特許第5871272号(P5871272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5871272-容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871272
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20160216BHJP
【FI】
   A23L1/22 D
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-84248(P2012-84248)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-212078(P2013-212078A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125542
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 朋子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵美子
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−346744(JP,A)
【文献】 特開2012−039902(JP,A)
【文献】 特開昭58−116652(JP,A)
【文献】 特開昭53−127898(JP,A)
【文献】 特公昭43−006961(JP,B1)
【文献】 国際公開第2013/021708(WO,A1)
【文献】 特開2013−017424(JP,A)
【文献】 特開2013−141420(JP,A)
【文献】 特開2011−188875(JP,A)
【文献】 特開昭62−253359(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0280230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と、原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物を調製し、これに調味用食用油を添加して、該呈味組成物の外周面に透明な食用油層を形成し、水分含量が5質量%以下の醤油含有呈味組成物を得ることを特徴とする容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法。
【請求項2】
原料表面被覆用食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物が、横軸Xを「原料表面被覆用食用油/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とし、縦軸Yを「粉末調味料/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とした場合に、(X,Y)が、(6.3,5.0)、(9.4,25.0)、(12.5,50)、(18.8,87.5)、(25.0,95.0)、(37.5,95.0)、(37.5,12.5)、(43.8,5.0)で示される点を順番に実線で結んだ枠内で示される範囲となるように、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料及び原料表面被覆用食用油を均一に混和したものであることを特徴とする請求項1に記載の容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器への充填性、作業性を損なうことなく、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と食用油とを原料として、水分含量が5質量%以下の、容器詰め醤油含有呈味組成物を得る方法に関する。
【0002】
従来、食用油に固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料を混和させた、水分含量が5質量%以下のオイルベースたれ(フリーズドライしょうゆミックス、キッコーマン社製)が知られている。
【0003】
このオイルベースたれは、様々な料理、例えば、サラダ、ゆで野菜、ごはん、豆腐、餃子、パスタ、炒めものなどに、のせて、かけて、あえて、好適に用いられ、またそのまま食べたりすることもでき、フリーズドライ醤油の食感や旨さを楽しむことができる特徴を有する。
【0004】
しかし、食用油に固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料を混ぜるときは、該食用油中において該原料の沈降・浮上が顕著であるため、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と食用油とを同一容器に充填して容器詰めするためには、(1)3種類の原料と食用油とを計量混和した後、高速で攪拌、同時に充填する方法及び(2)3種類の原料の均質混和物と食用油とをそれぞれ調製し、包装容器内にいずれか一方を先に定量充填後、後から他方を定量充填する方法が一般的であった。
