(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動体は、前記第1方向に少なくとも前記所定の第1ストロークで移動可能な第1移動部材と、前記第1移動部材の前記第1方向の移動をガイドし、かつ前記水平面内で前記第2方向に前記第1移動部材と共に前記第2ストロークで移動可能な第2移動部材とを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光装置。
前記第1移動部材は、前記第2移動部材に設けられた磁石と、前記第1移動部材に設けられたコイルとを含むリニアモータにより、前記第1方向に前記第1ストロークで駆動され、
前記荷重軽減装置は、前記磁石と、前記重量キャンセル装置の一部又は前記支持部材の一部との間に作用する力を利用して、前記支持部材に作用する重力方向の荷重負荷を軽減する請求項4に記載の露光装置。
前記移動体は、前記第1方向に少なくとも前記所定の第1ストロークで移動可能な第1移動部材と、前記第1移動部材の前記第1方向の移動をガイドし、かつ前記水平面内で前記第2方向に前記第1移動部材と共に前記第2ストロークで移動可能な第2移動部材とを含む請求項7又は8に記載の露光装置。
前記支持部材は、前記第2移動部材に接続装置により機械的に連結され、前記第2移動部材が移動する際に前記接続装置を介して該第2移動部材に牽引されることにより前記第2方向に移動する請求項4〜6、9〜11のいずれか一項に記載の露光装置。
前記物体保持部材は、前記移動体に対して少なくとも前記第1方向、前記第2方向、及び前記水平面に直交する軸線周り方向に微少移動可能である請求項1〜19のいずれか一項に記載の露光装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、
図1〜
図6(B)に基づいて説明する。
【0015】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置10の構成が概略的に示されている。露光装置10は、液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)に用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(スキャナとも呼ばれる)である。
【0016】
露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、一対の基板ステージ架台33、基板Pを保持する基板ホルダ31を含む基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。なお、基板Pの表面(+Z側の面)には、レジスト(感応剤)が塗布されている。
【0017】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、マスクM上に千鳥状に配置された複数、例えば5つの照明領域のそれぞれを照明する複数、例えば5つの照明系を有し、各照明系は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0018】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(
図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により固定されている。マスクステージMSTは、不図示のガイド部材上に非接触状態で搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、例えばマスクMに固定された(あるいは形成された)反射面にレーザビーム(測長ビーム)を照射するレーザ干渉計を含む不図示のマスク干渉計システムにより計測される。この計測結果は、不図示の主制御装置に供給される。主制御装置は、マスク干渉計システムによる上記計測結果に基づいて、マスクステージ駆動系(不図示)を介してマスクステージMSTを駆動(位置制御)する。なお、マスク干渉計システムに代えて、あるいはマスク干渉計システムとともにエンコーダ(又は複数のエンコーダから構成されるエンコーダシステム)を用いても良い。
【0019】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの
図1における下方に配置されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、前述した複数の照明領域に対応して、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数、例えば5つの投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0020】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面とがほぼ一致して配置されるマスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTの一部を構成する後述する微動ステージ30との同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターン(マスクパターン)が転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0021】
一対の基板ステージ架台33は、それぞれY軸方向に延びる部材から成り(
図3参照)、その長手方向の両端部が床(床面)11上に設置された防振装置34により下方から支持されている。一対の基板ステージ架台33は、X軸方向に所定間隔で平行に配置されている。一対の基板ステージ架台33それぞれの上面には、
図2に示されるように、Y軸方向に延びる機械的なYリニアガイド装置(一軸ガイド装置)の要素である複数(例えば各基板ステージ架台33に対して3本)のYリニアガイド35aがX軸方向に離間して互いに平行に固定されている。
【0022】
一対の基板ステージ架台33は、露光装置10の装置本体(ボディ)を構成し、投影光学系PL、及びマスクステージMSTなどは、装置本体に搭載されている。
【0023】
基板ステージ装置PSTは、
図1に示されるように、一対のベースフレーム14、補助ベースフレーム15、粗動ステージ23、微動ステージ30、重量キャンセル装置50、及び重量キャンセル装置50を下方から支持するYステップ定盤90などを備えている。
【0024】
一対のベースフレーム14のうちの一方は、
図1及び
図2に示されるように、+X側の基板ステージ架台33の+X側に配置され、他方は、−X側の基板ステージ架台33の−X側に配置されている。一対のベースフレーム14は、同じ構造を有しているため、以下、+X側のベースフレーム14について説明する。ベースフレーム14は、
図1に示されるように、YZ平面に平行な一面と他面とを有しY軸方向に延びる板状部材から成る本体部14aと、本体部14aを下方から支持する複数の脚部14bとを含む。脚部14bは、Y軸方向に所定間隔で、例えば3つ設けられている。各脚部14bの下端部には、複数のアジャスタ14cが設けられ、本体部14aのZ位置が調整できるようになっている。
【0025】
本体部14aのX軸方向の両側面(すなわち、上述した一面と他面)には、それぞれリニアモータの要素であるY固定子73が固定されている。Y固定子73は、Y軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニットを有している。また、本体部14aの上面には、Y軸方向に延びる機械的なYリニアガイド装置(一軸ガイド装置)の要素であるYリニアガイド16aが固定されている。
【0026】
補助ベースフレーム15は、一対の基板ステージ架台33の間に配置されている。補助ベースフレーム15は、大きさは異なるが、ベースフレーム14の本体部14aを除く部分と同様に構成されている。すなわち、補助ベースフレーム15は、Y軸方向に延びる板状部材から成る本体部15aと、本体部15aを下方から支持し本体部14aのZ位置が調整可能なアジャスタ15bとを含む。補助ベースフレーム15の本体部15a上面には、ベースフレーム14と同様にY軸方向に延びるYリニアガイド16aが固定されている。補助ベースフレーム15の上端のZ位置は、一対の基板ステージ架台33の上面に比べて幾分低く(又はほぼ同じに)設定されている。
【0027】
粗動ステージ23は、Y粗動ステージ23yと、Y粗動ステージ23y上に搭載されたX粗動ステージ23xとを含む。
【0028】
Y粗動ステージ23yは、一対のベースフレーム14及び補助ベースフレーム15上に搭載されている。Y粗動ステージ23yは、
図2に示されるように、一対のXビーム25を有している。一対のXビーム25のそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている。一対のXビーム25のそれぞれは、
図3に示されるように、YZ断面の形状が、上辺が底辺に比べて幾分長い倒立したほぼ等脚台形状である。この台形は、上下の2辺以外にYZ平面内でZ軸に対して角θ(θは、45度より小さい、例えば10度)傾いた一辺と、YZ平面内でZ軸に対して角−θ傾いた他辺とを有している。
【0029】
一対のXビーム25のそれぞれの長手方向両端部近傍の下面には、
