(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871147
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】浄水システム及び浄水システムで用いられる切替バルブ
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20160216BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20160216BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20160216BHJP
C02F 1/42 20060101ALI20160216BHJP
B01D 61/10 20060101ALI20160216BHJP
B01D 61/20 20060101ALI20160216BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20160216BHJP
F16K 11/074 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D65/02
C02F1/28 D
C02F1/42 A
B01D61/10
B01D61/20
E03C1/10
F16K11/074 Z
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-530861(P2014-530861)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(86)【国際出願番号】JP2014065424
(87)【国際公開番号】WO2014200010
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-122542(P2013-122542)
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】河合 由修
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 辰廣
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−029238(JP,A)
【文献】
特開平11−019486(JP,A)
【文献】
特開平05−168827(JP,A)
【文献】
特開平03−165887(JP,A)
【文献】
特開平10−009411(JP,A)
【文献】
特開平08−145209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00−1/78
F16K11/00−11/24
E03C1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を浄水装置まで流す原水管と、前記浄水装置で浄化した浄水を水栓まで流す浄水管と、前記浄水装置よりも上流側において前記原水管に連結された排水吐水口と、を備え、
前記浄水装置は、原水管に連結されたフィルタと、前記フィルタの下流側に連結され、前記フィルタで浄化した浄水の水圧に応じて、該浄水を貯め、又は貯めた浄水を排出するタンクとを備え、
前記水栓は、前記フィルタで浄化した浄水を吐水する浄水吐水口と、下記の浄水吐水状態と排水吐水状態とを切り替えるための操作装置と、を備える浄水システム。
1)前記浄水吐水口と前記浄水管を連結し、前記タンクに浄水を貯めながら前記浄水吐水口から吐水する浄水吐水状態。
2)前記浄水吐水口を閉止し、且つ前記排水吐水口よりも下流側の前記原水管と、前記排水吐水口を連結し、前記タンクに貯められた浄水を、前記フィルタ及び前記原水管を通じて前記排水吐水口へ向けて流し、前記排水吐水口から排水する排水吐水状態。
【請求項2】
前記原水管は、原水を前記水栓まで流す第一原水管と、原水を前記水栓から前記浄水装置まで流す第二原水管とを備え、前記水栓は前記排水吐水口を備えている請求項1に記載の浄水システム。
【請求項3】
前記操作装置は、前記浄水吐水状態と、前記浄水吐水口を閉止する止水状態を、切り替え可能であり、前記止水状態が、前記排水吐水状態となる請求項1又は2いずれか1項に記載の浄水システム。
【請求項4】
前記浄水装置は、前記原水管に連結された第一フィルタと、前記第一フィルタの下流側に連結管を介して連結された第二フィルタを有し、前記連結管は前記タンクにも連結されている請求項1〜3いずれか1項に記載の浄水システム。
【請求項5】
前記タンクがアキュムレーターである請求項1〜4いずれか1項に記載の浄水システム。
【請求項6】
前記アキュムレーターが内部にゴム袋を備えている請求項5に記載の浄水システム。
【請求項7】
前記タンクの入水口が、下に向けて開口している請求項1〜4いずれか1項に記載の浄水システム。
【請求項8】
前記第一フィルタは、精密ろ過膜、限外ろ過膜、又はナノろ過膜のいずれかを備えている請求項4に記載の浄水システム。
