【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(製造例1)
−ブラックジンジャーの水抽出物の製造−
抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、水1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
【0049】
(製造例2)
−ブラックジンジャーの50質量%エタノール抽出物の製造−
抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
【0050】
(製造例3)
−ブラックジンジャーのエタノール抽出物の製造−
抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、エタノール1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例1)
−スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法によりスーパーオキサイド消去作用を試験した。
試験管に0.05mol/Lの炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mL、2mmol/Lのキサンチン0.1mL、3mmol/LのEDTAを0.1mL、50μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)0.1mL、及び0.75mmol/Lのニトロブルーテトラゾリウム0.1mLを加えた。これに各試料溶液0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。
次に、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mLを加え、素早く攪拌し、25℃で20分間反応した。その後、6mmol/Lの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
測定した各吸光度より、下記数式1によりスーパーオキサイド消去率を求めた。
<数式1>
スーパーオキサイド消去率(%)=
{1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
ただし、前記数式1中、Stは試料溶液の波長560nmにおける吸光度、Sbは試料溶液ブランクの波長560nmにおける吸光度、Ctはコントロール溶液の波長560nmにおける吸光度、Cbはコントロール溶液ブランクの波長560nmにおける吸光度、をそれぞれ表す。
【0053】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記スーパーオキサイド消去率の測定を行い、スーパーオキサイドの消去率が50%になる試料濃度(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
表2の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、高いスーパーオキサイド消去作用を有し、SOD様作用を有することが確認できた。
【0055】
(実施例2)
−一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法により一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用を試験した。
透明サンプル瓶(ガラス製)10mLに2質量%の赤血球懸濁液5mL、PBS(−)5mL、又は各試料溶液を含むPBS(−)5mL、及び10mmol/Lのヘマトポルフィリン−20mmol/Lの水酸化ナトリウム溶液0.01mLを加え、よく混和した。この反応溶液をメリーゴーランド上で、15Wハロゲンランプで35分間均一に光を照射して
1O
2を発生させ、赤血球を溶血させた。
反応終了後、反応溶液1mLを採取し、PBS(−)2mLを加え、よく混和した。遠心分離(1660×g、5分、4℃)した後、上清の波長540nmにおける吸光度を測定した。対照として反応溶液1mLに精製水2mLを加え、完全に赤血球を溶血させた混合液を作製した。この混合液の波長540nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、得られた結果から、下記数式2により一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制率を算出した。試料濃度50μg/mLでの膜脂質の過酸化抑制率を表3に示す。
<数式2>
膜脂質の過酸化抑制率(%)=(1−B/A)×100
ただし、前記数式2中、Aは完全溶血液の波長540nmにおける吸光度、Bは反応溶液の上清の波長540nmにおける吸光度を表す。
【0056】
【表3】
表3の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用を有することが確認できた。
【0057】
(実施例3)
−過酸化水素消去作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法により過酸化水素消去作用を試験した。
1.5mmol/Lの過酸化水素溶液10μLに、各試料溶液10μLを加え、37℃で20分間反応した後、発色溶液〔100μmol/LのDA−64、0.5質量%のトライトンX−100含有0.1mol/LのPIPES緩衝液(pH7.0)100mLに100units/mLのペルオキシダーゼ1mLを添加〕2.98mLを添加し、37℃で5分間反応した。反応終了後、波長727nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、得られた結果から、下記数式3により過酸化水素消去率を算出した。試料濃度100μg/mLでの過酸化水素消去率を表4に示す。
<数式3>
過酸化水素消去率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
ただし、前記数式3中、Stは試料溶液の波長727nmにおける吸光度、Sbは試料溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度、Ctはコントロール溶液の波長727nmにおける吸光度、Cbはコントロール溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度をそれぞれ表す。
