特許第5862881号(P5862881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862881
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20160202BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20160202BHJP
   H01M 10/00 20060101ALI20160202BHJP
   C08F 299/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   H01M4/62 Z
   H01M4/66 A
   H01M10/00
   C08F299/00
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-69421(P2012-69421)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-199609(P2013-199609A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀川 裕矢
(72)【発明者】
【氏名】杉原 克幸
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−195974(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/038109(WO,A1)
【文献】 特開平09−279017(JP,A)
【文献】 特開2008−095070(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/129531(WO,A1)
【文献】 特開2009−024168(JP,A)
【文献】 特開2011−252053(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/041533(WO,A1)
【文献】 特開2010−155409(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/109615(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/156115(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F299/06
C08F290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に6個以上の重合性二重結合を有し、重量平均分子量が2,500以上であるウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)、光重合開始剤(C)、希釈剤(D)を含有する光硬化性組成物であって、光硬化性組成物総量に対し、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を30〜80重量%、ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を0.5〜8重量%、光重合開始剤(C)を3〜9重量%、希釈剤(D)を3〜60重量%含有する光硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜を用いた二次電池の絶縁膜
【請求項2】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量が4,000以上である、請求項1記載の二次電池の絶縁膜
【請求項3】
ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)が、1分子中に10個以上の重合性二重結合を有するオリゴマーである、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項4】
光重合開始剤(C)が、ヒドロキシケトン系化合物またはアミノアルキルフェノン系化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項5】
光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項6】
前記光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項7】
希釈剤(D)が、沸点100〜300℃の有機溶媒である、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項8】
希釈剤(D)が、ヒドロキシを有している有機溶媒である、請求項1〜のいずれか1項に記載の二次電池の絶縁膜
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁膜を有する二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池などの二次電池の絶縁部分に好適に用いられる光硬化性組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、正極活物質を塗着した集電体、負極活物質を塗着した集電体、およびセパレータを有する二次電池の製造に適した光硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンやダブレット端末およびスマートフォンなど、多くの携帯電子機器が普及しており、小さく薄く軽量で高機能の電池が要求されている。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及も広がり、大容量電池にも軽量化と高機能化が常に要求されている。
【0003】
例えば、このような二次電池では、渦巻状の巻回体電極群を角型や円筒型の電池ケースなどに収めた構造をしたものがあるが、薄型化には限界がある。そこで、巻回体ではなく、折り畳み構造や積層構造を用いた電池も製造されている。
【0004】
特に、積層体電極群をアルミラミネートで封じた構造である電池は軽量化の点で非常に有効である。しかし、ラミネート時の圧力で積層体電極群にずれやしわが発生すると、短絡や機能低下を引き起こす可能性がある。アルミラミネート以外の外装であっても、長期使用により積層体電極群に、ずれや厚みの不均一が生じないようにする必要がある。
【0005】
