(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の保持具部分及び第2の保持具部分の各々の保持部は、支柱から伸びだした保持用の爪部として構成されていることを特徴とする請求項1記載の縦型熱処理装置。
第1の保持具部分及び第2の保持具部分に基板を受け渡す側から見て基板の両側に各々設けられた複数の保持部は、基板の保持面が基板の中心側に向けて下方側に傾斜するように設けられ、この保持面により基板の下縁が保持されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の縦型熱処理装置。
前記第1の保持具部分及び第2の保持具部分の一方には被処理面が下を向くように基板が保持され、前記第1の保持具部分及び第2の保持具部分の他方には被処理面が上を向くように基板が保持され、
前記第1の保持具部分と第2の保持具部分とが合体された状態において、互いに対向する基板の被処理面同士の間隔が互いに対向する基板の裏面同士の間隔よりも大きくなるように、各保持具部分の保持部の高さ位置が設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の縦型熱処理装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明に係る縦型熱処理装置の一実施の形態について説明する。先ず、前記縦型熱処理装置に設けられる本発明の基板保持具の概要について、
図1の概略図を用いて説明する。前記基板保持具は、複数枚の基板であるウエハWを棚状に保持し、これらウエハWを熱処理するために縦型の熱処理炉内に搬入するものであり、互いに分割可能に合体された第1の保持具部分をなす第1のボート部1と、第2の保持具部分をなす第2のボート部2とにより構成されている。前記第1のボート部1は、第1のウエハW1を上下方向に所定間隔で配列保持する第1の保持部11を備えており、前記第2のボート部2は、第2のウエハW2を上下方向に所定間隔で配列保持する第2の保持部21を備えている。
【0014】
前記第1の保持部11と第2の保持部21とは、上下方向に隣接する第1の保持部11同士の間の高さ位置に、第2の保持部21が対応するように構成されている。そして、第1のボート部1及び第2のボート部2は、夫々第1のウエハW1及び第2のウエハW2を搭載された後に、1つのウエハボート3に合体されるように構成されている。こうして、当該ウエハボート3には、第1のウエハW1と第2のウエハW2とが交互に搭載された状態になる。
【0015】
続いて、前記ウエハボート3の詳細について、
図2〜
図9を用いて説明する。第1のボート部1及び第2のボート部2は、夫々半円形状の天板12,22と、半円形状の底板13,23と、を備え、これら天板12,22と底板13,23は互いに上下に対向するように設けられている。前記天板12,22は、例えば
図2〜
図4に示すように、円の中心を通る中心線で切断した一方側の半円と他方側の半円とにより構成され、前記底板13,23は、例えば天板12,22と同じ形状に夫々形成されている。これにより、前記第1のボート部1及び第2のボート部2の天板12,22同士及び、底板13,23同士は、互いに前記中心線よりなる直線領域14,24が接合できるように構成されている。そして、夫々の天板12,22及び底板13,23を接合すると、ウエハボート3の円形状の天板31及び底板32が形成されるようになっている。
【0016】
また、第1のボート部1は、前記天板12及び底板13の各々の周縁部に沿って複数設けられ、当該天板12と底板13とを互いに連結する例えば3本の支柱15a〜15cを備えている。例えば支柱15a〜15cは、
図2〜
図5に示すように、天板12及び底板13の周縁部に沿って互いに離れて設けられており、中央の支柱15bは、天板12及び底板13の外縁のほぼ中央部に設けられ、両側の支柱15a,15cは、夫々天板12及び底板13の直線領域14の近傍に設けられている。
【0017】
これら支柱15a〜15cには、これら支柱15a〜15cの各々において互いに対応する位置に設けられ、各ウエハW1の下面を保持するための保持部16a〜16cが夫々設けられている。この例では、保持部16a〜16cは、支柱から伸びだした保持用の爪部として構成されており、ウエハW1を略水平に保持するために、この例では、両側の支柱15a,15cには、天板12及び底板13から直線領域14を越えて外部に略水平に突出するように、側方保持部16a,16cが夫々設けられている。また、例えば中央の支柱15bには、直線領域14の中央に向って略水平に伸びるように、中央保持部16bが設けられている。
【0018】
これら中央保持部16b及び側方保持部16a,16cは、夫々幅狭な板状体により構成され、夫々支柱15b,15a,15cに、配列間隔Aで固定されている。この例では、中央保持部16b及び側方保持部16a,16cにより第1の保持部が構成されている。ここで、配列間隔とは、
図6に示すように、上段側の保持部16a〜16cの表面と、下段側の保持部16a〜16cの表面との間の間隔をいう。
【0019】
同様に、第2のボート部2は、前記天板22及び底板23の各々の周縁部に沿って複数設けられ、当該天板22と底板23とを互いに連結する例えば3本の支柱25a〜25cを備えている。また、前記支柱25a〜25cの各々には、互いに対応する位置に設けられ、各ウエハW2の下面を保持するための保持部26a〜26cが設けられており、これら保持部26a〜26cは支柱25a〜25cから伸び出した保持用の爪部として構成されている。これら支柱25a〜25c、及び中央保持部26b,側方保持部26a,26cのレイアウトや形状は、
図4及び
