(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光半導体封止用硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の25℃,589nm(ナトリウムのD線)での屈折率が1.30以上1.40未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光半導体封止用硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、良好な耐衝撃性を有する硬化物を与え、かつ、各種基材、特にPPAに対して良好な接着性を有する光半導体封止用硬化性組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置が求められている。
【0027】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、下記(A)〜(D)成分、さらに(E)成分を含有する組成物であれば、下記(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて(E)成分の組み合わせによる効果として、適度な硬度を有し、良好な耐衝撃性及び良好な接着性を有する硬化物を与える光半導体封止用硬化性組成物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、下記一般式(2)及び/又は(3)で表され、かつビニル基含有量が0.0250〜0.200mol/100gである直鎖状ポリフルオロ化合物である。
【化7】
(式中、R
4は水素原子、又は非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、m及びnはそれぞれ1〜100の整数であり、
m+nが15以上の整数で、かつ150未満の整数であり、rは
1〜6の整数である。)
【化8】
(式中、R
5は炭素数1〜6のアルキレン基、R
6は、互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。また、m、n及びrは上記と同じである。)
【0029】
ここで、R
4としては、水素原子以外の場合、炭素原子数1〜12、特に1〜10の1価炭化水素基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した置換1価炭化水素基などが挙げられる。この中でも、特にメチル基が好ましい。
【0030】
R
5は炭素数1〜6、好ましくは炭素数3〜6のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等が挙げられ、特にプロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)が好ましい。
【0031】
R
6は、互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基等が挙げられる。この中でも、水素原子が好ましい。
【0032】
また、m及びnはそれぞれ1〜100の整数、好ましくは1〜80の整数であり、rは0〜6の整数、好ましくは0〜4の整数である。
【0033】
尚、上記一般式(2)又は(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物に含まれるビニル基含有量は0.0250〜0.200mol/100gが好ましく、更に好ましくは0.0280〜0.150mol/100gである。該ビニル基含有量が0.0250mol/100gより少ない場合には、架橋度合いが不十分となり硬化不具合が生じ、該ビニル基含有量が0.200mol/100gを超える場合には、この硬化物のゴム弾性体としての機械的特性が損なわれる恐れがある。
【0034】
上記一般式(2)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化9】
(式中、m及びnはそれぞれ1〜100の整数である。)
【0035】
また、上記一般式(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化10】
(式中、m及びnはそれぞれ1〜100の整数である。)
【0036】
また、上記一般式(2)又は(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の粘度(23℃)は、JIS K7117−1に規定された粘度測定で、500〜100,000mPa・s、より好ましくは1,000〜50,000mPa・sの範囲内にあることが、本発明の組成物をLEDの封止材として使用するのに望ましい。
【0037】
これらの直鎖状ポリフルオロ化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。即ち、上記一般式(2)又は(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の中で、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、さらに上記一般式(2)及び(3)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
[(B)成分]
(B)成分は、1分子中に、酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、あるいは2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、さらにケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつ分子中にその他の官能性基を有さない含フッ素オルガノ水素シロキサンであり、好ましくは1分子中に上記1価又は2価の含フッ素有機基を1個以上及びケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有し、かつ酸素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基や2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した環状無水カルボン酸残基等のSiH基以外の官能性基を有さない含フッ素オルガノ水素シロキサンであり、上記(A)成分の架橋剤として機能するものである。
【0039】
上記1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基及び2価のパーフルオロオキシアルキレン基は、上記(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
【0040】
この1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基としては、下記一般式(6)及び(7)で表される基が挙げられる。
C
fF
2f+1− (6)
(式中、fは1〜10
の整数、好ましくは3〜7の整数である。)
【化11】
(式中、gは1〜10の整数、好ましくは2〜8
の整数である)
【0041】
また、上記2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基としては、下記一般式(8)〜(10)で表される基が挙げられる。
−C
pF
2p− (8)
(式中、pは1〜20の整数、好ましくは2〜10の整数である。)
【化12】
(式中、q及びrはそれぞれ1以上の整数、好ましくは1〜100の整数、qとrの和の平均は2〜200、好ましくは2〜100である。)
−CF
2O−(CF
2CF
2O)
