【実施例】
【0067】
以下、参考例、実施例及び比較例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、下記例中Meはメチル基、Etはエチル基を示す。
【0068】
[参考例1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(Intermediate−1)の合成
【化12】
窒素雰囲気下、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール111gとテトラヒドロフラン700mlの混合物を−40℃以下に冷却しながら撹拌し、ここに2.64Mのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液500mlを滴下した。この温度で30分間撹拌した後、冷却バスを氷冷に変えて5℃まで昇温し、イソバレロアルデヒド50gとテトラヒドロフラン50mlの混合物を滴下した。反応混合物を撹拌しながら室温に上げて5時間撹拌した。反応混合物を希塩酸にあけ、エーテルで抽出した。エーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、粗1,1,1,3,3−ペンタフルオロ−4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンを得た。この粗生成物と水50gの混合物に室温で25質量%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、室温で終夜撹拌した。次いで撹拌しながら徐々に90℃まで加熱した。冷却後、反応混合物をn−ヘキサンで抽出し、ヘキサン層を廃棄した。水層に20質量%塩酸を加えて酸性にし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を乾燥、濃縮して目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸107g(定量的収率)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0069】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸
淡黄色固体
IR(D−ATR):ν=3311,2966,1725,1472,1404,1276,1211,1131,1117,1074,979,919cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.84(3H,d,J=6.4Hz),0.90(3H,d,J=6.4Hz),1.17(1H,br.t様,J=12Hz),1.41−1.47(1H,m),1.72−1.81(1H,m),3.84−3.92(1H,m),5.10−6.10(1H,br.,O
H),13.4−15.0(1H,COO
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=21.02,23.41,23.57,37.62(d,J=3Hz),68.00(dd,J=25,26Hz),115.6(dd,J=251,256Hz),165.0(dd,J=30,32Hz)ppm。
19F−NMR[564MHz,DMSO−d
6,トリフルオロ酢酸標準(以下、同様)]:δ=−122.53(1F,dd,J=16,250Hz),−116.04(1F,dd,J=8.7,250Hz)ppm。
【0070】
[参考例2]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(Intermediate−2)の合成
【化13】
[参考例1]のイソバレロアルデヒドの代わりにイソブチルアルデヒドを用いた以外は[参考例1]に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(収率93%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0071】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸
淡黄色固体
IR(D−ATR):ν=3311,2966,1732,1474,1401,1296,1208,1125,1053,933,916cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.87(3H,d,J=7.3Hz),0.90(3H,d,J=6.4Hz),1.79−1.90(1H,m),3.58−3.67(1H,m),5.10−6.20(1H,br.,O
H),13.4−15.0(1H,COO
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.50,19.74,28.28,73.52(dd,J=22,25Hz),116.3(dd,J=253,257Hz),165.2(t様,J=31Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−122.55(1F,dd,J=18,253Hz),−112.53(1F,dd,J=9.0,253Hz)ppm。
【0072】
[参考例3]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸(Intermediate−3)の合成
【化14】
[参考例1]のイソバレロアルデヒドの代わりにアセトンを用いた以外は[参考例1]に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸(収率78%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0073】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸
淡黄色固体
IR(D−ATR):ν=3367,3194,2995,2664,2548,1739,1460,1378,1300,1206,1137,1110,1064,975cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=1.22(3H,s),4.50−5.60(1H,br.,O
H),11.5−15.5(1H,COO
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=23.56(2C,t,J=2.9Hz),71.00(t,J=24.5Hz),116.66(t,J=256Hz),164.88(t,J=31Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.80(2F,s)ppm。
【0074】
[参考例4]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸(Intermediate−4)の合成
【化15】
[参考例1]のイソバレロアルデヒドの代わりにブチルアルデヒドを用いた以外は[参考例1]に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸(収率75%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0075】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸
淡黄色固体
IR(D−ATR):ν=3341,2966,2690,2550,1739,1464,1308,1274,1259,1210,1113,1081,1061cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.26−1.37(1H,m),1.39−1.45(2H,m),1.45−1.54(1H,m),3.77−3.88(1H,m),4.70−6.30(1H,br.,O
H),12.5−15.6(1H,COO
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=13.66,18.05,30.93(d,J=3Hz),69.43(dd,J=24,27Hz),115.61(dd,J=251,256Hz),165.01(t,J=31Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−122.53(1F,dd,J=16,250Hz),−115.68(1F,J=8.6,250Hz)ppm。
【0076】
[参考例5]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−1)の合成
【化16】
【0077】
[5−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチルの合成
