特許第5871441号(P5871441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871441
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】放送システムおよび光端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/032 20130101AFI20160216BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20160216BHJP
   H04L 12/709 20130101ALI20160216BHJP
【FI】
   H04B9/00 132
   H04B9/00 272
   H04L12/709
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-132925(P2014-132925)
(22)【出願日】2014年6月27日
(62)【分割の表示】特願2013-9581(P2013-9581)の分割
【原出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-187716(P2014-187716A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114226
【氏名又は名称】ミハル通信株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】丸山 猛
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−242207(JP,A)
【文献】 特開2005−269246(JP,A)
【文献】 特開平09−312614(JP,A)
【文献】 特開2011−004095(JP,A)
【文献】 特開2003−338788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
H04L 12/709
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長化された伝送経路を介してセンター装置から放送信号を複数の光端末装置に光によって伝送する放送システムにおいて、
前記光端末装置の少なくとも1つは、
前記センター装置から伝送される光とは異なる波長の上り光を前記センター装置に対して送信する送信手段を有し、
前記送信手段を有する前記光端末装置は所定の地区毎に少なくとも1つ配置され、
前記センター装置は、
前記冗長化された伝送経路毎に設けられ、前記送信手段から送信された前記上り光を伝送経路毎に抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記上り光の状態に基づいて、前記冗長化された伝送経路の中から前記放送信号を送信する伝送経路を選択する選択手段と
前記抽出手段によって抽出された前記上り光を、前記光端末装置毎に分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された前記上り光の状態に基づいて、前記光端末装置毎の受信状態を推定する推定手段と、
を有することを特徴とする放送システム。
【請求項2】
前記抽出手段によって抽出された伝送経路毎の前記上り光の状態に基づいて、状態が良好な伝送経路を特定するとともに、特定した伝送経路を前記選択手段によって選択する制御を実行する制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の放送システム。
【請求項3】
前記抽出手段によって抽出された伝送経路毎の前記上り光の状態を提示する提示手段を有し、
前記提示手段に提示された情報に基づいて、状態が良好な伝送経路を操作者が特定し、前記選択手段を操作者が操作して特定した伝送経路を選択することを特徴とする請求項1に記載の放送システム。
【請求項4】
前記送信手段は、前記光端末装置毎に異なる波長の上り光を使用し、
前記分離手段は、前記波長に応じて、前記光端末装置毎の上り光を分離する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放送システム。
【請求項5】
前記抽出手段は、光カプラまたはWDMモジュールであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送システムおよび光端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)方式に代表される1対N型の光伝送路を用いた放送サービスの代表的なシステム構成を図8に示す。この例では、伝送路始端である放送事業者の局舎等に配置されたセンター装置1の光送信機1aにおいて放送信号が光に変換され、光増幅器1bにおいて光が増幅され、光カプラ1cにおいて分波された後、光伝送路2に送出される。光伝送路2に送出された光は、上位側光伝送路2aを経由した後、クロージャに配置された光カプラ2b−1〜2b−mにおいて分波され、加入者宅に配置された光端末装置3−1〜3−nに到達する。