【0005】
しかし、(1)の方法は、作業性は良いが、撹拌で固体状醤油の形状がくずれ、商品価値を損なう欠点があり、(2)の方法は充填性が悪い欠点を有する。すなわち、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料は、それぞれ大きさ、形状、嵩比重及び性状が大きく異なるため、それらの均質混和物を調製しても、それをホッパー(原料保持タンク)に投入し充填ノズルを介して包装容器内に定量供給(充填)する操作を行うと、運転時間の経過と共に、ホッパー内で各原料が少しずつ流動して不規則的に浮沈し、均質混和物の組成が次第に変化し、初発と最終とで変化する欠点を有する。この欠点を解消するため、3種類の原料をそれぞれ少量ずつ計量して均質混和物を得、これに食用油を混ぜる方法が行われているが、その作業は、煩雑で、作業性が悪い欠点を有する。
一方、バターなどの乳化食品に、粉末醤油の芳醇な香味を付与した和風のスプレッドや和風の味付け用調味料(特許文献1参照)が提案されているが、粉末醤油は元来、歯触り(食感)というものがなく、粉末醤油の食感を味わうことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−5162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記欠点を解決し、包装容器への充填性とその作業性が良く、かつ商品価値を損なうことなく、包装容器内へ固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と、食用油とを特定の組成比で充填することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物を調製し、これに調味用食用油を添加して、該呈味組成物の外周面に透明な食用油層を形成し、水分含量が5質量%以下の醤油含有呈味組成物を得ることを特徴とする。
【0009】
かかる第1の態様では、包装容器への充填性とその作業性が良く、かつ商品価値を損なうことなく、包装容器内へ固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と、食用油とを特定の組成比で充填することができる。また固体状醤油と乾燥具材がもつサクサクとした食感と、醤油の香ばしさと醤油以外の乾燥具材がもつ風味を味わうことができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法において、原料表面被覆用食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物が、横軸Xを「原料表面被覆用食用油/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とし、縦軸Yを「粉末調味料/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とした場合に、(X,Y)が、図1の枠内で示される範囲となるように、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料及び原料表面被覆用食用油を均一に混和したものであることを特徴とする。
【0011】
かかる第2の態様では、原料表面被覆用食用油を介して、固体状醤油、乾燥具材及び粉末調味料が絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物を確実に得ることができる。
その結果、醤油含有呈味組成物を包装容器詰めする際、該固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と食用油とをそれぞれ少しずつ計量、混和する煩雑な手作業を廃止することが可能となり、簡単な手段で原料組成が常に一定な、容器詰め醤油含有呈味組成物を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記第1及び第2の態様によれば、包装容器への充填性とその作業性が良く、かつ商品価値を損なうことなく、包装容器内へ固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料の組成が常に一定な原料集合体と食用油とを充填し、水分含量が全体として5質量%以下の容器詰め醤油含有呈味組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の醤油含有呈味組成物の製造法において、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ食用油が分離しない呈味組成物の成立条件を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
先ず、本発明で用いられる固体状醤油は、粒径1mm以上10mm以下であることが好ましい。このような固体状醤油を用いることで、よりサクサクとした食感にすることができる。なお、固体状醤油の粒径が10mmより大きいと粒が大きすぎて食感が悪くなるおそれがあり、反対に0.2mm以上1mm未満であると、ざらざらとした食感となるおそれがある。なお、0.2mm未満であると、食感が感じられなくなる。