【請求項9】
前記第一フィルタは、イオン交換樹脂、又は活性炭のいずれかを備えている請求項4に記載の浄水システム。
【請求項10】
前記第二フィルタは、イオン交換樹脂、又は活性炭のいずれかを備えている請求項4に記載の浄水システム。
【請求項11】
前記第一フィルタの滞水量に対して、タンクの容量が2〜3倍である請求項4に記載の浄水システム。
【請求項12】
原水を水栓まで流す第一原水管と連通可能な第一孔と、
前記水栓から浄水装置に流す第二原水管と連通可能な第二孔と、
前記浄水装置で浄化した浄水を前記水栓に流す浄水管及びこの浄水管の下流側に連結された浄水吐水口と連通可能な第三孔と、を有する固定ディスクと、
前記固定ディスク上に回転可能に配置され、可動孔を有する可動ディスクと、を備え、
前記可動ディスクを前記固定ディスク上で回転させることによって、下記の2つの状態を切替え可能な切替バルブ。
1)前記可動孔と前記第三孔とを連通させることにより、前記浄水管と前記浄水吐水口とを連通させ、前記浄水吐水口から吐水する浄水吐水状態
2)前記可動ディスクによって前記第一孔及び前記第三孔を塞ぎ、且つ前記第二孔を開くことにより、前記浄水装置、及び前記第二原水管を通じて、前記第二原水管よりも上流に連結された排水吐水口へ向けて水を流し、前記排水吐水口から排水する排水吐水状態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水システム及びこのような浄水システムで用いられる切替バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浄水装置をシンクの下に配置した、いわゆるアンダーシンク型の浄水システムが知られている。このようなアンダーシンク型浄水システムにおいて、逆洗浄により、フィルタ内部の不純物を排出し、フィルタの寿命を延ばす方法が知られている。
【0003】
図7は、PE製の膜モジュールの瞬時流量(L/min)と、積算ろ過流量(L)との関係を概略的に示すグラフである。
図7のうち、サンプル201は、膜モジュールを洗浄することなく継続的にろ過をし続けた場合における瞬時流量と、積算ろ過流量との関係を示す。サンプル203は、30分ろ過を行った後、1分間膜モジュールを逆洗浄した場合における瞬時流量と、積算ろ過流量との関係を示す。サンプル205は、5分間ろ過を行った後、1分間膜モジュールを逆洗浄した場合における瞬時流量と、積算ろ過流量との関係を示す。
図7から明らかなように、膜モジュールの洗浄頻度が高ければ高いほど瞬時流量を維持できることが分かる。従って、逆洗浄による洗浄方法は、フィルタの洗浄頻度を高くすることが望ましい。
【0004】
そして、アンダーシンク型浄水システムの逆洗浄による洗浄手段として、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
特許文献1に記載された洗浄システムでは、ユーザが水栓のレバーを操作することによって浄水を吐水させる状態と、フィルタ内に湯を逆流させてフィルタを逆洗浄する逆洗浄状態と、水栓への給水を遮断する止水状態とを切り替えられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−9411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された洗浄システムでは、浄化していない湯が浄水流路を通水するため、浄水器や浄水流路に残留塩素や微生物、赤錆などが残存してしまい、浄水にそれらが混ざる可能性があった。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、浄水に残留塩素や微生物、赤錆などが混ざる可能性を低減する浄水システム及び浄水システムに用いられる水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、原水を浄水装置まで流す原水管と、前記浄水装置で浄化した浄水を水栓まで流す浄水管と、前記浄水装置よりも上流側において前記原水管に連結された排水吐水口と、を備え、前記浄水装置は、原水管に連結されたフィルタと、前記フィルタの下流側に連結され、前記フィルタで浄化した浄水の水圧に応じて、該浄水を貯め、又は貯めた浄水を排出するタンクとを備え、前記水栓は、前記フィルタで浄化した浄水を吐水する浄水吐水口と、1)前記浄水吐水口と前記浄水管を連結し、前記タンクに浄水を貯めながら前記浄水吐水口から吐水する浄水吐水状態と、2)前記浄水吐水口を閉止し、且つ前記排水吐水口よりも下流側の前記原水管と、前記排水吐水口を連結し、前記タンクに貯められた浄水を、前記フィルタ及び前記原水管を通じて前記排水吐水口へ向けて流し、前記排水吐水口から排水する排水吐水状態とを切り替えるための操作装置と、を備える。
【0010】
