【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明による課題を解決するための手段を、括弧を付した図面参照符号と共に説明する。
本発明による測定方法は、試料ガス(G)中の測定対象金属元素(M)を検出する分析装置(7)から出力される検出信号の強度に基づき、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度を求めるものである。
本発明による測定用演算式決定方法は、試料ガス(G)中の測定対象金属元素(M)を検出する分析装置(7)から出力される検出信号の強度に基づき、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度を算出するための演算式を決定するものである。
【0009】
本発明による測定方法および測定用演算式決定方法は、前記測定対象金属元素(M)が既知濃度で溶解された標準溶液(
LM )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている標準試料ガス(
GM )を生成する工程と、前記測定対象金属元素(M)とは異なる指標用金属元素(S)が既知濃度で溶解された指標溶液(
LS )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている指標ガス(
GS )を生成する工程と、前記指標溶液(
LS )における既知濃度よりも低い既知濃度で前記指標用金属元素(S)が溶解された標準指標溶液(λ
S )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている標準指標ガス(γ
S )を生成する工程と、前記分析装置(7)に前記標準試料ガス(
GM )を一定体積流量で導入することで、前記測定対象金属元素(M)の検出信号の単位時間当たり強度を測定する工程と、前記分析装置(7)に前記標準指標ガス(γ
S )を前記一定体積流量で導入することで、前記指標用金属元素(S)の検出信号の単位時間当たり強度を測定する工程と、前記指標ガス(
GS )を前記一定体積流量で設定時間だけフィルタ(13)に導入して通過させることで、前記指標用金属元素(S)を前記フィルタ(13)により捕集する工程と、捕集された前記指標用金属元素(S)を設定容量の溶媒中に溶解させることで捕集溶液(
LS ′)を生成する工程と、前記捕集溶液(
LS ′)から生成された微粒子が、ガス中に分散されている捕集ガス(
GS ′)を生成する工程と、前記分析装置(7)に前記捕集ガス(
GS ′)を前記一定体積流量で導入することで、前記指標用金属元素(S)の検出信号の単位時間当たり強度を測定する工程とを備える。
これにより、前記標準溶液(
LM )における測定対象金属元素(M)の既知濃度をd
M 、前記指標溶液(
LS )における指標用金属元素(S)の既知濃度をd
S 、前記標準指標溶液(λ
S )における指標用金属元素(S)の既知濃度をδ
S 、前記標準試料ガス(
GM )中の前記測定対象金属元素(M)の単位時間当たり検出信号強度をc
M 、前記標準指標ガス(γ
S )中の前記指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度をe
S 、前記捕集ガス(
GS ′)中の前記指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度をf
S 、前記溶媒の設定容量をv、前記フィルタ(13)への前記指標ガス(
GS )の導入設定時間をt、前記分析装置(7)へ前記試料ガス(G)を導入する際の導入時間をx、導入体積流量をy、その導入により前記分析装置(7)から出力される前記測定対象金属元素(M)の検出信号の積算強度をz
M 、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度をW
M として、(W
M ×x×y)/{δ
S ×(f
S /e
S )×(v/t)×(d
M /d
S )}=z
M /c
M の関係から、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度W
M を算出可能である。
また、(W
M ×x×y)/{δ
S ×(f
S /e
S )×(v/t)×(d
M /d
S )}=z
M /c