この問題を解決するために、高分子フィルムを接着剤で集電体の一部に貼り付けて位置ずれを防止する方法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、この方法では、高分子フィルムを切断して一部だけ利用するので、無駄が生じてしまう上、フィルムの貼り付けは生産性が低い。
【0006】
また、セパレータの端部に絶縁性樹脂を塗布、硬化させる方法も提案されている(例えば特許文献2を参照)。しかしながら、この方法では、セパレータ上に正極および負極活物質を縁取るように樹脂を塗布する必要があり、塗布が難しい。
【0007】
また、ダンボール印刷用のフレキソ印刷版の分野では、ポリウレタンプレポリマーとハイパーブランチ型アクリルオリゴマーを含む感光性組成物を硬化して得られるフレキソ印刷版が耐ノッチ亀裂性と低い粘着性を維持できるという技術が提案されている(例えば特許文献3を参照)。しかしながら、この技術を二次電池の製造用の光硬化性組成物に用いる場合、電解液耐性を高めるために感光性組成物の架橋密度を高くすると、密着性を下げることになってしまうことが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2004−509443号公報
【特許文献2】特開2009−266467号公報
【特許文献3】国際公開2008/156115パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
印刷法を用いることにより、金属集電体に感光性組成物を塗布、硬化させることで効率的に絶縁樹脂膜を作製することが出来る。しかしながら、印刷法で塗布することができる従来の感光性組成物では、電解液耐性と金属集電体に対する密着性を両立させることが出来なかった。
【0010】
上記の状況の下、本発明の目的は、二次電池の金属集電体に塗布し、光硬化させることで、電解液に対する耐性および金属集電体に対する密着性を持つ絶縁性樹脂膜を形成することができる光硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有し、重量平均分子量が2,500以上であるウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)、光重合開始剤(C)、希釈剤(D)を含有する光硬化性組成物が、二次電池に用いられる電解液に対する耐性が高く、アルミニウム等の金属集電体に対する密着性が高く、二次電池に用いる絶縁性樹脂組成物として有用であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の項を含む。
【0012】
[1]1分子中に6個以上の重合性二重結合を有し、重量平均分子量が2,500以上であるウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)、光重合開始剤(C)、希釈剤(D)を含有する光硬化性組成物。
【0013】
[2]光硬化性組成物総量に対し、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を30〜80重量%、ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を0.5〜8重量%、光重合開始剤(C)を3〜9重量%、希釈剤(D)を3〜60重量%含有する、[1]に記載の光硬化性組成物。
【0014】
[3]ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量が4,000以上である、[1]または[2]に記載の光硬化性組成物。
【0015】
[4]ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)が、1分子中に10個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマーである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0016】
[5]光重合開始剤(C)が、ヒドロキシケトン系化合物またはアミノアルキルフェノン系化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0017】
[6]光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0018】
[7]前記光重合開始剤(C)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、及び2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0019】
[8]希釈剤(D)が、沸点100〜300℃の有機溶媒である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0020】
[9]希釈剤(D)が、ヒドロキシを有している有機溶媒である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【0021】
[10][1]〜[9]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜。
【0022】
[11][10]に記載の硬化膜を用いた二次電池の絶縁膜。
【0023】
[12][11]に記載の絶縁膜を有する二次電池。
【発明の効果】
【0024】
二次電池を製造する際に、本発明の光硬化性組成物を用いることにより、金属集電体上に電解液耐性が高く、密着性の高い絶縁膜を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1.本発明の光硬化性組成物]
本発明の光硬化性組成物は、重量平均分子量が2,500以上であり、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)、光重合開始剤(C)、希釈剤(D)を含有する光硬化性組成物である。また、本発明の光硬化性組成物は無色であっても有色であってもよい。
【0026】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両者又は一方を示すために用いられる。また、「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基とメタクリロイル基の両方又は一方を示すために用いられる。
【0027】
