特許第5866061号(P5866061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5866061活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及び印刷物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5866061
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及び印刷物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20160204BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20160204BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   C09D11/101
   C08F2/46
   C08F290/06
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-509659(P2015-509659)
(86)(22)【出願日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2014066979
(87)【国際公開番号】WO2015008596
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-150514(P2013-150514)
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
(72)【発明者】
【氏名】奥田 竜志
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 栄寿
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−194052(JP,A)
【文献】 特開2006−124698(JP,A)
【文献】 特開2013−108093(JP,A)
【文献】 特開2002−162738(JP,A)
【文献】 特開2007−010796(JP,A)
【文献】 特開2010−270186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00−11/54
C08F 2/00− 2/60
C08F 290/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノール型エポキシ樹脂と、重合性不飽和基を有するモノカルボン酸とを反応させて得られる重合性不飽和基含有樹脂であって、前記エポキシ樹脂中のグリシジルオキシ基に起因又は由来する末端構造部位が、下記構造式(i)〜(vi)
【化1】

(構造式(i)〜(iv)中、R及びRは、水素原子又はメチル基である。)
から成る群から選択されるものであって、かつ、該末構造部位の総数に対する、構造式(v)で表されるα−グリコール基の割合が13C−NMR測定結果で5mol%以下、構造式(i)で表されるα付加構造部位が70モル%以上である重合性不飽和基含有樹脂(A)、及び重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキ。
【請求項2】
前記重合性不飽和基を有するカルボン酸が、(メタ)アクリル酸である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキ。
【請求項3】
活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキに用いる重合性不飽和基含有樹脂(A)の製造方法であって、ビスフェノール型エポキシ樹脂と重合性不飽和基を有するモノカルボン酸とを、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、又は2−エチル−4−メチルイミダゾールの何れかである窒素原子含有塩基性触媒の存在下に反応させることを特徴とする重合性不飽和基含有樹脂(A)の製造方法。
【請求項4】
前記窒素原子含有塩基性触媒の使用量が、原料成分総質量100質量部に対し、0.05〜0.3質量部の範囲である請求項記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキを、版面に水を連続的に供給する平版オフセット印刷にて印刷する印刷方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
活性エネルギー線硬化性インキ等の原料として有用な活性エネルギー線硬化性組成物に関する。さらには、該組成物を用いた活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性組成物は、塗装基材への熱履歴が少なく、塗膜硬度や擦り傷性に優れるという特長から、家電製品、携帯電話等の各種プラスチック基材用ハードコート剤、紙等のオーバーコート剤、印刷インキ用バインダー、ソルダーレジスト等の様々な分野で使用されている。中でもエポキシ樹脂に、アクリル酸又はメタクリル酸を付加したエポキシアクリレート樹脂は、基材への密着性、接着性に優れる材料として、様々な分野において多用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、斯かるエポキシアクリレートを印刷インキ用バインダーとして用いる場合、特にオフセット印刷インキとして使用する場合、必要とされる乳化適性に劣る欠点があった。即ち、版面にインキと水を同時に連続的に供給し、インキと水の反発作用を利用することで画像形成を行うオフセット印刷においては、インキに高い乳化適性が要求されるところ、前記エポキシアクリレートは親水性が強く乳化水分を適切に放出する特性が劣っていることから、印刷時にインキが過剰乳化し、印刷濃度低下等の印刷トラブルが発生することが多くあった。一方、乳化特性に優れる活性エネルギー線硬化型のUVインキとしては、ワニスとしてロジン変性フェノール樹脂と活性エネルギー線硬化型モノマーとを併用する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前記ロジン変性フェノール樹脂は活性エネルギー線に対する重合性を有さないことから、インキ自体の硬化性が低下する問題があった。
【0004】
このように活性エネルギー線硬化型の印刷インキとして、高い硬化性を発現すると共に、高い乳化適性が得られるものが得られていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−218620号公報