M で表される関係式に、前記検出信号強度c
M 、e
S 、f
S 、前記既知濃度d
M 、d
S 、δ
S 、前記設定時間t、および前記設定容量vを代入することで、前記導入時間x、前記導入体積流量y、および前記検出信号積算強度z
M から、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度W
M を算出するための演算式を求めることができる。
この構成により試料ガス(G)における測定対象金属元素(M)の濃度W
M を求めることができるのは以下の知見による。
【0010】
すなわち、分析装置への試料ガス(G)中の測定対象金属元素(M)の導入質量はW
M ×x×yにより表され、この導入質量W
M ×x×yは、分析装置から出力される試料ガス(G)中の測定対象金属元素(M)の検出信号の積算強度z
M に比例する。
分析装置への標準試料ガス(
GM )中の測定対象金属元素(M)の単位時間当たりの導入質量をQ
M とすれば、この単位時間当たりの導入質量Q
M は、分析装置から出力される標準試料ガス(
GM )中の測定対象金属元素(M)の検出信号の単位時間当たり強度c
M に比例する。
その測定対象金属元素(M)の導入質量W
M ×x×yと単位時間当たりの導入質量Q
M との比は、測定対象金属元素(M)の検出信号の積算強度z
M と検出信号の単位時間当たりの強度c
M との比に等しくなる。よって、以下の関係式(1)が成立する。
(W
M ×x×y)/Q
M =z
M /c
M …(1)
【0011】
フィルタへの指標ガス(
GS )中の指標用金属元素(S)の単位時間当たりの導入質量をR
S 、捕集溶液(
LS ′)における指標用金属元素(S)の濃度をg
S とすれば、この単位時間当たりの導入質量R
S はg
S ×v/tにより表される。
また、標準試料ガス(
GM )を生成するために用いられる標準溶液(
LM )中の測定対象金属元素(M)の既知濃度はd
M 、指標ガス(
GS )を生成するために用いられる指標溶液(
LS )中の指標用金属元素(S)の既知濃度はd
S であるので、分析装置への標準試料ガス(
GM )中の測定対象金属元素(M)の単位時間当たりの導入質量Q
M とフィルタへの指標ガス(
GS )中の指標用金属元素(S)の単位時間当たりの導入質量R
S との比は、d
M /d
S となる。
よって、以下の関係式(2)が成立する。
Q
M =R
S ×(d
M /d
S )=g
S ×(v/t)×(d
M /d
S )…(2)
【0012】
分析装置への標準指標ガス(γ
S )中の指標用金属元素(S)の単位時間当たりの導入質量は、標準指標溶液(λ
S )における指標用金属元素(S)の既知濃度δ
S と、分析装置から出力される標準指標ガス(γ
S )中の指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度e
S に比例する。
分析装置への捕集ガス(
GS ′)中の指標用金属元素(S)の単位時間当たりの導入質量は、捕集溶液(
LS ′)における指標用金属元素(S)の濃度g
S と、分析装置から出力される捕集ガス(
GS ′)中の指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度f
S に比例する。
分析装置への標準指標ガス(γ
S )の導入体積流量と、分析装置への捕集ガス(
GS ′)の導入体積流量とは、一定で互いに等しくされている。
よって、標準指標溶液(λ
S )における指標用金属元素(S)の既知濃度δ
S と捕集溶液(
LS ′)における指標用金属元素(S)の濃度g
S との比は、標準指標ガス(γ
S )中の指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度e
S と捕集ガス(
GS ′)中の指標用金属元素(S)の単位時間当たり検出信号強度f
S との比に等しくなる。これにより、以下の関係式(3)が成立する。
g
S /
δS =f
S /e
S …(3)
上記式(1)〜(3)から、試料ガス(G)における測定対象金属元素(M)の濃度W
M を求めるための以下の関係式(4)が成立する。
(W
M ×x×y)/{δ
S ×(f
S /e
S )×(v/t)×(d
M /d
S )}=z
M /c
M …(4)
【0013】
上記構成によれば、試料ガス(G)における測定対象金属元素(M)の濃度W
