特許第5861465号(P5861465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5861465Mgを含有するPbフリーBi系はんだ合金
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861465
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】Mgを含有するPbフリーBi系はんだ合金
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/26 20060101AFI20160202BHJP
   C22C 12/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   B23K35/26 310C
   C22C12/00
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-9725(P2012-9725)
(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公開番号】特開2013-146765(P2013-146765A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083910
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】井関 隆士
【審査官】 田口 裕健
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/158668(WO,A1)
【文献】 特開2012−000641(JP,A)
【文献】 特開2012−006067(JP,A)
【文献】 特開2009−101415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/26
C22C 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Biを主成分とするPbフリーはんだ合金であって、0.7質量%以上3.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上1.500質量%以下のMgと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴とするPbフリーBi系はんだ合金。
【請求項2】
Biを主成分とするPbフリーはんだ合金であって、0.02質量%以上3.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上1.500質量%以下のMgと、0.2質量%以上13.5質量%以下のZnと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴とするPbフリーBi系はんだ合金。
【請求項3】
前記Pbフリーはんだ合金が更に0.500質量%以下のPを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のPbフリーBi系はんだ合金。
【請求項4】
Biを主成分とするPbフリーはんだ合金であって、0.03質量%以上1.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上0.500質量%以下のMgと、0.01質量%以上3.00質量%以下のAg及び0.01質量%以上1.8質量%以下のCuの少なくとも1種と、0.4質量%以上5.0質量%以下のZnと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴とするPbフリーBi系はんだ合金。
【請求項5】
前記Pbフリーはんだ合金が更に0.500質量%以下のPを含有することを特徴とする、請求項に記載のPbフリーBi系はんだ合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Pbを含まないはんだ合金に関するものであり、特にBiを主成分とする高温用のはんだ合金に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、半導体素子を基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。例えば、はんだ材料には古くからPbが主成分として使われ続けてきたが、Pbは既にRohs指令などで規制対象物質になっている。このため、Pbを含まないはんだ(Pbフリーはんだ又は無鉛はんだとも称する)の開発が盛んに行われている。
【0003】