s(CF
2O)
t−CF
2− (10)
(式中、s及びtはそれぞれ1〜50の整数、好ましくは1〜30の整数である。)
【0042】
また、これらパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とは2価の連結基により繋がれていることが好ましく、該2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合等を介在させたものであってもよく、例えば、
−CH
2CH
2−、
−CH
2CH
2CH
2−、
−CH
2CH
2CH
2OCH
2−、
−CH
2CH
2CH
2−NH−CO−、
−CH
2CH
2CH
2−N(Ph)−CO−(但し、Phはフェニル基である。)、
−CH
2CH
2CH
2−N(CH
3)−CO−、
−CH
2CH
2CH
2−N(CH
2CH
3)−CO−、
−CH
2CH
2CH
2−N(CH(CH
3)
2)−CO−、
−CH
2CH
2CH
2−O−CO−
等の炭素原子数2〜12のものが挙げられる。
【0043】
また、この(B)成分の含フッ素オルガノ水素シロキサンにおける上記1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子に直結した水素原子以外のケイ素原子に結合した1価の置換基は、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の非置換又は置換のアルキル基又はアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部が塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基が挙げられる。この中でも、メチル基が好ましい。
【0044】
(B)成分の含フッ素オルガノ水素シロキサンとしては、環状、鎖状、三次元網状及びそれらの組み合わせのいずれでもよい。この含フッ素オルガノ水素シロキサンのケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2〜60、好ましくは3〜30程度である。
【0045】
上記(B)成分としては、例えば下記一般式(11)〜(17)で表されるものが挙げられる。
【化13】
(式中、Gは、独立して、上記の、酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、R
9は、独立して、上記の、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の非置換又は置換のアルキル基又はアリール基である。また、sは2〜6の整数、好ましくは3〜6の整数、tは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、s+tは4〜10の整数、好ましくは4〜9の整数である。)
【0046】
【化14】
(式中、Jは、独立して上記Gと同じであり、R
10は、独立して上記R
9と同じである。またp’は、2〜50の整数、好ましくは3〜30の整数である。)
【0047】
【化15】
(式中、q’は、1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、p’+q’は、4〜60の整数、好ましくは4〜50の整数である。)
【0048】
【化16】
(式中、r’は、1〜40の整数、好ましくは1〜20の整数であり、p’+r’は、4〜60の整数、好ましくは4〜50の整数である。)
【0049】
【化17】
(式中、p’+q’+r’は、5〜60の整数、好ましくは5〜50の整数である。)
【0050】
【化18】
(式中、Lは、酸素原子、アルキレン基、又は、酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基であり、Mは独立して上記Gと同じであり、R
11は独立して上記R
9と同じである。また、s’は1〜3の整数、t’は1〜3の整数、s’+t’は2〜5の整数、好ましくは3〜5の整数である。)
【0051】
【化19】
(式中、Qは上記Gと同じであり、R
12は独立して上記R
9と同じである。)
【0052】
(B)成分として、具体的には下記の化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、下記式において、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
【0064】
この(B)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
上記(B)成分の配合量は、(A)成分のビニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子に直結した水素原子が0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.5モルとなる量である。SiH基が0.1モルより少ないと、架橋度合いが不十分になり、一方2.0モルより多いと、保存性が損なわれたり、硬化後得られる硬化物の耐熱性が低下したりする恐れがある。
【0065】
[(C)成分]
本発明の(C)成分である白金族金属系触媒は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、組成物中に含有されるアルケニル基、特には(A)成分中のアルケニル基と、組成物中に含有されるSiH基、特には(B)成分中のSiH基との付加反応を促進する触媒である。このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属又はその化合物であり、高価格であることから、比較的入手し易い白金又は白金化合物がよく用いられる。
【0066】
白金化合物としては、例えば、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ、カーボン等に担持した金属白金等を挙げることができる。白金又はその化合物以外の白金族金属系触媒として、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物も知られており、例えば、RhCl(PPh
3)
3、RhCl(CO)(PPh
3)
2、Ru
3(CO)
12、IrCl(CO)(PPh
3)
2、Pd(PPh
3)
4等を例示することができる。なお、前記式中、Phはフェニル基である。
【0067】
これらの触媒の使用にあたっては、それが固体触媒であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るためには塩化白金酸や錯体を、例えば、トルエンやエタノール等の適切な溶剤に溶解したものを(A)成分の直鎖状ポリフルオロ化合物に相溶させて使用することが好ましい。
【0068】
(C)成分の配合量は、ヒドロシリル化反応触媒としての有効量であり、(A)成分に対して0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜200ppm(白金族金属原子の質量換算)であるが、希望する硬化速度に応じて適宜増減することができる。
【0069】
[(D)成分]
本発明の(D)成分は、下記一般式(4)で表される、一分子中にケイ素原子に直結した水素原子と、酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基と、酸素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基とを有する環状オルガノポリシロキサンであり、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物に自己接着性を与える接着付与剤である。
