特許第5871429号(P5871429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5871429-中継システム 図000004
  • 特許5871429-中継システム 図000005
  • 特許5871429-中継システム 図000006
  • 特許5871429-中継システム 図000007
  • 特許5871429-中継システム 図000008
  • 特許5871429-中継システム 図000009
  • 特許5871429-中継システム 図000010
  • 特許5871429-中継システム 図000011
  • 特許5871429-中継システム 図000012
  • 特許5871429-中継システム 図000013
  • 特許5871429-中継システム 図000014
  • 特許5871429-中継システム 図000015
  • 特許5871429-中継システム 図000016
  • 特許5871429-中継システム 図000017
  • 特許5871429-中継システム 図000018
  • 特許5871429-中継システム 図000019
  • 特許5871429-中継システム 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871429
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】中継システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/15 20060101AFI20160216BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20160216BHJP
【FI】
   H04B7/15
   H04W16/26
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-82172(P2012-82172)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-211795(P2013-211795A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】大石 慧介
(72)【発明者】
【氏名】藤島 勇人
(72)【発明者】
【氏名】三木 健一
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−514349(JP,A)
【文献】 特表2008−518495(JP,A)
【文献】 特開2008−193363(JP,A)
【文献】 特開2003−219462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/15
H04W 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り信号の周波数が上り信号の周波数より高い高周波信号を使用して通信を行う基地局と移動体端末の間で前記高周波信号の中継を行う中継システムであって、前記基地局との間で前記高周波信号を送受信する親局装置と、前記移動体端末との間で前記高周波信号を送受信する子局装置とを有する中継システムにおいて、
前記親局装置は、
前記基地局から受信した前記高周波信号をダウンコンバートしてデジタル信号化し、前記子局装置に伝送する親局側伝送手段と、
前記子局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化してアップコンバートし、前記基地局へ前記高周波信号として送信する親局側送信手段と、を有し、
前記子局装置は、
前記親局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化してアップコンバートし、前記移動体端末に前記高周波信号として送信する子局側送信手段と、
前記移動体端末から受信した前記高周波信号をダウンコンバートしてデジタル信号化し、前記親局装置に伝送する子局側伝送手段と、を有し、
前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数間隔は、これらがダウンコンバートされる前の信号の周波数間隔よりも狭くなるように設定され、且つ前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数を前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数に寄せるように設定される、
ことを特徴とする中継システム。
【請求項2】
前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号はそれぞれ所定の周波数帯域を有し、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号これらの信号の周波数帯域の少なくとも一部が重複するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の中継システム。
【請求項3】
前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域は、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域と同じ帯域幅であることを特徴とする請求項2に記載の中継システム。
【請求項4】
前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域は、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域よりも広く、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号は、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域内に収まるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の中継システム。
