特許第5864346号(P5864346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5864346
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】オートフォーカス機構
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20160204BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20160204BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20160204BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   G02B7/28 H
   G02B7/28 N
   G01B11/00 B
   G02B21/00
   G02B21/26
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-94297(P2012-94297)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-222108(P2013-222108A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】鵜戸 章平
【審査官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−220418(JP,A)
【文献】 特開平11−337812(JP,A)
【文献】 特開2000−155954(JP,A)
【文献】 特開2001−067686(JP,A)
【文献】 特開平10−333018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G01B 11/00
G02B 21/00
G02B 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を集光して測定ワークに照射する対物レンズと、該対物レンズを介して該測定ワークからの反射光を分岐するビームスプリッタと、分岐された一方の該反射光の焦点位置の手前側に配置された第1光量制限素子と、該第1光量制限素子を通過した該反射光を受光する第1受光素子と、分岐されたもう一方の該反射光の焦点位置の奥側に配置された第2光量制限素子と、該第2光量制限素子を通過した該反射光を受光する第2受光素子と、第1、第2受光素子から出力される信号をそれぞれA信号電圧、B信号電圧に変換し、式(1)、(2)に示すA+B信号電圧とS信号電圧とを求める処理部と、を備えるオートフォーカス機構において、
前記処理部に、
前記S信号電圧における最大電圧及び最小電圧となる前記対物レンズと前記測定ワークとの間の距離における前記A+B信号電圧をそれぞれ第1電圧及び第2電圧と定める第1演算手段と、
該第1電圧及び第2電圧のうちの高い方の電圧を、前記距離が前記対物レンズの焦点距離とされた際に得られる前記S信号電圧である合焦判断電圧を有効とする閾値電圧であるS信号有効判定電圧として定める第2演算手段と、
該S信号有効判定電圧以上の電圧となる前記A+B信号電圧の前記距離において、前記合焦判断電圧となる前記S信号電圧の位置を前記対物レンズの焦点距離とする第3演算手段と、
を備えることを特徴とするオートフォーカス機構。
A+B信号電圧=A信号電圧+B信号電圧 (1)
S信号電圧=(A信号電圧−B信号電圧)/(A信号電圧+B信号電圧) (2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス機構に係り、特に、扱いやすく安定したオートフォーカス制御を可能としながら、多種多様な測定ワークに対応可能なオートフォーカス機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すようなオートフォーカス機構が知られている。図4に示す如く、このオートフォーカス機構1は、レーザ光16を集光して測定ワーク2に照射する対物レンズ14と、対物レンズ14を介して測定ワーク2からの反射光を分岐するビームスプリッタ20と、分岐された一方の反射光の焦点位置FPの手前側に配置された第1ピンホール22と、第1ピンホール22を通過した反射光を受光する第1フォトダイオード24と、分岐されたもう一方の反射光の焦点位置FPの奥側に配置された第2ピンホール26と、第2ピンホール26を通過した反射光を受光する第2フォトダイオード28と、第1、第2フォトダイオード24、28から出力される信号をそれぞれA信号電圧、B信号電圧に変換し、式(1)、(2)に示すA+B信号電圧V(A+B)とS信号電圧VSとを求める処理部(図示せず)と、を備える。ここで、反射光の焦点位置FPは、対物レンズ14と測定ワーク2との間の距離Zが丁度焦点距離となったときに得られる位置である。なお、符号12は結像レンズである。
