(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体が、無水マレイン酸で変性されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
前記樹脂成分(A)に対し、(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を0質量%以上10質量%以下含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
前記水酸化マグネシウム(B)が、無処理の水酸化マグネシウム及びシランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の難燃性樹脂組成物は、(a)密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体5質量%以上70質量%以下、(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体7質量%以上70質量%以下、(c)密度が903kg/m
3未満のエチレン−α-オレフィン共重合体0質量%以上35質量%以下、及び(d)ポリプロピレン樹脂0質量%以上50質量%以下からなる樹脂成分(A)100質量部に対し、水酸化マグネシウム(B)100質量部以上280質量部以下を含有する。
本発明において、「変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体」とは、グラフトなどにより、エチレン−α-オレフィン共重合体が変性されていないものをいう。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物のうち、その樹脂成分(A)を構成する各成分について説明する。
【0014】
(a)密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体
本発明の難燃性樹脂組成物は、必須成分として、密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を含有する。(a)成分のエチレン−α-オレフィン共重合体としては、例えばエチレンと炭素数4以上12以下のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。α-オレフィンの具体例としては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。なお、前記(a)成分には、エチレンとプロピレンの共重合体は含まれない。
エチレン−α-オレフィン共重合体として具体的には、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EPR(エチレンプロピレンゴム)、EBR(エチレン−1‐ブテンゴム)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン−α-オレフィン共重合体等が挙げられる。このなかでも、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン−α-オレフィン共重合体が好ましい。
【0015】
前記(a)成分として、密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を用いる。後述のように、任意樹脂成分として、(c)密度が903kg/m
3未満の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を含むことができるが、(a)成分を樹脂成分(A)に対して、5質量%以上70質量%以下、又は5〜70質量%含むことが必要である。これにより、耐熱性、耐摩耗性、耐油性及び加工性が優れた樹脂組成物を得ることができる。また、圧接用電線として使用する場合には圧接性の優れたものを得ることができる。この量が少なすぎると、耐油性、耐摩耗性、圧接性が低下する。またこの量が多すぎると、伸びが低下する。樹脂成分(A)における(a)成分の含有量は、8質量%以上が好ましく、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、5〜55質量%が好ましく、8〜50質量%がより好ましい。(a)成分の密度は903kg/m
3以上であればよいが、密度が大きすぎると、伸び特性や低温特性、耐熱老化特性が著しく低下する。このため、(a)成分の密度は940kg/m
3以下であることが好ましい。さらに好ましくは935kg/m
3以下である。
【0016】
電線をはじめとする成形品には耐加熱変形性が求められる。密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を用いることにより、ある程度の耐加熱変形性を維持することができる。さらに後述の(d)成分のポリプロピレン樹脂を加えることにより、より高い耐加熱変形性を維持することができ、大幅に耐油性を維持することができる。さらに密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を特定量用いることにより、電線の圧接加工性を維持しつつ、電線をボビンに巻いたときの電線のよれ等も最小限に抑えることができ、この電線を用いた加工に不具合を生じさせる原因を低減することができる。また、(d)成分のポリプロピレン樹脂を加えることにより、一定の硬度、強度を保ちつつ、高い耐熱老化性を維持することができる。
【0017】
(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体
(b)成分の不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体は、不飽和カルボン酸がエチレン−α-オレフィン共重合体にグラフトされた樹脂である。なお、前記(b)成分には、エチレンとプロピレンの共重合体は含まれない。
