【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
(製造例1)
−スオウ(
Caesalpinia sappan)の水抽出物の製造−
スオウの種子の粉砕物に、質量比で10倍量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の水を加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、スオウの水抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたスオウの水抽出物の抽出率は、18.4%であった。
【0048】
(製造例2)
−スオウ(
Caesalpinia sappan)の50質量%エタノール抽出物の製造−
スオウの種子の粉砕物に、質量比で10倍量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、スオウの50質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたスオウの50質量%エタノール抽出物の抽出率は、10.6%であった。
【0049】
(製造例3)
−スオウ(
Caesalpinia sappan)の80質量%エタノール抽出物の製造−
スオウの種子の粉砕物に、質量比で10倍量(質量比)の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮、凍結乾燥して、スオウの80質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたスオウの80質量%エタノール抽出物の抽出率は、7.1%であった。
【0050】
(実施例1:スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法))
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりスーパーオキサイド消去作用を試験した。
【0051】
3mmol/Lのキサンチン、3mmol/LのEDTA、1.5mg/mLの牛血清アルブミン(BSA)溶液、0.75mmol/Lのニトロブルーテトラゾリウム(NBT)各0.1mL、及び0.05mol/LのNa
2CO
3緩衝液(pH10.2)2.4mLを試験管にとり、これに各試料溶液0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。次いで、キサンチンオキシダーゼ溶液を加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mmol/Lの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。このとき測定した吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度」とした。
また、同様の操作と吸光度の測定を、酵素溶液を添加せずに行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度」とした。
また、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度」とした。
また、酵素溶液を添加せず、更に試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。このとき測定した吸光度を「試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度」とした。
そして、測定結果から、下記数式1によりスーパーオキサイド消去率を求めた。結果を表1に示す。なお、被験試料は、試料濃度100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mLで使用した。
<数式1>
スーパーオキサイド消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度
【0052】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記スーパーオキサイド消去率の測定を行い、スーパーオキサイドの消去率が50%になる試料濃度(以下、「IC
50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
【表2】
表1から2の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、中〜強度のスーパーオキサイド消去作用を有することが確認できた。
【0054】
(実施例2:過酸化水素消去作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により過酸化水素消去作用を試験した。
【0055】
1.5mmol/Lの過酸化水素溶液10μLに、各試料溶液10μLを加え、37℃で20分間反応した後、発色溶液〔100μmol/LのDA−64、0.5質量%のトライトンX−100含有0.1mol/LのPIPES緩衝液(pH7.0)100mLに100units/mLのペルオキシダーゼ1mLを添加〕2.98mLを添加し、37℃で5分間反応した。反応終了後、波長727nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
そして、測定結果から、下記数式2により過酸化水素消去率を求めた。結果を表3に示す。なお、被験試料は、試料濃度50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mLで使用した。
<数式2>
過酸化水素消去率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
St:被験試料溶液の波長727nmにおける吸光度
Sb:被験試料溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度
Ct:コントロール溶液の波長727nmにおける吸光度
Cb:コントロール溶液ブランクの波長727nmにおける吸光度
【0056】
【表3】
表3の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、強い過酸化水素消去作用を有することが確認できた。
【0057】
(実施例3:DPPHに対するラジカル消去作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により非常に安定なラジカルである1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl radical(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
【0058】
1.5×10
−4mol/LのDPPHエタノール溶液3mLに各試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した後、波長520nmの吸光度を測定した。
コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶液を溶解した溶媒を用いて同様に操作し、波長520nmの吸光度を測定した。また、ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えた後、直ちに波長520nmの吸光度を測定した。
そして、測定結果から、下記数式3によりラジカル消去率(%)を求めた。結果を表4に示す。なお、被験試料は、試料濃度100μg/mL、50μg/mL、25μg/mLで使用した。
<数式3>
ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/A}×100
