(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
組成物(C)が、充填剤、及び/又は補強剤(F)、ポリマー(P)、及び更なる添加物質(Z)から選ばれる、少なくとも1種の更なる成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
使用される触媒(K)が、ナトリウムカプロラクタメート、カリウムカプロラクタメート、マグネシウムブロミドカプロラクタメート、マグネシウムクロリドカプロラクタメート、マグネシウムビスカプロラクタメート、ナトリウムヒドリド、ナトリウム、ナトリウムヒドロキシド、ナトリウムエタノレート、ナトリウムメタノレート、ナトリウムプロパノレート、ナトリウムブタノレート、カリウムヒドリド、カリウム、カリウムヒドロキシド、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムプロパノレート、及びカリウムブタノレートから成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
少なくとも1種のモノマー(M1)の、少なくとも1種の添加剤(X1)と一緒にした、粒状化物質への処理は、乾燥した状態で成分を混合することによって行われることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述の方法を使用して得られたモノマー−組成物は、価値の高い中間生成物であり、それ自体として保管、輸送、及び処理することができ、これは例えば粉、粒子、又はカプセルの状態で行うことができる。仕上げられた、混合された固体モノマー組成物は、単純な取扱性の点で優れている。更に、処理(重合)のために、費用のかかる2種の成分を含む反応−重合方法、例えば、RTM(反応輸送成形:Reaction Transfer Molding)又はRIM(反応射出成形:Reaction Injection Molding)を使用する必要がない。
【0019】
使用されるモノマー組成物の、処理温度(モノマー融解)における低い粘性に基づいて、型内に存在するマトリックス材料の、非常に良好な充填性(空間内にいきわたること)(例えば、充填剤、又はファイバーマット)を達成することができる。これにより、本発明に従う方法を使用して製造されたポリアミド成分は、充填剤、ないしはファーバー材料の非常に高い含有量、例えば50〜90質量%を有することができる。
【0020】
通常、汚染物、例えば水、二酸化炭素、及び酸素が、組成物(C)内に可能な限り少ない量で存在することが有利である。従って、特に、使用される成分の全てが乾燥され、そして酸素及び二酸化炭素が除去されているか、又は可能な限り少ない量でその中に含まれているべきである。好ましくは、成分(M)、(K)及び(A)(及び場合により更なる成分)の混合は、不活性ガス−雰囲気内(例えば窒素ガス内)で行われる。特に、工程a)〜c)は、酸素、二酸化炭素、及び水を十分に除外して行われる。
【0021】
工程a)での成分の混合は、好ましくは、使用されるモノマー(M)ないしは使用される複数種類のモノマー(M)の融解温度以上の温度、及び200℃未満の温度、好ましくは160℃未満、好ましくは120℃未満、特に好ましくは100℃未満の温度で行われる。更に好ましくは、90℃の温度である。工程a)で選択される温度範囲は、モノマー(M)ないしは複数種類のモノマー(M)の選択に依存している。
【0022】
工程a)での成分の混合は、不連続的、又は連続的な方法で、この技術分野の当業者にとって公知の、及び適切な装置内で行うことができる。工程a)での成分の混合は、例えば連続的に、及び/又は不連続的に、攪拌器内で行うことができる。工程a)での成分の混合は、例えば、押出し機内で行うことができる。
【0023】
工程a)での成分の混合の後、好ましくは、モノマー融解物の可能な限り迅速な冷却(モノマーの迅速な結晶化)が行われる。特に、工程b)での混合物の冷却は、1秒〜5分の期間で、好ましくは1〜60秒の範囲内で、0℃〜60℃、好ましくは0℃〜35℃、特に好ましくは0℃〜25℃の温度へと行われる。工程a)で得られた混合物の冷却は、特に、冷たいガス流(例えば、0℃の窒素ガス流)によって、又はいわゆる「コールド−ディスク法」によって行うことができる。
【0024】
ラクタムとして、特にカプロラクタム、ピペリジン、ピロリドン、ラウリルラクタム、又はこれらの混合物、好ましくはカプロタクタム、ラウリルラクタム、又はこれらの混合物が適切である。特に好ましくは、モノマー(M)として、カプロラクタム、又はラウリルラクタムが使用される。更に、モノマーとして、ラクトン又はラクタムとラクトンの混合物を使用することが可能である。ラクトンとして、例えばカプロラクトン、又はブチルラクトンを使用することができる。ここで、コモノマーとしてのラクトンの量は、全モノマーに対して40質量%(重量%)以下であることが好ましい。好ましくは、コモノマーとしてのラクトンの割合は、全モノマーに対して10質量%以下である。本発明の好ましい一実施の形態では、モノマー(M)としてラクタムが使用される。他に記載がなければ、質量%(重量%)の記載は、組成物の合計量に基づいている。
【0025】
特に、使用されるモノマー(M)は、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、ラウリルラクタム、及びカプロラクタムから成る群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含む。
【0026】