【特許文献2】特許第4734490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、印刷インキに用いた場合に高い硬化性を発現すると共に、優れた乳化適性及びオフセット印刷適性を有する活性エネルギー線硬化性組成物、優れた硬化性、乳化性、オフセット印刷適性を兼備した活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及びその印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)を、重合性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)で変性して得られる重合性不飽和基含有樹脂であって、該樹脂の末端構造部位の総数に占める、α付加構造部位が70モル%以上、α−グリコール基の割合が13C−NMR測定結果で5モル%以下となる割合に調整することにより、優れた硬化性を発現すると共に、印刷インキ自体の乳化特性が飛躍的に改善され良好な印刷特性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、エポキシ樹脂と、重合性不飽和基を有するモノカルボン酸とを反応させて得られる重合性不飽和基含有樹脂であって、前記エポキシ樹脂中のグリシジルオキシ基に起因又は由来する末端構造部位の総数に対する、α付加構造部位が70モル%以上、α−グリコール基の割合が13C−NMR測定結果で5モル%以下となる割合である重合性不飽和基含有樹脂(A)、及び重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキを提供するものである。
【0010】
本発明は、更に、前記活性エネルギー線硬化性印刷インキを用い印刷してなる印刷物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷インキに用いた場合に高い硬化性を発現すると共に、優れた乳化適性及びオフセット印刷適性を有する活性エネルギー線硬化性組成物、優れた硬化性、乳化性、オフセット印刷適性を兼備した活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及びその印刷物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】乳化適性評価試験に使用したダクテット試験機(川村理研製)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキは、エポキシ樹脂と、重合性不飽和基を有するカルボン酸とを反応させて得られる重合性不飽和基含有樹脂であって、その末端構造部位における、α付加構造部位が70モル%以上、αグリコール構造部位の存在割合が5モル%以下であることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、重合性不飽和基含有樹脂において、エポキシ樹脂中のグリシジルオキシ基に起因又は由来する末端構造部位とは、原料エポキシ樹脂中のエポキシ基と、重合性不飽和基を有するカルボン酸との反応によって生じる様々な末端構造部位、又は、未反応のまま残存するエポキシ基を意味するものであり、具体的には、下記構造式(i)〜(vi)
【0015】
【化1】
(構造式(i)〜(iv)中、R及びRは、水素原子又はメチル基である。)
で表される各種の末端構造である。
本発明では、13C−NMRにて測定可能な末端構造の総数のうち、前記構造式(i)で表されるα付加構造部位が70モル%以上、前記構造式(v)で表されるα−グリコール構造部位の含有率が5モル%以下となる割合に調整することにより、該重合性不飽和基含有樹脂を用いた印刷インキにおける硬化性が良好であると共に、優れた乳化特性が発現されるものである。特に、前記含有率が3モル%以下であると、印刷インキとして用い、オフセット印刷を行った場合、印刷特性に特に優れたものとなる点から好ましい。
【0016】
なお、本発明では、上記各種末端構造(前記構造式(i)〜(vi))を全て含んでいる必要はなく、これらの中から選択される末端構造の総数を基準に、前記構造式(i)で表されるα付加構造部位が70モル%以上、前記α−グリコール構造部位の含有率が5モル%以下であればよい。
【0017】
ここで、前記構造式(i)〜(vi)の存在割合は、前記した通り、13C−NMRにて測定することができ、具体的には、下記に*にて示した炭素原子の各ピークの面積比率によって導出できる。なお、各ピークが、他の構造中の他の炭素原子と重複する場合は、当該他の炭素原子による面積分を除いて、比率を求めればよい。
【0018】
【化2】
(構造式(i)〜(iv)中、R及びRは、水素原子又はメチル基である。)
【0019】
ここで、13C−NMRの測定方法は、以下の条件にて行うことができる。
[機種]日本電子製「JNM−ECA500」
[測定条件]
試料濃度:30%(w/v)
測定溶媒:DMSO−d6
積算回数:4000回
【0020】
本発明においては、前記構造式(i)〜(vi)の各末端構造部位の存在割合は、前記した通り、構造式(v)で表されるα−グリコール構造部位が5モル%以下であればよく、特に3モル%以下であることが好ましいが、その他の末端構造部位は、例えば、構造式(i)で表されるα付加構造部位が70モル%以上であること、更に具体的には、構造式(i)で表されるα付加構造部位が70モル%以上であって、かつ、該構造式(i)で表されるα付加構造部位と、構造式(ii)で表されるβ付加構造部位との合計が84%以上となる割合であることが、硬化性及び乳化性の点から好ましい。また、前記構造式(iii)で表されるαβ付加構造部位は、5モル%以下であることが乳化性の点から好ましく、前記α付加構造に更に重合性不飽和基を有するモノカルボン酸がマイケル付加したマイケル付加構造である前記構造式(iv)で表される構造部位が8モル%以下となる割合であることが、硬化性が良好となる点から好ましい。また、前記構造式(vi)で表されるエポキシ基は、未反応のまま残存するエポキシ基であり、その存在割合は2モル%以下となる割合であること、特に1モル%以下であることが好ましい。
【0021】
次に、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、一分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であることが好ましく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、前記エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0022】
