【実施例】
【0225】
実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。
【0226】
(数平均分子量及び重量平均分子量)
数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量として求めた。SECのうち移動相が有機溶媒である場合をゲル浸透クロマトグラフィー(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、GPC)と言う。なお、該GPCの分析条件として、下記の分析条件1又は分析条件2に示す方法を用いた。
【0227】
[分析条件1]
測定試料は、約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、GPC(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)に30μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流量で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0228】
[分析条件2]
測定試料は、約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、GPC(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)に10μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムは、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0229】
(NMR測定)
実施例において、NMR測定は、以下の条件で行った。
装置 : 核磁気共鳴装置、INOVA300(商品名)、バリアン社製
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム
サンプル濃度 : 約1重量%
測定温度 : 25℃
【0230】
(高速液体クロマトグラフィー)
実施例において、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という。)は、以下の条件で行った。
装置 : LC−20A(商品名)、島津製作所製
カラム : Kaseisorb LC ODS−AM 4.6mmI.D.×100mm、東京化成製
移動相 : 0.1重量%酢酸含有水/0.1重量%酢酸含有アセトニトリル
検出器 : UV検出器、検出波長254nm
【0231】
(ガスクロマトグラフィー)
実施例において、ガスクロマトグラフィー(以下、「GC」という。)は、以下の条件で行った。
装置 :Agilent Technology社 6890N ネットワーク GC
カラム:BPX5 0.25mmI.D.×30m、SGE Analytical Science製
移動相:ヘリウム
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
【0232】
(発光スペクトルピークの評価)
実施例において、発光性有機金属錯体化合物の発光スペクトルピークの評価は、特に記載がない限り、以下の方法で行った。燐光性発光化合物をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に溶解させた。このとき、固形分の濃度が0.0008重量%となるように溶液を調製した。この溶液を、蛍光分光光度計(日本分光社製、FP−6500)を用いて、350nmの波長で励起し、該溶液のPLスペクトルを測定することで、発光スペクトルピークを評価した。
【0233】
(MALDI−TOFMSの測定)
実施例において、MALDI−TOFMSの測定は、以下の測定条件1で行った。
[測定条件1]
α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸をメタノールに溶解させて飽和溶液を調製し、これをマトリックス溶液とした。測定する高分子化合物約4mgに200μLのクロロホルムを加えて溶解させ、得られた溶液20μLを200μLのクロロホルムで希釈し、これを試料溶液とした。マトリックス溶液20μLと試料溶液20μLを混合し、これをMALDIプレートに塗布して、MALDI−TOFMSの測定を行った。測定は、MALDI−TOFMS装置: Voyager−DE STR(Applied Biosystems社製)を用いて、測定モード: Reflector、加速電圧: 20kV、レーザー: N
2(337nm)で行った。
【0234】
<合成例1>
(化合物M−1の合成)
【化78】
【0235】
アルゴンガス雰囲気下、フラスコ中、1,4−ジヘキシル−2,5−ジブロモベンゼン(化合物CM−1、8.08g、20.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(12.19g、48.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.98g、1.2mmol)、酢酸カリウム(11.78g、120.0mmol)、及び脱水1,4−ジオキサン(100ml)を混合し、加熱還流下で6時間攪拌した。トルエン及びイオン交換水を加え、分液し、イオン交換水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム及び活性炭を加え、セライトをプレコートした漏斗でろ過した。ろ液を濃縮し、粗生成物(11.94g)を得た。ヘキサンで再結晶し、メタノールで結晶を洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥させることにより、目的物である1,4−ジヘキシル−2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼン(4.23g、収率42%、化合物M−1)を白色針状結晶として得た。
【0236】
化合物M−1の
1H−NMR分析の結果及びLC/MSの結果を、それぞれ以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl
3):δ(ppm)=0.95(t、6H)、1.39〜1.42(bd、36H)、1.62(m、4H)、2.88(t、4H)、7.59(bd、2H)
LC/MS(ESI posi KCl添加):[M+K]
+573
【0237】
<合成例2>
(化合物M−2の合成)
【化79】
【0238】
アルゴンガス雰囲気下、フラスコ中、マグネシウム小片(19.45g、800mmol)に少量の脱水テトラヒドロフランと1,2−ジブロモエタン(1.50g、8mmol)を順次加えた。発熱と発泡により、マグネシウムが活性化されたことを確認した後に、2,6−ジブロモトルエン(49.99g、200mmol)を脱水テトラヒドロフラン(200ml)に溶解した溶液を約2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃のオイルバスにより加熱し、還流下で1時間攪拌した。オイルバスを外し、脱水テトラヒドロフラン(400ml)で希釈し、更に氷浴にて冷却してから、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(148.85g、800mmol)を加えた。氷浴をはずし、80℃のオイルバスで加熱することにより、還流下で1時間半攪拌した。オイルバスを外し、更に氷浴にて冷却してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)を加え、30分間攪拌した。氷浴を外し、ヘキサン(1500ml)を加え、30分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、そのまま15分間静置した後に、シリカゲルを敷き詰めたグラスフィルターによりろ過し、ヘキサン(1000ml)でシリカゲルを洗浄し、合一したろ液を減圧濃縮することにより粗生成物(72.0g)を得た。同様の操作を再度行い、粗生成物(75.4g)を得た。
【0239】
次に、粗生成物の合計にメタノール(740ml)を加え、85℃のオイルバスを用いて1時間加熱還流下で攪拌した。オイルバスを外し、攪拌しながら室温まで冷却した後に、固体をろ取、メタノールで洗浄、減圧乾燥させることにより、白色結晶を得た(59.7g)。乾燥させた結晶をイソプロパノールに加熱溶解させた後、静置した状態でゆっくりと室温まで冷却することにより結晶を析出させ、ろ取、メタノールで洗浄、50℃で一晩の間減圧乾燥させることにより、目的物である化合物M−2(50.8g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.8%、収率37%)を白色結晶として得た。
【0240】
化合物M−2の
1H−NMR分析の結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl
3):δ(ppm)=1.34(s、24H)、2.74(s、3H)、7.14(t、1H)、7.79(d、2H)
【0241】
<合成例3>
(化合物M−3の合成)
・化合物CM−3の合成
4口フラスコの内部の気体を窒素ガスで置換し、2,7−ジブロモフルオレノン(1当量)を入れ、 ジフェニルエーテル(27当量)に懸濁させた。得られた懸濁液を120℃まで加熱し、2,7−ジブロモフルオレノンを溶解させた後、そこに、水酸化カリウム(5.7当量)を加え、160℃まで昇温し、2.5時間攪拌した。室温まで放冷後、ヘキサン(23当量)を加え、ろ過した後、ヘキサンで洗浄することにより粗生成物を得た。4口フラスコの内部の気体を窒素ガスで置換し、得られた粗生成物を入れ、脱水DMF(40当量)に溶解させた。得られた溶液を90℃に昇温後、ヨウ化メチル(7.7当量)を徐々に加えた。その後、10時間反応させた。得られた反応液を、室温まで放冷後、0℃に冷却した水(340当量)中に滴下し、ヘキサン(46当量)で2回抽出した。得られた抽出液を、シリカゲルを敷いたグラスフィルターでろ過した後、得られた有機層を濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記式:
【化80】
で表される化合物CM−3を得た(収率74%)。
【0242】
化合物CM−3の
1H−NMR分析の結果及び
13C−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
1H−NMR(300MHz/CDCl
3):
δ(ppm)=3.68(s,3H)、7.15(d,2H)、7.20(d,1H)、7.52(d,2H)、7.65(d,1H)、8.00(brs,1H)
【0243】
13C−NMR(300MHz/CDCl
3):
δ(ppm)=52.6、121.8、122.2、130.1、131.6、132.3、132.4、133.2、134.7、139.4、140.6、167.8
【0244】
・化合物CM−4の合成
3口丸底フラスコに、1−ブロモ−4−n−ヘキシルベンゼン(1当量)及び無水テトラヒドロフラン(以下THFとも記す)(34当量)を仕込み、−78℃に冷却した。そこに、ゆっくりとn−ブチルリチウム(n−BuLi)(1.6Mヘキサン溶液)(1当量)を仕込み、−78℃で2時間攪拌して、反応液を得た。化合物CM−3(0.43当量)を無水THF (5.6当量)に溶かした溶液を滴下ロートに仕込み、反応液の温度が−70℃以下をこえないような滴下速度で滴下した。滴下終了後、2時間同温で攪拌し、ゆっくり室温まで昇温した。その後、そこに、塩化アンモニウム飽和水溶液を加えた無水THFの約半分の体積量加えて攪拌し、分液ロートに移して水層を除去した。得られた有機層を水で2回洗浄し、得られた有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。グラスフィルターにシリカゲルの層を敷き、THF溶液を通じてろ過した後、THFで洗浄した。得られた溶液を濃縮し乾燥させた。ヘキサンでリパルプ洗浄し、下記式:
【化81】
で表される化合物CM−4を得た(収率27%)。
【0245】
・化合物M−3の合成
3口フラスコに化合物CM−4(1当量)及びジクロロメタン(38当量)を仕込み、氷浴を用いて0℃に冷却した。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(22当量)を滴下ロートに仕込み、そこに、滴下した。反応液を2時間0℃で攪拌した後、水と氷を仕込んだビーカーに注加して反応を停止させた。反応液を分液ロートへ移して分液し、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を合わせて水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。グラスフィルターにシリカゲルの層を敷き、THF溶液を通じて硫酸ナトリウムをろ過し、濃縮した。得られた油状物にトルエンを加え、加熱して還流させた。次いで、70℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを加えて攪拌し、室温まで放置したところ、結晶が生じた。この結晶をろ過し、乾燥させた後、ナスフラスコに仕込み、ヘキサン、活性炭を加えて加熱し、還流を2時間行って混合物を得た。グラスフィルターにラジオライトを敷き、その上にセライトを敷き、オーブンで70℃に加熱しておき、これを用いて前記混合物をろ過した。得られた溶液を半量濃縮し、濃縮物を加熱し還流させた後、室温で1時間攪拌した。さらに氷浴を用いて冷やしながら2時間攪拌し、生じた結晶をろ過して集めたところ、下記式:
【化82】
で表される化合物M−3を得た(収率92%)。
【0246】
化合物M−3の
1H−NMR分析の結果及び
13C−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
1H−NMR(300MHz/CDCl
3):
δ(ppm)=0.87(t,6H)、1.28〜1.37(m,12H)、1.50〜1.62(m,4H)、2.54(t,4H)、7.04(s,8H)、7.45(d,2H)、7.49(s,2H)、7.55(d,2H)
【0247】
13C−NMR(300MHz/CDCl
3):
δ(ppm)=14.4、22.9、29.4、31.6、32.0、35.8、65.4、121.8、122.1、128.1、128.7、129.7、131.1、138.3、141.9、142.1、153.7
【0248】
<合成例4>
(化合物M−4の合成)
【化83】
【0249】
窒素雰囲気下、1,4−ジブロモベンゼン(27.1g)の脱水ジエチルエーテル(217ml)溶液をドライアイス/メタノール混合浴を用いて冷却した。得られた懸濁液に2.77Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(37.2ml)をゆっくりと滴下した後、1時間攪拌し、リチウム試薬を調製した。
【0250】
窒素雰囲気下、塩化シアヌル(10.0g)の脱水ジエチルエーテル(68ml)懸濁液をドライアイス/メタノール混合浴を用いて冷却し、前記リチウム試薬をゆっくり加えた後に室温まで昇温し、室温で反応させた。得られた生成物をろ過し、減圧乾燥させた。得られた固体(16.5g)を精製し、13.2gの針状結晶(化合物CM−11)を得た。
【0251】
【化84】
【0252】
窒素雰囲気下、マグネシウム(1.37g)に脱水テトラヒドロフラン(65ml)を加えた懸濁液に、4−ドデシルブロモベンゼン(14.2g)の脱水テトラヒドロフラン(15ml)溶液を少量ずつ加え、加熱して、還流下で攪拌した。放冷後、反応液にマグネシウム(0.39g)を追加し、再び加熱して、還流下で反応させ、グリニャール試薬を調製した。
【0253】
窒素雰囲気下、前記針状結晶(12.0g、化合物CM−11)の脱水テトラヒドロフラン(100ml)懸濁液に前記グリニャール試薬を撹拌しながら加え、加熱還流させた。放冷後、反応液を、希塩酸水溶液で洗浄した。有機層と水層を分け、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を合わせて、再び水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水させた後、ろ過し、濃縮した。得られた白色固体をシリカゲルカラムで精製し、更に再結晶することによって、白色固体として化合物M−4を6.5g得た。
【0254】
<合成例5>
(化合物M−5の合成)
合成例4と同様にして、13.2gの針状結晶(化合物CM−11)を得た。
【0255】
【化85】
【0256】
窒素雰囲気下、マグネシウム(1.37g)に脱水テトラヒドロフラン(65ml)を加えた懸濁液に、4−ヘキシルブロモベンゼン(14.2g)の脱水テトラヒドロフラン(15ml)溶液を少量ずつ加え、加熱して、還流下で攪拌した。放冷後、反応液にマグネシウム(0.39g)を追加し、再び加熱して、還流下で反応させ、グリニャール試薬を調製した。
