【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1:核酸の合成(1)〕
表2に示す10種類の核酸を、株式会社ジーンデザインまたは筑波技術産業総合研究所に委託して合成した。すなわち、RNA部分の化学合成にはtBDMS RNA amiditeを、DNA部分の化学合成には一般的なDNA amiditeを、S化(ホスホロチオエート)部分はPADSを使用した。合成方法は固相担体を用いたホスホロアミダイト法(Scaringe, S. A.et al, ;J Am Chem 1998;120:11820-11821)を基本とし、最適化したパラメーターを用いて実行した。合成機は長鎖合成に至適化されたns−8核酸合成機(ジーンデザイン製)を用いた。合成完了後、一般的な方法を用いて塩基部分および2’位に存在する保護基を除去し、逆相HPLCにて精製を行った後脱塩し、各一本鎖を得た。各一本鎖を適切な濃度に調整し、終濃度4.1mMのTris−HCl(pH8.0)および8.3mMのNaClを二本鎖化溶液として加え、最適化した温度条件で加温した後、−1℃/minの温度グラジエントを用い30℃まで徐冷することにより、二本鎖化を達成し、凍結乾燥することで目的の核酸を得た。二本鎖化は12%の非変性ゲル電気泳動を用い、一本鎖RNAの泳動位置および二本鎖マーカーの泳動位置から相対評価した。また、表2に示す10種類の核酸のうちの一部は、T7 transcription kit(EPICENTRE)を用いて合成したin vitro transcribed RNAを用いて二本鎖RNAを調製した。
【0030】
【表2】
【0031】
〔実施例2:IFN−βプロモーター活性化の評価〕
HEK293細胞(2×10
5cells/well)を24wellの培養プレートに播種した。FuGENE HD(Roche Diagnostics)を用いて、ヒトTLR3発現ベクター(100ng/well)を、レポータープラスミドp−125(100ng/well)および内部コントロールベクターであるphRL−TK(5ng/well、Promega)と共に、HEK293細胞にトランスフェクションした。レポータープラスミドp−125は、ヒトIFN−βプロモーター(-125〜+19)を含むものであり、東京大学の谷口博士から分与を受けた。また、ヒトTLR3を発現させないコントロール細胞も同時に作製した。トランスフェクションに供するトータルDNA量は、空ベクターを添加することによりいずれも500ng/wellとした。培地には加熱不活化した10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質を含むダルベッコ改変イーグル培地−低グルコース(Invitrogen)を用いた。
【0032】
トランスフェクションから24時間後に、FCSを含まない培地またはFCSを含む培地に交換し、10μg/mLとなるように核酸を添加してさらに6時間培養した。被験核酸として、表2に記載の核酸8、核酸10およびFITC標識した核酸8、核酸8のエンドソーム移行配列、核酸10のエンドソーム移行配列、核酸8および10の二本鎖RNA部分を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Promega)を用いて細胞を溶解し、dual−luciferase reporter assay kit(Promega)を用いてホタルルシフェラーゼ活性およびウミシイタケルシフェラーゼ活性を定量した。ホタルルシフェラーゼ活性は、ウミシイタケルシフェラーゼ活性で標準化し、相対的な誘導強度として表した。なお、すべてのアッセイはトリプリケートで行った。
【0033】
FCSを含まない培地を用いて行った結果を
図1に示した。
図1から明らかなように、TLR3発現細胞に対して核酸8、核酸10を添加した場合、ポリICを添加した場合より強い誘導強度を示した。また、FITC標識は、誘導強度に影響を及ぼさなかった。一方、核酸8のエンドソーム移行配列(図中、核酸8ODN)、核酸10のエンドソーム移行配列(図中、核酸10ODN)、核酸8および10の二本鎖RNA部分(図中、二本鎖RNA)を添加した場合は、効果を示さなかった。この結果から、本願発明の核酸(核酸8、核酸10)は、TLR3を介してIFN−βプロモーターを活性化することが明らかとなった。
【0034】
FCSを含む培地を用いて行った結果を
図2に示した。FCSにはRNaseが混入しているため活性の低下が懸念されたが、多少の低下傾向が認められたものの、
図1に示した結果と同様に、核酸8および核酸10は、TLR3発現細胞のIFN−βプロモーターを活性化した。
【0035】
〔実施例3:移植担癌の退縮効果(1)〕