【0003】
放送サービスを展開する事業者にとって、光送信機1aもしくは光増幅器1bの故障または光伝送路2の障害等により放送が中断することは、サービスの停止に直結するため、防ぐ必要がある。
【0004】
図9は、光送信機1a−1,1a−2および光増幅器1b−1,1b−2をそれぞれ二系統設けるとともに、分配器1dを設けて光を二分配した後、光切換部1eによって、二系統のうちのいずれかを選択することで、冗長化する構成を示している。このような構成によれば、二系統のうちの一方が故障した場合でも他方を選択することにより、サービスの停止を防ぐことができる。
【0005】
一方、光伝送路2は、1対N型の光伝送路であるため、光端末装置までファイバを二重化するにはコストがかかる。しかし、上位側光伝送路2aは、障害が発生するとそれ以降の全ての加入者に影響が及ぶ可能性があることから重要度が高いが、上位側光伝送路2aはパッシブ機器(電源を有しない光部品)によって構成されるため、冗長化するには困難が伴う。
【0006】
このような上位側光伝送路を冗長化するための技術として、特許文献1に示す技術がある。特許文献1に開示された技術では、図10に示すように、光伝送路120を2つの光ファイバ121,122によって冗長化している。光ファイバ121,122を介して伝送された光は、光カプラ124によって光受信器131と光カプラ125に分波される。光カプラ125に入射された光は、折り返し光として光ファイバ121,122を介してセンター装置110に返信される。センター装置110では、図11に示すように、折り返し光を光電気変換部(O/E)141,142において電気信号にそれぞれ変換し、制御部143が電気信号に基づいて折り返し光の強度を検出し、折り返し光の強度が大きい方の伝送経路を、スイッチ部144を制御して選択することで、最適な伝送経路を選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−206565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示された技術では、センター装置110から送信された光(下り光)と同じ光を折り返し光として利用するため、上下方向に対応する2つの光ファイバを伝送路毎に使用する必要があり、コストが高くつくという問題点がある。
【0009】
また、別々の光ファイバを使用することから、例えば、下り光用の光ファイバに異常が生じている場合でも、折り返し光用の光ファイバには異常が生じていないときがあるため、異常の発生を確実に検出することが困難という問題点もある。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、コストの増大を招来することなく、光ファイバの異常をより確実に検出することが可能な放送システムおよび光端末装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、冗長化された伝送経路を介してセンター装置から放送信号を複数の光端末装置に光によって伝送する放送システムにおいて、前記光端末装置の少なくとも1つは、前記センター装置から伝送される光とは異なる波長の上り光を前記センター装置に対して送信する送信手段を有し、前記送信手段を有する前記光端末装置は所定の地区毎に少なくとも1つ配置され、前記センター装置は、前記冗長化された伝送経路毎に設けられ、前記送信手段から送信された前記上り光を伝送経路毎に抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記上り光の状態に基づいて、前記冗長化された伝送経路の中から前記放送信号を送信する伝送経路を選択する選択手段と、前記抽出手段によって抽出された前記上り光を、前記光端末装置毎に分離する分離手段と、前記分離手段によって分離された前記上り光の状態に基づいて、前記光端末装置毎の受信状態を推定する推定手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、コストの増大を招来することなく、光ファイバの異常をより確実に検出するとともに、簡単な構成により、伝送経路を選択することが可能となる。
【0012】
また、本発明の一側面は、前記抽出手段によって抽出された伝送経路毎の前記上り光の状態に基づいて、状態が良好な伝送経路を特定するとともに、特定した伝送経路を前記選択手段によって選択する制御を実行する制御手段を有することを特徴とする。