好ましい一実施の形態では、組成物(C)は、カプロラクタム(特に、唯一のモノマー(M)として)を含み、そして成分の混合が、工程a)で、70℃〜160℃の温度、好ましくは70℃〜120℃の温度、特に好ましくは70℃〜100℃の温度、更に好ましくは70℃〜90℃の温度で行われる。
【0027】
好ましい一実施の形態では、組成物(C)は、ラウリルラクタム(特に、唯一のモノマー(M)として)を含み、そして成分の混合が、工程a)で、150℃〜200℃の範囲、特に150℃〜160℃の範囲で行われる。
【0028】
本発明の方法では、好ましくは、アニオン重合のための通常の触媒とされる触媒(K)が使用される。アニオン重合のための触媒について、本発明の枠内では、ラクタム−アニオンの形成を可能にする化合物であると理解される。ラクタム−アニオン自体も同様に、触媒として作用する。
【0029】
このような触媒は、例えば、Polyamide,Kunststoffhandbuch,1998,Carl Hanser Verlagから公知になっている。本発明の範囲内で、使用される触媒は、好ましくは、ナトリウムカプロラクトメート、カリウムカプロラクトメート、マグネシウムブロミドカプロラクトメート、マグネシウムクロリドカプロラクトメート、マグネシウムビスカプロラクトメート、ナトリウムヒドリド、ナトリウム、ナトリウムヒドロキシド、ナトリウムエタノレート、ナトリウムメタノレート、ナトリウムプロパノレート、ナトリウムブタノレート、カリウムヒドリド、カリウム、カリウムヒドロキシド、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムプロパノレート、及びカリウムブタノレートから成る群から選ばれ、及び好ましくは、ナトリウムカプロラクトメート、カリウムカプロラクトメート、マグネシウムブロミドカプロラクトメート、マグネシウムクロリドカプロラクトメート、マグネシウムビスカプロラクトメート、ナトリウムヒドリド、ナトリウム、ナトリウムヒドロキシド、ナトリウムエタノレート、ナトリウムメタノレート、ナトリウムプロパノレート、ナトリウムブタノレート、カリウムヒドリド、カリウム、カリウムヒドロキシド、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムプロパノレート、及びカリウムブタノレートから成る群から選ばれる。
【0030】
特に好ましくは、使用される触媒(K)は、ナトリウムヒドリド、ナトリウム、及びナトリウムカプロラクトメートから成る群から選ばれ、特に好ましくは、ナトリウムカプロラクトメート、及び/又はカプロラクタム中のナトリウムカプロラクトメート溶液(例えば、Bruggolen(登録商標)(BASF DE)C100;18質量% カプロラクタム中ナトリウムカプロラクトメート)である。
【0031】
モノマー(M)の触媒(K)に対するモル割合は、広い範囲で変化させることができ、これは通常、1:1〜10000:1、好ましくは10:1〜1000:1、特に好ましくは20:1〜300:1の範囲である。
【0032】
本発明に従い製造される組成物(C)中には、特に少なくとも1種の活性剤(A)がアニオン重合のために含められる。
【0033】
アニオン重合のための活性剤について、本発明の範囲内で、あるものは親電子的な部分(基)によってN−置換されたラクタム(例えば、アクリルラクタム)と理解される。活性剤(A)として、このような活性されたN−置換されたラクタムの前駆体も該当し、これは、モノマー(M)と一緒に現場(in situ)で活性化されたラクタムを形成する。活性剤の量は、典型的には、成長する鎖の数を規定する。この理由は、各活性剤分子は、ポリマー鎖の開始部分(最初の部分)を表すからである。活性剤(A)として、通常、イソシアネート、アシル無水物(酸無水物)、及びアシルハロゲン化物(酸ハロゲン化物)、及びこれらとモノマー(M)との反応生成物が適切である。
【0034】
適切な活性剤(A)は、脂肪族ジシクロシアネート、例えばブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシル 4−イソシアネート)、及び芳香族ジソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(フェニル 4−イソシアネート)、又はポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアネート;Basonat HI 100/BASF SE)、及びアロファネート(例えば、エチルアロファネート)である。特に、上述した化合物の混合物を活性剤(A)として使用することができる。
【0035】
他の適切な活性剤(A)は、脂肪族ジアシルハロゲン化物、例えばブチレンジオールクロリド、ブチレンジオールブロミド、ヘキサメチレンジオールクロリド、ヘキサメチレンジオイルブロミド、オクタンメチレンジオイルクロリド、オクタンメチレンジオイルブロミド、デカメチレンジオイルクロリド、デカメチレンジオイルブロミド、ドデカメチレンジオイルクロリド、ドデカメチレンジオイルブロミド、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルオイルクロリド)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルオイルブロミド);及び芳香族ジアシルハロゲン化物、例えばトリルメチレンジオイルクロリド、トリルメチレンジオイルブロミド、イソホロンジオイルゥロリド、イソホロンジオイルブロミド、4,4’−メチレンビス(フェニル)アシルクロリド、及び4,4’−メチレンビス(フェニル)アシルブロミドである。特に、上述した化合物の混合物を活性剤(A)として使用することができる。
【0036】