A+B信号電圧V(A+B)=A信号電圧+B信号電圧 (1)
S信号電圧VS=(A信号電圧−B信号電圧)/(A信号電圧+B信号電圧)(2)
【0003】
オートフォーカス機構1は、S信号電圧VSが所定の電圧(合焦判断電圧VFJ;測定ワーク2と対物レンズ14との間の距離Zが対物レンズ14の焦点距離とされた際に得られる電圧)となる位置を合焦位置PFJとしており、この合焦位置PFJになるように測定ワーク2を対物レンズ14に対して位置決めすることでオートフォーカス制御を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−220418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、対物レンズ14と測定ワーク2との間の距離Zに対して式(2)で示すS信号電圧VSは図5(縦軸は電圧E、横軸は距離Z、他の図も同様)に示すような変化をし、合焦位置PFJ以外の位置で合焦判断電圧VFJと同じ電圧が白抜き矢印で示す数箇所で存在する場合がある。
【0006】
そこで、合焦位置PFJの決定のためにS信号電圧VSが使用可能か否か判断するのに、式(1)で示すA+B信号電圧V(A+B)を用いている。A+B信号電圧V(A+B)が所定電圧(S信号有効判定電圧VSV)以上の部分(合焦位置判断可能領域EAV)を有する場合に、図6(A)に示す如く、その合焦位置判断可能領域EAVの間にあるS信号電圧VSから合焦位置PFJを判断するようにしている。即ち、S信号有効判定電圧VSVは、距離Zにおける合焦判断電圧VFJの有効な領域を決定するための電圧であり、A+B信号電圧V(A+B)から自身を減算して得た電圧がゼロ以上の距離Zにおける合焦判断電圧VFJを有効とする閾値電圧とされている。
【0007】
ここで、A+B信号電圧V(A+B)は、通常ほぼ合焦位置PFJで最大値となる正規分布状の形状をしているが、測定ワーク2の反射率によってはA+B信号電圧V(A+B)の信号レベルが変化してしまう。例えば、測定ワーク2の反射率が低い場合には、図6(B)に示す如く、A+B信号電圧V(A+B)が距離Zの全域で低くなり合焦位置判断可能領域EAVが狭くなる。そのため、オートフォーカス制御できる範囲が狭くなってしまう。最悪、A+B信号電圧V(A+B)がS信号有効判定電圧VSVよりも小さくなると合焦位置判断可能領域EAVが無くなり、オートフォーカス制御ができなくなる。
【0008】
反対に、測定ワーク2の反射率が高い場合は、図6(C)に示す如く、A+B信号電圧V(A+B)が大きくなり合焦位置判断可能領域EAVが広くなり過ぎる。そのため、合焦位置PFJ以外の位置(白抜き○)も合焦位置PFJと誤判断してしまうこととなる。
【0009】
逆に、S信号有効判定電圧VSVの設定値の違いにより、上記同様に合焦位置判断可能領域EAVが無くなったり、広くなりすぎたりする。
【0010】
従って、安定したオートフォーカス制御を実現するためには、このS信号有効判定電圧VSVの値をどのように設定するかが重要となる。このため、測定ワーク2毎にS信号有効判定電圧VSVを設定することが考えられる。しかし、測定ワーク2は多種多様であり、工場出荷時などの初期のS信号有効判定電圧VSVの設定調整だけでは対応できないおそれもある。このため、S信号有効判定電圧VSVを変更可能としてもよいが、その場合には距離Zに対するS信号電圧VSやA+B信号電圧V(A+B)の測定の実施やオートフォーカスの制御方法の把握が必要となる。このような作業は大変煩雑で、オートフォーカス制御を扱いづらくしてしまうおそれがあった。
【0011】
