【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
[エポキシアクリレートのグリコール末端基量の分析方法]
実施例1〜4及び比較例1〜3にて製造した重合性不飽和基含有樹脂(1)〜(4)及び(R1)〜(R3)のグリコール末端基量を、
13C−NMRにて分析した。
具体的には、各重合性不飽和基含有樹脂の末端構造である、下記構造式で示されるα付加構造、β付加構造、αβ付加構造、αグリコール、前記α付加構造に更にアクリル酸がマイケル付加したマイケル付加構造、及び残存エポキシ基の他の*印で示した炭素原子の存在比率を
13C−NMRチャートのピーク面積比から各官能基のモル比を算出、これらの百分率にて評価を行なった。
なお、ここで下記構造式(1)〜(7)におけるA〜Gで示した各炭素原子の化学シフトは、測定溶媒であるDMSO-d6のピークを39.5ppmとした場合に以下の通りとなる。
Aで示した炭素原子の化学シフト:71.1ppm
Bで示した炭素原子の化学シフト:65.6ppm
Cで示した炭素原子の化学シフト:63.0ppm
Dで示した炭素原子の化学シフト:62.5ppm
Eで示した炭素原子の化学シフト:59.7ppm
Fで示した炭素原子の化学シフト:60.0ppm
Gで示した炭素原子の化学シフト:43.9ppm
また、下記構造式(1)のα付加構造の*印を付した炭素原子(Bで示したもの)のピークは、下記構造式(6)に示した樹脂構造中に存在する構造部位の*印の炭素原子(Bで示したもの)と重なる為、α付加構造の存在割合は、Bのピーク面積から、下記構造式(6)中のAで示した炭素原子のピーク面積を差し引いた値を用いた。
【0049】
【化3】
(
13C−NMRの測定条件)
[機種]日本電子製「JNM−ECA500」
[測定条件]
試料濃度:30%(w/v)
測定溶媒:DMSO−d6
積算回数:4000回
【0050】
実施例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行い、エポキシ当量が18,000g/eq.、酸価が0.4mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.8Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(1)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(1)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0051】
実施例2
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、テトラメチルアンモニウムクロライド(触媒;以下、「TMAC」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が14,000g/eq.、酸価が0.8mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.3Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(2)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(2)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0052】
実施例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、2−エチル−4-メチルイミダゾール(触媒;以下、「2E4MZ」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が24,000g/eq.、酸価が0.3mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.4Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(3)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(3)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0053】
実施例4
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−660、エポキシ当量210g/eq.;以下、「PN型エポキシ樹脂」と略記する。)448.4質量部、アクリル酸150.9質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。0.6質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が18,000g/eq.、酸価が0.4mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)14.5Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(4)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(4)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表1に示した。
【0054】
比較例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリフェニルホスフィン(触媒;以下、「TPP」と略記する。)1.2質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が20,000g/eq.であり、酸価が0.5mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.8Pa・sであるである重合性不飽和基含有樹脂(R1)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R1)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0055】