不飽和カルボン酸による変性量は、エチレン−α-オレフィン共重合体に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、6質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0.2〜6質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体のメルトフローレート(JIS K 6922)は、十分な耐熱老化性と耐低温性を確保するため、0.3g/1分以上が好ましく、0.5g/10分以上がより好ましく、0.5g/10分以上がさらに好ましく、15g/1分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましく、8g/10分以下がさらに好ましく、0.3〜15g/1分が好ましく、0.5〜10g/10分がより好ましく、0.5〜8g/10分がさらに好ましい。
エチレン−α-オレフィン共重合体の変性は、例えば、エチレン−α-オレフィン共重合体樹脂と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。本発明において、前記(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体には、密度903kg/m
3以上の共重合体が含まれ、不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン樹脂としては、密度903kg/m
3以上のエチレン−α-オレフィン共重合体が好ましい。これにより、耐油性や耐磨耗性が著しく増加する。
【0018】
エチレン−α-オレフィン共重合体を変性する不飽和カルボン酸としては特に制限はないが、無水マレイン酸が好ましい。無水マレイン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体としては、具体的には、例えば、E226Y(商品名、デュポン社製)、アドテックスL−6100M(商品名、日本ポリエチレン社製)、アドマーXE070、アドマーAT2490、タフマーMH7020、MH5040(いずれも商品名、三井化学社製)等が挙げられる。
【0019】
(b)成分として、不飽和カルボン酸、好ましくは、無水マレイン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体を使用した難燃性樹脂組成物が、非常に強度が高く、さらに耐油性の維持に優れることを本発明者等は見出した。その機構はまだ定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体中の変性部分が水酸化マグネシウムとイオン的に強固に結合して、水酸化マグネシウムと該共重合体との界面近傍の強度が非常に高くなる。(b)成分として、結晶性の高い密度903kg/m
3以上のエチレン−α-オレフィン共重合体を使用した場合には、耐外傷性や耐摩耗性、機械強度のみならず、難燃性及ぶ飛躍的に耐油性も向上するため、好ましい。さらに圧接用電線に使用される場合、圧接刃での割れやストレインリリーフの盛り上がりがほとんどなく、優れた圧接加工用の電線を得ることができる。
【0020】
本発明において、(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体は、樹脂成分(A)中7質量%以上70質量%以下、又は7〜70質量%である。樹脂成分(A)における(b)不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、70質量%以下が好ましく、20〜70質量%が好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。(b)成分の含有量が少なすぎると、耐摩耗性、耐油性に問題が生じ、これが多すぎると伸び特性、熱老化特性、耐外傷性が低下する。特にこの量が25〜70質量%の場合、機械強度、耐熱老化性、耐油性、耐外傷性、耐摩耗性、加えて圧接性の点で非常にバランスのとれた難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【0021】
(c)密度が903kg/m
3未満の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体
(c)成分として用いる密度903kg/m
3未満の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体の含有量は、樹脂成分(A)中、0質量%以上35質量%以下、又は0〜35質量%である。(c)成分を含むことにより、伸びや難燃性を高めることができる。(c)成分が多すぎると、耐摩耗性や耐油性が低下する。樹脂成分(A)における(c)成分の含有量は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
【0022】
(c)成分として挙げられる変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体としては、(a)成分と同様のものを挙げることができるが、その中でも密度が903kg/m
3未満のものを使用する。(c)成分の密度は903kg/m
3未満であればよいが、密度が小さすぎると、耐油性や力学的強度、圧接性が著しく低下するため、868kg/m
3以上であることが好ましい。
(c)成分のエチレン−α-オレフィン共重合体としては、例えばエチレンと炭素数4以上12以下のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。α−オレフィンの具体例としては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。なお、前記(c)成分には、エチレンとプロピレンの共重合体は含まれない。
【0023】
(d)ポリプロピレン樹脂
(d)成分のポリプロピレン樹脂として、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)や、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などを使用することができる。(d)成分として、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などを併用することにより、成形性を向上させることができる。(d)成分に使用することができるエチレン−プロピレンランダム共重合体はエチレン成分含量が1質量%以上5質量%以下程度のものをいい、エチレン−プロピレンブロック共重合体はエチレン成分含量が5質量%以上15質量%以下程度のものをいう。