C57BL/6Jマウスの側腹部皮下にB16メラノーマ細胞(B16D8)を6×10
5cells/200μL移植し、腫瘍の大きさ(縦×横×0.4)を経時的に測定した。細胞移植後12日目に被験物質または対照物質を腹腔内投与し、腫瘍の退縮効果を評価した。なお、B16メラノーマ細胞はMHCクラスI分子を発現していないため、キラーT細胞の活性化が誘導されず、樹状細胞のTLR3を介したシグナルによって増強されたNK細胞の活性によってのみB16メラノーマ腫瘍が退縮する。
【0036】
試験は2回行った。1回目の試験では、被験物質として表2に記載の核酸2および核酸3を用いた。2回目の試験では、被験物質として表2に記載の核酸1、核酸4、ならびに核酸1のエンドソーム移行配列(核酸4のエンドソーム移行配列も同じ)を用いた。両試験とも陰性対照群には蒸留水(DW)を、陽性対照群にはポリICを投与した。核酸の投与量は150μg/匹とした。
【0037】
1回目の試験結果を
図3(a)〜(d)に示した。(a)は蒸留水(DW)投与群(3匹)、(b)はポリIC投与群(2匹)、(c)は核酸2投与群(3匹)、(d)は核酸3投与群(3匹)の結果である。
図3(a)〜(d)から明らかなように、本願発明の核酸(核酸2、核酸3)は、ポリIC投与群と同等の腫瘍退縮効果を示した。
【0038】
2回目の試験結果を
図4(a)〜(e)に示した。(a)は蒸留水(DW)投与群(2匹)、(b)はポリIC投与群(3匹)、(c)は核酸1投与群(3匹)、(d)は核酸2投与群(3匹)、(e)は核酸1のエンドソーム移行配列(核酸1ODN)投与群(3匹)の結果である。
図4(a)〜(e)から明らかなように、本願発明の核酸(核酸1、核酸4)は、ポリIC投与群より劣るものの、蒸留水(DW)投与群と比較して顕著な腫瘍退縮効果を示した。一方、(e)核酸1のエンドソーム移行配列のみの投与では、腫瘍退縮効果は認められなかった。
【0039】
〔実施例4:核酸の合成(2)〕
表3および表4に示す21種類の核酸を、株式会社ジーンデザインまたは筑波技術産業総合研究所に委託して合成した。合成方法は、実施例1と同様である。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
〔実施例5:IFN−βプロモーター活性化〕
レポータープラスミドp−125がトランスフェクションされ、かつヒトTLR3を発現するHEK293細胞、およびレポータープラスミドp−125がトランスフェクションされ、ヒトTLR3を発現しないHEK293細胞を用いて以下の実験を行った(実施例2参照)。
【0043】
(1)二本鎖RNAの長さによるIFN−βプロモーター活性化能の検討
実施例2と同様に、各種ベクターのトランスフェクションから24時間後にFCSを含まない培地に交換し、10μg/mLとなるように被験核酸を添加してさらに6時間培養した。細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Promega)を用いて細胞を溶解し、dual−luciferase reporter assay kit(Promega)を用いて、実施例2と同様にルシフェラーゼ活性を定量した。被験核酸として、表3および表4に記載の核酸11(二本鎖RNA:79塩基対)、核酸12(二本鎖RNA:99塩基対)、核酸13(二本鎖RNA:110塩基対)、核酸14(二本鎖RNA:119塩基対)、核酸19(二本鎖RNA:99塩基対)、核酸20(二本鎖RNA:110塩基対)、核酸21(二本鎖RNA:119塩基対)および核酸22(二本鎖RNA:139塩基対)を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。
【0044】
結果を
図5に示した。
図5から明らかなように、in vitroにおけるTLR3依存的IFN−βプロモーター活性化には、約90塩基対以上の長さの二本鎖RNAが必要であることが示された。
【0045】
(2)エンドソーム移行配列の塩基配列によるIFN−βプロモーター活性化能の検討
実施例2と同様に、各種ベクターのトランスフェクションから24時間後にFCSを含まない培地またはFCSを含む培地に交換し、10μg/mLとなるように被験核酸を添加してさらに6時間培養した。細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Promega)を用いて細胞を溶解し、dual−luciferase reporter assay kit(Promega)を用いて、実施例2と同様にルシフェラーゼ活性を定量した。被験核酸として、表3および表4に記載の核酸16(一本鎖DNAの塩基配列:配列番号4)、核酸22(一本鎖DNAの塩基配列:配列番号2)、核酸26(一本鎖DNAの塩基配列:配列番号11)および核酸27(一本鎖DNAの塩基配列:配列番号14)を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。また、エンドソーム移行配列のみ(配列番号4の一本鎖DNA(図中DNA4)、配列番号11の一本鎖DNA(図中DNA11)、配列番号14の一本鎖DNA(図中DNA14))も使用した。
