(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<含フッ素共重合体>
本発明の含フッ素共重合体は、カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、含フッ素オレフィンとの含フッ素共重合体であって、後述する抽出方法で得られた可溶分に含まれる、分子量Mの常用対数(logM)が2.0以上である成分100質量%のうち、分子量Mの常用対数(logM)が2.0〜3.5である成分が、10質量%以下である。
【0017】
(カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマー)
カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーとしては、分子中に1個以上のフッ素原子を有し、かつカルボン酸型の官能基を有するモノマーであれば、特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0018】
カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーとしては、工業的生産性の点から、下式(1)で表わされるペルフルオロビニルエーテルが好ましい。
CF
2=CF−(O)
p−(CF
2)
q−(CF
2CFX)
r−(O)
s−(CF
2)
t−(CF
2CFX’)
u−A ・・・(1)。
【0019】
Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。また、X’は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。1分子中にXおよびX’の両方が存在する場合、それぞれは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
Aは、カルボン酸型官能基である。カルボン酸型官能基は、カルボン酸基(−COOH)そのもの、または加水分解または中和によりカルボン酸基に変換し得る官能基をいう。カルボン酸基に変換し得る官能基としては、−CN、−COF、−COOR
1(ただし、R
1は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)、−COOM(ただし、Mはアルカリ金属または第4級アンモニウム塩基である。)、−COONR
2R
3(ただし、R
2およびR
3は、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R
2およびR
3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。)等が挙げられる。
【0021】
pは、0または1であり、qは、0〜12の整数であり、rは、0〜3の整数であり、sは、0または1であり、tは、0〜12の整数であり、uは、0〜3の整数である。ただし、pおよびsが同時に0になることはなく、rおよびuが同時に0になることはない。すなわち、1≦p+sであり、1≦r+uである。
【0022】
式(1)で表わされるペルフルオロビニルエーテルの具体例としては、下記の化合物が挙げられ、製造が容易である点から、p=1、q=0、r=1、s=0〜1、t=1〜3、u=0〜1である化合物が好ましい。
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−O−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−O−CF
2CF
2−CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−O−CF
2CF
2−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2−CF
2CF
2−O−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)−O−CF
2CF
2−COOCH
3、
CF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)−O−CF
2−CF
2CF
2−COOCH
3。
【0023】
(含フッ素オレフィン)
含フッ素オレフィンとしては、分子中に1個以上のフッ素原子を有する炭素原子数が2〜3のフルオロオレフィンが用いられる。フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(CF
2=CF
2)(以下、TFEと記す。)、クロロトリフルオロエチレン(CF
2=CFCl)、フッ化ビニリデン(CF
2=CH
2)、フッ化ビニル(CH
2=CHF)、ヘキサフルオロプロピレン(CF
2=CFCF
3)等が挙げられる。イオン交換膜の化学的安定性、強度の点から、TFEが特に好ましい。含フッ素オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(他のモノマー)