混合するポリプロピレンのMFR(ASTM-D-1238、L条件、230℃)は、0.1g/10分以上が好ましく、0.3g/10分以上がより好ましく、60g/10分以下が好ましく、25g/10分以下がより好ましく、15g/10分以下がさらに好ましく、0.1〜60g/10分が好ましく、0.1〜25g/10分がより好ましく、0.3〜15g/10分がさらに好ましい。
【0024】
(d)ポリプロピレン樹脂を配合することにより、外観と強度、圧接性を維持することができる。ポリプロピレン樹脂の含有量は樹脂成分(A)中、0質量%以上50質量%以下、又は0〜50質量%である。樹脂成分(A)における(d)成分の含有量は10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、10〜50質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。このポリプロピレンの含有量が多すぎると熱老化後の伸びが低下する。このポリプロピレンの含有量が20〜45質量%の場合、優れた圧接性、強度、耐油性を維持することが可能となる。さらにこのポリプロピレンの量を30質量%以上とすることにより圧接性や耐油性を一段と上げることが可能となる。
【0025】
このポリプロピレンの一部又は全てを不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンを用いても良い。この変性ポリプロピレンを用いることにより、強度や硬さ、電線の圧接性を向上させることができる。
【0026】
(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
樹脂成分(A)に加えられるその他の成分として、(e)成分のエチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を加えることができる。(e)成分を加えることにより、耐加熱老化性を向上させることができる。(e)成分は樹脂成分(A)中、0質量%以上10質量%以下、又は0〜10質量%とすることができる。樹脂成分(A)における(e)成分の含有量は、さらに好ましくは、0〜6質量%である。(e)成分が多すぎると、強度、耐油特性、圧接性、耐加熱変形性が著しく低下する。
【0027】
(f)その他の成分
本発明の目的を損なわない範囲内でスチレン系エラストマーや不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系エラストマー、不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリルゴム、ポリエステルなどを添加することができる。添加量は樹脂成分(A)中、0質量%以上が好ましく、20質量%以下が好ましく、0〜20質量%が好ましい。
【0028】
不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体を加えることにより、強度と伸びを向上させることができるため、樹脂成分(A)中の不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体の含有量は、0質量%以上が好ましく、20質量%以下が好ましく、0〜20質量%が好ましい。不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体とは、不飽和カルボン酸で変性することにより、不飽和カルボン酸がスチレン系共重合体にグラフトされた共重合体のことである。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などを挙げることができる。
スチレン系共重合体とは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体及びその水素添加物である。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p-第3ブチルスチレンなどが挙げられる。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンなどを挙げることができる。
【0029】
スチレン系共重合体の変性は、例えば、スチレン系共重合体と不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸による変性量は、通常0.5質量%以上15質量%以下、又は0.5〜15質量%である。
不飽和カルボン酸で変性されたスチレン系共重合体としては、たとえば、クレイトン1901FG(商品名、JSRクレイトン社製)、タフテック(商品名、旭化成社製)等を挙げることができる。
【0030】
(B)水酸化マグネシウム
本発明の難燃性樹脂組成物は樹脂成分(A)と水酸化マグネシウム(B)とを含有するものである。
一般に、樹脂成分に対して水酸化マグネシウムなどの金属水和物を配合して得られた難燃性樹脂組成物は、耐摩耗性が著しく低下する。しかし、本発明においては、金属水和物である水酸化マグネシウムを特定量含有しても耐摩耗性が低下することはなく、むしろ耐摩耗性、耐油性が向上し、難燃性と耐摩耗性、耐油性を両立させることができる。
【0031】
特定の成分を含む樹脂成分に水酸化マグネシウムを加えても、摩耗性が低下せず、むしろ向上するメカニズムについては、定かではないが、以下のように考えられる。
水酸化マグネシウムと(b)成分が強いイオン性結合を有し、水酸化マグネシウムとポリマー全体がナノ−ミクロ状態で微細にしかも強固に結合する。水酸化マグネシウムと樹脂成分と一体化することで、水酸化マグネシウムが本来有している硬質性、強度、補強性が発揮され、樹脂組成物の耐摩耗性が格段に向上するものと思われる。この作用により、本発明の難燃性樹脂組成物の成形体表面をこすっても白化現象は生じず、非常に高強度の成形体を得ることができる。
また水酸化マグネシウムの界面近傍に結晶性の高い(a)成分を存在させることにより、強度、耐摩耗性、耐外傷性、圧接性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることができると考えられる。さらに(a)成分と相溶する形で(b)成分を存在させることにより、安価で摩耗性、耐油性の高い材料を得ることが出来る。さらに(c)成分をこれらと相溶する形で混合することにより、比較的柔軟性を確保しつつ、伸び特性を高く維持し、また電子線架橋や化学架橋した際には高度のホットセット特性を維持出来ることが可能となる。