図5に示すように、天板12,22(底板13,23)同士を接合させて、円形の天板31(底板32)を形成したときに、直線領域14,24に基づいて互いに線対称になるように設定されている。これら中央保持部26b及び側方保持部26a,26cは、夫々支柱25b,25a,25cに、第1の保持部16a〜16cと同じ個数分、配列間隔Aで固定されている。これら中央保持部26b及び側方保持部26a,26cにより第2の保持部が構成され、この例では、ウエハW2を略水平に保持するために、側方保持部26a,26cが天板22(底板23)から伸び出すように構成されている。
【0020】
そして、これら第1のボート部1及び第2のボート部2は、天板12,22及び底板13,23の直線領域14,24同士を接合するように合体できるように構成されている。この際、前記第1の保持部16a〜16c及び第2の保持部26a〜26cの各々は、第1のボート部1及び第2のボート部2が互いに合体したときに、第1のボート部1に保持されたウエハW1と第2のボート部2に保持されたウエハW2とが交互に配列されるように高さ位置が設定されている。より具体的には、例えば最上段の第2の保持部26a〜26cの表面が最上段の第1の保持部16a〜16cの表面よりもA/2分低い位置になるように設定されている。これにより、第1及び第2のボート部1,2を合体させると、
図7〜
図9に示すように、上下方向に隣接する第1の保持部16a〜16c同士の間の高さ位置に、第2の保持部26a〜26cが入り込み、これら第1の保持部16a〜16cと第2の保持部26a〜26cとが、A/2の配列間隔で上下に配列されるように構成されている。
【0021】
図5に示すように、前記第1の保持部16a〜16c及び第2の保持部26a〜26cは、ウエハWを保持する保持面が細長く伸びる長ツメ形状に形成されている。このウエハWの保持面とは、保持部16a〜16c,26a〜26cにおいて、ウエハWの裏面側が載置される領域であり、これら保持部16a〜16c,26a〜26にウエハWを受け渡す際に、多少ウエハWが移動する場合もあることから、このウエハWの移動分も見込んだ領域である。
【0022】
これら保持部16a〜16c,26a〜26cは、保持面を大きくすると、ウエハの自重による応力を分散できる上、ウエハを安定して保持することができるが、ウエハWの面内において、保持面と接触する部位と接触していない部位との間で、温度差が生じるおそれもある。従って、熱処理の面内均一性を妨げない程度に保持面を大きくとることが要求され、上述の実施の形態では、保持面は、幅が狭く、長さが大きい長ツメ形状に構成されている。例えば前記保持部16a〜16c、26a〜26cの幅L1は例えば10mm〜30mm、好ましくは20mmに設定される。
【0023】
また、パターン形成領域の熱処理の面内均一性を考慮すると、パターン形成領域の内側へ伸び出す程度を抑えることが好ましい。このため、例えば中央保持部16a,26bの保持面の長さL2は例えば20mm〜40mm、好ましくは30mmに設定される。
【0024】
また、側方保持部16a,16c(26a,26c)は、直線領域14(24)を越えて伸び出すように設けられればよいが、前記パターン形成領域への影響を考えて、ウエハWの周縁近傍に伸び出すように設けることが好ましい。さらに、この例では、熱処理の面内均一性を高めるために、保持面の先端部のウエハWの外縁からの距離が、中央保持部16a,26bと揃えられている。つまり、側方保持部16a,16c(26a,26c)の先端部は、ウエハWの外縁から距離L2分内側の位置まで伸び出すように設けられ、これにより、中央保持部16a,26bの先端部と、側方保持部16a,16c(26a,26c)の先端部の位置は、共にウエハWの外縁から距離L2分内側の位置することになる。
【0025】
このような側方保持部16a,16c(26a,26c)の寸法の一例を示すと、保持面の長さ例えば直線領域14,24から最も離れた端部P1と先端部との距離L3は例えば40mm〜80mm、好ましくは60mmに設定される。また、直線領域14(24)から外側へ突出した部位の長さ(中心領域14,24から最も離れた部位P2と先端部との距離)L4は例えば20mm〜60mm、好ましくは40mmに設定される。さらに、例えば直線領域14(24)とのなす角θは例えば50度〜70度、好ましくは60度に設定される。
【0026】
このようなウエハボート3は、
図8に示すように、第1のボート部1及び第2のボート部2に夫々ウエハW1及びウエハW2を搭載してから、両ボート部1,2が合体されるように構成されている。そして、こうして構成されたウエハボート3は、結合部材33により天板12,22同士が互いに結合されるように構成されている。この結合部材33は、前記第1のボート部1及び第2のボート部2を互いに結合させるために、前記第1のボート部1及び第2のボート部2に対して着脱自在に設けられており、例えば
図2に示すように、キャップ部34の下部に2本の足部35a,35bを備えて構成されている。一方、天板12,22には、前記足部35a,35bに対応する位置に孔部12a,22aが夫々形成されている。こうして、前記第1のボート部1及び第2のボート部2を合体させた後、夫々の天板12,22の孔部12a,22aに、結合部材33の足部35a,35bを夫々挿入することにより、天板12,22同士が結合されるようになっている。
【0027】
また、底板13,23の下面には、
図2及び
図3に示すように、支持脚36a,36bが設けられている。これら支持脚36a,36bは、ウエハW1,W2を搭載した第1のボート1及び第2のボート2を支えることができる形状に設定されている。なお、
図1、
図6、
図8、
図9では、図示の便宜上、支持脚36a,36bを省略して描いている。前記第1のボート部1及び第2のボート部2を構成する部材、例えば天板12,22、底板13,23、支柱15a〜15c,25a〜25c,保持部16a〜16c,26a〜26c、結合部材33、支持脚36a,36bは例えば石英により構成されている。