また、本発明の光硬化性組成物は、重合禁止剤、ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の光重合性化合物、熱硬化性化合物などを含むことができる。
【0028】
以下、上記各成分について説明する。
【0029】
[1.1.ウレタン(メタ)アクリレート(A)]
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有し、重量平均分子量が2,500以上であるウレタン(メタ)アクリレートであれば特に限定されない。
【0030】
1分子中に6つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの構造は下記式で表すことができる。
【0031】

【0032】
式(A−1)中、Rは下記式(A−2)の構造を含む有機基であり、Rは水素もしくはメチルであり、nは6以上の整数である。
【0033】

【0034】
式(A−2)においてYおよびZは2価の有機基である。
【0035】
また、式(A−1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートには、主鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する構造である化合物と、主鎖に分岐するように(メタ)アクリロイル基が結合している構造である化合物が挙げられる。
【0036】
上記式(A−1)の構造で表されるウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、Rの有機基の構造やnの数値によって異なり、それによりこれらのウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物を硬化させた硬化膜の物性も異なる。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が2,500以上であると、アルキレンカーボネートなどの電池用電解液に対する耐性が高く、金属箔に対する密着性が高く、重量平均分子量が4,000以上であるとより好ましい。
【0037】
一方、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量が2,500以上であっても、分子中に(メタ)アクリロイル基6個以上有さないウレタン(メタ)アクリレートを含有する組成物の硬化膜は、アルキレンカーボネートなどの電池用電解液に対する耐性が低く、金属箔上に製膜した硬化膜が電解液浸漬中に剥離する現象が見られる。
【0038】
1分子中に6個以上の重合性二重結合を有し、重量平均分子量が2,500以上であるウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては下記化合物が挙げられる。
【0039】
KAYARAD UX−5001T(重量平均分子量6,000、官能基数8)、同UX−5002D−M20(重量平均分子量2,900、官能基数6)、同UX−5002D−P20(重量平均分子量3,500、官能基数6)、同UX−5003D(重量平均分子量7,400、官能基数6)、同UX−5005(重量平均分子量4,600、官能基数9)(いずれも商品名;日本化薬(株))、SHIKOH UV−6300B(重量平均分子量3,700、官能基数7)、同UV−7610B(重量平均分子量11,000、官能基数9)、同UV−7620EA(重量平均分子量4,100、官能基数9)(いずれも商品名;日本合成化学工業(株))
【0040】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、これら市販の化合物の他にイソシアネート化合物と水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物などから合成したものを用いてもよい。
【0041】
また、本発明の光硬化性組成物におけるウレタン(メタ)アクリレート(A)は1種であっても2種以上を併用してもよい。
【0042】
本発明の光硬化性組成物におけるウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量が30〜80重量%であると、光硬化性に優れ、本発明の光硬化性組成物より形成される硬化膜の金属集電体に対する密着性、電解液耐性のバランスが良いので好ましく、より好ましくは、30〜70重量%であり、さらに好ましくは30〜60重量%である。
【0043】
[1.2.ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)]
【0044】
本明細書において、ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマーとは、多分岐オリゴマーで末端に(メタ)アクリロイル基をもつ化合物である。ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマーの分岐は樹状の規則的な分岐を有するデンドリチック(メタ)アクリレートオリゴマーと異なり、不規則な分岐を有する。
【0045】
本発明のハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)は、1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマーであるとアルキレンカーボネートなどの電池用電解液に対する耐性が高く、金属箔に対する密着性が高く、1分子中の重合性二重結合の数が10以上であるとより好ましい。
【0046】
1分子中に6個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の具体例としては、CN2303(商品名;サートマー(株))が挙げられ、1分子中に10個以上の重合性二重結合を有するハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の具体例としては、CN2304、CN2302(いずれも商品名;サートマー(株))が挙げられる。
【0047】
本発明の光硬化性組成物におけるハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の含有量が0.5〜8重量%であると、本発明の光硬化性組成物より形成される硬化膜の電解液耐性及び金属集電体に対する密着性が高いので好ましく、より好ましくは、0.5〜7重量%であり、さらに好ましくは0.5〜6重量%である。
【0048】
