(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子は、支持基板上に発光構造部が貼り付けられてなり、基体の平坦な上面に前記支持基板が対向するように前記発光素子を実装する実装し、前記マウント部の周りに前記マウント部から離して型枠を設ける工程を含み、
前記第1樹脂層形成工程において、前記マウント部の周りに前記第1樹脂を充填する請求項3記載の発光装置の製造方法。
支持基板上に発光構造部が貼り付けられてなる発光素子と、基体と、前記発光素子を封止する封止樹脂とを含み、前記発光素子を前記基体の上面に前記支持基板が対向するように実装した発光装置であって、
前記封止樹脂は、前記支持基板上で前記発光素子を覆う蛍光体含有第1層と、前記支持基板の周りの前記基体上面に形成された蛍光体含有第2層と、前記支持基板の周りの前記蛍光体含有第2層上に形成されたフィラー含有層と、を有することを特徴とする発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の発光装置について図面を参照しながら説明する。
ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲を限定するものではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0015】
実施形態1.
本発明に係る実施形態1の発光装置10は、
図1に示すように、凹部4rを有する基体4と、その凹部4rの底面(基体の上面の一部)に設けられた凸部(マウント部)4aの上に実装された発光素子1と、凹部4rに充填されて発光素子1を封止する封止樹脂6とを含んで構成されている。
そして、本実施形態1の発光装置10において、封止樹脂6は、マウント部4a上で発光素子1を覆う蛍光体含有第1層6aと、マウント部4aの周りの凹部4rの底面側に形成された蛍光体含有第2層6bと、マウント部4aの周りの蛍光体含有第2層6b上に形成されたフィラー含有層6fとを含む層構造を有している。
以下、本実施形態1の発光装置10を構成する各構成部材について詳細に説明する。
【0016】
<基体4>
基体4は、凹部4rを有し、凹部4rの底面の中央部には、発光素子1が実装されるマウント部4aが設けられて、マウント部4aの周りには、例えば円環状の第2凹部が形成されている。また、第2凹部の底面(基体の上面の一部)には分離された2つのリード電極3が設けられており、そのリード電極3はそれぞれ外部接続端子5に接続されている。
基体4において、マウント部4aは基体本体と一体で構成されていてもよいし、別体のサブマウントが取り付けられていても良い。
【0017】
また、基体4は、リード電極3と外部接続端子5とが一体化された樹脂又はセラミックパッケージであっても良いし、リード電極3と外部接続端子5とが形成された基板をベースにして構成されていてもよい。
さらに、基体4の大きさや外形及び凹部形状は、目的や用途に応じて任意のものとすることができ、長方形、多角形、円形、及びそれらを組み合わせた形状などを用いることができる。また、基体4の好ましい材料としては、ガラスエポキシ樹脂、セラミック、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、Al、Cu等をあげることができ、それらを組み合わせたもの、例えば、セラミック中にCuを埋め込んだもの等を用いることができる。
【0018】
<発光素子1>
発光素子1は、例えば、発光ダイオード等の半導体発光素子であり、例えば、サファイア基板上にGaNを結晶成長させることにより作製される。発光素子1の発光ピークは、後述のYAG系蛍光体と組み合わせて構成される場合には、例えば、460nmに設定される。
図1に示す発光装置10では、上面に正負の電極が形成された発光素子を例示しているが、フリップチップ実装タイプの発光素子、Si基板にGaNが貼り合わせられて両面に電極が形成された発光素子を用いることもできる。また、目的や用途に応じて用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
<蛍光体含有第1層6a>
蛍光体含有第1層6aは、蛍光体粒子が混入された例えばシリコーン系樹脂からなり、マウント部4a上で発光素子1の上面及び側面を覆っている。蛍光体含有第1層6aに含まれた蛍光体粒子は、発光素子1の上面及び側面からの光により励起されてその励起光とは異なる波長の光を発光する。蛍光体含有第1層6aを構成する樹脂としては、目的や用途に応じてエポキシ系、ハイブリットシリコーン系樹脂を用いることもできる。混入する蛍光体粒子は、例えば、(a)Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、(b)体色が黄色である、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ce、Y