図2に示されるように、Yキャリッジ75と称される部材が固定されている。すなわち、Y粗動ステージ23yの下面には、例えば計4つのYキャリッジ75が取り付けられている。+X側に配置された2つのYキャリッジ75は、それぞれの上面に固定されたプレート76によって互いに連結されている。同様に、−X側に配置された2つのYキャリッジ75もプレート76によって互いに連結されている。例えば計4つのYキャリッジ75のそれぞれは、同じ構造を有しているため、以下、+X側のベースフレーム14に対応する1つのYキャリッジ75について説明する。
【0030】
Yキャリッジ75は、
図1に示されるように、XZ断面逆U字状の部材から成り、一対の対向面間にベースフレーム14の本体部14aが挿入されている。Yキャリッジ75の一対の対向面のそれぞれには、一対のY固定子73のそれぞれに所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向する一対のY可動子72のそれぞれが固定されている。各Y可動子72は、不図示のコイルユニットを含み、対向するY固定子73と共にY粗動ステージ23yをY軸方向に所定のストロークで駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のムービングコイル型のYリニアモータを構成している。なお、Y粗動ステージ23yのY位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステムにより求められる。
【0031】
Yキャリッジ75の天井面には、転動体(例えば、複数のボールなど)を含み、Yリニアガイド16aにスライド可能に係合するスライダ16bがそれぞれのYキャリッジ75に対して複数(例えば2つ(
図2参照))固定されている。Y粗動ステージ23yは、Yリニアガイド16aとスライダ16bとを含む複数のYリニアガイド装置により、Y軸方向に直進案内される。
【0032】
また、一対のXビーム25の長手方向中央部の下面には、支持部材77を介して補助キャリッジ78が複数(例えば2つ)固定されている。補助キャリッジ78は、直方体状の部材から成り、その下面には、Yキャリッジ75と同様に、Yリニアガイド16aにスライド可能に係合するスライダ16bが固定されている。これにより、Y粗動ステージ23yは、基板ステージ架台33に対して振動的に切り離されている。なお、
図1では紙面奥行き方向に重なって隠れているが、1つの補助キャリッジ78につき、スライダ16bは、紙面奥行き方向(Y軸方向)に所定間隔で、例えば2つ取り付けられている。このように、Y粗動ステージ23yは、長手方向の中央部が補助キャリッジ78を介して補助ベースフレーム15に下方から支持されており、自重に起因する撓みが抑制されている。
【0033】
一対のXビーム25それぞれの上面には、
図2及び
図3に示されるように、X軸方向に延びる機械的な一軸ガイド装置の要素であるXリニアガイド17aが、Y軸方向に所定間隔で複数本(本実施形態では、1つのXビーム25につき、例えば2本)、互いに平行に固定されている。また、一対のXビーム25のYZ断面における2つの斜辺(斜面)には、
図1及び
図2に示されるように、Xビーム25の−X側端部近傍から+X側の端部近傍にかけて延設されたX固定子82が固定されている。X固定子82は、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニットを有している。
【0034】
X粗動ステージ23xは、
図2に示されるように一対のXキャリッジ40と一対のXキャリッジ40を連結する一対の連結プレート41とを含む。なお、一対のXキャリッジ40は、同じ構造を有しているため、以下、+Y側のXキャリッジ40について説明する。
【0035】
Xキャリッジ40は、
図2及び
図3に示されるように、X軸方向を長手方向とする平面視長方形の平板部材61と、平板部材61の長手方向の一端部と他端部のY軸方向の両端面に、それぞれの上端面が平板部材61の上面とほぼ面一になる状態で固定された各一対、合計4つの側壁部材62とを有している。Xキャリッジ40は、+X方向から見て、
図3に示されるように、逆U字状の形状を有し、互いに対を成す+Y側と−Y側の側壁部材62相互間にXビーム25が挿入されている。平板部材61のX軸方向両端は、+X側及び−X側の側壁部材62のそれぞれに対してX軸方向の外側に幾分突出している(
図2参照)。互いに対を成す+Y側と−Y側の側壁部材62は、それぞれ、上端(+Z側端)から中央部近傍にかけてのXZ平面に平行な第1部分と、中央部近傍から下端(−Z側端)にかけて−Y側又は+Y側に傾斜し、上述のXビーム25の2つの斜面に対向する第2部分とを有している。Xキャリッジ40の長手方向(X軸方向)中央部近傍には、Xキャリッジ40のX軸方向長さの1/3よりも幾分短い範囲で側壁部材62が存在しない部分(以下、切り欠き部と呼ぶ)42が設けられている(
図2参照)。
【0036】
Xキャリッジ40の平板部材61それぞれの下面(−Z側の面)には、
図3に示されるように、転動体を含み、Xリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bがそれぞれのXリニアガイド17aに対して複数(例えば4つ(
図2参照))固定されている。本実施形態では、X粗動ステージ23xの下面には、例えば合計16個のスライダ17bが固定されている。X粗動ステージ23xは、Xリニアガイド17aとスライダ17bとを含む複数のXリニアガイド装置により、X軸方向に直進案内される。
【0037】
Xキャリッジ40の有する4つの側壁部材62それぞれの第2部分の内面には、一対のX固定子82のそれぞれに所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するX可動子81が固定されている。各X可動子81は、不図示のコイルユニットを含み、対向するX固定子82と共にX粗動ステージ23xをX軸方向に所定のストロークで駆動する電磁力(ローレンツ力)駆動方式のムービングコイル型のXリニアモータを構成している。また、各X可動子81は、不図示の鉄心を含み、対向するX固定子82との間で磁気吸引力が発生している。すなわち、各可動子81はコア付きコイルユニットを構成している。なお、X粗動ステージ23xのX位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステムにより求められる。
【0038】
一対の連結プレート41のぞれぞれは、
図2に示されるように、Y軸方向に延設された平板部材から成る。一方の連結プレート41は、+Y側に配置されたXキャリッジ40のY軸方向中央よりも幾分−Y側から、−Y側に配置されたXキャリッジ40のY軸方向中央よりも幾分+Y側にかけて固定され、一対のXキャリッジ40の+X端部同士を連結している。他方の連結プレート41は、+Y側に配置されたXキャリッジ40のY軸方向中央よりも幾分−Y側から、−Y側に配置されたXキャリッジ40のY軸方向中央よりも幾分+Y側にかけて固定され、一対のXキャリッジ40の−X端部同士を連結している。すなわち、一対のXキャリッジ40と一対の連結プレート41とを有するX粗動ステージ23xは、平面視で中央に開口部を有する略矩形の形状を有している。
【0039】
また、不図示であるが、X粗動ステージ23xには、後述する微動ステージ30のX粗動ステージ23xに対する移動可能量を機械的に制限(規制)するストッパ部材、あるいはX軸、及びY軸方向に関して微動ステージ30のX粗動ステージ23xに対する相対移動量を計測するためのギャップセンサなどが取り付けられている。
【0040】
微動ステージ30は、
図1及び
図3から分かるように、平面視ほぼ正方形の板状部材(又は箱形(中空の直方体)の部材)から成り、その上面に基板ホルダ31を介して基板Pを、例えば真空吸着(又は静電吸着)により吸着保持する。
【0041】
微動ステージ30は、X粗動ステージ23xに固定された固定子と、微動ステージ30に固定された可動子とをそれぞれ含んで構成される複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23x上でXY平面内の3自由度方向(X軸、Y軸、及びθzの各方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータとしては、
図1に示されるように、微動ステージ30をX軸方向に微少駆動するXボイスコイルモータ18xがY軸方向に離間して一対設けられ(紙面内奥側のXボイスコイルモータ18xは不図示)、
図3に示されるように、微動ステージ30をY軸方向に微少駆動するYボイスコイルモータ18yがX軸方向に離間して一対設けられている(紙面内奥側のYボイスコイルモータ18yは不図示)。微動ステージ30は、上記Xボイスコイルモータ18x、及び/又はYボイスコイルモータ18yを用いてX粗動ステージ23xに同期駆動(X粗動ステージ23xと同方向に同速度で駆動)されることにより、X粗動ステージ23xと共にX軸方向、及び/又はY軸方向に所定のストロークで移動する。従って、微動ステージ30は、投影光学系PL(
図1参照)に対し、XY2軸方向に長ストロークで移動(粗動)可能、かつX,Y、θz方向の3自由度方向に微少移動(微動)可能となっている。
【0042】
また、微動ステージ駆動系は、微動ステージ30をθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微少駆動するための不図示の複数のZボイスコイルモータを有している。複数のボイスコイルモータを含み、微動ステージ駆動系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0043】