【0028】
続いて、既述のウエハボート3を備えた縦型熱処理装置4の一例について、
図10〜
図19を参照して説明する。
図10中40は処理室、41は多数枚のウエハWが多段に収納されたFOUPであり、この後段側には、基板移載機構42と、ボート合体機構5とが、この順序で設けられている。前記基板移載機構42は、FOUP41とボート合体機構5に載置された第1のボート部1及び第2のボート部2との間でウエハWの移載を行うものである。このため、基板移載機構42は、
図11に示すように、基台43に沿って進退自在に構成されたフォーク44を備えると共に、前記基台43が駆動機構45により昇降自在及び鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0029】
前記ボート合体機構5は、第1のボート部1及び第2のボート部2を合体させてウエハボート3を構成する機構である。
図12は、ボート合体機構5をFOUP41側から見た構成図である。以下、処理室40をFOUP41側から見たときに、処理室40の左右方向を
図10中X方向、長さ方向を
図10中Y方向として説明を続ける。
【0030】
前記ボート合体機構5は、
図12に示すように、第1のボート1を載置する第1のステージ51と、第2のボート52を載置する第2のステージ52とが、前記左右方向に並ぶように構成されている。前記第1のステージ51は、第1の載置部をなすものであり、第2のステージ52は、第2の載置部をなすものである。この例では、FOUP41から見て左側に第1のステージ51、右側に第2のステージ52が夫々設けられている。
【0031】
前記第1のステージ51は、左右方向に水平移動する第1の移動ベース511と、この移動ベース511の上に設けられ、鉛直軸回りに回転する第1の回転ベース512とを備えている。前記第1の移動ベース511は、その下面にボールネジ機構のナット部513が設けられ、処理室40の左右方向に伸びるボールネジ53をモータM1により回転させることによって、前記左右方向に移動自在に設けられている。531はカップリング、532はガイド部材(
図10参照)である。また、第1の回転ベース512は、モータM2により回転されるプーリ514とベルト515との組み合わせにより回転軸516が回転するように構成されている。
【0032】
前記第2のステージ52も、第1のステージ51と同様に、左右方向に水平移動する第2の移動ベース521と、この移動ベース521の上に設けられ、鉛直軸回りに回転する第2の回転ベース522とを備えている。前記第2の移動ベース521は、その下面にボールネジ機構のナット部523が設けられ、前記ボールネジ53をモータM1により回転させることによって、前記左右方向に移動自在に設けられている。また、第2の回転ベース522は、モータM3により回転されるプーリ524とベルト525との組み合わせにより回転軸526が回転するように構成されている。
【0033】
前記ボールネジ53は、第1のステージ51のナット側は左ネジが形成されると共に、第2のステージ52のナット側は右ネジが形成されている。こうして、モータM1を回転させると、第1のステージ51の移動ベースは、処理室40の一端側の移載位置(
図12及び
図13に示す位置)と、中央の合体位置(
図10に示す位置)との間で、移動自在に構成されている。一方、第2のステージ52の移動ベースは、モータM1の回転により、処理室40の他端側の移載位置と、中央の合体位置との間で移動自在に構成されている。前記移載位置とは、基板移載機構42が第1のボート部1及び第2のボート部2との間でウエハWの受け渡しを行う位置であり、前記合体位置とは、第1のボート部1及び第2のボート部2が接合される位置である。
【0034】
また、モータM2,M3の駆動により、第1及び第2の回転ベース512,522は、移載方向(
図13に示す方向)と合体方向(
図10に示す方向)との間で向きを変えることができるように構成されている。前記移載方向とは、第1及び第2のボート部1,2の天板12,22(底板13,23)の直線領域14,24が基板移載機構41側に向く方向である。また、前記合体方向とは、第1及び第2のボート部1,2の前記直線領域14,24が互いに対向する方向である。
【0035】
ここで、第1の移動ベース511を移載位置にし、第1の回転テーブル512を移載方向に向けた状態を第1のステージ51が移載位置にある状態とし、第2の移動ベース521を移載位置にし、第2の回転テーブル522を移載方向に向けた状態を第2のステージ52が移載位置にある状態とする。この場合、第1のステージ51が移載位置にあるときに、第1のボート部1の第1の保持部16a〜16cに対して、基板移載機構42のフォーク44がアクセスでき、第2のステージ52が移載位置にあるときに、第2のボート部2の第2の保持部26a〜26cに対して、基板移載機構42のフォーク44がアクセスできるように、基板移載機構42やボート合体機構5、第1及び第2のボート部1,2が夫々構成されている。
【0036】
また、第1の回転ベース512及び第2の回転ベース522を前記合体方向に向けてから、第1の移動ベース511及び第2の移動ベース521を前記合体位置に移動することにより、第1のボート部1及び第2のボート部2の天板12,22及び底板13,23の夫々直線領域14,24同士が互いに接合され、第1のボート部1及び第2のボート部2が合体して、ウエハボート3が構成されるようになっている。この際、第1の移動ベース511及び第2の移動ベース521を前記合体位置に移動させてから、第1の回転ベース512及び第2の回転ベース522を前記合体方向に向けることにより、第1及び第2のボート部1,2を合体させるようにしてもよい。以降では、第1及び第2の回転ベース512,522が合体方向を向き、第1及び第2の移動ベース511,521が合体位置にあるときに、第1及び第2のステージ51,52が合体位置にあるという。