3(Al
0.8Ga
0.2)
5O
12:Ce、(Y,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12の組成式で表されるYAG系蛍光体が挙げられる。上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。
また、混入する蛍光体は、フィラー含有層6fに混入するフィラーより比重が重いものであることが好ましい。
【0020】
<蛍光体含有第2層6b>
蛍光体含有第2層6bは、蛍光体含有第1層6aと同様の蛍光体粒子が混入された例えばシリコーン系樹脂からなり、マウント部4aの周りの第2凹部の底面上に形成されている。蛍光体含有第2層6bを構成する樹脂は、目的や用途に応じてエポキシ系、ハイブリットシリコーン系樹脂を用いることができるが、少なくとも後述のフィラー含有層6fと同種の樹脂が用いられる。
【0021】
<フィラー含有層6f>
フィラー含有層6fは、フィラーが混入された例えばシリコーン系樹脂からなり、マウント部4aの周りの第2凹部内で蛍光体含有第2層6bを覆っている。このフィラー含有層6fは、発光素子1からの光(蛍光体粒子により波長変換された光を含む)を反射して光の取り出し効率を高めるとともに発光素子1からの光によって蛍光体含有第2層6bに含まれている蛍光体粒子が励起されるのを防止して、色むらやイエローリングの発生を防止している。また、このフィラー含有層6fは、フィラー含有層6fの上面がマウント部4aの上面と実質的に同じ高さになるように形成されていることが好ましく、これにより、発光素子1の側面から出射された光(蛍光体粒子により波長変換された光を含む)が第2凹部内で複雑に反射を繰り返して色むらが生じるのを防止できる。
【0022】
フィラー含有層6fを構成する樹脂は、目的や用途に応じてはエポキシ系、ハイブリットシリコーン系樹脂を用いることもできる。混入するフィラーとして、好ましくは反射率の高いTiO
2を用いるが、目的や用途に応じてSiO
2、Al
2O
3等またはカーボンブラック等でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、或いは複数を混合させることもできる。また、それぞれの部材の粒径や濃度、混合比率などは適宜選択することができる。ただし、混入するフィラーは、蛍光体含有第2層6bに混入する蛍光体粒子より比重が軽いものであることが好ましい。
【0023】
以上のように構成された実施形態1の発光装置10によれば、電着や高い精度の印刷技術等を用いることなく、後述する簡易な製造方法によって、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を低コストで製造することが可能になる。
【0024】
次に、実施形態1の発光装置の製造方法について説明する。
本製造方法は、
図1に示す発光装置の製造方法であって、流体である未硬化の樹脂中における蛍光体粒子の沈降速度がフィラーの沈降速度より早くなるように蛍光体粒子の平均粒径及び比重とフィラーの平均粒径及び比重とを設定して、未硬化の樹脂中でフィラーよりも蛍光体粒子を優先的に沈降させる蛍光体沈降工程を含み、それにより発光素子1の上面と側面を覆う蛍光体含有第1層6aを形成するとともに、マウント部4aの周りの第2凹部におけるフィラー含有層6fより下の底面側に蛍光体含有第2層6bが形成されるようにしている。
すなわち、本製造方法は、発光素子1を基体4の凹部4r内に実装する実装工程に続いて行われる蛍光体沈降工程が後述する第1樹脂層形成工程と第2樹脂層形成工程とを含む。
以下、各工程について説明する。
【0025】
<実装工程>
この工程では、基体4のマウント部4aの上面に発光素子をダイボンディングした後、発光素子の正負の電極(図示せず)をワイヤーボンディングによりそれぞれリード電極3に接続する(
図2(a))。尚、
図2(a)において、2はボンディングワイヤーである。
【0026】
<第1樹脂層形成工程>
第1樹脂層形成工程では、
図2(b)に示すように、凹部4r内のマウント部4aの周りの第2凹部にフィラーを混入分散した第1樹脂を充填する。この第1樹脂は、フィラー含有層6f及び蛍光体含有第2層6bを構成する樹脂である。この充填は基体4のマウント部4aの上面を覆わないよう、望ましくはマウント部4aの上面より10〜100μm低い位置まで充填する。充填した第1樹脂層7は、基体4のマウント部4aの側面及び凹部4rの壁面への樹脂の這い上がり現象と液状樹脂の表面張力のよりリフレクター形状(凹形状)となる。