半導体素子を基板に接合する際に使用するはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)に大別され、そのうち中低温用はんだに関してはSnを主成分とするものでPbフリーが実用化されている。例えば特許文献1には、Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを0.5質量%以下、Pを0.2質量%以下含有する無鉛はんだ合金組成が記載されている。また、特許文献2には、Agを0.5〜3.5質量%、Cuを0.5〜2.0質量%含有し、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだが記載されている。
【0004】
一方、Pbを含まない高温用のはんだ材料に関しても、さまざまな提案が行われている。例えば特許文献3には、Biを30〜80質量%含んだ溶融温度が350〜500℃のBi/Agろう材が記載されている。また、特許文献4には、Biを含む共昌合金に2元共昌合金を加え、更に添加元素を加えたはんだ合金が記載されており、このはんだ合金は4元系以上の多元系はんだではあるものの、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能となることが示されている。
【0005】
更に、特許文献5には、BiにCuとAlとMnを添加するか、あるいはCu又はNiを添加したはんだ合金が記載されている。これらのはんだ合金は、Cu層を表面に備えたパワー半導体素子及び絶縁体基板に使用した場合、はんだとの接合界面において不要な反応生成物が形成されにくくなるため、クラックなどの不具合の発生を抑制できることが記載されている。
【0006】
また、特許文献6には、はんだ組成物100質量%のうち、94.5質量%以上のBiからなる第1金属元素と、2.5質量%のAgからなる第2金属元素と、Sn:0.1〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.3質量%、In:0.1〜0.5質量%、Sb:0.1〜3.0質量%、及びZn:0.1〜3.0質量%よりなる群から選ばれる少なくとも1種を合計0.1〜3.0質量%含む第3金属元素とからなるはんだ組成物が示されている。
【0007】
特許文献7には、副成分としてAg、Cu、Zn及びSbのうちの少なくとも1種を含有するBi基合金に、0.3〜0.5質量%のNiを含有するPbフリーはんだ組成物が開示されている。また、このPbフリーはんだは、固相線温度が250℃以上であり、液相線温度が300℃以下であることが記載されている。更に特許文献8には、Biを含む2元合金が開示されており、この2元合金ははんだ付け構造体内部において、クラックの発生を抑える効果を有していることが記載されている。
【0008】
また、特許文献9には、Biを主成分とし、0.2〜0.8重量%のCuと、0.02〜0.2重量%のGeとを含む接合材料について記載されている。この接合材料は270℃以上の溶融温度を有するため、例えばチップインダクタのような小型の半導体素子に用いるのに適しており、Bi−Cu合金の濡れ性の低さ、即ち接合材料の酸化を、Geにより抑制しているとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開1999−077366号公報
【特許文献2】特開平08−215880号公報
【特許文献3】特開2002−160089号公報
【特許文献4】特開2006−167790号公報
【特許文献5】特開2007−281412号公報
【特許文献6】特許第3671815号公報
【特許文献7】特開2004−025232号公報
【特許文献8】特開2007−181880号公報
【特許文献9】特許第3886144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したようにPbを含まない高温用のはんだ材料に関しては、開発が進んではいるものの、未だ実用化の面で許容できる特性を有するものは開発されていないのが実情である。即ち、一般的に半導体素子を搭載する基板には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、作業温度を400℃未満、望ましくは370℃以下にする必要がある。しかしながら、例えば上記特許文献3に記載されているBi/Agろう材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃程度の温度になると推測され、接合される半導体素子や基板の耐熱温度を超えてしまうという欠点がある。
【0011】
また、上記した作業温度が400℃未満であること以外にも、高温用はんだに一般的に求められる特性として、高い固相線温度と適度な液相線温度、約260℃のリフロー温度、低温と高温のヒートサイクルに対する高い耐久性、良好な熱応力緩和特性、良好な濡れ広がり性などがある。しかし、はんだの主成分がBiの場合には、これらの諸特性に加えて、以下に述べるBiとNiの過剰反応というBi系はんだに特有の課題を解決する必要がある。
【0012】