[参考例1]の方法で合成したIntermediate−1 28.11gとメタノール280gの混合物にp−トルエンスルホン酸一水和物0.6gを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、8時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を約200mlまで濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、エーテルで抽出した。エーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチル21.8g(収率72%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0078】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチル
黄色液体
IR(D−ATR):ν=3461,2961,2874,1763,1470,1443,1317,1273,1214,1128,1070cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.85(3H,d,J=6.4Hz),0.91(3H,d,J=6.4Hz),1.20(1H,br.t様,J=12Hz),1.41−1.47(1H,m),1.72−1.81(1H,m),3.82(3H,s),3.82−3.95(1H,m),5.79(1H,br.,O
H)ppm。
【0079】
[5−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−1)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、粗2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチル18.4gと塩化メタクリロイル13.0gとアセトニトリル150mlの混合物にトリエチルアミン13.0gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水15ml、トリエチルアミン10ml、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを順次加え、更に室温で2時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、ヘキサン−エーテルの混合物で抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−1)13.6g(収率62%)を得た。
【0080】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−1)
無色液体
沸点 57℃/20Pa
IR(D−ATR):ν=2962,1771,1732,1440,1316,1294,1154,1127,1080,975cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.87(3H,d,J=6.4Hz),0.90(3H,d,J=6.9Hz),1.45−1.51(1H,m),1.52−1.60(1H,m),1.65−1.71(1H,m),1.89(3H,br.s),3.84(3H,s),5.39−5.47(1H,m),5.79(1H,q様,J=1.5Hz),6.07(1H,t様,J=1.2Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.69,20.99,22.81,23.61,35.39,54.01,69.38(t様,J=25Hz),113.37(t,J=255Hz),127.54,134.59,162.35(t,J=31Hz),165.29ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.50(1F,ddd,J=4,12,258Hz),−115.76(1F,dd,J=11,258Hz)ppm。
【0081】
[参考例6]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸エチル(Monomer−2)の合成
【化17】
【0082】
[6−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸エチルの合成
[参考例1]の方法で合成したIntermediate−1 25.0g、エタノール20gとベンゼン200gの混合物にp−トルエンスルホン酸一水和物0.15gを加え、窒素雰囲気下加熱して、生じる水を系外に除去しつつ20時間撹拌した。冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、粗2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸エチル24.5g(収率85%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0083】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸エチル
淡黄色液体
IR(D−ATR):ν=3466,2961,2874,1760,1470,1373,1314,1272,1214,1129,1069cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.85(3H,d,J=6.3Hz),0.91(3H,d,J=6.8Hz),1.16−1.22(1H、m),1.25(3H,t,J=7.1Hz),1.41−1.47(1H,m),1.73−1.82(1H,m),3.85−3.94(1H,m),4.22−4.33(1H,m),5.77(1H,br.,O
H)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−122.65(1F,dd,J=16.3,252Hz),−114.98(1F,dd,J=8.7,251Hz)ppm。
【0084】
[6−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸エチル(Monomer−2)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、粗2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸エチル27.1gと塩化メタクリロイル20.5gとアセトニトリル200mlの混合物にトリエチルアミン20.5gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水15ml、トリエチルアミン10ml、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを順次加え、更に室温で2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、ヘキサン−エーテルの混合物で抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸エチル(Monomer−2)30.5g(収率85%)を得た。
【0085】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸エチル(Monomer−2)
無色液体
沸点 67−68℃/60Pa
IR(D−ATR):ν=2963,1773,1732,1313,1221,1154,1127,1079cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.88(3H,d,J=6.4Hz),0.90(3H,d,J=6.4Hz),1.22(3H,t,J=7.1Hz),1.45−1.50(1H,m),1.51−1.59(1H,m),1.65−1.71(1H,m),1.88(3H,br.s),4.28(2H,q様,J=6.8Hz),5.40−5.48(1H,m),5.79(1H,q様,J=1.5Hz),6.08(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=13.53,17.67,21.02,22.84,23.59,35.46,63.46,69.35(dd,J=25,29Hz),113.30(t,J=255Hz),127.57,134.60,161.79(t,J=32Hz),165.23ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−118.04(1F,dd,J=12,258Hz),−115.33(1F,dd,J=11,258Hz)ppm。
【0086】
[参考例7]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)(Monomer−3)の合成
【化18】