このように構成された本発明によれば、水栓を操作して浄水吐水状態にすることにより、原水を浄水装置に向けて流し、浄水装置で浄化された水を浄水吐水口から吐水することができる。また、浄水吐水状態では、フィルタを通過した浄水は、浄水管またはタンクに流れる。従って、浄水吐水状態では、浄水を浄水吐水口から吐水しながらタンクに貯めることができる。また、排水吐水状態では、浄水吐水口が閉じられるためタンク内の浄水は、フィルタ内を逆流する。これにより、フィルタに対していわゆる逆洗浄を行うことができる。
【0011】
このように、本発明によれば、タンクに貯めた浄水で、フィルタを洗浄することができる。従って、浄水に微生物や赤錆が混ざる可能性が低減する浄水システム及び浄水システムに用いられる水栓を提供することができる。また、水栓を排水吐水状態とすることにより、フィルタを逆洗浄することができる。また、本発明によれば、逆洗浄を行った排水を、浄水管を通さずに排出することができる。これにより、浄水に残留塩素や微生物、赤錆などが混ざる可能性を低減することができる。
【0012】
上述した場合において、前記原水管は、原水を前記水栓まで流す第一原水管と、原水を前記水栓から前記浄水装置まで流す第二原水管とを備え、前記水栓は前記排水吐水口を備えていることが好ましい。
【0013】
このように構成することで、水栓に浄水吐水口、排水吐水口及び操作装置が設けられている。そのため、浄水装置によって浄化された浄水の採水、フィルタの逆洗浄状態の確認、浄水吐水状態と排水吐水状態との切り替え操作を一箇所で行うことができる。
【0014】
上述した場合において、前記操作装置は、前記浄水吐水状態と、前記浄水吐水口を閉止する止水状態を、切り替え可能であり、前記止水状態が、前記排水吐水状態となることが好ましい。
【0015】
このように構成することで、排水吐水状態とすることにより、フィルタを逆洗浄し、その後、吐水を自動的に停止することができる。従って、本発明によれば、特別な操作をすることなく、浄水吐水口からの吐水を停止させることにより、自動的にフィルタを逆洗浄することができる。これにより特別な操作をすることなく逆洗浄の頻度を高めることができ、フィルタの浄水性能を維持することができる。
【0016】
また、前記浄水装置は、前記原水管に連結された第一フィルタと、前記第一フィルタの下流側に連結管を介して連結された第二フィルタを有し、前記連結管は前記タンクにも連結されていることが好ましい。
【0017】
このように構成することで、浄水吐水状態では、第一フィルタを通過した浄水は、連結管に流れ、連結管から第二フィルタまたはタンクに流れる。そして浄水が第二フィルタを通過するときには所定の圧力損失が生じるため、連結管内の水圧が上昇する。そして連結管内の水圧が上昇すると、浄水は、第二フィルタの方向に加え、タンクの方向にも流れ始める。従って、浄水はタンクと第二フィルタとに向けて分流される。これにより、タンク内に浄水が貯まる。また、排水吐水状態では、浄水吐水口が閉じられるためタンク内の浄水は、水圧の低い方向、即ち開いている排水吐水口に向けて流れる。タンク内の浄水が排水吐水口に向けて流れるときには、浄水は連結管を介して第一フィルタ内を逆流する。これにより、第一フィルタに対していわゆる逆洗浄を行うことができる。そして第一フィルタを洗浄した排水は、排水吐水口から吐水される。そしてタンク内の浄水が無くなると、排水吐水口からの排水が停止する。これにより、浄水吐水口、及び排水吐水口からの吐水が止まり、水栓は止水状態となる。従って、本発明によれば、第二フィルタとの圧力損失を利用して浄水をタンクに貯めることができる。また、原水中の濁質などの汚れが最も付着しやすい第一フィルタを、タンクに貯めた浄水で逆洗浄することができる。
【0018】
また、前記タンクがアキュムレーターであることが好ましい。
【0019】
また、前記アキュムレーターが内部にゴム袋を備えていることが好ましい。
【0020】
また、前記タンクの入水口が、下に向けて開口していることが好ましい。
【0021】
また、前記第一フィルタは、精密ろ過膜、限外ろ過膜、又はナノろ過膜のいずれかを備えていることが好ましい。
【0022】
このように構成することで、第一フィルタで原水中の濁質を
捕捉する
ことができる。そのため、後段のフィルタの濾過性能を維持できる。更に、閉塞しやすい精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜を逆洗浄することができる。
【0023】
また、前記第一フィルタは、イオン交換樹脂、又は活性炭のいずれかを備えていることが好ましい。
【0024】
また、前記第二フィルタは、イオン交換樹脂、又は活性炭のいずれかを備えていることが好ましい。
【0025】
また、前記第一フィルタの滞水量に対して、タンクの容量が2〜3倍であることが好ましい。