【0015】
本発明で用いられる固体状醤油は、容器詰め醤油含有呈味組成物の全体に対し1.1質量%以上30質量%未満、好ましくは5質量%以上25質量%以下が好ましい。
【0016】
この使用量によれば、固体状醤油がもつサクサクとした食感が維持され、醤油の香ばしさを有する醤油含有呈味組成物が提供される。
【0017】
本発明で用いられる固体状醤油とは、原料醤油に賦形剤等を混和し、これをフリーズドライ法(凍結乾燥法)、ドラムドライ法、減圧乾燥等により固体状にした後、シート状、フレーク状、チップ状、塊状又は顆粒状に整形、整粒、適当な大きさにカット又は砕く等して得られた醤油を言う。このうち、フリーズドライにより得られた醤油が食感ばかりでなく風味も良好であるので好ましい。
【0018】
固体状醤油の原料醤油としては、通常の醤油単独でもよいが、これに醤油諸味を混和したものがより好ましい。
醤油諸味が賦形剤の機能を発揮するので、賦形剤の比率を低減することができ、賦形剤を多量に使用することによる風味の低下が抑えられるので好ましい。
【0019】
通常の醤油としては、特に限定されないが、例えば、その用途に応じ、濃口醤油、淡口醤油、白醤油、溜醤油、再仕込醤油、それらの減塩タイプ、うす塩タイプの醤油を用いることができる。
【0020】
醤油諸味は、通常の醤油の製造法に従って得られる醤油の熟成諸味、又はこの諸味を磨砕するか、又は磨砕後さらに適当な目開きの篩、或いはパルパー・フィニッシャー等を使用して、大豆や小麦由来の不溶性固形分(例えば小麦外皮)等を濾去して得られたものが好ましい。
【0021】
前記固体状醤油の原料醤油は、食塩、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系調味料、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸系調味料、みりん、清酒、ワイン等の酒類、香辛料等を含んでいてもよい。
上記調味料、酒類、香辛料等を含めることで、より風味豊かな醤油含有呈味組成物が提供される。
【0022】
固体状醤油の製造に際し、添加される賦形剤は、特に限定されないが、例えば各種澱粉、デキストリン、ゼラチン、アラビアガム等を用いることができる。
【0023】
固体状醤油としては、上記の製造法により得られるものの他に、醤油と賦形剤と油脂とを混和し、減圧乾燥して顆粒化した顆粒醤油を用いることもできる(特許文献1参照)。
【0024】
乾燥具材としては、乾燥した胡麻、ナッツ、フライドガーリック、フライドオニオン、パン粉、粒状植物性たん白、生姜等の薬味、玉ねぎ、トマト等を乾燥させた乾燥野菜、ゆず、レモン、梅などを乾燥させた乾燥果実及び削り節からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
この乾燥具材は、乾燥具材の食感(歯ごたえ)が感じられる粒径1mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0025】
粉末調味料としては、粉末状の、醤油、魚醤、砂糖、グラニュー糖、食塩、味噌、蛋白加水分解物、酵母エキス、魚介エキス等の天然調味料、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の化学調味料、アミノ酸、チキン、ビーフ、ポーク等の粉末ブイヨン、胡椒、唐辛子、ベイリーフ及びカレー粉等の香辛料、トマト、たまねぎ、ねぎ等を乾燥粉末化した粉末野菜、ゆず、レモン、梅などを乾燥粉末化させた粉末果実及び節粉からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
この粉末調味料は、食する際に撹拌したとき、均一に分散できる粒径1mm未満であるものが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる食用油は、常温下で液状であり食用可能な油脂である。
食用油としては、大豆油、落花生油、菜種油等の植物油脂や、これらの植物油脂のサラダ油を用いることができる。
【0027】
また、食用油として、他に香辛料や香味野菜に含まれる香味成分や色素類等を植物油脂に移行させた香味油を用いることができる。
また、これら植物油脂、サラダ油及び香味油のうちの二種以上を混合したものを用いることもできる。
【0028】
本発明を実施するには、先ず固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ油が分離しない呈味組成物を調製する。ここで、原料表面被覆用食用油とは、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料がそれぞれ絡み合い且つ食用油が分離しない呈味組成物を得るために用いられる食用油のことをいう。
【0029】
このことは極めて重要であって、原料表面被覆用食用油が原料が絡み合い且つ油が分離しない量より少なすぎるときは固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料及び該食用油を均一に混和しても、相互に原料が絡み合わず分離する欠点を有する。
