(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル洗浄部は、ノズルに対して洗浄液を供給するための洗浄液供給部と、ノズルに対してリンス液を供給するためのリンス液供給部と、ノズルに対して乾燥用のガスを供給するための乾燥ガス供給部と、を備え、これらはノズルの進退方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項12記載の液処理装置。
前記ノズル洗浄部は、液体が収容される液収容部を備え、一つの液収容部に、前記洗浄液供給部と、リンス液供給部と、乾燥ガス供給部と、が設けられることを特徴とする請求項13記載の液処理装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に説明する実施の形態においては、本発明の液処理装置を、塗布、現像装置に設置される現像装置に適用した例について図面を参照して説明する。
図1は現像装置の一実施形態を示す概略斜視図、
図2は現像装置に設けられる現像処理部の一実施形態を示す縦断側面図、
図3はその平面図である。本発明の液処理装置は複数の現像処理部1を備えており、この例では
図1に示すように4個の現像処理部1(1A〜1D)が左右方向(第1の方向)であるX方向に並ぶように配列されている。これら現像処理部1A〜1Dは同様に構成されており、以下、図面を参照して説明する。
【0012】
現像処理部1は、ウエハWを水平に吸着保持する基板保持部であるスピンチャック2を備えている。このスピンチャック2はウエハWの裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転自在に構成されており、ここでいう「水平」には、ウエハWを略水平に保持する場合も含まれる。スピンチャック2は平面視円形状に形成され、回転昇降軸21を介して駆動機構(スピンチャックモータ)22に接続されており、スピンチャック2はこの駆動機構22によって回転及び昇降自在に構成されている。またスピンチャック2は図示しない吸引管と接続されており、図示しない吸着孔を介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。このスピンチャック2に対して、ウエハWは前記スピンチャック2の並び方向と交差する前後方向(第2の方向)の前方側から搬入出されるように構成されている。
【0013】
スピンチャック2の周囲には、処理流体である現像液の飛散を抑制すると共に、現像液を回収するために、スピンチャック2に保持されたウエハWの側方及び下方を周方向全体に亘って囲むようにして平面視環状のカップ体3が設けられている。このカップ体3の上面はウエハWよりも大口径の開口部31となっており、この開口部31を介して、後述する塗布、現像装置の搬送機構とスピンチャック2との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。
またカップ体3は側壁32を備え、この側壁32の上端側は内側に傾斜して傾斜部321をなしており、カップ体3の底部側は、例えば凹部状をなす液受け部33として形成されている。液受け部33は、内側カップ34によりウエハWの周縁下方側に全周に亘って、外側領域と内側領域とに区画されている。外側領域の底面部には貯留した現像液のドレインを排出するための排液路35が接続されている。
【0014】
図4は、
図2に示すカップ体3をA−A´線に沿って切断して示す平面図であるが、
図2及び
図4に示すように、前記内側領域には気流制御用の隔壁部36が設けられている。この隔壁部36は、例えば平面的に見てスピンチャック2の回転昇降軸21と同心円状の円の一部をなす円弧状に形成されている。例えば隔壁部36は平面的に見て半円よりも僅かに大きい円弧状に形成され、スピンチャック2の周囲の片側に寄った位置、例えば
図4中右側部分に設けられている。
【0015】
隔壁部36の内側には、カップ体3内の雰囲気を排気するために排気口37が形成されている。この排気口37は内側領域の底面部に、スピンチャック2の周方向の一部に沿って形成され、例えば排気口37の長さ方向の両端が隔壁部36の両端よりも内側に位置するように設けられる。カップ体3の底面部はスピンチャック2の周囲を囲むように環状に形成されているが、この環状の底面部を平面的に見て2分割したときの片側(半分側)に排気口37が形成されることになる。排気口は、複数個の排気口を配列して形成するようにしてもよい。排気口37は、
図4に点線にて示すように専用排気路38により覆われ、この専用排気路38の他端側は後述するように現像装置が設置された工場の排気路を介して図示しない排気機構に接続されている。またカップ体3内における排気口37の周囲は、例えば隔壁部36よりも低い壁部371により区画されている。
【0016】
カップ体3の周囲には、スピンチャック2に保持されたウエハW及びウエハWの上方空間を囲む囲み部材をなすケース体4が設けられている。ケース体4は例えば平面視四角形状の上面が開口したボックス形状をなしており、カップ体3の側方を周方向全体に亘って囲む側壁41を備え、この側壁41の上縁はカップ体3の傾斜部32よりも高くなるように構成されている。またスピンチャック2の側方には、昇降機構391と接続された支持ピン39がウエハWの裏面を支持して昇降可能に設けられており、外部の搬送機構との協働作用によって、当該搬送機構との間でウエハWの受け渡しができるように構成されている。
【0017】