本発明においては、カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーおよび含フッ素オレフィンに加えて、さらに他のモノマーを共重合させてもよい。他のモノマーとしては、CF
2=CF
2−R
f、CF
2=CF−OR
f(ただし、R
fは炭素原子数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)、CF
2=CFO(CF
2)
vCF=CF
2(ただし、vは1〜3の整数である。)等が挙げられる。他のモノマーを共重合させることにより、イオン交換膜の可撓性や機械的強度を向上できる。他のモノマーの割合は、イオン交換性能の維持の点から、全モノマー(100質量%)のうち30質量%以下が好ましい。
【0025】
(CClF
2CF
2CClFH可溶分)
本発明の含フッ素共重合体においては、下記の抽出方法で得られた可溶分(以下、CClF
2CF
2CClFH可溶分とも記す。)に含まれる、分子量Mの常用対数(logM)が2.0以上である成分100質量%のうち、分子量Mの常用対数(logM)が2.0〜3.5である成分は、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。CClF
2CF
2CClFH可溶分に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分が10質量%以下であれば、塩化アルカリ水溶液中の不純物による電流効率の低下が抑えられたイオン交換膜を得ることができる。
【0026】
(抽出方法)
粉体状の含フッ素共重合体と、該含フッ素共重合体に対して10倍質量のCClF
2CF
2CClFHとを混合する。混合物を65℃にて5時間以上撹拌する。混合物を室温まで冷却した後、該含フッ素共重合体に対して2倍質量のメタノールを混合物に添加する。混合物をろ過し、ろ液からCClF
2CF
2CClFHおよびメタノールを留去して可溶分を得る。
【0027】
(低分子量成分の割合の算出方法)
logMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分の割合は、以下のようにして算出する。
ゲル浸透クロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)によって、CClF
2CF
2CClFH可溶分について
図1に示すような横軸:logM、縦軸:微分分布値の分子量分布を作成し、該分子量分布において、logMが2.0〜3.5である範囲の微分分布値を積算し(logMが2.0〜3.5の積分値を求め)、logMが2.0以上である範囲全体の微分分布値の積算値(logMが2.0以上である範囲全体の積分値)に対する割合を算出する。なお、logMが2.0未満の範囲を除いているのは、logMが2.0未満の範囲は、GPC測定において残存溶媒やその他ノイズによる影響が大きく、測定の再現性が期待できない範囲であることと、含フッ素共重合体中の低分子量成分もlogMが2.0未満の範囲に分子量を持つものはほとんど存在しないからである。
【0028】
(イオン交換容量)
本発明の含フッ素共重合体のイオン交換容量は、イオン交換膜として用いる場合、0.5〜2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂が好ましい。含フッ素共重合体のイオン交換容量を大きくしても、含フッ素共重合体の分子量を高くすることができるため、含フッ素共重合体の機械的性質や耐久性が低下することがない。
【0029】
本発明の含フッ素共重合体のイオン交換容量は、イオン交換膜としての機械的性質や電流効率の点から、0.6ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上が好ましく、0.7ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上がより好ましく、0.8ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上がさらに好ましく、0.9ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上が特に好ましい。イオン交換容量が0.6ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上であれば、含水率が適切な高さとなり、イオン交換基が充分に電離してアニオンを充分に排除することができ、電流効率が高くなる。
【0030】
本発明の含フッ素共重合体のイオン交換容量は、イオン交換膜としての電流効率や塩化アルカリ電解法によって製造される水酸化アルカリの品質の点から、1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下が好ましく、1.2ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下がより好ましい。イオン交換容量が1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下であれば、含水率が適切な低さとなり、イオン交換膜中のイオン交換基の濃度が適切な高さとなるため、アニオンを充分に排除することができ、電流効率が高くなる。