【0058】
【表4】
表4の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、過酸化水素消去作用を有することが確認できた。
【0059】
(実施例4)
−DPPHに対するラジカル消去試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法により非常に安定なラジカルである1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl radical(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
150μmol/LのDPPHエタノール溶液3mLに各試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した後、波長520nmの吸光を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、測定した各吸光度より、下記数式4によりDPPHラジカル消去率(%)を算出した。試料濃度200μg/mLでのDPPHラジカル消去率を表5に示す。
<数式4>
DPPHラジカル消去率(%)={C−(St−Sb)}/C×100
ただし、前記数式4中、Stは試料溶液の波長520nmにおける吸光度、Sbは試料溶液ブランクの波長520nmにおける吸光度、Cはコントロール溶液の波長520nmにおける吸光度、をそれぞれ表す。
【0060】
【表5】
表5の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、DPPHに対するラジカル消去作用を有することが確認できた。
【0061】
(実施例5)
−一酸化窒素(NO)産生抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験方法により一酸化窒素(NO)産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10
6cells/mLの濃度になるように10%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、終濃度2質量%のDMSOを含む10質量%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで溶解した試料溶液を各穴に100μL添加し、終濃度1μg/mLで10%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL加え、48時間培養した。NO産生量は亜硝酸イオン(NO
2−)量を指標に測定した。培養終了後、各穴の培養液に、同量のグリス試薬(1質量%のスルファニルアミド、0.1質量%のN−1−naphthyl ethylendiamine dihydrochlpride in 5質量%のリン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応した。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。コントロールの一酸化窒素(NO)産生量を基にして、下記数式5からNO産生抑制率を算出した。
【0062】
<数式5>
NO産生抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
ただし、前記数式5中、Aは試料添加、LPS刺激時の波長540nmにおける吸光度、Bは試料添加、LPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度、CはコントロールのLPS刺激時の波長540nmにおける吸光度、DはコントロールのLPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度、をそれぞれ表す。
【0063】
次に、製造例1〜3の各抽出物溶液の濃度を段階的に減少させて上記NO産生抑制率を測定し、NO産生抑制率が50%になる濃度IC
50を内挿法により求めた(このIC
50値が小さいほどNO産生抑制作用が強い)。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
表6の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、高い一酸化窒素(NO)産生抑制作用を有することが認められた。
【0065】
(実施例6)
−ヒアルロニダーゼ活性阻害試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法によりヒアルロニダーゼ活性阻害作用について試験した。
まず、各抽出物を溶解した0.1mol/Lの酢酸緩衝液(pH3.5)0.2mLにヒアルロニダーゼ溶液〔Type IV−S(from bovine testis;SIGMA 400 NF units/mL)〕0.1mLを加え、37℃で20分間反応した。更に、活性化剤として2.5mmol/Lの塩化カルシウム0.2mLを加え、37℃にて20分間反応した。これに0.4mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム溶液(from robster comb)0.5mLを加え、37℃にて40分間反応した。その後、0.4mol/Lの水酸化ナトリウム0.2mLを加え、反応を止めて冷却した後、各反応溶液にホウ酸溶液0.2mLを加え、3分間煮沸した。氷冷後、p−DABA試薬6mLを加え、37℃にて20分間反応した。その後、波長585nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、これらの結果から、下記数式6によりヒアルロニダーゼ活性阻害率を算出した。試料濃度400μg/mLでのヒアルロニダーゼ活性阻害率を表7に示す。
<数式6>
ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)=
[1−(St−Sb)/(Ct−Cb)]×100