【0026】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、原水を水栓まで流す第一原水管と連通可能な第一孔と、前記水栓から浄水装置に流す第二原水管と連通可能な第二孔と、前記浄水装置で浄化した浄水を前記水栓に流す浄水管及びこの浄水管の下流側に連結された浄水吐水口と連通可能な第三孔と、を有する固定ディスクと、前記固定ディスク上に回転可能に配置され、可動孔を有する可動ディスクと、を備え、前記可動ディスクを前記固定ディスク上で回転させることによって、1)前記可動孔と前記第三孔とを連通させることにより、前記浄水管と前記浄水吐水口とを連通させ、前記浄水吐水口から吐水する浄水吐水状態と、2)前記可動ディスクによって前記第一孔及び前記第三孔を塞ぎ、且つ前記第二孔を開くことにより、前記浄水装置、及び前記第二原水管を通じて、前記第二原水管よりも上流に連結された排水吐水口へ向けて水を流し、前記排水吐水口から排水する排水吐水状態とを切替え可能である。
【0027】
このように構成することで、逆洗浄を行った排水を、浄水管を通さずに排出することができる。これにより、浄水に残留塩素や微生物、赤錆などが混ざる可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、浄水に残留塩素や微生物、赤錆などが混ざる可能性を低減する浄水システム及び浄水システムに用いられる水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態による浄水システムを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による専用水栓を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による専用水栓を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による浄水装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態による浄水装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態による浄水装置の構成を示す概略図である。
【
図7】PE製の膜モジュールの瞬時流量(L/min)と、積算ろ過流量(L)との関係を概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による浄水システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態による浄水システムを示す概略図である。ここで説明する浄水システムは、浄水システム内において常に水圧がかかっている。
【0031】
図1に示すように、浄水システム1は、原水を浄水システム1内に取り込むための原水入口13と、原水を浄化するための浄水装置3と、浄化した水を吐水するための専用水栓5とを備えている。また、浄水装置3及び専用水栓5は、原水を浄水装置3まで流す二本の原水管と連結されている。原水管は、原水を専用水栓5まで流すための第一原水管7と、専用水栓5から浄水装置3まで原水を流すための第二原水管9とによって構成されている。更に、浄水装置3及び専用水栓5は、浄水装置3で浄化した水を専用水栓5まで流すための浄水管11に連結されている。
【0032】
原水入口13は、原水を、浄化せずに、そのまま吐出するための一般水栓17と連結され、且つ第一原水管7を介して専用水栓5と連結されている。原水入口13と一般水栓17との間、且つ原水入口13と専用水栓5との間には、分岐栓19が設けられている。原水入口13から浄水システム1に流入した原水は、分岐栓19を経て、開口している水栓に向けて流れる。すなわち、本実施形態による浄水システム1では、原水入口13から常に、浄水システムに原水が供給されているため、浄水システム1には、常に水圧がかかっている。また、一般水栓17は、湯を一般水栓に流入する湯入口15にも連結され、浄水システム1に流入した湯を、浄化せずに、そのまま吐出するようになっている。
【0033】
第一原水管7は、分岐栓19と専用水栓5との間で延びており、原水入口13から分岐栓19を経て浄水システム1に流入した原水を、専用水栓5まで流すように構成されている。また、第二原水管9は、専用水栓5と、浄水装置3との間で延びており、第二原水管9の出口は、浄水装置3の入口に連結されている。第二原水管9は、専用水栓5と浄水装置3との間で水を流せるように構成されている。また、浄水管11は、浄水装置3と専用水栓5との間で延びており、浄水装置3で浄化された水を、専用水栓5まで流すように構成されている。
【0034】
図2及び
図3は、専用水栓を示す概略図である。専用水栓5は、浄水装置3で浄化した水を吐水する浄水吐水口21と、後述する方法で浄水装置3を洗浄するのに使用した排水を吐水する排水吐水口23とを備えている。また、専用水栓5は、二枚のディスクを重ね合わせて形成される切替バルブ25を有している。切替バルブ25は、専用水栓5に備えられたレバー5aの操作に応じて、可動ディスク27を固定ディスク29に対して回転させ、これにより、浄水吐水口21、及び排水吐水口23の開閉を行えるように構成されている。
【0035】