微動ステージ30の−X側の側面には、
図1に示されるように、ミラーベース21を介して、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡(バーミラー)22xが固定されている。また、微動ステージ30の−Y側の側面には、
図3に示されるように、ミラーベース28を介して、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡22yが固定されている。微動ステージ30のXY平面内の位置情報は、X移動鏡22x、及びY移動鏡22yにそれぞれ側長ビーム(干渉計ビーム)を照射する複数のレーザ干渉計を含むレーザ干渉計システム(以下、基板干渉計システムと呼ぶ)によって、常時検出されている。なお、実際には、基板干渉計システム92は、X移動鏡22xに対応するXレーザ干渉計、及びY移動鏡22yに対応するYレーザ干渉計をそれぞれ複数備えているが、
図1では、代表的にXレーザ干渉計からの測長ビームのみが図示されている。複数のレーザ干渉計は、それぞれ装置本体に固定されている。また、微動ステージ30のθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報は、微動ステージ30の下面に固定されたセンサ26(
図3参照)により、例えば後述する重量キャンセル装置50に固定されたターゲット27を用いて求められる。上記微動ステージ30の位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0044】
重量キャンセル装置50は、
図3に示されるように、Z軸方向に延設された柱状の部材から成り、心柱とも称される。重量キャンセル装置50は、X粗動ステージ23xの開口部内に挿入され、後述するYステップ定盤90上に搭載されている。重量キャンセル装置50は、後述するレベリング装置70を介して微動ステージ30を下方から支持している。
【0045】
重量キャンセル装置50は、筐体51、空気ばね52及びZスライダ53、一対のアーム54などを有する。
【0046】
筐体51は、平面視矩形の部材からなり、中央部に+Z側の面が開口した円形の開口部が形成されている(
図2参照)。筐体51の下面には、軸受面が−Z側を向いた複数のエアベアリング(以下、ベースパッドと呼ぶ)55が取り付けられている。
【0047】
空気ばね52は、筐体51の開口部内に収容されている。空気ばね52には、外部から加圧気体が供給される。
【0048】
Zスライダ53は、Z軸方向に延びる筒状の部材から成り、筐体51の開口部内に挿入され、空気ばね52上に搭載されている。
【0049】
一対のアーム54のそれぞれは、Y軸方向に延びる棒状部材から成る。一対のアーム54のうち+Y側に配置されたアーム54は、一端が筐体51の+Y側側面に固定され、他端がXキャリッジ40の有する切り欠き部42内に挿入されている。同様に−Y側に配置されたアーム54は、一端が筐体51の−Y側側面に固定され、他端がXキャリッジ40の有する切り欠き部42内に挿入されている。一対のアーム54それぞれの他端は、一対のXビーム25のそれぞれが有する斜面のうち、Y軸方向内側に形成された斜面に対して平行に対向する斜面を有している。また、一対のアーム54それぞれの他端の斜面には、一対のXビーム25のそれぞれが有する一対のX固定子82のうち、Y軸方向内側に配置されたX固定子82に対して所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するX可動子56が固定されている。各X可動子56は、不図示のコイルユニットを含み、対向するX固定子82と共に重量キャンセル装置50をX軸方向に所定のストロークで駆動するXリニアモータを構成している。また、各X可動子56は、不図示の鉄心を含み、対向するX固定子82との間で磁気吸引力が発生している。
【0050】
重量キャンセル装置50の上方には、レベリング装置70が搭載される。レベリング装置70は、Zスライダ53の+Z側の端部に取り付けられた、軸受面が+Z側を向いたエアベアリング(以下、シーリングパッドと呼ぶ)57により下方から非接触支持されている。レベリング装置70は、微動ステージ30をチルト自在(XY平面に対してθx及びθy方向に揺動自在)に支持する装置である。重量キャンセル装置50は、空気ばね52が発生する鉛直方向上向きの力により、Zスライダ53、及びレベリング装置70を介して微動ステージ30を含む系の重量(重力方向の力)を打ち消す(キャンセルする)ことにより、上述した複数のZボイスコイルモータの負荷を低減する。
【0051】
重量キャンセル装置50は、
図2に示されるように、複数(例えば4本)のフレクシャ装置とも称される連結装置45(以下、適宜フレクシャ装置45と称する)を介してX粗動ステージ23x(Xキャリッジ40)に機械的に接続されている。フレクシャ装置45は、例えばXY平面に平行に配置された厚さの薄い帯状の鋼板(あるいはワイヤロープ、合成樹脂製ロープ、鎖など)と、その鋼板の両端部に設けられた滑節装置(例えばボールジョイント、又はヒンジ装置)とを含み、上記鋼板が滑節装置を介して重量キャンセル装置50とXキャリッジ40との間に架設されている。複数のフレクシャ装置45のZ位置は、重量キャンセル装置50のZ軸方向に関する重心位置とほぼ一致している。フレクシャ装置45は、一端が筐体51の角部(平面視において筐体51の頂点)に固定され、他端がXキャリッジ40の側壁部材62に固定されている。すなわち、重量キャンセル装置50は、複数のフレクシャ装置45のいずれかを介してX粗動ステージ23xに牽引されることにより、そのX粗動ステージ23xと一体的にX軸方向、又はY軸方向に移動する。この際、重量キャンセル装置50には、そのZ軸方向に関する重心位置を含むXY平面に平行な平面内で牽引力が作用するので、移動方向に直交する軸線周りのモーメント(ピッチングモーメント)が作用しない。なお、レベリング装置70、フレクシャ装置45を含み、本実施形態の重量キャンセル装置50の詳細な構成について、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0052】
Yステップ定盤90は、
図1から
図3を総合するとわかるように、X軸方向に伸びるYZ断面矩形の部材から成り、平面視において一対のXビーム25のそれぞれに所定距離隔てた状態で(非接触状態で)、一対のXビーム25間に配置されている。Yステップ定盤90の長手方向の寸法は、微動ステージ30のX軸方向に関する移動ストロークよりも幾分長めに設定されている。また、Yステップ定盤90の幅方向(Y軸方向)の寸法は、重量キャンセル装置50が有するベースパッド55を支持可能な幅に設定されている。Yステップ定盤90の材質は、鋳鉄や緻密な石(斑レイ岩)、セラミックス、CFRP材などであり、上面の平坦度が非常に高く仕上げられている。
【0053】
Yステップ定盤90の下面には、転動体(例えば、複数のボールなど)を含み、一対の基板ステージ架台33それぞれの上面に固定された複数のYリニアガイド35aにスライド可能に係合するスライダ35bが、それぞれのYリニアガイド35aに対して複数(例えば2つ(
図2参照))固定されている。Yステップ定盤90は、Yリニアガイド35aとYスライダ35bとを含む複数のYリニアガイド装置35により、一対の基板ステージ架台33上でY軸方向に所定のストロークで直進案内される。
【0054】
Yステップ定盤90は、
図2に示されるように、+X側、及び−X側の端面に固定された固定部材46それぞれに接続された一対のフレクシャ装置43を介して各一対のYキャリッジ75に機械的に連結されている。フレクシャ装置43は、上述したフレクシャ装置45とほぼ同じ構成となっている。これにより、Yステップ定盤90は、Y軸方向の一側又は他側に位置するYキャリッジ75がY軸方向に駆動されると、そのYキャリッジ75に牽引されて一体的にY軸方向に移動する。フレクシャ装置43は、長手方向(ここではY軸方向)の剛性に比べて他の5自由度方向(ここではX,Z,θx、θy、θz方向)の剛性が低く、上記5自由度方向に関してYステップ定盤90とY粗動ステージ23yとが振動的に分離される。
【0055】
以上のようにして構成された露光装置10では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板搬入装置によって、基板ステージ装置PST上への基板Pの搬入(ロード)が行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。
【0056】
ここで、上記ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作では、基板Pに設定された複数のショット領域に対して順次露光処理が行われる。基板Pは、スキャン動作時にはX軸方向に所定のストロークで等速駆動され(以下、Xスキャン動作と呼ぶ)、ステップ動作時(ショット領域間移動時)にはX軸方向、及び/又はY軸方向に適宜駆動される(以下、それぞれXステップ動作、Yステップ動作と呼ぶ)。
【0057】