ただし、前記数式6中、Stは、試料溶液の波長585nmにおける吸光度を表す。Sbは、試料溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度を表す。Ctは、コントロール溶液の波長585nmにおける吸光度を表す。Cbは、コントロール溶液ブランクの波長585nmにおける吸光度を表す。
【0066】
【表7】
表7の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有することが確認できた。
【0067】
(実施例7)
−ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物について、下記の試験方法によりヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を試験した。なお、細胞内のヒスタミンが遊離されると同時にヘキソサミニダーゼも遊離されることから、ヘキソサミニダーゼ遊離を指標にヒスタミン遊離抑制作用を評価することができる。
ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を15%FBS添加S−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を4.0×10
5cells/mLの濃度に培地で希釈し、DNP−specific IgE(SIGMA社製)が終濃度0.5μg/mLとなるよう添加した後、96穴プレートに1穴当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、Siraganian緩衝液100μLにて洗浄を2回行った。次に、同緩衝液30μL及び同緩衝液にて調製した試料溶液10μLを加え、37℃にて10分静置した。その後、100ng/mLのDNP−BSA(LSL Co.,Ltd製)溶液10μLを加え、37℃にて15分間静置し、ヘキソサミニダーゼを遊離させた。その後、96穴プレートを氷上に静置することにより遊離を停止した。各穴の細胞上清10μL及び1mmol/Lのp−NAG(p−nitrophenyl N−acetyl β−D−glucosaminide;(SIGMA社製))溶液10μLを、新たな96穴プレートに添加し、37℃、1時間反応させた。反応終了後、各穴に0.1mol/LのNa
2CO
3/NaHCO
3を250μL加え、波長415nmにおける吸光度を測定した。また、空試験として、細胞上清10μL、及び0.1mol/LのNa
2CO
3/NaHCO
3を250μL混合した液の波長415nmにおける吸光度を測定し、補正した。そして、下記数式7からヘキソサミニダーゼ遊離抑制率を算出した。
<数式7>
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)={1−(B−C)/A}×100
ただし、前記数式7中、Aは、試料溶液無添加での波長415nmにおける吸光度を表す。Bは、試料溶液添加での波長415nmにおける吸光度を表す。Cは、試料溶液添加、p−NAG無添加での波長415nmにおける吸光度を表す。
【0068】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率の測定を行い、ヘキソサミニダーゼの遊離を50%抑制する試料濃度(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表8に示す。
【0069】
【表8】
表8の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制(ヒスタミン遊離抑制)作用を有することが確認できた。
【0070】
(実施例8)
−シクロオキシゲナーゼ(COX−2)活性阻害作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法によりシクロオキシゲナーゼ(COX−2)活性阻害作用について試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10
5cells/mLの濃度になるように10%のFBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、18時間培養した。培養終了後、既に存在するCOX−1及び少量発現しているCOX−2をアセチル化し失活させるため、培地を500μmol/Lのアスピリン含有培地に交換し、4時間培養した。細胞をPBS(−)で3回洗浄し、終濃度0.5質量%のDMSOを含む10%のFBS含有ダルベッコMEMで溶解した試料溶液を各穴に100μL添加した後、終濃度1μg/mLで10%のFBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各穴の培養上清中のプロスタグランジンE2量をPGE2 EIA Kit(Cayman Chemical社製)を用いて定量した。
そして、得られた結果から、下記数式8によりシクロオキシゲナーゼ(COX−2)活性阻害率を算出した。
<数式8>
COX−2活性阻害率(%)={1−(A−C)/(B−C)}×100
ただし、前記数式8中、Aは試料添加、LPS刺激時のプロスタグランジンE2量、Bは試料無添加、LPS刺激時プロスタグランジンE2量、Cは試料無添加、LPS無刺激時のプロスタグランジンE2量、をそれぞれ表す。
【0071】
次に、製造例1〜3の各抽出物溶液の濃度を段階的に減少させて上記COX−2活性阻害率を測定し、COX−2の活性抑制率が50%になる濃度IC
50を内挿法により求めた。結果を表9に示す。
【0072】
【表9】
表9の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、極めて強いシクロオキシゲナーゼ(COX−2)活性阻害作用を有することが確認できた。
【0073】
(実施例9)
−エンドセリン−1(ET−1)mRNA発現上昇抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、エンドセリン−1mRNA発現抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermis keratinocyte;NHEK)を80cm
2フラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)において、37℃、5%CO
