を得た。
【0049】
<調製例6>
エチルアクリレートを30質量部、ブチルアクリレートを60質量部、メタクリル酸を15質量部、を酢酸エチル中で、55℃で10時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量45万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製、製品名「コロネートL」)を0.5質量部、エポキシ硬化剤(三菱ガス化学社製、製品名「テトラッドC」)を0.5質量部配合し、粘着剤組成物を得た。
【0050】
<比較用調製例1>
エポキシ硬化剤の配合量を0.1質量部に変更した以外は、調製例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
【0051】
<比較用調製例2>
ブチルアクリレートを96質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを4質量部、を酢酸エチル中で、50℃で10時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量70万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製、製品名「コロネートL」)を1.5質量部配合し、粘着剤組成物を得た。
【0052】
<比較用調製例3>
2−エチルヘキシルアクリレートを80質量部、メタクリル酸エチルを1質量部、メタクリル酸を9質量部、を酢酸エチル中で、60℃で15時間反応させることにより重合させ、得られた質量平均分子量100万の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、エポキシ硬化剤(三菱ガス化学社製、製品名「テトラッドC」)を1.0質量部配合し、粘着剤組成物を得た。
【0053】
<<半導体ウェハ表面保護用粘着テープの作製>>
【0054】
<実施例1>
調製例1の粘着剤組成物を厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)のセパレータ上に、乾燥後の膜厚が40μmとなるように粘着剤組成物を塗布し、乾燥させた後、厚み165μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム上に貼り合わせることで積層して、半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。
【0055】
<実施例2、3、
参考例1および比較例1>
調製例1の粘着剤組成物を、それぞれ調製例2、3、5の粘着剤組成物に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2、3、
参考例1に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。一方、調製例1の粘着剤組成物を比較用調製例1の粘着剤組成物に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。
【0056】
<実施例4及び比較例2>
調製例1の粘着剤組成物を調製例4の粘着剤組成物に変え、乾燥後の膜厚が30μm、EVAフィルムの厚さを100μmとした以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。一方、調製例4の粘着剤組成物を比較用調製例2の粘着剤組成物に変えた以外は、実施例4と同様にして比較例2に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。
【0057】
<実施例
5及び比較例3>
調製例1の粘着剤組成物を調製例6の粘着剤組成物に変え、乾燥後の膜厚が20μm、EVAフィルムの厚さを110μmとした以外は同様にして実施例
5に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。一方、調製例6の粘着剤組成物を比較用調製例3の粘着剤組成物に変えた以外は、実施例
5と同様にして比較例3に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを作製した。
【0058】
<半導体ウェハ表面保護用粘着テープの性質>
上記のようにして作製した各実施例
、参考例および各比較例の半導体ウェハ表面保護用粘着テープの粘着力、接触角およびタック力を以下のようにして測定した。
得られた値を下記表1にまとめて示す。
【0059】
(23℃におけるSUSに対する粘着力)
実施例