A:コントロールの吸光度
B:試料溶液を添加した場合の吸光度
C:ブランクの吸光度
【0059】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記ラジカル消去率の測定を行い、DPPHラジカルの消去率が50%になる試料濃度(以下、「IC
50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表5に示す。
【0060】
【表4】
【表5】
表4から5の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、DPPHに対するラジカル消去作用を有することが確認できた。
【0061】
実施例1から3の結果から、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有することが確認され、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物が、抗酸化剤、及び抗老化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0062】
(実施例4:一酸化窒素(NO)産生抑制作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により一酸化窒素(NO)産生抑制作用を試験した。
【0063】
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を10質量%の牛胎児血清(FBS)含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10
6cells/mLの濃度になるように10質量%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.5質量%のDMSOを含む10質量%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで溶解した各試料溶液を各穴に100μL添加し、終濃度1μg/mLで10質量%のFBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E.coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL加え、48時間培養した。NO産生量は亜硝酸イオン(NO
2−)量を指標に測定した。培養終了後、各穴の培養液に、同量のグリス試薬(1質量%のスルファニルアミド、0.1質量%のN−1−naphthyl ethylendiamine dihydrochloride in 5質量%のリン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応した。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。コントロールの一酸化窒素(NO)産生量を基にして、下記数式4からNO産生抑制率を求めた。結果を表6に示す。なお、被験試料は、試料濃度200μg/mL、50μg/mLで使用した。
<数式4>
NO産生抑制率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:試料添加、LPS刺激時の波長540nmにおける吸光度
B:試料添加、LPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度
C:コントロールのLPS刺激時の波長540nmにおける吸光度
D:コントロールのLPS無刺激時の波長540nmにおける吸光度
【0064】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記NO産生抑制率の測定を行い、NO産生抑制率が50%になる試料濃度(以下、「IC
50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた(このIC
50値が小さいほどNO産生抑制作用が強い)。結果を表7に示す。
【0065】
【表6】
【表7】
表6から7の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、強い一酸化窒素(NO)産生抑制作用を有することが確認できた。
【0066】
実施例4の結果から、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用を有することが確認され、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物が、抗炎症剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0067】
(実施例5:マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりマトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用を試験した。この試験方法は、Wunsch and Heidrich法を一部改変したものである。
【0068】
蓋付試験管にて、20mmol/mLの塩化カルシウム含有0.1mol/LのTris−HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した各試料溶液50μL、MMP−1溶液50μL、及びPz−peptide溶液400μLを混合し、37℃にて30分間反応させた後、25mmol/Lのクエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。その後、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを遠心(1,600×g、10分)し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。
なお、MMP−1としては、COLLAGENASE Type IV from Clostridium histolyticum(シグマ社製)を使用した。
Pz−peptideとしては、Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH(BACHEM Fenichemikalien AG社製)を使用した。
そして、得られた結果から、下記数式5によりMMP−1活性阻害率を求めた。結果を表8に示す。なお、被験試料は、試料濃度400μg/mL、200μg/mL、100μg/mLで使用した。
<数式5>
MMP−1活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:試料溶液無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
B:試料溶液無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
C:試料溶液添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
D:試料溶液添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
【0069】
次に、試料濃度を段階的に減少させて上記MMP−1活性阻害率を測定し、MMP−1活性阻害率が50%になる濃度(以下、「IC
50」と称することがある。)(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表9に示す。
【0070】
【表8】
【表9】
表8から9の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、中程度のマトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用を有することが確認できた。