2下で前培養し、トリプシン処理により細胞を集めた。
次に、EpiLife−KG2を用いて35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10
4cells/2mL/シャーレずつ播き、37℃、5%CO
2下で一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm
2)を行い、その後、EpiLife−KG2で必要濃度に溶解した各試料溶液を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(Wako;Cat.No.311−02501)にてtotal RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるようにtotal RNAを調整した。
このtotal RNAを鋳型とし、エンドセリン−1(ET−1)、及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置(Smart Cycler
(R)、Cepheid社製)を用いて、Takara SYBR ExScript RT−PCR Kit(Perfect Real Time)によるリアルタイム RT−PCR反応により行った。
ET−1の発現量は、「紫外線未照射、試料溶液無添加」、「紫外線照射、試料溶液無添加」、及び「紫外線照射、試料溶液添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に「紫外線未照射、試料溶液無添加」の補正値を100とした時の「紫外線照射、試料溶液無添加」、及び「紫外線照射、試料溶液添加」の補正値を算出した。
そして、得られた結果から、下記数式9によりET−1mRNA発現上昇抑制率を算出した。試料濃度1μg/mL及び0.1μg/mLでのET−1mRNA発現上昇抑制率を表10に示す。
<数式9>
エンドセリン−1(ET−1)mRNA発現上昇抑制率(%)
={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
ただし、前記数式9中、Aは紫外線未照射、試料溶液無添加時の補正値、Bは紫外線照射、試料溶液無添加時の補正値、Cは紫外線照射、試料溶液添加時の補正値をそれぞれ表す。
【0074】
【表10】
表10の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、エンドセリン−1(ET−1)mRNA発現上昇抑制作用を有することが確認できた。
【0075】
(実施例10)
−SCFmRNA発現上昇抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、SCFmRNA発現抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermis keratinocyte;NHEK)を80cm
2フラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)において、37℃、5%CO
2下で前培養し、トリプシン処理により細胞を集めた。
次に、EpiLife−KG2を用いて35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10
4cells/2mL/シャーレずつ播き、37℃、5%CO
2下で一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm
2)を行い、その後、EpiLife−KG2で必要濃度に溶解した各試料溶液を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(Wako;Cat.No.311−02501)にてtotal RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるようにtotal RNAを調整した。
このtotal RNAを鋳型とし、SCF(Stem cell factor)、及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置(Smart Cycler
(R)、Cepheid社製)によるリアルタイムRT−PCR反応により行った。
SCFの発現量は、「紫外線未照射、試料溶液無添加」、「紫外線照射、試料溶液無添加」、及び「紫外線照射、試料溶液添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に「紫外線未照射、試料溶液無添加」の補正値を100とした時の「紫外線照射、試料溶液無添加」、及び「紫外線照射、試料溶液添加」の補正値を算出した。
そして、得られた結果から、下記数式10によりSCFmRNA発現上昇抑制率を算出した。試料濃度1μg/mLでのSCFmRNA発現上昇抑制率を表11に示す。
<数式10>
SCFmRNA発現上昇抑制率(%)
={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
ただし、前記数式10中、Aは紫外線未照射、試料溶液無添加時の補正値、Bは紫外線照射、試料溶液無添加時の補正値、Cは紫外線照射、試料溶液添加時の補正値をそれぞれ表す。
【0076】
【表11】
表11の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、SCFmRNA発現上昇抑制作用を有することが確認できた。
【0077】
(実施例11)
−マトリックスメタロプロテアーゼ−2(MMP−2)活性阻害作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、マトリックスメタロプロテアーゼ−2(MMP−2)活性阻害作用を試験した。
(1)MMP−2の調製
ヒトMMP−2 cDNAを、5’PCRプライマー:5’−ggcggatccatggcgccgtcgcccatcatc−3’、及び3’PCRプライマー:3’−gccgtcgactacaatgtcctgtttgcagat−5’を用い、MMP−2の3.3kb cDNA断片を含むpSG−GelAを鋳型として、PCR反応を行った。得られた30Alaから474Valまでをコードする1.3kb PCR断片をBam HI/Sal Iで消化し、pTH−72発現ベクター(pTH−MMP2−PC)のBam HI/Sal I部位にクローン化した。