さらに現像装置は、夫々の現像処理部1毎に、スピンチャック2に保持されたウエハWに処理流体を供給するためのノズルを備えている。この例のノズルは第1のノズル5及び第2のノズル6を備え、前記第1のノズル5は第1の処理流体である現像液を供給するためのノズル、第2のノズル6は第2の処理流体である洗浄液(リンス液)及び乾燥ガスを供給するためのノズルとして夫々用いられる。これら第1のノズル5及び第2のノズル6は、スピンチャック2上のウエハWに処理流体を供給する供給位置と、前記前後方向のウエハWが搬入出される前方側とは反対側の後方側の待機位置と、の間でノズル移動機構により前後方向に進退自在に構成されている。この例では第1のノズル5及び第2のノズル6の進退方向である前後方向は、前記複数のスピンチャック2の並び方向である左右方向と直交する方向(Y方向)に設定されている。
【0018】
前記ノズル移動機構は、第1のノズル5を進退させる第1のアーム部51と、第2のノズル6を進退させる第2のアーム部61と、を備えており、これら第1のアーム部51及び第2のアーム部61は左右方向に互いに離間して設けられている。前記第1のアーム部51はケース体4の外方に設けられた基台52に移動機構53を介して設けられている。この移動機構53は、基台52に沿って進退移動すると共に上方側に伸びる進退機構531と、この進退機構531に沿って昇降する昇降機構532と、を備えている。こうして、第1のノズル5は第1のアーム部51が進退及び昇降することにより、スピンチャック2に保持されたウエハWの中心部を含む領域に現像液を吐出する供給位置と、ケース体4の外方の待機位値との間で前後方向(Y方向)に移動自在に構成されている。
【0019】
第1のノズル5は、
図5(a)に示すように、その下端面に、細長いスリット状に開口した吐出口54を備えている。この例では、第1のノズル5がY方向に伸びるように構成されているので、前記吐出口54の長さ方向はY方向に平行し、第1のノズル5が供給位置にあるときにはウエハWの中心部を含む領域に帯状に現像液を吐出するようになっている。この例では吐出口54の長さ(Y方向の大きさ)はウエハWの直径よりも小さく設定されており、例えば吐出口54の長さは例えば5mm〜15mm、幅は例えば0.1mm〜1mmに夫々設定されている。
また前記吐出口54は、第1のノズル5が供給位置と待機位置との間で移動するときに、スピンチャック2に保持されたウエハWの直径上を通るように構成されている。そして第1のアーム部51は、例えば待機位置にある第1のノズル5の吐出口54とスピンチャック2に保持されたウエハWの中心とを結ぶ直線L(
図3参照)よりも左側又は右側、この例では左側に寄って設けられている。
【0020】
前記第2のアーム部61も第1のアーム部51と同様に、ケース体4の外方に設けられた基台62に移動機構63を介して設けられている。この移動機構63は、基台62に沿って進退移動すると共に上方側に伸びる進退機構631と、この進退機構631に沿って昇降する昇降機構632と、を備え、第2のアーム部61及び基台62はY方向に沿って伸びるように設けられている。この例の第2のノズル6は、洗浄液例えば純水を吐出する洗浄ノズル部64と、乾燥ガス例えば窒素ガスを供給する乾燥ガスノズル部65と、を備えた複合ノズルとして構成されている。これら洗浄ノズル部64と乾燥ガスノズル部65とは、第2のノズル6がY方向に伸びるように構成されているので、
図5(b)に示すように、Y方向に互いに連接するように設けられている。これら洗浄ノズル部64と乾燥ガスノズル部65は、鉛直下方に開口した円形の細孔である吐出口641、651を夫々備えており、その口径は例えば0.1mm〜10mmに設定されている。
【0021】
こうして第2のノズル6は第2のアーム部61を介して、スピンチャック2に保持されたウエハWに洗浄液又は乾燥ガスを吐出する供給位置と、カップ体3の外方の待機位置との間で、前後方向(Y方向)に移動自在に構成されている。そして第2のノズル6が供給位置にあるときにはウエハWの中心部を含む領域に純水又は窒素ガスを夫々吐出するようになっている。前記吐出口641、651は、第2のノズル6が供給位置と離間位置との間で移動するときに、スピンチャック2に保持されたウエハWの直径上を通るように構成され、第2のアーム部61は前記直線Lよりも右側又は左側、この例では右側に寄って設けられている。この例では、第1のアーム部51の移動機構53と第2のアーム部61の移動機構63とにより、ノズル移動機構が構成されている。
【0022】
これら第1のアーム部51及び第2のアーム部62は左右方向に離間して設けられているが、第1のノズル5の吐出口64と、第2のノズル6の吐出口641、651とは、夫々ウエハWの中心部を含む領域に現像液等を供給するように構成されている。このため第1のノズル5及び第2のノズル6は、供給位置にて入れ替えるときに平面的に見て互いに干渉する位置に設けられている。従って第1のノズル5と第2のノズル6の互いに干渉を避けるために、既述のように第1のノズル5及び第2のノズル6は昇降自在に構成されている。例えば第1のノズル5の基台52と第2のノズル6の基台62の高さ位置は互いに揃えられ、第2のアーム部61が第1のアーム部51の上方側に位置するように構成されている。但し、第1のノズル5と第2のノズル6とは、少なくとも一方が昇降自在に構成されればよい。
【0023】
こうして例えば第2のノズル6を第1のノズル5よりも上方側に配置することにより、第1のノズル5と第2のノズル6とが互いに干渉せずに進退移動できる。また
