(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーブル屈曲部材は、トラフの幅方向に対する寸法よりも、トラフの長手方向に対する寸法の方が大きいことを特徴とする請求項10に記載のトラフへのケーブル敷設構造。
前記ケーブル屈曲部材は、前記基底部の幅方向の中央に設けられることを特徴とする請求項10、請求項14または請求項15のいずれかに記載のトラフへのケーブル敷設構造。
前記ケーブル屈曲部材が、トラフへのケーブル敷設構造の長手方向に対して、略等間隔で形成されることを特徴とする請求項10または請求項14から請求項16のいずれかに記載のトラフへのケーブル敷設構造。
前記ケーブル屈曲部材は、複層構造であり、前記基底部に固定された支柱と、前記支柱に対して着脱可能な筒状体からなることを特徴とする請求項10または請求項14から請求項17のいずれかに記載のトラフへのケーブル敷設構造。
前記ケーブル屈曲部材は、前記基底部から上方に起立する支柱部と、前記支柱部の起立方向に垂直な方向に突出する突起部からなることを特徴とする請求項10または請求項14から請求項18のいずれかに記載のトラフへのケーブル敷設構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、トラフ内のケーブルの盗難が問題視されている。ケーブルの盗難方法としては、例えば、トラフ敷設方向に対して所定の間隔をあけて2か所の蓋を外し、それぞれの部位でケーブルを切断した後、ケーブルを一方から引っ張り出す。このようにして、トラフ内からケーブルを抜き取って持ち去るものである。
【0005】
このため、特殊な工具がないと蓋の固定が外れないような固定具を用いて、蓋を開けることを困難にするような対応が採られる。しかし、前述した様に、抜き取るケーブルの長さの全長にわたって蓋を開ける必要はないことから、蓋の固定方法を多少工夫しても、一部の蓋のみを外せばよいことから、ケーブルの盗難防止としては十分ではなかった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ケーブルの盗難が困難であるトラフ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達するために第1の発明は、内部にケーブルが収容されるトラフであって、基底部と、前記基底部の両側に起立する側壁部と、を具備し、前記側壁部の間であって、前記基底部の上面には、ケーブル屈曲部材が起立することを特徴とするトラフである。ケーブル屈曲部材とは「ケーブルを屈曲させる部材」であり、このケーブル屈曲部材は、トラフ本体と一体に設けても、別体に設けても良い。
【0008】
前記ケーブル屈曲部材は、基部側に対して先端側が細くなる先細り形状であることが望ましい。
【0009】
前記ケーブル屈曲部材は、前記基底部の幅方向の中央に設けられることが望ましい。
【0010】
前記ケーブル屈曲部材は、トラフの長手方向に所定間隔で複数配置されてもよい。
【0011】
前記ケーブル屈曲部材は、トラフの幅方向に対する寸法よりも、トラフの長手方向に対する寸法の方が大きくしてもよい。
【0012】
前記ケーブル屈曲部材は、複層構造であり、前記基底部に固定された支柱と、前記支柱に対して着脱可能な筒状体からなってもよい。
【0013】
前記ケーブル屈曲部材は、前記基底部から上方に起立する支柱部と、前記支柱部の起立方向に垂直な方向に突出する突起部からなってもよい。
【0014】
前記トラフは、蓋部を有し、前記ケーブル屈曲部材の頭部には固定部が設けられ、前記蓋部の前記固定部に対応する部位には孔が設けられ、前記蓋部の上方から前記孔に固定部材を挿入して前記固定部に固定可能であってもよい。
【0015】
前記ケーブル屈曲部材は、回転軸と前記回転軸を中心に回転する回転部と、前記回転部の回転角度を規制する回転規制部と、を具備し、ケーブルとの接触によって前記回転部が回転するようにしてもよい。
【0016】
第1の発明によれば、トラフ内部にケーブル屈曲部材が起立するため、トラフ内部にケーブルを敷設する際に、ケーブル屈曲部材を用いて、ケーブルを蛇行させることができる。このため、ケーブルとケーブル屈曲部材との接触によって、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。この結果、トラフからケーブルを一方向に引っ張り出すことが困難となる。このため、ケーブル盗難を抑制することができる。