上記Xスキャン動作時、及びXステップ動作時に基板PをX軸方向に移動させる際、基板ステージ装置PSTでは、エンコーダシステムの計測値に基づいて、Y粗動ステージ23y上でX粗動ステージ23xがX軸方向に駆動されるとともに、基板干渉計システムの計測値に基づいて複数のXボイスコイルモータ18xにより微動ステージ30がX粗動ステージ23xに同期駆動される。また、X粗動ステージ23xがX軸方向に移動すると、このX粗動ステージ23xに牽引されることにより、重量キャンセル装置50がX粗動ステージ23xと共にX軸方向に移動する。このとき、重量キャンセル装置50は、主制御装置により、X可動子56とX固定子82とから成るリニアモータを介してX粗動ステージ23xに同期してX軸方向に駆動される。この際、重量キャンセル装置50は、Yステップ定盤90上を移動する。なお、上記Xスキャン動作、及びXステップ動作時、X粗動ステージ23xに対して微動ステージ30がY軸方向、及び/又はθz方向に微少駆動される場合があるが、重量キャンセル装置50のY位置は変化しないので、重量キャンセル装置50は、常にYステップ定盤90上のみを移動する。
【0058】
これに対し、上記Yステップ動作時、基板ステージ装置PSTでは、Y粗動ステージ23yが一対のベースフレーム14上でY軸方向に所定のストロークで駆動され、このY粗動ステージ23yと一体的にX粗動ステージ23xがY軸方向に所定のストロークで移動する。また重量キャンセル装置50は、X粗動ステージ23xと一体的にY軸方向に所定のストロークで移動する。この際、重量キャンセル装置50を下方から支持するYステップ定盤90が、Y粗動ステージ23yに同期駆動される。従って、重量キャンセル装置50は、常にYステップ定盤90に下方から支持される。
【0059】
次に基板ステージ装置PSTの組立手順について説明する。本第1の実施形態において、基板ステージ装置PSTは、先ずクリーンルームの床11上に、
図2に示される配置で、一対の基板ステージ架台33、一対のベースフレーム14、及び補助ベースフレーム15がそれぞれ設置される。この後、一対のベースフレーム14にYキャリッジ75が、補助ベースフレーム15に補助キャリッジ78が、それぞれYリニアガイド装置16を介して搭載されるとともに、一対の基板ステージ架台33上にYステップ定盤90が複数のYリニアガイド装置35を介して搭載される。なお、一対のベースフレーム14にYキャリッジ75が、補助ベースフレーム15に補助キャリッジ78が、あらかじめ別の場所で組み立てられていても良い。
【0060】
次いで、Yステップ定盤90上に、重量キャンセル装置50が搭載され、また、Yキャリッジ75及び補助キャリッジ78上には一対のXビーム25が搭載される。その後、Xキャリッジ40は、X固定子82が重量キャンセル装置50の有するアーム54に固定されたX可動子56に対向するよう搭載される。なお、一対のXビームにはあらかじめ別の場所でXキャリッジ40がそれぞれ取り付けられていても良い。その後、X固定子82が重量キャンセル装置50の有するアーム54に固定されたX可動子56に所定のギャップで対向するように一対のXビーム25の位置(Y軸方向間隔)が調整され、一対の連結板76及び77によって位置が固定されるようにしても良い。
【0061】
この後、微動ステージ30(レベリング装置70を含む)が重量キャンセル装置50上に載置され、複数のボイスコイルモータの固定子と可動子とが組み合わされる。次いで、重量キャンセル装置50の空気ばね52、ベースパッド55、及びシーリングパッド57、並びにレベリング装置70の有する不図示のエアベアリングに加圧気体が供給され、微動ステージ30が重量キャンセル装置50に非接触支持される。
【0062】
次に、基板ステージ装置PSTに加わる力の流れを説明する。なお、以下で説明する基板ステージ装置PSTに加わる力は、微動ステージ30の静止中、動作中の如何を問わず生じている。
【0063】
基板ステージ装置PSTが組み立てられると、基板P、基板ホルダ31及び微動ステージ30(レベリング装置70を含む)等(以下、微動ステージ30等と称する)の自重によるZ軸方向下向きの力は
図4に示されるように以下の流れで床11上に伝わる。なお、
図4における基板ステージ装置PSTは、模式的に示されたものであり
図1〜3中に示された形状と多少異なるが、
図1〜
図3中で示された構成部分に対応する構成部分は同一の符号を用いている。
【0064】
図4に示されるように、微動ステージ30等の自重は、重量キャンセル装置50を介してYステップ定盤90に支持される。ここで、
図5に示されるように、重量キャンセル装置50の有する一対のアーム54のうち、+Y側に取り付けられたアーム54には、アーム54の他端に固定された鉄心を含むX可動子56とXビーム25の斜面に取り付けられたX固定子82との間にYZ平面においてY軸に対してθ傾いた方向に磁気吸引力Fが作用する。同様に、−Y側に取り付けられたアーム54には、YZ平面においてY軸に対して−θ傾いた方向に磁気吸引力Fが作用する。それぞれの磁気吸引力Fは、鉛直方向(Z軸方向)の分力F
1と、水平方向(Y軸方向)の分力F
2とに分解される。ここで、水平方向の分力F
2は互いに打ち消しあう方向に働くため、重量キャンセル装置50には鉛直方向の分力F
1を足し合わせた力(すなわち2F
1)のみが働く。そのため、
図4に示されるように、微動ステージ30等の自重は、一部が鉛直方向の分力F
1(2F
1)によって打ち消され、残りの力がYステップ定盤90に伝達される。Yステップ定盤90に伝達された力は、基板ステージ架台33及び防振装置34を介して床11に伝わる。一方、Xビーム25には、鉛直方向の分力F
1の反力が加わり、自身の自重と鉛直方向の分力F
1の反力とがベースフレーム14及び補助ベースフレーム15(
図1参照)を介して床11に伝わる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置10によると、
図6(A)、
図6(B)に示されるように、重量キャンセル装置50とXビーム25との間に磁気吸引力が発生しない基板ステージ装置PSTa(
図6(A))に比べ、本実施形態の基板ステージ装置PST(
図6(B))は、磁気吸引力の作用により見かけ上、微動ステージ30及び重量キャンセル装置50を例えば中空部材等のように軽量とみなすことができるので、基板ステージ装置PSTがクロススキャン方向に駆動される際の重心移動距離Lを短くすることができる。すなわち、基板ステージ装置PSTは、クロススキャン方向に駆動される際に防振装置34が受ける荷重変化を小さくすることができるので、露光装置10の歪みを小さくすることができ、露光精度を向上させることができる。
【0066】
また、微動ステージ30等及び重量キャンセル装置50の自重による鉛直方向下向きの力の一部をXビーム25に伝達するので、Yステップ定盤90は、自身に働く鉛直方向下向きの力を小さくすることができる。そのため、重量キャンセル装置50を支持するベースパッド55は、負荷容量の小さい小型のベースパッドにすることができる。すなわち、Yステップ定盤90は、ベースパッド55を支持するガイド面(Y軸方向寸法)を小さくすることができる。
【0067】
また、Yステップ定盤90は、自身にかかる負荷が低減されるので、Yステップ定盤90の剛性を下げることができる。よって、Yステップ定盤90の厚みを薄くするなど小型化することができる。
【0068】
また、基板ステージ装置PSTは、Yステップ定盤90が小型化されるので、Yステップ定盤90をY軸方向にステップ移動させる駆動力を小さくすることができる。
【0069】
次に、露光装置のその他の実施形態について説明するが、以下の第2の実施形態以降の各実施形態では、基板ステージ装置以外の部分は、前述の第1の実施形態に係る露光装置10と同じなので、以下では、基板ステージ装置についてのみ説明する。
【0070】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について、
図7に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0071】
本第2の実施形態に係る基板ステージ装置PST1は、全体的な構成は、前述の基板ステージ装置PSTと同様になっているが、Xビーム25に代えてXビーム125が設けられている点及びXキャリッジ140の形状がXキャリッジ40の形状と一部異なるなど、一部の構成が基板ステージ装置PSTと相違している。以下、両者の相違点を中心として説明する。
【0072】
図7に示されるように、基板ステージ装置PST1が備える一対のXビーム125のそれぞれは、YZ断面において矩形(菱形及び正方形を含む)の4つの頂点のそれぞれが切り落とされた(面取りされた)形状、すなわち八角形状を有している。一方(+Y側)のXビーム125は、θx方向に関してY軸に対して角φ(例えば45度)傾いた状態で取り付け部材124を介して一方のYキャリッジ75の上面に固定されている。他方(−Y側)のXビーム125は、一方のXビーム125と左右対称に、すなわちθx方向に関してY軸に対して角−φ傾いた状態で取り付け部材124を介して他方のYキャリッジ75の上面に固定されている。一対のXビーム125のそれぞれは、4つの斜面(XY平面に対して傾斜した面)を有している。
【0073】