ヒトMMP−2の発現は、Itoh,M.et al.;J.Biolchem.,119:667−673(1996)、精製及び巻き戻し(「リフォールディング」と称することもある)は、西村義文、大野茂雄 監修:タンパク実験プロトコール、細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ2 構造解析編、1997に準じて行った。また、cDNAは、Collier,I.E.et al.;J.Biol.Chem.,263(
14),6579−6587(1998)に記載されているものを使用した。
具体的には、MMP−2のcDNAを含む発現ベクター(pTH−MMP−2)を、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフェクトし、IPTGで発現誘導した。発現タンパクは、Ni−NTA樹脂(QUIA Inc.,米国)を用いてアフィニティー精製後、リフォールディングを行い、酢酸4−アミノフェニル水銀と37℃で60分間反応を行うことで活性型へ移行させた後、EDTAを加えた。これを酵素標本とし、蛍光性ペプチド基質(MOCAc/DNP peptide)切断活性反応を行い、高速液体クロマトグラフィー(カラム:Wakosil5C18、溶離液:30質量%のアセトニトリル+0.1質量%のTHF、流速1.0mL/min、検出:励起波長325nm、蛍光波長410nm)による生成物のピーク面積を測定し、これを酵素活性の指標とした。
【0078】
(2)植物抽出物のMMP−2阻害活性の測定
被験試料を、蒸留水に溶解させて8.0mg/mLとした後、蒸留水にて4.0mg/mL、及び2.0mg/mLに希釈し、懸濁物を除くため、濾過を行った。MMP−2阻害活性の測定は、活性型MMP−2を40μL、各試料溶液20μL、アッセイバッファー20μL〔トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)500mmol/L、塩化ナトリウム1.5mol/L、塩化カルシウム100mmol/L、硫酸亜鉛500μmol/L、アジ化ナトリウム30mmol/L、0.05質量%のBrij35〕を、37℃で15分間プレインキュベーションした後、MOCAc/DNP peptideを120μL(4.16μmol/L)添加し、37℃で2時間反応させた後、EDTAを10μL(200mmol/L)添加した。反応液中の生成物について高速液体クロマトグラフィー分析によるピーク面積を測定した。試料溶液の代わりに蒸留水を加えた反応液の生成物を100%として、試料濃度200μg/mL及び400μg/mLでのMMP−2活性阻害率(%)を求めた。結果を表12に示す。
【0079】
【表12】
表12の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、MMP−2活性阻害作用を有することが確認できた。
【0080】
(実施例12)
−マトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)mRNA発現上昇抑制作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、MMP−9mRNA発現抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(normal human epidermis keratinocyte;NHEK)を80cm
2フラスコで正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)において、37℃、5%CO
2下で前培養し、トリプシン処理により細胞を集めた。
EpiLife−KG2を用いて35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10
4cells/2mL/シャーレずつ播き、37℃、5%CO
2下で一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm
2)を行った。その後、EpiLife−KG2で必要濃度に溶解した各試料溶液を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(Wako;Cat.No.311−02501)にてtotalRNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるようにtotalRNAを調整した。
このtotalRNAを鋳型とし、MMP−9及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置(Smart Cycler
(R)、Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR
(R)PrimeScript
TM RT−PCR Kit(Perfect Real Time)(code No.RR063A)によるリアルタイム2 Step RT-PCR反応により行った。なお、MMP−9のプライマーとしては、F:acgcacgacgtcttccagta、R:caactcactccgggaactcaを使用した。MMP−9の発現量はGAPDHで補正し、算出した。
得られた結果から、下記数式11によりMMP−9mRNA発現上昇抑制率を算出した。試料濃度1μg/mLでのMMP−9mRNA発現上昇抑制率を表13に示す。
<数式11>
MMP−9mRNA発現上昇抑制率(%)
={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
ただし、前記数式11中、Aは紫外線未照射、試料溶液無添加時の補正値、Bは紫外線照射、試料溶液無添加時の補正値、Cは紫外線照射、試料溶液添加時の補正値をそれぞれ表す。
【0081】
【表13】
表13の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、MMP−9mRNA発現上昇抑制作用を有することが確認できた。
【0082】
(実施例13)
−表皮角化細胞増殖促進作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法により表皮角化細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10