図3に示すように、第1のノズル5は第2のアーム部61とは平面的に見て重ならず、第2のノズル6は第1のアーム部51とは平面的に見て重ならないように、第1のノズル5及び第2のノズル6、第1のアーム部51及び第2のアーム部61の形状が夫々設定されている。これにより第2のノズル6を第1のノズル5の上方側を移動させて、第1のノズル5よりも進退方向の前方に位置させてから下降させることによって、夫々のノズル5、6を互いに干渉せずに、供給位置と待機位置との間で進退移動することができる。
【0024】
第1のノズル5、第2のノズル6の洗浄ノズル部64、乾燥ガスノズル65は夫々供給路541、642、652により、バルブやマスフローコントローラなどを含んだ流量制御部を介して現像液供給源、洗浄液供給源、乾燥ガス供給源に夫々接続されている。こうして後述する制御部からの制御信号に基づき、流量制御部が第1のノズル5からウエハWへの現像液の給断、第2のノズル6からウエハWへの洗浄液や乾燥ガスの給断を制御するように構成されている。なお流量制御部、現像液供給源、洗浄液供給源及び乾燥ガス供給源については図示を省略する。
【0025】
図1〜
図3に戻って説明を続けると、ケース体4の側壁41には第1のノズル5及び第2のノズル6を通過させるためのノズル用の開口部42が形成されている。またケース体4におけるノズル用の開口部42が形成された側壁41と対向する側壁41にはウエハWを搬入出するための基板用の開口部43が形成されており、これらノズル用の開口部42及び基板用の開口部43は夫々シャッター44、45により開閉自在に構成されている。前記ノズル用の開口部42は常時シャッター44により閉じられており、第1及び第2のノズル5、6を待機位置と供給位置との間で進退移動させるときに開くように構成されている。また基板用の開口部43も常時シャッター45により閉じられており、ウエハWをスピンチャック2と外部の搬送機構との間で受け渡すときに開くように構成されている。
【0026】
図2及び
図6に示すように、カップ体3内の雰囲気を排気するための専用排気路38はカップ体3の底面部に形成された排気口37と接続されるが、これら排気口37及び専用排気路38は、例えば
図6に示すように、前記前後方向の後方側に設けられている。また専用排気路38はカップ体3毎に設けられており、
図6に示すように、夫々の専用排気路38は、スピンチャック2の並びから見て前方側(
図6中紙面上方側)に引き出されている。そしてこれら専用排気路38は、最も下流側の現像処理部1Aの下流側にて共通の排気路30に接続されて、この排気路30を介して既述の排気機構に接続されている。
図6ではカップ体3の外縁と排気口37とを実線にて示し、専用排気路38については点線にて示している。また図示の便宜上、待機位置にある第1のノズル5と第2のノズル6とを、重ならないように描いている。例えばカップ体3の外部の専用排気路38及び排気路30は、後述する塗布、現像装置においては、例えばウエハWの搬送領域と液処理ユニットとの間に設けられる。
【0027】
また現像装置の各駆動機構22や移動機構53、63、専用排気路38や排気路30に設けられた図示しない圧力調整部等は、塗布、現像装置全体の動作を制御する制御部100により制御されるようになっている。制御部100は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には、第1のノズル5及び第2のノズル6を用いて後述の現像処理を行う動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして当該コンピュータプログラムが制御部100に読み出されることにより、制御部100は現像装置1の動作を制御する。なおこのコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶機構に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0028】
以上に説明した構成に基づいて、ウエハWに一連の現像処理を行う手順について、
図7を参照しながら説明する。ウエハWは図示しない外部の搬送機構により、現像処理部1A、1B、1C、1Dの順にこの繰り返しで搬入される。現像処理部1A〜1Dに搬入されるウエハWは、レジストが塗布され、そのレジストが所定の露光処理を受けたものである。
【0029】
先ず各カップ体3内を図示しない排気機構により、共通の排気路30、専用排気路38及び排気口37を介して排気する。これにより、カップ内3は
図2に点線で示すような気流が形成されて排気される。排気口37は既述のようにカップ体3の底面部の片側(半分側)に形成されているが、気流の流れから見て排気口37の上流側には気流制御用の隔壁部36が設けられていて、これが圧損となる。このため排気口37が設けられたカップ体3の片側領域ではこの隔壁部36により排気が抑えられるので、排気口37が形成された領域と形成されていない領域との間で排気の程度が揃えられ、カップ体3の気流を周方向においてより均一にすることができる。
【0030】
各カップ体3内が所定の排気量になると、前記搬送機構によりウエハWが現像処理部1Aのケース体4の基板用の開口部43を介して、カップ体3の開口部31の上方側に搬入される。そして昇降ピン39との協働作用により、ウエハWがスピンチャック2上に受け渡されてカップ体3内に入る。次いで制御部100からの制御信号を受けて、第1のノズル5が待機位置から供給位置に移動し、さらに吐出口54がウエハWの表面から15mm〜20mmとなる高さ位置に下降する。
続いて
図7(a)に示すように、スピンチャック2によりウエハWを回転させながら、第1のノズル5からウエハWの中心部を含む領域に現像液を供給する。ウエハ中心部に供給された現像液Dはスピンコーティングにより、ウエハWの周縁部側へと広がり、ウエハ表面全体に塗布される。このとき第1のノズル5から現像液を吐出しながら、第1のノズル5をウエハWの中心部と外側方向との間で前記前後方向に進退移動させるようにしてもよい。