このような構成によれば、状態が相対的に良好な伝送経路を自動的に選択することが可能になる。
【0013】
また、本発明の一側面は、前記抽出手段によって抽出された伝送経路毎の前記上り光の状態を提示する提示手段を有し、前記提示手段に提示された情報に基づいて、状態が良好な伝送経路を操作者が特定し、前記選択手段を操作者が操作して特定した伝送経路を選択することを特徴とする。
このような構成によれば、操作者が提示された情報を確認しながら伝送経路を選択することができるので、伝送経路の選択をおこなうことができる。
【0015】
また、本発明の一側面は、前記送信手段は、前記光端末装置毎に異なる波長の上り光を使用し、前記分離手段は、前記波長に応じて、前記光端末装置毎の上り光を分離する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、上り光を光端末装置毎に分離することが可能になる。
【0016】
また、本発明の一側面は、前記抽出手段は、光カプラまたはWDMモジュールであることを特徴とする。
このような構成によれば、上り光を抽出することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来に比較してコストの増大を抑制しつつ、光ファイバの異常をより確実に検出することが可能な放送システムおよび光端末装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。
図4図3に示す監視機能付光端末装置の構成例を示す図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。
図7】本発明の第6実施形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
図8】従来の放送システムの構成を示す図である。
図9】従来の放送システムの構成を示す図である。
図10】従来の放送システムの構成を示す図である。
図11図10に示す光SWの詳細な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
(A)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る放送システムの構成例を示す図である。この図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る放送システムは、センター装置10、上位側光伝送路20、クロージャ30、光端末装置40−1〜40−n、および、発光部50を有している。
【0022】
ここで、光切換部11は、光を切り換えるための手段で、例えば、光スイッチによって構成される。光切換部11は、制御部12によって制御され、入力された波長がλ1の放送信号を、光カプラ15または光カプラ16のいずれか一方に送出する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、I/F(Interface)等によって構成され、ROMに格納されたプログラムに基づいて、装置の各部を制御する。
【0023】
受光部13,14は、例えば、フォトダイオード等によって構成され、光カプラ15,16から出力される光信号を電気信号に変換して制御部12に出力する。光カプラ15は、光切換部11から入射された光を上位側光伝送路20のルートAに対して出力するとともに、ルートAから入射された光を分波して、受光部13に入射する。光カプラ16は、光切換部11から入射された光を上位側光伝送路20のルートBに対して出力するとともに、ルートBから入射された光を分波して、受光部14に入射する。
【0024】
上位側光伝送路20は、ルートAおよびルートBの冗長化された2つの光伝送路を有している。光カプラ31および光カプラ32は、例えば、クロージャを構成する。光カプラ31は、ルートAまたはルートBを介してセンター装置10から送信された光を合波して、光カプラ32に出力する。また、発光部50から出力され、光カプラ32を介して出射される光を入射して、ルートAとルートBに分波して出力する。光カプラ32は、光カプラ31から出射される光を入射し、光端末装置40−1〜40−nおよび発光部50に出力するとともに、発光部50から出力される光を入射して光カプラ31に出射する。なお、発光部50を光カプラ31に接続するようにしてもよい。
【0025】