【0071】
(実施例6:エストロゲン様作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりエストロゲン様作用を試験した。
【0072】
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を10%の牛胎児血清(FBS)、1質量%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を活性炭処理した10%のFBS、1質量%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するフェノールレッド不含MEM(T−MEM)を用いて3.0×10
4cells/mLの濃度に希釈した後、48穴マイクロプレートに1穴あたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。6時間後(0日目)にT−MEMで終濃度の10倍に調製した各試料溶液を各穴に50μLずつ添加し、培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEMで終濃度に調製した試料溶液を各穴に0.5mL添加し、更に培養を続けた。
エストロゲン様作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1質量%のNEAA、1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMに終濃度0.4mg/mLで溶解したMTT〔3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium Bromide〕を各穴に200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。ポジティブコントロールとして、10
−9mol/Lのエストラジオールを使用した。
そして、得られた測定結果から、下記数式6によりエストロゲン様作用(エストロゲン依存性増殖作用)率を求めた。なお、エストロゲン様作用の強さは、試料溶液無添加の場合の吸光度を100%として算出した。結果を表10に示す。
なお、被験試料は、試料濃度50μg/mL、12.5μg/mL、3.125μg/mLで使用した。
<数式6>
エストロゲン様作用率(%)=(A/B)×100
A:試料溶液添加の場合の吸光度
B:試料溶液無添加の場合の吸光度
【0073】
【表10】
表10の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、エストロゲン様作用を有することが確認できた。
【0074】
(実施例7:I型コラーゲン産生促進作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりI型コラーゲン産生促進作用を試験した。
【0075】
ヒト正常線維芽細胞(Detroit 551)を、10質量%FBS、1質量%NEAA(non−essential amino acids)、及び1mmol/Lピルビン酸含有ダルベッコMEMを用いて37℃、5%CO
2下で培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10
5cells/mLの濃度に上記培地で希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、37℃、5%CO
2下で一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、0.5質量%FBS含有ダルベッコMEMに溶解した各試料溶液を各穴に150μL添加し、37℃、5%CO
2下で3日間培養した。培養後、以下のようにして各穴の培地中のコラーゲン量をELISA法により測定した。
前記培養後の上清90μLをELISAプレートに移し換え、4℃、一晩でプレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05質量%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行った。その後、1質量%ウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05質量%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、抗ヒトコラーゲンタイプI抗体(ウサギIgG;ケミコン社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、HRP標識抗ウサギIgG抗体と反応させた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。
I型コラーゲン産生促進作用は下記数式7から求めた。I型コラーゲン産生促進作用の強さは、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、被験試料無添加時のI型コラーゲン量を100%として算出した。結果を表11に示す。
なお、被験試料は、試料濃度100μg/mL、25μg/mLで使用した。
<数式7>
I型コラーゲン産生促進率(%)=(A/B)×100
A:被験試料添加時のI型コラーゲン量
B:被験試料無添加時のI型コラーゲン量
【0076】
【表11】
表11の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、I型コラーゲン産生促進作用を有することが確認できた。
【0077】
(実施例8:ヒアルロン酸産生促進作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
【0078】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB、理化学研究所より入手)を10%FBS含有α−MEM(minimum essential medium)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.2×10
5cells/mLの濃度に5%FBS含有α−MEMで希釈した後、96穴プレートに1穴当たり100μLずつ播種し、37℃、5%CO
2下で一晩培養した。培養終了後、0.5%FBS含有α−MEMに溶解した被験試料を各穴に100μL添加し、37℃、5%CO
2下で3日間培養した。培養後、各穴の培地中のヒアルロン酸量を間接的ELISA法により測定した。
ヒアルロン酸産生促進作用は、下記数式8により求めた。なお、ヒアルロン酸産生促進作用の強さは、被験試料無添加時のヒアルロン酸量を100%として算出した。結果を表12に示す。なお、被験試料は、試料濃度200μg/mL、50μg/mLで使用した。
<数式8>
ヒアルロン酸産生促進率(%)=(A/B)×100
A:被験試料添加時のヒアルロン酸量
B:被験試料無添加時のヒアルロン酸量
【0079】
【表12】
表12の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、ヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認できた。
【0080】
(実施例9:UV−Bダメージからの回復作用試験)
前記製造例1から3で得られた各スオウの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法によりUV−Bダメージからの回復作用を試験した。
【0081】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞をα−MEMを用いて2.0×10