【0257】
窒素雰囲気下、前記針状結晶(12.0g)の脱水テトラヒドロフラン(100ml)懸濁液に前記グリニャヤール試薬を撹拌しながら加え、加熱還流させた。放冷後、反応液を、希塩酸水溶液で洗浄した。有機層と水層を分け、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を合わせて、再び水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水させた後、ろ過し、濃縮した。得られた白色固体をシリカゲルカラムで精製し、更に再結晶することによって、白色固体として化合物M−5(6.5g)を得た。
【0258】
化合物M−5の
1H−NMR分析の結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl
3):δ(ppm)=0.90(t、J=6.2Hz、3H)、1.25−1.42(m、6H)、1.63−1.73(m、2H)、2.71(t、J=7.6Hz、2H)、7.34(d、J=7.9Hz、2H)、7.65(d、J=7.9Hz、4H)、8.53−8.58(m、6H)
LC−MS(APCI、positive): m/z
+=566 [M+H]
+
【0259】
<合成例6>
(化合物M−6の合成)
【化86】
(式中、Meはメチル基を表す。)
【0260】
内部の気体を窒素ガスで置換した反応容器に、酢酸パラジウム(II)(0.90g)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(2.435g)及びトルエン(125mL)を入れ、室温で15分間撹拌した。そこに、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(27.4g)、(4−メチルフェニル)フェニルアミン(22.91g)及びナトリウム−tert−ブトキシド(tert−BuONa、19.75g)を加え、一晩加熱還流させた後、室温まで冷却し、水を加えて洗浄した。有機層を取り出し溶媒を減圧留去した。その残留物をトルエンに溶解させ、得られた溶液をアルミナカラムに通した。その溶出液を減圧して濃縮し、そこへメタノールを加え、沈殿を生成させた。その沈殿を濾取し、p−キシレンで再結晶させた。この結晶をトルエン中に再溶解させ、得られた溶液をアルミナカラムに通した。その溶液を濃縮した後、撹拌されているメタノール中に注いだところ、沈殿が生じた。その沈殿を集め、室温で減圧して18時間乾燥させたところ、白色の2,7−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル]アミノ−9,9−ジオクチルフルオレン(25.0g)が得られた。
【0261】
内部の気体を窒素ガスで置換した反応容器に、2,7−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル]アミノ−9,9−ジオクチルフルオレン12.5gとジクロロメタン95mLを加え、撹拌しながら、反応液を−10℃に冷却した。そこへ、ジメチルホルムアミド(DMF)20mLに溶解させたN−ブロモスクシンイミド(NBS)5.91gの溶液をゆっくりと滴下した。3.5時間撹拌した後、冷メタノールと混合させ、生じた沈殿を濾取し、p−キシレンにより再結晶した。得られた結晶をトルエンとメタノールを用いて、再び再結晶し、化合物M−6を白色固体として12.1g得た。
【0262】
化合物M−6の
1H−NMR分析の結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl
3):δ(ppm)=0.61−0.71(m、4H)、0.86(t、J=6.8Hz、6H)、0.98−1.32(m、20H)、1.72−1.77(m、4H)、2.32(br、6H)、6.98−7.08(m、16H)、7.29(d、J=8.3Hz、4H)、7.44(br、2H)
【0263】
<合成例7>
(化合物M−7の合成)
・化合物CM−5の合成
3つ口フラスコの内部の気体を窒素ガスで置換し、1−ブロモ−3−n−ヘキシルベンゼン(1当量)を計り取り、脱水テトラヒドロフラン(33当量)に溶解させた。得られた溶液を−75℃以下に冷却し、2.5M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(0.95当量)を滴下し、−75℃以下に保ちながら5時間攪拌した。得られた溶液に2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(0.43当量)を脱水テトラヒドロフラン(5.3当量)に溶解させた溶液を−70℃以下に保ちながら滴下した。得られた溶液を室温までゆっくりと昇温後、終夜攪拌した。反応液を0℃で攪拌しながら、そこに、水を滴下した。溶媒を留去した後、残渣に水を加えヘキサン1回とヘキサン2回で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、水層をヘキサンで再抽出した後、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去したところ、下記式:
【化87】
で表される化合物CM−5の粗生成物を得た(42%)。精製は行わず、次の工程に用いた。
【0264】
なお、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニルは、Journal of the American Chemical Society(1956),78,3196−3198.に記載の方法で合成した。
【0265】
・化合物CM−6の合成
3つ口フラスコに化合物CM−5(1当量)を秤り取り、ジクロロメタン(35当量)に溶解させ、該フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した。得られた溶液を0℃以下に冷却し、5℃以下に保ちながら三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(4.8当量)を滴下した。室温までゆっくり昇温後、終夜攪拌した。反応液を氷水中に攪拌しながら注ぎ、30分攪拌した。得られた溶液を分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、10重量%リン酸カリウム水溶液を加えて分液し、有機層を水2回で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して得られたオイルをトルエンに溶解させ、シリカゲルを敷いたグラスフィルターを通し、ろ過した。溶媒を留去した後、メタノールを加えて激しく攪拌した。得られた結晶をろ過し、メタノールで洗浄した。ヘキサン/酢酸ブチル混合溶媒で再結晶を行うことにより、下記式:
【化88】
で表される化合物CM−6を得た(収率47%)。
【0266】
化合物CM−6の
1H−NMR分析の結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3);δ(ppm)=0.86(6H,t)、1.26(12H,m)、1.52(4H,m)、2.51(4H,t)、6.87(2H,d)、7.00(2H,s)、7.04(2H,d)、7.12(2H,t)、7.46(2H,dd)、7.48(2H,d)、7.55(2H,d)
【0267】
・化合物M−7の合成
3つ口フラスコにCM−6(1当量)を秤り取り、該フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した。そこに、脱水テトラヒドロフラン(80当量)を加え、−70℃以下に冷却した。得られた溶液を−70℃以下に保ちながら2.5M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.2当量)を滴下した。滴下後、温度を保ちながら4時間攪拌した。2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(3.9当量)を加えた後、室温までゆっくり昇温し終夜攪拌した。反応液を−30℃に冷却した。そこに、2M塩酸/ジエチルエーテル溶液(2当量)を滴下した後、室温まで昇温した。溶媒を留去した後、トルエンを加えて溶解し、シリカゲルを敷いたグラスフィルターを通してろ過し、得られた溶液の溶媒を留去したところ粗生成物が得られた。窒素雰囲気下でトルエン/アセトニトリル溶媒から再結晶することにより、下記式:
【化89】
で表されるM−7を得た(収率60%)。
【0268】
化合物M−7の
1H−NMR分析の結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3);δ(ppm)=0.86(6H,t)、1.26−1.29(12H,m)、1.31(24H,s)、1.52−1.53(4H,m)、2.50(4H,t)、6.92(2H,d)、7.00(2H,d)、7.08(2H,t)、7.13(2H,s)、7.77(2H,d)、7.81−7.82(4H,m)
【0269】
<合成例8>
(化合物M−8の合成)
【0270】
・CM−8の合成
【化90】
【0271】
アルゴン気流下、反応容器に1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(1当量)とテトラヒドロフラン(36当量)を仕込み、均一溶液を調製し、該溶液を−69℃まで冷却した。該溶液に2.76Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1当量)を−68℃で1.5時間かけて滴下し、さらに−70℃で1.5時間撹拌した。次いで、化合物CM−3(0.4当量)とテトラヒドロフラン(3.6当量)からなる溶液を−70℃で1時間かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌した。次いで、−70℃にてメタノール(2.4当量)、蒸留水(5.5当量)を加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、ヘプタン及び水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。該有機層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウム加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮し、目的とする化合物CM−8を得た(収率46%)。
【0272】
・化合物CM−9の合成
【化91】
【0273】
アルゴン気流下、反応容器に化合物CM−8(1当量)及びジクロロメタン(29当量)を仕込み、均一溶液を調製し、−30℃に冷却した。該溶液にボロントリフルオライドジエチルエーテル錯体(BF
3・OEt
2、1当量)を30分間かけて滴下した。その後、室温にて一晩撹拌した。次いで、該反応混合物を−20℃に冷却し、蒸留水(112当量)を加え、1時間撹拌した後、静置して分液した水屑を有機層から除去した。次いで、水(57当量)を加え攪拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。得られた有機層に10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液(22当量)を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。該有機層を濃縮し溶媒を除去した。次いで、トルエン及びヘプタンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、酢酸ブチルとメタノールを用い再結晶することにより、目的とする化合物CM−9を得た(収率57%)。
【0274】
・化合物M−8の合成
【化92】
【0275】
アルゴン気流下、4つ口フラスコに化合物CM−9(1当量)、化合物CM−10(2.2当量)、1,4−ジオキサン(87当量)、酢酸カリウム(6.1当量)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、1.5mol%)、及び、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCl
2dppf・CH
2Cl
2、1.5mol%)を仕込み、100〜102℃で5時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライト及びシリカゲルを敷き詰めたろ過器で濾過し、得られたろ液を濃縮して溶媒を除去した。次いで、ヘキサンを加えて調製した溶液に、活性炭を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。室温まで冷却後、セライトを敷き詰めたろ過器でろ過し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、トルエン及びアセトニトリルで再結晶を行うことにより、目的とする化合物M−8を得た(95%)。
【0276】
<合成例9>
(化合物M−9の合成)
【化93】
内部の気体をアルゴンガスで置換したセパラブルフラスコに、化合物L−5(4.0g、8.5mmol)、化合物CM−11(16g、37.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4、494mg、0.43mmol、5mol%)、トルエン(780mL)、及びエタノール(260mL)を加え、撹拌しながら35℃に加熱した。次いで、イオン交換水(260mL)に炭酸カリウム(3.54g、26mmol)を溶解させた水溶液を滴下し、64時間撹拌した。反応液を分液ロートに移し、イオン交換水及び10重量%食塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムにて脱水した後、シリカゲルを敷き詰めたロートに通液し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、中圧分取カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム、展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン=4/6(体積比))にて精製した後、トルエンにて再結晶し、得られた固体を真空乾燥機で十分に乾燥させることにより、目的とする化合物M−9を白色粉末として得た(1.5g、収率24%)。
なお、化合物L−5は、WO02/66552に記載の方法に準じて合成した。
【0277】
<合成例10>
(化合物M−10の合成)
【化94】
内部の気体をアルゴンガスで置換したセパラブルフラスコに、化合物CM−13(4.0g、4.5mmol)、化合物CM−11(8.4g、20.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4、261mg、0.23mmol、5mol%)、トルエン(780mL)及びエタノール(260mL)を加え撹拌しながら35℃に加熱した。次いで、イオン交換水(260mL)に炭酸カリウム(1.87g、14mmol、3当量)を溶解させた水溶液を滴下し、23時間撹拌した。反応液を分液ロートに移し、イオン交換水及び10重量%食塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムにて脱水した後、シリカゲルを敷き詰めたロートに通液し、溶媒を減圧留去した。
上記の作業を2回行い、得られた残渣をまとめて秤量したところ、残渣の合計は22gであった。得られた残渣を、中圧分取カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム、展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン=4/6(体積比))にて精製した後、ヘキサンにてリパルブ洗浄及び熱時濾過を行い、得られた粉末を真空乾燥機で十分に乾燥させることにより、目的とする化合物M−10を白色粉末として得た(5g、収率50%)。
【0278】
<合成例11>
(発光性有機金属錯体化合物MC−1の合成)
国際公開2002/066552号パンフレットに記載の合成法に従って燐光発光性化合物Aを合成した。具体的には、窒素雰囲気下、2−ブロモピリジンと、1.2当量の3−ブロモフェニルホウ酸との鈴木カップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により、下記式:
【化95】
で表される2−(3'−ブロモフェニル)ピリジンを得た。
【0279】
次に、窒素雰囲気下、トリブロモベンゼンと、2.2当量の4−tert−ブチルフェニルホウ酸との鈴木カップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により下記式:
【化96】
で表されるブロモ化合物を得た。
【0280】