【0087】
[7−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)の合成
[参考例1]の方法で合成したIntermediate−1 25.0g、2−メトキシエタノール25gとベンゼン200gの混合物にp−トルエンスルホン酸一水和物0.15gを加え、窒素雰囲気下加熱して、生じる水を系外に除去しつつ8時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷水にあけ、エーテルで抽出した。エーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、粗2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)23.9g(収率73%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0088】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)
淡黄色液体
IR(D−ATR):ν=3424,2960,2874,1771,1470,1372,1310,1204,1129,1085,1068cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.85(3H,d,J=6.4Hz),0.91(3H,d,J=6.8Hz),1.15−1.22(1H、m),1.41−1.48(1H,m),1.73−1.82(1H,m),3.26(3H,s),3.53−3.61(2H,m),3.85−3.95(1H,m),4.29−4.43(2H,m),5.77(1H,br.,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=20.92,23.37,23.48,37.41,58.04,65.39,68.17(t,J=25Hz),69.22,115.69(dd,J=253,256Hz),163.36(t,J=32Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−121.44(1F,dd,J=15.2,253Hz),−115.89(1F,dd,J=9.7,253Hz)ppm。
【0089】
[7−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)(Monomer−3)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、粗2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)23.7gと塩化メタクリロイル18.5gとアセトニトリル200mlの混合物にトリエチルアミン18.5gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水15ml、トリエチルアミン10ml、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを順次加え、更に室温で2時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、ヘキサン−エーテルの混合物で抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)(Monomer−3)23.2g(収率76%)を得た。
【0090】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2−メトキシエチル)(Monomer−3)
黄色液体
沸点 102℃/80Pa
IR(D−ATR):ν=2962,1774,1731,1312,1293,1155,1129,1079cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.88(3H,d,J=6.4Hz),0.90(3H,d,J=6.8Hz),1.43−1.50(1H,m),1.51−1.59(1H,m),1.65−1.71(1H,m),1.88(3H,br.s),3.24(3H,s),3.52−3.59(2H,m),4.35−4.44(2H,m),5.40−5.48(1H,m),5.79(1H,t様,J=1.5Hz),6.09(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.69,20.95,22.85,23.58,35.55,57.91,65.95,69.05,69.33(t,J=25Hz),113.45(t,J=255Hz),127.50,134.63,161.76(t,J=31Hz),165.26ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−116.71(1F,dd,J=11,258Hz),−116.07(1F,dd,J=11,258Hz)ppm。
【0091】
[参考例8]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(Monomer−4)の合成
【化19】
[参考例5]の方法で合成したMonomer−1 15.6g、ジグライム(Diglyme)50mlの混合物を氷冷下撹拌しながら、5質量%水酸化ナトリウム水溶液50.0gを15℃以下で滴下した。30分間撹拌後、反応混合物をn−ヘキサンで抽出し、ヘキサン層を廃棄した。水層に20質量%塩酸20gを加えて酸性にし、ジイソプロピルエーテルで抽出した。ジイソプロピルエーテル溶液を洗浄、乾燥、濃縮、減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(Monomer−4)14.6g(収率99%)を得た。
【0092】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(Monomer−4)
黄色液体
沸点 118℃/80Pa
IR(D−ATR):ν=3512,2963,1760,1732,1314,1296,1158,1128,1080cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.87(3H,d,J=6.3Hz),0.89(3H,d,J=6.3Hz),1.41−1.47(1H,m),1.49−1.59(1H,m),1.65−1.70(1H,m),1.88(3H,br.s),5.40−5.48(1H,m),5.77(1H,t様,J=1.8Hz),6.07(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.71,21.11,22.94,23.64,35.82,69.41(t,J=26Hz),113.55(t,J=254Hz),127.34,134.81,163.57(t,J=30Hz),165.38ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.66(1F,dd,J=12,256Hz),−116.73(1F,dd,J=12,256Hz)ppm。
【0093】
[参考例9]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−5)の合成
【化20】
[9−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチルの合成
[参考例2]の方法で合成したIntermediate−2 50gとメタノール200gとベンゼン250gの混合物にp−トルエンスルホン酸一水和物0.3gを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、20時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、ヘキサンで抽出した。ヘキサン溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル45.78g(収率85%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0094】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル
黄色液体
IR(D−ATR):ν=3480,2966,2882,1764,1443,1325,1214,1109,1058cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.91(3H,d,J=6.9Hz),0.93(3H,dd,J=1.4,6.9Hz),1.81−1.90(1H,m),3.58−3.68(1H,m),3.81(3H,s),5.83(1H,br.,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.57,19.46,28.19,53.28,73.65(dd,J=23,26Hz),116.42(dd,J=252,259Hz),164.05(dd,J=31,33Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−121.65(1F,dd,J=20,254Hz),−110.46(1F,dd,J=8,254Hz)ppm。