【化31】
【0070】
上記一般式(4)中、iは1〜6の整数、好ましくは2〜5の整数、jは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、kは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、i+j+kは4〜10の整数、好ましくは4〜8の整数である。
【0071】
また、R
7は置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、上述したR
4の置換又は非置換の1価の炭化水素基と同様の基が挙げられる。
【0072】
さらに、Dは酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、上記一般式(6)及び(7)と同様の基が挙げられる。これらは、(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
【0073】
また、Eは酸素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基であり、具体的には、下記一般式(18)で表される基を挙げることができる。
【化32】
(式中、R
13は酸素原子が介在してもよい炭素原子数1〜10、特に1〜5の2価炭化水素基で、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基などを示す。)
【0074】
Eとして、具体的には、下記に示すものが例示できる。
【化33】
【0075】
このような(D)成分としては、例えば下記の化合物が挙げられる。なお、下記式において、Meはメチル基を示す。
【0077】
この(D)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。また、(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して0.10〜10.0質量部、好ましくは0.50〜8.0質量部の範囲である。0.10質量部未満の場合には十分な接着性が得られず、10.0質量部を超えると組成物の流動性が悪くなり、また得られる硬化物の物理的強度が低下する。
【0078】
[(E)成分]
本発明の光半導体封止用硬化性組成物は、任意成分として下記(E)成分を含有するものであることが好ましい。
本発明の(E)成分は、下記一般式(5)で表される、一分子中にケイ素原子に直結した水素原子と、酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基と、2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した環状無水カルボン酸残基とを有する環状オルガノポリシロキサンであり、上記(D)成分の接着付与能力を向上させ、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の接着性発現をより一層促進させるためのものである。
【化36】
【0079】
上記一般式(5)中、xは1〜6の整数、好ましくは2〜5の整数、yは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、zは1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数、x+y+zは4〜10の整数、好ましくは4〜8の整数である。
【0080】
また、R
8は置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、上述したR
4の置換又は非置換の1価の炭化水素基と同様の基が挙げられる。
【0081】
さらに、Sは酸素原子又は窒素原子を含んでも良い2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基であり、上記一般式(6)及び(7)と同様の基が挙げられる。これらは、(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
【0082】
また、Tは2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合した環状無水カルボン酸残基であり、具体的には下記一般式(19)で表される基を挙げることができる。
【0084】
上記一般式(19)中、R
14は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、中でもプロピレン基が好ましい。
【0085】
このような(E)成分としては、例えば下記の化合物が挙げられる。なお、下記式において、Meはメチル基を示す。
【0087】
この(E)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
上記(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.010〜10.0質量部、好ましくは0.10〜5.0質量部の範囲である。0.010質量部以上であれば、本発明の組成物の接着性発現を促進させるのに十分な効果が得られ、10.0質量部以下であれば、組成物の流動性が悪くなり、また組成物の保存安定性を損なう恐れがなくなる。
【0088】
[その他の成分]
本発明の光半導体封止用硬化性組成物においては、その実用性を高めるために、上記の(A)〜(E)成分以外にも、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、無機質充填剤、反応制御剤、(E)成分以外の接着促進剤等の各種配合剤を必要に応じて添加することができる。これら添加剤の配合量は任意である。
【0089】
可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤として、下記一般式(20)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物及び/又は下記一般式(21)、(22)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物を併用することができる。
Rf−(X)
uCH=CH
2 (20)
[式中、Rfは下記一般式(I)で示される基であり、
F−[CF(CF
3)CF
2O]
a’−C
b’F
2b’− (I)
(式中、a’は1〜200、好ましくは1〜150の整数であり、b’は1〜3の整数である。)
Xは−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2OCH
2−又は−CO−NR−Y−(但し、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基であり、Yは−CH
2−、下記構造式(Z)で示される基又は下記構造式(Z’)で示される基である。uは0又は1である。]
【化40】
【化41】
【0090】
X’−O−(CF
2CF
2CF
2O)
c’−X’ (21)
(式中、X’はC
d’F
2d’+1−(d’は1〜3)で表される基であり、c’は1〜200の整数、好ましくは2〜100の整数である。)
X’−O−(CF
2O)
e’(CF
2CF
2O)
f’−X’ (22)
(式中、X’は上記と同じであり、e’及びf’はそれぞれ1〜200の整数、好ましくは1〜100の整数であり、かつ、e’とf’の和は2〜400、好ましくは2〜300である。)
【0091】
上記一般式(20)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0092】
