特許第5871185号(P5871185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友大阪セメント株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871185
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】コンクリート
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   C04B28/04
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-18330(P2012-18330)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-155094(P2013-155094A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康範
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚
(72)【発明者】
【氏名】福岡 紀枝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 沙友里
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−189447(JP,A)
【文献】 特開2010−275124(JP,A)
【文献】 長岡誠一,超早強軽量骨材コンクリートを使った高架橋中央分離帯コンクリートのスピード改修,セメント・コンクリート,日本,社団法人セメント協会,2009年 3月10日,第745号,第19〜21頁
【文献】 笠井芳夫,コンクリート総覧,日本,技術書院,1998年 6月10日,第1版,第253〜254頁,「細骨材率」の項
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00− 32/02
C04B 40/00− 40/06
C04B 103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、及び、水を備え、材齢12時間における圧縮強度が24N/mm以上であり、前記細骨材のコンクリート中の体積割合が0.225〜0.320m/mであり、前記粗骨材のコンクリート中の体積割合が0.335〜0.425m/mであり、前記粗骨材に占める人工軽量粗骨材の体積割合をX%、前記細骨材に占める人工軽量細骨材の体積割合をY%としたときに、X及びYが下記式の関係を満足し、
前記人工軽量細骨材の24時間吸水率が9〜11質量%であることを特徴とするコンクリート。
50≦X≦100、且つ、−X+100≦Y≦100
【請求項2】
前記ポルトランドセメントとして超早強ポルトランドセメントを備えている請求項1記載のコンクリート。
【請求項3】
前記人工軽量粗骨材の24時間吸水率が7〜11質量%である請求項1又は2記載のコンクリート。
【請求項4】
前記細骨材のコンクリート中の体積割合が0.300m/m以下である請求項1〜の何れか1項に記載のコンクリート。
【請求項5】
前記粗骨材のコンクリート中の体積割合が0.350m/m以上である請求項1〜の何れか1項に記載のコンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートに関し、具体的には、ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、及び、水を備えているコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
橋は、通常、車両等が通行するための路面となる床版と、その車両等の荷重を下部に伝える桁または梁,およびそれらの桁または梁を介して該床版を下側から支え且つ鉛直方向に延びる複数の橋脚とを備えて構成されている。該床版は、アスファルトやコンクリートで構成された複数の板状部材を備えており、該板状部材が桁または梁上に設けられている。また、該床版は、床版の橋軸方向に、板状部材の面が水平面となり、且つ、桁または梁および床版への荷重による変形や、温度変化による変形等の影響を後述のフィンガージョイントで吸収すべく、特定の橋脚上の橋軸方向の板状部材どうしの間には隙間ができるように前記部材が並べられた構成となっている。さらに、該床版は、該隙間に、該床版の橋軸方向に対する部材の伸縮を吸収するための鋼製のフィンガージョイントを備えており、該フィンガージョイントと前記板状部材とを繋ぐように前記隙間にコンクリート(以下、「間詰めコンクリート」ともいう。)が打設されて形成されている。
このように構成されている橋は、荷重や気温の変化等によって前記部材が伸縮しても前記フィンガージョイントがその伸縮によって生じる変形を吸収できるので、変形が拘束されることによって生じる応力が低減され,板状部材にひび割れが生じ難くなる。
【0003】