【0032】
(B)水酸化マグネシウムとして使用することができるものとしては、通常市販されている水酸化マグネシウムを使用することができる。本発明において、水酸化マグネシウムは、無処理のままでも、表面処理を施されていてもよい。両者を併用してもよい。表面処理としてはたとえば、脂肪酸処理、リン酸処理、チタネート処理、シランカップリング剤による処理などがあげられる。樹脂成分(A)との作用の点から、本発明においては、無処理の水酸化マグネシウムか、シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム、又は両者を併用したものを使用するのが好ましい。さらに、異なる表面処理を行った水酸化マグネシウムを併用することも可能である。
【0033】
本発明におけるシランカップリング剤は末端にビニル基、メタクリロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するものが好ましい。具体的にはたとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が好ましい。
水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。
【0034】
シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことが可能であるが、たとえば、表面処理をしていない水酸化マグネシウムをあらかじめドライブレンドしたり、湿式処理を行ったり、混練時にシランカップリング剤をブレンドすることなどにより得ることが可能である。使用するシランカップリング剤の含有量は、表面処理をするのに十分な量が適宜加えられるが、具体的には水酸化マグネシウムに対し0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、2.5質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.1〜2.5質量%が好ましく、0.2〜1.8質量%がより好ましく、0.3〜1.0質量%がさらに好ましい。
【0035】
すでにシランカップリング剤処理をおこなった水酸化マグネシウムを入手することも可能である。シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L、キスマ5N、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学社製)や、マグシーズS4(商品名、神島化学社製)などが挙げられる。
また、無処理の水酸化マグネシウムとしては、たとえばキスマ5(商品名、協和化学社製)、マグニフィンH5(商品名、アルベマール社製)などが挙げられる。
【0036】
本発明の難燃性樹脂組成物では、水酸化マグネシウムの含有量は、樹脂成分(A)100質量部に対し、100質量部以上280質量部以下、又は100〜280質量部であり、120質量部以上が好ましく、120〜280質量部が好ましい。含有量が少なすぎると、難燃性に問題が生じ、耐磨耗性が低下しやすくなる。多すぎると機械特性が著しく低下したり、耐磨耗性、外観、圧接性に問題が生じる。特に水酸化マグマグネシウムを樹脂成分(A)100質量部に対して120質量部以上加えると、耐摩耗性を著しく向上させることができる。
【0037】
その他難燃性を向上させるためにメラミンシアヌレート化合物を加えることもできる。メラミンシアヌレートは、粒径が細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。粒径が小さすぎると2次凝集が生じやすくなるため、0.6μm以上が好ましい。分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、MC6000(商品名、日産化学社製)、メラプアMF15(商品名、チバ社製)、スタビエースMC15(商品名、堺化学社製)などがある。
【0038】
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば以下のような構造のメラミンシアヌレートがある。
【0040】
本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含有することができ、さらに難燃性を向上させることができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を飛躍的に向上させることができる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。粒径が小さすぎると2次凝集が生じやすくなるため、0.5μm以上が好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B
2O
3 ・3.5H
2O)、アルカネックスFRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。また、スズ酸亜鉛(ZnSnO
3)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH)
6)として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
【0041】
本発明の難燃性樹脂組成物には、成形物品において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜、配合することができる。
【0042】
酸化防止剤としては、4,4'-ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル)スルフィド、2-メルカプトベンゾイミダゾール及びその亜鉛塩、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリル-チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0043】