そして、第1樹脂を硬化させることなく、次の第2樹脂層形成工程を行う。
【0027】
<第2樹脂層形成工程>
第2樹脂層形成工程では、
図2(c)に示すように、第1樹脂層7を硬化させる前に、蛍光体粒子を含む第2樹脂を第1樹脂層7上及び発光素子1上に塗布して第2樹脂層8を形成する。
【0028】
<蛍光体粒子の沈降工程>
第2樹脂層8を形成した後、例えば、所定時間以上常温で放置して、蛍光体粒子を自重により自然沈降させて、基体4のマウント部4a上に発光素子1の上面と側面とを覆う蛍光体含有第1層6aを形成するとともに、第1樹脂層7を下方の蛍光体含有第2層6bと蛍光体粒子を実質的に含まないフィラー含有層6fとに分離する(
図2(d))。
すなわち、本発明は、第2樹脂層8中を自重により加速されて沈降(落下)してきた蛍光体が第1樹脂層7を通過する際にフィラーを押し退けて沈降する(優先的に沈降する)であろうことに着目してなされたものであり、この現象は、第2樹脂層8における蛍光体の落下に対する抵抗がフィラーを含むことにより大きくなった第1樹脂層7における蛍光体の落下に対する抵抗より小さいことを利用したものである。
言い換えれば、蛍光体粒子が沈降する沈降工程が、蛍光体粒子がフィラーを通過して沈降する工程を含むことで本発明がなされるものである。
尚、第1樹脂層7におけるフィラーは、蛍光体より上方にあればよく、例えば、蛍光体より上方で層状に沈降していてもよい。
以上のように、本発明は、フィラーの有無又は含有量の差によって生じる蛍光体の沈降に対する抵抗の差を利用したものであり、第1樹脂と第2樹脂として同一の樹脂を用いることができ、第1樹脂層7と第2樹脂層8とを一体化するためには、第1樹脂と第2樹脂として同一の樹脂を用いることが好ましい。
また、
図1等では、蛍光体含有第2層6bにはフィラーが全く含まれていないように描いているか、蛍光体含有第2層6bにフィラーが含まれていても良いことはいうまでもない。加えて、フィラー含有層6fには蛍光体が全く含まれていないように描いているが、フィラー含有層6fの蛍光体含有第2層6bに隣接する領域(下方)には、完全に沈降しきれなかった蛍光体が含まれていても良い。
蛍光体粒子を沈降させるための時間は、蛍光体粒子の比重及び粒径と第1樹脂と第2樹脂の粘度に基づいて設定されるが、樹脂が自然硬化する時間を考慮して、例えば、蛍光体粒子の比重及び/又は粒径を大きくしたり、第1樹脂や第2樹脂の粘度を低くしたりして、沈降工程の時間を短くすることもできる。
【0029】
このように、常温で放置することにより、自重により蛍光体粒子を沈降させることができるが、さらに沈降時間を短縮するために、発光素子1の法線方向に向くように構成されたスイング式の遠心分離機を用いて強制沈降することもできる。
【0030】
<樹脂硬化>
蛍光体粒子の沈降が完了した後、第1樹脂及び第2樹脂を硬化させる。
以上の工程により、基体4のマウント部4a上に発光素子1の上面と側面とを覆う蛍光体含有第1層6aと、蛍光体含有第2層6bと蛍光体粒子を実質的に含まないフィラー含有層6fを有する封止樹脂6によって封止された実施形態1の発光装置10が作製される。
ここで封止樹脂6は第1樹脂と第2樹脂とからなる樹脂であることは言うまでもない。
尚、蛍光体粒子の沈降工程と樹脂の硬化工程とは、ステップキュア内でプログラム制御を行うことによって連続して行うこともできる。
【0031】
(蛍光体粒子の比重及び粒径、フィラーの比重及び粒径の設定)
本実施形態1における硬化前の樹脂のような流体中を沈降する粒子の速度は、ストークスの式等により表されているように、粒子の密度(比重)、粒子の粒径の2乗に比例し、流体の粘度に反比例する。
したがって、通常使用される蛍光体粒子の比重が4〜5程度)であり、フィラーとして用いられる代表的にTiO
2の比重が4前後であり、両者に大差がないことを考慮すれば、例えば、第1樹脂と第2樹脂をほぼ同一の粘度とし、蛍光体粒子の平均粒径をフィラーの平均粒径の10倍以上、好ましくは20倍以上、より好ましくは30倍以上と(1桁以上大きく)することにより、実質的に蛍光体粒子のみを樹脂内で優先的に沈降させることができる。
尚、使用可能な蛍光体のうち、比較的軽いCa
2Si
5N
8:Eu蛍光体(窒化物系、赤色蛍光体)の比重が3前後であり、比較的重いLu
3Al
5O
12蛍光体の比重が6.7程度であることを考慮しても蛍光体粒子の平均粒径をフィラーの平均粒径の1桁大きく(10倍以上と)することにより、実質的に蛍光体粒子のみを樹脂内で優先的に沈降させることが可能であることが理解できる。
【0032】