【0037】
また、前記第1のステージ51の第1の回転ベース512上面には、第1のボート部1の下端である支持脚36aが載置される載置部517が設けられており、第2のステージ52の第2の回転ベース522の上面には、第2のボート部2の下端である支持脚36bが載置される載置部527が設けられている。第1及び第2のボート部1,2の自重により、これらボート部1,2は、載置部517,527に支持脚36a,36bを介して安定した状態で載置されるので、第1及び第2のステージ51,52の移動時に、第1及び第2のボート部1,2の位置ずれが抑えられる。
【0038】
ボート合体機構5の上部側には、
図10及び
図14に示すように、結合機構6が設けられている。この例における結合機構6はアーム部材61を備えており、このアーム部材61の基端側は駆動機構62に接続されている。この駆動機構62は、
図14〜
図16に示すように、アーム61を昇降させるシリンダよりなる昇降機構63と、アーム61を結合位置とこの結合位置の外方の待機位置との間で旋回移動させるモータM4とを備えている。
図14及び
図16中65a,65bはガイド部材である。前記結合位置とは、アーム部材61の先端が合体位置にて合体されたウエハボート3の天板31の中央部の上方側にある位置である。
【0039】
また、アーム部材61の先端には、結合部材33を保持する保持機構66が設けられている。この保持機構66は、ロッド部材67を介してシリンダ68に接続され、これらにより開閉自在に構成されている。つまり、シリンダ68によりロッド部材67を押圧すると、保持機構66が閉じて結合部材33のキャップ部34を保持することができ、ロッド部材67の押圧を解除すると、保持機構66が開いて結合部材33を離すように構成されている。
【0040】
さらに、処理室40内におけるボート合体機構5の後段側には、ボート搬送機構7と、ボートエレベータ8と、がこの順序で設けられている。このボート搬送機構7は、第1のボート部1と第2のボート部2とが合体されたウエハボート3をボートエレベータ8に移載するための保持具移載機構をなすものである。この例では、ボート搬送機構7は、ボート合体機構5の合体位置にある第1及び第2のステージ51,52と、ボートエレベータ8上の断熱ユニット81との間でウエハボート3を搬送するように構成されている。
【0041】
ボート搬送機構7は、
図17及び
図18に示すように、ウエハボート3が載置される板状の搬送アーム71を備え、この搬送アーム71は、進退機構により進退自在及び昇降機構により昇降自在、かつ回転機構により鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。この例では、前記進退機構はボールネジ機構よりなり、モータM5によりカップリング721を介してボールネジ722を回転させることにより、ナット723の上面に設けられた移動ベース72がボールネジ722に沿って移動するように構成されている。
図17中725はガイド部材である。
【0042】
また、前記移動ベース72の上部には、昇降機構をなすシリンダ731を介して昇降ベース73が設けられており、さらに、昇降ベース73の上には、回転ベース74を介して搬送アーム71が水平に設けられている。前記回転ベース74は、モータM6により回転駆動されるプーリ741とベルト742との組み合わせにより、前記搬送アーム71を鉛直軸まわりに回転させるようになっている。こうして、モータM6、プーリ741、ベルト742、回転ベース74により、前記回転機構が構成されている。
【0043】
この例では、第1及び第2のステージ51,52が前記合体位置にあるときに、これらステージ51,52の直ぐ奥側に搬送アーム71が位置するように、ボート搬送機構7が設けられている。そして、搬送アーム71が処理室40の長さ方向に沿って進退するように配置され、
図11及び
図18に示すように前記合体位置にあるウエハボート3の底板32の下方側において進退できるように構成されている。この際、搬送アーム71は前記合体位置にあるウエハボート3を受け取るときには、支持脚36a,36bが設けられている高さ位置にて進退するようになっている。
【0044】
また、搬送アーム71の先端側は、アーム本体70から2本の腕部70a,70bが伸び出すように構成されており、一方の腕部70aの先端側には、可動アーム75が取り付けられている。この可動アーム75は、前記腕部70aに沿って伸びる通常位置(
図17中実線で示す位置)と、腕部70aに直交する搬送位置(
図17中点線で示す位置)との間で、駆動機構76により可動自在に構成されている。この駆動機構76としては、
図17に示すように、例えばロッド761とシリンダ762とを組み合わせたものが用いられ、シリンダ762によりロッド761を押圧したときに、可動アーム75が腕部70aに直交するように曲がって搬送位置になり、前記押圧を解除したときには、可動アーム75が通常位置に戻るようになっている。こうして、可動アーム75が搬送位置にあるときには、腕部70a,70b及び可動アーム75により、合体位置にあるウエハボート3の支持脚36a,36bが囲まれるようになっている。
【0045】
このようなボート搬送機構7では、搬送アーム71の上にウエハボート3の底板32を載置して搬送するが、搬送アーム71における前記底板32が載置される領域には、
図17及び
図18に示すように、ボート受け部77が設けられている。この例では、ボート受け部77は、例えばアーム本体70と、2本の腕部70a,70b、可動アーム75の上面に夫々に設けられている。一方、前記ウエハボート3の底板32における、ボート受け部77に対応する領域には段部32aが形成されていて、ボート受け部77にウエハボート3を載置したときの位置合わせを行い、かつウエハボート3の位置ずれを防止できるようになっている。
【0046】