【0030】
反対に、原料表面被覆用食用油が、原料が絡み合い且つ油が分離しない量より多すぎるときは固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料及び該食用油を均一に混和すると、食用油中で、各原料が不均一に流動し、沈降又は浮上により均一組成物とすることができない。
【0031】
これに対し、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ油が分離しない呈味組成物とするときは、該食用油を介して各原料が相互に密着するので、該呈味組成物中での各原料の流動を防止し、沈降又は浮上を完全に停止することができる。なお、均一に混和するにあたっては、固体状醤油は、非常に壊れ易く(脆く)、形状が損なわれ易いので、原料の形状を損なわないようにゆっくりと均一に撹拌することが好ましい。
【0032】
そして、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ油が分離しない呈味組成物を調製するに当り、横軸Xを「原料被覆用食用油/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とし、縦軸Yを「粉末調味料/(固体状醤油+乾燥具材+粉末調味料)(質量%)」とした場合に、(X,Y)が、(6.3,5.0)、(9.4,25.0)、(12.5,50)、(18.8、87.5)、(25.0,95.0)、(37.5,95.0)、(37.5,12.5)、(43.8,5.0)で示される枠内で、前記4つの原料を混和することが好ましい。この条件を採用するときは、原料表面被覆用食用油を介して各原料が相互に絡み合うので、該呈味組成物中での各原料が流動し、沈降又は浮上することを完全に防止することができる。
【0033】
次いで、この呈味組成物に調味用食用油を添加して、該呈味組成物の外周面に透明な食用油の層を形成し、水分含量が5質量%以下の醤油含有呈味組成物を得る。ここで、調味用食用油とは、該呈味組成物の外周面に透明な食用油の層を形成させるために用いられる食用油のことをいう。
【0034】
醤油含有呈味組成物の水分は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。ここでいう水分は、固形状醤油、乾燥具材、粉末調味料及び食用油等の原料由来の水分を含む。すなわち、原料由来の水分と、必要により添加する水分とを合計した水分が、醤油含有呈味組成物の全体に対して5質量%以下とする。このように水分を5質量%以下とすると、それぞれの原料が容器詰め後に吸水膨潤又は軟化しないので、それぞれの原料が原形を保持し、サクサクとした食感を維持することができ、また、食用油が濁ることなく、具材の存在感を楽しめるという特徴を有する。
【0035】
醤油含有呈味組成物の水分が5質量%を超えると、固体状醤油が吸水膨潤又は軟化し(溶融して)、ペースト状やダマになり、サクサクとした食感が損なわれるおそれがある。また、溶融溶出した成分により食用油の透明性が次第に損なわれるおそれがあるので好ましくない。
【0036】
醤油含有呈味組成物の全体に対する上記原料の好ましい配合比(質量%)を以下に示す。なお、各原料の配合割合は、全体として100%となるように調製する。
(配合比)
固体状醤油 1.1%以上30%未満
乾燥具材 2.5%以上70%未満
粉末調味料 3%以上75%未満
食用油 2%以上80%未満
【0037】
以下実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0038】
(フリーズドライ醤油の製造)
食用油として菜種サラダ油を、また固体状醤油としてフリーズドライ醤油を用いた。
【0039】
フリーズドライ醤油の原料として、通常の濃口醤油の醸造法により得られた濃口醤油、醤油諸味、賦形剤として市販の澱粉を用いた。
濃口醤油は50質量%、醤油諸味は50質量%とした。澱粉は醤油及び醤油諸味の合計量に対して10質量%とした。これらの原料を混和したものを、マイナス40℃、0.1Torr減圧下で凍結乾燥させることによりフリーズドライ醤油を製造した。
【0040】
このように製造したフリーズドライ醤油を、所定の粒径に粉砕した。
そして、目開きがそれぞれ3.36mm及び5mmである網状の篩にフリーズドライ醤油を載せて振動させ、5mmの篩を通過するが3.36mmの篩は通過せずに篩の上に残ったものに分級した。こうして、3.36mmオン〜5mmパス(3.36mm以上5mm未満)のフリーズドライ醤油を得た。
【0041】
(原料表面被覆用食用油を介して原料同士が絡み合い且つ該食用油が分離しない呈味組成物の調製)
表1に記載の如き、区分Aの固体状醤油(フリーズドライ醤油の製造で調製した3.36mm以上5mm未満のフリーズドライ醤油)と、区分Bの乾燥具材(表1参照)と、区分Cの粉末調味料(表1参照)と、区分D−1の食用油(原料表面被覆用)(表1参照)とを、それぞれ原料の形状を損なわないようにゆっくりと均一に撹拌して、呈味組成物を得た。
【0042】