【0095】
[9−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−5)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル29.24gと塩化メタクリロイル28.4gとアセトニトリル300mlの混合物にトリエチルアミン28.4gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水30ml、トリエチルアミン20ml、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを順次加え、更に室温で1時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、ヘキサン−エーテルの混合物で抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−5)54.8g(収率81%)を得た。
【0096】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−5)
無色液体
沸点 55℃/25Pa
IR(D−ATR):ν=2972,1771,1732,1441,1319,1220,1154,1116,1084,1062cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.92(3H,d,J=6.9Hz),0.95(3H,d,J=6.9Hz),1.90(3H,br.s),2.10−2.19(1H,m),3.82(3H,s),5.18−5.25(1H,m),5.78−5.82(1H,m),6.09(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.02,17.73,19.11,27.28,53.99,74.18(dd,J=23,28Hz),113.83(t,J=256Hz),127.48,134.63,162.60(t,J=31Hz),165.22ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−115.03(1F,dd,J=15,260Hz),−112.86(1F,dd,J=11,260Hz)ppm。
【0097】
[参考例10]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(Monomer−6)の合成
【化21】
[参考例8]のMonomer−1の代わりに[参考例9]の方法で合成したMonomer−5を用いた以外は[参考例8]に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(収率75%)を得た。
【0098】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(Monomer−6)
黄色液体
沸点 94℃/30Pa
IR(D−ATR):ν=3198,2974,1770,1733,1705,1304,1159,1059cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.92(3H,d,J=6.9Hz),0.95(3H,d,J=6.9Hz),1.89(3H,t様,J=1.5Hz),2.08−2.17(1H,m),5.18−5.26(1H,m),5.77(1H,quint様,J=1.2Hz),6.09(1H,br.s),12.5−15.5(1H,br.,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.16,17.80,19.27,27.45,74.26(t様,J=26Hz),113.99(t,J=255Hz),127.24,134.86,163.83(t,J=30Hz),165.32ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−114.89(1F,dd,J=14,257Hz),−113.86(1F,dd,J=12,257Hz)ppm。
【0099】
[参考例11]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−7)の合成
【化22】
[11−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)と2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチルの合成
[参考例9][9−1]の方法で合成した2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル46.8gと2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール200gの混合物に触媒量のカリウムt−ブトキシドを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、100−115℃以下の留分を系外に抜き出しつつ48時間加熱還流した。冷却後、反応混合物をシリカゲル濾過し、減圧蒸留した。2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、次いで、原料の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチルを部分回収した後、更に蒸留を続けて、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)32.2g(収率33%、原料回収を考慮して消費された原料からの収率42%)を得、更に2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチル5.22g(収率8%)を得た。
【0100】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)
無色液体
沸点 72℃/15Pa
IR(D−ATR):ν=3486,2975,2887,1785,1402,1286,1205,1175,1131,1061cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.93(3H,d,J=6.9Hz),0.94(3H,dd様,J=0.9,6.9Hz),1.81−1.90(1H,m),3.58−3.72(1H,m),5.01(1H,q様,J=13.8Hz),5.10(1H,q様,J=13.8Hz),5.95(1H,d,J=7.4Hz,O
H),7.06(1H,tt,J=5.5,50Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.50,19.33,28.22,60.63(t,J=27Hz),73.73(dd,J=22,25Hz),107.90(tt,J=30,251Hz),108.1−112.4(2C,m),114.36(tt,J=32,256Hz),116.40(dd,J=255,259Hz),162.30(dd,J=32,35Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−139.82(2F,d,J=49Hz),−130.91(2F,s),−125.92(2F,s),−121.08(1F,dd,J=19,255Hz),−120.28(2F,s),−110.42(1F,dd,J=8,255Hz)ppm。
【0101】
2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチル
本品は分子内に不斉炭素が二個存在し、ジアステレオマー(Diastereomer)混合物である。
無色液体
沸点 140℃/20Pa
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.90−1.20(12H,m),1.84−1.92(1H,m),2.14−2.22(1H,m),3.58−3.68(1H,m),3.85(3H,s),5.30−5.41(1H,m),5.90(1H,br.s,O
H),ppm。
【0102】
[11−2]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)の別法合成