【0017】
また、ケーブル屈曲部材を、基部側から先端側に行くにつれて細くなる先細り形状とすることで、トラフ内にケーブルを収容する際に、収容作業が容易となる。
【0018】
また、ケーブル屈曲部材が、基底部の幅方向の中央に形成されることで、トラフ幅方向に対して均等にケーブルを蛇行させることができる。
【0019】
また、ケーブル屈曲部材を、トラフの長手方向に所定間隔で複数配置することで、トラフの長さよりも短いピッチでケーブルを蛇行させることができる。ケーブルの蛇行ピッチを小さくすることで、ケーブル引き抜き時に、ケーブルがケーブル屈曲部材を所定個数毎に交互に跨いで繰り返して曲げられるため、ケーブルの引き抜き抵抗も大きくすることができる。
【0020】
ここで、ケーブル屈曲部材のトラフ幅方向寸法を小さくすると、側壁とケーブル屈曲部材との間のスペースが広くなるため、ケーブルの収容容量が大きくなる。また、ケーブル屈曲部材のトラフ長手方向寸法を大きくすると、ケーブルとケーブル屈曲部材との接触面積を増やすため、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。このように、ケーブル屈曲部材の、トラフの幅方向に対する寸法よりも、トラフの長手方向に対する寸法の方を大きくすることで、ケーブルの収容容量を確保しつつ、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。
【0021】
また、ケーブル屈曲部材を複層構造として、筒状体を支柱部に着脱可能とすることで、ケーブル屈曲部材のサイズを容易に調整することができる。例えば、トラフをプレス加工によって製造し、トラフ本体とケーブル屈曲部材を一体成型する場合には、製造上、ケーブル屈曲部材を大きくすることが困難である。このような場合には、必要なケーブル屈曲部材のサイズに応じて、筒状体を被せることで、所望の大きさのケーブル屈曲部材を得ることができる。
【0022】
また、ケーブル屈曲部材は、支柱部と突起部とで構成することができる。すなわち、突起部とケーブルとを接触させて、ケーブルの引き抜き抵抗を上げてもよい。このような突起部は、支柱部と一体加工でも良く、着脱可能としてもよい。
【0023】
また、トラフ本体と蓋部との従来の固定方法に加え、ケーブル屈曲部材の頭部と蓋部とをボルトなどの固定部材で固定することで、従来の固定方法のみの場合と比較して、より強固に蓋部を固定することができる。
【0024】
また、ケーブル屈曲部材を、回転軸と回転部とで構成することで、ケーブルが引っ張られると、回転部が回転して、ケーブルを回転部と側壁部とで挟み込み、ケーブルの引き抜きに対抗することもできる。
【0025】
第2の発明は、第1の発明にかかるトラフと、前記トラフに収容されたケーブルと、を具備するケーブル敷設構造であって、前記トラフが長手方向に複数連結され、前記ケーブルは、前記トラフの内部の前記ケーブル屈曲部材に、前記ケーブル屈曲部材を所定個数毎に交互に跨いで掛けられて、前記トラフの敷設方向に対して蛇行させて敷設されることを特徴とするケーブル敷設構造である。
【0026】
前記ケーブル屈曲部材が、ケーブル敷設構造の長手方向に対して略等間隔で形成されてもよい。
【0027】
第3の発明は、第1の発明にかかるトラフを長手方向に複数連結して設置し、ケーブルを、少なくとも一部の前記ケーブル屈曲部材に、前記ケーブル屈曲部材を所定個数毎に交互に跨いで掛かけて、前記トラフの敷設方向に対して蛇行させて敷設することを特徴とするケーブル敷設方法である。ここで、敷設されたケーブルの屈曲部の曲げ半径がケーブル直径の10倍以上であれば、ケーブルの許容曲げ半径以上であるため、ケーブルを痛めることがない。
【0028】
第2、第3の発明によれば、ケーブルを抜き取ることが困難なケーブル敷設構造を得ることができる。
【0029】
