特許第5861937号(P5861937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5861937-充填材の充填方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861937
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】充填材の充填方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20160202BHJP
   C04B 24/38 20060101ALI20160202BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20160202BHJP
   E04G 21/20 20060101ALI20160202BHJP
   E01C 23/09 20060101ALI20160202BHJP
   C04B 111/70 20060101ALN20160202BHJP
【FI】
   C04B28/02
   C04B24/38 A
   C04B18/14 Z
   E04G21/20
   E01C23/09 Z
   C04B111:70
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-75876(P2012-75876)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203619(P2013-203619A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】安藤 重裕
(72)【発明者】
【氏名】武藤 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 弘剛
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−214223(JP,A)
【文献】 特開平08−091905(JP,A)
【文献】 特開2008−094679(JP,A)
【文献】 特開2011−074614(JP,A)
【文献】 特開昭62−207751(JP,A)
【文献】 特開2004−307331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00−32/02
E01C 23/09
E04G 21/20
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体材料と水を含む液体材料とを、注入器に収納可能な容器内で混合して充填材を得る混合工程と、前記容器を前記注入器に収納し、前記容器内部の充填材を前記注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれており、
前記粉体材料1000質量部に対して前記液体材料が140以上220以下質量部含まれている充填材の充填方法。
【請求項2】
粉体材料と水を含む液体材料とを、注入器の内部で混合して充填材を得る混合工程と、前記充填材を前記注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれており、
前記粉体材料1000質量部に対して前記液体材料が140以上220以下質量部含まれている充填材の充填方法。
【請求項3】
前記混合工程において、前記粉体材料と前記液体材料とを10秒以上35秒以下混合する請求項1または2に記載の充填材の充填方法。
【請求項4】
前記構造物の孔が、下方または側方に向いた面に形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の充填材の充填方法。
【請求項5】
前記増粘剤が、セルロース系水溶性高分子である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の充填材の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の孔に充填材を充填する充填材の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物や舗装道路等の構造物の孔、例えば、アンカー筋を設置するために設けた孔や、レンガやブロックなどの目地のへこみ又は欠損部等の孔等に充填材を充填することが行なわれている。
前記充填材は、硬化性の粉体材料と水などの液体材料とを、使用直前に混練しペースト状にして孔に充填するもので、セメント等の無機系材料からなる無機系充填材と、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等の有機系材料からなる有機系充填材がある。
中でも、前記セメントを含む無機系充填材は、構造物がセメント硬化体やレンガ等である場合、これらの構造物の材質と熱膨張率が近く、充填後に孔から剥落するおそれが少ないため、多く用いられている。
【0003】
前記充填材は、孔への充填時には流動性が高いほど孔の内部まで隙間なく充填することが容易にできる。しかし、充填材の流動性が高すぎると孔から流出しやすくなったり、周囲に付着して清掃が必要になったりするおそれがあり、充填時の流動性と充填後の適度な粘度とのバランスをとることが困難である。
【0004】