【化42】
(ここで、m=1〜100である。)
上記一般式(21)及び(22)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
CF
3O−(CF
2CF
2CF
2O)
g’−CF
2CF
3
CF
3−[(OCF
2CF
2)
h’(OCF
2)
i’]−O−CF
3
(ここで、g’、 h’及びi’はそれぞれ1〜200の整数、好ましくは1〜150の整数であり、h’とi’の和の平均は、2〜400の整数、好ましくは2〜300の整数である。)
【0093】
また、上記一般式(20)〜(22)で表されるポリフルオロ化合物の粘度(23℃)は、(A)成分と同様の測定で、5.00〜100,000mPa・s、特に50.0〜50,000mPa・sの範囲であることが望ましい。
【0094】
無機質充填剤の例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、球状シリカ、シリカエアロゲル等のシリカ粉末、又は該シリカ粉末の表面を各種のオルガノクロロシラン、オルガノジシラザン、環状オルガノポリシラザン等で処理してなるシリカ粉末、さらに該表面処理シリカ粉末を、上記一般式(6)で表される1価のパーフルオロアルキル基又は上記一般式(7)で表される1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するオルガノシラン又はオルガノシロキサンで再処理してなるシリカ粉末等のシリカ系補強性充填剤、石英粉末、溶融石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の補強性又は準補強性充填剤、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミン酸コバルト等の無機顔料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン等の耐熱向上剤、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、金属粉末等の熱伝導性付与剤、カーボンブラック、銀粉末、導電性亜鉛華等の導電性付与剤等が挙げられる。また、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化トリウム酸化珪素等の25℃,589nm(ナトリウムのD線)での屈折率が1.50以下の無機微粒子も補強性充填剤として有用である。
【0095】
ヒドロシリル化反応触媒の制御剤の例としては、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレン性アルコールや、上述したGと同様の1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を有するクロロシランとアセチレン性アルコールとの反応物、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、トリアリルイソシアヌレート等、あるいはポリビニルシロキサン、有機リン化合物等が挙げられ、その添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
【0096】
(E)成分以外の接着促進剤としては、例えば下記のようなカルボン酸無水物が挙げられる。尚、下記式において、Meはメチル基を示す。また、これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【化43】
【0097】
本発明の光半導体封止用硬化性組成物の製造方法は特に制限されず、上記(A)〜(D)成分、(E)成分及びその他の任意成分を練り合わせることにより製造することができる。その際、必要に応じて、プラネタリーミキサー、ロスミキサー、ホバートミキサー等の混合装置、ニーダー、三本ロール等の混練装置を使用することができる。
【0098】
本発明の光半導体封止用硬化性組成物の構成に関しては、用途に応じて上記(A)〜(D)成分、(E)成分及びその他の任意成分全てを1つの組成物として取り扱う、いわゆる1液タイプとして構成してもよいし、あるいは、2液タイプとし、使用時に両者を混合するようにしてもよい。
【0099】
本発明の光半導体封止用硬化性組成物は、加熱することにより硬化して、良好な耐衝撃性を備え、且つポリフタル酸アミド(PPA)や液晶ポリマー(LCP)等のパッケージ材料や金属基板に非常によく接着するため、LED、IC、LSI及び有機EL等の光半導体素子などを保護する封止材として有用である。該光半導体封止用硬化性組成物の硬化温度は特に制限されないが、通常20〜250℃、好ましくは、40〜200℃である。また、その場合の硬化時間は架橋反応及び各種半導体パッケージ材料との接着反応が完了する時間を適宜選択すればよいが、一般的には10分〜10時間が好ましく、30分〜8時間がより好ましい。
【0100】
本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の、JIS K6253−3に規定されるタイプAデュロメータ硬さは、30〜80である。30未満の場合、LED封止材としての耐衝撃性に劣る恐れがある。一方、80より高いと、ポリフタル酸アミド(PPA)との接着が困難になる。
【0101】
また、JIS K7117−1に規定される23℃における本発明の組成物の粘度は、取り扱い作業性の点から、50.0〜50,000mPa・sが好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましい。50.0mPa・s以上であれば、流動性が高すぎて、LEDパッケージ内に一定量吐出させるディスペンサーの制御が困難になる恐れがないため好ましく、50,000mPa・s以下であれば、該組成物がLEDパッケージ内でレベリングするのに過度の時間を要して生産性が低下するといった恐れがないため好ましい。
【0102】
さらに、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の、25℃,589nm(ナトリウムのD線)での屈折率は、1.30以上1.40未満であることが好ましい。該屈折率が、この範囲内である場合、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物により上記光半導体素子が封止された光半導体装置において、LEDから発せられた光を外部に取り出せる効率が、該光半導体装置の設計によって低下してしまう恐れがないために好ましい。
【0103】
なお、本発明の組成物を使用するに当たり、その用途、目的に応じて該組成物を適当なフッ素系溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、フロリナート(3M社製)、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル等に所望の濃度に溶解して使用してもよい。
【0104】
本発明の光半導体封止用硬化性組成物を使用することができる光半導体装置の構造は、特に限定されない。本発明の光半導体装置は、光半導体素子と、光半導体素子を封止するための、上記本発明の光半導体封止用硬化性組成物を硬化して得られる硬化物とを有するものであり、代表的な断面構造を
図1及び
図2に示す。
【0105】
図1の光半導体装置(発光装置)10では、第一のリードフレーム2の先端部2aに、その底面から上方に向かって孔径が徐々に広がるすり鉢状の凹部2’を設け、該凹部2’の底面上にLEDチップ1を銀ペースト等を介してダイボンドにより接続固定し、これによって、第一のリードフレーム2とLEDチップ1底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。また、第二のリードフレーム3の先端部3aと、該LEDチップ1上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ4を介して電気的に接続して成る。