しかるに、前記フィンガージョイントは、車両の通行等により劣化されて、部材の伸縮を吸収する機能が損なわれるので、数年から十数年に一度程度交換する必要がある。この劣化したフィンガージョイントを交換するには、前記板状部材どうしの間に打設された間詰めコンクリートをコンクリートブレーカー等により破壊してこの劣化したフィンガージョイントを外し、新たなフィンガージョイントを板状部材どうしの間の隙間に配し、この新たなフィンガージョイントと前記板状部材とを繋ぐように前記隙間に新たな間詰めコンクリートを打設し、該間詰めコンクリートが所望の強度になるまで該間詰めコンクリートを養生する作業が必要となる。
このようなフィンガージョイントの交換作業中には、車両等が橋を通行することができないという問題がある。
【0004】
このようなことから、間詰めコンクリートの養生時間を短縮すべく、間詰めコンクリートとしては、材齢1日における圧縮強度が24N/mm2 以上であるコンクリートが用いられている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】長岡誠一、松本公一、「超早強軽量骨材コンクリートを使った高架橋中央分離帯コンクリートのスピード改修 国道26号 堺高架橋」、セメント・コンクリート、No.745、2009年3月、p.19−21。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、昨今に於いては、橋は物流等の大きな基盤となるので、フィンガージョイントの交換のために橋の通行を停止する時間をより一層短くすることが要望されている。
また、間詰めコンクリートをコンクリートブレーカー等で破壊する際に、騒音や振動が生じることがあるが、騒音や振動が大きすぎる場合には近隣住民の健康を害する虞が考えられる。
【0007】
ところで、フィンガージョイントの交換のために定期的に間詰めコンクリートが取り除かれるので、橋は、フィンガージョイントの交換時においても強度を保つべく、間詰めコンクリートが打設される箇所の真下が橋脚により支えられた構成となっている。よって、間詰めコンクリートは、板状部材の材料ほど高い強度が求められていない。
従って、間詰めコンクリートは、それほど高強度である必要がないので、間詰めコンクリートをコンクリートブレーカー等で破壊するのに要する時間を短縮でき、且つ騒音や振動を抑制することができるようにすべく、該間詰めコンクリートは、打設して所望の強度を確保しつつ、材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないことが望ましい。
しかるに、本発明者らが検討したところ、従来のコンクリートは、比較的短い材齢で所望の強度以上に到達する一方で、その後も時間が経過するにつれて徐々に圧縮強度と引張強度とが共に高まり、その結果、必要以上に強度、特に引張強度が高いものとなってしまっていることがわかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、短い材齢で十分に強度が高くなり且つ材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないコンクリートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意研究したところ、コンクリートは、前記粗骨材に占める人工軽量粗骨材の体積割合、及び、前記細骨材に占める人工軽量細骨材の体積割合が所定の関係を満足することにより、短い材齢で十分に強度が高くなり、且つ、材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないことを見出し、本発明を想到するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、及び、水を備え、材齢1日における圧縮強度が24N/mm2 以上であり、前記細骨材のコンクリート中の体積割合が0.225〜0.320m3 /m3 であり、前記粗骨材のコンクリート中の体積割合が0.335〜0.425m3 /m3 であり、前記粗骨材に占める人工軽量粗骨材の体積割合をX%、前記細骨材に占める人工軽量細骨材の体積割合をY%としたときに、X及びYが下記式の関係を満足することを特徴とするコンクリートにある。
50≦X≦100、且つ、−X+100≦Y≦100
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短い材齢で十分に強度が高くなり且つ材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないコンクリートを提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、橋脚上の板状部材どうしの間の隙間にフィンガージョイントを設置するために、該フィンガージョイントと前記板状部材とを繋ぐ間詰めコンクリートを例に説明する。
【0013】
本実施形態のコンクリートは、ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、及び、水を備えている。
また、本実施形態のコンクリートは、材齢1日における圧縮強度が24N/mm2 以上であり、材齢12時間における圧縮強度が24N/mm2 以上であることが好ましく、材齢6時間における圧縮強度が24N/mm2 以上であることがより好ましい。
【0014】