続いて、ボートエレベータ8及び断熱ユニット81について説明する。前記ボートエレベータ8は、
図11に示すように、ウエハボート3を縦型熱処理炉85内に搬入、搬出するための保持具昇降機構をなすものであり、図示しない昇降機構により昇降自在に構成されている。また、断熱ユニット81は例えば石英により構成された保温筒をなすものであり、
図19に示すように、ボートエレベータ8に蓋体82及び回転テーブル83を介して設けられている。この断熱ユニット81の上面における、ウエハボートの支持脚36a,36bが載置される領域には、載置部84が設けられている。
【0047】
前記ボート合体機構5の合体位置にあるウエハボート3は、搬送アーム71により底板32を支持した状態で断熱ユニット81の上方側まで搬送され、支持脚36a,36bを対応する載置部84の上方側に位置させてから下降することにより、載置部84上に受け渡されることになる。こうして、断熱ユニット81にウエハボート3を載置した後、ボートエレベータ8を上昇させることにより、縦型熱処理炉85内にウエハボート3を搬入し、蓋体82により縦型熱処理炉85の下端側が塞がれるように構成されている。
【0048】
前記縦型熱処理装置4は制御部100により制御されるように構成されている。この制御部100は例えばコンピュータからなり、プログラム、メモリ、CPUを備えている。前記プログラムには制御部100から縦型熱処理装置4の各部に制御信号を送り、所定の熱処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部100にインストールされる。
【0049】
ここで前記プログラムには、基板移載機構42、ボート合体機構5、結合機構6、ボート搬送機構7、ボートエレベータ8を制御するためのプログラムも含まれており、制御部100のメモリに予め記憶されたプロセスレシピに応じて、前記各部が制御されるようになっている。
【0050】
続いて、上述の縦型熱処理装置4の作用について説明する。先ず、ボート合体機構5の第1のステージ51及び第2のステージ52を移載位置にして、第1のステージ51及び第2のステージ52に夫々第1のボート部1及び第2のボート部2を載置する。また、結合機構6には、結合部材33のキャップ部34を保持させて、合体位置の上方側の結合位置に移動しておく。
【0051】
そして、基板移載機構42により、FOUP41内のウエハWを第1のボート部1及び第2のボート部2に夫々移載する。次いで、例えばボート合体機構5の第1の回転ベース512及び第2の回転ベース522を合体方向にしてから、第1の移動ベース511及び第2の移動ベース521を合体位置に移動させる。これにより、第1のボート部1及び第2のボート部2が合体され、ウエハWが搭載されたウエハボート3が構成される。
【0052】
次いで、結合機構6のアーム61を下降させて、ウエハボート3の天井部31の孔部12a,22aに結合部材33の足部35a,35bを挿入して、第1のボート部1及び第2のボート部2を結合する。続いて、保持部材66を開いて結合部材33のキャップ部34を離した後、アーム61を上昇させてから、待機位置まで移動させる。
【0053】
この後、合体位置にあるウエハボート3を、ボート搬送機構7により、断熱ユニット81に搬送する。先ず、ボート搬送機構7の可動アーム75を通常位置にした状態で搬送アーム71をウエハボート3を搬送する位置まで前進させる。次いで、可動アーム75を搬送位置に移動してから、搬送アーム71を上昇させ、第1及び第2のステージ51,52から搬送アーム71のボート受け部77上にウエハボート3を受け取る。そして、断熱ユニット81の上方側にウエハボート3を搬送した後、搬送アーム71を下降させて、断熱ユニット81の載置部84に支持脚36a,36bを載置する。こうして、断熱ユニット81にウエハボート3を受け渡した後、搬送アーム71を後退させる。
【0054】
続いて、ボートエレベータ8を上昇させて、縦型熱処理炉85内にウエハボート3を搬入し、ウエハボート3に搭載されたウエハWに対して一括して熱処理を行う。熱処理が終了した後、ボートエレベータ8を下降させて、ウエハボート3を縦型熱処理炉85から搬出し、ボート搬送機構7により、合体位置にある第1のステージ51及び第2のステージ52上に、ウエハボート3を搬送する。
【0055】
この後、結合機構6を待機位置から前記結合位置に移動した後、保持機構66を開いてから下降させ、結合部材33のキャップ部34の周囲に保持機構66を位置させる。次いで、保持機構66を閉じて前記キャップ部34を把持させてから、アーム部61を上昇させることにより、ウエハボート3から結合部材33を抜き取る。
【0056】
然る後、第1のステージ51及び第2のステージ52を移載位置に移動する。例えば、第1及び第2の移動ベース511,512を合体位置にしたまま、第1及び第2の回転ステージ521,522を移載方向に開いてウエハボート3を第1のボート部1及び第2のボート部2に分割し、次いで第1及び第2の移動ベース511,512を移載位置に移動させる。また、第1及び第2の回転ベース512,522を合体方向にしたまま、第1及び第2の移動ベース511,521を移載位置に移動させることにより、ウエハボート3を第1のボート部1及び第2のボート部2に分割し、次いで、第1及び第2の回転ベース512,522を移載方向にしてもよい。この後、第1のボート部1及び第2のボート部2に搭載されている熱処理後のウエハWを、基板移載機構42によりFOUP41に夫々移載する。
【0057】
上述の実施の形態によれば、第1のボート部1及び第2のボート部2にウエハW1,W2を移載するときには、これらボート部1及びボート部2に夫々配列間隔Aで上下に設けられた第1の保持部16a〜16及び第2の保持部26a〜26cに対してウエハW1及びW2を移載している。この際、前記配列間隔Aは例えば12mmに設定されており、上下方向の移載マージンが大きいため、ウエハW1,W2の移載作業を容易に行うことができる。