【0106】
さらに、前記凹部2’において、LEDチップ1は上記本発明の光半導体封止用硬化性組成物を硬化して得られる硬化物からなる封止材5により被覆されている。
【0107】
また、LEDチップ1、第一のリードフレーム2の先端部2a及び端子部2bの上端、第二のリードフレーム3の先端部3a及び端子部3bの上端は、先端に凸レンズ部6を有する透光性樹脂部7によって被覆・封止されている。また、第一のリードフレーム2の端子部2bの下端及び第二のリードフレーム3の端子部3bの下端は、透光性樹脂部7の下端部を貫通して外部へ突出されている。
【0108】
図2の光半導体装置(発光装置)10’では、パッケージ基板8の上部に、その底面から上方に向かって孔径が徐々に広がるすり鉢状の凹部8’を設け、該凹部8’の底面上にLEDチップ1をダイボンド材により接着固定し、またLEDチップ1の電極は、ボンディングワイヤ4により、パッケージ基板8に設けられた電極9と電気的に接続されている。
【0109】
さらに、凹部8’において、LEDチップ1は上記本発明の光半導体封止用硬化性組成物を硬化して得られる硬化物からなる封止材5により被覆されている。
【0110】
ここで、上記LEDチップ1には、特に限定なく、従来公知のLEDチップに用いられる発光素子を用いることができる。このような発光素子としては、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作製したものが挙げられる。この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えばサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイアを用いることが好ましい。
【0111】
積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(In
xGa
yAl
zN)が好ましい。このような材料には付活剤等が含まれていてもよい。
【0112】
発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
【0113】
発光素子にはパッシベーション層を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0114】
発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
【0115】
用いる発光素子は1種類で単色発光させてもよいし、複数用いて単色あるいは多色発光させてもよい。
【0116】
発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
【0117】
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等がよいものが好ましく、例えば、
図1及び
図2に記載したような、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤ4が挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線あるいは金線を用いることが好ましい。
【0118】
なお、上記第一のリードフレーム2及び第二のリードフレーム3は、銅、銅亜鉛合金、鉄ニッケル合金等により構成される。
【0119】
さらに、上記透光性樹脂部7を形成する材料としては、透光性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、主にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂が用いられる。
【0120】
また、上記パッケージ基板8は種々の材料を用いて作製することができ、例えば、ポリフタル酸アミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ABS樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。これらのうち、耐熱性、強度及びコストの観点から、特にポリフタル酸アミド(PPA)が好ましい。さらに、上記パッケージ基板8には、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の白色顔料などを混合して、光の反射率を向上させることが好ましい。
【0121】
次に、LEDチップ1を被覆する封止材5は、上記LEDチップ1からの光を効率よく外部に透過させると共に、外力、埃などから上記LEDチップ1やボンディングワイヤ4などを保護するものである。封止材5として、本発明の組成物の硬化物を用いる。封止材5は、蛍光物質や光拡散部材などを含有してもよい。
【0122】
本発明の光半導体封止用硬化性組成物は、硬化物が良好な耐衝撃性を有するため、該組成物を用いて光半導体素子が封止された本発明の光半導体装置10、10’は、その部材を損傷することなく製造することができる。
【実施例】
【0123】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、Meはメチル基を示す。また、粘度はJIS K7117−1に規定される23℃における測定値を示す。
(実施例1)
下記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度4,310mPa・s、ビニル基量0.0909モル/100g)100質量部に、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)0.15質量部、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサンの60%トルエン溶液0.20質量部、下記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00486モル/g)17.8質量部、下記式(25)で示される環状オルガノポリシロキサン3.0質量部を順次添加し、均一になるように混合した。その後、脱泡操作を行うことにより組成物を調製した。
【化44】
【0124】
(実施例2)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(26)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度4,250mPa・s、ビニル基量0.0911モル/100g)100質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化45】
【0125】
(実施例3)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(27)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度17,800mPa・s、ビニル基量0.0290モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を5.67質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化46】
【0126】