即ち、BiとNiの反応とは、はんだとの接合性を高めるため半導体素子や基板の表面にNi層が形成されている場合に、このNi層がはんだに含まれるBiと急激に反応してNiとBiの脆い合金を生成すると共に、Ni層に破壊や剥離が生じてBi中に拡散し、接合強度が著しく低下してしまう問題である。Ni層の上にAgやAuなどの層を設けることもあるが、AgやAuはNi層の酸化防止や濡れ性向上を目的としているため、はんだ接合時にはんだ中に拡散してしまい、NiとBiの反応を抑制する効果はほとんどない。更に、Biは他の金属と合金化し難く、濡れ性が悪い。しかも、Ni拡散を抑制するための元素を添加すると更に濡れ性を落とすことがあり、この濡れ性の改善も大きな課題である。
【0013】
このように、Pbを含まない高温用のBi系はんだ合金には2つ大きな課題がある。即ち、第1の課題は、半導体素子と基板を接合する際に、半導体素子や基板にNi層が存在すると、はんだ合金中のBiとNiが反応して脆い合金を形成すると共にNiがBiはんだ中に拡散してしまうため、このBiとNiの反応やBi中へのNi拡散を抑制することであり、第2の課題はBiが他の元素と合金化し難い性質に起因する濡れ性の悪さの改善である。
【0014】
しかし、上述した特許文献4〜9のBiを主成分とする高温用はんだ合金では、上記2つの課題の解決は困難であった。例えば特許文献5においては、はんだとの接合表面がNi層である場合が比較例として記載され、BiにCu−Al−Mn、Cu又はNiを添加したはんだ合金では接合界面に多量のNiBiが形成され、その周囲には多数の空隙が観察されると記載されている。また、このNiBiは非常に脆い性質を有し、過酷な条件のヒートサイクル評価に対して信頼性が得られ難いことが確認できたとも記載されている。
【0015】
また、特許文献6に記載のはんだ組成物では、例えばSnを0.5質量%以上及びZnを3.0質量%以上含有しても、BiとNiの反応やBi中へのNiの拡散を抑えることはできず、接合強度が低くて実用に耐えられないことが本発明者の実験により確認された。更に悪いことにはBiとSnの2元系合金の固相線温度は139℃であり、高温用はんだとしては融点が低くなりすぎるという問題がある。特許文献7に記載されたPbフリーはんだ組成物では、Bi−Niの2元系状態図を見れば分かるように、Biが多く存在する場合、NiBiいう脆い合金を作ってしまう。従って、Niを0.3〜0.5質量%含有した場合、非常に脆い合金相がはんだ内に分散することになり、もともと脆いBi系はんだを更に脆化させてしまうことが推測される。
【0016】
尚、特許文献4、特許文献8及び特許文献9には、Bi中へのNiの拡散の問題やその防止対策について何も触れられていない。中でも特許文献8には、Bi−Ag系、Bi−Cu系、Bi−Zn系などが開示されているが、Bi−Ag系ではAgがNiとBiの反応を助長してしまうため、特にNi拡散対策が必要であるにも係わらず何ら記述されていない。また、Bi−Cu系に関しては、CuのBi中への固溶量が微量であるため、融点の高いCu相が析出し、接合性に問題が生じることを本発明者は確認しているが、これに対する対策は述べられていない。更に、Bi−Zn系では還元性の強いZnにより濡れ性が下がり、半導体素子等の接合が困難であることが推測できるが、これに関しても触れられておらず、NiとBiの反応に関する記述もない。
【0017】
このように、従来のPbを含まない高温用のBi系はんだ合金では、まずNiとBiの過剰反応を抑えることができていないのが現状である。更に、Biの濡れ性の悪さを改善する必要があるが、Biに各種元素を添加すると濡れ性を一層低下させてしまう場合がある。例えば、Bi−Zn系などではZnが酸化し易いため、Znの含有量によっては濡れ性を極端に低下させてしまい、接合ができなくなってしまうことがある。
【0018】
一方で、特許文献9には、0.2〜0.8重量%のCuを含むBi−Cu合金は270℃未満の温度で溶融しない点で優れた接合材料であるが、一方で濡れ性が低いことが確認され、その対策としてBiよりも優先的に酸化する元素をBi−Cu合金に微量添加することにより抑制できるとの考えに基づいて、Biよりも優先的に酸化する元素としてGeを添加した試料において酸化物の生成が抑制されたことが記載されている。このように諸特性を改善するために含有する元素によっては、Biよりも酸化し易いGeなどを添加することにより濡れ性を改善できる場合がある。尚、特許文献9に記載されている合金の場合、既に述べたようにNi拡散を抑制することは困難であり、NiとBiの過剰反応の問題を解決できていない。
【0019】
本発明は、上記した従来の事情に鑑みてなされたものであり、はんだ材料として高い固相線温度と適度な液相線温度を有し、400℃未満の作業温度と約260℃以上のリフロー温度に耐え得るだけでなく、Bi系はんだに特有の2つの課題を解決し得る元素を選定することにより、Ni−Biの反応やNi拡散を抑制できると同時に、濡れ性に優れたPbフリーのBi系はんだ合金を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、上記した従来のPbフリーのBi系はんだ合金に特有の課題を解決するため検討を重ねた結果、第1の課題であるNiとBiの反応に関しては、ZnとAlがBiよりも優先的にNiと反応して合金化することを見出し、また第2の課題である濡れ性に関しては、Mgの少量添加によりBiや他の添加元素よりもMgが優先的に酸化して優れた濡れ性を示すことを見出し、かかる知見に基づいた本発明を完成させたものである。