金属不活性剤としては、N,N'-ビス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、2,2'-オキサミドビス-(エチル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系、シリコーン系などがあげられ、なかでも、炭化水素系やシリコーン系が好ましい。
【0044】
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記の各成分を、一軸混練押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練装置で、好ましくは150℃以上240℃以下、又は150℃〜240℃で溶融混練して得ることができる。
【0045】
次に本発明の難燃性樹脂組成物を用いてなる成形物品について説明する。
本発明の成形物品としては例えば、導体や光ファイバやその他成形体の外周に上記の本発明の難燃性樹脂組成物が被覆された絶縁電線やケーブルなどがある。この絶縁電線やケーブルは、本発明の難燃性樹脂組成物を従来の押出成形機を用いて導体、光ファイバ、集合絶縁電線やその他成形体の周囲に押出被覆することにより製造することができる。またチューブについても同様な方式で製造することができる。
例えば、絶縁電線に使用される場合、導体の外周に形成される絶縁樹脂組成物の被覆層の肉厚については、特に制限はないが、0.15mm以上が好ましく、3mm以下が好ましく、0.15〜3mmが好ましい。また、絶縁層が多層構造であってもよく、本発明の難燃性の絶縁樹脂組成物で形成した被覆層のほかに中間層などを有していてもよい。
また、本発明の成形物品を配線材に使用する場合には、本発明の樹脂組成物を押出被覆してそのまま被覆層を形成して使用することも可能であるが、耐熱性を向上させることを目的として、押出後の被覆層を架橋させることが好ましい。
【0046】
架橋を行う場合の方法として、従来の電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。この中でも電子線架橋が好ましい。
電子線架橋法の場合は、樹脂組成物を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する樹脂組成物に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として含有してもよい。
化学架橋法の場合は、樹脂組成物に有機パーオキサイドを架橋剤として含有し、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
【0047】
本発明の成形物品としては、その大きさや形状については特に制限されるものではなく、例えば、電源プラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、等を挙げることができる。本発明の成形物品は、通常の射出成形等の成形方法により、本発明の難燃性樹脂組成物から成形される。また、シートやチューブ等についても電線被覆と同様な方式で製造することができ、必要であれば、配線材と同様架橋を行うこともできる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1〜13、比較例1〜10
表1に実施例1〜13及び表2に比較例1〜10の樹脂組成物の各成分の含有量(表中の数値は質量部である)を示す。表1及び2に示された各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて195〜205℃で溶融混練して、各難燃性樹脂組成物を製造した。
【0050】
各成分材料としては、下記のものを使用した。
(a)成分 密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体
(a−1)商品名:SP1540(プライムポリマー社製)(密度913kg/m
3)
(a−2)商品名:SP2320(プライムポリマー社製)(密度920kg/m
3)
(a−4)商品名:ユメリット4040F(宇部丸善石油化学社製)(密度937kg/m
3)
(a−5)商品名:ユメリット0540F(宇部丸善石油化学社製)(密度904kg/m
3)
【0051】
(b)成分 不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体
以下の(b−1)及び(b−3)は、いずれも、無水マレイン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体である。
(b−1)商品名:フサボンドE226Y(デュポン社製)(密度930kg/m
3)
(b−3)商品名:アドマーXE070(三井化学社製)(密度893kg/m
3)
【0052】
(c)成分 密度が903kg/m
3未満の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体
(c−1)商品名:カーネルKS240T(日本ポリエチレン社製)(密度880kg/m
3)
(c−2)商品名:カーネルKF360T(日本ポリエチレン社製)(密度898kg/m
3)
【0053】
(d)成分 ポリプロピレン樹脂
(d−1)エチレン−プロピレンブロック共重合体、商品名:BC8A(日本ポリプロ社製)
(d−2)プロピレンの単独重合体、商品名:V200S(サンアロマー社製)
(d−3)エチレン−プロピレンランダム共重合体、商品名:PB222A(サンアロマー社製)
【0054】
(e)成分
(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体、商品名:V−5274(三井デュポンポリケミカル社製)
(e−2)エチレン−エチルアクリレート共重合体、商品名:NUC6510(ダウケミカル社製)
【0055】
(f)成分
(f−1)無水マレイン酸で変性されたスチレン系共重合体(MAH−SBC)、商品名:クレイトン1901FG(クレイトンポリマー社製)
【0056】
(B)酸化マグネシウム
(B−1)水酸化マグネシウム(シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム)、商品名:キスマ5L(協和化学社製)