この組成物は、肉眼で観察したところ、原料被覆用食用油を介してそれぞれが絡み合った組成物であることが確認できた。
また、該組成物を目開き0.85mmの金網に載せふるったところ、金網の下に粉の分離がないことを確認した。また、油の分離滴下がないことも確認した。
この呈味組成物は、その3kgをステンレス製半球体容器に入れ、24時間15℃の冷蔵庫に保管しても、流動性はないため、入れたままの状態を保持していることが確認された。すなわち、呈味組成物は、組成が均一に保持されることが確認された。
【0043】
次いで、この組成物44gを計量採取し、包装容器(胴径58mm、高さ78mm、容量140mlの円筒状ガラス容器)に充填し、次いで、区分D−2の菜種サラダ油(調味用)66gを静かに充填して、混和することなくそのままとし、呈味組成物の外周面に透明油層を形成し、容器詰め醤油含有呈味組成物を得た。
なお、この醤油含有呈味組成物50gを目開き0.85mmの金網にのせ、食用油を分離した後、残渣を磨砕し、減圧乾燥減量法(60℃、3時間)を用いて、残渣の水分含量を測定した。その結果、該醤油含有呈味組成物の水分含量は0.8%であった。
【0044】
この醤油含有呈味組成物を室内に置き、三ヶ月間保存し、肉眼で観察した結果、容器底部に固形醤油及び乾燥具材の均一分散集合体が、そしてその周りに透明な食用油層が形成され、その食用油は浮遊性固形物が殆どなく無色透明であることが確認された。
この醤油含有呈味組成物は、容器を開封後清潔なスプーンでよく混ぜ、具材と共に適量掬って食したところ、フリーズドライ醤油がもつサクサクとした食感を維持しつつ、醤油の香ばしさと旨味を有する嗜好食品として好適なものであった。
【0045】
【表1】
【0046】
(本発明の醤油含有呈味組成物の製造法において、固体状醤油、乾燥具材、粉末調味料と原料表面被覆用食用油とを均一に混和し、該食用油を介してそれぞれが絡み合い且つ油が分離しない呈味組成物の成立条件の検討)
表2に記載の配合割合にて、区分Aの固体状醤油と区分Bの乾燥具材とを混和し、次いで表2記載の配合割合にて、さらに区分Cの粉末調味料を混和した。次いで、該混和物32重量部にD−1区分の菜種サラダ油を0〜16質量部を混和し、表3記載の如き呈味組成物を得た。
次いで前記呈味組成物のそれぞれ原料の接合状態を観察し、また該呈味組成物を目開き0.85mmの金網で篩ったときの粉の分離の有無を測定した。同金網の上に該呈味組成物を載せ、5分間放置後、油の滴下の有無を測定した。
結果を表3に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表3の結果を基に、呈味組成物を構成する成分が互いに絡み合い、且つ原料表面被覆用食用油が分離しない条件を求めたところ、横軸Xを「D−1原料表面被覆用食用油/(A固体状醤油+B乾燥具材+C粉末調味料)(質量%)」とし、縦軸Yを「C粉末調味料/(A固体状醤油+B乾燥具材+C粉末調味料)(質量%)」とした場合に、(X,Y)が、(6.3,5.0)、(9.4,25.0)、(12.5,50)、(18.8、87.5)、(25.0,95.0)、(37.5,95.0)、(37.5,12.5)、(43.8,5.0)で示される枠内であることが判明した。
【0050】
(本発明で得られる醤油含有呈味組成物の水分含量の影響について検討)
本発明で得られる醤油含有呈味組成物の水分含量と、食感との関係について比較検討した。
その結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4の比較例1及び2の結果から、水分含量が5質量%を超えると、固体状醤油及び乾燥具材が吸水膨潤又は軟化し(溶融して)、サクサクとした食感が損なわれることが判る。
これに対し、試験例1〜3の結果から、水分を5質量%以下とすると、それぞれの原料が容器詰め後に吸水膨潤又は軟化しないので、それぞれの原料が原形を保持し、サクサクとした食感を維持することができ、透明な食用油を介して原料を目視できることが判る。
【実施例2】
【0053】
実施例1の容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法において、表5に記載の如き原料を用いる以外は、全く同様にして、容器詰め醤油含有呈味組成物を得た。表5の配合により得られた呈味組成物は、肉眼で観察したところ、原料被覆用食用油を介してそれぞれが絡み合った均一な組成物であることが確認できた。また、この醤油含有呈味組成物は、それぞれの原料が原形を保持し、サクサクとした食感が感じられるとともに、透明な食用油を介して原料が目視でき、その水分含量は2.4%であった。
【0054】
【表5】
【実施例3】
【0055】
実施例1の容器詰め醤油含有呈味組成物の製造法において、表6に記載の如き原料を用いる以外は、全く同様にして、容器詰め醤油含有呈味組成物を得た。表6の配合により得られた呈味組成物は、肉眼で観察したところ、原料被覆用食用油を介してそれぞれが絡み合った均一な組成物であることが確認できた。また、この醤油含有呈味組成物は、それぞれの原料が原形を保持し、サクサクとした食感が感じられるとともに、透明な食用油を介して原料が目視でき、その水分含量は1.8%であった。
【0056】
【表6】
図1