(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の冷媒流路は、前記載置台の内部の前記被処理基板が設置される領域に対応する領域に形成された第1の冷媒流路、及び前記載置台の内部の前記被処理基板の外周部が設置される領域に対応する領域に形成された第2の冷媒流路を有し、
前記逆止弁は、前記第2の冷媒流路に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
前記複数の冷媒流路は、前記載置台の内部の前記被処理基板が設置される領域に対応する領域に形成された第1の冷媒流路、及び前記載置台の内部の前記被処理基板の中央部と外周部の間に位置する中間部が設置される領域に対応する領域に形成された第2の冷媒流路を有し、
前記逆止弁は、前記第2の冷媒流路に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0011】
まず、プラズマ処理装置の全体構成について説明する。
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【0012】
プラズマ処理装置1は、RIE(Reactive Ion Etching)型のプラズマ処理装置として構成されており、例えばアルミニウム又はステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器10)を有している。処理容器10は接地されている。処理容器10内では、被処理基板にエッチング処理等のプラズマ処理が施される。なお、一実施形態ではプラズマ処理装置の一例としてプラズマエッチング装置を挙げるが、これには限られない。
【0013】
処理容器10内には、被処理基板としての半導体ウエハW(以下、ウエハWと称呼する)を載置する載置台88が設けられている。載置台88は、ウエハWを静電吸着力で保持する静電チャック40と、静電チャック40を支持する下部電極12とを有する。ウエハWは載置台88に設置された状態でプラズマの作用によりエッチング等の微細加工が施される。
【0014】
下部電極12は、例えばアルミニウムからなり、絶縁性の筒状保持部14を介して処理容器10の底から垂直上方に延びる筒状支持部16に支持されている。筒状保持部14の上面には、下部電極12の上面を環状に囲む、たとえば石英からなるフォーカスリング18が配置されている。
【0015】
処理容器10の側壁と筒状支持部16との間には排気路20が形成されている。排気路20には環状のバッフル板22が取り付けられている。排気路20の底部には排気口24が設けられ、排気管26を介して排気装置28に接続されている。排気装置28は図示しない真空ポンプを有しており、処理容器10内の処理空間を所定の真空度まで減圧する。処理容器10の側壁には、ウエハWの搬入出口を開閉する搬送用のゲートバルブ30が取り付けられている。
【0016】
下部電極12には、整合器34及び給電棒36を介してプラズマ生成用の高周波電源32が電気的に接続されている。高周波電源32は、例えば60MHzの高周波電力を下部電極12に印加する。なお、処理容器10の天井部には、後述するシャワーヘッド38が接地電位の上部電極として設けられている。これにより、高周波電源32からの高周波電圧は下部電極12とシャワーヘッド38との間に容量的に印加される。高周波電源32は、プラズマを生成するためのパワーを供給し、処理容器10内にてガスからプラズマを生成するプラズマ源の一例である。
【0017】
下部電極12の上面にはウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック40が設けられている。静電チャック40は導電膜からなる電極40aを一対の絶縁膜40b,40cの間に挟み込んだものである。電極40aには直流電源42がスイッチ43を介して電気的に接続されている。静電チャック40は、直流電源42からの直流電圧により、クーロン力でウエハWをチャック上に吸着保持する。
【0018】
伝熱ガス供給源52は、Heガス等の伝熱ガスをガス供給ライン54に通して静電チャック40の上面とウエハWの裏面との間に供給する。天井部のシャワーヘッド38は、多数のガス通気孔56aを有する電極板56と、この電極板56を着脱可能に支持する電極支持体58とを有する。電極支持体58の内部にはバッファ室60が設けられ、バッファ室60のガス導入口60aにはガス供給源62に連結されるガス供給配管64が接続されている。これにより、ガス供給源62から処理容器10内に所望のガスが供給される。
【0019】
処理容器10の周囲には、環状又は同心状に延在する磁石66が配置されている。処理容器10内において、シャワーヘッド38と下部電極12との間のプラズマ生成空間には、高周波電源32により鉛直方向のRF電界が形成される。高周波の放電により、下部電極12の表面近傍に高密度のプラズマが生成される。
【0020】