【0021】
即ち、本発明が提供する第1のPbフリーBi系はんだ合金は、0.7質量%以上3.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上1.500質量%以下のMgと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴としており、本発明が提供する第2のPbフリーBi系はんだ合金は、0.02質量%以上3.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上1.500質量%以下のMgと、0.2質量%以上13.5質量%以下のZnと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明が提供する第のPbフリーBi系はんだ合金は0.03質量%以上1.00質量%以下のAlと、0.01質量%以上0.500質量%以下のMgと、0.01質量%以上3.00質量%以下のAg及び0.01質量%以上1.8質量%以下のCuの少なくとも1種と、0.4質量%以上5.0質量%以下のZnと、残部のBi及び不可避不純物とからなることを特徴とする。
【0023】
尚、上記本発明による第1のPbフリーBi系はんだ合金、第2のPbフリーBi系はんだ合金及び第3のPbフリーBi系はんだ合金は、任意の添加元素として更にPを0.500質量%以下含有することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、400℃未満の作業温度と約260℃以上のリフロー温度を有し、Bi系はんだに特有の課題であったNiとBiの反応やBi中へのNiの拡散を抑制することができ、同時に濡れ性にも優れた高温用のPbフリーBi系はんだ合金を提供することができる。従って、本発明のPbフリーBi系はんだ合金を用いることにより、400℃未満の作業温度でCu面やNi面に接合が可能であって、半導体素子と基板の接合において必要な強度を得ることができると共に、高温でのPbフリーのはんだ付けの信頼性を著しく高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般的に、高温用のPbフリーはんだ合金は約260℃のリフロー温度に耐える必要があるが、上述したようにBiを主成分とするBi系はんだ合金の場合には更に特有の課題を解決する必要がある。即ち、第1の課題は半導体素子や基板に設けたNi層とBiとの反応を抑制することであり、第2の課題は濡れ性を改善 し、 向上させることである。特に、Bi系の各種状態図を見れば分かるように、Biは他の金属と固溶しない場合が多く、合金化し難いという特徴がある。そのため、Bi系はんだは基板類との接合が難しく、上記第2の課題は解決すべき重要な課題とされている。
【0026】
上記第1及び第2の課題を解決するために、様々な元素をBiに添加して調査検討した結果、NiとBiの反応の抑制(第1の課題)に関してはAlとZnの添加が有効であり、またBi合金の濡れ性の改善(第2の課題)に関してはMgを少量含有させることにより、Mgが優先的に酸化して良好な濡れ性が得られることが分かった。また、Ag及びCuの少なくとも1種を更に添加含有させることによって、Pを添加した場合と同様に、濡れ性及び接合性を一層向上させ得ることも分かった。
【0027】
即ち、上記知見に基づいてなされた本発明において、第1のPbフリーBi系はんだ合金は、Biを主成分とし、第2元素としてZn及びAlのうちAlを必須として少なくとも1種、即ちAl若しくはAlとZnの両方を含有し、第3元素としてMgを含有するものである。また、第2のPbフリーBi系はんだ合金は、Biを主成分とし、第2元素としてZn及びAlのうちAlを必須として少なくとも1種を含有し、第3元素としてMgを含有し、第4元素としてAg及びCuの少なくとも1種を含有している。
【0028】
次に、本発明による第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金を構成する必須の元素と、必要に応じて含有される任意の元素について、具体的に説明する。
<Bi>
Biは、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金の主成分(第1元素)である。Biは5B族元素に属し、その結晶構造は対称性の低い三方晶(菱面体晶)で脆い金属であるため、引張試験などを行うと破面は脆性破面であることが容易に見て取れる。更に、Biは他の金属とほとんど固溶せず、合金化し難いため、基板類への濡れ性が悪い。
【0029】