光端末装置40−1〜40−nは、例えば、各加入者宅に設置されるV−ONU(Video Optical Network Unit)等によって構成され、センター装置10から送信される光信号を受信して電気信号に変換し、放送信号として出力する。発光部50は、半導体レーザと電源部を有し、波長がλ2の光信号(以下「上り光」と称する)を生成し、光カプラ32に供給する。なお、センター装置10が送信する光信号は波長がλ1であり、発光部50が発生する光信号の波長λ2とは異なっている。このため、センター装置10からの光信号と同じ光ファイバに、上り光を伝送しても、光信号が干渉により劣化することはない。なお、一例として、センター装置10が送信する光の波長λ1は、1550nm〜1560nmに設定することができ、また、上り光は、一例として、1460〜1540nmまたは1560〜1620nmに設定することができる。もちろん、波長が同じでなければ、これ以外の設定でもよい。なお、発光部50を光端末装置40−1〜40−n(または、これ以外の光端末装置)に内蔵するようにしたり、故障に備えて複数の発光部50を設けるようにしたりしてもよい。
【0026】
つぎに、本発明の第1実施形態の動作について説明する。発光部50は、例えば、常時波長がλ2の上り光を生成して出力する。なお、常時発光するのではなく、例えば、操作者が操作することによって発光したり、定期的に発光するようにしたりしてもよい。また、発光部50は、光カプラ32に常に接続した状態とするのではなく、例えば、必要に応じて光カプラ32に接続するようにしてもよい。
【0027】
光カプラ32に入射された上り光は、光カプラ31に出射される。光カプラ31は、上り光を分波し、ルートAとルートBに出射する。なお、光カプラ31の分波比が1対1の場合には、ルートAとルートBに出力される上り光の強度は約1対1となる。なお、ルートAとルートBの伝送損失等によっては1対1以外の分波比を選択することもあり、その場合には上り光の強度は分波比に応じた強度となる。
【0028】
光カプラ31から出力された上り光は、ルートAとルートBをそれぞれ経由して、光カプラ15と光カプラ16に入射される。光カプラ15は、入射された上り光を分波して受光部13に出力する。同様に、光カプラ16は、入射された上り光を分波して受光部14に出力する。
【0029】
受光部13は光カプラ15から出力された上り光を、対応する電気信号に変換して制御部12に出力する。同様に、受光部14は、光カプラ16から出力された上り光を、対応する電気信号に変換して制御部12に出力する。
【0030】
制御部12は、受光部13および受光部14から供給された信号を入力し、各ルートの信号レベルを、伝送路の良否を判定するための基準値と比較し、各ルートの状態(良否)を判定する。そして、制御部12は、光切換部11を制御し、状態が良いと判定されたルートのうち、あらかじめ定められた優先順位に従って伝送経路を選択する。例えば、ルートA,Bの双方の状態が良好と判定された場合には、予め定められた優先順位に従ってルートが選択される。また、例えば、ルートAのみが良好であると判定された場合にはルートAが選択される。なお、予め優先順位を決めるのではなく、例えば、現用系と予備系を予め決めておき、現用系の状態が良好である場合には現用系を選択したり、良好なルートを任意で選択したり、ルートの状態が相対的に良好な(例えば、相対的に信号レベルが高い)伝送経路を選択したりすることもできる。つまり、(A)優先順位を予め定めて優先順位に基づいて切り換える方法、(B)現用系と予備系を定めて現用系に障害が生じた場合に切り換える方法、(C)良好なルートを任意(例えば、アトランダム)に切り換える方法、(D)ルートの状態に応じて良好なルートに切り換える方法がある。もちろん、これら以外の方法でもよい。以上の処理の結果、例えば、ルートBを選択した場合には、光切換部11によって光カプラ16を選択するので、光切換部11に入射された波長がλ1の光信号は、光カプラ16を介してルートBに送出される。ルートBに送出された光信号は、光カプラ31および光カプラ32を介して光端末装置40−1〜40−nに供給される。この結果、上り光の強度が高い方のルート(伝送経路)が選択されるので、例えば、上位側光伝送路20のルートAまたはルートBの一方に障害が発生した場合であっても、他方のルートにより光信号を伝送することができるので、放送サービスが停止することを防止できる。
【0031】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態によれば、光カプラ32に発光部50を接続するとともに、光信号とは波長が異なる上り光を生成して出力し、冗長化された上位側光伝送路20を経由してセンター装置10で受信し、受信した上り光の強度が高い方を現用系として選択するようにしたので、上り専用の光ファイバを別途敷設する必要がなくなるため、コストを低減することができる。
【0032】
また、上り光は、下りの光信号と同じ経路を経由して伝送されるので、光経路の障害をより確実に検出することが可能となる。さらに、発光部50は、電源とレーザダイオードのみを有する構成としたので、装置の構成を簡略化することでコストを低減することができる。