[1.3.光重合開始剤(C)]
本発明の光硬化性組成物は、光重合開始剤(C)を含む。光重合開始剤(C)は、紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することのできる化合物であれば特に限定されないが、ヒドロキシルアルキルフェノン系またはアミノアルキルフェノン系の化合物(光ラジカル重合開始剤)が光硬化性、得られる硬化膜の密着性の観点から好ましい。
【0049】
紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することのできる化合物の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、カンファーキノン、ベンズアントロン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステル、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン−1−(O−アセチルオキシム)を挙げることができる。
【0050】
この中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノンが得られる硬化膜の密着性が高くなりより好ましい。
【0051】
光重合開始剤(C)は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0052】
本発明の光硬化性組成物における光重合開始剤(C)の含有量が3〜9重量%であると、紫外線に対する光硬化性が優れ、かつ、得られる硬化膜の金属箔に対する密着性が高いため好ましく、より好ましくは3〜8重量%であり、さらに好ましくは3〜7重量%である。
【0053】
[1.4.希釈剤(D)]
本発明の光硬化性組成物は、希釈剤(D)を含む。希釈剤(D)は、本発明の組成物の印刷性および硬化性を向上させる。さらに希釈剤(D)は、硬化膜の金属箔への密着性および耐薬品性に影響を与えずに、本発明の組成物の粘度を下げることができる。
【0054】
本発明の光硬化性組成物における希釈剤(D)の含有量が3〜60重量%であると、光硬化性、本発明の光硬化性組成物より形成される硬化膜の金属集電体に対する密着性、電解液耐性のバランスが良いので好ましく、より好ましくは、3〜50重量%であり、さらに好ましくは3〜40重量%である。
【0055】
前記希釈剤(D)は上記の特性を満たすものであれば特に限定されないが、有機溶媒やウレタン(メタ)アクリレート(A)よりも粘度の低いラジカル重合性二重結合を有するモノマーが好ましい。その中でも有機溶媒を本発明の組成物に含有させると、得られる硬化膜の金属箔への密着性およびアルキレンカーボネートなどに対する耐性が優れ、好ましい。
【0056】
前記希釈剤(D)として用いることが出来るラジカル重合性二重結合を有するモノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシノルボルナン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、イミド環を有する(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレートおよびメバロノラクトン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0057】
さらに前記希釈剤(D)として用いる有機溶媒の沸点が100〜300℃であると、光硬化性組成物の金属箔などへの印刷の際に均一な塗布膜を得ることが出来るため、より好ましい。
【0058】
沸点が100〜300℃である有機溶媒の具体例としては、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジオキサン、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルイミダゾリジノンを挙げることができる。
【0059】
有機溶媒がヒドロキシを有しているとウレタン(メタ)アクリレートの溶解性が良く好ましい。ヒドロキシを有する有機溶媒の具体例としては、3−メトキシブタノール、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルを挙げることができる。
【0060】
これらのヒドロキシを有する有機溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる有機溶媒を用いると、金属集電体への印刷ぬれ性が適性になり、安定したパターン形状に印刷できるため好ましい。
【0061】
本発明の光硬化性組成物に用いられる有機溶媒は1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0062】
[1.5.重合禁止剤]
本発明の光硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノンおよびフェノチアジンを挙げることができる。これらの中でもフェノチアジンが長期の保存においても粘度の増加が小さいために好ましい。
【0063】
本発明の光硬化性組成物に用いられる重合禁止剤は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0064】
重合禁止剤の含有量が、光硬化性組成物中に含まれる光硬化性化合物に対して0.01〜1重量%であると、長期の保存においても粘度の増加が小さいために好ましく、光硬化性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.01〜0.5重量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.2重量%である。
【0065】
[1.6.熱硬化性化合物]
本発明の光硬化性組成物は、熱硬化性化合物を含んでもよい。本発明において、熱硬化性化合物とは熱硬化させることが可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されず、ビスマレイミド、フェノール樹脂、またはフェノール性水酸基を含有する樹脂、メラミン樹脂、エポキシ化合物などが挙げられる。
本発明の硬化性組成物に用いられる熱硬化性化合物は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
【0066】