4cells/mLの濃度にEpiLife−KG2で希釈した後、コラーゲンコートした96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、EpiLife−KG2で溶解した各試料溶液を各穴に100μL添加し、3日間培養した。表皮角化細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLでPBS(−)に溶解したMTT〔3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium Bromide〕を各穴に100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、得られた測定結果から、下記数式12により表皮角化細胞増殖促進率を算出した。試料濃度3.125μg/mL及び12.5μg/mLでの表皮角化細胞増殖促進率を表14に示す。
<数式12>
表皮角化細胞増殖促進率(%)=(St/Ct)×100
ただし、前記数式12中、Stは試料溶液を添加した細胞での吸光度、Ctは試料溶液を添加しない細胞での吸光度を表す。
【0083】
【表14】
表14の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、表皮角化細胞増殖促進作用を有することが確認できた。
【0084】
(実施例14)
−アンドロゲンレセプター拮抗作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法によりアンドロゲンレセプター拮抗作用を試験した。
まず、マウス自然発生乳がん(シオノギ癌、SC115)よりクローニングされたSC−3細胞を2%のDCC−FBS、及び10
−8mol/Lのテストステロン含有MEM(MEM/2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
5cells/mLの濃度に活性炭処理FBS含有MEM(MEM/2)で希釈し、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、10
−9mol/Lのジヒドロテストステロン(DHT)を含む0.5質量%のBSA含有Ham F12+MEM(HMB)に溶解した試料溶液を100μL添加し、48時間培養した。その後、終濃度0.4g/mLで活性炭処理FBS含有MEM/2に溶解したMTTを各穴に100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。空試験として、HMBのみで培養した細胞を、陽性対照として10
−9mol/LのDHTのみを含有したHMBで培養した細胞を用い、同様の方法で試験を行って補正した。
そして、これらの結果から、下記数式13により、アンドロゲンレセプター拮抗率を算出した。試料濃度50μg/mL、25μg/mL、及び12.5μg/mLでのアンドロゲンレセプター拮抗率を表15に示す。
<数式13>
アンドロゲンレセプター拮抗率(%)
=[1−(C−D)/(A−B)]×100
ただし、前記数式13中、Aは、DHT添加、試料溶液無添加での570nm〜650nmにおける吸光度を表す。Bは、DHT無添加、試料溶液無添加での570nm〜650nmにおける吸光度を表す。Cは、DHT添加、試料溶液添加での570nm〜650nmにおける吸光度を表す。Dは、DHT無添加、試料溶液添加での570nm〜650nmにおける吸光度を表す。
【0085】
【表15】
表15の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、アンドロゲンレセプター拮抗作用を有することが確認できた。
【0086】
(実施例15)
−毛乳頭細胞増殖促進作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、下記の試験法により毛乳頭細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト毛乳頭細胞(TOYOBO社製、CA60205)を含有した毛乳頭細胞増殖培地(TOYOBO社製、TPGM−250)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を10%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEM(DMEM)を用いて2.0×10
4cells/mLの濃度に希釈した後、コラーゲンコートした96穴マイクロプレートに1穴当り100μL播種し、3日間培養した。培養後、培地を抜き、無血清ダルベッコMEM(DMEM)に溶解した各試料溶液を各穴に200μL添加し、更に4日間培養した。毛乳頭細胞増殖促進作用はMTTアッセイを用いて測定した。具体的には、培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで無血清のDMEMに溶解したMTT〔3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium Bromide〕を各穴に100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、得られた測定結果から、毛乳頭細胞増殖促進率を下記数式14から算出した。試料濃度1.5625μg/mLの時の毛乳頭細胞増殖促進率を表16に示す。
<数式14>
毛乳頭細胞増殖促進率(%)=A/B×100
ただし、前記数式14中、Aは試料溶液添加時の吸光度、Bは試料溶液無添加時の吸光度を表す。
【0087】
【表16】
表16の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、毛乳頭細胞増殖促進作用を有することが確認できた。
【0088】
(実施例16)
−サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を試験した。