このBiを5B族元素の中から主成分として選定した理由は、融点が271℃であって、高温はんだの使用条件である約260℃のリフロー温度を超えていること、及びBi以外の5A(?B)族元素は半金属ないし非金属に分類され、Biよりも更に脆いためである。
【0030】
尚、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金では、Biの濡れ性の克服及びNiとBiの反応抑制などのため後述する各元素を含有させるが、各添加元素の種類や量は改善する特性及びその程度によって異なる。従って、添加元素の種類や添加量に応じて、必然的にBiの含有量は変化する。
【0031】
<Al>
Alは、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金の第2元素であり、必須の元素である。Alは還元性が強いため、Bi系はんだに少量含有させると、自らが酸化したりBi母相を還元したりして、NiとBiの過剰反応を抑制し、はんだの濡れ性を向上させる。更に、Alは非常に柔らかい金属であるため、加工性向上の効果も有する。しかし、Alは、強い還元性を有するが故に、含有量が多くなるとはんだ表面に強固な酸化膜を形成して濡れ性を極端に低下させたり、更にはBiへの固溶量が非常に少ないため偏析してしまったりして、信頼性を低下させる恐れがある。
【0032】
Alの還元性や柔軟性を十分発揮させるためには、その含有量に十分配慮する必要がある。即ち、第1のPbフリーBi系はんだ合金におけるAlの含有量は0.02質量%以上3.00質量%以下である。0.02質量%未満ではAlの効果が発揮されず、3.00質量%を超えてしまうと上記した理由により良好な接合が困難になるからである。また、第2のPbフリーBi系はんだ合金では、Alの含有量を0.03質量%以上1.00質量%以下とすることにより、その還元性や柔軟性の効果をバランスよく発揮できるため更に好ましい。
【0033】
<Zn>
Znは、上述したAlと共に本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金の第2元素であり、NiとBiの過剰反応を抑制するというAlと同様の重要な効果を有する。この効果は、Niとの反応においてZnはBiよりも反応性が高く、Ni層の表面に薄いZn−Ni層を作り、これがバリアーとなってNiとBiの反応を抑えることによるものである。その結果、脆いBi−Ni合金が生成されず、またNiがBi中に拡散することもないため、強固な接合性を実現することができるのである。
【0034】
加えて、ZnにはBiの加工性を向上させる効果も期待できる。即ち、BiにZnを添加することによって、はんだ組成が微結晶化してBiの脆さを克服することができるうえ、Bi中にZnが固溶することで加工性が改善される。特にZnをBiとの共晶点よりも多く添加すれば、Znリッチな相が発現されることになって、より一層加工性が向上する。
【0035】
ただし、Znは蒸気圧が高く、Alに比較すると組成バラツキを起こし易かったり、製造時の作業環境を悪化させたりしてしまう。また、Znは熱力学的にはAlより酸化し難いが、含有量によっては濡れ性を低下させてしまう。その理由は、Znの酸素との反応性、例えば、非平衡状態時の反応速度などがAlよりも高いためではないかと推測される。これらの理由から、Znは必須の元素とはせず、Alの効果を補助する形で添加する任意の元素とする。尚、ZnはBi−Niの反応抑制効果を有するため、濡れ性や製造上の問題が起こらない範囲であればZnを添加する方が好ましいことは当然である。
【0036】
Znの含有量は、半導体素子や基板に設けたNi層の厚さ、リフロー温度やリフロー時間等に左右される。具体的には、第1のPbフリーBi系はんだ合金におけるZnの含有量は、0.2質量%以上13.5質量%以下である。その理由は、Znの含有量が0.2質量%未満では、NiとBiの反応やBi中へのNiの拡散の抑制が不十分であったり、NiとBiの反応やBi中へのNi拡散の抑制にZnが消費されて良好な加工性が得られなかったりするためである。一方、Znの含有量が13.5質量%を超えると、液相線温度が400℃を超えてしまうため、良好な接合ができなくなる。
【0037】
特にBi−Znの共晶組成付近とすることが好ましく、即ち、第2のPbフリーBi系はんだ合金においては、Znの含有量を0.4質量%以上5.0質量以下の範囲とすることによって、Niの拡散抑制効果、加工性の向上効果、融点などの諸特性のバランスがとれた状態となるため、より一層好ましい。
【0038】
<Mg>
Mgは、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金の第3元素であり、必須の元素である。Mgは濡れ性向上の効果を発揮すると共に、Biの脆さを改善する役割を果たす。即ち、はんだが溶融後に冷却されて固まる際に、まず溶融はんだ中のMgが析出し、これが核となってはんだの結晶微細化に寄与することにより、脆さが改善されて加工性が向上する。また、Mgの効果は加工性の向上だけに留まらず、本発明のはんだ組成においては、むしろ濡れ性向上の効果こそMgに最も期待する効果である。