窒素雰囲気下、前記ブロモ化合物を、無水THFに溶解後、−78℃に冷却し、小過剰のtert−ブチルリチウムを滴下した。冷却下、更に、B(OC
4H
9)
3を滴下し、室温にて反応させた。得られた反応液を3M塩酸水で後処理したところ、下記式:
【化97】
で表されるホウ酸化合物を得た。
【0281】
2−(3'−ブロモフェニル)ピリジンと、1.2当量の前記ホウ酸化合物との鈴木カップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により、下記式:
【化98】
で表される配位子(即ち、配位子となる化合物)を得た。
【0282】
アルゴン雰囲気下、IrCl
3・3H
2Oと、2.2当量の前記配位子、2−エトキシエタノール、及び、イオン交換水を仕込み、還流させた。析出した固体を吸引ろ過した。得られた固体をエタノール、イオン交換水の順番で洗浄後、乾燥させ、下記式:
【化99】
で表される化合物を黄色粉体として得た。
【0283】
アルゴン雰囲気下、前記黄色粉体に、2当量の前記配位子と、2当量のトリフルオロメタンスルホン酸銀とを加え、ジエチレングリコールジメチルエーテル中で加熱することにより、下記式:
【化100】
で表される発光性有機金属錯体化合物MC−1を得た。
【0284】
発光性有機金属錯体化合物MC−1の
1H−NMR分析の結果及びLC−MSの結果を、それぞれ以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl
3):δ(ppm)=1.38(s、54H)、6.93(dd、J=6.3Hz and 6.6Hz、3H)、7.04(br、3H)、7.30(d、J=7.9Hz、3H)、7.48(d、J=7.3Hz、12H)、7.61−7.70(m、21H)、7.82(s、6H)、8.01(s、3H)、8.03(d、J=7.9Hz、3H)
【0285】
LC−MS(APCI、positive):m/z
+=1677[M+H]
+
【0286】
発光性有機金属錯体化合物MC−1の発光スペクトルピークは、513nmであった。
【0287】
<合成例12>
(発光性有機金属錯体化合物MC−2の合成)
【0288】
【化101】
(式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0289】
まず、5−ブロモ−2−フェニルピリジン及び4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジンを、特開2008−179617号公報に記載の方法に従って合成した。
【0290】
窒素気流下、反応容器に5−ブロモ−2−フェニルピリジン(103.0g、440mmol)と脱水ジエチルエーテル1320mLとを量り取り、−67℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.59M、318.2mL、506mmol)を20分かけて滴下した。滴下終了後、得られた溶液を−67℃で1.5時間撹拌し、次いで、ホウ酸トリ−イソプロピル(B(O−i−Pr)
3、95.2g、506mmol)を加え、−67℃で4時間攪拌してから徐々に室温まで昇温させ、終夜攪拌した。反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液440mLと蒸留水500mLとを加えて室温で30分間攪拌した。反応液から分液操作で水層を回収し、これに3N塩酸約400mLを加えてpH5に調整したところ、アメ状の沈殿が生じた。反応液から上澄みをデカンテーションして除き、この沈澱を蒸留水で2回洗浄した後、メタノールに溶解させて、メタノール溶液を得た。上澄みは酢酸エチルで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、このメタノール溶液と合わせて減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加え、水分を共沸除去することにより、薄灰色粉末として化合物L−1(82.9g)を得た。
【0291】
反応容器に、4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジン(137.1g、361mmol)、化合物L−1(82.6g、415mmol)、トルエン(2890mL)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4、8.34g、7.22mmol)を量り取り、窒素気流下、50℃で撹拌しながら固形分を溶解させた。得られた溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(722mL)を加えて、17時間還流させた。反応液から有機層を回収し、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液及び10重量%食塩水で洗浄した。洗浄した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解させ、エタノールを加えて結晶化させた。結晶をろ別回収した後、該結晶をエタノールで洗浄し、乾燥させることにより、化合物L−2(169.2g)を得た。
【0292】
化合物L−2のLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(APPI,positive)m/z:499([M+H]
+)
【0293】
1H−NMR(300MHz、CDCl
3)
δ(ppm)=1.42(s,18H),7.52(m,3H),7.62(d,J=6.8Hz,4H),7.95(d,J=8.4Hz,1H),8.16(d,J=7.3Hz,2H),8.69(d,J=6.8Hz,4H),9.04(d,J=8.4Hz,1H),10.02(s,1H)
【0294】
【化102】
【0295】
反応容器に、化合物L−2(22.17g、44mmol)、塩化イリジウム三水和物(6.95g、20mmol)、2−エトキシエタノール(96mL)、及び水(32mL)を量り取り、アルゴン気流下、140℃で15時間加熱した。空冷後、得られた混合物をろ別し、残渣をメタノール、水、メタノールの順で洗浄することにより、赤色固体を得た。この赤色固体をクロロホルムに溶解させ、エタノールを加えて2時間還流させた。空冷後、析出した固体をろ別回収し、エタノールで洗浄した。この操作を3回繰り返した後、得られた固体を集め、減圧乾燥させることにより、金属錯体complex 1(20.03g)を得た。
【0296】
反応容器に、金属錯体complex 1(759mg、0.30mmol)、国際公開第2006/062226号パンフレットに記載の方法に従って合成した化合物L−3(330mg、0.61mmol)、及びジグライム(9mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf、157mg、0.61mmol)を加え、アルゴン気流下100℃で10時間撹拌した。空冷後、反応混合物に純水(50mL)を加え、生じた沈澱をろ別した。この沈澱にトルエン/ヘキサン(1/2(体積基準))混合溶媒(40mL)を加え、ろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液をろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=1/1.5(体積基準))で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、減圧乾燥させることにより、発光性有機金属錯体化合物MC−2(252mg、0.15mmol)を得た。
【0297】
発光性有機金属錯体化合物MC−2のLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(APCI, positive)m/z:1733([M+H]
+)
【0298】
1H−NMR(600MHz、THF−d
8)
δ(ppm)=1.22(s,18H),1.35(s,18H),1.38(s,18H),6.81(m,1H),6.82(m,1H),6.86(m,1H),6.90(m,1H),6.96(d,J=7.1Hz,1H),7.41(d,J=7.1Hz,1H),7.22(d,J=8.2Hz,1H),7.24(d,J=8.2Hz,1H),7.47(d,J=8.2Hz,4H),7.48(d,J=8.5Hz,4H),7.50(d,J=8.2Hz,4H),7.66(m,1H),7.66(d,J=8.2Hz,4H),7.71(m,2H),7.74(s,1H),7.84(s,2H),7.89(d,J=7.9Hz,1H),7.93(d,J=7.9Hz,1H),8.03(d,J=6.4Hz,1H),8.06(m,1H),8.29(d,J=8.8Hz,1H),8.38(d,J=8.5Hz,4H),8.41(d,J=8.8Hz,1H),8.43(d,J=8.2Hz,4H),8.67(s,1H),8.99(d,J=8.8Hz,1H),9.21(m,1H),9.23(d,J=8.8Hz,1H),9.28(s,1H),9.44(s,1H)
【0299】
発光性有機金属錯体化合物MC−2の発光スペクトルピークは、611nmであった。
【0300】
<合成例13>
(発光性有機金属錯体化合物MC−3の合成)
・5−ブロモ−2−フェニルピリジンの合成
【化103】
反応容器に、2,5−ジブロモピリジン(7.11g、30mmol)、トルエン(130mL)、フェニルホウ酸(4.57g、37.5mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.73g、1.5mmol)を量り取り、窒素気流下、50℃で撹拌し、反応物を溶解させた。次いで、2M炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を加えて、80℃で6時間撹拌した。得られた反応液の有機層を回収し、炭酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶媒を留去した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン)で精製し、溶媒を留去して、5−ブロモ−2−フェニルピリジン(6.21g、26.5mmol)を得た。
【0301】
・金属錯体complex 2の合成
【化104】
反応容器に、5−ブロモ−2−フェニルピリジン(7.39g、30mmol)、塩化イリジウム三水和物(4.76g、13.5mmol)、2−エトキシエタノール(58mL)、及び水(19mL)を量り取り、窒素気流下、140℃で16時間加熱した。空冷後、得られた反応混合物を濾別し、水、メタノール、及びヘキサンの順で洗浄することにより、黄色固体として、上式で表される金属錯体complex 1(9.10g、6.58mmol)を得た。
次いで、反応容器に、金属錯体complex 1(6.94g、5.0mmol)、5−ブロモ−2−フェニルピリジン(7.32g、30.0mmol)及びジグライム(43mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(2.57g、10.0mmol)を加え、130℃で14時間撹拌した。得られた反応生成物を濾別し、固体を塩化メチレンに溶解させた。この溶液を濾過し、濾液を濃縮した。析出した固体を濾別回収し、ヘキサンで洗浄することにより、上式で表される金属錯体complex 2(6.35g、7.1mmol)を得た。
【0302】
金属錯体complex 2のLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(positive) m/z:890 ([M+H]
+)
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)
δ(ppm)=6.51 (d,J=7.8Hz,3H), 6.72(m,3H), 6.84 (m,3H), 7.66(d,J=2.0Hz,3H), 7.80(d,J=7.8Hz,3H),8.05(dd,J=2.0,8.8Hz,3H),8.14(d,J=8.8Hz,3H)
【0303】
・金属錯体complex 3の合成
【化105】
窒素気流下、反応容器に、金属錯体complex 2(3.27g、3.7mmol)、酢酸カリウム(3.27g、33.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.38g、13.3mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(245mg、0.44mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(361mg、0.44mmol)、及びテトラヒドロフラン(400mL)を量り取り、30時間還流した。得られた反応液を濃縮し、塩化メチレンを加えて溶解させた後に、ろ過した。濾液をシリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン)で精製し、溶媒を留去して残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、上式で表される金属錯体complex 3(2.55g、2.47mmol)を得た。
【0304】
金属錯体complex 3のLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(positive) m/z: 1072([M+K]
+)
1H NMR(300MHz,CDCl
3)
δ(ppm)=1.21(s,36H), 6.87(m,9H), 7.69(d,J=7.7Hz,3H), 7.82(s,3H), 7.86(m,6H)
【0305】
・2,4−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの合成
【化106】
(式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0306】
アルゴン気流下、反応容器に、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン(125 g、587mmol)とテトラヒドロフラン(470mL)を仕込み、−70℃に冷却した。次いで、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M、367mL、587mmol)を−70℃で90分かけて滴下した。滴下終了後、−70℃で2時間攪拌して4−tert−ブチルフェニルリチウム/テトラヒドロフラン溶液を得た。
アルゴン気流下、別の反応容器に塩化シアヌル(50.8g、276mmol)及びテトラヒドロフラン(463mL)を仕込み、−70℃に冷却した。得られた混合物に、先に調製した4−tert−ブチルフェニルリチウム/テトラヒドロフラン溶液を、反応温度が−60℃以下となるように冷却しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を−40℃で4時間、及び室温で4時間攪拌した。反応混合物に水を加えて反応を終了させ、テトラヒドロフランを留去した。得られた残渣に水とクロロホルムを加えて有機層を抽出し、さらに水で有機層を洗浄した後に溶媒を留去した。残渣をアセトニトリルに溶解させ、熱時濾過により不溶固体を取り除いた。得られた濾液を濃縮し、−70℃に冷却させて析出した固体を濾別回収した。回収した固体をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製した。溶媒を留去し、この残渣をアセトニトリルで再結晶することにより、2,4−ジ(4’−tert-ブチルフェニル)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン(41.3g、109mmol)を得た。
【0307】
2,4−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンのLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(APPI,positive) m/z:380([M+H]
+)
1H NMR(300MHz,CDCl
3)
δ(ppm)=1.39(s,18H),7.56(d,J=8.4Hz,4H),8.54(d,J=8.4Hz,4H)
【0308】
・発光性有機金属錯体化合物MC−3の合成
【化107】
(式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0309】