M を求め
ることができる。その際、指標ガス(
GS )における指標用金属元素(S)をフィルタに通気して捕集することで捕集効率を高めることができ、これにより、捕集時間を短縮できると共に捕集量の変動を防止して測定精度を高めることができる。
さらに、上記構成によれば、標準試料ガス(
GM )中の測定対象金属元素(M)の濃度ではなく、指標ガス(
GS )中の指標用金属元素(S)の濃度に基づき、測定対象金属元素(M)の濃度W
M を求めるための関係式を求めることができる。これにより、標準溶液(
LM )における測定対象金属元素(M)の既知濃度d
M よりも指標溶液(
LS )における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S を高くすることで、指標用金属元素(S)をフィルタにより捕集するのに要する時間を短縮できる。
しかも、標準指標溶液(λ
S )における指標用金属元素(S)の既知濃度δ
S は、指標溶液(
LS )における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S よりも低いので、濃度測定精度を向上できる。すなわち、フィルタ13により捕集される指標用金属元素(S)は指標溶液(
LS )における指標用金属元素(S)の一部であり、また、捕集溶液(
LS ′)における溶媒量は現実に操作を実行する上では一定以上とする必要がある。そのため、捕集溶液(
LS ′)における指標用金属元素(S)の濃度g
S は、指標溶液(
LS )における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S よりも低くなる。特に既知濃度d
S を高くして指標用金属元素(S)をフィルタにより捕集するのに要する時間を短縮する場合、例えば濃度g
S は既知濃度d
S の1/1000になることもある。よって、既知濃度δ
S を既知濃度d
S よりも低くすることで濃度g
S と既知濃度δ
S との差を低減できるので、g
S /δ
S の値が極端に小さな値になるのを防止し、上記関係式(3)から捕集溶液(
LS ′)の濃度g
S を精度良く求めることができ、ひいては関係式(4)により試料ガス(G)における測定対象金属元素(M)の濃度W
M を精度良く求めることができる。前記指標溶
液における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S が、前記標準指標溶液(λ
S )における指標用金属元素(S)の既知濃度δ
S の10〜1000倍であるのが、濃度測定精度を向上して迅速に測定を行う上で好ましい。
【0014】
前記測定対象金属元素(M)とも前記指標用金属元素(S)とも異なる補償用金属元素(N)を一定濃度で含む補償ガス(
GN )を生成する工程と、前記分析装置(7)へ前記標準試料ガス(
GM )を導入する際に、同時に、前記補償ガス(
GN )を前記分析装置(7)へ導入することで、前記補償用金属元素(N)の検出信号の単位時間当たり強度を測定する工程と、前記分析装置(7)へ前記試料ガス(G)を導入する際に、同時に、前記補償ガス(G
N )を前記分析装置(7)へ導入することで、前記補償用金属元素(N)の検出信号の単位時間当たり強度を測定する工程とを備え、前記補償用金属元素(N)の前記分析装置(7)への単位時間当たり導入量が、前記標準試料ガス(
GM )と同時に導入される時と前記試料ガス(G)と同時に導入される時とで互いに等しく一定となるように、前記分析装置(7)への前記補償ガス(
GN )の導入体積流量を設定するのが好ましい。
これにより、前記標準試料ガス(
GM )と同時に前記分析装置(7)へ導入された前記補償ガス(
GN )の中の前記補償用金属元素(N)の単位時間当たり検出信号強度をc
N 、前記試料ガス(G)と同時に前記分析装置(7)へ導入された前記補償ガス(G
N )の中の前記補償用金属元素(N)の単位時間当たり検出信号強度をc
N ′、前記積算強度z
M の補正値である補正積算強度をz
M ′として、z
M ′=z
M ×c
N /c
N ′の関係から求められる前記補正積算強度z
M ′を、前記積算強度z
M に代えて用いることで、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度W
M を算出可能である。