特に、使用する活性剤(A)が、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート、脂肪族ジアシルハロゲン化物、及び芳香族ジアシルハロゲン化物から成る群から選ばれる、少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする方法が好ましい。
【0037】
好ましい一実施の形態では、使用される活性剤(A)は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジオイルブロミド、ヘキサメチレンジオイルクロリドから選ばれる少なくとも1種の化合物、及び特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【0038】
活性剤(A)として、上述した純粋な物質、又は好ましくは、溶媒、例えばN−メチレンピロリドン中の活性剤の溶液を使用することができる。
【0039】
モノマー(M)の活性剤(A)に対するモル割合は、広い範囲内で変化させることができ、及び通常、1:1〜10000:1、好ましくは10:1〜2000:1、特に好ましくは20:1〜1000:1の範囲である。
【0040】
特に、本発明は、上述した方法であって、組成物(C)が、充填剤、及び/又は補強剤(F)、ポリマー(P)、及び更なる添加物質(Z)から選ばれる、少なくとも1種の更なる成分を含むことを特徴とする方法に関する。
【0041】
これらの追加的な成分は、組成物(C)の製造の何れの工程でも行うことができ、例えば、触媒(K)及び/又は活性剤(A)の添加の前、又はこれと一緒に行うことができる。
【0042】
組成物(C)は、1種、又は複数種のポリマー(P)を含むことができる。組成物(C)は、例えば(現場(インサイチュ)で、組成物中に含まれるモノマーを重合することにより形成される)ポリマー、及び/又はオリゴマーを含むことができる。これらの任意に含まれるポリマー(P)は、例えば、0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%の量で含まれる。
【0043】
更に、組成物(C)は、組成物中にポリマーの状態で加えられる1種以上のポリマー(P)を含むことができる。これらの加えられるポリマーは、例えば、(モノマー(M)から形成されるポリマーと一緒に)ブロック−、及び/又はグラフト−コポリマーを形成するのに適切な基を含むことができる。このような基の例は、エポキシ−、アミン−、カルボキシル−基、無水物−基、オキサゾリン−基、カルボジイミド−基、ウレタン−基、イソシアネート−基、及びラクタム−基である。
【0044】
更に、生成物の特性の改良、成分の親和性(調和性)の改良、及び組成物(C)の粘性の改良のために、少なくとも1種のポリマー(P)を加えることができ、該ポリマー(P)は、ポリスチレン、スチレンコポリマー、例えばスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、又はスチレン−ブタジエンコポリマー(SB)、ポリフェニレンオキシドエーテル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(HTPE(高温ポリエチレン))、LTPE(低温ポリエチレン)、ポリプロピレン、又はポリ−1−ブテン、又はポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET);ポリアミド;ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール(PEG)、又はポリプロピレングリコール、又はポリエーテルスルホン(PESU又はPES);ビニル基を含むモノマーでできたポリマー、例えばポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリスチレン、耐衝撃性改質のポリスチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアセテート、又はポリビニルアルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、及びポリスルホンから成る群から選ばれる。更に、ポリマー(P)として、上述したポリマーのモノマー単位から構成されるコポリマーを使用することもできる。
【0045】
ポリマーの添加は、組成物の製造方法の何れの工程ででも行うことができ、例えば、触媒(K)及び/又は活性剤(A)の添加の前、又はこれと一緒に行うことができる。ポリマーの添加は、特に、組成物(C)の粘度の調節に使用することができる。ポリマー(P)は、例えばモノマー中に溶解、又は分散して存在させることができる。
【0046】
ポリマー(P)/複数種のポリマー(P)が、モノマー中に溶解して存在する場合、組成物(C)におけるポリマー(P)の割合は、好ましくは40質量%未満である。ポリマー(P)/複数種のポリマー(P)が、モノマー中に分散して存在する場合、組成物(C)におけるポリマー(P)の割合は、好ましくは60質量%未満である。
【0047】
更に組成物(C)は、架橋するモノマー(架橋性モノマー)を含むことができる。架橋するモノマーは、モノマー(M)と共重合することができる基を1つ以上含む化合物であることができる。このような基の例は、エポキシ−、アミン−、カルボキシル−基、無水物−基、オキサゾリン−基、カルボジイミド−基、ウレタン−基、イソシアネート−基、及びラクタム−基である。架橋するモノマーとして、例えば、アミノ置換ラクタム、例えばアミノカプロラクタム、アミノピペリドン、アミノピロリドン、アミノラウロラクタム、又はこれらの混合物が適しており、好ましくはアミノカプロラクタム、アミノピロリドン、又はこれらの混合物、特に好ましくはアミノカプロラクタムである。
【0048】