【0058】
また、第1及び第2のボート部1,2にウエハW1,W2を移載した後は、第1及び第2のボート部1,2を合体してウエハボート3を構成している。ここで、ウエハボート3には、第1のボート部1のウエハW1と第2のボート部2のウエハW2とが上下方向に交互に配列されるため、ウエハボート3には移載時よりも狭い配列間隔A/2(例えば6mm)でウエハWが配列保持される。
【0059】
従って、ウエハボート3への移載作業を容易にしながら、ウエハボート3のウエハWの配列間隔を狭くできる。これにより、ウエハボート3の大きさを変えずに、ウエハWの搭載枚数を増加することができる。この結果、縦型熱処理炉85にて、同時に熱処理されるウエハWの枚数が増大するので、縦型熱処理装置4のスループットを向上させることができる。また、ウエハボート3に搭載されるウエハWの枚数が従来と同じである場合には、ウエハボート3及び縦型熱処理炉85の小型化を図ることができる。また、縦型熱処理炉85にて同時に処理するウエハWの枚数が増大することから、1枚のウエハWを処理するために必要なエネルギーが減少し、省エネルギー化を図ることができる。
【0060】
さらに、第1の保持部16a〜16c及び第2の保持部26a〜26cは長ツメ形状に構成されているので、ウエハWが載置されるウエハ載置領域(保持面)が大きい。ここで、既述のようにウエハWが側方の支柱15a,15c(25a,25c)からはみ出して載置される構成では、保持面が小さいと、ウエハWの裏面側における保持面と接触する部位において、当該部位にウエハWの自重による応力が集中し、ウエハW裏面側の接触部位に疵が付きやすい。この疵は、熱処理時における結晶欠陥(スリップ)の発生原因の一つとして知られている。一方、既述のように、第1の保持部16a〜16c及び第2の保持部26a〜26cの保持面を大きくすれば、前記応力を分散させることができる。従って、ウエハW裏面側の疵の発生を抑え、ひいては前記疵が原因となる結晶欠陥の発生を抑制することができるので、結果として製品の歩留まりの向上を図ることができる。
【0061】
さらにまた、第1の保持部16a〜16c及び第2の保持部26a〜26cが長ツメ形状に形成され、保持面が大きいことから、ウエハWを安定して保持することができる。このため、第1及び第2のボート部1,2にウエハW1,W2を移載した後、第1及び第2のボート部1,2を合体させるために、これら第1及び第2のボート部1,2を移動させるときでも、ウエハWの脱落を防止することができる。特に、側方保持部16a,16c(26a,26c)は、前記直線領域14、24を越えて外側に伸び出すように設けられていることから、側方の支柱15a,15c(25a,25c)がウエハWの中心よりも背面側にある場合であっても、ウエハWを安定して保持することができる。なお、これら保持部16a〜16c、26a〜26cに対して、ウエハWは直線領域14,24側から受け渡されるため、直線領域14,24側をウエハWの正面側、中央の支柱15b,25b側をウエハWの背面側としている。
【0062】
さらにまた、本発明のウエハボート3は、第1及び第2のボート部1,2を合体して構成しており、合体後のウエハボート3では、第1のボート部1の支柱15a〜15cと、第2のボート部2の支柱25a〜25cが、当該ボート3に搭載されたウエハWの周方向に沿って互いに間隔をおいて配列されており、この際、
図5に示すように、隣接する支柱同士の間隔はウエハWの直径よりも小さく設定されている。
【0063】
これにより、ウエハWを搭載したウエハボート3に対して、地震や搬送中のトラブルでウエハボート3に振動が与えられる場合であっても、ウエハWはその周囲を支柱15a〜15c,25a〜25cにより囲まれているため、ウエハボート3からの飛び出しが防止される。従って、ウエハボート3に振動が与えられる場合であっても、ウエハボート3からのウエハWの落下が抑えられ、ウエハWの破損を防止することができる。
【0064】
また、このようにウエハWの外縁の位置が支柱15a〜15c、25a〜25cにより規制されており、かつ側方保持部16a,16c(26a,26c)が、前記直線領域14、24を越えて外側に伸び出すように設けられているため、仮に大きな振動がウエハボート3に与えられる場合であっても、ウエハWが側方保持部16a,16c(26a,26c)から脱落するおそれがない。このため、ウエハボート3が振動しても、ウエハWが保持部から落下し、他のウエハWに衝突するといった事故の発生が抑えられる。
【0065】
続いて、前記ウエハボートの他の例について、
図20〜
図23を参照して説明する。この例のウエハボート3Aは、前記第1のボート部1A及び第2のボート部2Aの一方には被処理面が下を向くようにウエハWが保持され、前記第1のボート部1A及び第2のボート部2Aの他方には被処理面が上を向くようにウエハWが保持されるように構成されている。この例では、前記ウエハボート3Aは、
図20に示すように、第1のボート部1Aに載置されるウエハW1は裏面側を上にして配設され、第2のボート部2Aに載置されるウエハW2は、被処理面側を上にして配設されている。
【0066】
第1のボート部1A及び第2のボート部2Aは、第1のボート部1Aに設けられる保持部17a〜17cと、第2のボート部2Aに設けられる保持部27a〜27cとの配列間隔が異なる以外は、上述のウエハボート3の第1及び第2のボート部1,2と同様に構成されている。これにより、ウエハボート3Aはウエハボート3と同様に、第1のボート部1A及び第2のボート部2Aを合体させて構成され、当該ウエハボート3Aでは、第1のボート部1Aに搭載されているウエハW1と第2のボート部2Aに搭載されているウエハW2が、上下方向において交互に配列される。
【0067】