また、発光素子1が発光した光の波長変換層である蛍光体含有第1層6aの厚さは、第1樹脂中の蛍光体粒子の量及び発光素子1及びマウント部4a上に形成する第2樹脂層8の厚さを調整することにより所望の値に設定できる。
尚、蛍光体含有第1層6aのうち発光素子1の側面を覆う部分の厚さは、発光素子1の側面からマウント部4aの外周端までの距離の影響も受けるが、その発光素子1の側面からマウント部4aの外周端までの距離は任意に設定することが可能であり、発光素子1の側面を覆う部分の厚さの調整も容易である。
【0033】
以上のように構成された実施形態1の発光装置の製造方法によれば、電着や高い精度に管理された印刷等を用いることなく、簡単な工程で、発光素子1を覆う比較的薄い蛍光体含有第1層6aを均一な膜厚に形成することができ、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を低コストで製造することが可能になる。
【0034】
以上のように構成された実施形態1の発光装置によれば、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を安価に提供することができる。
【0035】
以上の実施形態1では、凹部4rを有するパッケージタイプの基体4を用いて発光装置を構成及び作製した例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平坦な基板を基体として用いた発光装置に適用することもできる。
次に、基板を基体として用いた発光装置に係る実施形態2について説明する。
【0036】
実施形態2.
以下、
図3を参照しながら、本発明に係る実施形態2の発光装置について説明する。
図3において、
図1の実施形態1の発光装置と同様のものには同様の符号を付して示しており、特に断らない限りそれらの構成は同様である。
【0037】
本実施形態2の発光装置において、基板24は、例えば、ガラスエポキシからなる基板ベース24aにヒートシンク24bと内層配線22が埋設され、一方の主面に形成された端子電極23a,23bがそれぞれ内層配線22を介して他方の主面に形成された外部接続端子25a,25bとに接続されてなる。
基板24において、ヒートシンク24bは、対向する第1面と第2面とを有し、第1面と第2面間の距離によって定義される厚さが基板ベース24aの厚さと略同一になっている。
そして、ヒートシンク24bは、第1面が基板ベース24aの一方の主面と略同一平面上に位置し、第2面が基板ベース24aの他方の主面と略同一平面上に位置するように基板ベース24aに埋め込まれている。
【0038】
以上のように構成された基板24を用いて、ヒートシンク24bの第1面の上にサブマウント27を介して発光素子1をダイボンディングして、発光素子の正負の電極をワイヤーボンディングによりそれぞれリード電極23a,23bに接続する。
その後、そのサブマウント27及び発光素子1を囲む型枠をサブマウントから離して基板24上に設け、実施形態1で説明した凹部4rに相当する樹脂充填部を形成する。
以下、実施形態1で説明した第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程、蛍光体粒子沈降工程、樹脂硬化工程を経て実施形態2の半導体装置は作製される。
【0039】
以上のように作製された実施形態2の発光装置20において、封止樹脂6は、実施形態1と同様、サブマウント27上で発光素子1を覆う蛍光体含有第1層6aと、サブマウント27の周りの基板24の一方の主面に形成された蛍光体含有第2層6bと、サブマウント27の周りの蛍光体含有第2層6b上に形成されたフィラー含有層6fとを含む層構造を有している。
図6に、実施形態2で説明した発光装置を実際に作製してその断面観察をしたときの写真を示す。この写真では、蛍光体含有第2層6b上に形成されたフィラー含有層6fとを含む層構造が確認された。
【0040】
以上のように構成された実施形態2の発光装置によれば、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を安価に提供することができる。
【0041】
以上の実施形態1及び2では、マウント部4a又はサブマウント27を用い、そのマウント部4a又はサブマウント27の上に発光素子1を実装するようにした。また、発光素子1において、発光面側に正負の両方の電極が形成されているので、マウント部4a又はサブマウント27は導電性を有していても有していなくてもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の実施形態に示すように、発光素子自体が支持基板等に貼り合わされた発光素子を基体上に設けるようにしてもよい。
【0042】
実施形態3.