窒素気流下、反応容器に、金属錯体complex 3(546mg、0.53mmol)、2,4−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン(702mg、1.85mmol)、炭酸セシウム(1.73g、5.31mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(196mg、0.17mmol)、及びテトラヒドロフラン(53mL)を量り取り、9時間還流した。反応液を濃縮し、これにトルエンを加えて溶解させた。この溶液を濾過し、濾液をシリカゲルクロマトグラフィーで2回精製した(1回目の展開溶媒:トルエン、2回目の展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1(体積比))。溶媒を留去し、残渣をメタノールで洗浄することにより、上式で表される発光性有機金属錯体化合物MC−3(257mg、0.15mmol)を得た。
【0310】
発光性有機金属錯体化合物MC−3のLC−MSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
LC−MS(APCI,positive) m/z:1686([M+H]
+)
1H NMR(300MHz,CDCl
3)
δ(ppm)=1.14(s,54H),6.96(m,9H),7.39(d,J=8.4Hz,12H),7.83(d,J=7.5Hz,3H),8.18(d,J=8.4Hz,3H),8.36(d,J=8.4Hz,12H),9.14(d,J=8.4Hz,3H),9.33(s,3H)
【0311】
<合成例14>
(発光性有機金属錯体化合物MC−4の合成)
下記式:
【化108】
で表される発光性有機金属錯体化合物MC−4を、国際公開第2002/44189号に記載の方法に従って合成した。
【0312】
<合成例15>
(発光性有機金属錯体化合物MC−5の合成)
・金属錯体complex 4の合成
【化109】
アルゴン気流下、反応容器に、発光性有機金属錯体化合物MC−1(4.25g、2.5 mmol)とクロロホルム(400mL)を量り取り、発光性有機金属錯体化合物MC−1を溶解させた。次いで、N−ブロモスクシンイミド (872mg、4.9mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣にクロロホルム/ヘキサン混合溶媒(100mL)を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)で精製した。溶出した溶液を回収し、溶媒を留去した後、残渣をメタノールで洗浄することにより、上式で表される金属錯体complex4(3.76g、2.0mmol)を得た。
【0313】
金属錯体Complex4のMALDI−TOFMSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法1]) m/z : 1890 ([M])
1H NMR(300MHz,THF−d
8)
δ(ppm)=1.27(s,18H),1.36(s,18H),1.41(s,18H),6.95(m,4H),7.24(m,2H),7.48(m,12H),7.69(m,5H),7.74(m,3H),7.83(s,2H),7.99(d,J=6.0Hz,1H),8.09(m,3H),8.40(m,9H),8.54(d,J=8.6Hz,1H),8.68(s,1H),9.05(m,1H),9.22(m,2H),9.28(d,J=8.6Hz,1H),9.46(s,1H)
【0314】
・発光性有機金属錯体化合物MC−5の合成
【化110】
アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体complex4(2.84g、1.5mmol)、化合物L−5(1.56g、3.3mmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5.42g、7.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61mg、0.05mmol)、及びテトラヒドロフラン(90mL)を量り取り、14時間還流した。反応液にトルエンと水を加えて洗浄し、有機層を回収した。この有機層を、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた溶液をろ過し濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製した。溶出した溶液を回収し、溶媒を留去した後、残渣に、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製し、溶媒を留去した。残渣をトルエンに溶解させ、得られた溶液にアセトニトリルを加え、結晶化することにより精製した。得られた固体を濾別して回収し、上式で表される発光性有機金属錯体化合物MC−5(2.85g、1.2mmol)を得た。
なお、化合物L−5は、WO02/66552に記載の方法に準じて合成した。
【0315】
金属錯体MC−5のMALDI−TOFMSの結果及び
1H−NMR分析の結果を、それぞれ以下に示す。
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法1]) m/z : 2413 ([M])
1H NMR(300MHz,THF−d
8)
δ(ppm)=1.26(s,18H),1.37(s,18H),1.38(s,18H),1.40(s,18H),1.42(s,18H),7.26(d,J=8.1Hz,1H),7.31(d,J=8.1Hz,1H),7.33(d,J=8.1Hz,2H),7.35(d,J=8.1Hz,1H),7.39(d,J=8.1Hz,1H),7.48(d,J=8.4Hz,4H),7.49(d,J=8.3Hz,4H),7.50(d,J=8.1Hz,4H),7.51(d,J=8.1Hz,4H),7.52(d,J=8.5Hz,4H),7.68(d,J=8.4Hz,4H),7.69(d,J=8.5Hz,4H),7.72(d,J=8.3Hz,4H),7.74(m,4H),7.75(s,1H),7.78(s,1H),7.88(s,2H),7.91(s,2H),7.92(s,2H),8.10(m,1H),8.11(d,J=6.2Hz,1H),8.35(s,1H),8.39(m,5H),8.44(d,J=8.1Hz,4H),8.56(d,J=8.8Hz,1H),8.69(d,J=8.8Hz,1H),8.73(s,1H),9.03(d,J=8.8Hz,1H),9.26(m,1H),9.27(d,J=8.8Hz,1H),9.38(s,1H),9.51(s,1H)
【0316】
<正孔輸送性高分子化合物HP−1>
正孔輸送性高分子化合物HP−1は、以下の手順で調製した。
不活性ガス雰囲気下、化合物M−8(17.3g)、化合物M−6(10.4g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(2.62g)、9,9−ビス(ベンゾシクロブテン−4−イル)−2,7−ジブロモフルオレン(1.51g)、及びトルエン(580mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。そこに、酢酸パラジウム(4.30mg)及びトリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(27.0mg)を加え、100℃に加熱した後、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(68.5g)を滴下し、7時間加熱還流させた。
次にフェニルホウ酸(0.230g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(13.4mg)及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(68.5g)を加え、終夜加熱還流させた。
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(10.8g)及びイオン交換水(120mL)を加え、40℃で3時間攪拌した。
反応液において、有機層と水層を分離した後、有機層をイオン交換水で1回、10重量%塩酸で2回、3重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で2回、順次洗浄した。
得られた有機層を、予めトルエンを通液したシリカゲル及びアルミナを充填したカラムに通液し、通過した溶液をメタノールに滴下し沈殿物を析出させた。沈殿物を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物HP−1」と言う。)を19.5g得た。高分子化合物HP−1のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれMn=7.5×10
4、Mw=3.6×10
5であった。
高分子化合物HP−1は、原料単量体の仕込み比から、以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【化111】
【0317】
<正孔輸送性高分子化合物HP−2>
正孔輸送性高分子化合物HP−2は、以下の手順で調製した。
不活性ガス雰囲気下、化合物M−8(0.9339g)、N,N'−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N'−ビス(2,6−ジメチル−4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(1.9223g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(0.5947g)、9,9−ビス(ベンゾシクロブテン−4−イル)−2,7−ジブロモフルオレン(0.3437g)、及び、トルエン(118mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。反応液に、酢酸パラジウム(1.0mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.1mg)を加え、100℃に加熱した後、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(15.3g)を滴下し、11時間加熱しながら還流させた。
次に、反応液に、フェニルホウ酸(0.053g)、酢酸パラジウム(1.0mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.1mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(15.3g)を加え、終夜加熱しながら還流させた。
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.41g)、及び、イオン交換水(48mL)を加え、85℃で2時間攪拌した。
反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
得られた有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し、正孔輸送性高分子化合物HP−2を3.71g得た。分析条件1で測定したポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=5.6×10
4、Mw=1.5×10
5であった。
正孔輸送性高分子化合物HP−2は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【化112】
(式中、Meはメチル基、n−Buはn−ブチル基を表す。)
【0318】
[実施例1]
<高分子化合物Aの合成>
不活性ガス雰囲気下、化合物M−1(2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,4−ジヘキシルベンゼン)(1.451g)、化合物M−2(2,6−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−トルエン)(0.424g)、化合物M−3(9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン)(2.120g)、化合物M−4(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(0.523g))、及び、トルエン(59mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。酢酸パラジウム(1.4mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(8.7mg)を加え、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(14.7g)を滴下し、17時間加熱還流させた。
【0319】
次にフェニルホウ酸(0.051g)、酢酸パラジウム(1.4mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(8.7mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(14.7g)を加え、17時間加熱還流させた。
【0320】
水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.28g)、及び、イオン交換水(46mL)を加え85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0321】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物A」と言う。)を2.43g得た。高分子化合物Aの、分析条件2に基づき測定されたポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=8.6×10
4、Mw=2.8×10
5であった。
【0322】
高分子化合物Aは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0323】
【化113】
【0324】
<有機EL素子の作製及び評価>
スパッタリング法により45nmの厚さでITO膜を付けたガラス基板に、ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテル/水(3/2(体積比))溶液(シグマアルドリッチ社、商品名:Plexcore OC 1200)をスピンコートして、65nmの厚さで成膜し、ホットプレート上で170℃で15分間乾燥した。
【0325】
次に、正孔輸送性高分子化合物HP−1を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚さに成膜した。その後、ホットプレート上で180℃、60分間加熱した。
【0326】
続いて、キシレン溶媒中に1.8重量%の濃度で溶解させた高分子化合物Aの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物1を調製した。該組成物1をスピンコートにより1800rpmの回転速度で成膜した。膜の厚さは約80nmであった。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥した後、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子を作製した。なお、真空度が、1×10
-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0327】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するエレクトロルミネッセンス発光(以下、EL発光という。)が得られた。該素子は3.0Vから発光が開始し、6.2Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は60.88cd/Aであった。
【0328】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は72.1時間後に初期輝度の80%まで減衰し、235時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0329】
[実施例2]
<高分子化合物Bの合成>
不活性ガス雰囲気下、化合物M−1(2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,4−ジヘキシルベンゼン)(8.182g)、化合物M−3(9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン)(8.508g)、化合物M−4(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(2.097g)、及び、トルエン(250mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。酢酸パラジウム(3.7mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(23.2mg)を加え、100℃に加熱した。得られた溶液に、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(61.3g)を滴下し、8時間加熱還流させた。