一方のXビーム125の4つの斜面のうち、取り付け部材124に固定されていない、互いに対向する一対の斜面、すなわち+Y側かつ+Z側の第1斜面と−Y側かつ−Z側の第2斜面には、一対のX固定子82のそれぞれが長手方向(X軸方向)のほぼ全長に渡って延設されている。また、一方のXビーム125の取り付け部材124に固定された第3斜面とは反対側の第4斜面(すなわち−Y側かつ+Z側の斜面)には、X軸方向に伸びるXリニアガイド17aが、その斜面に平行な方向に所定間隔で複数本(例えば2本)、互いに平行に固定されている。
【0074】
他方のXビーム125には、上記一方のXビームと左右対称の配置で、一対のX固定子82、複数本のXリニアガイド17aが設けられている。
【0075】
一対のXキャリッジ140のそれぞれは、天井部と天井部の長手方向両端部にそれぞれ設けられた2対の側壁部とを有するYZ断面が逆U字状の部材から成る。一方(+Y側)のXキャリッジ140は、側面視(+X方向から見て)θx方向にY軸に対してφ傾けられた状態でXビーム125の第1、第2及び第4斜面に対向して配置されている。また、この一方のXキャリッジ140は、その側壁部(Xビーム125の第1及び第2斜面にそれぞれ対向する部分)のX軸方向中央部近傍に、前述のXキャリッジ40と同様に切り欠き部42が形成され(
図2参照)、その一方の切り欠き部42内にアーム54が挿入される。
【0076】
一方のXキャリッジ140の一対の側壁部の内面には、前述のXビーム125の第1、第2斜面のそれぞれに固定された一対のX固定子82に所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向する一対のX可動子81のそれぞれが固定されている。また、Xキャリッジ140の天井部の内面には、転動体を含み、Xリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bがそれぞれのXリニアガイド17aに対して複数(例えば4つ)固定されている。
【0077】
他方(−Y側)のXキャリッジ140は、一方のXキャリッジ140と左右対称ではあるが、同様に構成され、一対のX可動子81、及び複数のスライダ17bが、同様に設けられている。
【0078】
互いに対向するX固定子82とX可動子81とは、電磁力(ローレンツ力)駆動方式のムービングコイル型のXリニアモータを、それぞれ構成している。これらのXリニアモータによって、X粗動ステージ123xは、X軸方向に駆動されるが、その際に、Xリニアガイド17aとスライダ17bとを含む複数のXリニアガイド装置により、X軸方向に直進案内される。
【0079】
本実施形態では、X粗動ステージ23xの駆動中、停止中を問わず、一方(+Y側)のXビーム125とこれに係合するXキャリッジ140との間では、Xビーム125の第1斜面に固定されたX固定子82とこれに対向するX可動子81との間で磁気吸引力Fbが発生し、Xビーム125の第2斜面に固定されたX固定子82とこれに対向するX可動子81との間でも磁気吸引力Fbが発生している。2つの磁気吸引力Fbは、大きさが等しく方向が正対している。当然、2つの磁気吸引力Fbは、それぞれの鉛直分力F
3及び水平分力F
4も等しい。従って、一方(+Y側)のXビーム125とXキャリッジ140との間では、全体としてXビーム125に対してXキャリッジ140がZ軸及びY軸方向に駆動される力は働かない。同様に、他方(−Y側)のXビーム125とXキャリッジ140との間でも、全体としてXビーム125に対してXキャリッジ140がZ軸及びY軸方向に駆動される力は働かない。すなわち、重量キャンセル装置50の一対のアーム54先端に取り付けられた斜め上向きのX可動子56(コア付きコイルユニット(
図5参照))とX固定子82(磁石ユニット)との間の所定の隙間(クリアランス/ギャップ)が保たれる。
【0080】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る基板ステージ装置PST1によると、第1の実施形態に係る基板ステージ装置PSTと同等の効果を得ることができる。これに加え、基板ステージ装置PST1によると、一対のXビーム125と一対のXキャリッジ140との間に働く磁気吸引力Fbは相殺されるので、一対のXキャリッジ140(Xスライダ17b)に対して鉛直上向き力が加わることを防止することができる。従って、一対のXビーム125の傾き角φ(−φ)とXビーム125に対向するアーム54の傾き角φとを任意に所定角度に設定することで、一対のXキャリッジ140の浮き上がりを防止した状態で、ベースパッド55及びYステップ定盤90にかかる鉛直方向下向きの力を任意に設定することが可能になる。これにより、ベースパッド55の更なる小型化、及びYステップ定盤90の更なる小型化が可能になる。
【0081】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について、
図8及び
図9に基づいて説明する。ここで、前述した第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0082】
本第3の実施形態に係る基板ステージ装置PST2は、全体的な構成は、前述の第2の実施形態に係る基板ステージ装置PST1と同様になっているが、Xキャリッジ140及び重量キャンセル装置50に代えて、Xキャリッジ240及び重量キャンセル装置250が設けられている点など、一部の構成が基板ステージ装置PST1と相違している。以下、相違点を中心として説明する。
【0083】
一対のXキャリッジ240のそれぞれは、
図8に示されるように、X軸方向に延設された平板状の天井部63と、天井部63の長手方向中間部に設けられた一対の側壁部64とを有する、側面視(+X方向から見て)逆U字状の形状を有している(
図9参照)。なお、
図8において、一対のXキャリッジ240は、簡略化して図示されている。また、
図9に示されるように、一方(+Y側)のXキャリッジ240は、側面視(+X方向から見て)θx方向にY軸に対してφ傾けられた状態でXビーム125の第1、第2及び第4斜面に対向して配置されている。一方のXキャリッジ240は、
図2と
図8とを比較するとわかるように、前述のXキャリッジ40、140に比べてX軸方向寸法が小さく、X軸方向中央部近傍に切り欠きは形成されていない。
【0084】
図9に示されるように、一方のXキャリッジ240の一対の側壁部64の内面には、前述のXビーム125の第1、第2斜面のそれぞれに固定された一対のX固定子82に所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向する一対のX可動子81のそれぞれが固定されている。また、Xキャリッジ240の天井部63の内面には、転動体を含み、Xリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bがそれぞれのXリニアガイド17aに対して複数(例えば4つ)固定されている。
【0085】
他方(−Y側)のXキャリッジ240は、一方のXキャリッジ140と左右対称ではあるが、同様に構成され、一対のX可動子81、及び複数のスライダ17bが、同様に設けられている。
【0086】
互いに対向するX固定子82とX可動子81とは、電磁力(ローレンツ力)駆動方式のムービングコイル型のXリニアモータを、それぞれ構成している。これらのXリニアモータによって、X粗動ステージ223xは、X軸方向に駆動されるが、その際に、Xリニアガイド17aとスライダ17bとを含む複数のXリニアガイド装置により、X軸方向に直進案内される。
【0087】
図8に戻り、重量キャンセル装置250は、筐体51のY軸方向両側面に一対のXアーム254が固定されている。一対のXアーム254のそれぞれは、X軸方向に延設された棒状部材からなり、そのX軸方向長さは、Xキャリッジ240の有する断面逆U字状部のX軸方向長さよりも幾分長い。一対のXアーム254のそれぞれは、Y軸方向外側面のX軸方向中央位置において、フレクシャ装置45を介してXキャリッジ240の側壁部64に接続されている。フレクシャ装置45の高さは、重量キャンセル装置250の重心位置のZ軸方向の位置とほぼ一致している。一対のXアーム254のそれぞれは、長手方向両端部が、一対のYアーム255に連結されている。一対のYアーム255のそれぞれは、Y軸方向に延設された棒状部材からなり、Y軸方向長さは一対のXキャリッジ240相互間の間隔とほぼ同じ長さとなっている。また、一対のYアーム255のそれぞれは、X軸方向外側面のY軸方向中央位置において、フレクシャ装置45を介して連結プレート41に接続されている。一対のYアーム255の長手方向両端面には、一対のXビーム125のそれぞれが有する一対のX固定子82のうち、Y軸方向内側に配置されたX固定子82に対して所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するX可動子56が固定されている。各X可動子56は、不図示のコア付きコイルユニットを含み、対向するX固定子82(磁石ユニット)と共に重量キャンセル装置250をX軸方向に駆動するムービングコイル型のリニアモータを構成している。
【0088】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る基板ステージ装置PST2によると、第2の実施形態に係る基板ステージ装置PST1と同等の効果を得ることができる。これに加え、基板ステージ装置PST2によると、一対のYアーム255両端に磁気吸引力が働くので、重量キャンセル装置250に働く鉛直方向上向きの力をより大きくすることができる。また、重量キャンセル装置250は、磁気吸引力が働くYアーム255の長手方向中央近傍の2箇所をXアーム254によって支持(固定)されているので、Yアーム255の両端に磁気吸引力が働いた際のYアーム255の撓みを防止することができ、常に一定の磁気吸引力を重量キャンセル装置250に発生させることが可能になる。