【0031】
(分子量)
含フッ素共重合体の分子量は、イオン交換膜としての機械的性能および製膜性と関連する。本発明の含フッ素共重合体の分子量は、TQ値で150℃以上が好ましく、170〜340℃がより好ましく、170〜300℃がさらに好ましい。
TQ値は、重合体の分子量に関係する値であって、容量流速:100mm
3/秒を示す温度で示したものである。
【0032】
<含フッ素共重合体の製造方法>
本発明の含フッ素共重合体は、たとえば、下記の工程(I)〜(III)を有する方法によって製造できる。
(I)カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、含フッ素オレフィンと、必要に応じて他のモノマーとを重合して含フッ素共重合体を得る工程。
(II)含フッ素共重合体と、重合媒体および未反応モノマーとを分離する工程。
(III)洗浄用溶媒を用いて含フッ素共重合体を洗浄する工程。
【0033】
(工程(I))
重合方法としては、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられ、分子量分布が小さくなる点から、溶液重合法が好ましい。
【0034】
溶液重合法における重合媒体としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロカーボン、クロロカーボン、アルコール等が挙げられる。
懸濁重合法における重合媒体としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、クロロカーボン、ハイドロカーボン等を一種以上含む媒体に水を加えたものが挙げられる。
乳化重合法における重合媒体としては、水が挙げられ、溶液重合法で用いる重合媒体と同様の重合媒体を併用してもよい。
【0035】
得られる含フッ素共重合体は、重合系中に存在する連鎖移動性成分の量が多ければ低分子量に、少なければ高分子量になる。本発明の含フッ素共重合体は、上述したようにイオン交換膜としての機械的性能および製膜性の点からある程度の分子量を有することが好ましい。前記重合媒体を用いれば、重合媒体自体の連鎖移動性が低く、充分に高い分子量を有する含フッ素共重合体を得ることができる。
【0036】
重合圧力は、0.05MPaG(ゲージ圧)以上が好ましい。圧力が低すぎると、重合反応の速度を実用上満足し得る速さに維持することが難しく、高分子量の含フッ素共重合体を得ることが難しい。また、重合圧力は、2.0MPaG以下が好ましい。
重合圧力以外の他の条件や操作は、特に限定されることなく、広い範囲の反応条件を採用できる。たとえば、重合温度は、モノマーの種類や反応モル比等により最適値が選定され得るが、極端な高温や低温での反応は工業的実施に不利となるため、20〜90℃が好ましく、30〜80℃がより好ましい。
【0037】
重合の開始は、電離性放射線の照射によって行ってもよいが、上述の好適な反応温度(20〜90℃)において高い活性を示すアゾ化合物、ペルオキシ化合物等の重合開始剤を用いる方が、工業的実施には有利である。
重合開始剤の添加量は、モノマーの100質量部に対して、0.0001〜3質量部が好ましく、0.0001〜2質量部がより好ましい。重合開始剤の添加量を下げることによって、含フッ素共重合体の分子量を高めることができる。重合開始剤の他に、通常の溶液重合において用いられる分子量調節剤等を添加してもよい。
【0038】
カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーおよび含フッ素オレフィンの仕込み割合は、得られる含フッ素共重合体におけるモノマー単位が所望の割合となるように選定される。カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーの仕込み割合は、含フッ素共重合体におけるカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマー単位の割合が15〜95質量%となるように選定することが好ましく、20〜80質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
【0039】
各モノマーは、一括で仕込んでもよく、逐次的または連続的に仕込んでもよい。反応系内のモノマーの濃度を一定にして、生成する含フッ素共重合体の組成を均一化させるという点からは、含フッ素オレフィンおよびカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、重合媒体であるハイドロフルオロカーボンを含む重合系中に逐次的に添加して連続的に反応させることが好ましい。
【0040】