【請求項5】
前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域の下端と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域の下端が略一致するように設定されることを特徴とする請求項4に記載の中継システム。
【請求項6】
前記親局側伝送手段と前記子局側伝送手段は、周波数が異なる局発信号を用いてダウンコンバートを行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の中継システム。
【請求項7】
前記親局側伝送手段と前記子局側伝送手段は、同じ周波数の局発信号であって、前記上り回線の信号と前記下り回線の信号の間の周波数の局発信号を用いてダウンコンバートを行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の中継システム。
【請求項8】
前記親局装置および前記子局装置におけるダウンコンバートまたはアップコンバートを行うための局発信号は、同一のクロック信号に基づいて生成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の中継システム。
【請求項9】
複数の前記子局装置を有し、
前記親局装置は、前記複数の子局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化した後であって、アップコンバートする前に合成することを特徴とする請求項8に記載の中継システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバ伝送装置に関する技術が開示されている。この技術では、送信装置においてRF信号をダウンコンバートによってIF信号に変換し、A/D変換によってデジタル信号にした後、光信号に変換して受信装置に向けて送信する。受信装置では、受信した光信号を電気信号に変換した後にD/A変換してアナログ信号に変換し、アップコンバートによってRF信号に復元する。
【0003】
図15は、特許文献1の動作を説明するための図である。送信装置では、図15(A)に示すように、破線で示すある帯域幅を持つRF信号を、局発信号(実線で示す矢印の信号)によってダウンコンバートする。この結果、図15(A)に示すように、実線で示すある帯域幅を持つIF信号が生成される。このようにしてダウンコンバートされた信号は、A/D変換によりデジタル信号に変換された後、光信号に変換されて受信装置に送信される。
【0004】
受信装置では、受信された光信号が電気信号に変換された後、D/A変換によってアナログ信号に変換される。その結果、図15(B)に示すように、破線で示すある帯域幅をもつIF信号が生成される。このようなIF信号は、図15(B)に示すように、局発信号(実線で示す矢印の信号)によってアップコンバートされて元のRF信号(実線で示すある帯域幅を持つ信号)が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−316908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような伝送装置を、例えば、基地局と移動体端末との間における高周波信号の中継に用いる場合、基地局と移動体端末との間の上下回線で異なる周波数の高周波信号が使用されることがある。
【0007】
図16(A)に示すように上下回線で周波数が異なるRF信号(上り信号および下り信号)を周波数がLOの局発信号でダウンコンバートする場合、図16(B)に示すように上り信号と下り信号とで、異なる周波数のIF信号が得られる。
【0008】
この場合、周波数が高い下り信号では、上り信号と比べて、A/D変換器におけるサンプリングクロックのジッタによってSNR(Signal to Noise Ratio)が劣化するという問題点がある。すなわち、ジッタによるSNRは以下の式によって表される。
【0009】
【0010】
ここで、finはA/D変換器に入力されるアナログ信号(IF信号)の周波数であり、JitterclockはA/D変換器に供給される外部クロックのジッタの実効値であり、JitterappertureはA/D変換器内部で発生するアパーチャジッタである。この式から、入力されるアナログ信号の周波数が大きくなるほど、クロックのジッタによるSNRが劣化することが分かる。図17は、周波数finに対するサンプリング時の振幅誤差を示す図である。この図に示すように、サンプリングクロックの時間的なジッタΔtが存在する場合、周波数が高い場合には周波数が低い場合に比較して電圧の誤差ΔVが大きくなる。したがって、図16の例では、より周波数が高い下り信号のSNRが、上り信号と比較して劣化してしまうという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明は、下り信号のジッタノイズが上り信号のジッタノイズよりも大きくなることを抑制することができる中継システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、下り信号の周波数が上り信号の周波数より大きい高周波信号を使用して通信を行う基地局と移動体端末の間で前記高周波信号の中継を行う中継システムであって、前記基地局との間で前記高周波信号を送受信する親局装置と、前記移動体端末との間で前記高周波信号を送受信する子局装置とを有する中継システムにおいて、前記親局装置は、前記基地局から受信した前記高周波信号をダウンコンバートしてデジタル信号化し、前記子局装置に伝送