比較例2
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、130℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)1.2質量部を加えた。130℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が25,000g/eq.であり、酸価が0.2mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)2.0Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(R2)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R2)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0056】
比較例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON850、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、及びメトキノン(重合禁止剤;以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、トリエチルアミン(触媒;以下、「TEA」と略記する。)6.0質量部を加えた。100℃で15時間反応を行うことで、エポキシ当量が20,000g/eq.であり、酸価が0.2mgKOH/g、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)1.2Pa・sである重合性不飽和基含有樹脂(R3)を得た。得られた重合性不飽和基含有樹脂(R3)の
13C−NMRを測定に基づく各末端構造部位の存在割合を表2に示した。
【0057】
[乳化適性評価用の活性エネルギー線硬化性バインダーの調製]
本発明における乳化適性向上の効果をより明確に示す目的で、上記重合性不飽和基含有樹脂(1)〜(4)および(R1)〜(R3)各々83質量部に活性エネルギー線重合性アクリレートモノマーとしてエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(サートマー社製「SR494」)17質量部を添加し混合することにより、乳化適性評価用の活性エネルギー線硬化性バインダー(T1)〜(T4)および(TR1)〜(TR3)を得た。
【0058】
[活性エネルギー線硬化性バインダーの乳化性の評価方法]
調整した活性エネルギー線硬化性バインダー(T1)〜(T4)および(TR1)〜(TR3)の乳化適性評価は、ダクテット試験機(川村理研製)を用いて実施した。
ダクテット試験機の断面図を
図1に示す。外筒3は内部がくりぬかれた、底面を有する円筒状の金属であり、内部に評価バインダー7を投入できる構造となっている。バインダー7(5グラム)投入後に円柱棒状の金属である内筒2を
図1に示す通り、外筒3の底面から1ミリメートルの距離に近接するまで差し込む。その後内筒を2000rpmで時計回りに、外筒も60rpmで時計回りに回転させ、速度差をつけることでバインダー7にシェアーがかかり撹拌される。撹拌後3分間が経過した時点で、撹拌を継続しながら蒸留水を0.5(グラム/分)の速度でバインダー7の直上に滴下することで、バインダー7と滴下された蒸留水は即時に撹拌混合される(乳化)。蒸留水の滴下は10分間継続され、蒸留水の滴下量が合計5グラムに達した時点で終了される。
ダクテット試験機は、外筒3は外筒用駆動モーター5によって回転し、内筒2は内筒用駆動モーター1によって回転する構造を有し、また外筒3内部のバインダー7の温度が一定となるよう、恒温水槽4を備え水道水6の温度は常に30℃に保たれている。
バインダー7(5グラム)と蒸留水(5グラム)の撹拌混合が終了した後、内筒2内部にある余剰蒸留水(バインダー中に取り込まれずに余った水)の重量(グラム)を秤量する。これにより、バインダー7中に取り込まれた蒸留水の総重量Yは
【0059】
Y(グラム)=全投入蒸留水(5グラム)−余剰蒸留水の重量
で示され、バインダー7の乳化率Zは、
【0060】
Z(%)=Y÷(バインダー7(5グラム)+Y)×100
で示される。
(ここで、例えば、投入した蒸留水5グラム全てがバインダー中に取り込まれ、余剰蒸留水が0グラムであった場合には、Y=5(グラム)、Z=50(%)と計算される。)
【0061】
バインダー乳化率Z(%)の数値が低いほど、乳化水分を適切に排除する特性に優れており、下記に述べるインキのオフセット印刷適性にも優れ、過乳化やこれに起因する濃度低下等の印刷トラブルが発生しにくい。下記の基準に従って乳化適性を評価した。
3:乳化率Z(%)が25%未満であり、乳化適性は良好である。
2:乳化率Z(%)が25%以上〜35%未満であり、乳化適性は中位である。
1:乳化率Z(%)が35%以上であり、乳化適性が劣っている。
【0062】
[活性エネルギー線硬化性印刷インキの調製]