【0039】
Mgを含有させることにより、濡れ性が格段に向上する理由は次のとおりである。即ち、MgはBiよりも酸化し易いため、自らが酸化することによってはんだ母材の酸化を防ぐと共に、Mgは非常に軽い金属であり、Biよりも格段に比重が小さく(比重:Mg=1.8、Bi=9.8)、溶融時にはんだ表面に表出し易いため、少量の含有量で還元効果を発揮できるからである。このようにMgは少量の含有量で効果が発揮できるので、はんだ中の残留量が多くなり過ぎて他の金属と脆い金属間化合物などを生成する心配もない。
【0040】
このような濡れ性や加工性の向上効果を有するMgの含有量は、僅かであることが好ましい。即ち、第1のPbフリーBi系はんだ合金におけるMgの含有量は、0.001質量%以上1.500質量%以下である。既に述べたようにMgの役割は、溶融はんだ表面に表出しやすい性質と還元効果による濡れ性の向上であったり、はんだの結晶微細化の核であったり、添加元素の1つであるZnとの共晶組成付近での微細化であったりする。このため多量に添加する必要はないが、Mgの含有量が0.001質量%未満では含有量が少なすぎて上記の効果が得られない。また、Mgの含有量が1.500質量%より多くなると、液相線温度が350℃を超え、固相線温度との差が80℃以上と大き過ぎたり、Mg自身の核が大きくなって微結晶化しなかったり、Znとの共晶組成から大きくずれてしまったり、Mgの酸化膜が厚くなり過ぎたりするため好ましくない。
【0041】
更に、第2のPbフリーBi系はんだ合金においては、Mgの含有量を0.005質量%以上0.500質量%以下の範囲とすることによって、上記したMgの優れた効果を発揮しやすくなるため一層好ましい。
【0042】
<Ag>
Agは、後述するCuと共に本発明の第2のPbフリーBi系はんだ合金の第4元素であり、必要に応じてAg又はCuのいずれかを添加することによって、はんだ合金の濡れ性及び接合性を更に向上させることができる。
【0043】
Agは半導体素子やCu基板の最上層に形成されることからも分かるように濡れ性向上の効果が大きく、本発明においてもAgの添加は濡れ性の向上を目的としている。即ち、Agは酸化し難く、はんだ表面の酸化を防ぐことによって濡れ性を向上させる。従って、濡れ性が不足する場合には、Agを添加することによって濡れ性を向上させることができる。
【0044】
一方、AgはBiとNiの反応を促進してしまうため、添加量には十分配慮しなければならない。Agは濡れを向上させ、はんだと半導体素子等の接合面を合金化しやすくするが、このためBiとNiの反応も進み易くなると考えられる。しかし、適切な量の含有であれば、BiとNiの反応が抑制された状態を維持しながら、同時に濡れ性を向上させることが可能となる。
【0045】
具体的には、本発明の第2のPbフリーBi系はんだ合金におけるAgの含有量は、0.01質量%以上3.0質量%以下とする。その理由は、Agの含有量が3.0質量%を超えると、ZnやAlが多量に添加されていたとしても、BiとNiの反応が進み、脆いBi−Ni合金を生成したり、NiがBi中に拡散したりする恐れがあり、逆にAgの含有量が0.01質量%より少なくなると期待する還元効果が得られない場合があるからである。
【0046】
<Cu>
Cuは、上述したAgと共に本発明の第2のPbフリーBi系はんだ合金の第4元素であり、必要に応じてAg又はCuのいずれかを添加することによって、はんだ合金の濡れ性及び接合性を更に向上させることができる。
【0047】
CuはBiより酸化し難く、しかもBiより比重が小さく(比重:Cu=8.9、Bi=9.8)、Bi中への固溶量も少ないため、はんだ溶融時に比較的はんだ表面付近に存在する。これらの要因によって、Cuははんだ表面の酸化を抑制し、濡れ性を向上させる。
【0048】
本発明の第2のPbフリーBi系はんだ合金におけるCuの含有量は、0.01質量%以上1.8質量%以下である。Cuの含有量が0.01質量%未満では含有量が少なすぎてCu添加の効果が表れず、逆に1.8質量%を超えると偏析等を起こして接合性を低下させてしまう。
【0049】
<P>
Pは、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金における任意の添加元素であり、必要に応じて添加することによって、濡れ性及び接合性を更に向上させる効果を有している。Pの添加により濡れ性の向上が大きくなる理由は、Pは還元性が強く、自ら酸化してはんだ合金表面の酸化を抑制することによる。尚、はんだの濡れ性がMgを含有させることによって問題ないレベルにあれば、敢えてPを添加含有させる必要はない。
【0050】
Pは還元性が強く、自らが酸化した後に気化してはんだ中に残存しないという優れた特性を持つ一方、Bi系はんだ中に安定して含有させることに工夫を要する。即ち、Pは発火しやすいため、例えば不活性ガス中ではんだ原料を溶解しても僅かに存在する酸素と反応してしまい、はんだ中に安定して残り難い。更に、PはBiなどの金属よりも比重が小さく、溶融金属中で表面に浮いてしまうことも発火のし易さに繋がっており、はんだ中に含有させ難い要因となっている。