【0031】
こうして第1のノズル5から現像液を吐出して所定時間経過すると、現像液の供給を停止し、第1のノズル5を待機位置へ退行させる。一方第2のノズル6を、洗浄液ノズル部64が供給位置に位置するように移動させる。このとき、既述のように第1のノズル5と第2のノズル6との高さ位置が設定されているので、
図7(b)に示すように、第2のノズル6は第1のノズル5の上方側を通過して第1のノズル5の前方側まで移動し、次いで下降するように駆動される。これにより、第2のノズル6の洗浄ノズル部64が供給位置において、その吐出口641がウエハWの表面から15mm〜20mmとなる高さに位置される(
図7(c)参照)。こうしてウエハWを回転させながら、洗浄液である純水をウエハW表面の中心部を含む領域に吐出する。吐出された洗浄液はウエハWの遠心力の作用により液面に沿って外側に広がり、ウエハW表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流し、ウエハWの表面が洗浄される。
【0032】
洗浄液の吐出開始から所定の時間が経過すると、洗浄液の供給を停止し、乾燥ガスノズル部65が供給位置に位置するように第2のノズル6を進退移動させて、ウエハWの中心部を含む領域に乾燥ガスである窒素ガスを供給する。この乾燥ガスの供給とカップ体3内の排気とにより、ウエハWの中心部から周縁部に向かう気流が形成され、この気流と遠心力との作用により、ウエハWに付着した液はウエハWから除去され、ウエハWが乾燥される。
【0033】
ウエハWの乾燥が終了すると、乾燥ガスノズル部65から乾燥ガスの供給を停止し、第2のノズル6を待機位置に移動させる。またスピンチャック2の回転を停止させて、外部の搬送機構と昇降ピン39との協働作業によりウエハWがケース体4の基板用の開口部43を介して現像装置の外部に搬出される。
現像処理部1B〜1Dにおいても、夫々ウエハWに対して、現像処理部1Aにおける処理と同様に処理が行われる。こうして現像処理部1A→1B→1C→1Dの順にウエハWが搬入され、同様に一連の現像処理が行われる。
【0034】
上述の実施の形態によれば、ウエハWに処理流体を供給するためのノズルは、スピンチャック2の並び方向(左右方向)に交差する前後方向に、スピンチャック2上のウエハWに現像液を供給する供給位置と、カップ体3の外側の待機位置との間で進退するように構成されている。またウエハWはスピンチャック2に対して、スピンチャック2の並び方向の前方側からが受け渡されるように構成されている。このためスピンチャック2に受け渡されるウエハWから見ると、スピンチャック2の背後にノズルが設けられており、スピンチャック2の並び方向にノズルの設置スペースを確保する必要がない。
【0035】
このため複数のスピンチャック2を配列しても、ノズルの進退方向である前後方向の大きさをスピンチャック2が単独である場合と変えずに、複数のスピンチャック2用のノズルを設置できる。また装置の左右方向の大きさについても、ウエハWの処理スペースであるカップ体3のスペース分のみが増加することになる。これに対して、ノズルをスピンチャック2と並んで設ける構成の装置では、スピンチャック2の配列数を増加する場合、カップ体3のスペースに合わせてノズルの設置スペースも確保する必要がある。従って本発明の構成では、複数のスピンチャック2を配列した場合に、装置全体の小型化を図ることができる。
またスピンチャック2の配列方向はウエハWの搬送方向でもあるため、複数のスピンチャック2を配列するときに、この配列方向の長さの増大を抑えることは、ウエハWの搬送時間の低減につながり、スループットの低下を抑制できる。
【0036】
さらに既述のようにウエハWから見てスピンチャック2の背後にノズルが設けられているため、スピンチャック2の配列方向の大きさを変えずにノズルの本数を増加することができる。このように装置の大きさを変えずに、ノズルの本数を変更することができるので、1台のスピンチャック2で複数の処理流体や処理ガスを用いた液処理を行うことができ、処理の自由度を高めることができる。
【0037】
さらに複数のスピンチャック2の夫々は、カップ体3と、その側壁41の上縁がカップ体3よりも高いケース体4によって2重に囲まれているので、処理流体のはねであるスプラッシュや処理流体のミストが外部へ流出することが抑えられる。このスプラッシュやミストはパーティクルの発生原因となるため、パーティクルの発生を抑制するためにはケース体4の設置は有効である。またケース体4は外部のパーティクルの流入を防ぐ役割も果たしている。
【0038】
さらにノズルは前後方向に進退するのみであり、左右方向には移動しないので、ケース体4に形成されるノズル用開口部42の左右方向の大きさはノズルが進退移動できる程度の大きさであればよい。このためノズルが左右方向に移動するタイプに比べて、ケース体に形成される開口部は小さくて済むので、この点からも処理流体のスプラッシュやミストの流出や、外部のパーティクルの流入が抑制される。さらにノズル用の開口部42及び基板用の開口部43をシャッター44、45により夫々開閉自在に構成することによって、液処理中に前記開口部42、43を塞ぐことができるので、より処理流体のスプラッシュやミストの流出や外部のパーティクルの流入が抑えられる。
【0039】