[参考例9][9−1]の方法で合成した2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル60.0gと2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール300gの混合物に触媒量のアンバーリストを加え、窒素雰囲気下撹拌しながら、65−90℃以下の留分を系外に抜き出しつつ42時間加熱還流した。冷却後反応混合物を濾過し、減圧蒸留した。2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、次いで、原料の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチルを部分回収した後、更に蒸留を続けて、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)74.4g(収率66%、原料回収を考慮して消費された原料からの収率80%)を得た。なお、この化合物の物性及びスペクトルは[11−1]と一致した。
【0103】
[11−3]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−7)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)20.45gとメタクリル酸無水物10.4gとトルエン100gの混合物にメタンスルホン酸を触媒量滴下した。反応混合物を70℃で3日間撹拌した。冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、エーテルで抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−7)20.9g(収率87%)を得た。
【0104】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−7)
無色液体
沸点 77−79℃/20Pa
IR(D−ATR):ν=2976,1789,1732,1317,1172,1135,1068cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.93(3H,d,J=6.9Hz),0.96(3H,d,J=6.9Hz),1.89(3H,br.s),2.12−2.20(1H,m),5.09(1H,t,J=14.2Hz),5.22−5.28(1H,m),5.80(1H,s様),6.10(1H,t,J=1.0Hz),7.06(1H,tt,J=5.5,50Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=16.91,17.61,19.10,27.35,61.33(t,J=26Hz),73.94(dd,J=23,26Hz),107.86(tt,J=30,251Hz),113.79(t,J=257Hz),107.70−116.20(4C,m),127.53,134.52,160.84(t様,J=32Hz),165.11ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−139.84(2F,d,J=49Hz),−130.86(2F,s),−125.90(2F,s),−120.40(2F,q様,J=12Hz),−114.28(1F,dd,J=14,263Hz),−112.10(1F,dd,J=11,263Hz)ppm。
【0105】
[参考例12]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)(Monomer−8)の合成
【化23】
【0106】
[12−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)の合成
[参考例11][11−1]の2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールの代わりに3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキサノールを用いた以外は[参考例11]の方法に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)(収率87%)を得た。
【0107】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)
無色液体
沸点 84℃/40Pa
IR(D−ATR):ν=3498,2974,2885,1770,1474,1222,1135,1060cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.91(3H,d,J=6.4Hz),0.93(3H,dd様,J=1.4,6.9Hz),1.80−1.89(1H,m),2.67−2.82(2H,m),3.58−3.66(1H,m),4.48−4.58(1H,m),5.84(1H,d,J=7.3Hz,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.41,19.39(d,J=2.9Hz),28.14,29.16(t,J=21Hz),58.36,73.60(dd様、J=22,25Hz),106.00−120.20(4C,m),116.24(dd,J=254,259Hz),163.19(dd,J=31,34Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−127.14(2F,dd,J=9.7,14Hz),−125.53(2F,s),−114.50−−114.30(2F,m),−121.39(1F,dd,J=19,254Hz),−111.48(1F,dd,J=8.7,254Hz),−82.07(3F,t様,J=9Hz)ppm。
【0108】
[12−2]
[参考例11][11−3]の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)の代わりに2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)を用いた以外は[参考例11]の方法に準じた方法により、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)(Monomer−8)(収率44%)を得た。
【0109】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)(Monomer−8)
無色液体
沸点 93℃/40Pa
IR(D−ATR):ν=2976,2887,1778,1732,1299,1222,1157,1135,1064cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.92(3H,d,J=6.9Hz),0.94(3H,d,J=6.9Hz),1.88(3H,br.s),2.11−2.19(1H,m),2.68−2.79(2H,m),4.50−4.59(2H,m),5.19−5.26(1H,m),5.78(1H,s様),6.09(1H,s様)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=16.82,17.59,19.10,27.26,29.02(t,J=22Hz),59.21,74.01(dd,J=23,26Hz),113.70(t様,J=256Hz),106.00−120.20(4C,m),127.38,134.62,161.74(t様,J=32Hz),165.20ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−127.13(2F,dd,J様=10,14Hz),−125.70−−125.40(2F,m),−114.84(1F,dd,J=14,261Hz),−114.55−−114.35(2F,m),−113.18(1F,dd,J=11,261Hz),−82.03(3F,t様,J=9Hz),ppm。
【0110】
[参考例13]2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−9)の合成
【化24】
[参考例11][11−3]の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)の代わりに[参考例11][11−1]で得た2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチルを用いた以外は[参考例11]の方法に準じた方法により反応を実施した後、減圧蒸留の代わりにシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して、目的物2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(収率49%)を得た。
2,2−ジフルオロ−3−(2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−4−メチルペンタノイルオキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−9)