【0051】
従って、このようなPよりもMgの方がはんだ中に含有させ易いが、Pの場合は含有量がばらついていても適量範囲に入っていれば、接合時に大部分は気化してしまうため問題にならないことも多く、コスト面から考えてもPの方がMgよりも安価であり有利である。従って、状況に応じて、Pを含有させるメリットが大きい場合にのみ含有させればよい。
【0052】
更に、Pを含有させるメリットとして、はんだの接合時にボイドの発生を低減させる効果を挙げることができる。即ち、前述したようにPは自らが酸化しやすいため、接合時にはんだの主成分であるBiよりも、更にはAlやZnよりも優先的に酸化が進む。その結果、はんだ母相の表面酸化を防ぎ、気泡を包み込むことなく接合できると共に濡れ性を確保することができるため、良好な接合が可能となり、ボイドの生成が起こり難くなるのである。
【0053】
尚、Pは前述したように非常に還元性が強いため、微量の添加でも濡れ性向上の効果を発揮する。しかし、ある量以上に添加しても濡れ性向上の効果は変わらず、過剰な添加ではPの酸化物がはんだ表面に生成されたり、Pが脆弱な相を作り脆化したりする恐れがある。従って、Pを添加する場合、その添加量は微量であることが好ましい。
【0054】
具体的には、本発明の第1及び第2のPbフリーBi系はんだ合金におけるPの含有量は、0.500質量%以下とすることが好ましい。Pの含有量が0.500質量%を超えると、Pの酸化物がはんだ表面を覆い、逆に濡れ性を低下させる恐れがある。更に、PはBiへの固溶量が非常に少ないため、含有量が多いと脆いP酸化物が偏析するなどして信頼性を低下させる。特にワイヤに加工する場合には、断線の原因になりやすいことを確認している。尚、Pの含有量が0.001質量%より少なくなると、期待する還元効果が得られない場合がある。
【0055】
本発明の高温用PbフリーBi系はんだ合金は、Niを含む半導体素子と基板との接合に使用することによって、ヒートサイクルが繰り返される環境などの過酷な条件下で使用される場合であっても優れた耐久性を有し、信頼性の高い電子基板を提供することができる。よって、この電子基板を、例えば、サイリスタやインバータなどのパワー半導体装置、自動車などに搭載される各種制御装置、太陽電池などの過酷な条件下で使用される装置に搭載することによって、それら各種装置の信頼性をより一層高めることができる。
【実施例】
【0056】
原料として、それぞれ純度99.9質量%以上のBi、Zn、Al、Mg、Ag、Cu及びPを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら切断及び粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。
【0057】
次に、これら原料から各金属を所定量秤量して、高周波溶解炉用のグラファイト製のるつぼに入れた。このるつぼを高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流しながら、溶解炉の電源を入れて原料を加熱溶融させた。原料が溶融しはじめたら混合棒でよく撹拌して、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切って速やかにるつぼを取り出し、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型としては、はんだ合金の製造の際に一般的に使用されている形状と同様のものを使用した。
【0058】
このようにして試料1〜22の各はんだ母合金を作製した。得られた試料1〜22の各はんだ母合金について、それぞれ組成をICP発光分光分析器(SHIMAZU製、S−8100)を用いて分析した。得られた分析結果を下記表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
次に、上記表1に示す試料1〜22の各はんだ母合金に対して、下記に示すワイヤ加工性の評価、濡れ性の評価(接合性評価)、EPMAライン分析(Ni拡散防止効果の評価)、及びヒートサイクル試験を行い、得られた結果を下記表2に示した。尚、はんだの濡れ性や接合性等の評価については、はんだ形状に依存しないためワイヤ、ボール、ペーストなどいずれの形状で評価してもよいが、本実施例ではワイヤに成形して評価した。
【0061】
<ワイヤ加工性の評価>
上記表1に示す試料1〜22の各はんだ母合金を、予め各はんだ組成に適した温度に加熱した押出機を使用し、油圧で圧力を上げて外径0.70mmのワイヤに加工した。押出機出口から押し出されるワイヤ状のはんだは未だ熱く酸化が進行し易いため、押出機出口は密閉構造とし、その内部に不活性ガスを流すことにより、可能な限り酸素濃度を下げて酸化が進まないようにした。ワイヤの押出速度は、市販のはんだワイヤが切れたり変形したりしないように予め調整した通常の速度(17m/分)とし、同時に自動巻取機を用いて同じ速度で巻き取るようにした。