逐次添加は、重合初期と重合後期とで各モノマーの添加割合を変化させて行ってもよく、重合によって消費された各モノマーを補って重合系中の各モノマーの濃度を一定にするように行ってもよく、得られる含フッ素共重合体の組成を均一にするという点からは、後者が好ましい。具体的には、重合圧力が一定となるように含フッ素オレフィンを逐次導入し、含フッ素オレフィンの導入量に比例してカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを逐次添加することが好ましい。
【0041】
溶液重合のような均一な重合系での重合であっても、反応によりモノマーが消費されてモノマー濃度が低下するため、反応が進むにつれてイオン交換容量がしだいに低下し、含フッ素共重合体に組成分布が発生する。しかし、各モノマーを逐次的または連続的に添加してモノマーの濃度を一定に制御しながら反応させることによって、得られる含フッ素共重合体における組成分布、すなわちイオン交換容量の分布を小さくできる。
【0042】
含フッ素共重合体におけるイオン交換容量の分布が小さいほど、高いイオン交換容量でも初期電流効率が発現し、かつヨウ素等の不純物に対する電流効率等の低下が小さくなることが知られている。カルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体におけるイオン交換容量の分布が小さいほど、不純物による電流効率の低下を抑えることができる。これは、イオン交換容量の分布が小さいと、含フッ素共重合体の含水率の分布も小さくなるため、イオン交換容量を高くしても最適な含水率の範囲から高めに外れる成分が少なくなって初期電流効率が高くなり、そして、イオン交換容量を高くできることによって、不純物が沈着して含水率が下がっても、最適な含水率の範囲から低めに外れる成分が少なくなって電流効率の低下が抑えられるからである。
【0043】
(工程(II))
工程(I)の後、重合系からガス状の未反応モノマーを放出(パージ)した後、凝集、抽出、ろ過、留去、加熱等の処理を行い、重合媒体および液状の未反応モノマーを分離することによって、含フッ素共重合体が得られる。
【0044】
(工程(III))
工程(III)で用いる含フッ素共重合体の形態は、粉体であってもよく、ペレットであってもよい。また、完全に乾燥された状態であってもよく、溶媒を含んだ状態であってもよい。ペレットを用いた場合は、ろ過性に優れ、粉体を用いた場合は、洗浄性に優れる。本発明においては、洗浄性を重視することから、乾燥された粉体が好ましい。
【0045】
工程(III)で用いる洗浄用溶媒は、少なくともフッ素系溶媒を含む。フッ素系溶媒としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルが好ましく、オゾン層破壊係数がないハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルがより好ましい。また、フッ素系溶媒のみを単独で用いてもよく、フッ素系溶媒の2種以上を混合して用いてもよく、フッ素系溶媒と他の溶媒とを混合して用いてもよい。
【0046】
洗浄用溶媒の量は、含フッ素共重合体に対して1〜100倍質量が好ましく、3〜50倍質量がより好ましい。洗浄用溶媒の量が少ないと充分に洗浄できず、洗浄用溶媒の量が多いと洗浄後の処理に時間が掛かってしまう。また、洗浄回数は洗浄用溶媒の量と関係があり、洗浄用溶媒の量が多ければ洗浄回数は1回でよく、洗浄用溶媒の量が少ないと洗浄回数が多くなる。
【0047】
洗浄温度は、室温から150℃が好ましい。洗浄温度が低すぎると低分子量成分の抽出量が少なく、150℃を超えると含フッ素共重合体の分解が始まる。洗浄温度は、加熱することによって分子量の比較的大きい低分子量成分も充分に溶解できる点から、40℃以上がより好ましい。また、洗浄温度は、特殊な圧力容器が不要となり、低コストで含フッ素共重合体を得ることができる点から、常圧における洗浄用溶媒の沸点以下がより好ましい。
洗浄は、常圧で行ってもよく、圧力容器内にて加圧状態で行ってもよい。
洗浄時間は、15分〜16時間が好ましく、30分〜8時間がより好ましい。洗浄温度が高いと洗浄時間は短くなる。
【0048】
洗浄後の分離処理は、上記洗浄の際の加熱温度のままで行ってもよく、冷却してから行ってもよい。また、洗浄後そのままろ過を行ってもよく、貧溶媒を加えて沈殿させてからろ過を行ってもよい。また、ろ過以外にも遠心分離等、他の方法を用いてもよい。
【0049】
工程(III)は、他の工程も兼ねることができる。他の工程としては、たとえば、再エステル化が挙げられる。重合反応により得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体は、水によって容易に加水分解され、場合によっては溶融加工を施す際に不具合が生じるおそれがあるため、フッ素系溶媒による洗浄の際、オルト蟻酸トリメチルやオルト酢酸トリメチルを用いて、洗浄と同時に再エステル化を施すこともできる。このとき、硫酸等の酸性触媒を用いてもよい。
【0050】