する親局側伝送手段と、前記子局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化してアップコンバートし、前記基地局へ前記高周波信号として送信する親局側送信手段と、を有し、前記子局装置は、前記親局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化してアップコンバートし、前記移動体端末に前記高周波信号として送信する子局側送信手段と、前記移動体端末から受信した前記高周波信号をダウンコンバートしてデジタル信号化し、前記親局装置に伝送する子局側伝送手段と、を有し、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数間隔は、これらがダウンコンバートされる前の信号の周波数間隔よりも狭くなるように設定され、且つ前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数を前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数に寄せるように設定されることを特徴とする。
このような構成によれば、下り信号のジッタノイズが上り信号のジッタノイズよりも大きくなることを抑制する中継システムを提供することが可能になる。
【0013】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号はそれぞれ所定の周波数帯域を有し、これらの信号の周波数帯域の少なくとも一部が重複するように設定されることを特徴とする。
このような構成によれば、周波数帯域をより接近させることで、下り信号のジッタノイズが上り信号のジッタノイズよりも大きくなることを更に抑制することができる。
【0014】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域は、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域よりも広く、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号は、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域内に収まるように設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、周波数帯域を同じにすることにより、下り信号のジッタノイズが上り信号のジッタノイズよりも大きくなることを更に抑制することができるとともに、上りと下りで周波数特性が近い素子を使用することができるため、素子を共通化することで製造コストを低減できる。
【0015】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域の下端と、前記子局側伝送手段によってダウンコンバートされた信号の周波数帯域の下端が略一致するように設定されることを特徴とする。
このような構成によれば、周波数帯域の下端が略一致することで、上りと下りで周波数特性が近い素子を使用することができるため、素子を共通化することで製造コストを低減できる。
【0016】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局側伝送手段と前記子局側伝送手段は、周波数が異なる局発信号を用いてダウンコンバートを行うことを特徴とする。
このような構成によれば、局発信号の周波数を上り下り回線でそれぞれ任意に設定することで、ダウンコンバートされた信号が所望の周波数になるように設定することができる。
【0017】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局側伝送手段と前記子局側伝送手段は、同じ周波数の局発信号であって、前記上り回線の信号と前記下り回線の信号の間の周波数の局発信号を用いてダウンコンバートを行うことを特徴とする。
このような構成によれば、単一の周波数の局発信号を使用することで、より単純な構成で上記発明を実現出来る。
【0018】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記親局装置および前記子局装置におけるダウンコンバートまたはアップコンバートを行うための局発信号は、同一のクロック信号に基づいて生成されることを特徴とする。
このような構成によれば、クロック信号の発生部を共用することで、装置の構成を単純にすることができる。
【0019】
また、他の発明は、上記発明に加えて、複数の前記子局装置を有し、前記親局装置は、前記複数の子局装置から受信したデジタル信号をアナログ信号化した後であって、アップコンバートする前に合成することを特徴とする。
このような構成によれば、アップコンバートのための構成を共用することができるので、装置の構成を単純にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、下り信号のジッタノイズが上り信号のジッタノイズよりも大きくなることを抑制する中継システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る中継システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す親局装置の構成例を示す図である。
図3図1に示す子局装置の構成例を示す図である。
図4図1に示す第1実施形態の動作を説明するための図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る親局装置の構成例を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る子局装置の構成例を示す図である。