熱硬化性化合物の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート(A)に対して2〜50重量%であると、得られる硬化膜の耐熱性が向上するので好ましく、より好ましくは5〜30重量%であり、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0067】
[1.6.1 ビスマレイミド]
ビスマレイミドとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(1)で表されるビスマレイミドは、例えばジアミンと酸無水物とを反応させて得られる化合物である。
【0068】

【0069】
式(1)中、R10およびR12はそれぞれ独立に水素またはメチルであり、R11は下記一般式(2)で表される二価の基である。
【0070】

【0071】
式(2)中、R13およびR14はそれぞれ独立に、連続しない任意のメチレンが酸素で置き換えられてもよい炭素数1〜18のアルキレン、置換基を有してもよい芳香環を有する二価の基、または置換基を有してもよいシクロアルキレンである。前記芳香環およびシクロアルキレンにおける置換基としては、例えば、カルボキシル、ヒドロキシル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシが挙げられる。得られる硬化膜の耐熱性が高い点で、R13およびR14はそれぞれ独立に下記何れかの式で表される二価の基であることが好ましい。

【0072】
式(2)中、Xは下記何れかの式で表される二価の基である。
【0073】

【0074】
ビスマレイミドは1種でも、2種以上の混合物でもよい。
[1.6.2 フェノール樹脂、またはフェノール性水酸基を含有する樹脂]
【0075】
フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とアルデヒド類との縮合反応により得られるノボラック樹脂が好ましく用いられ、フェノール性水酸基を含有する樹脂としては、ビニルフェノールの単独重合体(水素添加物を含む)、および、ビニルフェノールとこれと共重合可能な化合物とのビニルフェノール系共重合体(水素添加物を含む)などが好ましく用いられる。
【0076】
フェノール性水酸基を有する芳香族化合物の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−キシレノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ホドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テルペン骨格含有ジフェノール、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトールおよびβ−ナフトールが挙げられる。
【0077】
アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フラフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられる。
【0078】
ビニルフェノールと共重合可能な化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸又はその誘導体、スチレン又はその誘導体、無水マレイン酸、酢酸ビニルおよびアクリロニトリルが挙げられる。
【0079】
フェノール樹脂の具体例としては、レヂトップPSM−6200(商品名;群栄化学(株))、ショウノールBRG−555(商品名;昭和電工(株))、フェノール性水酸基を含有する樹脂の具体的な例としては、マルカリンカーM S−2G、マルカリンカーCST70およびマルカリンカーPHM−C(いずれも商品名;丸善石油化学(株))が挙げられる。
【0080】
本発明のインクに用いられるフェノール樹脂、またはフェノール性水酸基を含有する樹脂は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0081】
[1.6.3 メラミン樹脂]
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により製造された樹脂であれば特に限定されず、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミン、エーテル化メチロールベンゾグアナミン、およびそれらの縮合物などが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化膜の耐薬品性が良好である点で、エーテル化メチロールメラミンが好ましい。
【0082】
メラミン樹脂の具体例としては、ニカラックMW−30、MW−30HM、MW−390、MW−100LM、MX−750LM(いずれも商品名;三和ケミカル(株))が挙げられる。メラミン樹脂は1種でも、2種以上の混合物でもよい。
【0083】
[1.6.4 エポキシ化合物]
本発明のインクは、得られる硬化膜等の強度を向上させるために、エポキシ化合物を含有してもよい。
前記エポキシ化合物は、1分子中に少なくとも1つの下記式(3−1)または式(3−2)で表される構造を有する化合物であれば、特に限定されない。
【0084】

【0085】
エポキシ化合物の具体例は、ノボラック型(フェノールノボラック型およびクレゾールノボラック型)、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、トリスフェノールメタン型、水添ビスフェノールA型、水添ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、テトラフェニロールエタン型、ビキシレノール型、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式および複素環式エポキシ樹脂、ならびに、ジシクロペンタジエン骨格やナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂であり、好ましくはノボラック型、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型またはトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂である。
【0086】
エポキシ化合物としては公知の方法で製造したエポキシ樹脂を用いてもよいし、また市販品を用いてもよい。
【0087】