【0330】
次にフェニルホウ酸(0.20g)、酢酸パラジウム(3.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(23.3mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(58.3g)を加え、15時間加熱還流させた。
【0331】
水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(9.31g)、及び、イオン交換水(60mL)を加え40℃で3時間攪拌した。
【0332】
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で1回、10重量%塩酸で2回、3重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0333】
有機層を、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル及びアルミナを充填したカラムに溶液を通液し、通過した溶液をメタノールに滴下し沈殿物を析出させた。沈殿物を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物B」と言う。)を9.80g得た。高分子化合物Bの、分析条件1に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=9.2×10
4、Mw=2.3×10
5であった。
【0334】
高分子化合物Bは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0335】
【化114】
【0336】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、1.9重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Bの溶液と、1.9重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物2を調製した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0337】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.9Vから発光が開始し、5.8Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は55.4cd/Aであった。
【0338】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は101.6時間後に初期輝度の80%まで減衰し、262.5時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0339】
[実施例3]
<高分子化合物Cの合成>
不活性ガス雰囲気下、化合物M−1(2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,4−ジヘキシルベンゼン)(1.688g)、化合物M−2(2,6−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−トルエン)(0.497g)、化合物M−3(9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン)(2.484g)、化合物M−5(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(0.531g))、及び、トルエン(66mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。酢酸パラジウム(1.7mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.2mg)を加え、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(17.2g)を滴下し、7時間加熱還流させた。
【0340】
次にフェニルホウ酸(0.059g)、酢酸パラジウム(1.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.3mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(17.1g)を加え、15時間加熱還流させた。
【0341】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.68g)、イオン交換水(54mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0342】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物C」と言う。)を2.81g得た。高分子化合物Cの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=8.1×10
4、Mw=2.8×10
5であった。
【0343】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、1.9重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Cの溶液と、1.9重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物3を調製した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0344】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.9Vから発光が開始し、6.1Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は61.8cd/Aであった。
【0345】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は44.4時間後に初期輝度の80%まで減衰し、163.5時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0346】
高分子化合物Cは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【化115】
【0347】
[実施例4]
<高分子化合物Dの合成>
不活性ガス雰囲気下、化合物M−1(2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,4−ジヘキシルベンゼン(2.807g))、化合物M−3(9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン)(2.903g)、化合物M−5(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(0.621g)、及び、トルエン(85mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。酢酸パラジウム(1.9mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(11.9mg)を加え、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(19.9g)を滴下し、5時間加熱還流させた。
【0348】
次に、フェニルホウ酸(0.069g)、酢酸パラジウム(1.9mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(11.9mg)を加え、15.5時間加熱還流させた。
【0349】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(3.13g)、及び、イオン交換水(63mL)を加え、85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0350】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物D」と言う。)を3.52g得た。高分子化合物Dの、分析条件1に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.5×10
5、Mw=4.7×10
5であった。
【0351】
高分子化合物Dは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0352】
【化116】
【0353】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、1.5重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Dの溶液と、1.5重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物4を調製した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0354】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.9Vから発光が開始し、6.0Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は56.48cd/Aであった。
【0355】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は19.6時間後に初期輝度の80%まで減衰し、75.4時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0356】
[比較例1]
<高分子化合物Eの合成>
不活性ガス雰囲気下、化合物M−1(2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,4−ジヘキシルベンゼン)(3.124g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(2.770g)、化合物M−5(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(0.696g))、及び、トルエン(82mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。酢酸パラジウム(2.1mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(13.4mg)を加え、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.3g)を滴下し、5時間加熱還流させた。
【0357】
次に、フェニルホウ酸(0.078g)、酢酸パラジウム(2.1mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(13.3mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.3g)を加え、17.5時間加熱還流させた。
【0358】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(3.51g)、及び、イオン交換水(70mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で3回、3重量%酢酸水溶液で3回、イオン交換水で3回の順番で洗浄した。
【0359】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物E」と言う。)を3.43g得た。高分子化合物Eの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.6×10
5、Mw=5.2×10
5であった。
【0360】
高分子化合物Eは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0361】
【化117】
【0362】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Eの溶液と、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物5を調製した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0363】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は3.0Vから発光が開始し、6.7Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は47.54cd/Aであった。
【0364】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は11.3時間後に初期輝度の80%まで減衰し、28.9時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0365】
[実施例5]
<高分子化合物Fの合成>
不活性ガス雰囲気下、9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(2.875g)、9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(0.942g)、9,9−ビス(3−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン(2.194g)、化合物M−4(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(0.666g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.580g)、及び、トルエン(114mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(3.7mg)を加え100℃に加熱し、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(18.5g)を滴下し、8時間加熱還流させた。
【0366】
次にフェニルホウ酸(0.065g)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(3.7mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(18.5g)を加え、終夜加熱還流させた。
【0367】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.91g)、及び、イオン交換水(58mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0368】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物F」と言う。)を4.28g得た。高分子化合物Fの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=9.0×10
4、Mw=2.4×10
5であった。
【0369】
高分子化合物Fは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0370】
【化118】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0371】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、正孔輸送性高分子化合物HP−2を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚さに成膜した点、組成物1に代えて、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Fの溶液と、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−2の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物6を調製した点、並びに該組成物6をスピンコートにより1550rpmの回転速度で膜の厚さが約80nmとなるように成膜した点以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0372】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−2に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.3Vから発光が開始し、4.7Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は21.15cd/Aであった。