そこで本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、扱いやすく安定したオートフォーカス制御を可能としながら、多種多様な測定ワークに対応可能なオートフォーカス機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の請求項1に係る発明は、レーザ光を集光して測定ワークに照射する対物レンズと、該対物レンズを介して該測定ワークからの反射光を分岐するビームスプリッタと、分岐された一方の該反射光の焦点位置の手前側に配置された第1光量制限素子と、該第1光量制限素子を通過した該反射光を受光する第1受光素子と、分岐されたもう一方の該反射光の焦点位置の奥側に配置された第2光量制限素子と、該第2光量制限素子を通過した該反射光を受光する第2受光素子と、第1、第2受光素子から出力される信号をそれぞれA信号電圧、B信号電圧に変換し、式(1)、(2)に示すA+B信号電圧とS信号電圧とを求める処理部と、を備えるオートフォーカス機構において、前記処理部に、前記S信号電圧における最大電圧及び最小電圧となる前記対物レンズと前記測定ワークとの間の距離における前記A+B信号電圧をそれぞれ第1電圧及び第2電圧と定める第1演算手段と、該第1電圧及び第2電圧のうちの高い方の電圧を、前記距離が前記対物レンズの焦点距離とされた際に得られる前記S信号電圧である合焦判断電圧を有効とする閾値電圧であるS信号有効判定電圧として定める第2演算手段と、該S信号有効判定電圧以上の電圧となる前記A+B信号電圧の前記距離において、前記合焦判断電圧となる前記S信号電圧の位置を前記対物レンズの焦点距離とする第3演算手段と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
A+B信号電圧=A信号電圧+B信号電圧 (1)
S信号電圧=(A信号電圧−B信号電圧)/(A信号電圧+B信号電圧) (2)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、扱いやすく安定したオートフォーカス制御を可能としながら、多種多様な測定ワークに対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るオートフォーカス機構の概略模式図
図2】対物レンズの焦点距離を求める手順を説明するための模式図
図3】対物レンズの焦点距離を求める手順を説明するためのフローチャートを示す図
図4】従来技術に係るオートフォーカス機構の概略模式図
図5】距離Zに対するS信号電圧の変化を示す模式図
図6】異なる条件のA+B信号電圧及びS信号電圧に対する合焦判断電圧及びS信号有効判定電圧を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0016】
最初に、第1実施形態に係るオートフォーカス機構の構成について、図1を用いて説明する。
【0017】
オートフォーカス機構100は、図1に示す如く、光学ヘッド104と、光学ヘッド104をZ軸方向に移動可能に支持するスタンド106と、光学ヘッド104からの出力を処理する処理部108と、を備える。なお、測定ワーク102は、図示せぬXYステージを介してスタンド106に支持される。
【0018】
前記光学ヘッド104は、図1に示す如く、レーザダイオード110とチューブレンズ112と対物レンズ114と第1ビームスプリッタ118と第2ビームスプリッタ120と第1ピンホール122(第1光量制限素子)と第1フォトダイオード124(第1受光素子)と第2ピンホール126(第2光量制限素子)と第2フォトダイオード128(第2受光素子)とを備える。なお、第1、第2ピンホール122、126の代わりに、ナイフエッジ等を用いた光量制限素子を用いてもよい。
【0019】
レーザダイオード110は、図1に示す如く、測定ワーク102を照射するレーザ光116を出射する。出射されたレーザ光116は、チューブレンズ112によりコリメートされる(なお、チューブレンズが不要な構成でもよい)。コリメートされたレーザ光116は、対物レンズ114で集光され測定ワーク102に照射される。照射されたレーザ光116は、測定ワーク102で反射される。そして、その反射されたレーザ光116は、対物レンズ114とチューブレンズ112を介して、第1ビームスプリッタ118で反射される。第1ビームスプリッタ118で反射されたレーザ光116は、第2ビームスプリッタ120で2つに分岐される。即ち、第2ビームスプリッタ120(ビームスプリッタ)は、対物レンズ114を介して測定ワーク102からの反射光を分岐する。
【0020】
図1に示す如く、第1ピンホール122は、分岐された一方の反射光の焦点位置FPの手前側に配置されている。ここで、反射光の焦点位置FPは対物レンズ114と測定ワーク102との間の距離Zが丁度焦点距離となったときに得られる位置であり、焦点位置FPは第1フォトダイオード124の内側にくる。第1フォトダイオード124は、第1ピンホール122を通過した反射光を受光する。一方で、図1に示す如く、第2ピンホール126は、分岐されたもう一方の反射光の焦点位置FPの奥側に配置されている。即ち、ここでの反射光の焦点位置FPは、第2ピンホール126の外側(手前側)にくる。第2フォトダイオード128は、第2ピンホール126を通過した反射光を受光する。第1、第2フォトダイオード124、128はそれぞれ、受光した光量に応じた電気信号を出力する。