従って、第1及び第2のボート部1,2には、上下に隣接する前記ウエハW1とウエハW2の被処理面同士が互いに対向すると共に、前記ウエハW1とウエハWの裏面同士が互いに対向するように載置されることになる。この際、第1のボート部1Aの保持部17a〜17cと、第2のボート部2Aの保持部27a〜27cの高さ位置は、第1のボート部1と第2のボート部2とが合体された状態において、互いに対向するウエハWの被処理面同士の間隔が、互いに対向するウエハWの裏面同士の間隔よりも大きくなるように設定されている。具体的には、第1のボート部1Aの保持部17a〜17c及び、第2のボート部2Aの保持部27a〜27cは、夫々12mmの配列間隔で設けられ、互いに対向するウエハWの被処理面同士の間隔は8mm、互いに対向するウエハWの裏面同士の間隔は4mmになるように夫々の高さ位置が設定される。
【0068】
このような第1のボート部1A及び第2のボート部2Aを備えた縦型熱処理装置は、基板移載装置9が
図22及び
図23に示すように構成されている以外は、
図10に示す縦型熱処理装置4と同様に構成されている。前記基板移載装置9は、ウエハWを保持する水平なフォーク91が進退機構92により基台93に沿って進退自在に構成されると共に、前記基台93が駆動機構94により昇降自在及び鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0069】
また、前記フォーク91の基端側は、水平軸まわりに回転する回転機構95に接続されている。さらに、フォーク91の表面には、バルブVを備えた吸引路96aを介して真空ポンプ97に接続された吸引孔96が形成されている。こうして、ウエハWをフォーク91に載置してから、バルブV1を開いて真空ポンプ97により排気することにより、ウエハWが吸引孔96によってフォーク91に真空吸着保持されるように構成されている。また、真空吸着の代わりに、静電力によりウエハWをフォーク91に吸着保持するようにしてもよい。
【0070】
このような第1及び第2のボート部1A,2Aを備えた縦型熱処理装置では、
図22に示すように、FOUP41からフォーク91により被処理面が上になるようにウエハW2を受け取った後、第2のボート部2の保持部27(27a〜27c)に被処理面が上になるようにウエハW2が受け渡される。また、
図23に示すように、FOUP41からフォーク91により被処理面が上になるようにウエハW1を受け取った後、例えばフォーク91の基端側が基台93の先端より前になるように前進させてから、回転機構95によりウエハW1が下になるようにフォーク91を回転させる。この状態では、ウエハW1は裏面が上を向き、被処理面が下を向いた状態である。続いて、第1のボート部1の保持部17(17a〜17c)に、裏面が上を向いた状態でウエハW1が受け渡される。
【0071】
こうして、第1及び第2のボート部1A,2AにウエハW1,ウエハW2を移載した後、既述のように、ボート合体機構5によりこれらボート部1A,2Aを合体させてウエハボート3Aを構成する。次いで、ウエハボート3Aを結合部材33により結合した後、ボート搬送機構7により断熱ユニット81上に搬送する。そして、ボートエレベータ8を上昇させて、ウエハボート3Aを縦型熱処理炉85内に搬入し、ウエハW1,W2に対して、所定の熱処理を行う。
【0072】
このような構成によれば、上述の実施の形態と同様に、ウエハW1,W2の移載時には、大きい配列間隔で第1及び第2のボート部1A,2AにウエハW1,W2が受け渡され、ウエハW1,W2の移載後にウエハボート3Aを合体している。これにより、移載マージンを大きくして移載作業を容易にしながら、ウエハボート3に搭載されるウエハW1,W2の配列間隔を小さくすることができる。このため、ウエハボート3に搭載されるウエハW1,W2の枚数が増大し、スループットの向上を図ることができる。
【0073】
また、第1のボート部1Aには、裏面が上を向いたウエハW1を移載し、第2のボート部2Bには、被処理面が上を向いたウエハW2を移載してから、ウエハボート3Aを構成しているので、上下方向に隣接するウエハW1,W2が、被処理体面同士及び裏面同士が互いに対向するように配列される場合であっても、移載作業を容易に行うことができる。さらに、上下方向に隣接するウエハW1,W2において、被処理面同士が対向する領域は、裏面同士が対向する領域よりも、間隔が大きくなるように設定されている。このため、ウエハW1,W2の被処理面が互いに対向する領域には、処理ガスが入り込みやすく、十分にウエハW1,W2の被処理面に処理ガスが行き渡るので、処理ムラの発生を抑えて、面内均一性の高い熱処理を行うことができる。
【0074】
以上において、本発明は、第1のボート部に搭載されたウエハW1と、第2のボート部に搭載されたウエハW2同士が完全に(100%)重なっていることを要件とするものではない。これらウエハW1,W2同士を完全に重ねない場合には、必ずしも支柱から保持部を伸び出してウエハW1,W2を保持する構成としなくてもよく、例えば支柱の上下に配列され、各々水平に切り欠かれた溝を保持部として構成することもできる。
【0075】
この構成について、
図24〜
図26を用いて説明する。図中110は第1のボート部、120は第2のボート部であり、これらボート部110,120には夫々複数本例えば3本の支柱111〜113,121〜123が設けられている。第1のボート部110の両側の支柱111,113は、中央の支柱112が設けられている側を一端側とすると、ウエハW1の中心O1よりも他端側に位置するように設けられている。また、同様に第2のボート部120の両側の支柱121,123は、ウエハW2の中心O2よりも一端側に設けられている。なお、
図24及び
図25中114,124は、夫々第1のボート部110、第2のボート部120の天板であり、115,125は、夫々第1のボート部110、第2のボート部120の底板である。