【0373】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は525時間後に初期輝度の80%まで減衰し、1244.4時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0374】
[実施例6]
<高分子化合物Gの合成>
不活性ガス雰囲気下、9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(2.021g)、9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(0.691g)、9,9−ビス(3−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン(1.608g)、化合物M−5(2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(0.423g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.425g)、及び、トルエン(82mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(2.7mg)を加え、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(13.7g)を滴下し、7時間加熱還流させた。
【0375】
次に、フェニルホウ酸(0.047g)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(1.4mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(13.6g)を加え、16.5時間加熱還流させた。
【0376】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.81g)、及び、イオン交換水(36mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0377】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物G」と言う。)を3.04g得た。高分子化合物Gの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=9.1×10
4、Mw=2.5×10
5であった。
【0378】
高分子化合物Gは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0379】
【化119】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0380】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.5重量%の濃度で溶解させた高分子化合物Fの溶液と、1.5重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−2の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物7を調製した以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0381】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−2に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.5Vから発光が開始し、5.0Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は16.93cd/Aであった。
【0382】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は105時間後に初期輝度の80%まで減衰し、408時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0383】
[比較例2]
<高分子化合物Hの合成>
不活性ガス雰囲気下、9,9−ジオクチル−2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(2.652g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(1.920g)、2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(0.531g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.369g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製)(0.65g)、及び、トルエン(50mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(3.5mg)を加え、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液(13.5mL)を滴下し、3時間加熱還流させた。
【0384】
次に、フェニルホウ酸(0.610g)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(3.5mg)、及び、トルエン(50mL)を加え、16時間加熱還流させた。
【0385】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(3.04g)、及び、イオン交換水(30mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で2回の順番で洗浄した。
【0386】
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。通液後の溶出液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物H」と言う。)を3.48g得た。高分子化合物Hの、分析条件1に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.4×10
5、Mw=3.7×10
5であった。
【0387】
高分子化合物Hは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、(PA)の繰り返し単位と(PB)から選ばれる繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【0388】
【化120】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0389】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Hの溶液と、1.6重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−2の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物8を調製した以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0390】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−2に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.5Vから発光が開始し、5.5Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は18.20cd/Aであった。
【0391】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は63時間後に初期輝度の80%まで減衰し、148.2時間後に初期輝度の70%まで減衰した。
【0392】
[実施例7]
<高分子化合物Iの合成>
内部の気体を窒素ガスで置換した反応容器に、1,4−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,5−ジヘキシルベンゼン(1.11g、2.23mmol)、1,3−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−メチルベンゼン(0.19g、0.56mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−ヘキシルフェニル)フルオレン(1.44g、2.24mmol)、化合物M−9(0.43g、0.56mmol)、酢酸パラジウム(II)0.6mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン3.9mg、及びトルエン43mLを量り取り、100℃で加熱しながら混合した。反応液に20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液10mlを滴下し、5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸69mg、酢酸パラジウム(II)0.6mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン3.9mg、トルエン7mL、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液10mlを加え、更に15時間還流させた。次いで、0.2Mのジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液16mlを加え、85℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、トルエンで希釈した後、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で4回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下したところ沈殿が生じた。この沈殿を濾過した後、乾燥させ、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、得られた溶液をアルミナカラム及びシリカゲルカラムを通すことにより精製した。溶出液をメタノールに滴下したところ、高分子化合物(以下、「高分子化合物I」と言う。)を1.56g得た。高分子化合物Iの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量は5.0×10
4であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×10
5であった。
【0393】
高分子化合物Iは、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化121】
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化122】
(式中、Meはメチル基を表す。)
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化123】
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化124】
(式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
で表される繰り返し単位とが、40:10:40:10のモル比で含まれる共重合体である。
【0394】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Iの溶液と、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物9を調製した点、並びに該組成物9をスピンコートにより1600rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0395】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.64Vから発光が開始し、5.7Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は62.80cd/Aであった。
【0396】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は82時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0397】
[実施例8]
<高分子化合物Jの合成>
内部の気体を窒素ガスで置換した反応容器に、1,4−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,5−ジヘキシルベンゼン(1.00g、2.00mmol)、1,3−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−メチルベンゼン(0.17g、0.50mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−ヘキシルフェニル)フルオレン(1.29g、2.00mmol)、化合物M−10(0.58g、0.5mmol)、酢酸パラジウム(II)0.6mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン3.5mg、及びトルエン44mLを量り取り、100℃で加熱しながら混合した。反応液に20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液9mlを滴下し、11時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸62mg、酢酸パラジウム(II)0.6mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン3.5mg、トルエン7mL、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液9mLを加え、更に15時間還流させた。次いで、0.2Mのジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液14mLを加え、85℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、トルエンで希釈した後、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で6回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下したところ沈殿が生じた。この沈殿を濾過した後、乾燥させ、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、得られた溶液アルミナカラム及びシリカゲルカラムを通すことにより精製した。溶出液をメタノールに滴下したところ、高分子化合物(以下、「高分子化合物J」と言う。)を1.46g得た。高分子化合物Jの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.9×10
4であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×10
5であった。
【0398】
高分子化合物Jは、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【化125】
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化126】
(式中、Meはメチル基を表す。)
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化127】
で表される繰り返し単位と、下記式:
【化128】
(式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
で表される繰り返し単位とが、40:10:40:10のモル比で含まれる共重合体である。