図7】第2実施形態の動作を説明するための図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る中継システムの構成例を示す図である。
図9図8に示す親局装置の構成例を示す図である。
図10】クロック信号を同期しない場合の親局装置の構成例である。
図11】クロック信号を同期しない場合の子局装置の構成例である。
図12】ダウンコンバート後の上下信号の関係を示す図である。
図13】局発信号を減衰させるための構成例である。
図14図13の動作を説明するための図である。
図15】従来技術の構成を示す図である。
図16】従来技術の構成を示す図である。
図17】周波数によるジッタ雑音の発生の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0023】
(A)第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係る中継システムの構成例を示す図である。この図に示すように、中継システム1は、親局装置10、光ファイバ30,31、および、子局装置20を主要な構成要素としている。図1に示す第1実施形態は、中継システム1は移動体端末である携帯電話の基地局からの電波が届きにくい電波不感地帯に電波を供給するシステム(リピータシステム)として構成される。
【0024】
ここで、親局装置10は、図示しない基地局からの電波を受信可能な場所に配置され、基地局からの電波をアンテナ11によって捕捉する。そして、親局装置10は、受信信号(高周波信号)をダウンコンバートしてデジタル信号化した後、光信号に変換して光ファイバ30を介して子局装置20に伝送する。また、親局装置10は、子局装置20から光ファイバ31を介して受信した光信号を電気信号に変換してアナログ信号に変換した後、アップコンバートして元の高周波信号に復元し、アンテナ11を介して電波として基地局に向けて送信する。
【0025】
なお、図1の例では、親局装置10と基地局とは無線で情報を授受するようにしているが、これらが有線で情報を授受するようにしてもよい。
【0026】
子局装置20は、図示しない基地局からの電波が届きにくい電波不感地帯に配置され、親局装置10から光ファイバ30を介して伝送された光信号を受信する。そして、子局装置20は、受信した光信号を電気信号に変換してアナログ信号に変換した後、アップコンバートして元の高周波信号に復元し、アンテナ21を介して電波不感地帯に電波を送信する。また、子局装置20は、図示しない携帯電話からの電波をアンテナ21によって捕捉し、受信信号(高周波信号)をダウンコンバートしてデジタル化した後、光信号に変換して光ファイバ31を介して親局装置10に供給する。なお、第1実施形態では、子局装置20が1台だけ存在する場合について説明し、複数存在する場合については図8を参照して後述する。
【0027】
このような中継システム1を用いることにより、携帯電話を有するユーザが電波不感地帯に位置している場合であっても、携帯電話と基地局との間で、第1実施形態の中継システム1を介して電波の授受が可能になるので、通話または通信を実行することができる。
【0028】
図2は、図1に示す親局装置10の詳細な構成例を示す図である。図2に示すように、親局装置10は、ミキサ101、ローパスフィルタ102、増幅部103、ADC(Analog to Digital Converter)104、信号処理部105、光送信部108、クロック部110、PLLシンセサイザ(PLLSYN)112、発振部113、受信回路130、ミキサ131、および、バンドパスフィルタ132を有している。
【0029】
ここで、ミキサ101は、アンテナ11を介して供給される高周波信号(下り信号)と、発振部113から供給される局発信号とをミキシングし、中間周波数(IF)信号を出力する。
【0030】
ローパスフィルタ102は、ミキサ101で生成された中間周波数信号を通過させ、それ以外の帯域成分を減衰させるフィルタである。増幅部103は、ローパスフィルタ102を通過した中間周波数信号を所定のゲインで増幅して出力する。ADC104は、増幅部103によって増幅された中間周波数信号をクロック部110から供給されるクロック信号に同期してサンプリングし、デジタル信号に変換して出力する。
【0031】
信号処理部105は、パラレルシリアル変換部(P/S)106、および、送信部(TXD)107を有しており、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によって構成され、ADC104から出力されるデジタル信号に対してパラレルシリアル変換その他のエンコード処理を施して出力する。ここで、パラレルシリアル変換部106は、クロック部110から出力されるクロック信号に基づいて、ADC104から出力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。送信部107は、パラレルシリアル変換部106から供給されるシリアル信号を、例えば、8b/10b変換してクロック信号を重畳して送信信号を生成した後、出力する。
【0032】
光送信部108は、送信部107から供給される電気信号を対応する光信号に変換して光ファイバ30に送出する。
【0033】
クロック部110は、所定の周波数のクロック信号を生成してADC104、パラレルシリアル変換部106、送信部107、および、PLLシンセサイザ112,120に供給する。なお、クロック部110からこれらに直接供給するのではなく、分配器によって分配した後に供給するようにしてもよい。あるいは、必要に応じて途中に逓倍器や分周器を設けても良い。
【0034】
PLLシンセサイザ112は、クロック部110から供給されるクロック信号に基づいて発振部113から出力される局発信号が所定の周波数になるように制御する。発振部113は、PLLシンセサイザ112から供給される制御電圧に対応した周波数の正弦波信号を発生する電圧制御発振回路(VCO:Voltage Control Oscillator)である。PLLシンセサイザ120および発振部121も同様の動作を行う。