【0033】
なお、発光部50が常時発光している場合には、制御部12は、以上のような処理を定期的に実行することができる。また、発光部50が定期的に発光する場合には、制御部12は、上り光が検出された時点で、以上の処理を実行することができる。
【0034】
(B)第2実施形態
【0035】
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係る放送システムについて説明するための図である。なお、この図2において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図2の例では、図1と比較すると、光カプラ15,16がWDM(Wavelength Division Multiplexing)モジュール65,66に置換されている。それ以外の構成は、図1の場合と同様である。ここで、WDMモジュール65,66は、ルートA,B側から入射された光信号から、波長がλ2の上り光を選択的に分波し、受光部13,14に供給する。
【0036】
第2実施形態では、WDMモジュール65,66を使用することで、ルートA,B側から入射される光のうち、波長がλ2の上り光を選択的に分波して受光部13,14に導くことにより、上り光の殆どを受光部13,14に導くことができる。これにより、発光部50の出力する光のレベルが第1実施形態と同じである場合には受光部13,14が入射する上り光のレベルを高くすることができる。また、受光部13,14が入射する上り光のレベルを第1実施形態と同じに設定する場合には、発光部50の光出力レベルを低く設定することができる。なお、第2実施形態でも、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
(C)第3実施形態
【0038】
つぎに、図3を参照して、本発明の第3実施形態に係る放送システムについて説明する。なお、図3において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図3では、図1に比較すると、発光部50が監視機能付光端末装置70に置換されている。それ以外の構成は、図1の場合と同様である。
【0039】
ここで、監視機能付光端末装置70は、監視機能と、λ2の波長の上り光を送出する機能とを光端末装置(光端末装置40−1〜40−nと同様の構成を有する)に追加することで構成される。図4は、図3に示す監視機能付光端末装置70の構成例を示す図である。この図4に示すように、監視機能付光端末装置70は、受光部71、受光状態監視部72、発光部73、および、電源部74を主要な構成要素としている。ここで、受光部71は、センター装置10から送信された光信号(波長λ1)を電気信号に変換して受光状態監視部72に供給する。受光状態監視部72は、受光部71から供給される電気信号に基づいて、光信号の信号レベルの良否を判定するとともに、電源部74から供給される電源電圧の良否を判定したり、図示しない装置の他の部分の状態を監視したりする。受光状態監視部72は、検出した光信号の信号レベルや受信状態、あるいは、装置の各部の監視結果に応じた情報を生成し、発光部73を制御して、上り光に監視結果に関する情報を重畳して送出する。電源部74は、装置の各部に電源電力を供給する。なお、例えば、受信処理部を設け、受光部71によって電気信号に変換された信号を入力し、信号のエラー発生率等に基づいて光信号の信号状態の良否を判定し、判定結果を合わせて送信するようにしてもよい。
【0040】
つぎに、第3実施形態の動作について説明する。第3実施形態では、受光状態監視部72は、受光部71から供給される電気信号のレベルを検出し、例えば、信号のレベルが所定の閾値を下回った場合には異常が発生したと判定し、それ以外の場合には正常であると判定する。なお、電気信号のレベルの絶対値ではなく、時間的な変動(例えば、時間的な減少)を監視し、時間的な変動が所定の閾値を超えた場合に、異常と判定するようにしてもよい。また、受光状態監視部72は、電源部74から供給される電源電圧が所定の電圧範囲内に収まっているか否かを判定することで電源部74の状態の良否を判定する。さらに、電源部以外にも、例えば、雷等に起因する異常電圧が印加されていないかを判定することができる。なお、前述したように、受信処理部を設け、この受信処理部の受信状態(例えば、エラー発生率、同期状態、変調度等)に基づいて、受信信号の良否を受光状態監視部72が判定するようにしてもよい。例えば、エラー発生率が所定の閾値を超えた場合には異常であると判定することができる。
【0041】
受光状態監視部72は、以上のようにして受信状態および装置の状態を監視し、監視結果に基づいて、発光部73を制御して上り光を出力する。例えば、各部の状態を示すビットデータを生成し、このビットデータに基づいて、発光部73を発光させることで、監視結果を示す情報を上り光に重畳してセンター装置10に送信することができる。