洗浄により除去される低分子量成分の量は、洗浄前の含フッ素共重合体の100質量%に対して、1〜10質量%が好ましい。除去される低分子量成分の量が1質量%未満では、不純物による電流効率の低下を抑制する効果が不充分であり、10質量%を超えると、高価な含フッ素共重合体の収率が低下し、経済的に不利である。
【0051】
本発明の含フッ素共重合体にあっては、CClF
2CF
2CClFH可溶分に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分が、10質量%以下であるため、塩化アルカリ水溶液中の不純物による電流効率の低下が抑えられたイオン交換膜を得ることができる。この理由は現時点では明確にはなっていないが、以下のように推定される。
【0052】
logMが3.5以下の低分子量成分は、分子凝集力が低いため水やアルカリ水溶液への溶解度が高い。該低分子量成分が含まれていると、製膜工程および電解運転初期においてイオン交換膜内から低分子量成分が溶出し、イオン交換膜にごく微小なボイドの如き物理的な空間が生成する。不純物イオンがイオン交換膜中に入った場合、該空間には不純物イオンの水酸化物が析出しやすく、そのため含フッ素共重合体に与えるダメージが大きくなるものと考えられる。
【0053】
塩化アルカリ電解法に用いるイオン交換膜に関する文献は、これまで数多く存在するが、含フッ素共重合体中の低分子量成分を除去する方法を開示するものはない。また、特許文献1には、含フッ素共重合体を製造する過程で、フッ素系溶媒を用いて溶媒抽出することが記載されているが、該溶媒抽出は、室温で行われ、主に水相からの未反応モノマーの回収を目的とするものであり、含フッ素共重合体から低分子量成分はほとんど除去されない。仮に低分子量成分が抜けていたとしても少量であるため、不純物による電流効率の低下を抑制する効果は期待できない。特許文献2には、含フッ素共重合体をメタノールで洗浄することが記載されているが、メタノールによる洗浄では含フッ素共重合体から低分子量成分はほとんど除去されない。特許文献3には、含フッ素共重合体を加温したエタノールで洗浄すると記載されているが、加温を行ったとしてもエタノールによる洗浄では、含フッ素共重合体から低分子量成分はほとんど除去されない。
【0054】
<イオン交換膜>
本発明のイオン交換膜は、本発明の含フッ素共重合体を含むものである。本発明のイオン交換膜は、本発明の含フッ素共重合体を製膜することによって得ることができる。イオン交換膜の製造方法は、含フッ素共重合体を製膜する工程、含フッ素共重合体のカルボン酸型官能基を加水分解によりカルボン酸に転換する工程を有する。製膜工程と転換工程は、どちらを先に行ってもよいが、製膜工程後に転換工程を行う方が好ましい。
【0055】
本発明のイオン交換膜は、本発明の含フッ素共重合体を含む層を複数有し、各層における含フッ素共重合体のイオン交換容量がそれぞれ異なる積層体であってもよく;本発明の含フッ素共重合体を含む層と、スルホン酸型官能基を有する含フッ素共重合体を含む層とを有する積層体であってもよく;補強材を有する積層体であってもよい。
【0056】
スルホン酸型官能基は、スルホン酸基(−SO
3H)そのもの、または加水分解または中和によりスルホン酸基に変換し得る官能基をいう。スルホン酸基に変換し得る官能基としては、−SO
3M、−SO
2F、−SO
2Cl、−SO
2Br等が挙げられる。
補強材としては、織布(クロス)、繊維、不織布等が挙げられる。
【0057】
本発明のイオン交換膜は、塩化アルカリ電解、拡散透析、オゾン発生電解、電解還元、燃料電池の隔膜、高分子触媒等に用いることができる。特に、塩化ナトリウム等の塩化アルカリ電解に好適である。
【0058】
本発明のイオン交換膜にあっては、本発明の含フッ素共重合体を含むため、塩化アルカリ水溶液中の不純物による電流効率の低下が抑えられる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
例1〜2は、実施例であり、例3〜5は、比較例である。
【0060】
(TQ値)
TQ値は、重合体の分子量に関係する値であって、容量流速:100mm
3/秒を示す温度で示したものである。容量流速は、島津フローテスターCFD−100D(島津製作所社製)を用い、含フッ素共重合体を3MPaの加圧下に一定温度のオリフィス(径:1mm、長さ:1mm)から溶融、流出させたときの流出量をmm
3/秒の単位で示したものである。
【0061】
(イオン交換容量)
含フッ素共重合体の約0.5gをそのTQ値より約10℃高い温度にて平板プレスしてフィルム状にし、これを透過型赤外分光分析装置により分析し、得られたスペクトルのCF
2ピーク、CF
3ピーク、OHピークの各ピーク高さを用いて、イオン交換容量を算出した。
【0062】
(抽出方法)
減圧加熱で溶媒を留去して得られた粉体状の含フッ素共重合体を、80℃で12時間真空乾燥し、目開きが2.0mmと2.8mmの100Φ試験用ステンレス製ふるい(JIS−Z8801)を用いてJIS−Z8815の方法の機械ふるい分けを行い、粒径が2.0mm〜2.8mmである含フッ素共重合体の粉体の25gを得た。