市販品の例としては、jER828、同834、同1001、同1004(いずれも商品名:三菱化学(株)製)、エピクロン840、同850、同1050、同2055、(いずれも商品名:DIC(株))、エポトートYD−011、同YD−013、同YD−127、同YD−128(いずれも商品名:新日鐵化学(株))、D.E.R.317、同331、同661、同664(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))、アラルダイト6071、同6084、同GY250、同GY260(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))、スミ−エポキシESA−011、同ESA−014、同ELA−115、同ELA−128(いずれも商品名:住友化学工業(株))、A.E.R.330、同331、同661、同664(いずれも商品名:旭化成イーマテリアルズ(株))等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;
jER152、154(いずれも商品名:三菱化学(株))、D.E.R.431、同438(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))、エピクロンN−730、同N−770、同N−865(いずれも商品名:DIC(株))、エポトートYDCN−701、同YDCN−704(いずれも商品名:新日鐵化学(株))、アラルダイトECN1235、同ECN1273、同ECN1299(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))、XPY307、EPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306(いずれも商品名:日本化薬(株))、スミ−エポキシESCN−195X、同ESCN−220(いずれも商品名:住友化学工業(株))、A.E.R.ECN−235、同ECN−299(いずれも商品名:旭化成イーマテリアルズ(株))等のノボラック型エポキシ樹脂;
エピクロン830(商品名:DIC(株))、jER807(商品名:三菱化学(株))、エポトートYDF−170(商品名:新日鐵化学(株))、YDF−175、YDF−2001、YDF−2004、アラルダイトXPY306(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;
エポトートST−2004、同ST−2007、同ST−3000(いずれも商品名:新日鐵化学(株))等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;
セロキサイド2021P(商品名:(株)ダイセル)、アラルダイトCY175、同CY179(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等の脂環式エポキシ樹脂;
YL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名:三菱化学(株)製)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;
EBPS−200(商品名:日本化薬(株))、EPX−30(商品名:(株)ADEKA)、EXA−1514(商品名:DIC(株))等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;
jER157S(商品名:三菱化学(株))等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;
YL−931(商品名:三菱化学(株))、アラルダイト163(商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;
アラルダイトPT810(商品名:ハンツマン・ジャパン(株))、TEPIC(商品名:日産化学工業(株))等の複素環式エポキシ樹脂;
HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(いずれも商品名:DIC(株))等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;
HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH(いずれも商品名:DIC(株))等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;
テクモアVG3101L(商品名:三井化学(株))、YL−933(商品名:三菱化学(株))、EPPN−501、EPPN−502(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))等のトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0088】
これらの中でも、jER828、同834、同1001、同1004(いずれも商品名:三菱化学(株))、TECHMORE VG3101L(商品名:三井化学(株))、EPPN−501、EPPN−502(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))を用いると、密着性が高い硬化膜等が得られるため好ましい。
本発明のインクに用いられうるエポキシ樹脂は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0089】
[1.7.本発明の光硬化性組成物の調製方法]
本発明の光硬化性組成物は、原料となる各成分を公知の方法により混合することで調製することができる。
特に、本発明の光硬化性組成物は、前記(A)〜(D)成分および必要に応じてその他の成分を混合し、得られた溶液をろ過して脱気することにより調製されることが好ましい。そのようにして調製された本発明の光硬化性組成物は、印刷性に優れる。前記ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターが用いられる。
【0090】
[1.8.本発明の光硬化性組成物の保存]
本発明の光硬化性組成物は、5〜25℃で保存すると保存中の粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
【0091】
[2.光硬化性組成物の塗布]