【0089】
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態について、
図10〜
図12に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0090】
本第4の実施形態に係る基板ステージ装置PST3は、全体的な構成は、前述の基板ステージ装置PSTと同様になっているが、Xビーム325、Xキャリッジ340及び重量キャンセル装置350の形状が、前述のXビーム25、Xキャリッジ40及び重量キャンセル装置50と一部異なる点などが、基板ステージ装置PSTと相違している。以下、相違点を中心として説明する。
【0091】
図10及び
図11に示されるように、一対のXビーム325は、X軸方向に延設された棒状部材からなる。一対のXビーム325のそれぞれは、YZ断面の形状がXビーム25と異なる。すなわち、一対のXビーム325のそれぞれは、YZ断面の外形が矩形でY軸方向中央に設けられたX軸方向に延びるXZ平面に平行なリブ部によって2部分に仕切られた中空部を有する中空部材となっている。一対のXビーム325のそれぞれは、Y軸方向両側面にX軸方向に延びるX固定子82が固定され、上面にX軸方向に延びるXリニアガイド17aが複数本(例えば2本)Y軸方向に所定間隔で固定されている。
【0092】
一対のXキャリッジ340のそれぞれは、
図11に示されるように、X軸方向に延設された平板部材65と、平板部材65の長手方向中間部のY軸方向の両側面に、それぞれの上端面が平板部材65の上面とほぼ面一になる状態で固定された一対のZ軸に平行な側壁部材66とを有している。すなわち、一対のXキャリッジ340それぞれは、X軸方向中央部がYZ断面において断面逆U字形状を有し、一対のXビーム325それぞれに跨って配置されている(
図10参照)。
【0093】
一方(+Y側)のXキャリッジ340は、
図10に示されるように、平板部材65の下面(天井面)にXリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bがそれぞれのXリニアガイド17aに対して複数(例えば4つ)固定され、また一対の側壁部材66それぞれの内面には、一対のX固定子82のそれぞれに所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するX可動子81のそれぞれが固定されている。他方(−Y側)のXキャリッジ340は、一方のXキャリッジ340と同様に構成されている。
【0094】
一対のXキャリッジ340は、
図11に示されるように、それぞれが有する一対の側壁部材66のうちY軸方向内側に配置された側壁部材66相互間を連結する連結プレート341を介して連結されている。連結プレート341は、平面視において中央に円形の開口部342を有する平板部材からなり、X軸方向に所定長さ(例えば、側壁部材66とほぼ同じ長さ)を有している。連結プレート341の下面には、開口部342周囲の複数箇所(例えば90度間隔の4箇所)に永久磁石343が固定されている(
図10参照)。永久磁石343は、材料として特に限定されないが、例えばフェライト磁石、ネオジム磁石及びアルニコ磁石などを用いて形成される。
【0095】
図10に戻り、重量キャンセル装置350は、下方から開口部342内に挿入されベースパッド55を介してYステップ定盤90上に支持されている。重量キャンセル装置350は、筐体351の形状及びフレクシャ装置45の接続位置などが前述の重量キャンセル装置50と異なる。
【0096】
筐体351は、上面が開口した有底の円筒状部材から成る。筐体351は、底面の周囲に円環状のつば部352を有している。つば部352は、外周縁部の上面に連結プレート341に固定された永久磁石343に対向するように磁性体353が所定間隔(所定角度間隔)で配置されている。重量キャンセル装置350は、ベースパッド55を介してYステップ定盤90上に非接触状態で搭載された際に、永久磁石343と磁性体353とが所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するように配置されている。磁性体353は、一定の厚みを有するブロック状の部材からなり、材料として特に限定されないが例えば酸化鉄、酸化クロム、コバルト又はフェライトなどを用いて形成される。
【0097】
フレクシャ装置45は、一端が筐体351の外周面に所定間隔(所定角度間隔)で複数(例えば4つ)固定され、他端が連結プレート341に形成された開口部の内周面に固定されている(
図11参照)。
【0098】
連結プレート341の下面の複数箇所に固定される永久磁石343としては、それぞれ単一の永久磁石を用いても良いが、これに限らず、複数の磁石を組み合わせて用いても良い。
【0099】
一例として、
図12(A)に示されるように、連結プレート341の下面に埋め込まれたヨーク344の下面に、極性の異なる一対の永久磁石343a、343bを所定間隔を隔てて固定し、これによって1つの永久磁石343を構成しても良い。
図12(A)の例では、−Y側に配置された永久磁石343aは、+Z側面がS極、−Z側面がN極であり、一方+Y側に配置された永久磁石343bは、+Z側面がN極、−Z側面がS極である。一対の永久磁石343a,343bと磁性体353との間には、磁気吸引力Fcが発生している。なお、
図12(B)に示されるように、磁性体353に代えて永久磁石345を永久磁石343に対向するように配置しても良い。この際、永久磁石345は、永久磁石343aに対向する一側がS極、永久磁石343bに対向する他側がN極となるよう配置される。
【0100】
以上説明したように、本第4の実施形態に係る基板ステージ装置PST3によると、第1の実施形態に係る基板ステージ装置PSTと同等の効果を得ることができる。これに加え、基板ステージ装置PST3によると、Xキャリッジ340を浮上させる力が働かないので、Xキャリッジ340の浮き上がりを防止することができる。これにより、基板ステージ装置PST3では、永久磁石343と磁性体353との間に働く磁気吸引力Fcを任意の大きさになるよう調整することが可能になり、結果的にYステップ定盤90及び防振装置34に掛かる荷重を自在に軽減することができる。
【0101】
《第4の実施形態の第1の変形例》
次に、第4の実施形態の第1の変形例について、
図13に基づいて説明する。ここで、前述した第4の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0102】
この変形例に係る基板ステージ装置PST3aでは、基板ステージ装置PST3における重量キャンセル装置350の有するつば部352と連結プレート341との位置を入れ換えた点、それに伴いフレクシャ装置45によりつば部352とXキャリッジ340とを連結した点、及びYステップ定盤90に作用する微動ステージ30等の重量の一部を永久磁石343と永久磁石346との間の磁気反発力Fdによって減じる点が、前述の基板ステージ装置PST3と異なる。
【0103】
図13に示されるように、この変形例に係る重量キャンセル装置350aは、筐体351のZ軸方向中間の位置、具体的には、重量キャンセル装置350aの重心位置にほぼ一致する高さの位置につば部352が設けられている。つば部352の下面の外周縁部には永久磁石343が固定されている。また、つば部352の外周面には、複数(例えば4つ)のフレクシャ装置45の一端が所定間隔(所定角度間隔)で接続されている。フレクシャ装置45の他端は、Xキャリッジ340の側壁部材66のうちY軸方向内側に配置された側壁部材66に接続されている。
【0104】
一対のXキャリッジ340を連結する連結プレート341は、一対のXキャリッジ340それぞれの側壁部材66のうちY軸方向内側に配置された側壁部材66の下端部に固定されている。また、連結プレート341の上面の開口部の周囲には、各永久磁石343に対向する位置に、永久磁石343に対して反発磁気力が働く永久磁石346がそれぞれ固定されている。
【0105】
以上説明したように、本第1の変形例に係る基板ステージ装置PST3aによると、第4の実施形態に係る基板ステージ装置PST3と同等の効果を得られる他、永久磁石343が固定されたつば部352を重量キャンセル装置350aのZ軸方向中間位置近傍に固定し、永久磁石346が固定された連結プレート341をXキャリッジ340の下端部に固定したため、Xビーム325のZ位置が重量キャンセル装置350aのZ位置よりも幾分下方に配置される。これにより、基板ステージ装置PST3aは、スキャン方向及びクロススキャン方向への可動時の安定性が向上する。
【0106】
《第4の実施形態の第2の変形例》
次に、第4の実施形態の第2の変形例について、
図14に基づいて説明する。ここで、前述した第4の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0107】
この変形例に係る基板ステージ装置PST3bは、Xビーム325bの形状及びXキャリッジ340bの形状が、前述の基板ステージ装置PST3のXビーム325の形状及びXキャリッジ340の形状と異なる。
【0108】