【0021】
前記スタンド106には、図1に示す如く、Z方向に移動可能な光学ヘッド移動機構132が設けられており、光学ヘッド移動機構132に光学ヘッド104が固定されている。光学ヘッド移動機構132には位置検出部130が取り付けられており、位置検出部130は光学ヘッド移動機構132のZ軸方向への移動量を検出して距離Zの位置データとして出力する構成とされている。
【0022】
前記処理部108は、図1に示す如く、A信号電圧変換部134とB信号電圧変換部136とA+B信号電圧変換部138とS信号電圧変換部140とS信号・A+B信号電圧検出部142とS信号・A+B信号・位置データ記憶部144と、演算・制御部146(第1〜第3演算手段)とS信号有効判定電圧記憶部148と外部通信部150とホストコントローラ152と入出力部154とを備える。
【0023】
A、B信号電圧変換部134、136はそれぞれ、図1に示す如く、第1、第2フォトダイオード124、128から出力される信号を電圧であるA、B信号電圧に変換する。A、B信号電圧は、A+B信号電圧変換部138で式(1)に従いA+B信号電圧V(A+B)に変換され、S信号電圧変換部140で式(2)に従いS信号電圧VSに変換される。S信号・A+B信号電圧検出部142は、対物レンズ114と測定ワーク102との間の距離Zの変化に対応するS信号電圧VS及びA+B信号電圧V(A+B)の測定によって、それぞれデータに変換する。S信号・A+B信号・位置データ記憶部144では、データとされたS信号電圧VS及びA+B信号電圧V(A+B)と、位置検出部130から出力される距離Zの位置データと、を組にして記憶する。演算・制御部146は、前述の組とされたデータから、S信号有効判定電圧VSVを定める。なお、S信号有効判定電圧VSVは、距離Zにおける合焦判断電圧VFJの有効な領域を決定するための電圧であり、A+B信号電圧V(A+B)から自身を減算して得た電圧がゼロ以上の距離Z、即ちS信号有効判定電圧VSV以上の電圧となるA+B信号電圧V(A+B)の距離Zにおける合焦判断電圧VFJを有効とする閾値電圧とされている(合焦判断電圧VFJは、距離Zが対物レンズ114の焦点距離とされた際に得られる電圧である)。定められたS信号有効判定電圧VSVは、S信号有効判定電圧記憶部148に記憶される。記憶されたS信号有効判定電圧VSVは、オートフォーカス制御で使用される。外部通信部150は、演算・制御部146に接続されており、ホストコントローラ152と通信可能とされている(無線でも有線でもよい)。即ち、外部通信部150は、ホストコントローラ152にS信号有効判定電圧VSVを通知するようにされている。ホストコントローラ152には入出力部154が接続されている。入出力部154は、キーボード、スピーカ、モニターなどから構成され、S信号有効判定電圧VSVがモニターに表示(出力)される。なお、入出力部154からは、各種設定値を入力することができる。なお、処理部108のうち、ホストコントローラ152と入出力部154とは他の構成要素とは別体とされ、ホストコントローラ152と入出力部154とは他のオートフォーカス機構と兼用とすることができる。
【0024】
次に、オートフォーカス制御のための対物レンズ114の焦点距離Zを求める処理手順について、図2図3を用いて説明する。
【0025】
まず、光学ヘッド移動機構132をZ方向に移動させることで光学ヘッド104を変位させる。そして、合焦位置PFJ近傍の対物レンズ114と測定ワーク102との距離Zの変化に対応するS信号電圧VS及びA+B信号電圧V(A+B)を、対物レンズ114と測定ワーク102との距離Zを短い方から一定間隔で測定する(図2(A)、図3のステップS2)。そして、順番に測定結果をS信号・A+B信号・位置データ記憶部144に記憶する。
【0026】
次に、S信号電圧VS、A+B信号電圧V(A+B)、及び位置データを演算・制御部146に読み出す。そして、S信号電圧VSにおける最大電圧及び最小電圧となる距離ZにおけるA+B信号電圧V(A+B)をそれぞれ第1電圧R及び第2電圧Wと定める。即ち、S信号電圧VSの最大位置Pを算出し、その最大位置Pに対応するA+B信号電圧V(A+B)を第1電圧Rに決定する(図2(B)、図3のステップS4)。そして、S信号電圧VSの最小位置Uを算出し、その最小位置Uに対応するA+B信号電圧V(A+B)を第2電圧Wに決定する(図2(C)、図3のステップS6)。