得られた粒径が2.0mm〜2.8mmの含フッ素共重合体の粉体の10gと、該含フッ素共重合体の粉体に対して10倍質量のCClF
2CF
2CClFH(以下、AK−225cbと記す。)とを混合した。得られた混合物を65℃にて5時間以上撹拌し、室温まで冷却した後、該含フッ素共重合体に対して2倍質量になるようにメタノールを添加した。細孔10μmのメンブレンフィルタを用いて混合物を減圧ろ過し、ロータリーエバポレータを用いてろ液からAK−225cbおよびメタノールを留去してAK−225cb可溶分を得た。
【0063】
(低分子量成分の割合の算出方法)
logMが2.0以上である成分のうち、logMが2.0〜3.5である成分の割合は、以下のようにして算出した。
AK−225cb可溶分について、下記条件にてポリメタクリル酸メチル換算分子量を求めた。なお、前記抽出方法によって抽出されるAK−225cb可溶分のポリメタクリル酸メチル換算分子量の最大値は、およそ100000である。
GPC装置:東ソー社製、高速GPC装置HLC−8220GPC、
検出器:島津製作所社製、蒸発光散乱検出器ELSD−LT、
GPCカラム:ポリマーラボラトリーズ社製、PLgel MIXED−C、
試料濃度:1.5w/v%、
溶媒:AK−225G/ヘキサフルオロイソプロパノール(99/1(v/v))、
測定温度:37℃、
流量:1.0 mL/min
標準:ポリメタクリル酸メチル標準。
【0064】
図1に示すような横軸:logM、縦軸:微分分布値の分子量分布を作成し、該分子量分布において、logMが2.0〜3.5である範囲の微分分布値を積算し(logMが2.0〜3.5の積分値を求め)、logMが2.0以上である範囲全体の微分分布値の積算値(logMが2.0以上である範囲全体の積分値)に対する割合を算出した。
【0065】
(イオン交換膜の作製)
TFEと下式(2−1)で表されるスルホン酸型官能基を有するペルフルオロビニルエーテル化合物との含フッ素共重合体(イオン交換容量:1.10ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQ:235℃)(以下、重合体Sと記す。)を合成した。
CF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)−O−CF
2CF
2−SO
2F ・・・(2−1)。
【0066】
後述する例1〜5で得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素共重合体(以下、重合体Cと記す。)と重合体Sとを共押し出し法により成形し、重合体Cからなる層(厚さ:18μm)および重合体Sからなる層(厚さ:65μm)の2層構成のフィルムAを得た。また、重合体Sを溶融押し出し法により成形し、フィルムB(厚さ:30μm)を得た。
【0067】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)フィルムを急速延伸した後、100デニールの太さにスリットして得たモノフィラメントのPTFE糸と、5デニールのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)繊維を6本引きそろえて撚ったマルチフィラメントのPET糸とを、PTFE糸1本に対し、PET糸2本の交互配列で平織りし、補強用の織布(糸密度:30本/cm)を得た。該織布を、ロールプレス機を用い、厚さが約80μmとなるように扁平化した。
【0068】
得られた織布およびフィルムを、フィルムB、織布、フィルムA、離型用PETフィルム(厚さ:100μm)の順に、かつフィルムAの重合体Cからなる層が離型用PETフィルム側となるように重ね、ロールを用いて積層した。離型用PETフィルムを剥がし、補強された積層膜を得た。
【0069】
酸化ジルコニウム(平均粒子径:1μm)の29.0質量%、メチルセルロースの1.3質量%、シクロヘキサノールの4.6質量%、シクロヘキサンの1.5質量%および水の63.6質量%からなるペーストを、積層膜のフィルムBの側にロールプレスにより転写し、ガス開放性被覆層を付着させた。酸化ジルコニウムの付着量は、20g/m
2とした。
【0070】
ガス開放性被覆層付き積層膜を、ジメチルスルホキシドの5質量%および水酸化カリウムの30質量%の水溶液に、95℃で10分間浸漬し、重合体Cの−COOCH
3および重合体Sの−SO
2Fを加水分解して、イオン交換基に転換した。
【0071】
重合体Sの酸型ポリマーを2.5質量%含むエタノール溶液に、酸化ジルコニウム(平均粒子径:1μm)を13質量%の濃度で分散させた分散液を調製した。該分散液を、加水分解後の積層膜のフィルムA側に噴霧し、ガス開放性被覆層を付着させ、イオン交換膜を得た。酸化ジルコニウムの付着量は3g/m
2とした。
【0072】
(イオン交換膜の評価)
得られたイオン交換膜を、フィルムA側が陰極に面するように、電解槽内に配置して、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。