本品は分子内に不斉炭素が二個存在し、ジアステレオマー(Diastereomer)混合物である。
【0111】
無色液体
IR(D−ATR):ν=2974,2888,1780,1733,1317,1294,1224,1154,1059cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.89−1.00(12H,m),1.88(3H,br.s),2.11−2.22(2H,m),3.86(3H,s),5.24−5.33(1H,m),5.36−5.44(1H,m),5.77−5.82(1H,m),6.09(1H,s様)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=16.43,16.47,16.98,17.08,17.64,18.68,18.73,19.14,27.18,27.53,54.25,73.50−74.00(m),76.60−77.36(m),112.88(t様,J=256Hz),112.98(t様,J=256Hz),113.98(dd,J=256,257Hz),113.98(dd,J=254,259Hz),114.30(dd,J=254,259Hz),127.46,127.66,134.54,134.57,161.24(t様,J=32Hz),161.35(t様,J=32Hz),161.98(t様,J=32Hz),164.93,165.09ppm。部分的にジアステレオマーのピークが別々に観測されているため、ピーク数と平面式から計算される炭素数とは一致していない。
【0112】
[参考例14]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシヘキサン酸メチル(Monomer−10)の合成
【化25】
【0113】
[14−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸メチルの合成
[参考例4]の方法で合成したIntermediate−4 75.5gとメタノール200gの混合物に触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、10時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を洗浄、乾燥、濃縮して、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸メチル63.0g(収率58%)を得た。この粗生成物は中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0114】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸メチル
黄色液体
IR(D−ATR):ν=3472,2964,2878,1763,1443,1319,1213,1114,1080,1061cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.88(3H,t,J=7.1Hz),1.28−1.54(4H,m),3.82(3H,s),3.81−3.89(1H,m),5.80(1H,br.,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=13.57,17.94,30.65(d,J=3Hz),53.34,69.54(dd,J=24,27Hz),115.66(dd,J=252,256Hz),163.87(t様,J=32Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−121.74(1F,dd,J=17,253Hz),−112.76(1F,dd,J=8,253Hz)ppm。
【0115】
[14−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシヘキサン酸メチル(Monomer−10)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシヘキサン酸メチル30.06gと塩化メタクリロイル28.4gとアセトニトリル300mlの混合物にトリエチルアミン28.4gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水30ml、トリエチルアミン20mlを加え、更に室温で1時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシヘキサン酸メチル(Monomer−10)21.54g(収率52%)を得た。
【0116】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシヘキサン酸メチル(Monomer−10)
無色液体
沸点 62−63℃/80Pa
IR(D−ATR):ν=2965,2937,2878,1771,1731,1441,1316,1153,1110,1059cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.88(3H,t,J=7.3Hz),1.21−1.38(2H,m),1.62−1.73(2H,m),1.88(3H,br.s),5.34−5.42(1H,m),5.78(1H,t様,J=1.4Hz),6.07(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=13.25,17.58,17.70,28.78,53.99,70.62(dd,J=25,27Hz),113.37(t,J=255Hz),127.42,134.63,162.40(t,J=31Hz),165.27ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.75(1F,dd,J=13,259Hz),−115.35(1F,dd,J=10,259Hz)ppm。
【0117】
[参考例15]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−3−メチルブタン酸メチル(Monomer−11)の合成
【化26】
【0118】
[15−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチルの合成
[参考例3]の方法で合成したIntermediate−3 73.3gとメタノール300gの混合物に触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、12時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル52.0g(収率65%)を得た。
【0119】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル
黄色液体
IR(D−ATR):ν=3502,2995,2961,1766,1442,1315,1195,1116,1062cm
-1。
【0120】
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=1.22(6H,s),3.80(3H,s),5.57(1H,s,O
H)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=23.28(2C),53.21,71.12(t,J=25Hz),116.81(t,J=258Hz),163.73(t,J=33Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.38(2F)ppm。
【0121】
[15−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−3−メチルブタン酸メチル(Monomer−11)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル30.0gと塩化メタクリロイル30.0gとアセトニトリル250mlの混合物にトリエチルアミン72.6gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、水30mlと触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加え、更に室温で1時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−3−メチルブタン酸メチル(Monomer−11)36.72g(収率88%)を得た。
【0122】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−3−メチルブタン酸メチル(Monomer−11)
無色液体
沸点 42℃/27Pa