この際、ケーブル屈曲部材がケーブル敷設構造の長手方向に対して略等間隔に配置されれば、ケーブルを一定の曲率で蛇行させることができる。またケーブル屈曲部材がケーブル敷設構造の長手方向に対して不等間隔に配置されれば、一部にケーブル強屈曲部を形成することができ、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ケーブルの盗難が困難であるトラフ等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明にかかるトラフ1の、トラフ本体と蓋部との分解斜視図であり、
図2はトラフ1(蓋部3を除く)の平面図である。
【0033】
トラフ1は、主に、本体部2と蓋部3からなる。本体部2、蓋部3は、例えば樹脂製であり、プレス成型や射出成型によって成型される。トラフ1は、例えば、1m程度の長さである。なお、本発明においては、蓋部3を除く本体部2のみについても、単にトラフと称する場合がある。
【0034】
トラフ1の本体部2は、主に、側壁部5、基底部7、嵌合部11a、11b、ケーブル屈曲部材9等からなる。基底部7の両側には、基底部7に対して略垂直に側壁部5がそれぞれ起立する。
【0035】
また、本体部2の長手方向の両端には、それぞれ嵌合部11a、11bが設けられる。嵌合部11aは、凹溝を有し、嵌合部11bは、凹溝に対応した突起を有する。このため、一の本体部2の嵌合部11aと、隣り合う他の本体部2の嵌合部11bとを互いに嵌合させることで、トラフ1同士を連結することができる。
【0036】
基底部7の上面(側壁部5の起立方向)には、ケーブル屈曲部材9が起立する。なお、図示した例では、ケーブル屈曲部材9は、本体部2の長手方向に2か所形成される例を示すが、本発明はこれに限られない。ケーブル屈曲部材9は、本体部2の長手方向の3か所以上の複数個所に形成してもよく、一つのみでもよい。
【0037】
また、ケーブル屈曲部材9の断面形状は、図示したような円形でなくてもよい。例えば、四角形や六角形などの多角形や、楕円形など、適宜設計することができる。
【0038】
ここで、ケーブル屈曲部材とは、本体部2内部で、ケーブルを蛇行させることが可能なように、基底部7の一部に所定間隔を開けて起立する部位である。したがって、本体部2の長手方向に連続して形成されるような隔壁は、ケーブルを蛇行させることができず、むしろ、ケーブルの蛇行を抑制するためのものであるため、本発明のケーブル屈曲部材9とは異なる。すなわち、本発明のケーブル屈曲部材9は、本体部2の長手方向の一部にのみ設けられて、本体部2の長手方向の全長に対して、ケーブル屈曲部材9が形成されない部位の方が十分に長いものである。
【0039】
図3は、
図2のA−A線断面図であり、ケーブル屈曲部材9の断面図である。ケーブル屈曲部材9は、本体部2と一体で形成される。すなわち、例えばプレス加工などによって本体部2を形成する際に、同時にケーブル屈曲部材9が形成される。ケーブル屈曲部材9は、本体部2の幅方向の略中央に設けられることが望ましい。ケーブル屈曲部材9と側壁部5との間のスペースが、左右で同一となるためである。このため、後述するケーブル敷設時に、左右均等にケーブルを蛇行させることができる。
【0040】
また、ケーブル屈曲部材9は、基底部7(基部側)に対して先端側が細くなる先細り形状である。すなわち、ケーブル屈曲部材9の基底部7に平行な断面において、少なくともケーブル屈曲部材9の幅方向寸法が、先端側に行くにつれて小さくなる。このようにすることで、本体部2の上方から、本体部2の内部にケーブルを敷設する際、ケーブルを本体部2の内部に収容しやすい。また、プレス成形などにより成形する際に、材料の移動が容易で、成形しやすい。
【0041】
ケーブル屈曲部材9の頭部(ケーブル屈曲部材9の上端部近傍)には、固定部15aが設けられる。固定部15aは、例えばナットなどの雌ねじ部材が埋め込まれて形成される。固定部15aは、蓋部3との固定に用いられる。
【0042】
図1に示すように、蓋部3には孔13a、13bが設けられる。孔13aは、前述した固定部15a(ケーブル屈曲部材9)に対応した部位に設けられる貫通孔である。孔13aの上方から、ボルトなどの固定部材を挿通して、固定部15aと固定することで、蓋部3を本体部2に固定することができる。
【0043】