またカップ体3内に隔壁部36を設けているので、当該隔壁部36の形状や設置個所を調整することにより、カップ体3内の気流を制御することができる。このため排気口37をカップ体3の片側に寄った位置に設けたとしても、カップ体3内に周方向に均一な気流を形成することができる。従って排気口37及び専用排気路38の設置個所が選定でき、装置設計の自由度が高くなる。
さらに各専用排気路38は、最も下流側の現像処理部1Aよりもさらに下流側の地点にて共通の排気路30に集合させている。このため各カップ体からの専用排気路が共通の排気路に直接接続される構成に比べて、コンダクタンスが揃えられ、カップ体3内への逆流が抑制できると共に、カップ体3間における排気量が揃えられて、安定した排気を行うことができる。
【0040】
以上において、この実施の形態では、第1のノズル5及び第2のノズル6はいずれか一方が昇降自在に構成されればよい。また第1及び第2のアーム部51、61を夫々基台52、62に沿って進退自在に設けると共に、これら第1及び第2のアーム51、62に夫々昇降機構を取り付け、これら昇降機構により第1のノズル5及び第2のノズル6を夫々昇降させるようにしてもよい。さらにケース体4を設けずにカップ体3を上方側まで伸びるように設け、このカップ体3にノズル用の開口部と基板用の開口部とを形成するようにしてもよい。この場合にはカップ体3が囲み部材に相当する。またケース体4はその上面を塞ぐように構成してもよい。
【0041】
続いて本発明の液処理装置の他の例について説明する。この例は、ノズルを洗浄するためのノズル洗浄部23を、ケース体4の外方であって、前記供給位置と、待機位置とを結ぶ直線上に設けたものである。例えばノズル洗浄部23は、
図3に点線にて示すように、ケース体4のノズル用開口部42の直ぐ後方側外方に設けられる。例えばノズル洗浄部23は、
図8に示すように、ノズルが収容される液収容部をなすバス室24を備え、このバス24室の底面には、開閉バルブV1を備えたドレイン管25が接続されている。ノズル5、6は夫々のアーム51、61よりも下方側に伸びるように設けられているので、バス室24は、例えばノズル5、6のみが個別に収容されるように構成される。バス室24の側壁には、ノズルを洗浄する洗浄液を供給するための吐出ノズル261と、洗浄液を洗い流すためのリンス液である純水を供給するための吐出ノズル262と、乾燥用のガスである窒素ガスを供給するための吐出ノズル263とが設けられている。これら吐出ノズル261、262、263は、夫々洗浄液供給部、リンス液供給部、乾燥ガス供給部をなすものである。ドレイン管25に接続された開閉バルブV1を閉じ、吐出ノズル261、262から洗浄液又はリンス液を供給することにより、バス室24内に洗浄液又はリンス液を貯留することができる。また吐出ノズル261からノズルに洗浄液を吐出することにより、ノズルの先端部を洗浄することができ、またバス室24に貯留した洗浄液によってもノズルの先端部を洗浄することができるようになっている。
【0042】
バス室24は、例えば
図8(b)に示すように、第1のノズル5及び第2のノズル6が待機位置にあるときに、これら第1及び第2のノズル5、6が洗浄バス24の上方側に位置するように構成されている。
図8(b)では、第1のノズル5及び第2のノズル6が重なって描いているが、実際には既述のように第1のノズル5の上方側に第2のノズル6が位置している。
このようなノズルの洗浄は、例えばロットの全てのウエハWに対して現像処理が行われた後、第1のノズル5と第2のノズル6とに対して順番に行われる。例えばノズル5を洗浄するときには、待機位置にあるノズル5を下降することにより、ノズル5を洗浄バス24に収容して行う。ノズル5の洗浄が終わった後、例えばノズル5を洗浄バス24よりも進退方向の手前側又は奥側に位置させてから、待機位置にある第2のノズル6を下降することにより、第1のノズル5と干渉させずに第2のノズル6を洗浄バス24に収容して行う。
【0043】
このような構成では、ノズルの進退方向にノズル洗浄部24が設けられているので、ノズルを進退移動させることによりノズルの洗浄を行うことができて便利である。またノズル洗浄部24がスピンチャック2の前後方向の後方側に配置されるので、装置の左右方向の長さを大きくせずに、洗浄スペースを確保することができる。
またこのようなノズル洗浄部(洗浄バス)は、第1のノズル5と第2のノズル6とに対して、夫々個別に用意するようにしてもよい。この場合には、一方の洗浄バスと他方の洗浄バスとは、左右方向(X方向)に並んで配列される。このようにすると、第1のノズル5と第2のノズル6とに対して夫々同時に洗浄を行うことができて、洗浄処理に要する時間を短縮できる。
【0044】
またノズル洗浄部は、
図9に示すように、ノズルに対して洗浄液を供給するための洗浄バス271と、ノズルに対してリンス液を供給するためのリンスバス272と、ノズルに対して乾燥用のガスを供給するための乾燥バス273とを、ノズルの進退方向(Y方向)に並べて設けるようにしてもよい。これら洗浄バス271、リンスバス272、乾燥バス273は、夫々第1のノズル5及び第2のノズル6を収容できるように構成されている。洗浄バス271、リンスバス272、乾燥バス273には、洗浄液供給部をなす吐出ノズル281と、リンス液供給部をなす吐出ノズル282と、乾燥ガス供給部をなす吐出ノズル283とが夫々設けられている。
【0045】
この構成では、第1のノズル5及び第2のノズル6を進退移動させることにより、当該ノズル5、6を洗浄バス271→リンスバス272→乾燥バス273の順に夫々収容し、夫々のバスにて洗浄液等の供給を行うことによって洗浄処理が行われる。このため