【0042】
このようにして送信された上り光は、光カプラ32,31を介してルートA,Bに送出される。ルートA,Bを伝搬した上り光は、光カプラ15,16を介して受光部13,14に入射され、電気信号に変換される。制御部12は、伝送路の良否を判定するために予め設定された基準値と、電気信号とを比較することにより、伝送路の良否を判定する。なお、伝送路の良否を判定するための基準値は、予め設定するのではなく、その時点のルートの状態に応じて定めるようにしてもよい。もちろん、これら以外の方法で基準値を定めるようにしてもよい。制御部12は、受光部13,14から供給される電気信号に含まれている情報に基づいて、監視機能付光端末装置70の状態を検出することもできる。
【0043】
以上により、制御部12は、ルートA,Bを経由して伝送された上り光の強度を予め定められた基準値と比較することで、最適な伝送経路を選択することができるとともに、伝送経路に異常が発生した場合には伝送経路の変更を迅速に行うことができる。なお、基準値は、前述したようにルートの状態に応じて定めるようにしてもよい。また、切り換えを行ってみて、監視機能付光端末装置70の状態が良好となるルートを選択するようにしてもよい。
【0044】
また、監視機能付光端末装置70に到達した光信号のレベルを示す情報を受信することにより、伝送路の劣化等を検出することができる。さらに、第1実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、図3に示す構成では、光カプラ15,16を用いるようにしたが、図2と同様にWDMモジュール65,66を用いるようにしてもよい。このような構成によれば、上り光を効率良く受光部13,14に導くことができる。
【0046】
(D)第4実施形態
つぎに、図5を参照して、本発明の第4実施形態に係る放送システムについて説明する。なお、図5において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図5では、図2に比較すると、WDMモジュール65がλ2とλ3の光信号を選択的に分波して、受光部13と受光部83に入射する構成とされ、また、WDMモジュール66がλ2とλ3の光信号を選択的に分波して、受光部14と受光部84に入射する構成とされている。また、X地区に波長がλ2の上り光を生成する発光部50が設けられるとともに、Y地区に波長がλ3の上り光を生成する監視機能付光端末装置70が設けられている。それ以外の構成は、図2の場合と同様である。
【0047】
ここで、受光部83,84は、受光部13,14と同様に、例えば、フォトダイオード等によって構成され、上り光を対応する電気信号に変換して出力する。WDMモジュール65は、前述したように、ルートAを伝搬する上り光を入射し、波長がλ2の上り光(発光部50からの上り光)を分波して受光部13に供給し、波長がλ3の上り光(監視機能付光端末装置70からの上り光)を分波して受光部83に供給する。WDMモジュール66は、ルートBを伝搬する上り光を入射し、波長がλ2の上り光(発光部50からの上り光)を分波して受光部14に供給し、波長がλ3の上り光(監視機能付光端末装置70からの上り光)を分波して受光部84に供給する。
【0048】
発光部50は、波長λ2の上り光を発生する半導体レーザ素子と電源部とを有している。発光部50は、図5の例では、X地区に配置される。
【0049】
監視機能付光端末装置70は、図4と同様の構成とされ、受信した光信号の受信状態や内部の状態を監視し、監視結果を示す情報を波長がλ3のテスト信号に重畳して、センター装置10に送信する。なお、図5の例では、監視機能付光端末装置70は、Y地区に配置されている。
【0050】
つぎに、第4実施形態の動作について説明する。X地区に配置された発光部50から出力された波長がλ2の上り光は、光カプラ32,31を介してルートAおよびルートBに送出される。ルートAを伝搬した上り光は、WDMモジュール65によって選択的に分波され、受光部13に入射される。一方、ルートBを伝送された上り光は、WDMモジュール66によって選択的に分波され、受光部14に入射される。制御部12は、受光部13,14から供給される信号レベルを、ルートの状態を判定するための基準値と比較し、基準値を上回るルートのうち、例えば、予め定められた優先順位に基づいて一方のルートを選択する。なお、予め定められた優先順位に基づくのではなく、第1実施形態で説明した方法のいずれかによってルートを選択することも可能である。
【0051】
