(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
行方向及び列方向に配列した複数の画素を備え、入力映像の画像データを所定ビット数のビットデータに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記ビットデータの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記入力映像から表示映像を生成して階調表示を行う表示装置において、
nを自然数として、前記入力映像における連続する、フレーム番号(2n−1)の第1フレーム及びフレーム番号2nの第2フレームのそれぞれの画像データに基づいて、所定数の上位ビットを抽出する上位ビット処理部と、
前記入力映像における連続する前記第1及び第2フレームの画像データを合算する下位ビット処理部と、
前記下位ビット処理部により合算された画像データから前記上位ビット処理部により抽出された上位ビットを含む画像データを減算して得られた画像データから、第1の所定位置及び第2の所定位置の下位ビットを抽出し、前記上位ビット処理部により第1フレームから抽出された所定数の上位ビットと前記第1の所定位置の下位ビットとを合成すると共に、前記上位ビット処理部により第2フレームから抽出された所定数の上位ビットと前記第2の所定位置の下位ビットとを合成し、前記合成した連続する2つのフレームの画像データを表示映像として出力する合成部と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
行方向及び列方向に配列した複数の画素を備えた表示装置により、入力映像の画像データを所定ビット数のビットデータに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記ビットデータの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理にて、前記入力映像から表示映像を生成して階調表示を行う表示方法において、
nを自然数として、前記入力映像における連続する、フレーム番号(2n−1)の第1フレーム及びフレーム番号2nの第2フレームのそれぞれの画像データに基づいて、所定数の上位ビットを抽出する第1のステップと、
前記入力映像における連続する前記第1及び第2フレームの画像データを合算する第2のステップと、
前記第2のステップにより合算した画像データから前記第1のステップにより抽出した上位ビットを含む画像データを減算して得られた画像データから、第1の所定位置及び第2の所定位置の下位ビットを抽出する第3のステップと、
前記第1のステップにより第1フレームから抽出した所定数の上位ビットと前記第3のステップにより抽出した第1の所定位置の下位ビットとを合成する第4のステップと、
前記第1のステップにより第2フレームから抽出した所定数の上位ビットと前記第3のステップにより抽出した第2の所定位置の下位ビットとを合成する第5のステップと、
前記第4のステップ及び第5のステップにより合成した連続する2つのフレームの画像データを表示映像として出力する第6のステップと、
を有することを特徴とする表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明の実施形態は、高輝度成分である輝度重みの大きいSFの表示映像については、所定の階調数よりも大きい画像データを生成し、入力映像と同じフレーム周波数で扱い、低輝度成分である輝度重みの小さいSFの表示映像については、所定の階調数よりも大きい画像データを生成し、入力映像よりも低いフレーム周波数で扱うことを特徴とする。ここで、人間の視覚追従は、高輝度成分の映像に対して早く、低輝度成分に対して遅いという特性がある。したがって、高輝度成分のSFを高いフレーム周波数で表示することにより、動画質の改善効果が期待される。
【0017】
また、本発明の実施形態では、時間的に隣接する2個の入力映像のフレームを平均化した画像(以下、メタフレームという。)をSFに分割し、所定の低輝度成分である輝度重みの小さいSFを決定する。表示映像における輝度重みの小さいSFは、隣接するフレームにおいて異なる重みを持つものとし、例えば、最初のフレームが64,32,8,1の重みに対応する4ビットのSFにて構成され、次のフレームが64,32,4,2の重みに対応する4ビットのSFにて構成される場合、各フレームにおいて輝度重みの小さい下位のSFである8及び1の重みに対応するビットのSF、並びに4及び2の重みに対応するビットのSFに対してはメタフレームのSF値を与える。この結果、両フレーム(最初のフレームと次のフレームと)を合算(加算)した値は、両フレームをそれぞれ4ビットで表現した場合に比べ、メタフレームに近い値を取ることになる。このように、本発明の実施形態では、メタフレームにおける低輝度成分(通常よりも低いフレーム周波数で画像を見た場合の実際の低輝度成分)を、隣接する表示映像のフレームに分配するようにしたから、静止画の階調再現性を向上させることができる。したがって、動画質に関わる高輝度成分のフレーム周波数を維持しながら、階調性を向上させることができる。