切替バルブ25は、3個の孔が形成された円板状の固定ディスク29の上に、三日月形状を有し1個の可動孔31が形成された可動ディスク27を同心状に重ねることで形成されている。固定ディスク29の3個の孔は、第一孔33及び第二孔35が近接して配置され、第三孔37だけが離れて配置されている。可動ディスク27は、固定ディスク29と同一形状の円板から、第一孔33及び第二孔35が形成された領域を切り欠いたような三日月形状を有している。そしてこの可動ディスク27は、ユーザによるレバー5aの操作に応じて、固定ディスク29及び可動ディスク27の軸周りに回転し、これにより、可動孔31が、固定ディスク29に対して軸周りに回転移動する。レバー5aにはストッパー(図示せず)が取り付けられており、ストッパーによってレバー5aを定位置で停止させることにより、専用水栓を、浄水吐水状態と排水吐水状態との間で切り替えられるように構成されている。浄水吐水状態とは、
図2に示すように、排水吐水口23を閉止し、第一孔33及び第二孔35を可動ディスクの切り欠きから露出させ、第三孔37と可動孔31とを連通した状態、即ち、第一孔33、第二孔35、及び第三孔37が開口し、浄水吐水口21が開口した状態を指す。また、排水吐水状態とは、
図3に示すように、可動ディスク27によって第一孔33、及び第三孔37を閉止し、固定ディスク29によって可動孔31を閉止し、かつ第二孔35のみを開口して、排水吐水口23が開口した状態を指す。
【0036】
次に、切替構造25の構成について、より詳細な説明を行う。まず、
図2に示す、浄水吐水状態について、詳細な説明を行う。
図2に示すように、浄水吐水状態では、可動ディスク27の可動孔31が、固定ディスク29の第三孔37と連通するように、可動ディスク27を固定ディスク29上に配置されている。
【0037】
固定ディスク29の第一孔33は、第一原水管7と連通している。従って、第一孔33が開いている状態では、第一原水管7から専用水栓5への入口が開き、原水が第一原水管7から専用水栓5内に流入する。また、固定ディスク29の第二孔35は、第二原水管9と連通し、排水吐水口23と連通していない。従って、第一原水管7内の水が第二原水管9に向けて流れる。また、第三孔37及び可動ディスク27の可動孔31は、浄水管11、及び浄水吐水口21と連通している。従って、第三孔37と可動孔31が連通している状態では、浄水管11内の浄水は、浄水吐水口21に向けて流れる。
【0038】
次に、
図3に示す、排水吐水状態について、詳細な説明を行う。
図3に示すように、排水吐水状態では、固定ディスク29の第一孔33及び第三孔37が可動ディスク27によって閉止され、可動ディスク27の可動孔31が固定ディスク27によって閉止される。また、固定ディスク29の第二孔35が排水吐水口と連通するように、可動ディスク27を固定ディスク29上に配置されている。
【0039】
この状態では、固定ディスク29の第一孔33は、可動ディスク27によって閉止されている。従って、第一原水管7から専用水栓5への入口が閉まり、原水は第一原水管7から専用水栓5内に流入しない。また、固定ディスク29の第二孔35は、第二原水管9と連通し、更に、排水吐水口23と連通する。従って、後述する浄水装置3を洗浄するのに使用した排水が、第二原水管9から排水吐水口23に向けて流れる。また、固定ディスク29の第三孔37は、可動ディスク27によって閉止されている。更に、可動ディスク27の可動孔31は、固定ディスク29によって閉止されている。従って、浄水管11内の浄水は、専用水栓5内に流入しない。
【0040】
図4は、浄水装置の構成を示す斜視図であり、
図5は、浄水装置の変形例を示す斜視図であり、
図6は、浄水装置の構成を示す概略図である。
図4及び6に示すように浄水装置3は、3個のフィルタを直列的に接続して形成されている。浄水装置3の最上流側にあるフィルタは、原水中に含まれる濁質を
捕捉する、いわゆるプレフィルタ39(第一フィルタ)である。プレフィルタ39の下流側には、吸着材を備える吸着フィルタ41(第二フィルタ)が連結され、吸着フィルタ41の下流側には、内部に中空糸膜を備える中空糸膜フィルタ43が連結されている。
【0041】
プレフィルタ39は、第二原水管9と連結されているヘッダ101と、ヘッダ101に対して着脱可能な筒状容器103とを備えている。
【0042】
ヘッダ101は、筒状容器103に出入りする水が内部を通過するように構成されている。ヘッダ101は、プレフィルタ39の上流側の第二原水管9を介して専用水栓5と連結され、下流側の第一連結管47を介して吸着カートリッジ41に連結されている。
【0043】
筒状容器103内部には、中空糸膜45が収容されている。また、プレフィルタ39は、筒状容器103の開放端に取り付けられ、ヘッダ101に連結可能なキャップ105を備えている。このキャップ105は、第二原水管9からヘッダ103内に流れてきた原水を、矢印Aによって示すように、筒状容器103の経方向に流し込むようになっている。また、キャップ105の中央には、上下方向に延びる浄水出口管107が設けられている。浄水出口管107は、浄化された水を矢印Bで示すように、ヘッダ101に向けて流すようになっている。そして浄水出口管107からヘッダ101に流れた浄水は、第一連結管47に流れる。
【0044】