【0015】
すなわち、前記補償用金属元素(N)の分析装置(7)への単位時間当たり導入量が、標準試料ガス(
GM )と同時に導入される時と、試料ガス(G)と同時に導入される時とで互いに等しく一定である場合は、分析装置(7)の出力が変動しなければ、標準試料ガス(
GM )と同時に導入される時の補償用金属元素(N)の単位時間当たり検出信号強度c
N と、試料ガス(G)と同時に分析装置(7)へ導入される時の補償用金属元素(N)の単位時間当たり検出信号強度c
N ′とは互いに等しくなる。
しかし現実には、分析装置(7)の出力は外乱等により変動する。この場合、試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度W
M を上記関係式(4)から求める際に、積算強度z
M に代えて、以下の関係式(5)により求めた補正積算強度z
M ′を用いることで、分析装置(7)の出力の変動を相殺できる。
z
M ′=z
M ×c
N /c
N ′…(5)
すなわち、z
M ′=z
M ×c
N /c
N ′で表される関係式に、前記検出信号強度c
N を代入
することで、前記検出信号積算強度z
M および前記検出信号強度c
N ′から前記補正積算強度z
M ′を算出するための演算式を求め、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度W
M を算出するための前記演算式において、前記積算強度z
M に代えて算出された
前記補正積算強度z
M ′を用いる。
【0016】
本発明による測定用演算式決定方法により求められる関係式(4)に対応する前記演算式を用い、前記試料ガス(G)の前記測定対象金属元素(M)の濃度を求めるための測定システムは、移動体(30、30′)と、前記移動体(30、30′)に搭載される吸引ノズル(31b)を有すると共に、前記移動体(30、30′)の周囲雰囲気を前記試料ガス(G)として吸引する吸引手段(31)と、
前記関係式(4)に対応する前記演算式、前記導入時間x及び前記導入体積流量yを記憶する演算装置(8)とを備え、前記試料ガス(G)が前記分析装置(7)に導入されるように、前記吸引手段(31)は前記分析装置(7)に接続され、前記演算装置(8)において前記測定対象金属元素(M)の検出信号から前記積算強度z
M が演算されるように、前記分析装置(7)と前記演算装置(8)が接続され、前記演算装置(8)により
前記積算強度zM 、前記導入時間x、前記導入体積流量yが代入された前記演算式から前記測定対象金属元素Mの濃度W
M が算出されることを特徴とする。
【0017】
前記積算強度z
M に代えて算出された
前記補正積算強度z
M ′を用いる場合、本発明による測定用演算式決定方法により求められる前記演算式を用い、前記試料ガス(G)の前記測定対象金属元素(M)の濃度を求めるための測定システムは、移動体(30、30′)と、前記移動体(30、30′)に搭載される吸引ノズル(31b)を有すると共に、前記移動体(30、30′)の周囲雰囲気を前記試料ガス(G)として吸引する吸引手段(31)と、
前記関係式(4)に対応する前記演算式、
前記関係式(5)に対応する前記演算式、前記導入時間x及び前記導入体積流量yを記憶する演算装置(8)と、前記分析装置(7)へ前記試料ガス(G)を導入する際に、同時に、前記補償ガス(G
N )を前記分析装置(7)へ導入する補償ガス導入手段(32)と、前記補償用金属元素(N)の前記分析装置(7)への単位時間当たり導入量が、前記標準試料ガス(
GM )と同時に導入される時と前記試料ガス(G)と同時に導入される時とで互いに等しく一定となるように、前記分析装置(7)への前記補償ガス(G
N )の導入体積流量を設定する流量設定手段(33)とを備え、前記試料ガス(G)が前記分析装置(7)に導入されるように、前記吸引手段(31)は前記分析装置(7)に接続され、前記演算装置(8)において前記測定対象金属元素(M)と前記補償用金属元素(N)の検出信号から前記積算強度z
M と前記検出信号強度c
N ′が演算されるように、前記分析装置(7)と前記演算装置(8)が接続され、前記演算装置(8)により
前記検出信号強度cN ′と前記積算強度zM が代入された前記関係式(5)に対応する前記演算式から前記補正積算強度zM ′が算出されると共に、前記積算強度zM に代えて算出された補正積算強度zM ′、前記導入時間x、前記導入体積流量yが代入された前記関係式(4)に対応する前記演算式から前記測定対象金属元素Mの濃度W