【0076】
前記支柱111〜113,121〜123には、ウエハW1,W2の周縁部が載置される溝部116,126が、夫々上下に配列されるように、各々水平に切り欠かれて形成されている。この際、溝部116,126は、第1のボート部110に載置されるウエハW1と、第2のボート部120に載置されるウエハW2とが、上下方向に交互に配置されるように形成される。既述のように、両側の支柱111,113、121,123がウエハW1,W2の中心O1,O2よりも夫々外側に形成されているので、夫々の溝部111〜113、121〜123にウエハWの周縁が載置されることにより、第1のボート部110及び第2のボート部120にウエハW1,W2が夫々水平に保持されることになる。
【0077】
また、第1のボート部110の両側の支柱111,113には、第2のボート部120に搭載されたウエハW2と干渉しないように溝部117が切り欠かれて形成されている。同様に、第2のボート部120の両側の支柱121,123にも、第1のボート部110に搭載されたウエハW1と干渉しないように溝部127が形成されている。
【0078】
こうして、第1のボート部110及び第2のボート部120に夫々ウエハW1,W2を搭載した後、これらボート部110,120同士を合体させることにより、
図24及び
図26に示すようにウエハボート130が構成される。この場合、これらの図に示すように、ウエハボート130上では、ウエハW1,W2同士は完全に重ならないが、ウエハボート130を縦型熱処理炉内に搬入することにより、ウエハW1,W2に対して、一括して熱処理を行うことができる。
【0079】
以上において、ウエハボートは第1のボート部及び第2のボート部に完全に2分割する場合に限らず、
図27に示すように、ウエハWの移載時には、第1のボート部210及び第2のボート部220の一部が繋がっている状態で、第1のボート部210と第2のボート部220を開く構成も本発明の範囲に含まれる。この場合、例えば共通の支柱230を設け、この支柱230に図示しない蝶番機構を用いて第1のボート部210及び第2のボート部220の天板及び底板の接合及び分離が行われる。
【0080】
また、本発明では、支柱に形成される保持部は上述の構成に限らず、中央の支柱から天板(底板)を越えて外部に伸び出すように保持部を設け、側方の支柱には天板(底板)近傍に伸びる保持部を設けるようにしてもよい。さらに、支柱に形成される保持部としては、支柱から伸び出す爪部と、支柱に切り欠かれた溝部を組み合わせて構成してもよい。
【0081】
さらに、本発明では、第1の載置部(第1のステージ)及び第2の載置部(第2のステージ)の一方を固定しておき、他方を移動させることによって、これら載置部上の第1の保持具部分(第1のボート部)と第2の保持具部分(第2のボート部)を合体させる構成としてもよい。さらにまた、第1の保持具部分及び第2の保持具部分を夫々保持具移載機構により、保持具昇降機構上に搬送し、当該保持具昇降機構上にて第1の保持具部分及び第2の保持具部分を合体させるようにしてもよい。
【0082】
さらにまた、本発明では、ウエハWの側方を保持する側方保持部16a,16c(26a,26c)を、保持部16a〜16c(26a〜26c)にて保持されるウエハWの中心よりも正面側に伸び出すように設けると共に、
図28に側方保持部16a,16cを例にして示すように、その保持面をウエハWの周縁に沿った円弧状に形成するようにしてもよい。
図29は、第1のボート部1及び第2のボート部2を接合した状態を示している。また、中央保持部16a,26bは、上述の
図5に示す例と同様に構成したが、当該中央保持部16a,26bも、ウエハWの周縁に沿った円弧状に形成してもよい。
【0083】
このような構成では、側方保持部16a,16c(26a,26c)がウエハWの周縁に沿って設けられているので、ウエハWの側方では、周方向に沿った長い保持面が形成される。このため、ウエハWが側方の支柱15a,15c(25a,25c)からはみ出して載置され、ウエハWの自重による応力が集中しやすいウエハWの側方の周縁部位において、前記応力を分散することができる。これにより、ウエハ裏面側の疵の発生が抑えられ、この疵が原因となる結晶欠陥の発生を抑制することができ、結果として製品の歩留まりの向上を図ることができる。
【0084】
さらに、第1のボート部1及び第2のボート部2にウエハWを受け渡す側から見てウエハWの両側に各々設けられた複数の保持部この例では前記側方保持部16a,16c(26a,26c)は、ウエハWの保持面がウエハWの中心側に向けて下方側に傾斜するように設けるようにしてもよい。このような構成では、側方保持部16a,16c(26a,26c)の保持面により、ウエハWの下縁が傾斜面にて位置決めされた状態で保持される。この場合、中央保持部16b,26bの保持面の高さ位置は、側方保持部16a,16c(26a,26c)にて保持されるウエハWの高さ位置に対応して設定される。この際、ウエハWの下縁における前記保持面と接触する領域は、ある程度の長さが確保されているので、前記応力が分散され、結晶欠陥の発生が抑えられる。また、ウエハWの下縁が前記保持面と接触しているため、仮にこの接触領域に結晶欠陥が発生したとしても、パターンの形成領域の外側であるため、製品の品質への悪影響を抑制することができる。
【0085】
さらに、既述のように、ウエハWが位置決めされていることから、ウエハWの側方側への移動が抑えられる。このため、第1のボート部1及び第2のボート部2を移動させる場合にも、ウエハWが安定して保持され、ウエハWの脱落を抑えることができる。ここで、中央支持部16a,26aの保持面も、下方側に傾斜するように構成してもよい。また、
図24〜
図26に示す、例えば支柱の上下に配列され、各々水平に切り欠かれた溝よりなる保持部においても、保持面をウエハWの中心側に向けて下方側に傾斜するように構成してもよい。