前記ポルトランドセメントとしては、超早強ポルトランドセメントが好ましい。本明細書における超早強ポルトランドセメントは、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」で分類された「超早強ポルトランドセメント」を意味する。
【0015】
本実施形態のコンクリートは、前記細骨材のコンクリート中の体積割合が0.225〜0.320m3 /m3 、好ましくは0.235〜0.300m3 /m3 、より好ましくは0.255〜0.285m3 /m3 である。なお、前記細骨材のコンクリート中の体積割合は、作製直後のコンクリートに占める表面乾燥状態の細骨材の体積割合を意味する。前記細骨材のコンクリート中の体積割合は、配合計算によって求める。
また、本実施形態のコンクリートは、前記粗骨材のコンクリート中の体積割合が0.335〜0.425m3 /m3 、好ましくは0.350〜0.410m3 /m3 、より好ましくは0.370〜0.395m3 /m3 である。なお、前記粗骨材のコンクリート中の体積割合は、作製直後のコンクリートに占める表面乾燥状態の粗骨材の体積割合を意味する。前記粗骨材のコンクリート中の体積割合は、配合計算によって求める。
また、本実施形態のコンクリートは、前記粗骨材に占める人工軽量粗骨材(人工軽量骨材の粗骨材)の体積割合をX%、前記細骨材に占める人工軽量細骨材(人工軽量骨材の細骨材)の体積割合をY%としたときに、X及びYが下記式の関係を満足するコンクリートである。
50≦X≦100、且つ、−X+100≦Y≦100
【0016】
前記人工軽量骨材は、JIS A 5002:2003「構造用軽量コンクリート骨材」の「3.1 種類」で分類された「人工軽量骨材」を意味し、膨張頁岩、膨張粘土、膨張スレート、及びフライアッシュからなる群より選ばれた1種以上の原料を主原料とするものである。
【0017】
本実施形態のコンクリートは、前記人工軽量骨材の他に、JIS A 5002:2003「構造用軽量コンクリート骨材」の「3.1 種類」で分類された「天然軽量骨材」及び「副産軽量骨材」に属する粗骨材を備えてもよい。
【0018】
前記人工軽量粗骨材は、好ましくは、強熱減量が0.3質量%以下である。該強熱減量が0.3質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、車両の通行等によって、曝露された表面部分に轍掘れが生じるのを抑制できるというという利点を有する。
【0019】
また、前記人工軽量粗骨材は、好ましくは、三酸化硫黄(SO3 として)の含有量が0.15質量%以下である。該三酸化硫黄の含有量が0.15質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、フィンガージョイントや内部に設置された鉄筋などの鋼材を腐食させ難くすることできるという利点を有する。
【0020】
さらに、前記人工軽量粗骨材は、好ましくは、塩化物イオン(NaClとして)の含有量が0.01質量%以下である。該塩化物イオンの含有量が0.01質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、フィンガージョイントや内部に設置された鉄筋などの鋼材を腐食させ難くすることできるという利点を有する。
【0021】
また、前記人工軽量粗骨材は、好ましくは、絶乾密度が1.25〜1.35g/cm3 である。該絶乾密度が1.25g/cm3 以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、短い材齢でより一層十分に強度が高くなるという利点を有する。該絶乾密度が1.35g/cm3 以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、過大な強度の発現をより一層抑制できるという利点を有する。
【0022】
また、前記人工軽量粗骨材は、好ましくは、24時間吸水率が7〜11質量%である。該24時間吸水率が7質量%以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、過大な強度の発現をより一層抑制するという利点を有する。また、該24時間吸水率が11質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、短い材齢でより一層十分に強度が高くなるという利点を有する。
【0023】
なお、本明細書において、強熱減量、三酸化硫黄の含有量、塩化物イオンの含有量、絶乾密度、及び24時間吸水率は、JIS A 5002 :2003に規定された方法に従って測定したものを意味する。
【0024】
本実施形態のコンクリートは、JIS A 5002:2003「構造用軽量コンクリート骨材」の「3.1 種類」で分類された「天然軽量骨材」及び「副産軽量骨材」に属する細骨材を備えてもよい。
【0025】
前記人工軽量細骨材は、好ましくは、強熱減量が0.5質量%以下である。該強熱減量が0.5質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、車両の通行等によって、曝露された表面部分に轍掘れが生じるのを抑制できるというという利点を有する。
【0026】