M が算出されることを特徴とする。
【0018】
上記の移動体(30)を備えた測定システムによれば、測定位置まで移動体(30)を移動させた後に、移動体(30)の周囲雰囲気を吸引手段(31)により試料ガス(G)として吸引し分析装置(7)に導入し、演算装置(8)により測定対象金属元素Mの濃度W
M を算出することができる。よって、刻々と変化する環境における金属元素濃度をモニタリングするような場合に、目標測定位置における気体試料を刻々とサンプリングして分析することができる。
この場合、前記吸引手段(31)は、ガス吸引装置(31a)と、前記吸引ノズル(31b)を前記ガス吸引装置(31a)の吸引側に接続するための可撓性配管(31c)を有し、前記移動体(30′)に前記吸引ノズル(31b)が搭載され、前記ガス吸引装置(31a)は前記移動体(30′)に
搭載されないのが好ましい。これにより、移動体(30)は吸引ノズル(31a)のみ搭載すれば足りるので、移動体(30)として小型のものを用いることができ、測定位置が狭い場所にあっても移動体(30)を移動させ、試料ガス(G)をサンプリングすることができる。
また、移動体として放射能防護機能を有する車両や無人走行車両を用いることで、例えば原子力発電所における不具合等により、金属元素としてウランやプルトニウム等の放射性核種が放出された地域や原子炉建屋等の環境において、本発明の測定システムにより移動体の周囲雰囲気における放射性核種の濃度を適時、測定することで、放射性核種の拡散範囲や拡散量を把握でき、安全管理の面からも社会的貢献度が非常に高く有意義なものになる。
【0019】
前記標準試料ガスと前記補償ガスとは、個別に生成してもよいが混合されたガスとして同時に生成してもよい。この場合、前記測定対象金属元素(M)が既知濃度d
M で、前記補償用金属元素(N)が既知濃度
dN で、それぞれ溶解された前記標準溶液
と補償溶液とを兼ねる溶液(L
MN)を生成し、この溶液(L
MN)から生成された微粒子をガス中に分散させることで、前記標準試料ガスと前記補償ガスとを混合されたガス(G
MN)として同時に生成することができる。
前記標準試料ガスと前記補償ガスとを兼ねる前記ガス(GMN)を前記分析装置(7)に導入することで、前記標準試料ガスと前記補償ガスとが同時に前記分析装置(7)へ導入される。
【0020】
前記標準試料ガスと前記指標ガスとは、個別に生成してもよいが混合されたガスとして同時に生成してもよい。その場合、前記測定対象金属元素(M)が既知濃度d
M で、前記指標用金属元素(S)が既知濃度d
S で、それぞれ溶解された前記標準溶液と前記指標溶液とを兼ねる溶液(L
MS)を生成し、この溶液(L
MS)から生成された微粒子をガス中に分散させることで、前記標準試料ガスと前記指標ガスとを兼ねるガス(
GMS)を生成することができる。
前記標準試料ガスと前記指標ガスとを兼ねる前記ガス(GMS)を前記分析装置(7)に導入することで、前記標準試料ガスが前記分析装置(7)に導入され、前記標準試料ガスと前記指標ガスとを兼ねる前記ガス(GMS)を前記フィルタ(13)に導入して通過させることで、前記指標用金属元素(S)が前記フィルタ(13)により捕集され、この捕集された前記指標用金属元素(S)を溶媒中に溶解させることで生成された捕集溶液(LMS′)から生成された微粒子がガス中に分散されている捕集ガス(GMS′)を前記分析装置(7)に導入することで、前記指標用金属元素(S)の検出信号の単位時間当たり強度が測定される。
さらに、前記標準試料ガスと前記指標ガスと前記補償ガスとは、個別に生成してもよいが混合されたガスとして同時に生成してもよい。この場合、前記測定対象金属元素(M)が既知濃度d
M で、前記指標用金属元素(S)が既知濃度d
S で、前記補償用金属元素(N)が既知濃度で、それぞれ溶解された前記標準溶液と前記指標溶液と前記補償溶液とを兼ねる溶液(L
MNS )を生成し、この溶液(L
MNS )から生成された微粒子をガス中に分散させることで、前記標準試料ガスと前記指標ガスと前記補償ガスとを兼ねるガス(G
MNS )を生成することができる。