これらのなかでも特にエポキシ当量170〜500g/eqの範囲にあるビスフェノール型エポキシ樹脂、とりわけビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが乳化特性に優れ、印刷インキとして用いた場合に優れた印刷適性が得られる点から好ましい。
【0023】
一方、上記エポキシ樹脂と反応させる、重合性不飽和基を有するモノカルボン酸は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が挙げられるが、特に印刷適性の点からアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、とりわけアクリル酸が好ましい。
【0024】
本発明で用いる重合性不飽和基含有樹脂(A)は、前記した通り、エポキシ樹脂と前記重合性不飽和基を有するカルボン酸とを反応させることにより製造することができるが、具体的には、窒素原子含有塩基性触媒の存在下にて反応させることが、α−グリコール量を5モル%以下に低減し易い点から好ましい。
【0025】
ここで用いる前記窒素原子含有塩基性触媒は、窒素原子を有する塩基性化合物である。この窒素原子含有塩基性触媒としては、例えば、n−ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ベンジルアミンなどの第1級アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、などの直鎖状2級アミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカンなどの環状2級アミンおよびこれらのアルキル置換体のような第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、キヌクリジンおよび、3−キヌクリジノールのような脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、コリジン、ベータピコリンなどの複素環第3級アミン、イミダゾール、プリン、トリアゾール、グアニジンなどの2級アミジン、ピリミジン、トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの3級アミジン等の窒素原子含有塩基性触媒が挙げられる。これらの窒素原子含有塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上併用してもよい。
【0026】
これらの窒素原子含有塩基性触媒の中でも、トリエチルアミン又はテトラメチルアンモニウムクロライドが、重合性不飽和基含有樹脂中のα−グリコール量を5%以下に低減し易い点から好ましい。
【0027】
ここで、前記窒素原子含有塩基性触媒の使用量は、原料成分総質量100質量部に対して0.01〜0.6質量部、特に0.03〜0.5質量部、とりわけ0.05〜0.3質量部の割合となる範囲であることが、生成する重合性不飽和基含有樹脂中のα−グリコール量が低減され、乳化特性が良好となる点から好ましい。
【0028】
また、上記重合性不飽和基含有樹脂(A)を製造する方法は、エポキシ樹脂と重合性不飽和基を有するカルボン酸とを、窒素原子含有塩基性触媒の存在下で、エポキシ基とカルボキシル基が0.9/1.0〜1.0/0.9(モル比)の範囲の比率で、かつ、窒素原子含有塩基性触媒を、原料成分総重量100質量部に対して0.01〜0.6質量部、好ましくは0.03〜0.5質量部、とりわけ0.05〜0.3質量部となる割合で用い、反応温度80〜125℃の範囲、好ましくは90〜110℃の範囲にて、エポキシ当量が8000g/eq以上または酸価が2.0以下になるまで反応させる方法が、前記構造式(i)で表されるα付加構造部位を70モル%以上にし易く、かつ、重合性不飽和基含有樹脂中のα−グリコール量を5%以下に低減し易い点から好ましい。
【0029】
更に、上記したエポキシ樹脂と重合性不飽和基を有するカルボン酸との反応は、カルボキシル基とエポキシ基と反応する部位を含有しないラジカル重合性単量体を反応溶媒として用い、該反応溶媒中で行うことも可能である。
【0030】
前記カルボキシル基とエポキシ基と反応する部位を含有しないラジカル重合性単量体類としては、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート; トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート; ジペンタエリスリトールのヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0031】
この様にして得られる重合性不飽和基含有樹脂(A)は、前記した通り、エポキシ当量が8000g/eq以上または酸価が2.0以下の範囲にあるものが好ましい。また、重合性不飽和基含有樹脂(A)は、酢酸ブチルに溶解させた場合の不揮発分80質量%溶液での溶液粘度が0.5〜30Pa・sの範囲であることが印刷インキにした場合、粘度調整が容易であるほか、印刷インキにした場合の耐ミスチング性とロール転移性に優れる点から好ましく、特に、1.0〜10.0Pa・sの範囲にあるものがこれらの効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0032】
次に、本発明で用いる重合開始剤(B)は、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシム系化合物、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;
【0033】
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ((4−メチルチオ)フェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0034】
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;その他10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらのなかでも特に硬化性に優れる点からアミノアルキルフェノン系化合物が好ましく、また、特に発光ピーク波長が350〜420nmの範囲の紫外線を発生するUV−LED光源を活性エネルギー線源として用いた場合には、アミノアルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、及びアミノベンゾフェノン系化合物を併用することが硬化性に優れる点から好ましい。
【0035】