下部電極12の内部には冷媒管70が形成されている。冷媒管70は、第1の冷媒管70aと第2の冷媒管70bを有する。第1の冷媒管70a,第2の冷媒管70bにはそれぞれ、チラーユニット71によって所定温度に冷却された冷媒が循環供給される。具体的には、チラーユニット71に接続された配管72は第1の配管72a、第2の配管72bに分岐されており、第1の配管72aは第1の冷媒管70aに連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bに連結されている。また、第1の冷媒管70aを循環した冷媒は第1の冷媒管70aに連結された第1の配管72aから流出し、第2の冷媒管70bを循環した冷媒は第2の冷媒管70bに連結された第2の配管72bから流出する。そして、第1の配管72a及び第2の配管72bは1本の配管72へ合流し、この配管72はチラーユニット71に連結される。
【0021】
また、配管72には、反転ユニット92が設けられている。反転ユニット92は、チラーユニット71で冷却された冷媒の通流方向を反転させるユニットであり、例えば四方弁によって形成される。また、第1の配管72aには、冷媒を一方向にのみ通流させる逆止弁90が設けられている。第1の冷媒管70a,第2の冷媒管70bの設置態様、及び反転ユニット92による冷媒の通流方向の制御等についての詳細は後述する。
【0022】
下部電極12の内部にはヒータ75が埋設されている。ヒータ75には図示しない交流電源から所望の交流電圧が印加される。かかる構成により、チラーユニット71による冷却とヒータ75による加熱によって静電チャック40上のウエハWの処理温度は所望の温度に調整される。また、これらの温度制御は、制御装置80の指示に従い実行される。なお、ヒータ75を静電チャック40の中心部と周辺部の2系統のゾーンに分けて配置し、これによりゾーン毎に温度制御してもよい。これによれば、より精度の高い温度制御が可能となる。
【0023】
制御装置80は、プラズマ処理装置1に取り付けられた各部、たとえば排気装置28、高周波電源32、静電チャック40用のスイッチ43、整合器34、伝熱ガス供給源52、ガス供給源62、チラーユニット71、静電チャック40内のヒータ、及び反転ユニット92を制御する。制御装置80は、ホストコンピュータ(図示せず)等とも接続されている。
【0024】
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUはROM又はRAMに格納された各種レシピに従ってプロセスを実行する。レシピには複数のプラズマプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、処理室内温度(上部電極温度、処理室の側壁温度、下部電極温度など)、圧力、印加する高周波電力、各種プロセスガス流量などが記載されている。以下の説明では、レシピとして主に温度制御に関する制御を取り上げて説明する。なお、レシピは、記憶媒体に格納して提供され、図示しないドライバを介してROM又はRAMに読み込まれるものであってもよく、また、図示しないネットワークからダウンロードされてROM又はRAMに格納されるものであってもよい。また、上記各部の機能を実現するために、CPUに代えてDSP(Digital Signal Processor)が用いられてもよい。なお、制御装置80の機能は、ソフトウエアを用いて動作することにより実現されてもよく、ハードウエアを用いて動作することにより実現されてもよい。
【0025】
かかる構成のプラズマ処理装置1において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ30を開口して搬送アーム上に保持されたウエハWを処理容器10内に搬入する。次に、静電チャック40の表面から突出したプッシャーピン(図示しない)により搬送アームからウエハWが持ち上げられ、プッシャーピン上にウエハWが保持される。次いで、その搬送アームが処理容器10外へ出た後に、プッシャーピンが静電チャック40内に下ろされることでウエハWが静電チャック40上に載置される。
【0026】
ウエハW搬入後、ゲートバルブ30が閉じられ、ガス供給源62からエッチングガスを所定の流量及び流量比で処理容器10内に導入し、排気装置28により処理容器10内の圧力を設定値に減圧する。さらに、高周波電源32から所定のパワーの高周波電力を下部電極12に供給する。また、直流電源42から直流電圧を静電チャック40の電極40aに印加して、ウエハWを静電チャック40上に固定する。シャワーヘッド38からシャワー状に導入されたエッチングガスは、高周波電源32からの高周波電力によりプラズマ化され、これにより、上部電極(シャワーヘッド38)と下部電極12との間のプラズマ生成空間にてプラズマが生成される。生成されたプラズマ中のラジカルやイオンによってウエハWの主面がエッチングされる。
【0027】
プラズマエッチング終了後、ウエハWがプッシャーピンにより持ち上げられ保持され、ゲートバルブ30を開口して搬送アームが処理容器10内に搬入された後に、プッシャーピンが下げられウエハWが搬送アーム上に保持される。次いで、その搬送アームが処理容器10外へ出て、次のウエハWが搬送アームにより処理容器10内へ搬入される。この処理を繰り返すことで連続してウエハWが処理される。