、参考例および比較例に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープから幅25mm×長さ300mmの試験片を3点採取した。JIS R 6253に規定する280番の耐水研磨紙で仕上げたJIS G 4305に規定する厚み2.0mmのSUS鋼板上に、各試験片を2kgのゴムローラを3往復かけて圧着し、1時間放置後、測定値がその容量の15〜85%の範囲に入るJIS B 7721に適合する引張試験機(商品名:ストログラフVE10、東洋精機製作所社製)を用いて23℃での粘着力を測定した。測定は、180度引きはがし法によるものとし、この時の引張速さは300mm/minとした。
【0060】
(50℃に加熱したときのSUSに対する粘着力)
上記23℃におけるSUSに対する粘着力の測定と同様の手順で、試験片をSUS板側からホットプレートで加熱し、50℃に安定させて、180度引きはがし法でSUS板から剥離を行った時の粘着力を測定した。
【0061】
(粘着剤層表面の純水滴下直後の純水の接触角φの測定)
上記のようにして作製した各実施例
、参考例および各比較例の表面保護テープの粘着剤層表面での純水の接触角φは、接触角計(商品名:FACE接触角計CA−S150型、協和界面科学社製)を用いてθ/2法で、温度23℃、相対湿度50%の条件で測定し、純水2μLの液滴容量で、滴下30秒後に読み取った。
【0062】
(粘着剤層表面の純水滴下10分後の純水の接触角φの測定)
上記のようにして作製した各実施例
、参考例および各比較例の表面保護テープの粘着剤層表面での純水の接触角φは、接触角計を用いてθ/2法で、温度23℃、相対湿度50%の条件で測定し、純水2μLの液滴容量で、滴下10分後に読み取った。
【0063】
(タック力の測定)
タック力は、応力緩和測定装置の「タック試験機(商品名:TACII、(株)レスカ製)」により、以下のようにして23℃で測定した。
上記のようにして作製した各実施例
、参考例および各比較例の表面保護テープから、幅25mm×長さ250mmの試験片を採取し、この試験片を試験機に設置し、圧子をこの試験片に接触させ、試験片の基材背面側(粘着剤組成物塗工面と反対側)に、3mmφ円柱状プローブを30mm/minの速度で押し込み、停止荷重100gで1sec保持後に600mm/minの速度で引き上げる際の荷重(タック力)を測定した。
【0064】
(酸価)
酸価の測定は、JIS K 5407の11.1に準じて行なう。
(a)試薬
・ブロムチモールブルー指示薬
・0.01N水酸化カリウム−エタノール溶液
・アセトン試薬1級
(b)操作
約10gの(メタ)アクリル系ポリマーを正確に三角フラスコに秤り取り、アセトン50mlに溶解し、ブロムチモールブルー指示薬を3〜4滴加える。これを0.01N水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定する。
(c)計算
次式によって酸価を求める。
【0065】
【数1】
【0066】
V:0.01N水酸化カリウム−エタノール溶液の滴定量(ml)
f:0.01N水酸化カリウム−エタノール溶液のファクター
S:(メタ)アクリル系ポリマー採取量
【0067】
(水酸基価)
水酸基価の測定は、JIS K 0070に準拠して行う。
(a)試薬
・アセチル化試薬(無水酢酸−ピリジン)
・N/2水酸化カリウム−エタノール溶液
(b)操作
(メタ)アクリル系ポリマーの試験片をアセチル化試薬でアセチル化した後、過剰の酢酸をN/2水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定する。
(c)計算
次式によって水酸基価を求める。
【0068】
【数2】
【0069】
V :本試験のN/2水酸化カリウム−エタノール溶液の滴定量(ml)
VB:空試験のN/2水酸化カリウム−エタノール溶液の滴定量(ml)
F :N/2水酸化カリウム−エタノール溶液のファクター
S :(メタ)アクリル系ポリマー採取量(g)
AV:(メタ)アクリル系ポリマーの酸価(mgKOH/g)
【0070】
また、上記の実施例
、参考例及び比較例に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープについて、以下の試験を行い、その性能を評価した。評価結果を表1に示す。
【0071】
(研削試験)
貼り付け機として日東精機(株)製のDR8500III(商品名)を用いて、半導体ウェハに実施例
、参考例及び比較例に係る半導体ウェハ表面保護用粘着テープを貼合した。半導体ウェハとしては、厚みが725μmの8インチウェハの上に約8μm厚のポリイミド膜を形成し、更に幅500μm、深さ5μmスクライブラインを形成したものを用いた。その後、インライン機構を持つグラインダー((株)ディスコ製のDFG8760(商品名))を使用して、半導体ウェハについて厚み100μm厚みまで研磨を行った。また、半導体ウェハの強度向上のため、ドライポリッシュにて最終仕上げを行った。