また、前記人工軽量細骨材は、好ましくは、三酸化硫黄(SO3 として)の含有量が0.15質量%以下である。該三酸化硫黄の含有量が0.15質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、フィンガージョイントや内部に設置された鉄筋などの鋼材を腐食させ難くすることできるという利点を有する。
【0027】
さらに、前記人工軽量細骨材は、好ましくは、塩化物イオン(NaClとして)の含有量が0.003質量%以下である。該塩化物イオンの含有量が0.003質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、フィンガージョイントや内部に設置された鉄筋などの鋼材を腐食させ難くすることできるという利点を有する。
【0028】
また、前記人工軽量細骨材は、好ましくは、絶乾密度が1.6〜1.7g/cm3 である。該絶乾密度が1.6g/cm3 以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、短い材齢でより一層十分に強度が高くなるという利点を有する。該絶乾密度が1.7g/cm3 以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、過大な強度の発現をより一層抑制できるという利点を有する。
【0029】
さらに、前記人工軽量細骨材は、好ましくは、24時間吸水率が9〜11質量%である。該24時間吸水率が9質量%以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、過大な強度の発現をより一層抑制するという利点を有する。また、該24時間吸水率が11質量%以下であることにより、本実施形態のコンクリートは、短い材齢でより一層十分に強度が高くなるという利点を有する。
【0030】
また、本実施形態のコンクリートは、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない範囲内において、各種の混和材料を含有してもよい。該混和材料としては、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、補強繊維等が挙げられる。前記高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。前記高性能AE減水剤としては、ポリカルボン酸エーテル等が挙げられる。前記補強繊維としては、ポリプロピレン繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
【0031】
さらに、本実施形態のコンクリートは、水/セメント比が、好ましくは30〜50質量%であり、より好ましくは35〜45質量%となるように混合する。
【0032】
また、本実施形態のコンクリートは、好ましくは、前記人工軽量粗骨材の実積率が63体積%以上となるように、前記人工軽量粗骨材を含有する。前記人工軽量粗骨材の実積率が63体積%以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、所定の流動性を付与するのに必要な単位水量が少なくなり、その結果、含まれる水の量を抑制でき、打設後にひび割れが生じるのを抑制することができるという利点がある。
【0033】
さらに、本実施形態のコンクリートは、好ましくは、モルタル中の前記人工軽量細骨材の実積率が52体積%以上となるように、前記人工軽量細骨材を含有する。モルタル中の前記人工軽量細骨材の実積率が52体積%以上であることにより、本実施形態のコンクリートは、所定の流動性を付与するのに必要な単位水量が少なくなり、その結果、含まれる水の量を抑制でき、打設後にひび割れが生じるのを抑制することができるという利点がある。
【0034】
なお、本明細書において、実積率は、JIS A 5002 :2003に規定された方法に従って測定したものを意味する。
【0035】
本実施形態のコンクリートは、橋脚上の板状部材どうしの間の隙間にフィンガージョイントを設置するために、該フィンガージョイントと前記板状部材とを繋ぐ間詰めコンクリートとして好適に用いられる。本実施形態のコンクリートは、短い材齢で十分に強度が高くなり且つ材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないので、劣化したフィンガージョイントを取り外すために、間詰めコンクリートをコンクリートブレーカー等で破壊するのに要する時間を短縮でき、且つ騒音や振動を抑制することができる。また、新たなフィンガージョイントを設置する際に、新たな間詰めコンクリートを打設してから材齢1日で設計基準強度(圧縮強度24N/mm2 )に到達するので、新たな間詰めコンクリートを打設してから橋を解放するまでの時間を短縮できる。
また、本実施形態のコンクリートは、橋梁におけるフィンガージョイントの設置のための間詰めコンクリートとしてだけでなく、コンクリートやアスファルトなどで構成された一般構造物どうしの隙間を埋め且つ構造物よりも頻繁に交換が必要となる間詰めコンクリートとしても好適に用いられる。
【0036】
なお、本実施形態のコンクリートは、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【実施例】