【0062】
このようにしてワイヤ状に加工すると共に自動巻取機で70mを巻き取ったとき、1度も断線しなかった場合を「○」、1〜3回断線した場合を「△」、4回以上断線した場合を「×」として、ワイヤ加工性を評価した。
【0063】
<濡れ性の評価(接合性評価)>
濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、ヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12リットル/分)。その後、ヒーター設定温度を340℃にして加熱した。340℃に設定したヒーター温度が安定した後、表面にNiめっき層(膜厚:4.0μm)を備えたCu基板(板厚:約0.70mm)をヒーター部にセットして25秒間加熱した。
【0064】
次に、この加熱したCu基板の上に各はんだ合金を載せ、25秒間加熱した。加熱が完了した後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置して冷却した。十分に冷却させた後、大気中に取り出して接合部分を目視により確認した。
【0065】
目視確認により、はんだ合金がCu基板に接合できなかった場合を「×」、接合できたが濡れ広がりが悪かった場合(はんだが盛り上がった状態)を「△」、接合でき且つ濡れ広がった場合(はんだが薄く濡れ広がった状態)を「○」として、濡れ性(接合性)を評価した。
【0066】
<EPMAライン分析(Ni拡散防止効果の評価)>
Cu基板に設けたNiめっき層がBiと反応して薄くなったり、NiがBi中に拡散したりしていないか確認するため、EMPAによるライン分析を行った。尚、EPMAライン分析は、上記濡れ性の評価と同様にして得た試料1〜22のうち、はんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。
【0067】
即ち、上記濡れ性の評価の場合と同様にして得た全試料の内、はんだ合金が接合されなかった試料17と19を除き、はんだ合金が接合された残りの試料の各Cu基板を樹脂に埋め込み、研磨機により粗い研磨紙から順に細かいものを用いて研磨し、最後にバフ研磨を行った。その後、EPMA(SHIMADZU製、EPMA−1600)を用いてライン分析を行い、Niの拡散状態等を調べた。
【0068】
測定方法は、はんだ合金が接合されたCu基板の断面を横から見たときのCu基板とNi層の接合面を原点Oとし、はんだ側をプラス方向とした。測定においては、任意に5箇所を測定して最も平均的なものを採用した。この測定結果とNiのはんだ中への拡散状態から、Ni層が反応して明らかに薄くなっているか、Niがはんだ中に拡散していたりする場合を「×」、Ni層の厚みが初期状態とほとんど変わらず、Niがはんだ中に拡散していない場合を「○」として、Ni拡散防止効果を評価した。
【0069】
<ヒートサイクル試験>
はんだ接合の信頼性を評価するために、ヒートサイクル試験を行った。尚、このヒートサイクル試験は、上記濡れ性の評価と同様にして得たCu基板の内、試料17と19を除き、残りの試料の各はんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。即ち、はんだ合金が接合された試料1〜16及び試料18、20〜22の各Cu基板に対して、−50℃の冷却と+125℃の加熱を1サイクルとし、このサイクルを300回と500回繰り返した。
【0070】
上記ヒートサイクル試験の終了後、はんだ合金が接合された各Cu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(HITACHI製、S−4800)により接合面の観察を行った。接合面に剥がれが生じるか、はんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」として、はんだ接合の信頼性を評価した。
【0071】
【表2】
【0072】
上記の結果から分かるように、本発明による試料1〜15の各はんだ合金は、全ての評価項目において良好な特性を示している。即ち、ワイヤに加工しても、切れることなく自動巻取ができ、良好な加工性を有していた。また、試料1〜15の各はんだ合金は、全て濡れ性も非常に良好であり、Cu基板上に薄く濡れ広がった。更に、Niの拡散はなく、信頼性に関するヒートサイクル試験においても500回経過後も不良は現れず、良好な結果が得られた。
【0073】
一方、比較例である試料16〜22の各はんだ合金は、ワイヤへの加工性、濡れ性、EPMAライン分析(Ni拡散防止効果)及びヒートサイクル試験のいずれか2つ以上において好ましくない結果となった。特に試料17と試料19は濡れ性が非常に悪くCu基板に接合できなかったため、EPMAライン分析とヒートサイクル試験を行わなかった。また、ヒートサイクル試験を行った試料16、18、20〜22の各はんだ合金においても、全て300回までのサイクルで不良が発生した。