図9に示すように、例えば第2のノズル6に対してリンスバス272にてリンス液の供給を行っている間に、第1のノズル5に対して洗浄バス271にて薬液の供給を行うというように、一方のノズルの洗浄の終了を待つことなく、他方のノズルに対して洗浄を開始できるので、洗浄処理に要する時間を短縮できる。また複数のバスが前後方向に配置されるので、装置の左右方向の大型化を抑えて、洗浄スペースを確保することができる。
【0046】
続いて第1のノズル及び第2のノズルの他の例について、
図10を参照して説明する。この例では一方のノズルこの例では第1のノズル55が前後方向(Y方向)に進退自在に構成され、他方のノズルこの例では第2のノズル66は昇降自在及び前後方向に進退自在に構成されて、第1のノズル55及び第2のノズル66が互いに干渉せずに、供給位置と待機位置との間で移動するようになっている。
第1のノズル55はノズル移動機構を兼ねる支持部材551により支持されて、前後方向に水平に伸びる基台552に沿って移動自在に構成されている。前記支持部材551は、その基端側から上方側に伸び、次いで屈曲してスピンチャック2側に水平に伸びる略L字型に構成され、この支持部材551の先端領域の下端に第1のノズル55が設けられ、支持部材551の基端側は基台552に沿って移動自在に構成されている。553は現像液の供給管である。
【0047】
また第2のノズル66は、例えば洗浄液ノズル部671と乾燥ガスノズル部672とを備えた複合ノズルとして構成され、上下方向に伸びるガイド板662に沿って昇降する昇降機構を兼ねる支持部材661に支持されている。前記ガイド板662は水平な移動体663の上面に取り付けられており、この移動体663は前後方向に水平に伸びる基台664に沿って移動自在に構成されている。この例では、支持部材661と移動体663とにより第2のノズル66のノズル移動機構が構成されている。
前記第2のノズル66の基台664は、第1のノズル55の支持部材551と同様に、その基端側から上方側に伸び、次いで屈曲してスピンチャック2側に水平に伸びる略L字型に構成されている。また第2のノズル66の基台664と第1のノズル55の支持部材552とは、例えば
図10(a)に示すように、平面的に見て互いに重なるように、支持部材551の上方側に基台664が位置するように設けられている。673、674は夫々洗浄液供給管、乾燥ガス供給管である。
【0048】
このような構成では、第1のノズル55を待機位置(
図10(c)に示す位置)から供給位置(
図10(b)に示す位置)まで前後方向に進行させて、スピンチャック2上のウエハWに現像液を供給し、次いで待機位置まで退行させる。続いて第2のノズル66を待機位置(
図10(b)に示す位置)から供給位置(
図10(c))まで前後方向に進行させて、スピンチャック2上のウエハWに洗浄液を供給し、次いで待機位置まで退行させる。
この構成においても、第1のノズル55と第2のノズル66とが互いに干渉せずに、供給位置と待機位置との間で移動でき、また第1のノズル55の支持部材551と第2のノズル66の基台664とは平面的に見て重なるように設けられているので、ノズルの設置スペースをより削減することができる。
【0049】
さらに本発明では、複数のノズルを設ける場合に、夫々のノズルの待機位置をノズルの進退方向の異なる位置に設けるようにしてもよい。また本発明においては、前記前後方向はスピンチャック2の並び方向(左右方向)とのなす角(θ1、θ2)が例えば60度〜120度である方向であればよい。ここではウエハWの中心Oを通る前記並び方向の直線L1とノズルの進退方向を示す直線L2、L3とのなす角をθ1、θ2としている。
例えば前記なす角(θ1、θ2)は
図11に示すように、第1のノズルと第2のノズルとが互いに干渉せずに供給位置と待機位置との間で進退移動できる大きさに適宜設定される。この例では、第1のノズル56は第1のアーム部561に支持されて、移動機構562により基台563に沿って進退自在に構成されている。また第2のノズル67は第2のアーム部671に支持されて、移動機構672により基台663に沿って進退自在に構成されている。これら第1のノズル56と第2のノズル67とは、供給位置に対して入れ替えるときに互いに干渉しない位置に設けられている。このため第1のノズル56と第2のノズル67との少なくとも一方のノズルを昇降させる必要はなく、これらは同じ高さ位置で進退自在に構成することができる。
【0050】
さらに
図11に示す構成の第1のノズルと第2のノズルとを、複数の基板保持部であるスピンチャックの並びと直交する方向に進退するように設けてもよい。この場合には第1のノズルの第1のアーム部と第2のノズルの第2のアーム部とは、その長さ方向が前記直交する方向に向くように、左右方向に互いに離間すると共に、前記第1のノズル及び第2のノズルが、供給位置に対して入れ替えるときに平面的に見て互いに干渉しないように設けられる。この場合、例えば第1のノズルと第2のノズルのうちの一方のノズルが基板の中心部を含む領域に処理液を吐出し、他方のノズルが基板の中心部から外れた領域に処理流体例えば乾燥用のガスを吐出する構成を挙げることができる。また他方のノズルが乾燥用のガスを吐出する場合には、ノズルの吐出口の向きが基板の中心部に向いている構成であってもよい。あるいはこの例において、他方のノズルは処理液を吐出するものであってもよい。
【0051】
また
図12に示すように、一方のノズル6をスピンチャック2の並び方向(X方向)に僅かに移動させることにより、他方のノズル5との干渉を抑えてY方向に進退移動させるようにしてもよい。この例では、第2のノズル6は例えば第1のノズル5と同じ高さ位置に設けられ、第2のノズル6の基台62はX方向に伸びるガイドレール66に沿って移動自在に構成されている。例えば第1のノズル5及び第2のノズル6が待機位置にあるときには、第2のノズル6は