【0046】
結果を
図6(A)、(B)に示した。(A)はFCSを含む培地を用いた結果、(B)はFCSを含まない培地を用いた結果である。いずれの培地においても、配列番号2のGpCをTpCに変換した一本鎖DNA(配列番号11)を有する核酸26、配列番号4のGpCをCpCに変換した一本鎖DNA(配列番号14)を有する核酸27は、TLR3依存的IFN−βプロモーター活性化能を有することが示された。一方、エンドソーム移行配列(一本鎖DNA)のみではIFN−βプロモーターを活性化させなかった。
【0047】
(3)エンドソーム移行配列の長さによるIFN−βプロモーター活性化能の検討
実施例2と同様に、各種ベクターのトランスフェクションから24時間後にFCSを含まない培地に交換し、10μg/mLとなるように被験核酸を添加してさらに6時間培養した。細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Promega)を用いて細胞を溶解し、dual−luciferase reporter assay kit(Promega)を用いて、実施例2と同様にルシフェラーゼ活性を定量した。被験核酸として、表4に記載の核酸28(一本鎖DNAの長さ:5塩基)、核酸29(一本鎖DNAの長さ:10塩基)、核酸30(一本鎖DNAの長さ:15塩基)、核酸31(一本鎖DNAの長さ:20塩基)および核酸22(一本鎖DNAの長さ:25塩基)を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。
【0048】
結果を
図7に示した。
図7から明らかなように、エンドソーム移行配列(一本鎖DNA)の長さが5塩基でもin vitroにおけるTLR3依存的IFN−βプロモーター活性化能を有するが、エンドソーム移行配列(一本鎖DNA)の長さが15塩基以上であることが好ましく、20塩基以上であることがより好ましいことが示された。
【0049】
(4)RIG−I/MDA5経路によるIFN−βプロモーター活性化能の検討
レポータープラスミドp−125がトランスフェクションされ、かつヒトTLR3を発現しないHEK293細胞(24wellプレート)に、被験核酸を1μg/wellとなるようLipofectamine(Invitrogen)で導入し、FCSを含む培地で24時間培養した。細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Promega)を用いて細胞を溶解し、dual−luciferase reporter assay kit(Promega)を用いて、実施例2と同様にルシフェラーゼ活性を定量した。実験は2回行った。1回目の実験では、被験核酸として、表2および表3に記載の核酸1、核酸2、核酸3、核酸7、核酸11、核酸15、核酸16および核酸17、ならびに配列番号3の一本鎖DNA(図中DNA3)、配列番号5とその相補鎖からなる二本鎖RNA(図中dsRNA5)および配列番号16とその相補鎖からなる二本鎖RNA(図中dsRNA16)を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。2回目の実験では、被験核酸として表4に記載の核酸28(一本鎖DNAの長さ:5塩基)、核酸29(一本鎖DNAの長さ:10塩基)、核酸30(一本鎖DNAの長さ:15塩基)、核酸31(一本鎖DNAの長さ:20塩基)および核酸22(一本鎖DNAの長さ:25塩基)、ならびに配列番号16とその相補鎖からなる二本鎖RNA(図中dsRNA16)を用いた。陽性対照にはポリICを使用した。
【0050】
結果を
図8(A)、(B)に示した。(A)は1回目の実験結果、(B)は2回目の実験結果である。
図8(A)、(B)から明らかなように、二本鎖RNAはRIG−I/MDA5経路活性化するが、5塩基以上のエンドソーム移行配列(一本鎖DNA)が結合した二本鎖RNAは、RIG−I/MDA5経路活性化しないことが明らかとなった。
【0051】
〔実施例6:TICAM−1依存的サイトカイン産生〕
(1)脾臓から単離した樹状細胞(脾臓DC)におけるサイトカイン産生