【0018】
〔表示装置〕
まず、本発明の実施形態による表示装置について説明する。
図1は、表示装置の構成を示すブロック図であり、
図2は、表示装置における画像データのフローを示す図である。
図1及び
図2の実施形態では、横480画素、縦260画素、1画素あたりの階調数256(8ビット)の静止画を1フレームとする。表示装置1は、1秒あたり120フレーム(すなわち120fps)の動画像を入力映像の8ビット画像F
i(N)として入力し、5つのSFに分割した表示映像の画像D(N)を出力するものとする。また、表示装置1は、1秒あたり600のSFを出力することが可能であり、したがって、120fpsの映像であれば1フレームあたり5つのSFを割り当てることができる。8ビット画像F
i(N)は、フレーム番号Nの画素値を示す。
【0019】
図1を参照して、この表示装置1は、減色部10−1,10−2、上位抽出部11−1,11−2、平均化部(合算部)12、減色部13、加算部14、減算部15及び合成部16−1,16−2を備えている。減色部10−1,10−2及び上位抽出部11−1,11−2により上位ビット処理部が構成され、平均化部12、減色部13、加算部14及び減算部15により下位ビット処理部が構成される。表示装置1は、入力映像における2フレームの8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)を入力し、表示映像を構成する5つのSFのうち上位3ビットのSFが、階調数32(5ビット)よりも大きい階調数64(6ビット)及び120fpsのデータにて構成され、下位2ビットのSFが、入力映像を平均化したデータであって、階調数32(5ビット)よりも大きい階調数128(7ビット)及び60fpsのデータにて構成された2フレームの画像D(N),D(N+1)を表示映像として出力する。
表示装置1は、8ビット画像Fi(N),Fi(N+1)の処理の後、入力映像における2フレームの8ビット画像Fi(N+2),Fi(N+3)を入力し、2フレームの画像D(N+2),D(N+3)を生成し表示映像として出力する。
【0020】
減色部10−1は、入力映像の8ビット画像F
i(N)を入力し、減色処理により8ビットの画像データを6ビットの画像データに変換し、6ビット画像F
6(N)を生成して上位抽出部11−1に出力する。6ビット画像F
6(N)の構成は、
図2のd1のようになる。
図2のd1において、「1,2,4,8,16,32」は、6ビット画像F
6(N)における各ビットの重みを示し、6ビット画像F
6(N)の階調数は64(6ビット)である。尚、6ビット画像F
6(N)を生成する減色処理には、例えば、誤差拡散を行いながら下位ビットを削除するSteavenson&Archeのディザリングアルゴリズムが用いられる。この減色処理は既知であるから、ここでは説明を省略する。本発明では、減色処理を、Steavenson&Archeのディザリングアルゴリズムによる処理に限定するものではない。
【0021】
上位抽出部11−1は、減色部10−1から6ビット画像F
6(N)を入力し、高輝度成分に相当する所定の上位3ビットを抽出し、ダミー(0)の下位2ビットと抽出した上位3ビットとを合成した合計5ビットにより構成される上位ビット画像F
3(N)を生成し、上位ビット画像F
3(N)を加算部14及び合成部16−1に出力する。この上位ビット画像F
3(N)における上位3ビットのデータは、当該表示装置1により生成される表示映像の画像D(N)の高輝度成分に割り振られる。上位ビット画像F
3(N)の構成は、
図2のd2のようになる。
図2のd2に示すように、上位ビット画像F
3(N)は、5ビットにより構成された120fpsのデータであり、上位3ビットが6ビット画像F
6(N)の上位3ビットと同じである。また、上位ビット画像F
3(N)の階調数は32(5ビット)である。
【0022】
減色部10−2は、減色部10−1と同様の処理を行い、入力映像の8ビット画像F
i(N+1)を入力し、減色処理により8ビットの画像データを6ビットの画像データに変換し、6ビット画像F
6(N+1)を生成して上位抽出部11−2に出力する。6ビット画像F
6(N+1)の構成は、
図2のd3のようになる。
図2のd3において、「1,2,4,8,16,32」は、6ビット画像F
6(N+1)における各ビットの重みを示し、6ビット画像F
6(N+1)の階調数は64(6ビット)である。
【0023】