【0035】
受信回路130は、光受信部(RX)123、信号処理部124、DAC(Digital to Analog Converter)127、ローパスフィルタ128、および、波形整形部(Cleaner)129を有している。
【0036】
光受信部123は、光ファイバ31を介して子局装置20から伝送されてきた光信号を電気信号に変換して信号処理部124に供給する。信号処理部124は、受信部(RXD)125およびシリアルパラレル変換部(S/P)126を有しており、例えば、FPGA等によって構成され、光受信部123から出力されるシリアル信号をパラレル信号に変換してDAC127に供給する。より詳細には、受信部125は、光受信部123から供給される電気信号からデジタル信号を抽出してシリアルパラレル変換部126に供給するとともに、クロック信号を抽出して波形整形部129に供給する。シリアルパラレル変換部126は、受信部125から供給されるシリアル信号をパラレル信号に変換し、DAC127に供給する。波形整形部129は、受信部125によって抽出されたクロック信号の波形を整形して、シリアルパラレル変換部126およびDAC127に供給する。なお、波形整形部129は、場合によっては省略可能である。
【0037】
DAC127は、シリアルパラレル変換部126から供給されるデジタル信号をアナログ信号に変換して出力する。ローパスフィルタ128は、DAC127から出力されるアナログ信号から高周波信号を抽出して出力する。
【0038】
ミキサ131は、ローパスフィルタ128から出力される信号と、発振部121から出力される局発信号とをミキシングして出力する。バンドパスフィルタ132は、ミキサ131から出力される信号から、目的とする高周波信号以外の成分を減衰して出力する。
【0039】
図3図1に示す子局装置20の構成例を示す図である。この図に示すように、子局装置20は、光受信部(RX)201、信号処理部202、DAC205、ミキサ206、バンドパスフィルタ207、波形整形部208、PLLシンセサイザ(PLLSYN)209,220、発振部210,221、ミキサ222、ローパスフィルタ223、増幅部224、ADC225、信号処理部226、光送信部229、および、クロック部230を有している。
【0040】
ここで、光受信部201は、親局装置10から伝送された光信号を受信し、電気信号に変換して信号処理部202に供給する。信号処理部202は、受信部(RXD)203およびシリアルパラレル変換部204を有し、光受信部201から出力された電気信号から所望の中間周波数信号を抽出してシリアルパラレル変換部204に供給するとともに、クロック信号を抽出して波形整形部208に供給する。シリアルパラレル変換部204は、受信部203から出力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する。DAC205は、信号処理部202から供給されたパラレル信号をアナログ信号に変換して出力する。ミキサ206は、発振部210から出力される局発信号によってDAC205から出力される信号をアップコンバートして出力する。バンドパスフィルタ207は、アップコンバートされた信号からもとの高周波信号を抽出し、アンテナ21を介して移動体端末に送信する。
【0041】
波形整形部208は、受信部203によって抽出されたクロック信号の波形を整形して、シリアルパラレル変換部204、DAC205、PLLシンセサイザ209,220に供給する。PLLシンセサイザ209は、波形整形部208から供給されるクロック信号に基づいて発振部210から出力される局発信号が所定の周波数になるように制御する。発振部210は、PLLシンセサイザ209から供給される制御電圧に対応した周波数の正弦波信号を発生する。
【0042】
ミキサ222は、アンテナ21を介して供給される高周波信号(上り信号)と、発振部221から供給される局発信号とをミキシングし、中間周波数(IF)信号を出力する。
【0043】
ローパスフィルタ223は、ミキサ222で生成された中間周波数信号を通過させ、それ以外の帯域成分を減衰させる。増幅部224は、ローパスフィルタ223を通過した中間周波数信号を所定のゲインで増幅して出力する。ADC225は、増幅部224によって増幅された中間周波数信号をクロック部230から供給されるクロック信号に同期してサンプリングし、デジタル信号に変換して出力する。
【0044】
信号処理部226は、パラレルシリアル変換部227、および、送信部228を有しており、例えば、FPGAによって構成され、ADC225から出力されるデジタル信号に対してパラレルシリアル変換その他のエンコード処理を施して出力する。より詳細には、パラレルシリアル変換部227は、クロック部230から出力されるクロック信号に基づいて、ADC225から出力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。送信部228は、パラレルシリアル変換部227から供給されるシリアル信号を、例えば、8b/10b変換してクロック信号を重畳して送信信号を生成した後、出力する。
【0045】
光送信部229は、送信部228から供給される電気信号を対応する光信号に変換して光ファイバ31に送出する。
【0046】
(B)第1実施形態の動作の説明
つぎに、第1実施形態の動作について説明する。図示しない基地局から送信された下り方向の高周波信号は、親局装置10のアンテナ11によって捕捉され、ミキサ101に供給される。ミキサ101は、発振部113から供給される局発信号と高周波信号とをミキシングして出力する。図4に示すように、ミキサ101には高周波信号RF1(矩形形状の信号)と、局発信号Lo1(矢印形状の信号)とが入力され、これらの差の周波数dを下端の周波数dとする中間周波数信号IF1を得る。
【0047】