電解槽(有効通電面積:25cm
2)としては、陰極室の供給水入り口を陰極室下部に配し、生成する水酸化ナトリウム水溶液出口を陰極室上部に配し、陽極室の塩化ナトリウム水溶液入口を陽極室下部に配し、電解反応により希釈された塩化ナトリウム水溶液出口を陽極室上部に配したものを用いた。
陽極としては、チタンのパンチドメタル(短径:4mm、長径:8mm)に酸化ルテニウムと酸化イリジウムと酸化チタンとの固溶体を被覆したものを用いた。
陰極としては、SUS304のパンチドメタル(短径:5mm、長径:10mm)にルテニウム入りラネーニッケルを電着したものを用いた。
【0073】
塩化ナトリウム水溶液の電解は、以下のように行った。
陽極とイオン交換膜とが接触するように陰極側を加圧状態にし、290g/Lの塩化ナトリウム水溶液および水をそれぞれ陽極室および陰極室に供給しながら、陽極室から排出される塩化ナトリウム濃度を190g/L、陰極室から排出される水酸化ナトリウム濃度を32質量%に保ちつつ、温度:85℃、電流密度:6kA/m
2の条件で1週間電解を行った。
【0074】
その後、陽極室から排出される塩化ナトリウム濃度を230g/L、陰極室から排出される水酸化ナトリウム濃度を33質量%として電流効率を測定した(Ca/Sr添加前電流効率)。ついで、供給する塩化ナトリウム水溶液を、カルシウムイオンの0.5ppmおよびストロンチウムイオンの1ppmを含む290g/Lの塩化ナトリウム水溶液に切り替えて4時間電解を行った後、再び290g/Lの塩化ナトリウム水溶液に切り替えて20時間電解を行い、カルシウムおよびストロンチウム添加後の電流効率を測定した(Ca/Sr添加後電流効率)。
【0075】
〔例1〕
(工程(I))
内容積:1.25Lのステンレス鋼製容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合媒体であるCF
3CF
2CF
2CF
2CF
2CHF
2(以下、C6Hと記す。)の483gと、下式(1−1)で表されるカルボン酸型官能基を有するペルフルオロビニルエーテル化合物の290gをそれぞれ吸引、注入した。
CF
2=CF−O−CF
2CF
2−CF
2−COOCH
3 ・・・(1−1)。
【0076】
TFEを、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまで導入し、容器内の温度が67℃となるよう加温した。容器内の温度が67℃で安定した後、圧力が1.11MPaGになるまでTFEを導入し、さらに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルを0.36質量%含むC6H溶液の113gを容器内に圧入、添加し、反応を開始させた。反応中は、圧力が1.11MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量の10gに対して、式(1−1)で表されるペルフルオロビニルエーテル化合物の4.7gを逐次的に添加した。
【0077】
(工程(II))
反応開始からのTFEの導入量が49gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。その後、減圧加熱下、溶媒および液状の未反応モノマーを留去し、54gの粉体状の共重合体を得た。
【0078】
(工程(III))
そこに、CF
3CH
2CF
2CH
3(以下、HFC−365mfcと記す。)の162gを入れ、容器を45℃に設定し、常圧下で5時間還流を行った後、冷却してろ過を行った。同様な操作を5回行い、メタノールの162g、オルト酢酸トリメチルの16.2gを入れ、容器を65℃に設定して15時間還流を行った後、冷却してろ過し、オルト酢酸トリメチルをメタノールで洗浄し、乾燥して、粉体状の含フッ素共重合体を得た。
【0079】
得られた含フッ素共重合体のイオン交換容量は1.065ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は226℃であった。また、含フッ素共重合体中のAK−225cb可溶分の分子量を測定したところ、該可溶分中に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分は2.1質量%であった。分子量分布を
図1に示す。
また、得られた含フッ素共重合体を用いてイオン交換膜を作製し、評価を行ったところ、Ca/Sr添加前電流効率は96.7%であり、Ca/Sr添加後電流効率は94.9%であった。すなわちカルシウムイオンおよびストロンチウムイオン汚染に伴う電流効率の低下は1.8%であった。
【0080】
〔例2〕
(工程(I)、(II))
例1と同様にして、54gの粉体状の共重合体を得た。
【0081】
(工程(III))
そこに、CF
2HCF
2OCH
2CF