まず、5mmol/Lの塩化マグネシウム含有50mmol/LのTris−HCl緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)溶液0.1mL、及び0.1mg/mLのホスホジエステラーゼ溶液0.1mL、各試料溶液0.05mLを加え、37℃で5分間予備反応した。これに0.5mg/mLのcAMP溶液0.05mLを加え、37℃で60分間反応した。3分間沸騰水浴上で煮沸することにより反応を停止した。これを遠心(2260×g、10分間、4℃)し、上清を試料反応液として、下記の条件でHPLC分析した。同様の方法で空試験を行い補正した。
〔HPLC条件〕
・カラム:Wakosil C
18−ODS 5μm
・移動相:1mmol/LのTBAP in 25mmol/LのKH
2PO
4:CH
3CN=90:10
・流速:1.0mL/min
・検出:UV、260nm
【0089】
次に、サイクリックAMP標準品のピーク面積(A)とサイクリックAMP標準品とホスホジエステラーゼ反応した上清のピーク面積(B1)とサイクリックAMP標準品と被験試料とホスホジエステラーゼ反応した上清のピーク面積(B2)を下記数式18に基ついて標準品の分解率(C)と被験試料の分解率(D)を求めた。
<数式18>
分解率(%)=(A−B)/A×100
ただし、式中のBは、B1又はB2のいずれかを表す。
【0090】
その後、前記数式18から求めた分解率に従い、ホスホジエステラーゼ活性阻害率を下記数式19に基づいて算出した。
<数式19>
ホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)=(C−D)/C×100
【0091】
次に、試料溶液の試料濃度を段階的に減少させて上記サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害率の測定を行い、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性を50%阻害する試料濃度(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表17に示す。
【0092】
【表17】
表17の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、高いサイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認された。
【0093】
(実施例17)
−ラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用試験−
製造例1〜3の各抽出物を試料として用い、以下のようにして、ラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用を試験した。
(1)脂肪細胞の調製
ウィスター系雄性ラット(7週齢)7匹をエーテル麻酔にかけ、麻酔下で断頭により放血致死させた。副睾丸上の脂肪組織を切り出し、37℃に保温した生理食塩水中で組織をハサミで細かく切った。組織小片を小型の三角フラスコに入れ、これに10mLの緩衝液A(119mmol/Lの塩化ナトリウム、4.7mmol/Lの塩化カリウム、2.6mmol/Lの塩化カルシウム、1.2mmol/Lのリン酸二水素カリウム、1.2mmol/Lの硫酸マグネシウム、32.3mmol/LのHEPES(pH7.4)、20mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)、2mmol/Lのグルコース)に溶解した10mgのコラゲナーゼを入れて1時間、37℃で攪拌(100rpm/min)しながら反応した。反応後、ガーゼで濾過して未消化組織を除き、濾液は蓋付きスピッツ管に取って遠心分離(180×g、20秒)し、下層をパスツールピペットで取り除いた。これに緩衝液Aを10mL加え、混合した後、再度遠心した。この操作を4回繰り返し、コラゲナーゼを十分取り除いた。最後に、10mL程度の緩衝液Aを加えて、脂肪細胞液とした。
【0094】
(2)脂肪分解促進試験
上記で調製した脂肪細胞液を96穴マイクロプレートに1穴当たり90μLずつ播種し、これに溶解可能な溶媒により溶解した各試料溶液を各穴に10μL添加して、1.5時間培養した。培養終了後、各穴から5μLずつ採取して、遊離した脂肪酸をNEFA−Cテストワコー(和光純薬株式会社製)により測定した。
そして、得られた測定結果から、下記数式16により脂肪分解促進率を算出した。試料濃度400μg/mLでの脂肪分解促進率を表18に示す。
<数式16>
脂肪分解促進率(%)=(A/B)×100
ただし、前記数式16中、Aは試料添加時の遊離脂肪酸量、Bは試料溶液無添加(対照)時の遊離脂肪酸量をそれぞれ表す。
【0095】
【表18】
表18の結果から、製造例1〜3のブラックジンジャーの抽出物が、ラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用を有することが確認できた。
【0096】
(配合実施例1)
−乳液−
下記組成から乳液を常法により製造した。
・製造例1のブラックジンジャーの水抽出物・・・0.10g
・ホホバオイル・・・4.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・2.50g
・オリーブオイル・・・2.00g
・スクワラン・・・2.00g
・セタノール・・・2.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・黄杞エキス・・・0.10g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.10g
・イチョウ葉エキス・・・0.10g
・コンキオリン・・・0.10g
・オウバクエキス・・・0.10g
・カツミレエキス・・・0.10g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計100.00g)
【0097】
(配合実施例2)
−化粧水−
下記組成から化粧水を常法により製造した。
・製造例2のブラックジンジャーの50質量%エタノール抽出物・・・0.10g
・グリセリン・・・3.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・クエン酸・・・0.10g
・クエン酸ソーダ・・・0.10g
・油溶性甘草エキス・・・0.10g
・海藻エキス・・・0.10g
・クジンエキス・・・0.10g
・キシロビオースミクスチャー・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0098】