これらの重合開始剤(B)の使用量は、本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキの不揮発成分100質量部に対し、その合計使用量として1〜20質量部となる範囲であることが好ましい。即ち、重合開始剤(B)の合計使用量が1質量部以上の場合は良好な硬化性を得ることができ、また20質量部以下の場合は、未反応の重合開始剤(B)が硬化物中に残存することによるマイグレーション、耐溶剤性、耐候性等の物性低下といった問題を回避できる。これらの性能バランスがより良好なものとなる点から、特に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の不揮発成分100質量部に対し、その合計使用量が3〜15質量部となる範囲であることがより好ましい。
【0036】
また、活性エネルギー線として紫外線を照射して硬化塗膜とする場合には、前記した重合開始剤(B)の他に、光増感剤を利用することで硬化性を一層向上させることが可能である。斯かる光増感剤は、例えば、脂肪族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。これら光増感剤の使用量は、硬化性向上の効果が良好なものとなる点から本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の不揮発成分100質量部に対し、その合計使用量として1〜20質量部となる範囲であることが好ましい。
【0037】
本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキは、以上詳述した重合性不飽和基含有樹脂(A)、及び重合開始剤(B)を必須成分とするものであるが、本発明では、更に、ラジカル重合性単量体(C)を併用することができる。斯かるラジカル重合性単量体(C)は、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート;モノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート等の各種燐酸基含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の各種スルホン酸基含有ビニル系単量体; CH=CHCOO(CH[Si(CHO]nSi(CH、CH2=C(CH)COOC〔Si(CHO)nSi(CH、CH=C(CH)COO(CH3[Si(CHO]nSi(CH、CH=C(CH)COO(CH2)3[Si(CH)(C)○]nSi(CH、あるいはCH=C(CH)COO(CH[Si(CO]nSi(CH(ただし、各式中のnは0または1〜130なる整数であるものとする。)等のような一般式を以て示される、各種のポリシロキサン結合含有単量体;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(トリス−β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロルシランまたはN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびその塩酸塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、および、これら単量体のε−カプロラクトン付加物;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチルアミノブチルビニルエーテル、4−ジエチルアミノブチルビニルエーテル、6−ジメチルアミノヘキシルビニルエーテル等の3級アミンを有する各種ビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の各種水酸基を有するビニルエーテル;または2−ヒドロキシエトキシアリルエーテル、4−ヒドロキシブトキシアリルエーテル、トリメチロールプロパンのモノ−、あるいはジ−アリルエーテル、ペンタエリスリトールのモノ−、あるいはジ−アリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル、および、これら単量体のε−カプロラクトン付加物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メ夕)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールAまたはFのジ(メタ)アクリレート;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の各種不飽和二塩基酸類等の各種2価カルボン酸のジビニルエステル類等の2官能単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等、および、これら単量体のε−カプロラクトン付加物が挙げられる。
【0038】
これらのなかでも、特に印刷インキとしての硬化性に優れる点からジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、又はアルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキ上記した各成分の他の配合物として、顔料、染料、体質顔料、有機又は無機フィラー、有機溶剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス等の添加剤を使用することができる。
【0040】
本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。これらのなかでも特に、硬化性の点から紫外線が好ましい。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキを硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、UV−LED、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
【0042】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキに用いる顔料としては、公知公用の着色用有機顔料を挙げることができ、例えば「有機顔料ハンドブック(著者:橋本勲、発行所:カラーオフィス、2006年初版)」に掲載される印刷インキ用有機顔料等が挙げられ、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン顔料、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、カーボンブラック顔料、その他多環式顔料等が使用可能である。