好ましい一実施の形態では、組成物(C)は、少なくとも1種の充填剤、及び/又は補強剤(F)を含む。充填剤、及び/又は補強剤(F)として、有機、又は無機の充填剤、及び/又は補強剤(F)を使用することができる。例えば、無機充填剤、例えばカオリン、チョーク、珪灰石、タルク、カルシウムカーボネート、シリケート、二酸化チタン、酸化亜鉛、グラファイト、グラフェン、ガラス粒子(例えばガラスビーズ)、ナノスケール充填剤(例えばカーボンナノチューブ)、カーボンブラック、フィロケイ酸塩、ナノスケールフィロケイ酸塩、ナノスケール酸化アルミニウム(Al
2O
3)、ナノスケール二酸化チタン(TiO
2)、及びナノスケール二酸化ケイ素(SiO
2)を使用することができる。
【0049】
更に、好ましくは、繊維質の材料が、充填剤、及び/又は補強剤(F)として使用される。充填剤、及び/又は補強剤(F)は通常、 熱可塑性物質に通常使用される、粒子サイズの無機物、例えば、カオリン、チョーク、珪灰石、又はタルク、カーボンファイバー、又はガラスファイバー、例えばグランドガラスファイバー、及び一方向ファイバーでできたテキスタイル構造物(織布及びレイドスクリム)、好ましくはガラスファイバー、及びカーボンファイバーから選ばれる。充填剤、及び/又は補強剤のための「のり(size)」として、熱可塑性物質のために使用される方法によって処理されるポリアミドに使用される「のり」と同様のものを使用することができる。
【0050】
例えば、公知の無機補強ファイバー、例えばボロンファイバー、ガラスファイバー、カーボンファイバー、シリカファイバー、セラミックファイバー、及び玄武岩ファイバー;有機補強ファイバー、例えばアラミドファイバー、ポリエステルファイバー、ナイロンファイバー、ポリエチレンファイバー;及び天然ファイバー、例えばウッドファイバー、フラックスファイバー、麻ファイバー、及びサイザル麻ファイバーから選ばれる、1種以上の繊維質の材料を使用することができる。特に好ましくは、ガラスファイバー、特にチョップドガラスファイバー、カーボンファイバー、アラミドファイバー、ボロンファイバー、金属ファイバー、又はカリウムチタネートファイバーが使用される。
【0051】
上述したファイバーは、短ファイバー、長ファイバーの状態で、又は短−及び長ファイバーの混合物として使用することができる。ここで、短ファイバーは、好ましくは、平均ファイバー長さが0.1〜1mmである。更に、好ましくは、ファイバーは、平均ファイバー長さが0.5〜1mmの範囲である。使用される長ファイバーは、好ましくは、平均長さが、1mmを超え、好ましくは1〜50mmの範囲である。
【0052】
特に、上述した充填剤、及び/又は補強剤(F)の混合物も使用することができる。特に好ましくは、充填剤、及び/又は補強剤(F)として、ガラスファイバー、及び/又はガラス粒子、特にガラス粒子が選ばれる。
【0053】
上述した方法で製造される組成物(C)は、好ましくは30〜90質量%(重量%)、特に30〜80質量%、好ましくは30〜50質量%、更に好ましくは50〜90質量%の、少なくとも1種の充填剤、及び/又は補強剤(F)を含む。
【0054】
好ましい一実施の形態では、組成物(C)は更なる添加物質(Z)を含む。好ましくは、添加物質(Z)は、0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3.5質量%の量で、組成物中に含まれる。添加物質(Z)として、例えば、安定剤、例えば銅塩、染料、帯電防止剤、充填オイル、安定剤、界面改良剤、乾燥剤、離型助剤、リリース剤、抗酸化剤、光安定剤、PVC安定剤、滑材、難燃剤、発泡剤、衝撃改質剤、及び核形成助剤が挙げられる。
【0055】
好ましくは、組成物(C)は、添加物質(Z)として、衝撃改質剤、特に無水物及び/又はエポキシ基を含むポリジエン(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン)を含む。ポリジエン−ポリマーは、特に、ガラス転移温度が0℃未満、好ましくは−10℃未満、特に好ましくは−20℃未満である。ポリジエン−ポリマーは、ポリアクリレート、ポリエチレンアクリレート、及び/又はポリシクロヘキサンとのポリジエンコポリマーに基づくことができ、及び通常の方法で製造することができる(例えば、エマルジョン重合、懸濁重合、溶液重合、ガス相重合)。
【0056】
充填剤、及び/又は補強剤(F)及び更なる添加剤の任意の添加は、組成物(C)を製造するための任意の工程で行うことができ、例えば触媒(K)及び/又は活性剤(A)の添加の前、または一緒に行うことができる。
【0057】
本発明は、更に、上述した本発明に従う、ポリアミド成形物を製造するための方法によって得られる組成物(C)を使用する方法にも関する。
【0058】
本発明は、ポリアミド成形物、特にキャストポリアミド成形物を、アニオン重合によって製造するための方法であって、重合のために、ラクタム及びラクトンから選ばれる(好ましくは環式ラクタム)、少なくとも1種のモノマー(M1)が使用され、該少なくとも1種のモノマー(M1)は、重合の前に、少なくとも1種の添加剤(X1)と一緒に、粒状化物質に処理され、及び少なくとも1種のモノマー(M1)を含む粒状化物質が重合に使用され、モノマー(M1)の混合物が、添加剤(X1)と一緒に、固体状態、又は融解した状態で、重合の前、又は重合中に、ラクタム及びラクトンから選ばれる(好ましくは環式ラクタム)、少なくとも1種の更なるモノマー(M2)、及び/又は少なくとも1種の更なる添加剤(X2)と混合されることを特徴とする方法に関する。
【0059】