プレフィルタ39内の中空糸膜45は、U字状に曲げられてその両端がポッティング材49によって保持されている。そして多数の中空糸膜をU字状に曲げてその端部をポッティング材49に固定することによって多数の中空糸膜が柱状体を構成している。中空糸膜45としては、例えば、セルロース系、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ弗化エチレン(テフロン(登録商標))系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系等の各種材料からなるものを使用することが好ましい。これらの材料の中でも、特に、膜の強伸度や耐屈曲性、洗浄性、取扱性や耐薬品性の高さ等を考慮すると、ポリエチレンやポロプロピレン等のポリオオレフィン系中空糸膜を使用することが好ましい。また、加工性等を考慮すると、ポリエチレン系中空糸膜を使用することが好ましい。
【0045】
また、筒状容器103内部には、中空糸膜45に代えて粉状または粒状の吸着材(活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂等)、繊維状吸着材(繊維状活性炭)等を充填してもよい。これらの材料の中でも、特に吸着性等を考慮するとイオン交換樹脂や活性炭を使用することが好ましい。中空糸膜45と吸着材を併用して中空糸膜45の濾過性能の維持を図っても良い。
【0046】
吸着フィルタ41は、内部に吸着カートリッジ51を備えている。そしてプレフィルタ39から第一連結管47を通して吸着フィルタ41に流入した水は、吸着カートリッジ51を通過してろ過され、吸着フィルタ41から排出される。そして吸着フィルタ41から排出された浄水は、第二連結管53を通じて中空糸膜フィルタ43に流れる。
【0047】
吸着カートリッジ51としては、粉状または粒状の吸着材(活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂等)、繊維状吸着材(繊維状活性炭)等が挙げられる。これらの材料の中でも、特に吸着性等を考慮するとイオン交換樹脂や活性炭を使用することが好ましい。
【0048】
中空糸膜フィルタ43は、プレフィルタ39と同様に、内部に中空糸膜55の束を備えている。中空糸膜フィルタ43の中空糸膜55の孔径は、プレフィルタ39の中空糸膜45の孔径よりも小さくすることが好ましい。これによりプレフィルタ39によって比較的大きい濁質を
捕捉して中空糸膜フィルタ43によって比較的小さい濁質を
捕捉することができる。中空糸膜フィルタ43の出口は、浄水管11と連結されており、中空糸膜フィルタ43で浄化された浄水は、浄水管11に流れる。
【0049】
また、第一連結管47は、タンク57に連結されており、プレフィルタ39で浄化された浄水は、第一連結管47内の圧力に応じてタンク57に流れ、タンク57内に貯められる。タンクは、例えば内部にゴム袋59を備えるアキュムレーター、すなわち、ダイヤフラムタイプのアキュムレーターによって構成されている。そして、第一連結管47内の水圧が高い場合には第一連結管47内の浄水はタンク57内に流れ、ゴム袋59を膨張させながらタンク57内に貯留される。第一連結管47内の水圧が高い場合とは、プレフィルタ39で浄化された浄水が吸着フィルタ41に向けて流れているときである。即ち、浄水が吸着フィルタ41に流入する際、吸着フィルタ41によって所定の圧力損失が生じるため第一連結管47内の圧力が徐々に高まる。そして第一連結管47内の水圧が一定以上、即ちタンク57内のゴム袋59の収縮力を超えると、タンク57内のゴム袋59が水圧によって膨張し始める。これにより浄水をタンク57内に貯めることができる。また、タンク57は、第一連結管47内の圧力が低い場合に、タンク57内に貯留された浄水をゴム袋59の収縮力及びタンク57内の空気圧を利用して第一連結管内に圧送する。
【0050】
タンク57を第一連結管47に連結する向きとしては、
図4に示すように、タンク57の入水口が下向きになるような向きと、
図5に示すようにタンク57の入水口が上向きになるような向きがある。タンク57の入水口が上向きに第一連結管47と連結する、すなわち入水口が下に向けて開口するようにタンク57を配置した場合、タンク57内の空気は上部にたまり、圧力低下時も排気されない。よって、水圧が増加するに伴い内部空気は収縮し、水圧解放時は、内部空気が膨張し第一連結管内に送水される為、タンク57内にゴム袋59を設けなくても良い。なお、本実施形態では、タンク57を第一連結管47に連結することとしたが、タンク57をヘッダ101に直接連結してもよい。
【0051】
タンク57の容量は、プレフィルタ39の滞水量に応じて適宜選択可能であり、プレフィルタ39の滞水量に対して、2〜3倍にすることが好ましい。この場合、膜を充分に洗浄できる量の浄水を貯水することができる。例えばプレフィルタ39の滞水量が400ccである場合、タンク57の容量を800〜1200ccとすることが好ましい。
【0052】
次に、本発明の実施形態による浄水システムの作用について説明する。
【0053】