【0037】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0038】
(実施例1−1)
実施例1−1のコンクリートの作製には、下記材料を用いた。
ポルトランドセメント(C):超早強コンクリート用セメント(住友大阪セメント社製、商品名:DAY 300)と、亜硝酸カルシウムとを混合した超早強ポルトランドセメント、具体的には、珪酸カルシウムを65質量%含有するポルトランドセメントと、該ポルトランドセメント100質量部に対して5重量部の無水石膏と、亜硝酸カルシウムとを備えており、前記ポルトランドセメントのブレーン比表面積が5910cm 2/gであり、前記無水石膏のブレーン比表面積が7110cm 2/gであり、亜硝酸カルシウムを2質量%含有する超早強ポルトランドセメント
細骨材(S):人工軽量細骨材(アサノライト、太平洋マテリアル(株)製)、表乾密度1.90g/cm3、絶乾密度1.68g/cm3
粗骨材(G):人工軽量粗骨材(アサノライト、太平洋マテリアル(株)製)、表乾密度1.65g/cm3、絶乾密度1.26g/cm3、最大寸法15mm
高性能AE減水剤(Ad):ポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤(レオビルドSP8SV、BASFポゾリス(株)製)
まず、上記材料及び水(W)を表1に示す割合で混合して、表1の割合のコンクリートを得た。なお、表1では、「W/C」は、水セメント比を意味し、「s/a」は、細骨材率(全骨材に占める細骨材の体積割合)を意味する。
【0039】
(実施例1−2)
細骨材として、人工軽量細骨材の代わりに、川砂(栃木県鬼怒川産)(密度2.59g/cm3 、F.M.(粗粒率)2.20)を用いたこと、及び、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0040】
(実施例1−3)
細骨材として、人工軽量細骨材、及び川砂(栃木県鬼怒川産)(密度2.59g/cm3 、F.M.(粗粒率)2.20)を用いたこと、並びに、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0041】
(実施例1−4)
粗骨材として、人工軽量粗骨材、及びJIS A 5005:2009「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の砕石2005(栃木県佐野産)(密度2.74g/cm3 、F.M.(粗粒率)6.87)を用いたこと、並びに、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0042】
(実施例1−5)
粗骨材として、人工軽量粗骨材、及びJIS A 5005:2009「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の砕石2005(栃木県佐野産)(密度2.74g/cm3 、F.M.(粗粒率)6.87)を用いたこと、細骨材として、人工軽量細骨材、及び川砂(栃木県鬼怒川産)(密度2.59g/cm3 、F.M.(粗粒率)2.20)を用いたこと、並びに、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0043】
(実施例1−6)
補強繊維(バルチップPW・Jr、荻原工業(株)製、規格:30dt(g/10km)、繊維長:12mm、繊維径:0.065mm、引張強度:530MPa、引張弾性率:5000MPa)を0.05体積%含有すること以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0044】
(比較例1−1)
細骨材として、人工軽量細骨材の代わりに、川砂(栃木県鬼怒川産)(密度2.59g/cm3 、F.M.(粗粒率)3.04)を用いたこと、粗骨材として、人工軽量粗骨材の代わりに、JIS A 5005:2009「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の砕石2005(栃木県佐野産)(密度2.74g/cm3 、F.M.(粗粒率)6.87)を用いたこと、並びに、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0045】
(比較例1−2)
粗骨材として、人工軽量粗骨材の代わりに、JIS A 5005:2009「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の砕石2005(栃木県佐野産)(密度2.74g/cm3 、F.M.(粗粒率)6.87)を用いたこと、並びに、配合割合を表1の割合にしたこと以外は、実施例1−1と同様にしてコンクリートを得た。
【0046】
実施例1−1〜1−6及び比較例1−1〜1−2のコンクリートの作製直後のスランプ、空気量、及びコンクリート温度を測定した。スランプ及び空気量は、それぞれJIS A 1101:2005「コンクリートのスランプ試験方法」及びJIS A 1128:2005「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法」に従って測定した。また、粗骨材のコンクリート中の体積割合、細骨材のコンクリート中の体積割合は、配合計算によって求めた。結果を表1に示す。