【0028】
次に、逆止弁90の構成について説明する。
図2A,
図2Bは、逆止弁の概略を示す図である。
図2A,
図2Bに示すように、逆止弁90は、配管72から分岐した第1の配管72aの分岐部に設けられた弁座90bと、弁座90bに設けられた板状の弁体90aとを有している。例えば
図2Aに示すように、配管72から第1の配管72a及び第2の配管72bの方向に冷媒が流れた場合、冷媒の流れの力によって弁座90bを支点にして弁体90aが立ち上がって第1の配管72aの流路を「閉」にする。その結果、
図2Aの場合には、第1の配管72aには冷媒は通流せず、第2の配管72bにのみ冷媒が通流する。
【0029】
一方、冷媒の通流方向が反転して、
図2Bに示すように、第1の配管72a及び第2の配管72bから配管72の方向に冷媒が流れた場合、冷媒の流れの力によって弁座90bを支点にして弁体90aが倒れて第1の配管72aの流路を「開」にする。その結果、
図2Bの場合には、第1の配管72a及び第2の配管72bの両方に冷媒が通流する。
【0030】
次に、本実施形態における載置台の温度制御の概略について説明する。
図3A,
図3Bは、載置台の温度制御の概略を示す図である。
図3Aに示すように、チラーユニット71で所定温度に冷却された冷媒は、ある流れ方向では、逆止弁90によって流れが遮られるので、冷媒管70bのみの1系統の冷媒流路を通流して載置台88を冷却する。
【0031】
一方、
図3Bに示すように、制御装置80からの指令によって反転ユニット92が冷媒の流れ方向を反転すると、チラーユニット71で所定温度に冷却された冷媒は、冷媒管70a及び冷媒管70bの2系統の冷媒流路を通流して載置台88を冷却する。このように、逆止弁90を設けるとともに、冷媒の流れ方向を反転させることによって、載置台88の内部の冷媒管に選択的に冷媒を通流させることができるので、これを利用して載置台88(及びウエハW)の温度分布を制御することができる。以下、載置台88(及びウエハW)の温度分布の制御例について説明する。
【0032】
(第1実施例)
図4A,
図4B,
図4Cは、冷媒流路の設置態様の第1実施例を示す図である。
図4A,
図4Bに示すように、第1実施例では、第1の冷媒管70a,第2の冷媒管70bは、下部電極12(載置台)の内部のウエハWが設置される領域に対応する領域に上下方向に分離して形成されている。具体的には、第2の冷媒管70bは、下部電極12の内部の上部領域に渦巻き状に形成されている。また、第1の冷媒管70aは、下部電極12の内部の第2の冷媒管70bが形成された領域の下部に渦巻き状に形成されている。また、
図4Cは渦巻き状に形成された冷媒管70bを上からみたときの概念図である。
【0033】
また、チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し、配管72から第1の配管72a及び第2の配管72bに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また、第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は、第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し、第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は、第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。第1の配管72a及び第2の配管72bを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し、反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り、チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。
【0034】
また、第1の冷媒管70aの一方の端部に接続されている第1の配管72aには、逆止弁90が設けられている。
図4Aに示すように冷媒が通流した場合、逆止弁90が「閉」になるので、第1の冷媒管70aには冷媒は流れず、第2の冷媒管70bにのみ冷媒が流れる。一方、
図4Bに示すように冷媒が反転して通流した場合、逆止弁90が「開」になるので、第1の冷媒管70a及び第2の冷媒管70bの両方に冷媒が流れる。
【0035】
次に、本実施形態の温度制御方法について説明する。
図5は、温度制御のタイムチャートの一例を示す図である。
図5において横軸は時間経過(秒)を示し、縦軸はウエハWの温度を示している。
【0036】
本実施形態の温度制御方法では、制御装置80は、プラズマ処理装置1によって実行されるプラズマ処理プロセスの切り替えのタイミングに応じて反転ユニット92を制御して冷媒の流れ方向を反転させることができる。例えば