【0043】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキには、体質顔料として無機微粒子を用いてもよい。無機微粒子としては、酸化チタン、クラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー(ChinaClay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料; 等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。これら無機微粒子は、インキ中に0.1〜20質量部の範囲で使用することにより、インキの流動性調整、ミスチング防止、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果を得ることが可能である。
【0044】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキに適する印刷基材としては、カタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等に用いる紙基材;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の各種食品包装用資材に用いられるフィルム、アルミニウムフォイル、合成紙、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材を挙げることが出来る。
【0045】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性平版オフセット印刷インキの印刷方法としては、例えば、平版オフセット印刷が挙げられる。
【0046】
本発明は、インキの乳化特性が向上する点において、特に版面に水を連続的に供給する平版オフセット印刷において好適に利用することができる。水を連続供給するオフセット印刷機は多数の印刷機メーカーによって製造販売されており、一例としてハイデルベルグ社、小森コーポレーション社、三菱重工印刷紙工機械社、マンローランド社、リョービ社、KBA社等を挙げることができ、またシート形態の印刷用紙を用いる枚葉オフセット印刷機、リール形態の印刷用紙を用いるオフセット輪転印刷機、いずれの用紙供給方式においても本発明を好適に利用することが可能である。更に具体的には、ハイデルベルグ社製スピードマスターシリーズ、小森コーポレーション社製リスロンシリーズ、三菱重工印刷紙工機械社製ダイヤモンドシリーズ等のオフセット印刷機を挙げることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
[エポキシアクリレートのグリコール末端基量の分析方法]
実施例1〜4及び比較例1〜3にて製造した重合性不飽和基含有樹脂(1)〜(4)及び(R1)〜(R3)のグリコール末端基量を、13C−NMRにて分析した。
具体的には、各重合性不飽和基含有樹脂の末端構造である、下記構造式で示されるα付加構造、β付加構造、αβ付加構造、αグリコール、前記α付加構造に更にアクリル酸がマイケル付加したマイケル付加構造、及び残存エポキシ基の他の*印で示した炭素原子の存在比率を13C−NMRチャートのピーク面積比から各官能基のモル比を算出、これらの百分率にて評価を行なった。
なお、ここで下記構造式(1)〜(7)におけるA〜Gで示した各炭素原子の化学シフトは、測定溶媒であるDMSO-d6のピークを39.5ppmとした場合に以下の通りとなる。
Aで示した炭素原子の化学シフト:71.1ppm
Bで示した炭素原子の化学シフト:65.6ppm
Cで示した炭素原子の化学シフト:63.0ppm
Dで示した炭素原子の化学シフト:62.5ppm
Eで示した炭素原子の化学シフト:59.7ppm
Fで示した炭素原子の化学シフト:60.0ppm
Gで示した炭素原子の化学シフト:43.9ppm
また、下記構造式(1)のα付加構造の*印を付した炭素原子(Bで示したもの)のピークは、下記構造式(6)に示した樹脂構造中に存在する構造部位の*印の炭素原子(Bで示したもの)と重なる為、α付加構造の存在割合は、Bのピーク面積から、下記構造式(6)中のAで示した炭素原子のピーク面積を差し引いた値を用いた。
【0049】
【化3】
13C−NMRの測定条件)
[機種]日本電子製「JNM−ECA500」
[測定条件]
試料濃度:30%(w/v)
測定溶媒:DMSO−d6
積算回数:4000回
【0050】
実施例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行い、エポキシ当量が18,000g/eq.、酸価が0.4mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.8Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(1)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(1)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0051】
実施例2
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、テトラメチルアンモニウムクロライド(触媒;以下、「TMAC」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が14,000g/eq.、酸価が0.8mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.3Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(2)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(2)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0052】
実施例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、2−エチル−4-メチルイミダゾール(触媒;以下、「2E4MZ」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が24,000g/eq.、酸価が0.3mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.4Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(3)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(3)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0053】
実施例4