ミキサ101から出力された中間周波数信号IF1は、ローパスフィルタ102に供給され、そこで、中間周波数信号IF1以外の周波数成分が減衰されて増幅部103に出力される。増幅部103では、ローパスフィルタ102から出力された中間周波数信号IF1が所定のゲインで増幅されて出力される。
【0048】
ADC104は、増幅部103から供給される中間周波数信号IF1を、クロック部110から供給されるクロック信号に同期してサンプリングして量子化し、デジタル信号に変換する。
【0049】
信号処理部105のパラレルシリアル変換部106は、ADC104から出力されたデジタル信号をクロック部110から供給されるクロック信号に基づいてシリアル信号に変換して送信部107に出力する。送信部107は、パラレルシリアル変換部106から供給されるシリアル信号を、例えば、8b/10b変換してクロック信号を重畳した後に、光送信部108に出力する。
【0050】
光送信部108は、送信部107から供給される電気信号を対応する光信号に変換し、光ファイバ30を介して子局装置20に送信する。
【0051】
以上の動作により、アンテナ11によって捕捉された基地局からの電波が、局発信号Lo1によってダウンコンバートされて中間周波数信号IF1とされた後にデジタル化される。そして、デジタル化された信号は、シリアル信号に変換されて光信号に変換され、光ファイバ30に送出される。
【0052】
親局装置10から送信された光信号は、子局装置20の光受信部201によって受信され、対応する電気信号に変換された後、信号処理部202に出力される。信号処理部202の受信部203は、光受信部201から供給される信号に含まれているクロック信号を抽出して波形整形部208に供給するとともに、デジタル信号をシリアルパラレル変換部204に供給する。シリアルパラレル変換部204は、受信部203から供給されるシリアル信号を、波形整形部208から供給されるクロック信号に基づいてパラレル信号に変換し、DAC205に出力する。
【0053】
DAC205は、シリアルパラレル変換部204から出力されるデジタル信号を、波形整形部208から供給されるクロック信号に同期してアナログ信号に変換し、ミキサ206に供給する。ミキサ206は、発振部210から供給される局発信号と、DAC205から供給される信号をミキシングして出力する。なお、局発信号は図4に示すLo1であることから、ミキサ206からは図4に示す高周波信号RF1が出力される。ミキサ206から出力された高周波信号RF1は、バンドパスフィルタ207によって高周波信号以外の成分が減衰された後、アンテナ21を介して電波として送信される。子局装置20の通信エリア内に存在している携帯電話は、基地局から送信され、中継された電波を受信することができる。
【0054】
一方、子局装置20の通信エリア内に存在している携帯電話から送信された上り方向の高周波信号RF2は、図4に示すように下り方向の高周波信号よりも周波数が低く、また、周波数帯域が狭い、または帯域幅が同じ信号によって構成される。このような高周波信号RF2は、アンテナ21によって捕捉され、ミキサ222に供給される。ミキサ222は、図4に示すように、高周波信号RF2と発振部221から供給される局発信号Lo2とをミキシングして出力する。この結果、高周波信号RF2と局発信号Lo2の差分の周波数dを下端の周波数とする中間周波数信号IF2を得る。
【0055】
このような中間周波数信号IF2は、ローパスフィルタ223に供給され、中間周波数信号以外の成分が減衰されて出力される。増幅部224は中間周波数信号IF2を所定のゲインで増幅して出力する。ADC225は、増幅部224から出力される中間周波数信号IF2を、クロック部230からのクロック信号に同期してサンプリングしてデジタル信号に変換して出力する。
【0056】
パラレルシリアル変換部227は、ADC225から出力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。送信部228は、パラレルシリアル変換部227から出力されるシリアル信号を、例えば、8b/10b変換してクロック信号を重畳した後に、光送信部229に出力する。
【0057】
光送信部229は、送信部228から供給される電気信号を対応する光信号に変換し、光ファイバ31を介して親局装置10に送信する。
【0058】
子局装置20から送信された光信号は、親局装置10の光受信部123によって受信され、対応する電気信号に変換された後、信号処理部124に出力される。信号処理部124の受信部125は、光受信部123から供給される信号に含まれているクロック信号を抽出して波形整形部129に供給するとともに、デジタル信号をシリアルパラレル変換部126に供給する。シリアルパラレル変換部126は、受信部125から供給されるデジタル信号を、波形整形部129から供給されるクロック信号に基づいてパラレル信号に変換し、DAC127に出力する。
【0059】
DAC127は、シリアルパラレル変換部126から出力されるデジタル信号を、波形整形部129から供給されるクロック信号に同期してアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ128を介してミキサ131に供給する。ミキサ131は、発振部121から供給される局発信号と、ローパスフィルタ128から供給される信号をミキシングして出力する。なお、局発信号は図4に示すLo2であることから、ミキサ131からは図4に示す高周波信号RF2が出力される。ミキサ131から出力された高周波信号RF2は、アンテナ11を介して基地局に送信される。