C57BL/6Jマウス(野生型:WT)およびTICAM−1ノックアウトマウス(TICAM−1 KO、発明者らが作製)からそれぞれ脾臓を摘出し、コラゲナーゼ処理を行った。フィルターを通過させ、溶血後、培地で洗浄し、anti−CD11c microbeadsを用いたMACS system(miltenyi biotech)でCD11c陽性細胞を単離し、脾臓DCとした。
脾臓DCを5×10
5個/500μl培地/ウェルとなるように24ウェルプレートに分注し、被験核酸(50μg/ml)を添加して24時間培養した。培地には、10%FCS、抗生物質、10mM HEPESおよび55μM 2−MEを含有するRPMI1640を使用した。24時間後、培養上精を回収し、IL−6、TNF−αおよびIFN−βの産生量をBD CBA kitを用いて測定した。被験核酸として、表4に記載の核酸23および核酸25を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。
【0052】
結果を
図9(A)、(B)、(C)に示した。(A)はIL−6の結果、(B)はTNF−αの結果、(C)はIFN−βの結果である。核酸23および核酸25で処理した野生型マウス由来の脾臓DCは、いずれのサイトカインも産生したが、核酸23および核酸25で処理したTICAM−1 KOマウス由来の脾臓DCは、いずれのサイトカインもほとんど産生しなかった。この結果から、本発明の核酸は、TICAM−1を介するシグナル伝達で効果を発揮することが示された。
【0053】
(2)骨髄から単離した樹状細胞(BMDC)におけるサイトカイン産生
C57BL/6Jマウス(野生型:WT)およびTICAM−1ノックアウトマウス(TICAM−1 KO)の大腿骨から骨髄液を採取し、溶血後、リコンビナントmurine GM−CSF(final 10ng/ml, Peprotech社)を添加した培養液(RPMI1640/10%FCS/2−ME/HEPES)に懸濁して、1×10
6個/ml/ウェルとなるように24ウェルプレートに分注し、37℃で培養した。2日おきにrmGM−CSF(10ng/ml)を含む新鮮な培養液で培地交換し、6日目に浮遊細胞を回収してBMDCとした。
得られたBMDCを1×10
5個/200μlのAIM無血清培地(GIBCO社)/ウェルとなるように96ウェル丸底プレートに分注し、被験核酸(10μg/ml)を添加して24時間培養した。24時間後、培養上精を回収し、IL−6およびTNF−αの産生量をBD CBA kitを用いて測定した。被験核酸として、表2に記載の核酸1および核酸2を用いた。陽性対照にはポリICを用いた。
【0054】
結果を
図10(A)、(B)に示した。(A)はIL−6の結果、(B)はTNF−αの結果である。TICAM−1 KOマウス由来のBMDCのサイトカイン産生量は、野生型マウス由来のBMDCのサイトカイン産生量より顕著に抑制されていた。この結果から、本発明の核酸は、TICAM−1を介するシグナル伝達で効果を発揮することが示された。
【0055】
〔実施例7:NK活性増強効果〕
C57BL/6Jマウスから脾臓をとりだし、メッシュを用いて破砕し、15mlチューブに回収した。溶血後、培養液で洗浄し、anti−CD49b(DX5)microbeadsを用いたMACS system(miltenyi biotech)でDX5陽性NK細胞を単離した。
実施例6(2)で単離したBMDC(単離から6日目の細胞)を、1×10
5個/200μlのAIM無血清培地(GIBCO社)/ウェルとなるように96ウェル丸底プレートに播種し、被験核酸(10μg/ml)を添加して4時間プレ刺激した。その後、単離した上記NK細胞(DX5陽性細胞)を、2×10
5個/ウェルに調整して24時間37℃にて共培養した。24時間後、培養上清を回収し、IFN−γの産生量をELISA(eBioscience)で測定した。
【0056】
結果を表5に示した。本発明の核酸はBMDCのエンドソームに送達され、TLR3を活性化することを介して、NK細胞を活性化し、IFN−γの産生を亢進させることが示された。
【0057】
【表5】
【0058】
〔実施例8:in vivoサイトカイン産生〕
C57BL/6Jマウス(8〜12週齢、メス)に被験核酸(50μg)を腹腔内投与した。投与1、3、6時間後に麻酔下で採血し、血清中のTNF−α、IL−6、IL−10をBD CBA kitで測定した。被験核酸として、表2に記載の核酸2、表4に記載の核酸22、核酸23を用いた。対照核酸としてエンドソーム移行配列のみ(配列番号1の一本鎖DNA(図中DNA1))を用いた。陽性対照としてポリIC(200μg)を用いた。
【0059】
結果を