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−660、エポキシ当量210g/eq.;以下、「PN型エポキシ樹脂」と略記する。)448.4質量部、アクリル酸150.9質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。0.6質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が18,000g/eq.、酸価が0.4mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)14.5Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(4)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(4)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0054】
比較例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリフェニルホスフィン(触媒;以下、「TPP」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が20,000g/eq.であり、酸価が0.5mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.8Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(R1)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R1)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0055】
比較例2
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、130℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)1.2質量部を加えた。130℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が25,000g/eq.であり、酸価が0.2mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)2.0Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(R2)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R2)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0056】
比較例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)6.0質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が20,000g/eq.であり、酸価が0.2mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.2Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(R3)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R3)の13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0057】
[乳化適性評価用の活性エネルギー線硬化性バインダーの調製]
本発明における乳化適性向上の効果をより明確に示す目的で、上記重合性不飽和基含有樹脂(1)〜(4)および(R1)〜(R3)各々83質量部に活性エネルギー線重合性アクリレートモノマーとしてエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー社製「SR494」)17質量部を添加し混合することにより、乳化適性評価用の活性エネルギー線硬化性バインダー(T1)〜(T4)および(TR1)〜(TR3)を得た。
【0058】
[活性エネルギー線硬化性バインダーの乳化性の評価方法]
調整した活性エネルギー線硬化性バインダー(T1)〜(T4)および(TR1)〜(TR3)の乳化適性評価は、ダクテット試験機(川村理研製)を用いて実施した。
ダクテット試験機の断面図を図1に示す。外筒3は内部がくりぬかれた、底面を有する円筒状の金属であり、内部に評価バインダー7を投入できる構造となっている。バインダー7(5グラム)投入後に円柱棒状の金属である内筒2を図1に示す通り、外筒3の底面から1ミリメートルの距離に近接するまで差し込む。その後内筒を2000rpmで時計回りに、外筒も60rpmで時計回りに回転させ、速度差をつけることでバインダー7にシェアーがかかり撹拌される。撹拌後3分間が経過した時点で、撹拌を継続しながら蒸留水を0.5(グラム/分)の速度でバインダー7の直上に滴下することで、バインダー7と滴下された蒸留水は即時に撹拌混合される(乳化)。蒸留水の滴下は10分間継続され、蒸留水の滴下量が合計5グラムに達した時点で終了される。
ダクテット試験機は、外筒3は外筒用駆動モーター5によって回転し、内筒2は内筒用駆動モーター1によって回転する構造を有し、また外筒3内部のバインダー7の温度が一定となるよう、恒温水槽4を備え水道水6の温度は常に30℃に保たれている。
バインダー7(5グラム)と蒸留水(5グラム)の撹拌混合が終了した後、内筒2内部にある余剰蒸留水(バインダー中に取り込まれずに余った水)の重量(グラム)を秤量する。これにより、バインダー7中に取り込まれた蒸留水の総重量Yは
【0059】
Y(グラム)=全投入蒸留水(5グラム)−余剰蒸留水の重量
で示され、バインダー7の乳化率Zは、
【0060】
Z(%)=Y÷(バインダー7(5グラム)+Y)×100
で示される。
(ここで、例えば、投入した蒸留水5グラム全てがバインダー中に取り込まれ、余剰蒸留水が0グラムであった場合には、Y=5(グラム)、Z=50(%)と計算される。)
【0061】
バインダー乳化率Z(%)の数値が低いほど、乳化水分を適切に排除する特性に優れており、下記に述べるインキのオフセット印刷適性にも優れ、過乳化やこれに起因する濃度低下等の印刷トラブルが発生しにくい。下記の基準に従って乳化適性を評価した。
3:乳化率Z(%)が25%未満であり、乳化適性は良好である。
2:乳化率Z(%)が25%以上〜35%未満であり、乳化適性は中位である。
1:乳化率Z(%)が35%以上であり、乳化適性が劣っている。
【0062】