専用水栓5から浄水を吐水する浄水吐水状態での作用について詳述する。専用水栓5の浄水吐水口21から浄水を吐水する場合、ユーザはレバーを浄水位置まで操作する。この操作によって、可動ディスク27を回転させ、可動ディスク27が排水吐水口23を閉止し、第一孔33、第二孔35、第三孔37、可動孔31及び浄水吐水口を開口する状態にする。これにより、原水入口13から浄水システム1に流入した原水は、第一原水管7を通って専用水栓5に流れ、第一孔33を通じて専用水栓5内に流入し、第二孔35を通じて第二原水管9に流れ、第二原水管9を通って浄水装置3まで流れる。そして浄水装置3に流れた原水は、浄水装置3のプレフィルタ39で浄化される。そしてプレフィルタ39で浄化された水は、第一連結管47に流れる。第一連結管47内の浄水は、徐々に吸着フィルタ41内に流れこむが、プレフィルタ39から出水される浄水の量が吸着フィルタ41に入水する量よりも多くなる。そのため、第一連結管47内の水圧が徐々に高まる。そして第一連結管47内の水圧が一定以上になるとゴム袋59の収縮力及びタンク57内の気圧に抗して第一連結管47内の浄水はゴム袋59を膨張させ、タンク57内に貯まる。
【0054】
一方で吸着フィルタ41に流入した浄水は、吸着カートリッジ51で浄化され、第二連結管53に流れる。そして第二連結管53に流れた浄水は、第二連結管53を通じて中空糸膜フィルタ43に流れる。そして中空糸膜フィルタ43を通過した浄水は、浄水管11を通じて専用水栓5に流れる。専用水栓5に流入した浄水は、固定ディスク29の第三孔37及び可動ディスク27の可動孔31を通じて浄水吐水口21に向けて流れ、浄水吐水口21から吐水される。
【0055】
また、浄水吐水状態を維持し続けると、プレフィルタ39から第一連結管47内に流入した浄水は、タンク57内に流れ込み、タンク57内が浄水で満たされると、タンク57への浄水の流入が終了する。そして、プレフィルタ39を通過した浄水は、下流側の吸着フィルタ41に向けて流れ続ける。そして本明細書でいう「浄水吐水状態」とは、タンク57内に浄水を貯めながら専用水栓5から浄水を吐水している状態に加えて、タンク57内が浄水で満たされてタンク57内へ浄水が流れなくなっているものの、プレフィルタ39、吸着フィルタ41、及び中空糸膜フィルタ43で浄化された水が専用水栓5から吐水している状態をも含む。
【0056】
次に、プレフィルタ39を洗浄することができる排水吐水状態での作用について詳述する。この場合、タンク57内に浄水が貯まった状態で、ユーザはレバーを止水位置まで操作する。この操作によって、可動ディスク27を回転させ、可動ディスク27が第一孔33、第三孔37、可動孔31及び浄水吐水口を閉止し、第二孔35及び排水吐水口23を開口する状態にする。これにより、第二原水管9、第二孔35、及び排水吐水口23が連通状態となる。本浄水システムは、未使用時にも水圧がかかっているため、排水吐水口23が開くと、浄水システム1内の水は、排水吐水口23に向けて流れる。これにより、プレフィルタ39内の水圧、及び第一連結管47内の水圧も低下する。そして第一連結管47内の水圧が低下すると、タンク57内のゴム袋59の収縮力及びタンク57内の気圧によってゴム袋59内の浄水は第一連結管47内に圧送される。このとき可動ディスク27によって固定ディスク29の第三孔37が塞がれているので、第一連結管47に圧送された浄水は、下流側に向けて流れず、圧力が低い上流側に向けて流れる。第一連結管47内の浄水がプレフィルタ39の出口側からプレフィルタ内に流入すると、浄水はろ過時とは逆向きにプレフィルタ39内を流れる。そのため、中空糸膜の内部を通って中空糸膜の表面に排出される。これにより中空糸膜の表面に付着した濁質を取り除くことができる。これにより、プレフィルタ39を逆洗浄することができる。そしてプレフィルタ39を逆洗浄した水は、第二原水管9を逆流して専用水栓5に流れる。そして専用水栓5内に流入した水は、第二孔35を通じて排水吐水口23に流れ、排水として排水吐水口23から排水される。そしてタンク57内の浄水が空になるとプレフィルタ39の逆洗浄は自動的に終了する。この場合、固定ディスク29の第一孔33が塞がれているので更なる原水は専用水栓5内に流入せず、プレフィルタ39を洗浄した水を排水し終えたら専用水栓5は止水状態となる。
【0057】
以上のように本実施形態による浄水システムによれば、浄水吐水状態でタンク57に浄水を貯め、排水吐水状態でタンク57に貯めた浄水を用いてプレフィルタ39を逆洗浄することができる。これにより、浄水に微生物や赤錆が混ざる可能性が低減する。また、ユーザが特に意識をしなくとも専用水栓5を止水状態にすると、排水吐水状態となることにより、自動的にプレフィルタ39を逆洗浄することができる。そしてプレフィルタ39の洗浄は、浄水吐水状態から止水状態(排水吐水状態)に切り替えるたびに自動的に行われる。これによりプレフィルタ39の浄水性能を維持することができる。また、プレフィルタ39の洗浄は、タンク57内の浄水が無くなったときに自動的に終了するので逆洗浄を行ったときに水を止め忘れるのを確実に防止することができる。また、プレフィルタ39の洗浄頻度を高め、プレフィルタ39の浄水性能を維持することによってプレフィルタ39よりも下流側のフィルタ41,43の寿命を延ばすことができる。