また、Y地区に配置された監視機能付光端末装置70は、光信号の状態と、内部の状態を示す情報を重畳した上り光(波長λ3の光)を送信する。この上り光は光カプラ32,31を介してルートAおよびルートBに送出される。ルートAを伝搬した上り光は、WDMモジュール65によって選択的に分波され、受光部83に入射される。一方、ルートBを伝搬した上り光は、WDMモジュール66によって選択的に分波され、受光部84に入射される。制御部12は、受光部83,84から供給される信号を、基準値と比較し、基準値を上回るルートの内、予め定められた優先順位に基づいて一方のルートを選択することができる。もちろん、第1実施形態において説明したいずれかの方法によってルートを選択することも可能である。また、制御部12は、受光部13,14および受光部83,84の出力を参照することにより、故障要因を推定することもできる。例えば、受光部13,14のみが異常である場合には、発光部50の異常であると判定することができる。また、受光部13,83のみが異常である場合には、ルートAが異常であると判定することができる。また、制御部12は、上り光に重畳されている情報を抽出することで、監視機能付光端末装置70の状態を知ることができる。このため、監視機能付光端末装置70に到達した光信号のレベルを示す情報を受信することにより、伝送路の劣化等を検出することができる。
【0052】
以上に説明したように、第4実施形態では、最適な経路を選択するとともに、受光部の出力信号を参照することにより、発光部の異常またはルートの異常であるかを判別することができる。これにより、改修対象を明確にすることができる。
【0053】
(E)第5実施形態
つぎに、図6を参照して、本発明の第5実施形態に係る放送システムについて説明する。なお、図6において、図5と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図6では、図5に比較すると、X地区に配置されている発光部50が監視機能付光端末装置70−2に置換され、また、監視機能付光端末装置70が監視機能付光端末装置70−1に置換されている。それ以外の構成は、図5の場合と同様である。なお、監視機能付光端末装置70−1,70−2は、図4と同様の構成を有している。
【0054】
第5実施形態では、地区毎に監視機能付光端末装置が配置されているので、センター装置10において、監視機能付光端末装置70−1,70−2へ到達する光信号のレベルを把握することができる。また、監視機能付光端末装置70−1,70−2からの情報も考慮することで、例えば、X地区で発生した商用電源の異常(例えば、電圧の異常等)に起因して、監視機能付光端末装置70−2の電源電圧に異常が発生している場合には、これを検出することができる。このため、異常の発生が伝送経路に起因するのか、あるいは、監視機能付光端末装置70−1,70−2等に起因するのかを判別することができる。なお、電解コンデンサやバックアップ電池等の電源を設けておき、商用電源が停電した場合には、これらの電源に蓄えられた電力に基づいて、商用電源に停電が発生していることをセンター装置10に通知するようにしてもよい。
【0055】
なお、図5ではX地区に発光部50を配置し、Y地区には監視機能付光端末装置70を配置し、図6ではX地区とY地区の双方に監視機能付光端末装置70−1,70−2を配置するようにしたが、これは一例であって、これ以外の配置であってもよい。例えば、X地区とY地区の双方に発光部50を配置したり、X地区に監視機能付光端末装置70をY地区に発光部50を配置するようにしたりしてもよい。また、ひとつの地区に複数の発光部50または監視機能付光端末装置70を配置するようにしてもよい。そのような構成によれば、故障が発生しやすく、また、故障が発生した場合の回復に時間を有する、例えば、山間部のような場所には複数の発光部50または監視機能付光端末装置70を配置することで、異常の発生箇所を迅速に特定することができる。
【0056】
(F)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、制御部12を設けて、この制御部12により経路の状態を検出して自動的に経路を選択するようにしたが、例えば、図7に示すように提示部100を設け、この提示部100に提示された情報に基づいて、操作者が操作部101を操作することにより、伝送経路を選択するようにしてもよい。より詳細には、図7に示す第6実施形態では、図1に比較すると、制御部12が除外され、提示部100、および、操作部101が追加されている。ここで、提示部100は、受光部13,14によって受光された上り光の比較結果を、操作者に提示する。なお、提示方法としては、例えば、現在使用されている伝送経路(現用系)を示す情報と、最適な経路を示す情報を、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって提示するようにしたり、LCD(Liquid Crystal Display)に提示するようにしたり、あるいは、音声によって提示するようにしてもよい。