【0027】
次に、第1電圧R及び第2電圧Wのうちの高い方の電圧を、合焦判断電圧VFJを有効とする閾値電圧であるS信号有効判定電圧VSVとして定める。つまり、第1電圧Rと第2電圧Wとを比較する(図3のステップS8)。そして、第1電圧Rが第2電圧W以上であれば、S信号有効判定電圧VSVを第1電圧Rとする(図2(C)、図3のステップS10、本実施形態が該当)。逆に、第1電圧Rが第2電圧Wよりも小さければ、S信号有効判定電圧VSVを第2電圧Wとする(図3のステップS12)。
【0028】
次に、定められたS信号有効判定電圧VSVをS信号有効判定電圧記憶部148に記憶する(図3のステップS14)。
【0029】
オートフォーカス制御では、このS信号有効判定電圧VSV以上となるA+B信号電圧V(A+B)の合焦位置判断可能領域EAVにおいて、合焦判断電圧VFJとなるS信号電圧VSの位置を対物レンズ114の焦点距離とする((図2(D))。
【0030】
本実施形態においては、S信号電圧VSの最大位置Pと最小位置Uのいずれかで規定されるA+B信号電圧V(A+B)をS信号有効判定電圧VSVとしている。このため、S信号有効判定電圧VSVによって規定される合焦位置判断可能領域EAVが、S信号電圧VSの最大位置P及び最小位置Uの外側まで広がることを防止でき、かつ、確実に合焦位置判断可能領域EAVを決定することが可能となる。
【0031】
従って、本実施形態においては、扱いやすく安定したオートフォーカス制御を可能としながら、多種多様な測定ワーク102に対応可能である。このため、本実施形態のオートフォーカス機構100は、光学顕微鏡、FPD(フラットパネルディスプレイ)検査/リペア装置、LCD検査/リペア装置、IC検査/リペア装置、及び被接触変位測定装置に適用することが可能となる。
【0032】
本発明について本実施形態を挙げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことはいうまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態においては、処理部108が、演算・制御部146と接続された外部通信部150と、外部通信部150と通信可能とされたホストコントローラ152とを備え、ホストコントローラ152に入出力部154が接続されていたが、本発明はこれに限定されない。外部通信部やホストコントローラがなく、入出力部が直接的に演算・制御部に接続されていてもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、演算・制御部146がS信号有効判定電圧VSVを定め、対物レンズ114の焦点距離となる合焦判断電圧VFJを定めていたが、本発明はこれに限定されない。演算・制御部は単に、S信号・A+B信号・位置データ記憶部とS信号有効判定電圧記憶部と外部通信部との間のデータのやり取りを制御するだけとし、上述したような演算をホストコントローラで行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、特にレーザ光を用いたオートフォーカス機構であり、光学顕微鏡、FPD(フラットパネルディスプレイ)検査/リペア装置、LCD検査/リペア装置、IC検査/リペア装置、及び被接触変位測定装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1、100…オートフォーカス機構
2、102…測定ワーク
12…結像レンズ
14、114…対物レンズ
16、116…レーザ光
20…ビームスプリッタ
22、122…第1ピンホール
24、124…第1フォトダイオード
26、126…第2ピンホール
28、128…第2フォトダイオード
104…光学ヘッド
106…スタンド
108…処理部
110…レーザダイオード
112…チューブレンズ
118…第1ビームスプリッタ
120…第2ビームスプリッタ
130…位置検出部
132…光学ヘッド移動機構
134…A信号電圧変換部
136…B信号電圧変換部
138…A+B信号電圧変換部
140…S信号電圧変換部
142…S信号・A+B信号電圧検出部
144…S信号・A+B信号・位置データ記憶部
146…演算・制御部
148…S信号有効判定電圧記憶部
150…外部通信部
152…ホストコントローラ
154…入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6