図5に示すように、プラズマ処理装置1は、第1のプラズマ処理プロセス、第2のプラズマ処理プロセス、及び第3のプラズマ処理プロセスを連続して実行するものとする。
【0037】
なお、第1及び第3のプラズマ処理プロセスでは、ウエハWの温度を、例えば40℃程度の比較的高い温度に保つことによって所望のプラズマ処理を行うことができるものとする。一方、第2のプラズマ処理プロセスでは、ウエハWの温度を、例えば20℃程度の比較的低い温度に保つことによって所望のプラズマ処理を行うことができるものとする。
【0038】
この場合、制御装置80は、第1のプラズマ処理プロセスが実行されている間は、逆止弁90が「閉」になるように(
図4Aに示すように)冷媒の通流方向を設定する。これにより、第1のプラズマ処理プロセスが実行されている間は、第1の冷媒管70aには冷媒が通流せず第2の冷媒管70bにのみ冷媒が通流する。その結果、
図5に示すようにウエハWはおよそ40℃の比較的高い温度に保たれる。
【0039】
一方、第1のプラズマ処理プロセスから第2のプラズマ処理プロセスへ切り替えられるタイミングで、制御装置80は反転ユニット92を制御することによって冷媒の流れ方向を反転させる。すると、
図4Bに示すように冷媒の通流方向が反転されて、逆止弁90が「開」になる。これにより、第2のプラズマプロセスが実行されている間は、第1の冷媒管70a及び第2の冷媒管70bの両方に冷媒が通流する。その結果、
図5に示すようにウエハWはおよそ20℃の比較的低い温度に保たれる。
【0040】
そして、第2のプラズマ処理プロセスから第3のプラズマ処理プロセスへ切り替えられるタイミングで、制御装置80は反転ユニット92を制御することによって冷媒の流れ方向を再度反転させる。すると、
図4Aに示すように冷媒の通流方向が反転されて、逆止弁90が「閉」になる。これにより、第3のプラズマプロセスが実行されている間は、第1の冷媒管70aには冷媒が通流せず第2の冷媒管70bにのみ冷媒が通流する。その結果、
図5に示すようにウエハWはおよそ40℃の比較的高い温度に保たれる。
【0041】
以上のように、本実施形態のプラズマ処理装置1及び温度制御方法によれば、逆止弁90を設けて冷媒の通流方向を反転するだけの簡易な構成で、複数のプラズマ処理プロセスを実行する場合にウエハWの温度を各プラズマ処理プロセスに適した温度に迅速に制御することができる。
【0042】
(第2実施例)
次に、冷媒流路の設置態様の第2実施例について説明する。
図6A,
図6Bは、冷媒流路の設置態様の第2実施例を示す図である。
図6A,
図6Bに示すように、第2実施例では、下部電極12の内部の、フォーカスリング18に対応する領域に第1の冷媒管70aが渦巻き状に形成されている。また、下部電極12の内部の、ウエハWが設置される領域に対応する領域に第2の冷媒管70bが渦巻き状に形成されている。
【0043】
また、チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し、配管72から第1の配管72a及び第2の配管72bに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また、第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は、第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し、第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は、第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。第1の配管72a及び第2の配管72bを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し、反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り、チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。
【0044】
また、第1の冷媒管70aの一方の端部に接続される第1の配管72aには、逆止弁90が設けられている。
図6Aに示すように冷媒が通流した場合、逆止弁90が「閉」になるので、第1の冷媒管70aには冷媒は流れず、第2の冷媒管70bにのみ冷媒が流れる。一方、
図6Bに示すように冷媒が反転して通流した場合、逆止弁90が「開」になるので、第1の冷媒管70a及び第2の冷媒管70bの両方に冷媒が流れる。
【0045】
本実施例では、例えば
図6Aの状態でプラズマ処理を行っている際に、プラズマ処理によってフォーカスリング18が加熱された場合を考える。この場合、制御装置80は、反転ユニット92によって
図6Bのように冷媒の通流方向を反転させることにより、下部電極12の内部の、フォーカスリング18に対応する領域(第1の冷媒管70a)に冷媒を通流させる。これにより、第1の冷媒管70aを通流する冷媒によってフォーカスリング18の熱を奪うことができるので、その結果、ウエハWの温度分布を均一化することができる。