本発明の光硬化性組成物は、公知の塗布方法を用いて塗布することができる。例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などであるが、二次電池に用いる金属集電体などに印刷可能な方法であればこれに限らない。各印刷方式においてはそれぞれの最適なインク粘度が存在する。硬化膜の特性を損なわない範囲において、各成分の含有率を調整することにより、光硬化性組成物の粘度を調整できる。以下では具体的な印刷方法としてスクリーン印刷方式を挙げるが、本発明の組成物は他の印刷方式にも適用できることは言うまでもない。
【0092】
スクリーン印刷用組成物の塗布方法は、以下の工程で実施する。まず、印刷したい基材の上に設置した、所定パターンのメッシュ開口部を有するスクリーン版にスクリーン印刷用組成物を乗せ、版の上に延ばし広げる。次いで、スクリーン版の上を滑らせるようにスキージを移動させてスクリーン印刷用組成物を加圧しながら上を移動させることにより、該スクリーン版のメッシュ開口部からスクリーン印刷用組成物を押し出す。スクリーン版を上げ、基材を印刷機から取り外せば、前記基材の表面にスクリーン印刷用組成物を塗布することができる。
【0093】
[3.硬化膜の形成]
本発明の硬化膜は、上述した本発明の光硬化性組成物を公知の印刷法により基板表面に塗布した後に、紫外線や可視光線等の光を照射して硬化させることで得られる。
【0094】
紫外線や可視光線等を照射する場合の照射する光の量(露光量)は、光硬化性組成物の組成に依存するが、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、100〜5,000mJ/cm2が好ましく、300〜4,000mJ/cm2がより好ましく、500〜3,000mJ/cm2がさらに好ましい。また、照射する紫外線や可視光線等の波長は、200〜500nmが好ましく、250〜450nmがより好ましい。
なお、以下に記載する露光量はウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定した値である。
【0095】
なお、露光機としては、無電極ランプ、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等を搭載し、200〜500nmの範囲で、紫外線や可視光線等を照射する装置であれば特に限定されない。
【0096】
本発明の光硬化性組成物が塗布される金属集電体は、光硬化性組成物が塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0097】
また、金属集電体の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等を挙げることができる。
【0098】
金属集電体の厚さは特に限定されないが、50μm以下であればロールで巻き取りながらの印刷が出来るため効率が良く好ましい。
【0099】
金属集電体にロールで巻き取りながら印刷する場合、印刷後に露光工程を経て巻き取り、未反応の光硬化性化合物を完全に硬化させる目的で、巻き取り後のロールを加熱してもよい。
【0100】
上記のようにして本発明の硬化膜を用いて二次電池内部で用いられる集電体に絶縁膜を作製することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、以下では、実施例または比較例で得られた光硬化性組成物を単に組成物と呼ぶことがある。すなわち、例えば光硬化性組成物1を組成物1と呼ぶことがある。
【0102】
[実施例1]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD UX−5005(商品名;日本化薬(株))、ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)としてCN2302(商品名;サートマー(株))、光重合開始剤(C)としてイルガキュア379EG(商品名;BASFジャパン(株)、以後I379と略す)、希釈剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(以後PGMEと略す)を下記組成にて混合、溶解した後、PTFE製のメンブレンフィルター(0.2μm)でろ過し、光硬化性組成物1を調製した。この光硬化性組成物中にウレタン(メタ)アクリレート(A)は49.59重量%含有しており、ハイパーブランチ型(メタ)アクリレートオリゴマー(B)は4.96重量%含有しており、光重合開始剤(C)は5.45重量%含有しており、希釈剤(D)は40.00重量%含有する。
(A) UX−5005 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22、以下同じ)を用い、25℃における光硬化性組成物1の粘度を測定した結果、126mPa・sであった。
【0103】
(硬化膜の形成)
4cm角のガラス基板に5cm角のアルミ箔のマット面側を貼り付け、回転数1300rpmに設定したスピンコーターで組成物1を光沢面全面に塗布した。この組成物1が塗布されたアルミ箔に、UV照射装置((株)ジャテック製のJ−CURE1500)を用いて紫外線を1000mJ/cm2のUV露光量で照射することで、組成物1の硬化膜が形成されたアルミ箔を得た。この硬化膜が形成されたアルミ箔を用いて、以下の測定および評価を行った。
【0104】
(膜厚の測定)
デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を使用して測定した組成物1の硬化膜が形成されたアルミ箔の厚さから、同様に測定した硬化膜を形成していないアルミ箔の厚さを差し引いたところ、10μmであった。膜厚の値には、3箇所の測定の平均値を用いた。
【0105】
(電解液耐性の評価)
2cm×4cmの大きさにハサミで裁断した組成物1の硬化膜が形成されたアルミ箔を、温水を張った恒温槽で60℃に加熱した電解液(重量比でエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=1:1)の入ったガラス容器に7日間浸漬した後に取り出し、硬化膜の剥離や膜に変化がないかを目視および光学顕微鏡で確認した。評価は膜に剥離や染み込みおよび膜自体の変化が全くない場合を◎、剥離は無いが若干の染み込みが見られる場合を○、部分的な剥離および染み込みと膜自体に変化が見られる場合を△、膜が完全に剥離する場合を×とした。
【0106】
これらの結果を表1に示す。
【0107】
[実施例2]
光重合開始剤(C)としてイルガキュア127(商品名;BASFジャパン(株)、以後I127と略す)を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の光硬化性組成物2を調製した。