同様に、孔13bは、本体部2に設けられた固定部15bに対応した部位に設けられる貫通孔である。孔13bの上方から、ボルトなどの固定部材を挿通して、固定部15bと固定することで、蓋部3を本体部2に固定することができる。なお、孔13a、13bは、ざぐり穴であり、ボルトなどの固定部材の頭部が蓋部3の上面には突出しない。
【0044】
次に、トラフ1を用いたケーブル敷設構造について説明する。
図4は、ケーブル敷設構造10を示す平面図(蓋部3を除く)であり、
図5は、ケーブル屈曲部材9の断面図である。ケーブル敷設構造10は、複数のトラフ1が長手方向に連結され、さらに、トラフ1内にケーブル17が敷設される。なお、図に示す例では、ケーブル17が一本の例を示すが、ケーブル17のサイズや本数は、図示した例には限られず、複数種類のケーブルが複数本敷設されてもよい。
【0045】
ケーブル17は、トラフ1の敷設方向に複数設けられるケーブル屈曲部材9に対して左右交互に掛けられる。すなわち、ケーブル17は、トラフ1の敷設方向に対して蛇行するように敷設される。この際、
図5に示すように、ケーブル17が、ケーブル屈曲部材9に接触するため、ケーブル17を一方から引き抜こうとした際の抵抗となり、ケーブル17への引張力に対抗することができる。
【0046】
なお、ケーブル屈曲部材9の高さは、側壁部5とほぼ同等であることが望ましい。このようにすることで、前述したように、固定部材19によって、ケーブル屈曲部材9の上部に形成される固定部15aとの接合が容易である。また、蓋部3を閉じた際に、蓋部3の下面がケーブル屈曲部材9と接触する。このため、蓋部3の上方からの荷重をケーブル屈曲部材9で受けることができる。このためトラフ1の耐荷重を高めることができる。
【0047】
ここで、ケーブル屈曲部材9は、ケーブル敷設構造10の長手方向に対して略等間隔で形成される(図中B)。このようにすることで、ケーブル17を一定のピッチで波形状に敷設することができる。したがて、ケーブル17の一部に強い曲げ力などが付与されることを抑制することができる。
【0048】
ケーブル屈曲部材9を等間隔に配置するためには、ケーブル屈曲部材9が1か所に形成される場合には、トラフ1の長手方向の中央にケーブル屈曲部材9を配置すればよい。すなわち、ケーブル屈曲部材9から、トラフ1の両端部までのそれぞれの距離を同一とすればよい。
【0049】
また、ケーブル屈曲部材9が複数配置される場合には、トラフ1の長手方向の両端側に配置されるケーブル屈曲部材9からトラフ1の端部までの距離を、ケーブル屈曲部材9同士の間隔の略1/2とすればよい。例えば、ケーブル屈曲部材9が2か所に形成される場合には、ケーブル屈曲部材9から本体部2の端部までの距離(図中C)を、ケーブル屈曲部材9同士の間隔(図中B)の1/2とすればよい。
【0050】
なお、ケーブル17の敷設方法としては、
図6に示すケーブル敷設構造10aのようにしてもよい。ケーブル敷設構造10aでは、ケーブル17が、すべてのケーブル屈曲部材9に対して交互に蛇行させて敷設されるのではなく、複数のケーブル屈曲部材9ごとに交互に蛇行させて敷設される。このようにすることで、ケーブル17の許容曲げ半径(ケーブル17を曲げることが可能な最小曲げ半径であって、例えばケーブル17の寸法により異なるが、概ね半径の6〜10倍の範囲にある。そこで、ケーブル17の直径が大きい場合であっても、半径の10倍程度の曲げ半径に以上の曲率半径で敷設すれば、ケーブル17に無理な曲げ力を加えることなく、ケーブルを痛めることなく、蛇行させて敷設することができる。
【0051】
以上のように、本発明では、ケーブル17をケーブル屈曲部材9に対して、ケーブル屈曲部材9を所定個数毎に交互に跨いで配置することで、蛇行させて敷設することができる。ケーブル17がケーブル屈曲部材9を跨ぐ所定個数は、1個でも、2個、3個でも良く、必要に応じてケーブル屈曲部材9を跨ぐ個数を組み合わせて適宜設定できる。
【0052】
また、ケーブル17の敷設方法としては、
図7に示すケーブル敷設構造10bのようにしてもよい。ケーブル敷設構造10bでは、ケーブル屈曲部材9が、ケーブル17の敷設方向に対して等間隔ではない。すなわち、トラフ1の端部側に配置されるケーブル屈曲部材9からトラフ1の端部までの距離(図中F)が、ケーブル屈曲部材9同士の間隔(図中D)の1/2ではない(図に示す例では、F<D/2)。このため、ケーブル屈曲部材9は、間隔Dの部位で配置される部分と、間隔E(距離Fの2倍)で配置される部分とが形成される。