(B−2)水酸化マグネシウム(シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム)、商品名:マグシーズS−6(神島化学社製)
【0057】
(X)その他
(X−1)銅害防止剤、商品名:CDA−1(ADECA社製)
(X−2)滑剤(ポリエチレン系WAX)、商品名:PE−WAX(ハネウェル社製)
(X−3)ヒンダートフェノール系酸化防止剤、商品名:イルガノックス1010(チバ社製)
【0058】
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.8mmφの錫メッキ軟銅線)上に、予め溶融混練した上記各実施例1〜13及び比較例1〜10の難燃性樹脂組成物を押し出し法により被覆して、各々、絶縁電線を製造した。外径は1.3mm、絶縁層の肉厚0.25mmとした。
得られた各々の絶縁電線に対して、以下の(1)〜(9)の評価を行い、得られた結果をそれぞれ表1及び表2に示した。
また、押出機を用いて、実施例1の難燃性樹脂組成物のチューブを製造した。チューブの外径は2.0mm、内径は1.5mmとした。得られたチューブに対して、以下の(1)、(2)、及び(4)の評価を行った。いずれの評価においても、チューブをそのまま用いた以外は、絶縁電線の評価と同様に行った。
【0059】
(1)引張試験
電線より管状片を作成し引張試験を行った。標線間25mm、引張速度50mm/分で試験を行い、引張り強さ及び伸びを測定した。伸び100%以上、引張り強さ18MPa以上が必要である。
また、耐熱老化特性として、管状片を恒温槽中、136℃で168時間熱処理を行い、取り出した後上記の条件で引っ張り試験を行った。その管状片の引っ張り残率が70%以上、伸び残率が50%以上を合格とした。
【0060】
(2)耐摩耗性
R=0.225のブレードを用い、JASO D608に基づきブレード往復法により試験を行った。加重は6Nとした。回数800回以上で合格であるが、1000回以上がより好ましい。
【0061】
(3)難燃性
JASO D608に基づき、水平燃焼試験を行った。60秒以上延焼したものを不合格とし「×」で示し、「○」を合格とした。
【0062】
(4)耐外傷性
JASO D 608に基づく耐摩耗試験のブレード往復法の試験方法で、R=0.125mmのブレードを使用し、荷重5Nで4往復摩耗を行った。その後のサンプルを観察した。外傷がない又は白化が無いものを「○」で示し合格とし、外傷がある又は白化が著しいものを「×」で示し不合格とした。
【0063】
(5)外観
外観は、絶縁電線の外径の変動の有無や表面の状態を目視で調査し、これらが良好であったものを「○」で示し合格とし、外径が変動しており不安定なもの、表面に肌荒れが発生したもの、ブリードが発生したものを「×」で示し不合格とした。
【0064】
(6)耐油性1
管状片を作製し、70℃に加熱されたJIS2号試験油に浸せきし、4時間後に取り出した。油をすぐに拭きたった後、16時間放置した後に(1)の条件で引っ張り試験を行った。引っ張り強さ残率が70%以上、伸び残率が65%以上で合格である。好ましくは引っ張り強さ残率が80%以上、伸び残率80%以上が好ましい。
【0065】
(7)耐油性2
管状片を作成し、85℃に加熱されたJIS2号試験油に浸せきし、4時間後に取り出した。油をすぐに拭きたった後、16時間放置した後に(1)の条件で引っ張り試験を行った。引っ張り強さ残率が80%以上、伸び残率が70%以上で合格であるが、耐油性2は厳しい条件下での試験であるため、合格することが好ましいが、上記の耐油性1が合格であればよい。より好ましくは、引っ張り強さ残率が80%以上、伸び残率80%以上である。
【0066】
(8)耐加熱変形性
耐加熱変形試験はUL1581に基づき、121℃で行った。荷重は2.5Nで行った。50%以下を合格とした。
【0067】
(9)圧接性
コネクタとしてTYCO社のCTコネクタを用い、圧接加工を行った。その後、加工性の観察を行い、電線の変形部がストレインリリーフの矢尻を越えていたり、圧接刃の部分で割れていないかを観察した。
電線の変形部がストレインリリーフの矢尻を越えたり、圧接刃の部分で割れた場合を「×」で示し不合格とし、「○」を合格とした。
【0068】
【0069】
【0070】
表1、2から以下のことがわかる。
(a)成分の密度が903kg/m
3以上の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体を含まない場合は、耐摩耗性、圧接加工性が不合格になり、また耐油性2も大きく低下していることがわかる(比較例2〜4)。逆に前記(a)成分が多すぎる場合は、伸びが不十分であった(比較例5)。(b)成分の不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α-オレフィン共重合体を含まない場合は、耐磨耗性、耐油性及び圧接性が不合格であった(比較例8)。前記(b)成分が多すぎる場合は、伸びが不十分であり、熱老化特性に問題があった(比較例7)。また、(c)成分の密度が903kg/m
3未満の変性されていないエチレン−α-オレフィン共重合体が多すぎると、耐磨耗性や耐油性が不合格であった(比較例1)。(d)成分のポリプロピレン樹脂が多すぎると加熱老化後の伸び残率が不十分な特性を示した(比較例6)。水酸化マグネシウム(B)が少なすぎる場合は、難燃性が不合格となり、大幅に耐摩耗性が低下していることがわかる(比較例9)。水酸化マグネシウム(B)が多すぎると、耐磨耗性、耐油性、耐外傷性、外観及び圧接性が不合格となった(比較例10)。
これに対して、実施例1〜13の難燃性樹脂組成物は、高度の難燃性を満足しながらも、十分な熱老化特性を有し、折り曲げても白化することなく傷つきにくい耐磨耗性に優れていた。さらに耐油性に関しては、特に厳しい耐油性2の試験にも合格するという優れた特性を示した。このため、本発明の難燃性樹脂組成物は、高度の難燃性、耐摩耗性、耐熱性、機械特性及び耐油性に優れた配線材、シート、チューブ等の成形物品を提供することができる。
【0071】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【0072】
本願は、2011年5月2日に日本国で特許出願された特願2011−102828に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。