【0060】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態では、り信号である高周波信号RF1に対しては周波数の差分がdである局発信号Lo1を用いてダウンコンバートを行い、上り信号である高周波信号RF2に対しては周波数の差分がdである局発信号Lo2を用いてダウンコンバートを行うようにした。このような構成によれば、ダウンコンバート後の中間周波数信号IF1,IF2の下端の周波数が略同じになる。このため、中間周波数信号IF1,IF2をADC104,225でデジタル信号化した場合に含まれるジッタノイズが略同じとなることから、図16に示す従来例のように、上り信号よりも下り信号のジッタノイズが大きくなることを防止できる。
【0061】
また、中間周波数信号IF1の周波数を図16に示す従来例に比較して低くすることにより、サンプリング周波数が高くないADCを使用することが可能となり、FPGAの演算クロックを低減することができ、送信の伝送レート低減が出来るため、製造コストを低減することができる。
【0062】
(C)第2実施形態の構成の説明
図5,6は第2実施形態の構成例を示す図である。なお、これらの図において、図3,4と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。ここで、図5に示す親局装置10Aでは、図2と比較すると、PLLシンセサイザ120と発振部121が除外され、発振部113の出力がミキサ101のみならず、ミキサ131にも入力されている。それ以外の構成は、図2の場合と同様である。また、図6に示す子局装置20Aでは、図3と比較すると、PLLシンセサイザ220と発振部221が除外され、発振部210の出力がミキサ206のみならず、ミキサ222にも入力されている。それ以外の構成は、図3の場合と同様である。
【0063】
(D)第2実施形態の動作の説明
つぎに、図7を参照して、第2実施形態の動作について説明する。第2実施形態では、図7に示すように、下り方向の高周波信号RF1と、上り方向の高周波信号RF2は、同じ周波数の局発信号Loによってダウンコンバートされる。なお、局発信号Loの周波数は、高周波信号RF2の帯域の上端との差dと、高周波信号RF1の帯域の下端との差dとが等しくなるように設定されている。
【0064】
これにより、ダウンコンバート後の中間周波数信号IF1,IF2は、図7に示すように、周波数帯域の下端が略同じ周波数となる。このため、中間周波数信号IF1,IF2をADC104,225でデジタル信号化した場合に含まれるジッタノイズが略同じとなることから、図16に示す従来例のように、上り信号よりも下り信号のジッタノイズが多くなることを防止できる。
【0065】
また、中間周波数信号IF1の周波数を低くすることにより、図16に示す従来例に比較してサンプリング周波数が高くないADCを使用することが可能となり、FPGAの演算クロックを低減でき、送信レートを下げることが可能となるため、製造コストを低減することができる。
【0066】
(E)第3実施形態の構成の説明
つぎに、図8〜11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図8は第3実施形態に係る中継システム1Aの構成例を示す図である。この図に示すように、第3実施形態では、親局装置10Bに対して複数の子局装置20−1〜20−n(但し、nは2以上の自然数)が光ファイバ30−1〜30−nおよび光ファイバ31−1〜31−nによって接続されている。
【0067】
図9は、図8に示す親局装置10Bの詳細な構成例を示す図である。なお、この図において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明は省略する。図9の例では、図2に比較すると、光分配器109が新たに設けられて、この光分配器109に光ファイバ30−1〜30−nが接続されている。また、受信回路130−1〜130−nと合成回路133が新たに設けられている。
【0068】
ここで、光分配器109は、光送信部108から出力される光信号をn分配して光ファイバ30−1〜30−nにそれぞれ送出する。
【0069】
受信回路130−1〜130−nは、図2に示す実線で囲んだ受信回路130と同様の構成を有している。また、合成回路133は、受信回路130−1〜130−nから出力されるアナログ信号(中間周波数信号)を合成し、ミキサ131に出力する。
【0070】
なお、子局装置20−1〜20−nは、図3と同様の構成を有している。
【0071】
(F)第3実施形態の動作の説明
第3実施形態では、子局装置20−1〜20−nは、親局装置10Bのクロック部110によって生成され、送信部107によって送信信号から復元されたクロック信号に基づいて発振部221が局発信号を生成し、この局発信号に基づいてダウンコンバートを行う。このように、子局装置20−1〜20−nの全てにおいて、親局装置10Bと同期した局発信号によってダウンコンバートが行われるので、親局装置10Bでは、アップコンバート前の中間周波数信号を合成回路133によって合成することが可能になる。
【0072】
図10,11は、第3実施形態とは対象的に、子局装置20−1〜20−nがそれぞれ異なるクロック信号を用いてダウンコンバートを行う場合の構成例を示している。図11に示す子局装置20Bでは、図10に示す親局装置10Cとは異なるクロック部230からのクロックに基づいてダウンコンバートが実行される。このため、親局装置10Cでは、各子局装置20Bと同期したクロック信号に基づいてアップコンバートする必要が生じるので、図10に示すように波形整形部129−1〜129−nによって波形整形されたクロック信号に基づいてアップコンバートを行い、得られた信号をバンドパスフィルタ144−1〜144−nを通過させた後に合成回路145で合成する必要がある。
【0073】
一方、本発明の第3実施形態によれば、図9に示すように、アップコンバート前の中間周波数信号を合成回路133によって合成した後に、ミキサ131によってアップコンバートすることができる。このように、本発明の第3実施形態によれば、PLLシンセサイザ141−1〜141−n、発振部142−1〜142−n、ミキサ143−1〜143−n、および、バンドパスフィルタ144−1〜144−nが不要となるので、装置の構成を簡略化し、製造コストを低減することが可能となる。