操作部101は、操作者による操作がなされた場合には、光切換部11の接続を切り換える。つぎに、図7に示す第6実施形態の動作を説明する。発光部50から送出された上り光は、ルートA,Bを介して光カプラ15,16に入射される。光カプラ15,16は上り光を分波して受光部13,14に入射する。受光部13,14は上り光を電気信号に変換して出力する。提示部100は、例えば、受光部13,14から出力された電気信号をデジタル信号に変換し、得られたデジタル信号をモニタに表示することができる。なお、このようなデジタル信号を、記録部にログとして記録するようにしてもよい。これらの値を比較することで、操作者は、減衰の少ない最適な経路を特定することができる。これ以外にも、例えば、受光部13,14から出力された電気信号を所定のゲインで増幅して2つのLEDを点灯するようにしてもよい。このような構成によれば、2つのLEDはルートA,Bにおけるテスト光の減衰に応じた明るさで点灯することから、これらの明るさを比較することで、操作者は、減衰の少ない最適な経路を特定することができる。経路が特定されると、操作者は、操作部101を操作し、光切換部11を切り換えることで、最適な経路を選択することができる。なお、操作部101を操作するのではなく、例えば、光ファイバを操作者が差し換えたり、ファイバ配線盤の接続を切り換えたりするようにしてもよい。また、提示部100は、受光部13,14から供給される電気信号を比較し、比較結果を示す情報を表示するようにしてもよい。
【0057】
また、以上の各実施形態では、経路はルートA,Bの2つとしたが、3以上有するようにしてもよい。また、以上の各実施形態では、発光部50は連続して発光する例を挙げて説明したが、例えば、間欠的に発光するようにしたり、定刻に発光したりするようにしてもよい。また、特定周波数の電気信号を上り光に重畳し、電気信号に含まれる同周波数の信号レベル等を基準と比較し、最適な経路を選択するようにしてもよい。また、一定の強度で発光するのではなく、所定のデータに応じて変調し、変調されたデータを復調した場合のエラー率に応じて、最適な経路を選択するようにしてもよい。また、時間とともに発光強度を増加または減少させ、受光部の出力が所定の閾値を超えるまたは下回るタイミングを比較することで、最適な経路を選択するようにしてもよい。あるいは、同期信号を送信し、この同期信号に基づいてPLL(Phase Locked Loop)を構成し、PLLによるロックがなされた経路を選択するようにしてもよい。
【0058】
また、以上の各実施形態では、各地区に配置される監視機能付光端末装置または発光部は、1台としたが複数台配置するようにしてもよい。このような構成によれば、異常が検出された場合にその地区全体に異常が発生しているのか、それとも、特定の監視機能付光端末装置または発光部に異常が発生しているかを区別することができる。
【0059】
また、以上の各実施形態では、上り光を多重化する場合に、波長による多重化(λ2,λ3による多重化)を行うようにしたが、例えば、周波数分割多重化を行ったり、あるいは、時分割多重化を行ったりすることも可能である。例えば、前者の場合には、地区毎に異なる周波数によって上り光を変調し、センター装置10では、光電変換後にフィルタによって特定の周波数の信号を抽出するようにしてもよい。また、後者の場合には、地区毎に時間を決めて上り光を送信することで多重化することができる。これら以外にも、例えば、スードノイズ(Pseudo Noise)等を用いたスペクトラム拡散方式によって多重化したり、あるいは、基準信号に対する位相変化や振幅変化による変調を行ったりしてもよい。
【0060】
また、以上の各実施形態では、発光部および監視機能付光端末装置は、光カプラ32に接続するようにしたが、光カプラ31に接続するようにしてもよい。もちろん、光カプラ31と光カプラ32の双方に発光部または監視機能付光端末装置を接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 センター装置
11 光切換部(選択手段)
12 制御部(制御手段、推定手段)
13,14,83,84 受光部
15,16 光カプラ(抽出手段)
20 上位側光伝送路
30 クロージャ
31,32 光カプラ
40−1〜40−n 光端末装置
50 発光部(光端末装置、送信手段)
65,66 WDMモジュール(抽出手段、分離手段)
70,70−1,70−2 監視機能付光端末装置(光端末装置)
71 受光部
72 受光状態監視部(検出手段)
73 発光部(送信手段)
74 電源部
100 提示部(提示手段)
101 操作部(選択手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11