【0046】
(第3実施例)
次に、冷媒流路の設置態様の第3実施例について説明する。
図7A,
図7Bは、冷媒流路の設置態様の第3実施例を示す図である。
図7A,
図7Bに示すように、第3実施例では、下部電極12の内部のフォーカスリング18に対応する領域に第1の冷媒管70aが渦巻き状に形成されている。また、下部電極12の内部の、ウエハWが設置される領域に対応する領域に第2の冷媒管70bが形成されている。また、下部電極12の内部の、第1の冷媒管70aが形成された領域の下部領域に第3の冷媒管70cが渦巻き状に形成されている。
図7A,
図7Bでは、簡単な説明のために冷媒管70a及び冷媒管70cが1つの冷媒管として記載されているが、各領域に渦巻き状(
図4C参照)に冷媒管が形成されている。以降の図においても、各領域で渦巻き状に冷媒管が形成されているものとする。
【0047】
また、チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し、配管72から第1の配管72a、第2の配管72b、及び第3の配管72cに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また、第3の配管72cは第3の冷媒管70cの一方の端部に連結されている。また、第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は、第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し、第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は、第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。また、第3の冷媒管70c内を通流した冷媒は、第3の冷媒管70cの他方の端部に連結された第3の配管72cを介して流出する。第1の配管72a、第2の配管72b、及び第3の配管72cを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し、反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り、チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。
【0048】
また、第1の冷媒管70aの一方の端部に接続される第1の配管72aには、逆止弁90が設けられている。
図7Aに示すように冷媒が通流した場合、逆止弁90が「閉」になるので、第1の冷媒管70aには冷媒は流れず、第2の冷媒管70b及び第3の冷媒管70cにのみ冷媒が流れる。一方、
図7Bに示すように冷媒が反転して通流した場合、逆止弁90が「開」になるので、第1の冷媒管70a、第2の冷媒管70b、及び第3の冷媒管70cに冷媒が流れる。
【0049】
本実施例では、例えば
図7Aの状態でプラズマ処理を行っている際に、プラズマ処理によってフォーカスリング18が加熱された場合を考える。この場合、制御装置80は、反転ユニット92によって
図7Bのように冷媒の通流方向を反転させることにより、下部電極12の内部の、フォーカスリング18に対応する領域(第1の冷媒管70a)に冷媒を通流させる。これにより、第1の冷媒管70aを通流する冷媒によってフォーカスリング18の熱を奪うことができるので、その結果、ウエハWの温度分布を均一化することができる。また、本実施例では、下部電極12の内部の、フォーカスリング18に対応する領域に第1の冷媒管70aと第3の冷媒管70cが形成されているので、よりフォーカスリング18の熱を奪うことができる。
【0050】
(第4実施例)
次に、冷媒流路の設置態様の第4実施例について説明する。
図8A,
図8Bは、冷媒流路の設置態様の第4実施例を示す図である。
図8A,
図8Bに示すように、第4実施例では、下部電極12の内部の、ウエハWが設置される領域に対応する領域に第2の冷媒管70bが渦巻き状に形成されている。また、下部電極12の内部の、第2の冷媒管70bが形成された領域の下部であり、かつ、ウエハWの外周部が設置される領域に対応する領域に第1の冷媒管70aが渦巻き状に形成されている。
【0051】
また、チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し、配管72から第1の配管72a、及び第2の配管72bに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また、第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は、第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し、第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は、第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。第1の配管72a、及び第2の配管72bを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し、反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り、チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。