IR(D−ATR):ν=3000,2960,1769,1727,1440,1318,1303,1159,1135,1064cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=1.63(6H,s),1.81(3H,s),3.87(3H,s),5.68−5.72(1H,m),5.96(1H,s様)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.61(2C),19.24,53.81,81.21(t,J=26Hz),114.31(t,J=258Hz),126.58,136.08,162.48(t,J=32Hz),164.47ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−118.39(2F)ppm。
【0123】
[参考例16]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−12)の合成
【化27】
【0124】
[16−1]2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)の合成
[参考例5][5−1]の方法で合成した2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチル55.86gと2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール75gの混合物に触媒量のカリウムt−ブトキシドを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら、100−115℃以下の留分を系外に抜き出しつつ48時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を減圧蒸留した。2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、次いで、原料の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチルを部分回収した後、更に蒸留を続けて、目的物2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)31.15g(収率28%、原料回収を考慮して消費された原料からの収率36%)を得た。
【0125】
2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)
黄色液体
沸点 96℃/150Pa
IR(D−ATR):ν=3449,2965,2877,1784,1311,1291,1174,1132,1076cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.85(3H,d,J=6.4Hz),0.91(3H,d,J=6.9Hz),1.17−1.24(1H,m),1.43−1.51(1H,m),1.74−1.83(1H,m),3.87−4.01(1H,m),4.99−5.17(2H,m),5.92(1H,br.d,J=6Hz,O
H),7.06(1H,tt,J=6,50Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=20.81,23.32,23.39,37.23,60.69(t,J=27Hz),68.23(t,J=25Hz),106.00−117.50(5C,m),162.08(t,J=34Hz)ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−139.83(2F,d,J=50Hz),−131.00−−130.80(2F,m),−125.90(2F,t,J=8Hz),−121.83(1F,dd,J=16,254Hz),−120.35−−120.10(2F,m),−115.15(1F,dd,J=9,254Hz)ppm。
【0126】
[16−2]2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−12)の合成
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)21.83gとメタクリル酸無水物11.7gとトルエン100mlの混合物にメタンスルホン酸を触媒量滴下した。反応混合物を70℃で2日間撹拌した。冷却後、反応混合物をエーテルで希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えて室温で終夜撹拌した。有機層を洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−12)25.3g(収率99%)を得た。
【0127】
2,2−ジフルオロ−3−メタクリロイルオキシ−5−メチルヘキサン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(Monomer−12)
無色液体
沸点 82℃/11Pa
IR(D−ATR):ν=2966,1790,1732,1313,1294,1173,1157,1131cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.87(3H,d,J=6.9Hz),0.89(3H,d,J=6.4Hz),1.45−1.52(1H,m),1.52−1.61(1H,m),1.65−1.73(1H,m),1.87(3H,br.s),5.04−5.16(1Hm),5.44−5.52(1H,m),5.78(1H,t様,J=2Hz),6.08(1H,s様),7.04(1H,tt,J=5.5,50Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.56,20.56,22.74,23.59,61.32(t,J=26Hz),69.23(t,J=25Hz),107.89(tt,J=31,251Hz),110.27(tt,J=31,264Hz),110.48(tt,J=31,265Hz),113.37(t,J=256Hz),114.24(tt,J=31,257Hz),127.53,134.53,160.59(t,J=32Hz),165.20ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−139.93(2F,d,J=50Hz),−130.94(2F,d,J=4.4Hz),−125.99(2F,t,J=7.6Hz),−120.46(2F,q様,J=12Hz),−116.57(1F,dd,J=11,261Hz),−115.51(1F,dd,J=11,261Hz)ppm。
【0128】
[参考例17]2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−13)の合成
【化28】
窒素雰囲気下室温で撹拌しながら塩化メタクリロイルオキシアセチル22.6gとトルエン100mlの混合物に[参考例9][9−1]で合成した2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチル18.86g、次いで、ピリジン13.8gを滴下した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を洗浄、乾燥、濃縮した残渣を減圧蒸留して、目的物2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−13)29.80g(収率93%)を得た。
【0129】
2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−4−メチルペンタン酸メチル(Monomer−13)
無色液体
沸点 99℃/20Pa
IR(D−ATR):ν=2971,1778,1731,1441,1322,1203,1150,1062cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.91(3H,d,J=6.9Hz),0.95(3H,d,J=6.9Hz),1.91(3H,s),2.06−2.15(1H,m),3.86(3H,s),4.84(1H,d,J=16Hz),4.90(1H,d,J=16Hz),5.20−5.27(1H,m),5.77−5.81(1H,m),6.12(1H,br.s)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=16.83,17.74,18.99,27.23,54.13,60.52,74.39(dd,J=23,27Hz),113.53(t,J=256Hz),127.10,134.86,162.37(t,J=31Hz),165.99,166.91ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−115.00(1F,dd,J=15,262Hz),−112.88(1F,dd,J=12,262Hz)ppm。
【0130】
[参考例18]2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−14)の合成