(実施例4)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(28)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度17,300mPa・s、ビニル基量0.0289モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を5.65質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化47】
【0127】
(実施例5)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(29)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度1,720mPa・s、ビニル基量0.184モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を36.0質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化48】
【0128】
(実施例6)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(30)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度1,680mPa・s、ビニル基量0.181モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を35.4質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化49】
【0129】
(実施例7)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物の添加量を50.0質量部に変更し、さらに上記式(26)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を50.0質量部添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【0130】
(実施例8)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物の添加量を60.0質量部に変更し、また上記式(27)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を40.0質量部添加し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を10.9質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【0131】
(実施例9)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物の添加量を70.0質量部に変更し、また上記式(28)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を30.0質量部添加し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を14.1質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【0132】
(実施例10)
上記実施例1において、上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン物の代わりに、下記式(31)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00605モル/g)14.3質量部を添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化50】
【0133】
(実施例11)
上記実施例1において、上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン物の代わりに、下記式(32)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00154モル/g)56.1質量部を添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化51】
【0134】
(実施例12)
上記実施例1において、上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン物の代わりに、下記式(33)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00264モル/g)32.7質量部を添加し、さらに上記式(25)で示される環状オルガノポリシロキサンの代わりに、下記式(34)で示される環状オルガノポリシロキサン3.0質量部を添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化52】
【化53】
【0135】
(実施例13)
上記実施例1において、上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン物の代わりに、下記式(35)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00488モル/g)17.7質量部を添加し、さらに上記式(25)で示される環状オルガノポリシロキサンの代わりに、下記式(36)で示される環状オルガノポリシロキサン3.0質量部を添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化54】
【化55】
【0136】
(実施例14)
上記実施例1において、上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン物の代わりに、下記式(37)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサン(SiH基量0.00264モル/g)32.7質量部を添加し、さらに上記式(25)で示される環状オルガノポリシロキサンの代わりに、下記式(38)で示される環状オルガノポリシロキサン3.0質量部を添加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化56】
【化57】
【0137】
(実施例15)
上記実施例1において、下記式(39)で示される環状オルガノポリシロキサン0.50質量部を追加した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化58】
【0138】
(実施例16)
上記実施例2において、下記式(40)で示される環状オルガノポリシロキサン0.50質量部を追加した以外は実施例2と同様に組成物を調製した。
【化59】
【0139】
(実施例17)
上記実施例3において、下記式(41)で示される環状オルガノポリシロキサン0.50質量部を追加した以外は実施例3と同様に組成物を調製した。
【化60】
【0140】
(実施例18)
上記実施例4において、下記式(42)で示される環状オルガノポリシロキサン0.70質量部を追加した以外は実施例4と同様に組成物を調製した。
【化61】
【0141】
(実施例19)
上記実施例5において、上記式(40)で示される環状オルガノポリシロキサン0.90質量部を追加した以外は実施例5と同様に組成物を調製した。
【0142】
(実施例20)
上記実施例6において、上記式(40)で示される環状オルガノポリシロキサン0.90質量部を追加した以外は実施例6と同様に組成物を調製した。
【0143】