【0052】
本実施例では、ウエハWの特に外周部の温度が高くなった場合に、ウエハWの外周部を選択的に冷却することにより、ウエハWの温度の均一性を保つことができる。すなわち、ウエハWの径は静電チャック40の径より大きいため、ウエハWの外周部は静電チャック40から突出している。このため、例えば
図7Aの状態でプラズマ処理をおこなっている際にプラズマ処理による入熱によってウエハWの外周部の温度が内周部に比べて高くなる場合がある。この場合、制御装置80は、反転ユニット92によって
図8Bのように冷媒の通流方向を反転させることにより、下部電極12の内部の、ウエハWの外周部が設置される領域に対応する領域(第1の冷媒管70a)に冷媒を通流させる。これにより、第1の冷媒管70aを通流する冷媒によってウエハWの外周部の熱を奪うことができるので、その結果、ウエハWの温度分布を均一化することができる。
【0053】
(第5実施例)
次に、冷媒流路の設置態様の第5実施例について説明する。
図9A,
図9Bは、冷媒流路の設置態様の第5実施例を示す図である。
図9A,
図9Bに示すように、第5実施例では、下部電極12の内部の、ウエハWが設置される領域に対応する領域に第2の冷媒管70bが渦巻き状に形成されている。また、下部電極12の内部の、ウエハWの中央部(センター領域)と外周部(エッジ領域)の間に位置する中間部(ミドル領域)が設置される領域に対応する領域に第1の冷媒管70aが渦巻き状に形成されている。なお、第1の冷媒管70aは、第2の冷媒管70bが形成された領域の上部及び下部にそれぞれ形成されている。
【0054】
また、チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し、配管72から第1の配管72a、及び第2の配管72bに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており、第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また、第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は、第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し、第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は、第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。第1の配管72a、及び第2の配管72bを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し、反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り、チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。
【0055】
本実施例では、ウエハWの特に中間部の温度が高くなった場合に、ウエハWの中間部を選択的に冷却することにより、ウエハWの温度の均一性を保つことができる。すなわち、プラズマ処理の種類によっては、ウエハWの中間部(ミドル領域)が、中央部(センター領域)及び外周部(エッジ領域)に比べて高温になる場合がある。例えば
図7Aの状態でプラズマ処理をおこなっている際にプラズマ処理による入熱によってウエハWの中間部の温度が中央部及び外周部に比べて高くなる場合がある。この場合、制御装置80は、反転ユニット92によって
図9Bのように冷媒の通流方向を反転させることにより、下部電極12の内部の、ウエハWの中間部が設置される領域に対応する領域(第1の冷媒管70a)に冷媒を通流させる。これにより、第1の冷媒管70aを通流する冷媒によってウエハWの中央部の熱を奪うことができるので、その結果、ウエハWの温度分布を均一化することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態のプラズマ処理装置1及び温度制御方法によれば、第1の配管72aに逆止弁90を設けるとともに、冷媒の流れ方向を反転させるという簡易な構成で、迅速にウエハWの温度を制御することができる。したがって、例えばプラズマプロセスごとにウエハWの最適な温度条件がある場合には、プラズマプロセスの切り替えのタイミングで反転ユニット92によって冷媒の流れ方向を反転させることにより、最適なプラズマ処理を実行することができる。なお、本実施形態は、上記の実施例に限らず、種々の変形例に適用することができる。