【化29】
[参考例17]の2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチルの代わりに[参考例5][5−1]で得た2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸メチルを用いた以外は[参考例17]の方法に準じた方法により目的物2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−14)(収率53%)を得た。
【0131】
2,2−ジフルオロ−3−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−5−メチルヘキサン酸メチル(Monomer−14)
無色液体
沸点 101℃/13Pa
IR(D−ATR):ν=2962,1778,1731,1441,1320,1202,1150,1068cm
-1。
1H−NMR(600MHz,DMSO−d
6):δ=0.86(3H,d,J=6.9Hz),0.90(3H,d,J=6.4Hz),1.40−1.47(1H,m),1.56−1.47(1H,m),1.90(3H,t),3.86(3H,s),4.81(1H,d,J=16Hz),4.87(1H,d,J=16Hz),5.38−5.47(1H,m),5.78−5.80(1H,m),6.11(1H,t,J=1Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d
6):δ=17.76,20.82,22.93,23.17,35.34,54.16,60.54,69.57(dd,J=24,28Hz),113.03(t,J=255Hz),127.09,134.84,162.10(t,J=32Hz),165.94,166.93ppm。
19F−NMR(564MHz,DMSO−d
6):δ=−117.69(1F,dd,J=13,261Hz),−115.62(1F,dd,J=11,261Hz)ppm。
【0132】
[実施例1]
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。なお、実施例中における“GPC”はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーのことであり、得られた高分子化合物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はGPCによりポリスチレン換算値(溶媒;テトラヒドロフラン)として測定した。
【0133】
[
参考例1−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気下のフラスコに8.96gのモノマー1、6.41gのメタクリル酸4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−トリフルオロメチルブタン−2−イル、0.63gの2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、15gのメチルエチルケトンを投入して単量体溶液を調製し、溶液温度を20〜25℃とした。窒素雰囲気下の別のフラスコに7.5gのメチルエチルケトンを投入し、還流条件下撹拌しているところに上記単量体溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液を還流条件に保ったまま2時間撹拌を続け、熟成終了後に室温まで冷却した。重合液を150gのヘキサン中に滴下した。析出した共重合体を濾別後、90gのヘキサンで洗浄し、白色固体を分離した。白色固体を50℃で20時間真空乾燥して、下記式ポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は10.3g、収率は64%であった。
【0134】
【化30】
【0135】
[実施例
及び参考例1−2〜12]ポリマー2〜12の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、上記[
参考例1−1]と同様の手順により、下に示した樹脂を製造した。なお、導入比はモル比である。
【0136】
【化31】
【0137】
【化32】
【0138】
【化33】
【0139】
【化34】
【0140】
[実施例
及び参考例2−1〜11、比較例1−1,2]レジスト評価
下記Resist Polymerを5g、上記ポリマー1〜12を0.25g、PAG1を0.25g、Quencher1を0.05g用い、これらを75gのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、0.2μmサイズのポリプロピレンフィルターで濾過し、レジスト溶液を作製した。また、比較例1−2として、上記ポリマー1〜12を添加しないレジスト溶液も調製した。
【0141】
【化35】
【0142】
シリコン基板上に反射防止膜ARC−29A(日産化学工業(株)製)を成膜後(膜厚:87nm)、その上に上記レジスト溶液を塗布し、90℃で60秒間ベークして膜厚90nmのレジスト膜を作製した。
上記方法でレジスト膜を形成したウエハーを水平に保ち、その上に50μLの純水を滴下して水玉を形成後、傾斜法接触角計Drop Master 500(協和界面科学(株)製)を用いてウエハーを徐々に傾斜させ、水玉が転落し始めるウエハーの角度(転落角)と後退接触角を求めた。その結果を表1に示す。
【0143】
更に、上記方法でレジスト膜を形成したウエハーをArFスキャナーS305B((株)ニコン製)を用いてオープンフレームにて50mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、このレジスト膜上に内径10cmの真円状のテフロン(登録商標)リングを置き、その中に10mlの純水を注意深く注いで、室温にて60秒間レジスト膜と純水を接触させた。その後、純水を回収し、純水中の光酸発生剤(PAG1)の陰イオン成分濃度をLC−MS分析装置(アジレント・テクノロジー(株)製)にて測定した。その結果を表1に示す。
【0144】
次に、上記方法でレジスト膜を形成したウエハーをArFスキャナーS307E((株)ニコン製、NA0.85、σ0.93、4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光を行い、純水をかけながら5分間リンスを行い、110℃で60秒間ポスト・エクスポジュアー・ベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液で60秒間現像を行った。得られたウエハーを割断し、75nmライン・アンド・スペースのパターン形状、感度を比較した。その結果を表1に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
表1において転落角が低いほどレジスト膜上の水は流動し易く、後退接触角が高いほど高速スキャン露光でも液滴が残りにくい。そのためより低い転落角、より高い後退接触角が望ましい。本発明の高分子化合物を配合したレジスト溶液から形成されたレジスト膜は、配合しないレジスト膜と比較して後退接触角を飛躍的に向上させることができ、かつ転落角は悪化させないことが確認できた。
【0147】
また、表1の結果から、実施例2−1,2−7,2−8を比較すると分岐状アルキル基をもったポリマー1,ポリマー8を用いたレジストの方がより転落角が低く、後退接触角が高いことがわかる。また、フルオロアルキル基を有し、かつ分岐状アルキル基を含むポリマー5,ポリマー6,ポリマー9を用いたレジストは飛躍的に後退接触角が高くなることがわかった。
【0148】
更に、表1の結果から、レジスト膜内で発生した酸やレジスト材料に添加されている塩基性化合物の一部が水層に溶出すると、その結果としてパターンの形状変化やパターン倒れが発生する可能性がある。表1から明らかなように、本発明による高分子化合物を配合したレジスト溶液から形成されたレジスト膜では、レジスト膜から水への光酸発生剤成分の溶出を抑制する効果が認められた。
【0149】
表1の結果から、露光後に純水リンスを行った場合、本発明の高分子化合物を配合しないレジスト溶液ではパターン形状がT−トップ形状になった。これに対し、本発明の高分子化合物を配合したレジスト溶液を使った場合は矩形形状になることがわかった。
【0150】
現像後水接触角が高いと、ブロブ欠陥と呼ばれる欠陥が発生し易くなる。またアルカリ加水分解性が向上すると、現像後水接触角が低くなるのでブロブ欠陥は発生しにくくなる。表1の結果において、実施例2−1と2−11、2−4と2−10を比較すると上記一般式(1a)でk=1のポリマー11,ポリマー10の方が、k=0のポリマー1,ポリマー4に比べて現像後水接触角が下がっていることがわかる。このことから、k=1のように加水分解箇所が増えたポリマーはアルカリ溶解性が向上し、ブロブ欠陥を抑える可能性があるといえる。