【0053】
このように配置されたケーブル屈曲部材9に対して、ケーブル17をケーブル屈曲部材9交互に跨ぐように掛けて蛇行させて敷設すると、ケーブル17は、部分的に強く曲げられる。このように、強く曲げられる部分では、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。このように、意図的に、ケーブル屈曲部材9の配置ピッチを変えてもよい。ケーブル屈曲部材9の配置ピッチを短くすることで、ケーブル引き抜き時の抵抗を大きくすることができる。
【0054】
第1の実施の形態によれば、ケーブル屈曲部材9によって、ケーブル17を蛇行させて敷設することができる。このため、ケーブル17の引き抜き抵抗を大きくすることができる。この結果、ケーブル17の盗難を抑制することができる。
【0055】
また、ケーブル屈曲部材9が、先端に行くにつれて径が細くなる先細り形状であるため、ケーブル17をトラフ1に上方から落としこんで敷設することができることから、ケーブル17をトラフに収容することが容易である。また、ケーブル屈曲部材9をトラフ1の幅方向の中央に配置することで、ケーブル17を左右均等に蛇行させることができる。
【0056】
また、ケーブル敷設方向に対してケーブル屈曲部材9が等間隔となるように配置することで、ケーブル17を一定のピッチで波形状に敷設することができる。したがて、ケーブル17の一部に強い曲げ力などが付与されることを抑制することができる。また、あえて、ケーブル17の一部を強く曲げることで、ケーブル17の引き抜き抵抗をより強くすることができる。
【0057】
また、ケーブル屈曲部材9の頭部に固定部15aを設け、蓋部3との固定に用いることで、蓋部3をより強固に固定することができる。
【0058】
また、ケーブル屈曲部材9の高さを側壁部5と同一にすれば、蓋部3を閉じた際に、蓋部3からの荷重をケーブル屈曲部材9でも受けることができる。このため、トラフ1の耐荷重を増すと同時にトラフ断面の剛性を高めることができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
図8は、ケーブル屈曲部材9aを示す断面図である。なお、以下の実施の形態において、ケーブル屈曲部材9等と同一の機能を奏する構成については、
図1〜
図7と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0060】
ケーブル屈曲部材9aは、ケーブル屈曲部材9とほぼ同様であるが、本体部2と一体ではなく着脱可能である点で異なる。ケーブル屈曲部材9aは、本体部2とは別に成型される。本体部2の基底部7には、固定部21が設けられる。ケーブル屈曲部材9aは、固定部21に固定される。
【0061】
例えば、固定部21には、ナットを埋設しておき、ケーブル屈曲部材9aの下端にボルト部を形成するか、ボルトを埋め込む。本体部2は、例えばプレス成型し、ケーブル屈曲部材9aは、他の加工方法で成型してもよい。なお、ケーブル屈曲部材9aは中空形状としてもよい。
【0062】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、ケーブル屈曲部材9aが着脱可能であるため、ケーブル屈曲部材9aを容易に交換することができる。また、本体部2の成型時に、成型可能なケーブル屈曲部材9のサイズの制約がないため、任意のサイズのケーブル屈曲部材9aを用いることができる。
【0063】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
図9は、ケーブル屈曲部材9bを示す断面図である。ケーブル屈曲部材9bは、支柱23と筒状体25から構成される。支柱23は、ケーブル屈曲部材9とほぼ同様である。筒状体25は、支柱23の形状に対応した内面形状を有する筒状の部材である。筒状体25は、支柱23に対して着脱可能である。
【0064】