上記の実施例1で得られた重合性不飽和基含有樹脂(1)34.5質量部、青色顔料(BASF社製「HELIOGEN BLUE D7079」、Pigment Blue15:3)19質量部、活性エネルギー線硬化性アクリレートモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(サートマー社製「DPHA」)10質量部、およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(サートマー社製「SR355NS」)21.95質量部、およびトリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M−300」)5質量部、体質顔料として、(松村産業社製「イフィラー #5000PJ」含水ケイ酸マグネシウム)2質量部および塩基性炭酸マグネシウム(ナイカイ塩業社製「炭酸マグネシウムTT」)0.5質量部、ワックスとして(シャムロック社製「S−381−N1」ポリオレフィンワックス)1質量部、光重合開始剤として(BASF社製「Irgacure907」2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン)3.5質量部、光開始剤として(大同化成工業社製「EAB―SS」4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)2.5質量部、重合禁止剤として(和光純薬社製「Q1301」N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム)0.05質量部、全ての原料(合計100質量部)を配合した状態でミキサー(単軸ディゾルバー)を用いて撹拌し、その後3本ロールミルを用いて練肉することで活性エネルギー線硬化性インキ(I1)を得た。
以下、同様にしてその他の重合性不飽和基含有樹脂(2)〜(4)および(R1)〜(R3)についても、同一質量部の上記原料を用い、同様に製造することで活性エネルギー線硬化性インキ(I2)〜(I4)およびを(IR1)〜(IR3)得た。
【0063】
[硬化性および耐溶剤性の評価用展色物の製造方法]
この様にして得た活性エネルギー線硬化性インキ(I1)〜(I4)およびを(IR1)〜(IR4)を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、コート紙(王子製紙社製「OKトップコートプラス57.5kg、A判」)の表面に、およそ200cm2の面積にわたって藍濃度1.6(X−Rite社製SpectroEye濃度計で計測)で均一に塗布されるように展色し、展色物を作製した。なおRIテスターとは、紙やフィルムにインキを展色する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することが可能である。
【0064】
[UVランプ光源による硬化方法]
インキ塗布後の展色物に紫外線(UV)照射を行い、インキ皮膜を硬化させた。水冷メタルハライドランプ(出力100W/cm1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製、コールドミラー付属)を使用し、展色物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を以下に述べる所定条件で通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量系(ウシオ電機社製UNIMETER UIT−150−A/受光機UVD−C365)を用いて測定した。
【0065】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:硬化性]
硬化性は、照射直後に爪スクラッチ法にて展色物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら展色物に紫外線を照射し、硬化後に爪で強く擦っても傷付きが無い最速のコンベア速度(m/分)を記載した。従ってコンベア速度の数値が大きいほどインキの硬化性が良好である。
【0066】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:耐溶剤性]
耐溶剤性は、照射直後に溶剤ラビング法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度50(m/分)にて展色物に紫外線を照射し、インキを硬化させた。硬化後にエタノールを含ませた綿棒で、評価用インキ硬化塗膜の表面を30往復擦った後の状態変化を目視で観察して、下記の基準に従って耐溶剤性を評価した。
3:変化なし
2:擦れ痕が残る
1:インキ硬化塗膜が消失し、基材(用紙)が確認できる
【0067】
[活性エネルギー線硬化性インキのオフセット印刷方法]
製造された活性エネルギー線硬化性インキ(I1)〜(I4)および(IR1)〜(IR3)について、オフセット印刷適性を評価した。紫外線照射装置としてアイグラフィックス社製水冷メタルハライドランプ(出力160W/cm、3灯使用)を搭載したマンローランド社製オフセット印刷機(ローランドR700印刷機、幅40インチ機)を用いて、毎時9000枚の印刷速度にてオフセット印刷を実施した。印刷用紙には王子製紙社製OKトップコートプラス(57.5kg、A判)を使用した。版面に供給される湿し水は、水道水98質量部とエッチ液(FST−700、DIC社製)2質量部を混合した水溶液を用いた。
【0068】
[活性エネルギー線硬化性インキの評価方法:印刷適性]
オフセットインキ印刷適性の評価方法としては、まず印刷機の水供給ダイヤルを40(標準水量)にセットし、印刷物濃度が標準プロセス藍濃度1.6(X−Rite社製SpectroEye濃度計で計測)となるようインキ供給キーを操作し、濃度が安定した時点でインキ供給キーを固定した。
その後インキ供給キーを固定したままの条件で、水供給ダイヤルを40から55に変更し水供給量を増やした条件で300枚印刷し、300枚後の印刷物の藍濃度を測定した。水供給量を増やした状態においても印刷物の濃度低下が少ないほど、乳化適性に優れ、印刷適性に優れたインキと評価できる。下記の基準に従って活性エネルギー線硬化性インキの印刷適性を評価した。
3:印刷物の藍濃度が1.5以上である
2:印刷物の藍濃度が1.4以上〜1.5未満である
1:印刷物の藍濃度が1.4未満である
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】