【0058】
また、本実施形態による浄水システムによれば、排水吐水口を他の吐水口とは別に設けたため、ユーザが誤って排水を飲んでしまうのを防止することができる。
【0059】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態による洗浄システムの各構成は適宜変更することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、ユーザがレバー5aを止水位置に操作することで、排水吐水状態を経た後に、止水状態となるが、止水位置とは別に排水吐水位置を設けても良い。この場合、レバー5aを排水吐水位置に操作することで、可動ディスク及び固定ディスクを
図3の状態にする。更に、レバー5aを止水位置に操作することで、可動ディスク27によって、第一孔33、第二孔35、及び第三孔37を閉止し、固定ディスク29によって、可動孔31を閉止する状態とすると良い。止水位置では第二原水管と排水吐水口23が連結されていないため、異物の混入や微生物の汚染を防ぐことができる。
【0061】
また、上述の実施形態では、専用水栓が浄水吐水口と、排水吐水口とを独立して設けていたが、吐水する水の性質に応じて吐水口を分ける必要はなく、浄水吐水口と排水吐水口とを一つの吐水口としてもよい。この場合、可動ディスク27の上に浄水吐水口と連通した排水吐水管を配置する。排水吐水状態では、固定ディスク29の第二孔35と、排水吐水管が連通し、プレフィルタ39を洗浄した水が、浄水吐水口から吐水される。
【0062】
また、上述の実施形態では、浄水吐水口及び排水吐水口が、浄水管及び原水管と直接連結したが、配管などを介して連結しても良く、この場合、浄水吐水口及び排水吐水口と連結している配管が可動ディスクによって開閉される。
【0063】
また、上述の実施形態では、プレフィルタの下流に複数のフィルタ(吸着フィルタ39及び中空糸膜フィルタ41)が連結されているが、下流に複数のフィルタが無くても良い。この場合、浄水吐水状態において、連結管の水圧が高くなるように弁などを設けて、タンクに浄水が流れるようになれば良い。
【0064】
また、上述の実施形態では、ゴム袋59に第一連結管47内の浄水を貯留するようになっているが、タンク57内に貯留しても良い。この場合、タンク57の下部に空気や窒素ガスなどを封入したゴム袋を備えた、プラダ型のアキュムレーターを用いる。第一連結管47内の水圧が高い場合には、第一連結管47内の浄水は、ゴム袋を収縮させながらタンク57に貯留される。また、第一連結管47内の圧力が低い場合には、タンク57に貯留された浄水は、ゴム袋の膨張力を利用して、第一連結管内に圧送される。
【0065】
また、上述の実施形態では、可動ディスクは三日月形状の切欠け部を有しているが、三日月形状である必要はない。固定ディスクの第一孔33及び第二孔35を連通させ、かつ固定ディスクの第二孔35と排水吐水口23とを連通される形状であれば良い。
【0066】
なお、上述の実施形態において「上流側」及び「下流側」とは、原水入口を最上流とし、吐水口を最下流とする流路における方向を意味する。従って、浄水を吐水するときには、水は、上流側から下流側に流れ、逆洗浄を行うときには、下流側から上流側に向けて流れることとなる。また、「上側」「下側」とは重力方向における方向を差し、ヘッダ101側を上側といい、筒状容器103の底壁側を下側という。
【0067】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0068】
実施例では、滞水量が400ccのフィルタを2つ準備し、これらの間に内部にゴム袋を備えていないタンクを連結した。タンクは、その入水口が下向きになるように、フィルタの間に連結した。タンクの容量は、1200ccであった。フィルタの上流側から、所定の圧力下で原水を1分間流し、タンク内に浄水を貯めながら、2つのフィルタで原水を浄化して浄水として排水した。その後、浄水の排水口と原水の入水口を同時に遮断した。次いで、排水を上流側のフィルタを通過させて排水した。原水の入水時の圧力と、浄水の流量と、排水の吐出量との関係を表1に記載した。
【0070】
表1から分かるように、排水の吐出量、即ちタンクに貯めることができる浄水の量は、原水の入水時の圧力及び浄水の流量に応じて増加する。従って、本実施例によれば、原水の入水時の圧力及び浄水の流量を増加させることによってタンク内の貯水量を増加させることができ、これにより逆洗浄時に使用できる洗浄水の量を増加させられることが分かる。
【符号の説明】
【0071】
1 浄水システム
3 浄水装置
5 専用水栓
7 第一原水管
9 第二原水管
11 浄水管
21 浄水吐水口
23 排水吐水口
25 切替構造
27 可動ディスク
29 固定ディスク
31 可動孔
33 第一孔
35 第二孔
37 第三孔
39 プレフィルタ
41 吸着フィルタ