[活性エネルギー線硬化性印刷インキの調製]
上記の実施例1で得られた重合性不飽和基含有樹脂(1)34.5質量部、青色顔料(BASF社製「HELIOGEN BLUE D7079」、Pigment Blue15:3)19質量部、活性エネルギー線硬化性アクリレートモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(サートマー社製「DPHA」)10質量部、およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(サートマー社製「SR355NS」)21.95質量部、およびトリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M−300」)5質量部、体質顔料として、(松村産業社製「イフィラー #5000PJ」含水ケイ酸マグネシウム)2質量部および塩基性炭酸マグネシウム(ナイカイ塩業社製「炭酸マグネシウムTT」)0.5質量部、ワックスとして(シャムロック社製「S−381−N1」ポリオレフィンワックス)1質量部、光重合開始剤として(BASF社製「Irgacure907」2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン)3.5質量部、光開始剤として(大同化成工業社製「EAB―SS」4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)2.5質量部、重合禁止剤として(和光純薬社製「Q1301」N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム)0.05質量部、全ての原料(合計100質量部)を配合した状態でミキサー(単軸ディゾルバー)を用いて撹拌し、その後3本ロールミルを用いて練肉することで活性エネルギー線硬化性インキ(I1)を得た。
以下、同様にしてその他の重合性不飽和基含有樹脂(2)〜(4)および(R1)〜(R3)についても、同一質量部の上記原料を用い、同様に製造することで活性エネルギー線硬化性インキ(I2)〜(I4)およびを(IR1)〜(IR3)得た。
【0063】
[硬化性および耐溶剤性の評価用展色物の製造方法]
この様にして得た活性エネルギー線硬化性インキ(I1)〜(I4)およびを(IR1)〜(IR4)を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、コート紙(王子製紙社製「OKトップコートプラス57.5kg、A判」)の表面に、およそ200cm2の面積にわたって藍濃度1.6(X−Rite社製SpectroEye濃度計で計測)で均一に塗布されるように展色し、展色物を作製した。なおRIテスターとは、紙やフィルムにインキを展色する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することが可能である。
【0064】
[UVランプ光源による硬化方法]
インキ塗布後の展色物に紫外線(UV)照射を行い、インキ皮膜を硬化させた。水冷メタルハライドランプ(出力100W/cm1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製、コールドミラー付属)を使用し、展色物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を以下に述べる所定条件で通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量系(ウシオ電機社製UNIMETER UIT−150−A/受光機UVD−C365)を用いて測定した。
【0065】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:硬化性]
硬化性は、照射直後に爪スクラッチ法にて展色物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら展色物に紫外線を照射し、硬化後に爪で強く擦っても傷付きが無い最速のコンベア速度(m/分)を記載した。従ってコンベア速度の数値が大きいほどインキの硬化性が良好である。
【0066】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:耐溶剤性]
耐溶剤性は、照射直後に溶剤ラビング法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度50(m/分)にて展色物に紫外線を照射し、インキを硬化させた。硬化後にエタノールを含ませた綿棒で、評価用インキ硬化塗膜の表面を30往復擦った後の状態変化を目視で観察して、下記の基準に従って耐溶剤性を評価した。
3:変化なし
2:擦れ痕が残る
1:インキ硬化塗膜が消失し、基材(用紙)が確認できる
【0067】
[活性エネルギー線硬化性インキのオフセット印刷方法]
製造された活性エネルギー線硬化性インキ(I1)〜(I4)および(IR1)〜(IR3)について、オフセット印刷適性を評価した。紫外線照射装置としてアイグラフィックス社製水冷メタルハライドランプ(出力160W/cm、3灯使用)を搭載したマンローランド社製オフセット印刷機(ローランドR700印刷機、幅40インチ機)を用いて、毎時9000枚の印刷速度にてオフセット印刷を実施した。印刷用紙には王子製紙社製OKトップコートプラス(57.5kg、A判)を使用した。版面に供給される湿し水は、水道水98質量部とエッチ液(FST−700、DIC社製)2質量部を混合した水溶液を用いた。
【0068】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:印刷適性]
オフセットインキ印刷適性の評価方法としては、まず印刷機の水供給ダイヤルを40(標準水量)にセットし、印刷物濃度が標準プロセス藍濃度1.6(X−Rite社製SpectroEye濃度計で計測)となるようインキ供給キーを操作し、濃度が安定した時点でインキ供給キーを固定した。
その後インキ供給キーを固定したままの条件で、水供給ダイヤルを40から55に変更し水供給量を増やした条件で300枚印刷し、300枚後の印刷物の藍濃度を測定した。水供給量を増やした状態においても印刷物の濃度低下が少ないほど、乳化適性に優れ、印刷適性に優れたインキと評価できる。下記の基準に従って活性エネルギー線硬化性インキの印刷適性を評価した。
3:印刷物の藍濃度が1.5以上である
2:印刷物の藍濃度が1.4以上〜1.5未満である
1:印刷物の藍濃度が1.4未満である
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【符号の説明】
【0071】
1:内筒用駆動モーター
2:内筒
3:外筒
4:恒温水槽
5:外筒用駆動モーター
6:水道水
7:評価バインダー
図1