【0074】
なお、以上の第3実施形態では、図4に示す態様でダウンコンバートおよびアップコンバートを行う構成としたが、図7に示す態様でダウンコンバートおよびアップコンバートを行う構成としてもよい。そのような場合でも、前述の場合と同様に、部品の個数を減らすことで製造コストを低減することができる。
【0075】
(G)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、上り方向と下り方向のダウンコンバート後の中間周波数信号の周波数帯域の下端が同じになるように局発信号を設定するようにしたが、これは一例であってこのような場合のみに本発明が限定されるものではない。すなわち、本発明では、ダウンコンバートによって得られた中間周波数信号の周波数間隔が、ダウンコンバート前の信号の周波数間隔よりも狭くなるように設定されればよい。このような構成によれば、上下方向の信号の周波数差を小さくすることにより、周波数が高い側の信号のジッタノイズの発生を抑制することができる。
【0076】
なお、ダウンコンバート後の中間周波数信号の配置としては、例えば、図12(A)に示すように周波数帯域の上端が同じになるように配置したり、図12(B)に示すように周波数帯域の中心周波数が同じになるように配置したり、図12(C)に示すように下りの周波数帯域内に収まるように配置したり、図12(D)に示すように上りと下りの周波数帯域の一部が重複するように配置したり、図12(E)に示すように上りと下りの周波数帯域の帯域幅が略同じであってもよい。もちろん、前述のように、これらの周波数帯域が重複しない配置であってもよい。
【0077】
また、以上の各実施形態では、図1に示すように親局装置10はアンテナ11にて基地局との間で無線にて情報を授受するようにしたが、基地局と有線接続して情報を授受するようにしてもよい。
【0078】
また、以上の各実施形態では、親局装置および子局装置において、アップコンバートした信号はフィルタを通して出力するようにしたが、局発信号の位相を180度ずらした信号を付加することにより、ミキサから出力される局発信号の電力を減少させ、フィルタに要求される特性を緩和することも可能である。具体的には、前述した各実施形態では、図13(A)に示すように、アップコンバート後の信号はバンドパスフィルタ207を介して出力される構成とした。しかしながら、図13(B)に示すように、発振部210から出力される局発信号を方向性結合器(方結)400によって分配して一方をミキサ206に入力し、他方を移相器401に入力する。移相器401では、局発信号の位相を180度ずらしてレベル調節器402に入力する。レベル調節器402では、ミキサ206から出力される局発信号が相殺されて最小となるようにレベルを調整する。方結403はミキサ206から出力される信号とレベル調節器402から出力される信号を加算し、バンドパスフィルタ207に供給する。
【0079】
図14は、図13に示す構成の動作を説明するための図である。図14に示すように、IF信号を局発信号Loによってアップコンバートすると、図14(A)に示すように、目的とするRF信号と、イメージ信号と、局発信号Loの一部が出力される。図13(A)に示す構成例では、バンドパスフィルタ207は、RF信号を通過させるとともに、それに隣接する局発信号Loを減衰させる必要が生じるので、遮断特性が急峻なフィルタを用いる必要がある。特に、IF信号がDCに近づく程、IF信号と局発信号Loとの間隔が狭くなるので、急峻な特性が要求される。一方、図13(B)に示す構成例では、位相が反転された局発信号Loによって、ミキサ206から出力される局発信号Loが相殺され、図14(B)に示すように信号レベルが小さくなる。このため、バンドパスフィルタ207としては、図13(A)に比較すると、遮断特性が急峻ではないフィルタを使用することができるため、安価なフィルタを使用することで製造コストを低減することができる。
【0080】
また、以上の各実施形態では、親局装置と子局装置とを光ファイバで接続するようにしたが、これ以外の伝送媒体(例えば、伝送ケーブル)等によって接続するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、以上の各実施形態では、本発明を基地局と移動体端末間の通信の中継に適用する場合を例に挙げて説明したが、これ以外の分野に適用することも可能である。
【0082】
また、以上の各実施形態では、波形整形部を用いてクロック信号の波形を整えるようにしたが、場合によっては波形整形部を用いないようにすることも可能である。また、以上の各実施形態では、クロック部からの出力を各部に直接供給するようにしたが、例えば、分配器によって分配した後に各部に分配するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10,10A,10B,10C 親局装置
11 アンテナ
20,20A,20B 子局装置
21 アンテナ
30,31 光ファイバ
101,131,206,222 ミキサ
102,128,223 ローパスフィルタ
103,224 増幅部
104,225 ADC
105,124,202,226 信号処理部
106,227 パラレルシリアル変換部
107,228 送信部
108,229 光送信部
109 光分配部
110,230 クロック部
112,120,209,220 PLLシンセサイザ
113,121,210,221 発振部
123,201 光受信部
125,203 受信部
126,204 シリアルパラレル変換部
127,205 DAC
129,208 波形整形部
132,207 バンドパスフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17