図12中の一点鎖線にて示すように、第1のノズル5と干渉しない位置まで左右方向に離れて配置される。そして、第2のノズル6を供給位置に移動するときには、待機位置からそのまま前進させて供給位置よりも片側この例では右側に寄った位置まで進行させてから、供給位置まで左側にスライド移動させることが行われる。この構成も、ノズル6を、スピンチャック2に保持されたウエハWに処理流体を供給する供給位置と待機位置との間で前後方向に進退移動させる場合に含まれる。
【0052】
また本発明では、スピンチャック2毎に設けられるノズルは一つであってもよい。例えば
図5(b)に示す複合ノズルのように、一つのノズルに対して、互いに異なる液体又はガスを吐出する複数のノズル部を備えた構成とし、例えば一つのノズルに第1の処理流体である現像液を吐出するノズル部と、第2の処理流体である洗浄液を吐出するノズル部と、乾燥ガスを吐出するノズル部とを設ける。この場合には、例えば現像液を吐出するノズル部が第1のノズルに相当し、洗浄液を吐出するノズル部が第2のノズルに相当する。この構成では、第1のノズル及び第2のノズルは共通のアーム部に支持されて、ノズル移動機構により一体的に進退されることになる。
【0053】
さらに本発明の液処理装置は、基板保持部であるスピンチャックを一つとし、このスピンチャックに保持されたウエハWに対して、処理流体を供給するノズルを複数個設ける場合にも適用することができる。スピンチャックに搬入されるウエハから見て、ノズルはスピンチャックの背後に設けられるので、一つのスピンチャックに対して複数本のノズルが設けられる場合であっても、ノズルが単独の場合と装置サイズを変えずにノズルを増加することができ、装置の大型化を抑えることができる。これに対して、ノズルが左右方向にスピンチャック2と並んで設けられる構成では、ノズルが複数になると、ノズルの設置スペース分左右方向の大きさが増大し、装置が大型化してしまう。
また前記左右方向は、ウエハWの搬送領域に面しており、この左右方向のサイズが大きくなると、その分ウエハWの搬送領域が長くなる。これによりウエハWの搬送に時間がかかり、スループットが低下するので、本発明のように、液処理装置の左右方向の小型化を図ることができる構成は有効である。この場合においても、
図5(b)に示すような複合ノズルを用い、一つのノズルに第1の処理流体を吐出する第1のノズルをなすノズル部と、第2の処理流体を吐出する第2のノズルをなすノズル部とを設ける構成であってもよい。
【0054】
図13〜
図15に、上記の現像装置1が組み込まれる塗布、現像装置の一例を示す。
図13、
図14、
図15は夫々当該塗布、現像装置7の平面図、斜視図、概略縦断側面図である。この塗布、現像装置7は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックD3にはさらに露光装置D4が接続されている。以降の説明ではブロックD1〜D3の配列方向を左右方向(X方向)とする。キャリアブロックD1は、同一のロットの基板であるウエハWを複数枚含むキャリアCを塗布、現像装置7内に搬入出する役割を有し、キャリアCの載置台71と、開閉部72と、開閉部72を介してキャリアCからウエハWを搬送するための移載機構73とを備えている。
【0055】
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う第1〜第6の単位ブロックE1〜E6が下から順に積層されて構成されている。説明の便宜上ウエハWに下層側の反射防止膜を形成する処理を「BCT」、ウエハWにレジスト膜を形成する処理を「COT」、露光後のウエハWにレジストパターンを形成するための処理を「DEV」と夫々表現する場合がある。この例では、
図14に示すように下からBCT層、COT層、DEV層が2層ずつ積み上げられ、同じ単位ブロックにおいて互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。
【0056】
ここでは単位ブロックのうち代表してDEV層E5、E6を、
図13を参照しながら説明する。キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かう搬送領域74の前後の一方側には棚ユニットUが左右方向に複数配置され、他方側には本発明の現像装置1が設けられている。棚ユニットUは、加熱モジュールを備えており、前記搬送領域74には、ウエハWの搬送機構である搬送アームF3が設けられている。
【0057】
他の単位ブロックE1、E2、E3及びE4は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックE5、E6と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、現像処理部1の代わりに反射膜形成モジュールを備え、単位ブロックE3、E4は、現像処理部1の代わりにレジスト膜形成モジュールCOTを備える。
図15では各単位ブロックE1〜E6の搬送アームはF1〜F6として示している。
【0058】
処理ブロックD2におけるキャリアブロックD1側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡しアーム75とが設けられている。タワーT1は、互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、単位ブロックE1〜E6の各高さに設けられるモジュールは、当該単位ブロックE1〜E6の各搬送アームF1〜F6との間でウエハWを受け渡すことができる。これらのモジュールとしては、受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュール、及びウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールなどが含まれている。