前記標準試料ガスと前記補償ガスと前記指標ガスとを兼ねるガス(GMNS )を前記分析装置(7)に導入することで、前記標準試料ガスと前記補償ガスとが同時に前記分析装置(7)へ導入され、前記標準試料ガスと前記補償ガスと前記指標ガスとを兼ねるガス(GMNS )を前記フィルタ(13)に導入して通過させることで、前記指標用金属元素(S)が前記フィルタ(13)により捕集され、この捕集された前記指標用金属元素(S)を溶媒中に溶解させることで生成された捕集溶液(LMNS ′)から生成された微粒子がガス中に分散されている捕集ガス(GMNS ′)を前記分析装置(7)に導入することで、前記指標用金属元素(S)の検出信号の単位時間当たり強度が測定される。
【0021】
前記指標溶
液における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S が、前記標準溶
液における測定対象金属元素(M)の既知濃度d
M を超える値とされているのが好ましい。これによって、測定に必要な量の指標用金属元素をフィルタにより迅速に捕集できる。特に前記指標溶
液における指標用金属元素(S)の既知濃度d
S が、前記標準溶
液における測定対象金属元素(M)の既知濃度d
M の10〜1000倍であるのが好ましい。
【0022】
本発明における指標用金属元素(S)としては測定対象金属元素(M)と異なるものであればよいが、一般の環境に殆ど存在しないものを選択することで、フィルタ13により捕集して捕集溶液(
LS ′)を生成する際や分析装置により分析する際に、周囲環境からの汚染を排除して濃度測定精度が低下するのを防止できる。
また、補償用金属元素(N)としては測定対象金属元素(M)と異なるものであればよいが、さらに、測定条件のふらつきによって生ずる検出信号の変化が測定対象金属元素(M)と似通うものを選択するのが好ましい。一般の環境に殆ど存在しないものを選択することで濃度測定精度が低下するのを防止できる。
一般の環境に殆ど存在しない元素としては、例えばインジウム、イットリウムを挙げることができる。
【0023】
前記フィルター(13)としてシリンジフィルターを用い、前記指標用金属元素(S)を捕集した前記シリンジフィルター(13)に、前記溶媒をシリンジ(20)により注入し、これにより前記シリンジフィルター(13)を通過する液体を前記捕集溶
液とするのが好ましい。これにより、指標用金属元素(S)を効率よく捕集できる。
【0024】
本発明システムは、試料ガス(G)中の測定対象金属元素(M)を検出する分析装置(7)から出力される検出信号の強度に基づき、前記試料ガス(G)における前記測定対象金属元素(M)の濃度を求めるためのシステムであって、前記測定対象金属元素(M)が既知濃度で溶解された標準溶液(
LM )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている標準試料ガス(
GM )、前記測定対象金属元素(M)とは異なる指標用金属元素(S)が既知濃度で溶解された指標溶液(
LS )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている指標ガス(
GS )、および前記指標溶液(
LS )における既知濃度よりも低い既知濃度で前記指標用金属元素(S)が溶解された標準指標溶液(λ
S )から生成された微粒子が、ガス中に分散されている標準指標ガス(γ
S )を生成するガス生成装置(10)と、前記指標ガス(
GS )に含まれる指標用金属元素(S)の捕集用フィルタ(13)と、前記ガス生成装置(10)を、前記分析装置(7)と前記フィルタ(13)とに択一的に接続する切り替えバルブ(12)とを備えている。
本発明システムによれば本発明方法を実施できる。
【0025】
本発明の構成によれば、試料ガス(G)における測定対象金属元素(M)の濃度W
M を求めることができる。その際、金属元素をフィルタにより捕集することで捕集効率を高めることができ、これにより、捕集時間を短縮できると共に捕集量の変動を防止して測定精度を高めることができる。
【0026】
なお、本発明における関係式においては、濃度、容量、体積流量、時間、信号強度等の物理量の基本単位は統一されており、例えば、濃度はng/m
3 、容量はm
3 、体積流量はm
3 /s、時間はs、単位時間当たり信号強度はcps(count per sec) 、積算信号強度はc(count) とされる。基本単位が統一されていない物理量を用いる場合は、統一のための換算を行うことで本発明における関係式を適用すればよい。