(配合実施例3)
−クリーム−
下記組成からクリームを常法により製造した。
・製造例3のブラックジンジャーのエタノール抽出物・・・0.10g
・スクワラン・・・10.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.00g
・流動パラフィン・・・5.00g
・サラシミツロウ・・・4.00g
・セタノール・・・3.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.00g
・ラノリン・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・1.50g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.50g
・ステアリン酸・・・1.00g
・酵母抽出液・・・0.10g
・シソ抽出液・・・0.10g
・シナノキ抽出液・・・0.10g
・ジユ抽出液・・・0.10g
・香料・・・0.10g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0099】
(配合実施例4)
−パック−
下記組成からパックを常法により製造した。
・製造例1のブラックジンジャーの水抽出物・・・0.20g
・ポリビニルアルコール・・・15.00g
・エタノール・・・10.00g
・プロピレングリコール・・・7.00g
・ポリエチレングリコール・・・3.00g
・セージ抽出液・・・0.10g
・トウキ抽出液・・・0.10g
・ニンジン抽出液・・・0.10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0100】
(配合実施例5)
−ヘアトニック−
下記組成の育毛作用を有するヘアトニックを、常法により製造した。
・塩酸ピリドキシン・・・0.1g
・レゾルシン・・・0.01g
・D−パントテニルアルコール・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・l−メントール・・・0.05g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・ニンジンエキス・・・0.5g
・エタノール・・・25.0g
・製造例2のブラックジンジャーの50質量%エタノール抽出物・・・0.2g
・香料・・・適量
・精製水・・・残部(全量を100.0gとする)
【0101】
(配合実施例6)
−シャンプー−
下記組成の育毛作用を有するシャンプー(クリームシャンプー)を、常法により製造した。
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム・・・30.0g
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム・・・20.0g
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・6.0g
・ヤシ油脂肪酸モジエタノールアミド・・・4.0g
・ジステアリン酸エチレングリコール・・・2.0g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・製造例1のブラックジンジャーの水抽出物・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・0.01g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・精製水・・・残部(全量を100.0gとする)
【0102】
(配合実施例7)
−リンス−
下記組成の育毛作用を有するリンスを、常法により製造した。
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・1.5g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・1.0g
・セチルアルコール・・・2.0g
・オクチルドデカノール・・・1.0g
・カチオン化セルロース・・・0.5g
・プロピレングリコール・・・5.0g
・製造例1のブラックジンジャーの水抽出物・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・3.0g
・精製水・・・残部(全量を100.0gとする)
【0103】
(配合実施例8)
−リンス−
下記組成の育毛作用を有するリンスを、常法により製造した。
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・・・1.5g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル・・・1.0g
・セチルアルコール・・・2.0g
・オクチルドデカノール・・・1.0g
・カチオン化セルロース・・・0.5g
・プロピレングリコール・・・5.0g
・製造例3のブラックジンジャーのエタノール抽出物・・・0.2g
・ムクロジエキス・・・0.2g
・黄杞エキス・・・0.5g
・オウバクエキス・・・0.3g
・ローズマリーエキス・・・0.5g
・香料・・・3.0g
・精製水・・・残部(全量を100.0gとする)
【0104】
(配合実施例9)
−錠剤状栄養補助食品−
下記の混合物を打錠して、錠剤状栄養補助食品を製造した。
・製造例1のブラックジンジャーの水抽出物・・・30g
・粉糖(ショ糖)・・・178g
・ソルビット・・・10g
・グリセリン脂肪酸エステル・・・12g
【0105】
(配合実施例10)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、栄養補助食品を製造した。
・製造例2のブラックジンジャーの50質量%エタノール抽出物・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g
【0106】
(配合実施例11)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、栄養補助食品を製造した。
・製造例3のブラックジンジャーのエタノール抽出物・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g