【0072】
(研削性評価)
上記方法で研削した半導体ウェハについて、目視にて半導体ウェハに割れ及びクラック(ひび)が発生しているか否かを観察した。その結果を表1に示す。割れ及びクラックが無く良好に研削できたものを「A」、クラックが見られるものの、外周部に局在してウェハ中心部まで到達せず、割れはなく研削できたものを「B」、クラックがウェハ中心部まで到達し、割れが発生したものを「C」で示した。
「A」および「B」が実用上問題の無い品質である。
【0073】
(糊残り評価:加熱剥離)
剥離実験にて50℃で剥離を行った半導体ウェハ表面の観察を行い、光学顕微鏡にてバルク状またはヒゲ上の糊残りの有無を評価した。その結果を表1に示す。半導体ウェハで糊残りがなかったものを「A」、一部糊残りが見られたが実用上問題無いものを「B」、糊残りが発生し実用上問題があるものをとして「C」で示した。
【0074】
(ダスト又は研削水浸入評価)
上記方法で研削した半導体ウェハについて、光学顕微鏡によりスクライブラインを観察した。その結果を表1に示す。スクライブラインにダスト又は研削水が浸入していなかったものを「A」、研削水が浸入しているが、ウェハ外周部に止まっていたものを「B」スクライブラインにダスト又は研削水が浸入していたものを「C」で示した。
「A」および「B」が実用上問題の無い品質である。
【0075】
(剥離性評価)
上記方法にて研削実験で100μm厚まで研削した半導体ウェハを、インライン機構を持つマウンターRAD2700(商品名、リンテック株式会社)にて剥離実験を行った。剥離の際、表面保護テープを50℃に加熱しながら剥離を行い、以下のランクで評価した。
A:1回目の試行で表面保護テープを半導体ウェハから剥離でき、かつ半導体ウェハに破損が見られなかったもの
B:1回目の試行では表面保護テープを半導体ウェハから剥離できなかったが、2〜3回目の試行で剥離でき、かつ半導体ウェハに破損が無かったもの
C:3回を超える試行でも表面保護テープを半導体ウェハから剥離することが困難であった、または剥離中に半導体ウェハに破損が発生したもの
「A」および「B」が実用上問題の無い品質である。
【0076】
【表1】
【0077】
表1で示すように、実施例1〜
5は、粘着剤層の常温(23℃)でのステンレス鋼に対する粘着力が、0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が常温の際の粘着力の40%以下であり、かつ粘着剤層表面の接触角で純水滴下直後は100°以上、滴下から10分後の純水での接触角は65°以上であったため、研削性評価、糊残り評価、ダストト又は研削水浸入評価、剥離性評価のすべてにおいて、良好な結果であった。
【0078】
一方、比較例1は、50℃に加熱したときの粘着力が常温の際の粘着力の40%超であったため、粘着力が糊の凝集力より大きくなり糊残り評価、剥離性評価が「C」となった。またダスト侵入に関しても粘着剤層表面の接触角で純水滴下直後は100°未満、滴下から10分後の純水での接触角は65°未満であったため、表面保護テープ端部から半導体ウェハ表面と粘着剤層の間にダスト等が侵入し「C」となった。また、50℃に加熱したときの粘着力が常温の際の粘着力の40%超であり、タック力が高かったことからも剥離性評価が「C」となった。
【0079】
また、比較例2は、酸価が0であり、粘着剤層の凝集力が低かったため、糊残り評価が「C」となった。
【0080】
また、比較例3は、50℃に加熱したときの粘着力が常温の際の粘着力の40%超であり、粘着剤層表面の接触角で滴下から10分後の純水での接触角は65°未満であったため、剥離性評価が「C」となった。
半導体ウェハを研削しても半導体ウェハの破損やシーページが生じず、容易に半導体ウェハから剥離することができる、糊残りの抑制された半導体ウェハ表面保護用粘着テープ、及び当該テープを用いた半導体ウェハの加工方法を提供する。
基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着テープであって、ステンレス鋼に対する23℃での粘着力が0.3〜10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ前記粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上である半導体ウェハ表面保護用粘着テープ及びこれを用いた半導体ウェハの加工方法。