また、前記充填材を充填する方法としては、特許文献1に記載されているように、注入器に収納可能なカートリッジ式の容器内に粉体材料と液体材料とを入れて、前記容器内部で前記材料を混合して充填材を得て、前記容器を前記注入器に収納して、前記注入器の吐出口からして充填材を孔に吐出して充填する方法がある。
あるいは、前記充填材の粉体材料と液体材料とをミキサーなどで予めペースト状に混合して充填材を得てから、注入器に充填して孔に充填する方法等がある。
【0005】
しかし、前記のように注入器を用いる場合、孔から垂れない粘度に充填材を調整すると、注入器の内部に充填材が残存しやすくなり充填材が無駄になる。また、充填材をペースト状に混合した後に注入器に充填する方法では、孔から垂れない粘度に充填材を調整すると、注入器に充填する際に充填材を充填しにくくなる。
従って、前記のような比較的粘度が高い充填材を用いる場合には、鏝等を用いて構造物の孔に充填しなければならず、作業が煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−73694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題を鑑みて、適度な粘度を有する充填材を無駄なく且つ容易に孔に充填することができる充填材の充填方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る充填材の充填方法は、
粉体材料と水を含む液体材料とを、注入器に収納可能な容器内部で混合して充填材を得る混合工程と、前記容器を注入器の内部に収納して、前記充填材を注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれており、
前記粉体材料1000質量部に対して前記液体材料が140以上220以下質量部含まれている充填材の充填方法である。
【0009】
また、別の本発明は、粉体材料と水を含む液体材料とを、注入器の内部で混合して充填材を得る混合工程と、前記充填材を前記注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれており、
前記粉体材料1000質量部に対して前記液体材料が140以上220以下質量部含まれている充填材の充填方法である。
【0010】
本発明によれば、充填時には充填材に適度な流動性があるため、注入器を用いても注入器の内部に充填材が残存しにくく、容易に充填作業が行なえる。また、孔に充填後には充填材に適度な粘度があるため充填材が孔から流出することを抑制できる。
【0011】
本発明の一態様として、前記混合工程において、前記粉体材料と前記液体材料とを10秒以上35秒以下混合してもよい。
【0012】
前記粉体材料と前記液体材料とを前記時間の範囲で混合することで、充填時には適度な流動性を保ち、孔に充填後には孔から垂れることがない適度な粘度になるように充填材を調整することができる。
【0013】
本発明の他の一態様として、前記構造物の孔が、下方または側方に向いた面に形成されていてもよい。
【0014】
本発明によれば、前記構造物の孔が下方または側方に向いた面に形成されている場合でも、充填材が孔から垂れることがなく孔の内部に確実に充填材を充填できる。
【0015】
尚、本発明において、前記構造物の孔が下方または側方に向いた面に形成されているとは、孔が水平方向又は水平よりも下向き方向に開口していることを意味する。
【0016】
本発明の他の一態様として、前記増粘剤が、セルロース系水溶性高分子であってもよい。
【0017】
前記増粘剤がセルロース系水溶性高分子である場合には、充填時には適度な流動性を充填材に与え、且つ、充填後は孔から垂れにくい適度な粘度を充填材に与えることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、適度な粘度を有する充填材を無駄なく且つ容易に孔に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)(b)実施例に使用したカートリッジ及びシーリングガンの概略を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる充填材の充填方法について説明する。
(実施形態1)
本実施形態の充填材の充填方法は、粉体材料と水とを、注入器に収納可能な容器内で混合して充填材を得る混合工程と、前記容器を前記注入器に収納し、前記容器内部の充填材を前記注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれている充填方法である。
【0021】
前記粉体材料に含まれるセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、ジェットセメント、カルシウムアルミネート系セメント等が挙げられる。
中でも、早強ポルトランドセメントを用いることが、充填時の流動性と充填後の硬化性とのバランスをとる観点から好ましい。
【0022】
前記増粘剤としては、コンクリート、モルタル組成物に用いられる増粘剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる
中でも、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系水溶性高分子を用いることが好ましい。前記セルロース系水溶性高分子は保水性が高いため、構造物の孔に充填した際に水分が過剰に孔の内面に吸収されて充填材が乾燥して、前記内面と隙間が生じることが抑制できる。