ここで、本発明の好ましい一実施の形態では、ラクタム及びラクトンから選ばれる(好ましくは環式ラクタム(M1))、少なくとも1種のモノマー(M1)を含む粒状化物質を重合する工程は、ラクタム及びラクトンから選ばれる(好ましくは環式ラクタム(M1))、少なくとも1種のモノマー(M1)及び少なくとも1種の添加剤(X1)の粒状化物質の製造に直接的に続く。ここで、少なくとも1種のモノマー(M1)(好ましくは環式ラクタム)及び少なくとも1種の添加剤(X1)の粒状化物質の製造は、「既成化(複合化;compounding)」又は「予備既成化」と称される。
【0060】
少なくとも1種の添加剤(X1)が与えられた、少なくとも1種のモノマー(M1)(好ましくは環式ラクタム)は、従って、ラクタム製造設備内で、直接的に粒状化物質(又は相当する固体粒子)に加工処理することができる。これらの粒状化物質は、例えばキャストポリアミド成形物を製造するために、処理機に導入することができ、そして従来から公知の方法とは異なり、改めて添加剤を供給する必要がない。しかしながら、更なる添加剤を混合することは、任意のものとして保持される。
【0061】
ここで「粒状化物質」は、サイズが1mm〜20mm、好ましくは平均サイズが2〜15mmの粒子の他の「予備既成化」粒子、及び特に好ましくは平均サイズが4mm〜10mmの粒子をも意味する。ここで、粒子は種々の形状を有することができる。これらは例えば、バレル形状、球形状、又はフレーク形状であることもできる。
【0062】
本発明の一実施の形態では、ラクタム及びラクトン(好ましくはラクタム)から選ばれる更なるモノマー(M2)及び/又は少なくとも1種の更なる添加剤(X2)との混合のための任意の工程が行われる。
【0063】
更なる一実施の形態では、更なるモノマー(M2)及び/又は少なくとも一種の更なる添加剤(X2)との混合のための任意の工程は行われない。
【0064】
本発明に従う好ましい一実施の形態では、少なくとも一種の添加剤(X1)及び任意の更なる添加剤(X2)は、それぞれ相互に独立して、触媒及び活性剤を含む群から選ばれる。触媒(K)及び活性剤(A)として、更に、組成物(C)を製造するための方法に関して上記に記載した化合物を使用することもできる。
【0065】
更に、本発明の対象は、本発明の方法によって製造することができるキャストポリアミド成形物にも関し、及び添加剤(X1)を<90質量%の量、好ましくは<60質量%の量、及び特に好ましくは<40質量%の量で含む固体状のカプロラクタム−調合物にも関する。
【0066】
添加剤及び/又は添加物質(Z)、例えば、上述した添加物質(Z)、触媒(K)、及び活性剤(A)、特にファイバー材料、乾燥剤、活性剤、又は触媒、鎖延長剤、安定化剤、又は衝撃改質剤を、既成化工程(複合化工程)の間に、単純な方法でラクタム、例えばε(イプシロン)−カプロラクタムに加えることができる。
【0067】
同様に、他の組成物を選ぶこともでき、例えば、予備既成化した活性剤−、及び触媒融解物を、ラクタム融解物に加えることができ、及びこれに、更なる工程で更なる添加剤を加えることもできる。
【0068】
本発明に従う方法の好ましい一実施の形態では、ラクタム及びラクトン(好ましくは少なくとも1種の環式ラクタム)の、少なくとも1種の添加剤(X1)と一緒にした、粒状化物質への処理は、成分を乾燥した状態で混合することによって行われる。
【0069】
アニオン重合はしばしば次のように行われる。各モノマー−成分(通常、2成分(M1)及び(M2))を、湿分を除去した状態で融解する。その内の一方の成分に触媒(例えばラクタマート)を、及び他の成分に活性剤(例えばイソシアネート誘導体)を加える。そして、通常の攪拌器を使用して、又は適切な混合機を使用して攪拌し、両方の成分が混合される。ここで、更なる添加剤、例えば3〜50質量%、好ましくは8〜18質量%の衝撃改質剤、安定化剤、難燃剤、又は他の添加剤を加えることもできる。
【0070】
好ましくは、キャスト重合装置は、各融解物のために、キャスティングトップまでの融解循環を有し、これによりホース及び管内の融解物が、常にポンプ駆動によって運動状態が保持されるべきである。本発明に従う実施の形態のために、これらの循環は、必ずしも必要ではない。
【0071】
モノマー(M1)及び/又は(M2)として、上述したモノマー(M)、好ましくは6〜16個の炭素原子を有する環式ラクタム、特に好ましくはラウロラクタム、及び特に好ましくはε(イプシロン)−カプロラクタムが使用可能である。ここで、モノマー(M1)及びモノマー(M2)は、同一であっても良く、又は異なっていても良い。
【0072】
同様に、添加剤(X1)及び添加剤(X2)も、同一であっても良く、又は異なっていても良い。
【0073】
追加的に、上述した添加物質(Z)も使用可能である。特に、上述した充填剤、及び/又は補強剤(F)を使用することができ、ここで、充填剤、及び/又は補強剤(F)は、それぞれ相互に独立して、重合の前に更なる添加剤として、又は重合の間に加えることができる。
【0074】
上述したように充填剤、及び/又は補強剤(F)を使用することができる。好ましくは、充填剤、及び/又は補強剤(F)は、熱可塑性物質へ適用するためには通常の粒子サイズを有する材料、例えばカオリン、チョーク、珪灰石、又はタルク、カーボンファイバー、又はガラスファイバー、例えばグランドガラスファイバー、及び一方向のファイバー、好ましくはガラスファイバー、及びカーボンファイバーから形成されるテキスタイル構造体(織、及びレイドスクリム)を含む群から選ばれる。充填剤、及び/又は補強剤のための「のり(size)」として、熱可塑性物質のために使用される方法によって処理されるポリアミドに使用される「のり」を使用することができる。
【0075】