図4は、実施形態3の発光装置の構成を示す断面図である。実施形態3の発光装置において、発光素子は、支持基板37に接着部層38を介して発光構造部120が設けられてなる。実施形態3の発光構造部120において、p型層13の一部が複数の箇所で除去されて、その各箇所においてn型層12に接するように複数の第1電極18が形成されている。この複数の第1電極18は、導電性を有する接着部材38により互いに接続されるので分離して形成されていてもよい。
図4では第1電極18が分離して描かれているが実際は互いに電気的に接続されている。この第1電極18は、導電性を有する接着部材38を介して支持基板37に電気的に接続されている。
【0043】
また、各発光構造部120のp型層13にはそれぞれ、絶縁層14によって接着部材38と電気的に分離された第2電極15が形成されている。また、支持基板37と接合部材38とは同じ平面形状を有しているのに対して、p型層13とn型層12を含む発光構造部の平面形状は、支持基板37等に比べて小さく構成されている。このようにして、外側に配置された発光構造部120の第2電極15を発光構造部の外側に延在して設け、その外側に延在した第2電極15の上にパッド電極16を形成している。
【0044】
また、本実施形態3の発光素子では、
図4に示すように、n型層12の光取り出し面側に凹凸部9を形成して、光取り出し効率を向上させて外部量子効率を向上させている。この凹凸部9に代えて、又は凹凸部9に加えて透明絶縁膜17の表面に凹凸を形成するようにしてもよい。ここで、凹凸部9の形状としては、ドット状、格子状、ハニカム状、枝状、矩形状、多角形状、円形状など様々な形状の凸部又は凹部とすることができ、断面形状としては矩形状、台形状、錐体断面などとできる。その大きさは、適宜設定されるが、具体的には開口部、凸部、凹部の間隔、1辺の長さ(矩形状、多角形状)、直径(ドット状、円形状)を、1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。
【0045】
この
図4に示した発光素子は次のようにして作製することができる。
まず、成長用基板上に例えば、窒化物半導体からなるn型層12、p型層13を積層して半導体積層構造を形成する。n型層12とp型層13の間に発光層を形成するようにしてもよい。
次に、p型層13を複数の箇所で除去して第1電極18を形成するためにn型層12の表面を一部露出させる。
そして、露出させたn型層12の表面に第1電極18を形成し、p型層13の表面に第2電極15を形成する。
次に、半導体積層構造の上に、例えば、SiO
2からなる絶縁膜14を形成して、さらに、支持基板37側に電気的に接続される第1電極18の一部を露出させる。
次に、例えば、Ti−Pt−Auからなる接合層を形成する。
【0046】
一方、例えば、Cu−Wからなる支持基板37側にも、下地層のTi−Pt(Auの接合層と、その上のSn−Auからなる接着層を形成する。
そして、半導体積層構造側と支持基板側の接着層を熱圧着して、接合した後、レーザ光を成長用基板側から照射して成長用基板を除去して、さらにn型層12に凹凸部9を形成する。
最後に、半導体積層構造の一部をエッチングにより除去して、その外側に第2電極15を露出させて、透明絶縁膜17とパッド電極16とを形成する。
以上のようにして、
図4に示す発光素子が作製される。
【0047】
本実施形態3の発光装置において、基板34は、例えば、ガラスエポキシからなる基板ベース34aに内層配線32が埋設され、一方の主面に形成された端子電極33a,33bがそれぞれ内層配線32を介して他方の主面に形成された外部接続端子35a,35bとに接続されてなる。
【0048】
以上のように構成された基板34を用いて、端子電極33bの上に、発光素子の支持基板37側をダイボンディングして、発光素子のパッド電極16をそれぞれワイヤーボンディングにより端子電極33aに接続する。
その後、発光素子を囲む型枠を発光素子から離して設け、樹脂充填部を形成する。
以下、実施形態1で説明した第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程、蛍光体粒子沈降工程、樹脂硬化工程を経て実施形態3の半導体装置は作製される。
【0049】
以上のように作製された実施形態3の発光装置30において、封止樹脂6は、実施形態1と同様、支持基板37と接合部材38の上で発光構造部を覆う蛍光体含有第1層6aと、支持基板37と接合部材38の周りの基板34の一方の主面に形成された蛍光体含有第2層6bと、支持基板37と接合部材38の周りの蛍光体含有第2層6b上に形成されたフィラー含有層6fとを含む層構造を有している。
【0050】
以上のように構成された実施形態3の発光装置によれば、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を安価に提供することができる。
【0051】
実施形態4.