【0399】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例1において、組成物1に代えて、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Jの溶液と、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−1の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物10を調製した点、並びに該組成物10をスピンコートにより1690rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0400】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−1に由来する520nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.69Vから発光が開始し、5.4Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は58.50cd/Aであった。
【0401】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は100時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0402】
[実施例9]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例7において、組成物9に代えて、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Iの溶液と、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物11を調製した点、並びに該組成物11をスピンコートにより1580rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例7と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0403】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する605nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.74Vから発光が開始し、7.6Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は27.80cd/Aであった。
【0404】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は41.9時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0405】
[実施例10]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例8において、組成物10に代えて、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Jの溶液と、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物12を調製した点、並びに該組成物12をスピンコートにより1620rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例8と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0406】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する605nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.82Vから発光が開始し、7.7Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は24.60cd/Aであった。
【0407】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は50.6時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0408】
[比較例3]
<有機EL素子の作製及び評価>
比較例1において、組成物5に代えて、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Eの溶液と、2.2重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、70:30となるように混合して、組成物13を調製した点、並びに該組成物13をスピンコートにより2400rpmの回転速度で成膜した点以外は比較例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0409】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する605nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.96Vから発光が開始し、8.3Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は23.00cd/Aであった。
【0410】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は5.3時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0411】
[実施例11]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Fの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−4の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物14を調製した点、並びに該組成物14をスピンコートにより2540rpmの回転速度で成膜した以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0412】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−4に由来する625nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.41Vから発光が開始し、4.5Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は11.70cd/Aであった。
【0413】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は107.2時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例4に対して、6.7倍の長寿命化を示した。
【0414】
[実施例12]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Fの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物15を調製した点、並びに該組成物15をスピンコートにより2570rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0415】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する600nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.29Vから発光が開始し、4.2Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は31.20cd/Aであった。
【0416】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は593.8時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例5に対して、5.76倍の長寿命化を示した。
【0417】
[実施例13]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Fの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−5の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物16を調製した点、並びに該組成物16をスピンコートにより2740rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0418】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−5に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.39Vから発光が開始し、5.0Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は20.40cd/Aであった。
【0419】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は493.6時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例6に対して、8.9倍の長寿命化を示した。
【0420】
[実施例14]
<高分子化合物Kの合成>
不活性ガス雰囲気下、9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(2.79g)、9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(0.943g)、9,9−ビス(3−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン(1.86g)、2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(0.999g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.581g)及びトルエン(114mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。混合物にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(3.70mg)を加え100℃に加熱し、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(18.5g)を滴下し、加熱還流させた。
次に、フェニルホウ酸(0.0650g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(3.70mg)及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(18.5g)を加え、終夜加熱還流させた。
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.91g)及びイオン交換水(58mL)を加え85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層と水層を分離した後、有機層をイオン交換水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、イオン交換水で3回、順次洗浄した。
有機層をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後、乾燥し、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、得られた溶液を、予めトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに通液させた。通過した溶液をメタノールに滴下し沈殿物を析出させた。沈殿物を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物K」と言う。)を4.25g得た。高分子化合物Kの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれMn=1.4×10
5、Mw=4.3×10
5であった。
【0421】
高分子化合物Kは、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【化129】
(式中、Meはメチル基、n−Buはn−ブチル基を表す。)
【0422】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Kの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−4の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物17を調製した点、並びに該組成物17をスピンコートにより2000rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0423】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−4に由来する625nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.34Vから発光が開始し、4.2Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は11.40cd/Aであった。
【0424】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は71.1時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例4に対して、4.44倍の長寿命化を示した。
【0425】
[実施例15]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Kの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物18を調製した点、並びに該組成物18をスピンコートにより2120rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0426】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する600nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.26Vから発光が開始し、3.9Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は30.90cd/Aであった。
【0427】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は360.2時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例5に対して、3.49倍の長寿命化を示した。
【0428】
[実施例16]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Kの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−5の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物19を調製した点、並びに該組成物19をスピンコートにより2090rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0429】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−5に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.27Vから発光が開始し、4.3Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は19.60cd/Aであった。
【0430】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は297.1時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例6に対して、5.35倍の長寿命化を示した。
【0431】
[実施例17]
<高分子化合物Lの合成>