また、JIS A 1132:1999「コンクリート強度試験用供試体の作り方」に従い、実施例1−1〜1−6及び比較例1−1〜1−2のコンクリートを用いて供試体を作製し、材齢12時間、1日、7日、28日及び91日の供試体の圧縮強度及び割裂引張強度を測定した。圧縮強度及び割裂引張強度は、それぞれJIS A 1108:1999「コンクリートの圧縮強度試験方法」及びJIS A 1113:1999「コンクリートの割裂引張強度試験方法」に従って測定した。結果を表2、3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
(実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−2)
ポルトランドセメントとして、下記のものを用いたこと、及び、配合割合を表4の割合にしたこと以外は、実施例1−1〜1−6、及び比較例1−1〜1−2と同様にしてコンクリートを得た。
ポルトランドセメント(C):住友大阪セメント社製、商品名:DAY 300(超早強コンクリート用セメント)、珪酸カルシウムを65質量%含有するポルトランドセメントと、該ポルトランドセメント100質量部に対して5重量部の無水石膏とを備えており、前記ポルトランドセメントのブレーン比表面積が5910cm 2/gであり、前記無水石膏のブレーン比表面積が7110cm 2/gである超早強ポルトランドセメント
【0051】
実施例2−1〜1−6及び比較例2−1〜2−2のコンクリートの作製直後のスランプ、空気量、及びコンクリート温度を測定した。また、粗骨材のコンクリート中の体積割合、細骨材のコンクリート中の体積割合は、配合計算によって求めた。結果を表4に示す。
また、JIS A 1132:1999「コンクリート強度試験用供試体の作り方」に従い、実施例2−1〜1−6及び比較例2−1〜2−2のコンクリートを用いて供試体を作製し、材齢1日、3日、7日、28日及び91日の供試体の圧縮強度及び割裂引張強度を測定した。結果を表5、6に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
表2、3に示すように、本発明の範囲内である実施例1−1〜1−5のコンクリートは、比較例1−1、1−2に比して、材齢が12時間と短い場合には圧縮強度が同程度であったが、材齢が28日以上と長い場合には圧縮強度が低い値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例1−1〜1−5のコンクリートは、材齢が12時間と短くても、圧縮強度が26N/mm2 以上となり、設計基準強度である24N/mm2 を超える値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例1−1〜1−5のコンクリートは、比較例1−1、1−2に比して、材齢が12時間と短い場合には割裂引張強度がやや低い値であるが略同程度である一方で、材齢が28日以上と長い場合には割裂引張強度が低い値を示した。
また、表4、5に示すように、本発明の範囲内である実施例2−1〜2−5のコンクリートは、比較例2−1、2−2に比して、材齢が1日と短い場合には圧縮強度が同程度であったが、材齢が28日以上と長い場合には圧縮強度が低い値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例2−1〜2−5のコンクリートは、材齢が1日と短くても、圧縮強度が31N/mm2 以上となり、設計基準強度である24N/mm2 を超える値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例2−1〜2−5のコンクリートは、比較例2−1、2−2に比して、材齢が1日と短い場合には割裂引張強度がやや低い値であるが略同程度である一方で、材齢が28日以上と長い場合には割裂引張強度が低い値を示した。
【0056】
以上のことからも、本発明のコンクリートは、短い材齢で十分に強度が高くなり且つ材齢が長くなっても強度、特に引張強度が高くなりすぎないコンクリートであることがわかる。
すなわち、本発明のコンクリートをフィンガージョイントの設置のための間詰めコンクリートとして用いれば、劣化したフィンガージョイントを取り外すために、間詰めコンクリートをコンクリートブレーカー等で破壊するのに要する時間を短縮でき、且つ騒音や振動を抑制することができる。また、新たなフィンガージョイントを設置する際に、新たな間詰めコンクリートを打設してから12時間或いは1日で設計基準強度(圧縮強度24N/mm2 )に到達しうるため、新たな間詰めコンクリートを打設してから橋を解放するまでの時間を短縮できる。
【0057】
また、補強繊維を用いた実施例1−6のコンクリートは、補強繊維を用いていない実施例1−1と圧縮強度及び割裂引張強度が同程度であった。また、補強繊維を用いた実施例2−6のコンクリートは、補強繊維を用いていない実施例2−1と圧縮強度及び割裂引張強度が同程度であった。このことから、実施例1−6及び2−6のコンクリートは、本願発明の効果があるとともに、補強繊維を有することで、硬化したコンクリートに関し供用中などにひび割れが発生したとしても、コンクリートの塊の飛散を抑制することができるという利点もある。