触媒(K)として、成分(K)について上述した化合物の少なくとも1種を使用することができる。これらには好ましくは、アルカリ金属ラクタメート、又はアルカリ土類金属ラクタメートが含まれ、そしてこれらは、ラクタム中の溶液の状態、特に好ましくはε(イプシロン)−カプロラクタム中のナトリウムカプロラクタメートである。
【0076】
使用する活性剤(A)として、上記に成分(A)のために記載した化合物の、少なくとも1種を含むことができる。好ましくは、活性剤(A)は、N−アクリルラクタム、又はアクリルクロリド、又は好ましくは、脂肪族イソシアネート、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマーを含む。活性剤(A)として、純粋な物質も、又は好ましくは溶液、例えばN−メチルピロリドン中のものも使用することができる。
【0077】
更なる添加物質(Z)、及び/又は添加剤(X)は、更に組成物(C)を製造するための方法に関して上述した添加物質(Z)であることができる。例えば、添加物質(Z)は、衝撃改質剤、難燃剤、核形成助剤、染料、充填オイル、安定化剤、界面改良剤、乾燥剤、及び離型剤を含む。
【0078】
本発明の好ましい実施の形態は、
a)10〜95質量%(重量%)の、(ラクタム及びラクトンから選ばれる)少なくとも1種のモノマー(M);好ましくは40〜95質量%の、(環中に6〜15個の炭素原子を有する)環式ラクタム、好ましくはラウロラクタム、及び特に好ましくは、ε(イプシロン)−カプロラクタム、又はこれらのラクタムの混合物、
b)0.8〜8質量%の触媒(K)、好ましくはε(イプシロン)−カプロラクタム中の約15〜20質量%のラクタメート塩の混合物、特に好ましくはナトリウムラクタメート、
c)0.5〜5質量%の活性剤(A)、好ましくは脂肪族イソシアネート、又はN−アシルラクタム、
d)1〜90質量%、好ましくは1〜88質量%、好ましくは1〜50質量%、好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜15質量%の充填剤、及び/又は補強剤(F)、好ましくはガラスファイバー、特に短ガラスファイバー、粉砕炭素ファイバー、及び(ガラス−及び炭素ファイバーのテキスタイル)、
e)0〜20質量%の他の添加剤、及び/又は添加剤(Z)、例えば衝撃改質剤、難燃剤、核形成助剤、染料、充填オイル、安定剤、界面改良剤、乾燥剤、又は離型剤、
を含む(又はこれらから成る)混合物(組成物(C))をアニオン重合することによって製造される、充填されていない、充填された、及び/又は補強されたポリアミド組成物でもある。
【0079】
ここで、既成化を行う前に、成分b)、c)及びd)の1種以上は、環式ラクタムa)中に既に導入処理されており。このことは、これらのラクタムのポリアミドへの処理にとって有利に作用する。
【0080】
好ましい一実施の形態では、本発明は、ポリアミド成形物を製造するための方法に関し、ここで、上述した方法(組成物(C)を製造するための方法)を使用して得ることができる(又は得られた)組成物(C)が、120℃〜250℃の温度に加熱して重合される。
【0081】
通常、汚染物、例えば水、二酸化炭素、及び酸素(これらはアニオン重合の中断をもたらし得る)は、可能な限り少なく保持するべきである。従って特に、使用される全ての成分は乾燥され、及び酸素と二酸化炭素が除去されているべきである。好ましくは、重合は、酸素、二酸化炭素、及び水が充分に除去された状態で行われる。
【0082】
特に、本発明は、以下の工程:
i)組成物(C)を、50℃〜200℃の温度、特に50℃〜160℃の温度、好ましくは50℃〜100℃の温度で融解させる工程;
j)融解した組成物(C)を、工具(成形型)の空洞部に導入する工程;
k)組成物(C)を、120℃〜250℃の温度で加熱することによって重合する工程、
を含む、上述したポリマミド−成形物を製造するための方法を提供する。
【0083】
組成物(C)の融解は、使用されるモノマー(M)乃至複数種のモノマー(M)の融解温度以上の温度で行われ、及び160℃未満の温度、好ましくは150℃未満、好ましくは120℃未満、特に好ましくは100℃未満、更に好ましくは90℃未満の温度で行われる。工程a)で選択された温度範囲は、モノマー(M)ないしは複数種のモノマー(M)の選択に依存する。
【0084】
融解した組成物(C)は、適切な成形方法(例えば、射出、キャスト法)を使用して、工具(成形型)の空洞部分に満たされ、及びこの場所で、温度を高めることによって重合される。
【0085】
上述したポリアミド成形物を製造するための方法であって、工具の空洞部分が、溶解した組成物を導入する前に、少なくとも1種の充填剤、及び/又は補強剤(F)を含んでいる方法が好ましい。好ましい一実施の形態では、工具の空洞部分は、織ファーバー材料、及び/又はファイバーネットワーク、例えばガラスファイバーマット、及び/又はガラスファイバーネットワークを含む。
【0086】
更に、充填剤、及び/又は補強剤(F)を、融解した組成物(C)と一緒に工具の空洞部分に導入することができる。このことは、公知の方法(例えば、射出成形装置、又は成形−キャスト装置)を使用して行うことができる。任意に加えられる充填剤−、及び/又は補強剤(F)は、組成物(C)を製造するための本発明の方法に関して上述した、充填剤、及び/又は補強剤(F)から選ぶことができる。
【0087】
本発明に従う方法を使用して、充填剤、及び/又は補強剤(F)を高い割合で有するポリアミド成形物を製造することが可能である。特に、本発明は、上述した方法であって、ポリアミド成形物が、充填剤、及び/又は補強剤を、30〜90質量%の範囲、好ましくは30〜80質量%、好ましくは30〜50質量%、更に好ましくは50〜90質量%の範囲で有することを特徴とする方法を提供する。質量%の記載は、ポリアミド成形物の質量%を示す。
【0088】