図11(A)〜(E)に示した。(A)は核酸2によるTNF−αの結果、(B)は核酸2によるIL−6の結果、(C)は核酸22、核酸23によるTNF−αの結果、(D)は核酸22、核酸23によるIL−6の結果、(E)は核酸22、核酸23によるIL−10の結果である。本発明の核酸は、陽性対照のポリICと比較して、in vivoでのサイトカイン産生量が顕著に少ないことが示された。この結果から、本発明の核酸は、生体に投与した際にサイトカインストーム等の副作用の懸念がなく、安全性が高いと考えられた。
【0060】
〔実施例9:移植担癌の退縮効果(2)〕
(1)B16メラノーマ担癌野生型マウスに対する効果
C57BL/6Jマウスの側腹部皮下にB16メラノーマ細胞(B16D8)を6×10
5cells/200μL移植し、腫瘍の大きさ(縦×横×0.4)を経時的に測定した。細胞移植後12日目に被験物質または対照物質を腹腔内投与し、腫瘍の退縮効果を評価した。被験物質として表4に記載の核酸22を用いた。陰性対照群には蒸留水(DW)を、陽性対照群にはポリICを投与した。核酸の投与量は150μg/匹とした。なお、B16メラノーマ細胞はMHCクラスI分子を発現していないため、キラーT細胞の活性化が誘導されず、樹状細胞のTLR3を介したシグナルによって増強されたNK細胞の活性によってのみB16メラノーマ腫瘍が退縮する。
結果を
図12に示した。
図12から明らかなように、核酸22はポリICと同等の腫瘍退縮効果を示した。
【0061】
(2)EL4担癌野生型マウスに対する効果
C57BL/6Jマウスの側腹部皮下にEL4細胞(マウスリンパ腫細胞)を1×10
6cells/200μL移植し、腫瘍の大きさ(縦×横×0.4)を経時的に測定した。細胞移植後7日目および11日目に被験物質または対照物質を腹腔内投与し、腫瘍の退縮効果を評価した。被験物質として表4に記載の核酸24および核酸25を用いた。陰性対照群には蒸留水(DW)を、陽性対照群にはポリICを投与した。核酸の投与量は200μg/匹とした。なお、EL4担癌マウスは、CTL依存的な抗腫瘍効果を評価する系である。
結果を
図13に示した。
図13から明らかなように、核酸24および核酸25は、いずれもポリICより劣るものの、蒸留水(DW)投与と比較して顕著な腫瘍退縮効果を示した。
【0062】
(3)B16メラノーマ担癌TICAM−1 KOマウスに対する効果
C57BL/6Jマウス(野生型:WT)およびTICAM−1ノックアウトマウス(TICAM−1 KO)の側腹部皮下にそれぞれB16メラノーマ細胞(B16D8)を6×10
5cells/200μL移植し、腫瘍の大きさ(縦×横×0.4)を経時的に測定した。細胞移植後11日目に被験物質または対照物質を腹腔内投与し、腫瘍の退縮効果を評価した。被験物質として表4に記載の核酸25を用いた。対照物質として蒸留水(DW)を投与した。核酸の投与量は250μg/匹とした。
結果を
図14(A)、(B)に示した。(A)は野生型マウスの結果、(B)はTICAM−1 KOマウスの結果である。核酸25は、野生型マウスにおいて蒸留水(DW)投与と比較して顕著な腫瘍退縮効果を示したが、TICAM−1 KOマウスにおいては、腫瘍退縮効果を示さなかった。この結果から、本発明の核酸は、TICAM−1を介するシグナル伝達で効果を発揮することが示された。
【0063】
(4)in vivo jetPEIを用いた核酸投与による移植担癌退縮効果
in vivo jetPEI(フナコシ)はin vivo用のトランスフェクション試薬である。これを用いて、本発明の核酸を腫瘍近傍に皮下投与して移植担癌退縮効果を評価した。
C57BL/6Jマウスの側腹部皮下にB16メラノーマ細胞(B16D8)を6×10
5cells/200μL移植し、腫瘍の大きさ(縦×横×0.4)を経時的に測定した。細胞移植後12日目に被験物質または対照物質を皮下投与し、腫瘍の退縮効果を評価した。被験物質として表4に記載の核酸25を用いた。陰性対照群には蒸留水(DW)を、陽性対照群にはポリICを投与した。核酸の投与量は50μg/匹とした。核酸投与用の溶液は、以下のとおり調製した。A液(10%グルコース:50μl、核酸(50μg)、DW(DNase, RNase-free, Ambion)を加えて100μlとする)およびB液(10%グルコース:50μl、DW(DNase, RNase-free, Ambion):43μl、in vivo jetPEI:7μl)を調製し、A液とB液を混合してゆるやかに撹拌後、室温で15分インキュベートした。得られた核酸溶液を腫瘍近傍2カ所に100μlずつ皮下投与した。
結果を
図15に示した。
図15から明らかなように、核酸25はポリICより劣るものの、蒸留水(DW)投与と比較して顕著な腫瘍退縮効果を示した。
【0064】
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。