上位抽出部11−2は、上位抽出部11−1と同様の処理を行い、減色部10−2から6ビット画像F
6(N+1)を入力し、高輝度成分に相当する所定の上位3ビットを抽出し、ダミー(0)の下位2ビットと抽出した上位3ビットとを合成した合計5ビットにより構成される上位ビット画像F
3(N+1)を生成し、上位ビット画像F
3(N+1)を加算部14及び合成部16−2に出力する。この上位ビット画像F
3(N+1)における上位3ビットのデータは、当該表示装置1により生成される表示映像の画像D(N+1)の高輝度成分に割り振られる。上位ビット画像F
3(N+1)の構成は、
図2のd4のようになる。
図2のd4に示すように、上位ビット画像F
3(N+1)は、5ビットにより構成された120fpsのデータであり、上位3ビットが6ビット画像F
6(N+1)の上位3ビットと同じである。また、上位ビット画像F
3(N+1)の階調数は32(5ビット)である。
【0024】
加算部14は、上位抽出部11−1から上位ビット画像F
3(N)を入力すると共に、上位抽出部11−2から上位ビット画像F
3(N+1)を入力し、上位ビット画像F
3(N)と上位ビット画像F
3(N+1)とを合算(加算)し、2フレームの平均画像F
b(N+1/2)を生成し、2フレームの平均画像F
b(N+1/2)を減算部15に出力する。2フレームの平均画像F
b(N+1/2)の構成は、
図2のd6のようになる。
図2のd6に示すように、2フレームの平均画像F
b(N+1/2)は、7ビットにより構成された60fpsのデータであり、上位4ビットが上位ビット画像F
3(N)の上位3ビットと上位ビット画像F
3(N+1)の上位3ビットとの加算結果であり、下位3ビットがダミービットである。また、2フレームの平均画像F
b(N+1/2)の階調数は127(7ビット)である。
【0025】
平均化部12は、入力映像の8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)を入力し、これらの画像を平均化し、平均化画像を生成して減色部13に出力する。具体的には、平均化部12は、8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)の画素値を合算(加算)して2で除算し、平均化画像を生成する。
【0026】
減色部13は、平均化部12から平均化画像を入力し、減色処理により8ビットの平均化画像の画像データを7ビットの画像データに変換し、7ビット画像のメタフレームF
m(N+1/2)を生成して減算部15に出力する。7ビット画像のメタフレームF
m(N+1/2)の構成は、
図2のd5のようになる。
図2のd5において、「1,2,4,8,16,32,64」は、7ビット画像のメタフレームF
m(N+1/2)における各ビットの重みを示す。メタフレームF
m(N+1/2)は、7ビットにより構成された60fps相当のデータであり、その階調数は128(7ビット)である。尚、減色部13による7ビット画像への減色処理は、減色部10−1,10−2による6ビット画像への減色処理と同様である。
【0027】
減算部15は、減色部13からメタフレームF
m(N+1/2)を入力すると共に、加算部14から2フレームの平均画像F
b(N+1/2)を入力し、メタフレームF
m(N+1/2)の画素値から2フレームの平均画像F
b(N+1/2)の画素値を減算し、表示エラーD
m(N+1/2)を生成して合成部16−1,16−2に出力する。ここで、メタフレームF
m(N+1/2)、2フレームの平均画像F
b(N+1/2)及び表示エラーD
m(N+1/2)は、7ビットにより構成された60fpsのデータであり、その階調数は128(7ビット)である。この表示エラーD
m(N+1/2)における下位4ビットのデータの一部は、当該表示装置1により生成される表示映像の画像D(N),画像D(N+1)の低輝度成分にそれぞれ割り振られる。表示エラーD
m(N+1/2)の構成は、
図2のd7のようになる。
図2のd7において、「1,2,4,8,16,32,64」は、7ビット画像の表示エラーD
m(N+1/2)における各ビットの重みを示す。尚、減算部15により生成される表示エラーD
m(N+1/2)には上位ビット成分は存在しない。表示エラーD
m(N+1/2)は、メタフレームF
m(N+1/2)から2フレームの平均画像F
b(N+1/2)を減算した結果だからである。本例では、「16,32,64」の重みを有するビット成分にはデータが存在しないことになる。
【0028】
減算部15により生成される表示エラーD
m(N+1/2)は、60fpsにて更新される場合の理想的な画像(60fpsで画像を見た場合の実際の画像)である現時点のメタフレームF
m(N+1/2)と、120fpsにて更新される上位ビット画像F
3(N),F
3(N+1)を60fpsにて更新される画像に変換した2フレームの平均画像F