(比較例1)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(43)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度4,010mPa・s、ビニル基量0.0299モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を5.84質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化62】
【0144】
(比較例2)
上記実施例2において、上記式(26)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(44)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度3,920mPa・s、ビニル基量0.0296モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を5.79質量部に変更した以外は実施例2と同様に組成物を調製した。
【化63】
【0145】
(比較例3)
上記実施例3において、上記式(27)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(45)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度17,100mPa・s、ビニル基量0.0097モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を1.90質量部に変更した以外は実施例3と同様に組成物を調製した。
【化64】
【0146】
(比較例4)
上記実施例4において、上記式(28)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(46)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度16,800mPa・s、ビニル基量0.0094モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を1.84質量部に変更した以外は実施例4と同様に組成物を調製した。
【化65】
【0147】
(比較例5)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(47)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度27,500mPa・s、ビニル基量0.0239モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を4.67質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化66】
【0148】
(比較例6)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(48)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度26,800mPa・s、ビニル基量0.0235モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を4.59質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化67】
【0149】
(比較例7)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(49)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度1,510mPa・s、ビニル基量0.203モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を39.7質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化68】
【0150】
(比較例8)
上記実施例1において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、下記式(50)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物(粘度1,450mPa・s、ビニル基量0.202モル/100g)100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を39.5質量部に変更した以外は実施例1と同様に組成物を調製した。
【化69】
【0151】
(比較例9)
上記実施例15において、上記式(23)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、上記式(49)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を39.7質量部に変更した以外は実施例15と同様に組成物を調製した。
【0152】
(比較例10)
上記実施例16において、上記式(26)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物を、上記式(50)で示される直鎖状ポリフルオロ化合物100質量部に変更し、さらに上記式(24)で示される含フッ素オルガノ水素シロキサンの添加量を39.5質量部に変更した以外は実施例16と同様に組成物を調製した。
【0153】
各組成物について、以下の項目の評価を行った。尚、硬化条件は150℃×5時間である。結果をまとめて表1、表2に示す。
【0154】
1.組成物の粘度:JIS K7117−1に準じて23℃にて測定した。
【0155】
2.硬さ:2mm厚のシート状硬化物を作製し、JIS K6253−3に準じて測定した。
【0156】
3.屈折率:2mm厚のシート状硬化物を作製し、多波長アッベ屈折計DR−M2/1550(株式会社アタゴ製)を用いて25℃,589nm(ナトリウムのD線)での屈折率を測定した。
【0157】
4.ポリフタル酸アミド(PPA)に対する接着性:PPAの100mm×25mmのテストパネル2枚をそれぞれの端部が10mmずつ重複するように、厚さ80μmの上記で得た組成物の層を挟んで重ね合わせ、150℃で5時間加熱することにより該組成物を硬化させ、接着試験片を作製した。次いで、この試験片について引張剪断接着試験(引張速度50mm/分)を行い、接着強度(剪断接着力)及び凝集破壊率を評価した。
【0158】
5.硬化物の耐衝撃性:
図2の形態と同様の構成を持った光半導体装置において、封止材5を形成するため上記で得た組成物を、LEDチップ1が浸漬するように、凹部8’に注入し、150℃にて5時間加熱することにより、LEDチップ1を組成物の硬化物で封止した光半導体装置を作製した。そして該光半導体装置1,000個をボウル型振動パーツフィーダにかけて整列させた後、ボンディングワイヤが断線した個数を数えた。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
表1,表2の結果より、本発明の光半導体封止用硬化性組成物(実施例1〜20)を硬化して得られる硬化物は、比較例1〜10に比べて、良好な耐衝撃性且つPPAに対する良好な接着性を有し、ボンディングワイヤの断線も見られなかった。このことから、光半導体素子の封止材に本発明の光半導体封止用硬化性組成物を使用することで、製造工程中に該光半導体装置同士が衝突しても、ボンディングワイヤの断線など部材を損傷することなく、光半導体装置を製造することができる。
【0162】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。