(A) UX−5005 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I127 0.660g
(D) PGME 4.840g
得られた光硬化性組成物2の粘度は115mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。実施例1との比較を表1に示す。
【0108】
[実施例3]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD UX−5001T(商品名;日本化薬(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の光硬化性組成物3を調製した。
(A) UX−5001T 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
得られた光硬化性組成物3の粘度は142mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0109】
[実施例4]
光重合開始剤(C)としてダロキュアTPO(商品名;BASFジャパン(株)、以後TPOと略す)を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物4を調製した。
(A) UX−5005 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) TPO 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成物4の粘度は111mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0110】
[実施例5]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD UX−5002D−P20(商品名;日本化薬(株)(PGMEを20%含有))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の光硬化性組成物3を調製した。
(A) UX−5002D−P20 7.500g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.340g
得られた光硬化性組成物5の粘度は57.1mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0111】
[比較例1]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD UX−5000(商品名;日本化薬(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物4を調製した。
(A) UX−5000 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成物6の粘度は40.3mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0112】
[比較例2]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてDPHA−40(商品名;日本化薬(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物5を調製した。
(A) DPHA−40 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成物7の粘度は40.0mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0113】
[比較例3]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてKAYARAD UX−0937(商品名;日本化薬(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物6を調製した。
(A) UX−0937 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成物8の粘度は222mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0114】
[比較例4]
ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてU−4HA(商品名;新中村化学工業(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物8を調製した。
(A) U−4HA 6.000g
(B) CN2302 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成9の粘度は38.5mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0115】
[比較例5]
ハイパーブランチ型アクリレートオリゴマーであるCN2302のかわりにデンドリチックアクリレートオリゴマーV1000(商品名;大阪有機化学工業(株))を用いる以外は実施例1と同様にして、下記組成の組成物7を調製した。
(A) UX−5005 6.000g
V1000 0.600g
(C) I379 0.660g
(D) PGME 4.840g
光硬化性組成物10の粘度は125mPa・sであった。この光硬化性組成物を用いて実施例1と同様の方法で硬化膜の膜厚の測定、電解液耐性の評価を行なった。結果を表1に示す。表中の「分岐」とはアクリルオリゴマーの分岐を示し、「HB」はハイパーブランチ型を、「D」はデンドリチックを示す。
【0116】
【表1】
【0117】
[印刷例1]
200メッシュのポリエステルスクリーンを用い、縦1cm、横10cmの角型パターンを付け、B4サイズのアルミフレームを備えたスクリーン印刷版を作製した。この印刷版に硬度70〜75度のスキージを用いて、組成物1を手塗りでアルミ集電体に印刷を行った後、実施例1と同様の方法で光硬化させた。硬化膜の厚さを実施例1と同様の方法で測定したところ15μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明の光硬化性組成物は、二次電池内部の絶縁性硬化膜を製造するのに有用である。