b(N+1/2)との間の現時点における誤差といえる。
【0029】
合成部16−1は、上位抽出部11−1から上位ビット画像F
3(N)を入力すると共に、減算部15から表示エラーD
m(N+1/2)を入力し、上位ビット画像F
3(N)を構成する5ビットのうちの上位3ビットをそのまま上位3ビットとし、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの最下位(1番目)のビット及び4番目のビットを下位2ビットとして合成し、表示映像の画像D(N)を生成して出力する。表示映像の画像D(N)の構成は、
図2のd8のようになる。
図2のd8において、「1,8,8,16,32」は、5ビット画像である表示映像の画像D(N)における各ビットの重みを示す。表示映像の画像D(N)の階調数は32(5ビット)であるが、上位3ビットが階調数64(6ビット)を実現するデータであって120fpsにて更新され、下位2ビットが階調数128(7ビット)を実現するデータであって60fpsにて更新される。
【0030】
合成部16−2は、合成部16−1と同様の処理を行い、上位抽出部11−2から上位ビット画像F
3(N+1)を入力すると共に、減算部15から表示エラーD
m(N+1/2)を入力し、上位ビット画像F
3(N+1)を構成する5ビットのうちの上位3ビットをそのまま上位3ビットとし、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの2番目のビット及び3番目のビットを下位2ビットとして合成し、表示映像の画像D(N+1)を生成して出力する。表示映像の画像D(N+1)の構成は、
図2のd9のようになる。
図2のd9において、「2,4,8,16,32」は、5ビット画像である表示映像の画像D(N+1)における各ビットの重みを示す。表示映像の画像D(N+1)の階調数は32(5ビット)であるが、上位3ビットが階調数64(6ビット)を実現するデータであって120fpsにて更新され、下位2ビットが階調数128(7ビット)を実現するデータであって60fpsにて更新される。
【0031】
尚、
図1に示した表示装置1は、減色部10−1,10−2を備えていなくてもよい。この場合、上位抽出部11−1,11−2は、入力映像の8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)を入力し、高輝度成分に相当する所定の上位3ビットを抽出し、ダミー(0)の下位2ビットと抽出した上位3ビットとを合成した合計5ビットにより構成される上位ビット画像F
3(N),F
3(N+1)を生成する。つまり、減色部10−1,10−2は、必要に応じて作動する再サンプリング処理部である。例えば、ユーザの設定に応じて、減色部10−1,10−2は作動したりしなかったりする。
【0032】
また、表示装置1は、減色部13を備えていなくてもよい。この場合、加算部14は、上位ビット画像F
3(N)と上位ビット画像F
3(N+1)とを合算(加算)し、加算画像を生成し、加算画像を減算部15に出力する。減算部15は、平均化部12から平均化画像であるメタフレームを入力すると共に、加算部14から加算画像を入力し、メタフレームの画素値から加算画像の画素値を減算し、表示エラーD
m(N+1/2)を生成する。このように、表示装置1は、減色部10−1,10−2,13を、必ずしも備える必要はない。つまり、減色部13は、必要に応じて作動する再サンプリング処理部である。例えば、ユーザの設定に応じて、減色部13は作動したりしなかったりする。
【0033】
〔表示装置の効果〕
次に、
図1に示した表示装置1の効果について説明する。
図4は、従来の表示装置における画像データのフローを示す図であり、
図5は、従来の表示装置により出力される表示映像の画像を説明する図である。従来の表示装置においても、
図1に示した表示装置1と同様に、横480画素、縦260画素、1画素あたりの階調数256(8ビット)の静止画を1フレームとし、表示装置は、120fpsの動画像を入力映像の8ビット画像F
r(N)として入力し、5つのSFに分割した表示映像の画像D(N)を出力するものとする。8ビット画像F
r(N)は、フレーム番号Nの画素値を示す。
【0034】
図4を参照して、従来の表示装置は、入力映像の8ビット画像F
r(N)を入力し、減色処理により8ビットの画像データを5ビットの画像データに変換し、5ビット画像F
5(N)を生成する。そして、5ビット画像F
5(N)を表示映像の画像D(N)として出力する。また、従来の表示装置は、入力映像の8ビット画像F
r(N+1)を入力し、減色処理により8ビットの画像データを5ビットの画像データに変換し、5ビット画像F
5(N+1)を生成する。そして、5ビット画像F