図5は、実施形態4の発光装置40の構成を示す断面図である。実施形態4の発光装置において、発光素子の構成が以下の点で実施形態3の発光素子とは異なっている。
すなわち、実施形態3の発光素子と実施形態4の発光素子はいずれも成長基板を剥離して別の支持基板を張り付けている点では同じであるが、実施形態3の発光素子では、発光構造部の一方の面の側から第1電極と第2電極とを取り出しているが、実施形態4の発光素子では、発光構造部の一方の面の側に第1電極を形成し、他方の面側に第2電極を形成している点で異なっている。
また、実施形態4の発光装置40は、実施形態3の基板34に代えて、凹部44rを備えたパッケージ44を用いて構成している点で実施形態3とは異なっている。
尚、実施形態4のパッケージ44は、凹部44rに底面にマウント部4aを備えていない点で実施形態1の基体(パッケージ)4とは異なっている。
すなわち、実施形態4の発光装置40では、発光素子49に貼り付けられた支持基板47がマウント部4aに代わって発光構造部46を必要な高さに保持している。
また、実施形態4の発光装置40では、凹部44rの側壁が上方に向かって拡がるように傾斜して、上方への光の取り出し効率を向上させている。
【0052】
具体的には、実施形態4の発光素子49は、次のように作製される。
まず、サファイアなどの半導体成長用基板の上に、n型半導体層、発光層、p型半導体層をこの順に積層し、半導体積層構造を形成する。
その後、p型半導体層の表面にp側電極とメタライズ層とを順に形成する。
これと並行して、支持基板47の上にメタライズ層を形成し、メタライズ層が形成された支持基板47を裏返しにして、支持基板47側メタライズ層と半導体積層構造側のメタライズ層とを貼り合せる。次に半導体積層構造から半導体成長用基板を剥離し、剥離したことで露出されたn型半導体層の表面にn側電極を形成する。
以上のようにして、支持基板47に発光構造部46が貼り付けられてなる実施形態4の発光素子49が作製される。尚、実施形態4の発光素子49では、n側電極は部分電極とし、n側電極が形成されていない部分から光が出射される。
【0053】
この支持基板として、例えばシリコン(Si)、Ge、SiCなどの半導体からなる半導体基板、または金属単体基板、または相互に非固溶あるいは固溶限界の小さい2種以上の金属の複合体からなる金属基板を用いることができる。このうち、金属単体基板として具体的にはCuを用いることができる。また、金属基板の材料として具体的にはAg、Cu、Au、Pt等の高導電性金属から選択された1種以上の金属と、W、Mo、Cr、Ni等の高硬度の金属から選択された1種以上の金属と、からなるものを用いることができる。半導体材料の基板を用いる場合には、それに素子機能、例えばツェナーダイオードを付加した基板とすることができる。また金属基板としては、Cu−WあるいはCu−Moの複合体を用いることが好ましい。
【0054】
また、本実施形態4の発光装置40において、基体としては、凹部44rを有するパッケージ44が使用される。実施形態4のパッケージ44は、凹部44rの底面にマウント部が設けられていない点で実施形態1の基体4とは異なるが、その点を除くと実施形態1の基体4と基本的な構成は同様である。
【0055】
本実施形態4の発光装置40において、パッケージ44は、例えば、樹脂又はセラミックからなるパッケージベース44aに内層配線42が埋設され、凹部44rの底面に形成された端子電極43a,43bがそれぞれ内層配線42を介して実装面に形成された外部接続端子45a,45bとに接続されてなる。
【0056】