不活性ガス雰囲気下、9,9−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(0.754g)、9,9−ジオクチル−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(0.259g)、9,9−ビス(3−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン(0.602g)、2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(3,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニル)−1,3,5−トリアジン(0.210g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.159g)及びトルエン(35mL)を混合し、加熱しながら攪拌した。混合物にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(1.0mg)を加え100℃に加熱し、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.64g)を滴下し、5時間加熱還流させた。
【0432】
次にフェニルホウ酸(0.035g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(1.0mg)及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.64g)を加え、終夜加熱還流させた。
【0433】
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(0.40g)及びイオン交換水(8mL)を加え、85℃で2時間攪拌した。反応液において、有機層と水層を分離した後、有機層を3.6重量%塩酸で2回、2.5重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で4回、順次洗浄した。
【0434】
有機層をメタノールに滴下して沈殿物を析出させた。沈殿物を濾取した後乾燥し固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、得られた溶液を、予めトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに通液させた。通過した溶液をメタノールに滴下して生じた沈殿を濾取した後乾燥し、高分子化合物(以下、「高分子化合物L」と言う。)を1.21g得た。高分子化合物Lの、分析条件2に基づき測定された、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれMn=7.3×10
4、Mw=2.1×10
5であった。
【0435】
高分子化合物Lは、単量体の仕込み比から、以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。
【化130】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0436】
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、2.0重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Lの溶液と、2.0重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−2の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物20を調製した点、並びに該組成物20をスピンコートにより3500rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0437】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−2に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.28Vから発光が開始し、4.4Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は18.20cd/Aであった。
【0438】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は238.2時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例2に対して、3.78倍の長寿命化を示した。
【0439】
[実施例18]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、2.0重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Lの溶液と、2.0重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物21を調製した点、並びに該組成物21をスピンコートにより3000rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0440】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する600nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.24Vから発光が開始し、4.2Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は29.80cd/Aであった。
【0441】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は517.3時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例5に対して、5.02倍の長寿命化を示した。
【0442】
[実施例19]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Gの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−4の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物22を調製した点、並びに該組成物22をスピンコートにより2500rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0443】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−4に由来する625nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.41Vから発光が開始し、4.6Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は11.40cd/Aであった。
【0444】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は86.1時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例4に対して、5.38倍の長寿命化を示した。
【0445】
[実施例20]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Gの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物23を調製した点、並びに該組成物23をスピンコートにより2370rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0446】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する600nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.31Vから発光が開始し、4.3Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は31.80cd/Aであった。
【0447】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は308.1時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例5に対して、2.99倍の長寿命化を示した。
【0448】
[実施例21]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Gの溶液と、1.8重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−5の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物24を調製した点、並びに該組成物24をスピンコートにより2500rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0449】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−5に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.39Vから発光が開始し、5.0Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は20.40cd/Aであった。
【0450】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は443.4時間後に初期輝度の80%まで減衰した。これは比較例6に対して、7.99倍の長寿命化を示した。
【0451】
[比較例4]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.4重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Hの溶液と、1.4重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−4の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物25を調製した点、並びに該組成物25をスピンコートにより2000rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0452】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−4に由来する625nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.59Vから発光が開始し、5.1Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は10.80cd/Aであった。
【0453】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は16.0時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0454】
[比較例5]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.5重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Hの溶液と、1.5重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−3の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物26を調製した点、並びに該組成物26をスピンコートにより2950rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0455】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−3に由来する600nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.46Vから発光が開始し、4.5Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は29.10cd/Aであった。
【0456】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は103.1時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0457】
[比較例6]
<有機EL素子の作製及び評価>
実施例5において、組成物6に代えて、1.4重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた高分子化合物Hの溶液と、1.4重量%の濃度でキシレン溶媒中に溶解させた発光性有機金属錯体化合物MC−5の溶液とを、重量比で、92.5:7.5となるように混合して、組成物27を調製した点、並びに該組成物27をスピンコートにより2110rpmの回転速度で成膜した点以外は実施例5と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0458】
得られた有機EL素子に電圧を印加したところ、この素子から発光性有機金属錯体化合物MC−5に由来する615nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は2.56Vから発光が開始し、5.3Vで1000cd/m
2の発光を示し、最大発光効率は18.60cd/Aであった。
【0459】
上記で得られた有機EL素子を初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は55.5時間後に初期輝度の80%まで減衰した。
【0460】
[実施例22]
<化合物M−11の合成>
・CM−16の合成
【化131】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0461】
内部の気体をアルゴンガスで置換したセパラブルフラスコに、3,5−ジブロモ−4−メチル安息香酸(化合物CM−14、60g、205mmol)、化合物CM−15(200g、430mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(8.6g、12mmol、6mol%)、及びトルエン(1300mL)を加え、撹拌しながら90℃に加熱する。次いで、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(600mL)を滴下する。滴下終了後、24時間加熱還流させる。反応液を分液ロートに移し、0.5mol/Lの塩酸、及び、10重量%食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて脱水した後、シリカゲルを敷き詰めたロートに通液し、溶媒を減圧溜去する。得られた残渣をクロロホルム−メタノール系にて再結晶することにより、白色の化合物CM−16が得られる。
【0462】
【化132】
(式中、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表す。)
【0463】
内部の気体をアルゴンガスで置換したセパラブルフラスコに、化合物CM−16(41g、50mmol)、モノクロロベンゼン(100mL)及びDMF(0.1mL)を加え、60℃で加熱撹拌する。次に、塩化チオニル(12.5g、105mmol、2.1当量)をゆっくりと滴下する。10時間以上加熱撹拌した後、溶媒を減圧溜去する。得られた残渣に、モノクロロベンゼン(200mL)及び4−ブロモベンゾニトリル(18g、100mmol)を加え、反応器を氷冷し撹拌する。続いて、五塩化アンチモン(15g、50mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後に室温まで昇温させ、48時間以上撹拌する。得られた反応混合物を、25重量%アンモニア水溶液に撹拌しながら滴下する。有機層に沈殿が生じる場合やエマルジョンを形成する場合は、クロロホルムで希釈する。反応液から水層を除去し、有機層をイオン交換水で2回以上洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水する。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルを敷き詰めたロートに通液し、溶媒を減圧溜去する。得られた残渣をクロロホルム−メタノール系にて再結晶することにより、白色の化合物M−11が得られる。