5cells/mLの濃度に希釈した後、48穴プレートに1穴あたり200μLずつ播種した。24時間培養後、培地を100μLのPBS(−)へ交換し、1.0J/cm
2のUV−Bを照射した。照射後、直ちに、PBS(−)を抜き、10%FBS含有D−MEMに溶解した各試料溶液を各穴に400μL添加し、24時間培養した。紫外線UV−Bダメージからの回復効果は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを各穴に200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、細胞播種した後、UV−Bを照射しない細胞、及び細胞播種後UV−Bを照射し被験試料を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非照射群と照射群とした。
UV−Bダメージ回復率は、下記数式9により求めた。結果を表13に示す。なお、被験試料は、試料濃度100μg/mL、25μg/mL、6.25μg/mLで使用した。
<数式9>
UV−Bダメージ回復率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
Nt:UV−Bを照射しない細胞での吸光度
C:UV−Bを照射し被験試料を添加しない細胞での吸光度
Sa:UV−Bを照射し被験試料を添加した細胞での吸光度
【0082】
【表13】
表13の結果から、製造例1から3のスオウの抽出物が、UV−Bダメージ回復作用を有することが確認できた。
【0083】
実施例5から9の結果から、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用、エストロゲン様作用、I型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、及びUV−Bダメージ回復作用の少なくともいずれかを有することが確認され、スオウ(
Caesalpinia sappan)の抽出物が、抗老化剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
【0084】
(配合例1)
−乳液−
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.10g
・ホホバオイル・・・4.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・アルブチン・・・3.00g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・2.50g
・オリーブオイル・・・2.00g
・スクワラン・・・2.00g
・セタノール・・・2.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・グリチルリチン酸ステアリル・・・0.10g
・黄杞エキス・・・0.10g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.10g
・イチョウ葉エキス・・・0.10g
・コンキオリン・・・0.10g
・オウバクエキス・・・0.10g
・カミツレエキス・・・0.10g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計100.00g)
【0085】
(配合例2)
−化粧水−
下記組成に従い、化粧水を常法により製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の水抽出物(製造例1)・・・0.10g
・グリセリン・・・3.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.00g
・アスコルビン酸グルコシド・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・2.00g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・グリチルリチン酸二カリウム・・・0.10g
・クエン酸・・・0.10g
・クエン酸ソーダ・・・0.10g
・油溶性甘草エキス・・・0.10g
・海藻エキス・・・0.10g
・クジンエキス・・・0.10g
・キシロビオースミクスチャー・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0086】
(配合例3)
−クリーム−
下記組成に従い、クリームを常法により製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の80質量%エタノール抽出物(製造例3)・・・0.10g
・スクワラン・・・10.00g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.00g
・流動パラフィン・・・5.00g
・サラシミツロウ・・・4.00g
・セタノール・・・3.00g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.00g
・ラノリン・・・2.00g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・・・1.50g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.50g
・ステアリン酸・・・1.00g
・アスコルビン酸リン酸マグネシウム・・・0.10g
・グリチルレチン酸・・・0.10g
・酵母抽出液・・・0.10g
・シソ抽出液・・・0.10g
・シナノキ抽出液・・・0.10g
・ジユ抽出液・・・0.10g
・香料・・・0.10g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0087】
(配合例4)
−パック−
下記組成に従い、パックを常法により製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.20g
・ポリビニルアルコール・・・15.00g
・エタノール・・・10.00g
・プロピレングリコール・・・7.00g
・ポリエチレングリコール・・・3.00g
・セージ抽出液・・・0.10g
・トウキ抽出液・・・0.10g
・ニンジン抽出液・・・0.10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(合計:100.00g)
【0088】
(配合例5)
−錠剤状栄養補助食品−
下記の混合物を打錠して、錠剤状栄養補助食品を製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・30g
・粉糖(ショ糖)・・・178g
・ソルビット・・・10g
・グリセリン脂肪酸エステル・・・12g
【0089】
(配合例6)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、顆粒状栄養補助食品を製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の80質量%エタノール抽出物(製造例3)・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1,000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g
【0090】
(配合例7)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、顆粒状栄養補助食品を製造した。
・スオウ(
Caesalpinia sappan)の種子の水抽出物(製造例1)・・・20g
・ビートオリゴ糖・・・1,000g
・ビタミンC・・・167g
・ステビア抽出物・・・10g