以上のように構成された発光素子49とパッケージ44とを用いて、端子電極43bの上に、発光素子49の支持基板47側をダイボンディングして、発光素子49の発光面側に形成された電極をそれぞれワイヤーボンディングにより端子電極43aに接続する。
その後、実施形態1で説明した第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程、蛍光体粒子沈降工程、樹脂硬化工程を経て実施形態3の半導体装置は作製される。
【0057】
以上のように作製された実施形態4の発光装置40において、封止樹脂6は、実施形態1と同様、支持基板47の上で発光構造部46を覆う蛍光体含有第1層6aと、支持基板47の周りの凹部44rの底面に形成された蛍光体含有第2層6bと、支持基板47の周りの蛍光体含有第2層6b上に形成されたフィラー含有層6fとを含む層構造を有している。
【0058】
以上のように構成された実施形態4の発光装置によれば、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を安価に提供することができる。
【0059】
以上の実施形態3及び4のように、本発明では、基板上又はパッケージの凹部に設けられたサブマウントを用いることなく、発光構造部が支持基板等に貼り合わされた発光素子を基体上に設けるようにしてもよい。
【0060】
また、本発明では、例えば、実施形態3の基板34と実施形態4の発光素子49とを組み合わせる、又は実施形態4のパッケージ44と実施形態3の支持基板37の上に発光構造部が設けられてなる発光素子を組み合わせる等、基体と発光素子は種々の組合せが可能である。
これらの組合せに係る発光装置も、実施形態1〜4の発光装置と同様の作用効果を有する。
【実施例】
【0061】
実施例1.
実施例1として、以下のようにして発光装置を作製した。
尚、本実施例1では、樹脂、蛍光体粒子及びフィラーは次のものを使用した。
(1)樹脂(第1樹脂、第2樹脂共通)
・種類:ジメチル系シリコーン樹脂
・粘度:3.5〜3.9Pa・s
(2)蛍光体粒子
・組成:(Y,Gd)
3Al
5O
12:Ce
・比重:4.68
・平均粒径:15μm
・中心粒径:24μm
(3)フィラー
・組成:TiO
2
・比重:3.9〜4.2
・平均粒径:0.25μm
【0062】
本実施例1では、まず、リード電極が形成された基板上にサブマウントを介して発光素子を実装して、発光素子の上面に形成された正負の電極をそれぞれリード電極にワイヤボンディングした。
そして、サブマウント及び発光素子を囲む型枠をサブマウントから離して基板上に設け、樹脂充填部を形成した。
【0063】
次に、樹脂充填部におけるサブマウントの周りの第2凹部に相当する部分に、上記樹脂に上記フィラーを混入分散した第1樹脂を充填した。第1樹脂におけるフィラーと樹脂の配合比(重量比)は、樹脂:フィラー=100:33とした。この充填において、第1樹脂は、サブマウントの上面より100μm低い位置まで充填した。
【0064】
そして、第1樹脂を硬化させることなく、第1樹脂と同じ第2樹脂に上記蛍光体粒子を分散させた第1樹脂層上及び発光素子1上の型枠内に充填して第2樹脂層を形成して、蛍光体粒子を30℃で3時間自然沈降させた。
尚、第2樹脂における蛍光体粒子と樹脂の配合比(重量比)は、樹脂:蛍光体粒子=100:25とした。
【0065】
最後に、50℃で3時間、その後昇温して、さらに180℃で2時間の条件下で樹脂を硬化させた後、型枠を外した
【0066】
以上のようにして実施例1の発光装置を作製したところ、色むらやイエローリングの発生が防止された発光装置を製造することができた。