【0059】
インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えている。タワーT2とタワーT3に対しては、昇降自在なインターフェイスアーム76により、タワーT2とタワーT4に対しては昇降自在なインターフェイスアーム77により、夫々ウエハWの受け渡しが行われる。またタワーT2と露光装置D4の間でウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアーム78が設けられている。タワーT2には、受け渡しモジュールTRSやバッファモジュール、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールなどが互いに積層されている。またタワーT3、T4にも夫々モジュールが設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0060】
この塗布、現像装置7及び露光装置D4からなるシステムのウエハWの搬送経路について説明する。ウエハWはロットごとにキャリアCから搬出される。つまり、一のロットのウエハWが全て払い出された後に他のロットのウエハWがキャリアCから搬出されるように設定されている。また、キャリアCから払い出される前に、各ウエハWの搬送経路は予め設定されており、上記のように二重化された単位ブロックのうち、予め設定された単位ブロックに搬送される。
【0061】
ウエハWは、キャリアCから移載機構73により、処理ブロックD2におけるタワーT1の受け渡しモジュールTRS0に搬送される。この受け渡しモジュールTRS0からウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。
例えばウエハWを単位ブロックE1に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE1に対応する受け渡しモジュールTRS1(搬送アームF1によりウエハWの受け渡しが可能な受け渡しモジュール)に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。またウエハWを単位ブロックE2に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE2に対応する受け渡しモジュールTRS2に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。これらのウエハWの受け渡しは、受け渡しアーム75により行われる。
【0062】
このように振り分けられたウエハWは、TRS1(TRS2)→反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール→TRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて受け渡しアーム75により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
そしてTRS3、TRS4に振り分けられたウエハWは、TRS3(TRS4)→レジスト膜形成モジュールCOT→加熱モジュール→保護膜形成モジュールITC→加熱モジュール→タワーT2の受け渡しモジュールTRSの順で搬送される。前記受け渡しモジュールTRSに搬送されたウエハWは、インターフェイスアーム76、78により、タワーT3を介して露光装置D4へ搬入される。露光後のウエハWは、インターフェイスアーム77によりタワーT2、T4間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワーT2の受け渡しモジュールTRS5、TRS6に夫々搬送される。然る後、加熱モジュール→現像装置1→加熱モジュール→タワーT1の受け渡しモジュールTRSに搬送された後、移載機構73を介してキャリアCに戻される。
【0063】
本発明の液処理装置は、基板に対してレジスト液、反射防止膜形成用及びウェットエッチング用の薬液や、リンス液(洗浄液)等を供給して液処理を行う液処理装置や、基板と被接着体(例えば基板)とを接着するために、基板に液状の接着剤を処理流体として供給する液処理装置等に適用できる。
また第1のノズルと第2のノズルから夫々吐出される第1の処理流体及び第2の処理流体の種類については上述の実施の形態に限られない。例えば第1のノズルに現像液を吐出するためのノズル部と、リンス液(洗浄液)を吐出するためのノズル部を設けると共に、第2のノズルに乾燥用ガスを供給するためのノズル部を設ける構成としてもよい。この場合には、現像液及びリンス液が第1の処理流体に相当し、乾燥用ガスが第2の処理流体に相当する。
【0064】
さらに本発明の処理流体には蒸気やミスト等も含まれる。例えば現像後のレジストパターンにNメチルピロリドンや乳酸エチル等の有機溶剤蒸気を供給し、レジスト表面を溶解させる処理(スムージング処理)に用いる有機溶剤の蒸気も処理流体に相当する。また洗浄液を二流体スプレーなどの液滴化機構により液滴化して基板を洗浄する処理(洗浄処理)や、リンス液によるリンス処理の後に例えばイソプロピルアルコール(IPA)等の蒸気やミストを供給して基板を乾燥する処理(乾燥処理)等に用いる蒸気やミストも処理流体に含まれる。