一対のXビーム325bのそれぞれは、X軸方向に延びる棒状部材からなりYZ断面の形状が、上辺が底辺に比べて幾分長い倒立したほぼ等脚台形状である。すなわち一対のXビームそれぞれは、XY平面に平行な上面及び下面と、XZ平面に対してθx方向に所定角θ、−θ傾いた一対の斜面(Y軸方向両側面)とを有している。Xリニアガイド17a及びX固定子82は、Xビーム325と同様にそれぞれXビーム325bの上面及び一対の斜面(Y軸方向両側面)に固定されている。
【0109】
一対のXキャリッジ340bは、それぞれが有する一対の側壁部材68の形状がXキャリッジ340が有する一対の側壁部材66と異なる。すなわち、互いに対を成す+Y側と−Y側の側壁部材68は、それぞれ、上端(+Z側端)から中央部付近にかけてのXZ平面に平行な第1部分と、中央部付近から下端(−Z側端)にかけて−Y側又は+Y側に傾斜し、上述のXビーム325bの2つの斜面に対向する第2部分とを有している。一対のXキャリッジ340bの天井面(平板部材65の下面)には、Xリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bが固定され、また側壁部材68内壁面の第2部分にはX固定子82に所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向し、磁気吸引力Feが発生するX可動子81が固定されている。一方のXビーム325bとXキャリッジ340bとの間に働く磁気吸引力Feは、水平方向の分力が打ち消され、同様に他方のXビーム325bとXキャリッジ340bとの間に働く磁気吸引力Feは、水平方向の分力が打ち消される。すなわち、Xキャリッジ340bに働く磁気吸引力Feは、Xキャリッジ340bに対して鉛直方向上向きの分力のみが加わる。
【0110】
以上説明したように、本変形例に係る基板ステージ装置PST3bによると、第4の実施形態に係る基板ステージ装置PST3と同等の効果が得られる他、Xキャリッジ340bに加わる鉛直方向下向きの力が軽減されるので、基板ステージ装置PST3bがX軸方向に駆動された際、Xスライダ17bとXリニアガイド17aとの間に発生する駆動抵抗を軽減することができる。また、上述のXキャリッジ340bに働く鉛直方向下向きの力を軽減させる磁気吸引力Feを発生させるX可動子81,X固定子82とは別に、基板ステージ架台33に働く重量キャンセル装置350等の重量の一部を軽減させるための磁気吸引力Fcを発生させる永久磁石343,磁性体353を設けたので、それぞれ所定の磁気吸引力となるように設定することができる。
【0111】
《第5の実施形態》
次に、第5の実施形態について、
図15及び
図16に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0112】
本第5の実施形態に係る基板ステージ装置PST4は、全体的な構成は、基板ステージ装置PSTと同様になっているが、Xビーム325の形状、Xキャリッジ440の形状が、前述のXビーム25の形状、Xキャリッジ40の形状と異なるとともに、防振装置34にかかる負荷の軽減の方法が異なるなど、一部の構成が基板ステージ装置PSTと相違している。以下、相違点を中心として説明する。
【0113】
図15及び
図16に示されるように、本実施形態における一対のXビーム325は、上述の第4の実施形態で用いられた一対のXビーム325と同じ形状の部材から成り、同様に、複数のXリニアガイド17a、一対のX固定子82が、上面及び一対の側面に固定されている。
【0114】
一対のXキャリッジ440は、
図15及び
図16に示されるように、X軸方向を長手方向とする平面視矩形の平板部材59と、平板部材59の長手方向の一端部と他端部のY軸方向の両端面に、それぞれの上端面が平板部材59の上面とほぼ面一になる状態で固定された各一対、合計4つのZ軸に平行な側壁部材58とを有している。Xキャリッジ440は、+X方向から見て、
図16に示されるように、逆U字状の形状を有し、互いに対を成す+Y側と−Y側の側壁部材58相互間にXビーム325が挿入されている。Xキャリッジ440の長手方向(X軸方向)中央部近傍には、切り欠き部42が設けられている(
図15参照)。
【0115】
一対のXキャリッジ440のそれぞれは、天井面(平板部材59の下面)にXリニアガイド17aにスライド可能に係合するスライダ17bがそれぞれのXリニアガイド17aに対して複数(例えば4つ)固定され、また側壁部材58の内壁面に一対のX固定子82のそれぞれに所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するX可動子81のそれぞれが固定されている。
【0116】
前述の第1の実施形態では、重量キャンセル装置50に固定された一対のアーム54の先端にX可動子56をそれぞれ固定し、防振装置34に作用する重力方向の荷重負荷の一部を軽減していたが、
図16に示されるように、本実施形態に係る重量キャンセル装置450には、アーム54及びX可動子56が設けられていない。すなわち、重量キャンセル装置450は、筐体51、空気ばね52、Zスライダ53及びベースパッド55などから構成されている。重量キャンセル装置450は、筐体51に接続された複数(例えば4本)のフレクシャ装置45を介して一対のXキャリッジ440に接続されている。各フレクシャ装置45は、重量キャンセル装置450の重心位置とほぼ同じ高さに配置されている。
【0117】
図15に戻り、一対のベースフレーム414のそれぞれは、Y軸方向に延びる棒状部材から成る。一対のベースフレーム414のそれぞれは、XY平面に平行な上面及び下面と、YZ平面に対してθx方向に幾分傾いた一面(斜面)と一面とは反対方向(−θx方向)に同じ角度だけ傾いた他面(斜面)とを有する中空部材から成る本体部414aと、本体部414aを下方から支持する複数の脚部14bとを含む。各脚部14bの下端部には、複数のアジャスタ14cが設けられ、本体部414aのZ位置が調整できるようになっている。
【0118】
本体部414aのX軸方向両側面(対向する一対の斜面)には、それぞれリニアモータの要素であるY軸方向に延設されたY固定子73が固定されている。また、本体部414aの上面には、Y軸方向に延びる機械的なYリニアガイド装置(一軸ガイド装置)の要素であるY軸方向に延設されたYリニアガイド16aが、複数(例えば2本)互いに平行に固定されている。
【0119】
本体部414aは、XZ断面逆U字状の部材から成るYキャリッジ475の一対の対向面間(側壁部材間)に配置(挿入)されている。Yキャリッジ475は、1つのベースフレーム414に対してY軸方向に離間して複数(例えば2つ)配置され、それぞれのYキャリッジ475は、上面に固定されたプレート76によってお互いが連結されている。Yキャリッジ475の一対の対向面は、それぞれの上端(+Z側端)から中央部近傍にかけてのYZ平面に平行な第1部分と、中央部近傍から下端(−Z側端)にかけての−X側又は+X側に傾斜し、上述のベースフレーム414の本体部414aの2つの斜面に対向する第2部分とを有している。Yキャリッジ475は、ベースフレーム414に搭載された状態で、本体部414aの2つの傾斜面と、それに対向するYキャリッジ475の有する一対の対向面の第2部分とが平行になるよう設定されている。Yキャリッジ475の一対の対向面の第2部分のそれぞれには、一対のY固定子73のそれぞれに所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向する一対のY可動子472のそれぞれが固定されている。各Y可動子472は、不図示のコア付きコイルユニットを含み、対向するY固定子73と共にXビーム325をY軸方向に所定のストロークで駆動するYリニアモータを構成している。また、各Y可動子472と対向するY固定子73との間には磁気吸引力Ffが発生している。また、Yキャリッジ475の天井面には、Yリニアガイド16aにスライド可能に係合するスライダ16bがそれぞれのYキャリッジ475に対して複数(例えば2つ)固定されている。
【0120】
Yステップ定盤490は、X軸方向に延びる棒状部材から成り、基板ステージ架台33上に搭載されている。Yステップ定盤490の長手方向両端には固定部材446を介してY固定子73に所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して対向するY可動子94が固定されている。各Y可動子94は、不図示のコア付きコイルユニットを含み、対向するY固定子73と共にYステップ定盤490をX軸方向に所定のストロークで駆動するXリニアモータを構成している。また、各Y可動子94と対向するY固定子73との間には磁気吸引力Fgが発生している。
【0121】
Yステップ定盤490の+X側の固定部材446に固定されたY可動子94とこれに対向するY固定子73との間には、+X方向かつ+Z方向に磁気吸引力Fgが働き、Yステップ定盤490の−X側の固定部材446に固定されたY可動子94とこれに対向するY固定子73との間には、−X方向かつ+Z方向に磁気吸引力Fgが働く。この場合、その2つの磁気吸引力Fgの水平方向の分力は互いに大きさが等しく方向が逆なので(正対するので)相殺される。すなわち、上述の2つの磁気吸引力Fgは、Yステップ定盤490に対して鉛直方向上向きの力を加え、その反力はベースフレーム414を介して床11に伝達される。
【0122】