【0023】
前記シリカフュームとしては、コンクリート用シリカフュームであれば特に限定されるものではないが、例えば、JIS A 6207に規定される粉末シリカフューム、粒体シリカフューム等を用いることができる。
【0024】
前記粉体材料におけるセメントに対する前記増粘剤の配合比率は、前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部であり、好ましくは0.3以上0.7以下質量部である。
【0025】
前記粉体材料におけるセメントに対する前記シリカフュームの配合比率は、前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部であり、好ましくは、2.0以上8.0以下質量部、さらに好ましくは3.0以上7.0以下質量部である。
【0026】
増粘剤およびシリカフュームのセメントに対する配合比率が前記範囲であることにより、充填時にはある程度の流動性を、充填後には孔から垂れない程度の粘度を充填材に与えることができる。
【0027】
本実施形態において、前記粉体材料には、必要に応じて骨材が配合されていてもよい。
骨材としては、コンクリート、モルタルに一般的に用いられる細骨材または/および粗骨材であれば、特に制限されることなく用いることができる。
例えば、砂や砂利などの天然骨材、砕石などの人工骨材、あるいは再生骨材等が挙げられる。
本実施形態の充填材の粉体材料としては、シリカフュームの分散性の向上と孔等への充填性の観点から細骨材を用いることが好ましい。
前記骨材の配合量は、前記セメント100質量部に対して、50以上300以下質量部、好ましくは75以上200以下質量部程度である。
【0028】
本実施形態において、前記粉体材料には、必要に応じて、膨張剤等の混和材を配合してもよい。
【0029】
本実施形態の充填材の水には、必要に応じて液体の添加剤等の液体材料が配合されてもよい。この場合、前記粉体材料に対する水の配合量は、液体の添加剤を含めた液体材料の配合量として前記範囲となるように調整することが好ましい。
【0030】
前記水を含む液体材料は、前記粉体材料に対して、例えば、粉体材料1000質量部に対して140以上220以下質量部、好ましくは150以上200以下質量部程度配合することが作業性の観点から好ましい。
【0031】
本実施形態においては、前記粉体材料と水とを、注入器に収納可能な容器内で混合して充填材を得る混合工程を実施する。
本実施形態で用いる前記注入器としては、市販のコーキングガン等のセメントペーストを孔などに注入する吐出口が備えられた注入器であって、内部に容器を収納可能な注入器であれば、適宜選択して用いることができる。
前記容器としては、例えば、前記注入器に着脱可能に収納できるカートリッジ式の容器等が挙げられる。
前記容器には、前記注入器内部に収納した際に前記注入器の吐出口から容器内部に充填した充填材を吐出できるような開口が備えられており、該開口は、後述するように材料を内部に収納してから容器を注入器に収納するまでは封印されており、注入器に収納される際に前記封印を取り、前記注入器の吐出口から内部の充填材を吐出するように設けられている。
【0032】
前記容器の内部で前記粉体材料と水とを混合する方法としては、前記粉体材料と、水と、必要に応じてその他の液体材料等とを、前記開口から入れて、攪拌棒等を前記開口から内部に挿入して該攪拌棒を用いて攪拌混合する方法で、充填材を得る事が出来る。
尚、前記容器に材料を入れる開口と、前記充填材を吐出するための開口とは別に設けられた開口であってもよい。
【0033】
本実施形態において、前記粉体材料と水とを混合する時間としては、10秒以上35秒以下、さらに好ましくは10秒以上25秒以下程度であることが好ましい。本実施形態の充填材は、このような比較的短時間の混合で、注入器から吐出可能程度の流動性を持つように調整することができる。
【0034】
尚、本実施形態では、注入器に収納可能な容器を用いて、注入器に収納する前に前記容器内で前記各材料を混合して充填材を得るため、より混合する作業がしやすいというメリットがある。
【0035】
前記のように容器内で前記粉体材料と水とを混合して、充填材を得る混合工程を実施した後に、前記容器を注入器に収納して、前記容器内部の充填材を前記注入器の吐出口から吐出させて構造物の孔に充填する充填工程を実施する。
【0036】
本実施形態において、充填材を充填する構造物としては、建築物、橋梁、舗装道路などのコンクリート構造物等が挙げられる。
これらの構造物において、アンカー筋を設置するための孔や、構造物表面に配置されたレンガやブロックなどの目地のへこみや欠損部等の孔に、充填材を充填して、前記アンカー筋を固定したり、へこみや欠損部を補修する。
【0037】
前記孔の形成された面が、前記構造物における下面や側面等のように下方または側方(斜め下方も含む)に向いている面である場合、孔に充填材を注入すると、通常、孔から充填材が垂れて、孔の内部に必要な量の充填材を充填することができないおそれがある。
あるいは、孔の周囲に充填材が垂れて付着するなどして、周囲が汚れ、かかる汚れを除去する作業が必要となる。
本実施形態の充填方法によれば、充填時には、充填材は適度な流動性を持っているため、注入器から容易に孔に充填することができ、前記下方または側方に向かっている面に形成された孔であっても、充填材は適度な粘度を有しているため孔の内部に付着する付着性が高く、充填材が孔から垂れ落ちることがない。