5(N+1)を表示映像の画像D(N+1)として出力する。尚、5ビット画像F
5(N),F
5(N+1)を生成する減色処理には、
図1に示した減色部10−1,10−2,13による減色処理と同様に、例えば、誤差拡散を行いながら下位ビットを削除するSteavenson&Archeのディザリングアルゴリズムが用いられる。
【0035】
図5を参照して、
図4に示した従来の表示装置により生成される表示映像の画像D(N)は、入力映像の第1フレームの8ビット画像F
r(N)を5ビットの画像に変換した5ビット画像F
5(N)であり、表示映像の画像D(N+1)は、入力映像の第2フレームの8ビット画像F
r(N+1)を5ビットの画像に変換した5ビット画像F
5(N+1)である。これらの表示映像の画像D(N),D(N+1)は、いずれも120fpsの画像であり、階調数はそれぞれ32(5ビット)である。
【0036】
一般に、人間の脳は、静止画をある周波数で切り替えて表示したものを動画として認識する。しかし、画素の明滅があまりにも速い場合には、その明滅を捉えることができず、輝度の積算値(合算値)が脳に伝えられることになり、時間方向の分解能にも限界がある。これが、人間の眼に映る画像の時間的な積分作用である。この分解能の限界は、注視している画像の部分の面積、位置、明るさ等に依存し、通常、周辺に比べて輝度の高い部分で55Hz程度、輝度の低い部分で12Hz程度であることが実験的に得られている。このような眼の積分作用により、人間の脳では、例えば120fpsにてそれぞれ更新される2フレームの画像は、60fpsにて更新される1フレームの画像として認識されることになる。したがって、
図5において、第1フレームにおける表示映像の画像D(N)と第2フレームにおける表示映像の画像D(N+1)とを合算した場合の表示映像の画像は、60fpsの画像となり、階調数は64(6ビット)となる。
【0037】
しかしながら、あるフレーム周波数にて輝度が変化したときに、人間の眼がそれを捉えると、その輝度変化はフリッカー等になって、画質妨害要因となることがあり得る。特に、動きの速い場面を含む映像等では、フレーム周波数が低い場合に偽の映像を表示することになる。このような不具合は、フレーム周波数を高くして階調数を大きくすることにより解消することができ、動画質を改善することができる。そこで、
図1に示した本発明の実施形態による表示装置1では、後述するように、第1フレームにおける表示映像の画像D(N)と第2フレームにおける表示映像の画像D(N+1)とを合算した場合の表示映像の画像は60fpsの画像となるが、その階調数は、従来の階調数64(6ビット)よりも大きい128(7ビット)相当となる。つまり、階調数を大きくすることにより、フリッカー等の画質妨害要因を排除し、偽の映像表示を回避することができる。
【0038】
図3は、
図1に示した表示装置1により出力される表示映像の画像D(N),D(N+1)を説明する図である。
図3に示すように、表示映像の画像D(N)における上位3ビットのSFは、入力映像の第1フレームの8ビット画像F
i(N)を6ビットの画像に変換して抽出したデータにより構成され、下位2ビットは、入力映像の第1,第2フレームの8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)に基づいた平均データにより構成される。同様に、表示映像の画像D(N+1)における上位3ビットのSFは、入力映像の第2フレームの8ビット画像F
i(N+1)を6ビットの画像に変換して抽出したデータにより構成され、下位2ビットは、入力映像の第1,第2フレームの8ビット画像F
i(N),F
i(N+1)に基づいた平均データにより構成される。ここで、
図1を参照して、
図3に示した表示映像の画像D(N)における上位3ビットのデータは、減色部10−1、上位抽出部11−1及び合成部16−1により生成され、その下位2ビットのデータは、平均化部12、減色部13、減算部15及び合成部16−1により生成される。同様に、
図3に示した表示映像の画像D(N+1)における上位3ビットのデータは、減色部10−2、上位抽出部11−2及び合成部16−2により生成され、その下位2ビットのデータは、平均化部12、減色部13、減算部15及び合成部16−2により生成される。
【0039】
つまり、表示映像の画像D(N),D(N+1)における上位3ビットのSFは、
図4及び
図5に示した従来の階調数32(5ビット)よりも大きい階調数64(6ビット)を実現し、120fpsにて更新され、下位2ビットのSFは、
図4及び
図5に示した従来の階調数32(5ビット)よりも大きい階調数128(7ビット)を実現し、60fpsにて更新される。したがって、第1フレームにおける表示映像の画像D(N)と第2フレームにおける表示映像の画像D(N+1)とを合算した場合の表示映像の画像は、60fpsの画像となるが、階調数は従来の64(6ビット)ではなく、128(7ビット)相当となる。また、表示映像の画像D(N),D(N+1)における低輝度成分である下位2ビットは、第1フレーム及び第2フレームの画像F