3(以下、HFE−347pc−fと記す。)の270g、オルト酢酸トリメチルの1.08gを入れ、容器を60℃に設定し、常圧下で1時間還流を行った後、冷却してろ過を行った。その後、HFE−347pc−fの810gを入れ、容器を60℃に設定し、常圧下で1時間還流を行った後、冷却してろ過し、乾燥して、粉体状の含フッ素共重合体を得た。
【0082】
得られた含フッ素共重合体のイオン交換容量は1.062ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は239℃であった。また、含フッ素共重合体中のAK−225cb可溶分の分子量を測定したところ、該可溶分中に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分は0.6質量%であった。分子量分布を
図1に示す。
また、得られた含フッ素共重合体を用いてイオン交換膜を作製し、評価を行ったところ、Ca/Sr添加前電流効率は96.7%であり、Ca/Sr添加後電流効率は94.9%であった。すなわち、カルシウムイオンおよびストロンチウムイオン汚染に伴う電流効率の低下は1.8%であった。
【0083】
〔例3〕
(工程(I)、(II))
例1と同様にして、54gの粉体状の共重合体を得た。
【0084】
(工程(III))
そこに、メタノールの270gを入れ、容器を65℃に設定し、常圧下で5時間還流を行った後、冷却してろ過を行った。同様な操作を4回行い、メタノールの162g、オルト酢酸トリメチルの16.2gを入れ、容器を65℃に設定して15時間還流を行った後、冷却してろ過し、オルト酢酸トリメチルをメタノールで洗浄し、乾燥して、粉体状の含フッ素共重合体を得た。
【0085】
得られた含フッ素共重合体のイオン交換容量は1.065ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は230℃であった。また、含フッ素共重合体中のAK−225cb可溶分の分子量を測定したところ、該可溶分中に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分は42.7質量%であった。分子量分布を
図1に示す。
また、得られた含フッ素共重合体を用いてイオン交換膜を作製して評価を行ったところ、Ca/Sr添加前電流効率は97.0%であり、Ca/Sr添加後電流効率は93.9%であった。すなわち、カルシウムイオンおよびストロンチウムイオン汚染に伴う電流効率の低下は3.1%であった。
【0086】
〔例4〕
(工程(I))
例1と同様に重合を行った。
【0087】
(工程(II))
反応開始からのTFEの導入量が49gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。得られたスラリーに、メタノールの240gを添加して共重合体を凝集、分離した。
【0088】
(工程(III))
共重合体をメタノールによって洗浄し、再エステル化処理し、乾燥して、粉体状の含フッ素共重合体を得た。
【0089】
得られた含フッ素共重合体のイオン交換容量は1.063ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は227℃であった。また、含フッ素共重合体中のAK−225cb可溶分の分子量を測定したところ、該可溶分中に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分は18.2質量%であった。分子量分布を
図1に示す。
また、得られた含フッ素共重合体を用いてイオン交換膜を作製して評価を行ったところ、Ca/Sr添加前電流効率は96.0%であり、Ca/Sr添加後電流効率は93.1%であった。すなわち、カルシウムイオンおよびストロンチウムイオン汚染に伴う電流効率の低下は2.9%であった。
【0090】
〔例5〕
(工程(I)、(II))
例1と同様にして、54gの粉体状の共重合体を得た。
【0091】
(工程(III))
そこに、HFE−347pc−fの270gを入れ、室温(15℃)で1時間撹拌を行った後、ろ過を行った。同様な操作を2回行い、乾燥して、粉体状の含フッ素共重合体を得た。
【0092】
得られた含フッ素共重合体中のAK−225cb可溶分の分子量を測定したところ、該可溶分中に含まれるlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分は14.6質量%であった。
【0093】
【表1】
【0094】
例1、2と、例3〜5の比較から、含フッ素共重合体中に含まれるAK−225cb可溶分のlogMが2.0以上である成分100質量%のうち、logMが2.0〜3.5である成分の質量%は、例1、2で小さく、例3〜5で大きいことがわかる。この違いは、洗浄に用いる溶媒の温度や極性の違いにより、含フッ素共重合体の膨潤度や抽出効率が異なり、低分子量成分の洗浄性が異なるためと思われる。
【0095】
また、カルシウムイオンおよびストロンチウムイオンを添加した塩化ナトリウム水溶液の電解における電流効率の低下は、例1、2では小さいが、例3、4では大きいことから、例1、2のイオン交換膜は、塩化ナトリウム水溶液中の不純物汚染による影響が小さいことがわかる。