前述したように、ケーブル屈曲部材9は、本体部2と同時に成型される。このため、成型可能なケーブル屈曲部材のサイズには限界がある。このため、本実施形態では、成型可能なサイズで、本体部2と一体で支柱23を成型し、支柱23に筒状体25を嵌め込むことでケーブル屈曲部材9bを構成する。ケーブル屈曲部材9bとして必要なサイズの筒状体25を準備することで、筒状体25によって、ケーブル屈曲部材9bのサイズおよび強度を、さらにケーブルと筒状体の間に生じる摩擦力を調整することができる。
【0065】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、筒状体25が着脱化のであるため、敷設するケーブル17のサイズや量に応じて、ケーブル屈曲部材9bのサイズを容易に変更することが可能である。また、大きなサイズのケーブル屈曲部材を本体部2と同時に成型する必要がないことから、製造性が良好である。
【0066】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
図10は、ケーブル屈曲部材9cを有するトラフ1aの平面図(蓋部3は図示省略)である。ケーブル屈曲部材9cは、略円柱形のケーブル屈曲部材9等と異なり、断面形状が偏平形状である。
【0067】
トラフ1aは、トラフ1aの幅方向に対するケーブル屈曲部材9cの寸法(図中G)よりも、トラフ1aの長手方向に対するケーブル屈曲部材9cの寸法(図中H)の方が大きい。例えば、このような形状としては、楕円形、長円形、凸レンズ型などの形状があげられる。ケーブル屈曲部材9cの幅方向寸法を小さくすることで、ケーブル屈曲部材9cと側壁部5の間の空間を大きくすることができる。このため、より多くのケーブル17をトラフ1aに収容することができる。
【0068】
一方、ケーブル屈曲部材9cの長手方向の寸法を大きくすることで、ケーブル17を掛けた際に、ケーブル17とケーブル屈曲部材9cとの接触長さを大きくし、その結果両者の接触面積を大きくすることができる。このため、ケーブル17の引き抜き抵抗をより大きくすることができる。
【0069】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、ケーブル屈曲部材9cを偏平形状とすることで、ケーブル17の収容容量を確保するとともに、ケーブル引き抜き抵抗を高めることができる。
【0070】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
図11は、ケーブル屈曲部材9dを有するトラフ1bの平面図(蓋部3は図示省略)であり、
図12は、ケーブル屈曲部材9dの分解斜視図である。ケーブル屈曲部材9dは、支柱部27と、突起部29とからなる。
【0071】
支柱部27は、前述したケーブル屈曲部材9等とほぼ同様の構造であるが、
図12に示すように、支柱部27の外周面には複数の溝31が形成される。溝31は、支柱部27の高さ方向にまっすぐに形成される。また、溝31は、周方向に所定のピッチで形成され、対向する一対の溝31を一組として、複数組の溝31が形成される。なお、支柱部27は、上方に向かうにつれて先細り形状としてもよく、同一径であってもよい。
【0072】
突起部29は、板状の部材である。突起部29には、支柱部27に対応した切欠きが形成される。突起部29は、支柱部27に形成された溝31に差し込むことができる。突起部29を支柱部27に取り付けることで、突起部29の両端が支柱部27の径方向に突出する。突起部29が、ケーブル17と接触する部位となる。
【0073】
また、突起部29は、支柱部27の複数の溝31のいずれにも挿入可能である。したがって、突起部29を差し込む溝31を選ぶことで、支柱部27に対して、突起部29の径方向に突出するトラフ長手方向に対する角度を選ぶことができる。
【0074】
図11に示すように、突起部29が、ケーブルの敷設ライン(図中I)に沿う方向となるように、支柱部27に突起部29を取り付ける。このようにすることで、突起部29を、ケーブル17の蛇行形状のガイドとして機能させることができる。また、敷設するケーブル17の蛇行ラインに応じて、突起部29の方向を調整することができる。
【0075】
なお、