更に、本発明は、上述した方法を使用することによって得ることができる組成物(C)を、ポリアミド成形物、特に充填剤、及び/又は補強剤を含む成形物を製造するために使用する方法を提供する。特に、ポリアミド−成形体は、充填剤、及び/又はファイバー材料を、30〜90質量%の範囲で含む。
【0089】
更に、本発明は、本発明の方法によって得ることができるポリアミド成形物、特にキャストポリアミド成形物に関する。
【0090】
本発明に従う方法によって製造されるポリアミド成形物は、特に、自動車の車体、例えばパッセンンジャーコンポーネント、車輪回りの製造用の材料として、及び自動車部品、例えばフレームクラッディング、及びダッシュボードの製造用材料として、及びパッセンンジャーコンポーネントのインテリアの材料として使用することができる。ポリアミド成形物は更に、タンクのインライナー、ギアホイール、ハウジング、パッキングフィルム、及び被覆物として使用することができる。
【0091】
本発明に従う方法を使用して製造されたポリアミド成形物は、小型の電子部品のハウジング、例えば自動車用電話器、ラップトップ、iPadsのハウジング、又は金属を模倣する通常のプラスチックに原則として適切である。
【0092】
以下に実施例を使用して本発明を説明する。
【0093】
実施例1
834g/h(7062mmol/h)のε(イプシロン)−カプロラクタム、115g/h(144mmol/h)の触媒Bruggolen(登録商標)C10(ε(イプシロン)−カプロラクタム中、17%w/wのε(イプシロン)−カプロラクトメート)、及び51g/h(14mmol/h)の開始剤Bruggolen(登録商標)C20(ε−カプロラクタム中の80%w/wのキャップしたジイソシアネート)を、押出機PTW16で、130rpm、2mmダイ、1.0kg/hで、70℃で混合した。混合物を、冷たいガス流れ(コールドフィード0℃)によって冷却した。混合物を、室温で、窒素下に粒状化した。
【0094】
1週間後に、このように得られたカプロラクタム−粒状化物質を、80℃の製造温度で、垂直に配置された射出装置を備えた射出成形機Arburg270S内で、射出成形した。シリンダーの温度プロフィールは60℃/65℃/70℃/75℃であった。射出時間は、0.8sで、保持圧力時間(hold pressure time)は、2sであった。融解物を型内に、150℃の工具温度で射出した。この後、重合を5分間行った。得られたポリアミド成形物を工具(成形型)から取り出した。
【0095】
ポリアミド−生成物の残りのモノマー(カプロラクタム)の含有量を、クロマトグラフィーで測定した。ポリアミド−生成物の粘度をISO307に従い、5℃で、96%硫酸中で測定した。得られたポリマーは、0.9質量%の残留カプロラクタムを含み、及び粘度が195であった。
実施例2
834g/h(7062mmol/h)のε(イプシロン)−カプロラクタム、3000g/hのガラスビーズ、115g/h(144mmol/h)の触媒Bruggolen(登録商標)C10(ε−カプロラクタム中、17%w/wのε(イプシロン)−カプロラクトメート)、及び51g/h(14mmol/h)の開始剤Bruggolen(登録商標)C20(ε−カプロラクタム中の80%w/wのキャップしたジイソシアネート)を、押出機PTW16で、130rpm、2mmダイ、3.0kg/hで、70℃で混合した。混合物を、冷たいガス流れ(コールドフィード0℃)によって冷却した。
【0096】
混合物を、室温で窒素下に粒状化した。
【0097】
1週間後に、このように得られたカプロラクタム−粒状化物質を、80℃の製造温度で射出成形した。融解物を、T=150℃で、工具空洞部内(成形型空洞部内)に射出した。この後、重合を5分間行った。得られたポリアミド成形物を工具から取り出した。得られたポリマーは、1.5質量%の残留カプロラクタムを含み、及び粘度が230であった。
【0098】
実施例3
実施例1に従い製造されたモノマー組成物を、1か月にわたり保存した。この後、重合を実施例1に記載したように行った。得られたポリマーは、0.95質量%のカプロラクタムの残留モノマーを含み、及び粘度が191であった。
【0099】
本発明に従う方法によって製造されたモノマー−組成物は、長期間にわたり安定性が良好で、すなわち、長期間が経過した後でも、全てを重合させることができることがわかる。
【0100】
実施例4
組成物を、実施例1に記載したように製造したが、しかしながらここで、触媒と開始剤のε−カプロラクタムを、丸フラスコ内で、磁石攪拌器を使用して混合した。成分を乾燥した窒素下に、グローブボックス(保護容器)内で、フラスコ中に置いた。組成物を製造した後、フラスコの開口部を封印し、及びグローブボックスから取り出した。組成物を氷浴中で冷却した。
【0101】
そして組成物を、1週間にわたり室温で保存した。この後に、150℃の温度で10分間、重合を行った。ポリアミド−生成物は、カプロラクタム−残留モノマーの含有量が、0.85質量%、及び粘度が200であった。
【0102】
実施例5.1〜5.8:
以下の実施例5.1〜5.8のために、触媒として、ε(イプシロン)−カプロラクタム中ナトリウムラクトメート(触媒Addonyl(登録商標)NL,Firma Rheim Chemie)を使用し、活性剤は、N−メチレンピロリドン中に溶解したヘキサメチレンジイソシアネート(Addonyl(登録商標)8108,Firma Rhein Chemie)であった。
【0103】
成分を、乾燥した窒素下に融解し、そして30秒間、100℃に温度調整されたガラス容器内で、乾燥した窒素下に攪拌した。添加剤と混合したε(イプシロン)−カプロラクタム融解物を、150℃に加熱された鋼鉄製の型に重量法によって挿入した。5分後に離型した。型(形状)、及び成形物の外観ならびに残留モノマー(ε(イプシロン)−カプロラクタム)の含有量を評価した。比較例に使用したカプロラクタム処方物を、乾燥した保護ガス下に別に製造し、及び水密性の合成物質容器内に配置した。