【0038】
さらに、充填時には、充填材の流動性が高いため注入器からの吐出が良好に行なえ、注入器内部に残留する充填材の量を低減させることができる。
【0039】
(実施形態2)
本実施形態の充填材の充填方法は、粉体材料と水とを、注入器の内部で混合して充填材を得る混合工程と、前記充填材を前記注入器の吐出口から吐出して構造物の孔に充填する充填工程とを実施する充填材の充填方法であって、
前記粉体材料にはセメントと増粘剤とシリカフュームとが含まれ、前記増粘剤が前記セメント100質量部に対して0.1以上1.0以下質量部、前記シリカフュームが前記セメント100質量部に対して1.0以上10.0以下質量部含まれている方法である。
【0040】
尚、本実施形態2において前記実施形態1と同様の点については説明を省略する。
本実施形態においては、前記混合工程において、前記充填材の粉体材料と水と、必要に応じてその他の液体材料とを、前記注入器の内部に収納して、前記注入器の内部で混合して充填材を得る。
前記注入器の内部には、前記各充填材の材料を収納できる収納部が備えられており、混合工程において、前記実施形態1と同様に、攪拌棒等を前記吐出口等から前記収納部内に挿入して、内部の粉体材料と水とを混合することが好ましい。
【0041】
この場合には、充填材を、混合直後に吐出させて充填作業ができるため、混合後、短時間で充填材を吐出させることができ、充填時の流動性がより向上するというメリットがある。
【0042】
本実施形態にかかる充填材の充填方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(充填材)
以下に記載の充填材用の各粉体材料を準備した。
セメント:早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
骨材:細骨材(珪砂 7号砂)
増粘剤:メチルセルロース系増粘剤(商品名 ハイメトローズ90 信越化学工業社製)
シリカフューム:商品名 マイクロシリカ エルケム社製)
【0045】
前記各粉体材料を表1に示す割合で混合し、実施例1乃至4の粉体材料を注入器としてのシーリングガン(商品名:カートリッジガンYCG−2300HC、山本製作所社製)用のカートリッジに充填した。
本実施例で用いたカートリッジの概略を図1に示す。
図1(a)に示すように、前記カートリッジは、カートリッジ本体1と、底蓋2と、注入口4とを備えており、前記注入口4は密閉されている。
前記粉体材料を前記カートリッジに充填する際には、底蓋2から粉体材料をカートリッジ本体1内部に充填した。次に、前記注入口を開封して、該注入口から表1に記載の分量の水を、前記カートリッジに入れて、攪拌棒6を前記カートリッジ本体1内部に挿入してカートリッジ内の充填材3を攪拌した。
攪拌時間は、各充填材が、前記シーリングガンから排出可能な粘度になる最短時間を予め測定して設定した。
各充填材の攪拌時間は表1に示した。
攪拌後、前記カートリッジを図1(b)に示すような前記シーリングガン20にセットした。
【0046】
比較例1乃至8の粉体材料を、前記カートリッジに代えて練り混ぜ容器内に入れ、表1に記載の分量の水をさらに注入して、ハンドミキサー(装置名:100VハンドミキサーUT1305、マキタ社製)を用いて、前記各実施例と同様に、予め測定しておいた前記シーリングガンから排出可能な粘度になる最短時間で攪拌して充填材を得た後に、前記充填材を、前記カートリッジの底蓋2を開けて、底部からカートリッジ本体1内に充填して、さらにシーリングガン20にセットした。
【0047】
比較例3乃至8の粉体材料については、さらに、前記各実施例と同様に、カートリッジ本体1内に充填し、表1に記載の分量の水を、前記カートリッジ本体1内に入れて、攪拌棒6を前記カートリッジの内部に挿入して攪拌して、該カートリッジを前記シーリングガン20にセットすることも行った。攪拌時間は、各充填材が、前記シーリングガンから排出可能な粘度になる最短時間を予め測定して設定した。
【0048】
(付着性試験)
前記各実施例及び比較例の充填材を用いて付着性試験を行なった。
コンクート製の天井面に、幅20mm、長さ300mm、深さ20mmの型枠を設置し、該型枠内に前記充填材を、前記シーリングガンを用いて図1(b)に示すように、前記シーリングガン20の先端11を天井面の型枠内部に挿入して、上向きに充填した。
この時、充填材の垂れが生じなかったものを良、目視にて30%程度未満の量の充填材にダレが生じたものを一部NG、同30%程度以上の量の充填材にダレが生じたものをNGと評価した。
尚、比較例3乃至8については、カートリッジ内で攪拌した充填材について付着性試験を行った。
結果を、表1及び表2に示す。
【0049】
(残存量評価)
充填前後のカートリッジの重量を測定し、充填後にカートリッジ内に残存した充填材の量を算出した。
尚、比較例3乃至8については、カートリッジ内で攪拌した充填材について残存量を測定した。
残存量の測定結果を表1及び表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1の結果より、各実施例は、ダレは発生せず、攪拌時間も比較的短時間であり、且つシーリングガンの内部に残存した充填材は少量であった。
比較例4乃至8においては、ハンドミキサーで攪拌した際に、充填材が硬くなり過ぎて、ハンドミキサーの回転が停止して、攪拌ができなかった。
図1