i(N),F
i(N+1)の平均値のビットと一致する。
【0040】
以上のように、本発明の実施形態による表示装置1では、入力映像と同じフレーム周波数にて表示映像を出力する場合であっても、従来の表示装置による階調数64(6ビット)よりも大きい階調数128(7ビット)を実現することができる。これにより、動画質に関わる高輝度成分のフレーム周波数を維持しながら、階調性を向上させることができる。また、平均化部12及び減色部13により生成される7ビット画像のメタフレームF
m(N+1/2)は、60fpsにて更新される場合の実際の画像(60fpsで見た場合の画像)そのものであり、表示映像の画像D(N),D(N+1)における低輝度成分である下位2ビットがこの7ビット画像のメタフレームF
m(N+1/2)に基づいて生成される。これにより、低輝度成分において階調再現性を向上させることができる。さらに、高いフレーム周波数にて表示映像を出力する場合においても、高階調化と静止画再現性の向上が見込まれる。つまり、動画質に支配的な影響を与える高輝度成分のフレーム周波数を保ち、かつ階調性低下の抑制効果が見込まれる。また、高階調化に伴って、必要なSFの数を削減することができ、結果として、削減可能なSFに相当する時間を、偽輪郭対策、高輝度化等の他の処理に転用することが可能となる。
【0041】
〔シミュレーション結果〕
次に、従来の表示装置及び本発明の実施形態による表示装置1を用いた場合のコンピュータによるシミュレーション結果について説明する。
図6は、シミュレーション結果を説明する図であり、入力映像の画像と、従来の表示装置及び本発明の実施形態による表示装置1により生成された表示映像の画像との間における低輝度成分の画像の誤差を示す割合(誤差率)を示している。誤差率は、以下の式により算出したものである。
【数1】
ここで、画素数は1フレームあたりの画素数を示し、フレーム数は全フレーム数(120)を示す。
【0042】
図6から、3種類のサンプル1〜3における全ての動画像において、本発明の実施形態による表示装置1を用いた場合の誤差率は、従来の表示装置を用いた場合の誤差率よりも低下していることがわかる。したがって、本発明の実施形態による表示装置1によれば、低輝度成分において静止画再現性を向上させることができる。
【0043】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、表示映像の画像におけるSF数を5としたが、本発明はSF数を5に限定するものではない。また、前記実施形態では、
図1及び
図2に示したように、合成部16−1が、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの最下位(1番目)のビット及び4番目のビットを下位2ビットとして表示映像の画像D(N)を生成し、合成部16−2が、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの2番目のビット及び3番目のビットを下位2ビットとして表示映像の画像D(N+1)を生成するようにした。本発明は、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの下位4ビットについて、合成部16−1,16−2により生成される表示映像の画像D(N),D(N+1)の下位2ビットに割り当てるそれぞれのビットを限定するものではなく、表示エラーD
m(N+1/2)の同じ重みのビットを、表示映像の画像D(N),D(N+1)に割り当てないようにすればよい。例えば、合成部16−1が、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの最下位(1番目)のビット及び3番目のビットを、表示映像の画像D(N)の下位2ビットとし、合成部16−2が、表示エラーD
m(N+1/2)を構成する7ビットのうちの2番目のビット及び4番目のビットを、表示映像の画像D(N+1)の下位2ビットとするようにしてもよい。
【0044】
尚、本発明の実施形態による表示装置1のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。表示装置1は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。表示装置1に備えた減色部10−1,10−2、上位抽出部11−1,11−2、平均化部12、減色部13、加算部14、減算部15及び合成部16−1,16−2の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。