図13に示すように、支柱部27aと突起部29aとで構成したケーブル屈曲部材9eを適用することもできる。支柱部27aには、外周に溝を形成するのではなく、径方向に貫通するスリット33が形成される。スリット33は、支柱部27aの複数の方向に向けて形成される。スリット33には、突起部29aが挿入される。したがって、突起部29aには、突起部29のような切欠きは不要である。
【0076】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、支柱部27、27aに突起部29、29aを差し込むことでケーブル屈曲部材を構成することで、ケーブル17の蛇行方向に沿った方向に、突起部29、29aを配置することができる。
【0077】
なお、ケーブルの蛇行方向が決まっている場合には、支柱部と突起部とを着脱可能とせずに、一体で構成することもできる。
【0078】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。
図14は、ケーブル屈曲部材9fの平面図、
図15は、ケーブル屈曲部材9fを有するトラフ1cの平面図(蓋部3は図示省略)である。ケーブル屈曲部材9fは、支柱部27b、回転部35等からなる。
【0079】
回転部35は、支柱部27bの回転軸37を中心として回転可能である(図中矢印J)。支柱部27bには、回転規制部39が設けられる。回転規制部39は、回転部35の回転範囲を規制するものである。すなわち、回転部35は、支柱部27bに対して、所定の角度範囲だけ回転可能である。
【0080】
回転部35は、支柱部27bに対して、両側に突出する突起部である。回転部35の先端部には、ゴム部材41が設けられる。ゴム部材41は、ケーブル17の外面との摩擦を増す部位である。なおゴム部材41の先端は、ケーブル17との接触面積が増えるよう、先端が丸くなっていることが好ましい。
【0081】
図15に示すように、ケーブル屈曲部材9fによって、ケーブルの敷設ラインが蛇行する。この際、回転規制部39によって、回転部35の回転が規制されているため、回転部35の一方の端部がケーブル17に接触した状態が維持される。
【0082】
図16は、
図15のK部拡大図であり、ケーブル17が敷設された場合のケーブル屈曲部材9fの拡大図である。前述したように、回転部35の端部が、ケーブル17に接触する。この際、ゴム部材41によって、ケーブル17と回転部35のすべりが抑制される。この状態から、ケーブル17に引張力が付与されると(図中矢印L)、回転部35は、ケーブル17の移動によって回転する。
【0083】
図17は、回転部35が回転した状態を示す図である。回転部35の支柱部27bからの突出長さは、支柱部27bと側壁部5の距離からケーブル17の径を引いた距離よりも長い。このため、回転部35が回転すると(図中矢印M)、回転部35によって、ケーブル17が側壁部5との間で挟み込まれる。したがって、ケーブル17の移動が規制され、引き抜き抵抗を高めることができる。
【0084】
なお、ケーブル17が逆方向に引っ張られた場合には、他のケーブル屈曲部材9fが、同様の動作を行い、ケーブル17の引き抜き抵抗を高めることができる。すなわち、複数のケーブル屈曲部材9fは、ケーブル17の敷設方向に対して、互いに逆向きとなるように配置される。
【0085】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、ケーブル17が引っ張られた際に、回転部35によって、ケーブル17を側壁部5との間で挟み込んで、ケーブル17の引き抜きに対抗することができる。また、ケーブル17を敷設する際には、回転部35と側壁部5との間には、十分な隙間があるため、ケーブル17の敷設作業は容易である。
【0086】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
トラフ1の本体部2は、主に、側壁部5、基底部7、嵌合部11a、11b、ケーブル屈曲部材9等からなる。基底部7の両側には、基底部7に対して略垂直に側壁部5がそれぞれ起立する。基底部5の上面(側壁部5の起立方向)には、ケーブル屈曲部材9が起立する。ケーブル17は、トラフ1の敷設方向に複数設けられるケーブル屈曲部材9に対して、ケーブル屈曲部材9を所定個数毎に交互に掛けられる。すなわち、ケーブル17は、トラフ1の敷設方向に対して蛇行するように敷設される。この際、