【0104】
比較例5.1
以下の組成物を製造した:
触媒融解物:100gの、90℃で融解したBASF SEの(イプシロン)−カプロラクタムの混合物中に、1.5gの触媒を保護ガス下に混合導入した。
【0105】
活性剤融解物:100.0gの(イプシロン)−カプロラクタムの混合物中に、90℃で1.0gの活性剤を保護ガス下に混合導入した。
【0106】
両方の融解物を、90℃に加熱したフラクコ中で乾燥した窒素下に、攪拌すること(30秒間)によって、緊密に混合し、及び150℃に事前加熱した鋼鉄工具(鋼鉄成形型)に重量法的に注いだ。5分後に離型した。均一なブロックが得られた。
【0107】
外観:良好、残留カプロラクタム1.1%
比較例5.2:短ガラスファイバーの添加
触媒融解物を、実施例5.1に記載したように製造した。
【0108】
活性剤融解物:100.0gのε(イプシロン)−カプロラクタムの混合物に、90℃で、1.0gの活性剤、及びポリアミド用の「のり」(OCV社)を有する40gの市販されている短ガラスファイバーを、保護ガス下に混合した。
両方の融解物を、90℃に加熱したフラクコ中で、乾燥した窒素下に攪拌すること(30秒間)によって、緊密に混合し、及び150℃に事前加熱した鋼鉄工具に重量法的に注いだ。5分後に離型した。均一なブロックが得られた。
【0109】
外観:良好、残留カプロラクタム3.6%、カプロラクタムの匂い
比較例5.3:水の除去を行わない
触媒融解物を、実施例5.1に記載したように製造した。
【0110】
活性剤融解物:100.0gの(イプシロン)−カプロラクタムの混合物中に、90℃で、1.0gの活性剤を混合導入した。
【0111】
両方の融解物を、90℃に加熱したフラクコ中で攪拌すること(5秒間)によって、緊密に混合し、及び150℃に事前加熱した鋼鉄工具に重量法的に注いだ。乾燥した保護ガス(窒素)下での処理ではなかった。5分後に離型した。均一なブロックが得られた。
【0112】
外観:悪い(スジの入った、変色した)、残留カプロラクタム5.1%、カプロラクタムの匂い
比較例5.4:短ガラスファイバーの添加、及び水の除去を行わない
実施例5.1で記載したように触媒融解物を製造した。
【0113】
活性剤融解物:100.0gの(イプシロン)−カプロラクタムの混合物中に、90℃で1.0gの活性剤、及び40gの市販されている短ガラスファイバーをポリアミド用の「のり(size)」(OCV社)と一緒に混合導入した。
【0114】
両方の融解物を、90℃に加熱したフラクコ中で攪拌すること(5秒間)によって、緊密に混合し、及び150℃に事前加熱した鋼鉄工具に重量法的に注いだ。乾燥した保護ガス(窒素)下での処理ではなかった。5分後に離型した。均一なブロックが得られた。
【0115】
外観:非常に悪い(スジの入った、変色した)、残留カプロラクタム8.7%、カプロラクタムの強い匂い
実施例5.5
1.5gの触媒を既に含んでいる、101.5gの固体のフレーク状のε(イプシロン)−カプロラクタムに、1.0gの活性剤を既に含んでいる、101.0gの固体のε(イプシロン)−カプロラクタムを、保護ガス下に混合し、融解し、及び5秒間にわたり攪拌した。
【0116】
この融解物を90℃で、150℃に予備加熱した鋼鉄製の工具(成形型)に注ぎ込んだ。5分後、離型した。均一なブロックが得られた。
【0117】
外観:良好、残留カプロラクタム1.1%
実施例5.6:既成化(複合化)における短ガラスファイバーの添加
1.5gの触媒を既に含んでいる、101.5gの固体のフレーク状のε(イプシロン)−カプロラクタムに、1.0gの活性剤、及び40gの市販されている短ガラスファイバーを既に含み、ポリアミド用の「のり」(OCV社)を有する141.0gの固体のε(イプシロン)−カプロラクタムを混合し、融解し、及び5秒間にわたり攪拌した。
【0118】
この融解物を90℃で、150℃に予備加熱した鋼鉄製の工具に注ぎ込んだ。5分後、離型した。均一なブロックが得られた。
【0119】
外観:良好、残留カプロラクタム1.2%
実施例5.7:処理の前の短ガラスファイバーの添加
1.5gの触媒を既に含んでいる、101.5gの固体のフレーク状のε(イプシロン)−カプロラクタムに、1.0gの活性剤を含む101.0gの固体のε(イプシロン)−カプロラクタム、
ポリアミド用の「のり」(OCV社)を有する40gの市販されている短ガラスファイバーを混合し、融解し、及び5秒間にわたり攪拌した。
【0120】
この融解物を90℃で、150℃に予備加熱した鋼鉄製の工具(成形型)に注ぎ込んだ。5分後、離型した。均一なブロックが得られた。
【0121】
外観:良好、残留カプロラクタム1.6%
実施例5.8:(1成分のみ):
1.5gの触媒、及び1.0gの活性剤を既に含んでいる、202.5gの固体のフレーク状のε(イプシロン)−カプロラクタムを保護ガス下に融解し、そして攪拌はしなかった。
【0122】
この融解物を90℃で、150℃に予備加熱した鋼鉄製の工具(成形型)に注ぎ込んだ。5分後、離型した。均一なブロックが得られた。
【0123】
外観:良好、残留カプロラクタム1.0%
実施例、及び比較例5.1〜5.8は、本発明に従う方法によって、より良好なポリアミド成形物を、より少ないコストで製造できることを示している。
【0124】
本発明に従う方法は、より良好な外観を有する生成物をも提供する;更に、最も多くの場合に、匂いを大きく低減することができる。後者は、未反応モノマーのより少ない残留物含有量によって説明することができる。