以上説明したように、本第5の実施形態に係る基板ステージ装置PST4では、第1の実施形態に係る基板ステージ装置PSTと同等の効果を得ることができる。また、基板ステージ装置PST4では、防振装置34にかかる負荷が軽減されるので基板ステージ装置PST4駆動時に防振装置34に作用する偏荷重を低減させることが可能になる。
【0123】
《第5の実施形態の変形例》
次に、第5の実施形態の変形例について、
図17に基づいて説明する。ここで、前述した第5の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。
【0124】
この変形例に係る基板ステージ装置PST4aは、Yステップ定盤490aの長手方向両端部に設けられた固定部材446にY可動子94が設けられていない点、及び固定部材446の上面に磁性体96が固定され、磁性体96の上方に所定の隙間(クリアランス/ギャップ)を介して永久磁石97がXキャリッジ475aに設けられている点が、基板ステージ装置PST4と異なる。
【0125】
永久磁石97は、実際には、固定部材478の下面に固定されている。Yステップ定盤490aの+X側では、固定部材478は、Y軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば2つ)のYキャリッジ475aを互いに連結するようにそれぞれのYキャリッジ475aの−X側側面の上端部に固定されている。永久磁石97は、固定部材478の下面に磁性体96に所定の隙間を介して対向するように固定されている。すなわち、本変形例に係るYステップ定盤490aには、ベースフレーム414の本体部414aに固定されたY固定子73とYキャリッジ475aに固定されたY可動子472との間で生じる磁気吸引力Ffとは独立した、磁性体96と永久磁石97との間で生じる磁気吸引力Fhにより鉛直方向上向きの力が加わる。なお、Yキャリッジ475aのその他の構成は、上述のYキャリッジ475と同様の構成を有している。
【0126】
以上説明したように、本第5の実施形態の変形例に係る基板ステージ装置PST4aでは、第5の実施形態と同等の効果を得ることができる。これに加え、基板ステージ装置PST4aによると、Yステップ定盤490aに働く鉛直上向きの磁気吸引力Fhと、Yキャリッジ475aに働く磁気吸引力Ffとが独立した磁気発生装置にて生じるので、Yステップ定盤490aに働く磁気吸引力FhとYキャリッジ475aに働く磁気吸引力Ffとをそれぞれ所定の力に設定することができる。すなわち、防振装置34に作用する荷重負荷(偏荷重)とYリニアガイド16aとスライダ16bとを含む複数のYリニアガイド装置にかかる駆動抵抗とを所定の値に減じることができる。
【0127】
なお、上記第1〜第5の各実施形態及び各変形例(以下、各実施形態等と称する)で説明した装置構成は、一例に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態等では、磁気吸引力又は磁気的な斥力を利用して、Yステップ定盤90,490,490a及びこれを支持する基板ステージ架台33及び防振装置34に作用する重力方向の荷重負荷を軽減させる場合について説明したが、これに限らず、鉛直方向の分力を持つ方向の電磁力を、X粗動ステージ駆動用のリニアモータ、又はY粗動ステージ駆動用のリニアモータが発生する場合には、その電磁力の鉛直分力を利用する、Yステップ定盤90,490,490a及びこれを支持する基板ステージ架台33及び防振装置34に作用する重力方向の荷重負荷を軽減させる負荷軽減装置を、基板ステージ装置PST,PST1,PST2,PST3,PST3a,PST3b,PST4,PST4aが備えていても良い。
【0128】
また、上記各実施形態等における、固定子(磁石ユニット)と可動子(コア付きコイルユニット)との組み合わせに代えて、固定子(磁石ユニット)と磁性体部材との組み合わせにより、上述の負荷軽減装置を構成しても良い。あるいは、負荷軽減装置を構成する少なくとも一部の永久磁石に代えて、電磁石を用いても良い。
【0129】
また、上記各実施形態では、Yステップ定盤90,490,490a上で移動する重量キャンセル装置50,250,350,350a,450を備えた基板ステージ装置PST,PST1,PST2,PST3,PST3a,PST3b,PST4,PST4aについて説明したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている、重量キャンセル装置を有する基板ステージ装置を備えた走査型の露光装置において、Y粗動ステージに設けられた固定子(磁石)と、X粗動ステージに設けられた可動子(コイル)とを含み、X粗動ステージをX軸方向(走査方向)に所定ストロークで駆動するXリニアモータと、上記可動子を構成するコイルと、重量キャンセル装置の一部との間に作用する力を利用して、重量キャンセル装置を下方から支持する定盤を含む支持架台に作用する重力方向の荷重負荷を軽減する荷重軽減装置と、を設けることとしても良い。かかる場合には、基板(物体)の露光処理時、基板を保持する基板ホルダ(物体保持部材)と共に水平面に平行な方向へ移動可能なX粗動ステージは、リニアモータによってX軸方向に駆動される。このとき、支持架台には、基板ホルダ、及び重量キャンセル装置の自重による重力方向の荷重負荷が作用するが、その荷重負荷が、荷重軽減装置によって、重量キャンセル装置の一部との間に作用する力を利用して、重量キャンセル装置から一部の力をX粗動ステージに移すことによって軽減される。従って、基板ホルダ、重量キャンセル装置及び支持架台を含む系の重心移動による支持架台に作用する偏荷重を低減させ、これにより露光精度を十分な精度に維持することができる。
【0130】
また、上記第1〜第4の実施形態の変形例と、上記第5の実施形態及びその変形例とを組み合わせて用いても良い。すなわち、重量キャンセル装置50,250,350,350a,450に対して鉛直方向上向きの力を発生させる装置と、Yステップ定盤90,490,490aに対して鉛直方向上向きの力を発生させる装置とを併用しても良い。
【0131】
また、上記各実施形態において、一対のXキャリッジ40,140,240,340,340b,440は、連結プレート41,341によって連結されているが、連結プレート41,341に代えて一対のXキャリッジが主制御装置によりX軸方向に同期駆動されるようにしても良い。同様に1つのベースフレーム14,414上に搭載された複数のYキャリッジ75,475,475aは、プレート76によってそれぞれ連結されているが、プレート76に代えて複数のYキャリッジ75,475,475aが主制御装置によりY軸方向に同期駆動されるようにしても良い。
【0132】
また、上記各実施形態において、Yステップ定盤90,490,490aは、中実部材としたが、特にこれに限らず中空部材であっても良いし、中空部材の内部にリブが設けられた形状を有していても良い。例えば、中空部材からなるYステップ定盤を鋳造等によって製造しても良い。
【0133】
また、第1の実施形態において、重量キャンセル装置50とXキャリッジ40とを接続するフレクシャ装置45は、重量キャンセル装置50をY軸方向にのみ牽引することができるように配置しても良い。また、フレクシャ装置45によって、重量キャンセル装置50がXキャリッジ40と共にX軸方向及びY軸方向に駆動されるのであれば、重量キャンセル装置50のアーム54先端に固定したX可動子56に代えて磁性体を固定しても良い。
【0134】
また、第4の実施形態及び第4の実施形態の変形例において、一対のXキャリッジ340,340bを開口部が形成された連結プレート341で連結したが、これに限らず、一対のXキャリッジ340,340bをX軸方向に離間して配置された複数の連結プレートで連結しても良い。また、重量キャンセル装置350,350aに固定されたつば部352は、重量キャンセル装置350,350aの全周に設ける必要はなく、外周方向に向かって伸びる棒状部材としても良い。
【0135】
また、第5の実施形態の変形例において、Yステップ定盤490aの長手方向両端部に磁性体96を配置したが、これに限らずYステップ定盤490aに鉛直方向上向きの力が作用すれば良いので、例えばYステップ定盤490aの長手方向中間部分に固定部材を介して磁性体96を配置し、その対向面に永久磁石97が配置されるようXビーム325の下面に永久磁石97を固定しても良い。
【0136】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0137】
また、上記各実施形態等では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0138】
なお、上記各実施形態等においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0139】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0140】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。また、移動体装置の移動体に保持される物体は、露光対象物体である基板などに限られず、マスクなどのパターン保持体(原版)であっても良い。
【0141】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0142】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。