(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の光ファイバ接続工具の一実施形態を説明する。
図1〜
図3に示すように、光ファイバ接続工具200は、光コネクタ210を備えた光ファイバ接続用ユニット20と、挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ190を有する接続治具110と、を備えている。
光ファイバ接続用ユニット20は、光コネクタ210と、これを保持するスライダ220(被案内部)とを備えている。
光ファイバ接続用ユニット20については、ファイバホルダ190に近づく方向を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。また、クランプ部付きフェルール160の説明に限っては、フェルール161の接合端面161bに向かう方向を前方ということがある。
【0010】
図2に示すように、光コネクタ210は、断面矩形のスリーブ状のつまみ170と、つまみ170内に設けられたスリーブ状のハウジング180と、ハウジング180内に設けられたクランプ部付きフェルール160とを備えている。
【0011】
図2および
図4に示すように、クランプ部付きフェルール160は、内蔵光ファイバ162(第1の光ファイバ)を内挿固定したフェルール161の後側に、クランプ部163(接続機構)を組み立てたものである。
クランプ部163は、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aと、後側から挿入して内蔵光ファイバ162後端に突き当てた光ファイバ1先端部とを把持固定して光ファイバ162、1同士の突き合わせ接続状態を維持する。
【0012】
クランプ部163は、フェルール161のフランジ部164から後側に延出するベース部材165(後側延出片165)(ベース側素子)と蓋部材166、167(蓋側素子)と、これらを内側に一括保持したクランプばね168とを備えている。
クランプ部163は、ベース部材165と蓋部材166、167との間に、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aと、内蔵光ファイバ162後端に突き当てた挿入光ファイバ1先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0013】
内蔵光ファイバ162は、フェルール161にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔161aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール161に固定されている。このため、フェルール161は内蔵光ファイバ162を、クランプ部163の前側でクランプ部163に対し位置決めする位置決め機構として機能する。
内蔵光ファイバ162の前端の端面は、フェルール161先端(前端)の接合端面161bに露出している。
フェルール161の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部164が一体化されている。
クランプ部163は、フランジ部164からフェルール161後側へ延出された後側延出片165と、蓋部材166、167とを、クランプばね168の内側に一括保持した構成になっている。
【0014】
後側延出片165の蓋部材166、167に対面する対向面165a(溝形成面)には、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aをフェルール161のファイバ孔161aの後方延長上に位置決めする調心溝169aと、調心溝169aの後端から後方に延在する被覆部収納溝169bが形成されている。
【0015】
後蓋部材167の対向面167aには、後側延出片165の被覆部収納溝169bに対応する位置に被覆部収納溝169cが延在形成されている。
前蓋部材166には、後側延出片165の対向面165aに対面する平坦な対向面166aが形成されている。
【0016】
後側延出片165と蓋部材166、167との間には、スプライス用工具230の介挿片部231aが抜き去り可能に介挿できる(
図5参照)。
図2に示すように、介挿片部231aは、つまみ170の挿通孔170a、および、ハウジング180の挿通孔181aを介してクランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間に挿入できる。
【0017】
ハウジング180は、スリーブ状(円筒状)の本体部181と、本体部181の後端から後方に延出するスリーブ状(円筒状)の延出筒部182とを有する。
本体部181には、その軸線方向に間隔をおいて、介挿片部231aが挿通可能な2つの挿通孔181aが形成されている。2つの挿通孔181aは、本体部181の軸線方向に間隔をおいて形成されている。
延出筒部182の外周面には、凹凸部182aを形成することが好ましい。図示例の凹凸部182aは、延出筒部182の周方向に沿う複数の環状凸部からなる。
【0018】
図2において、符号171は、フェルール161が挿入される位置決めスリーブである。
符号172は、クランプ部付きフェルール160を保持し、位置決めする保持具である。保持具172は、基部173と、基部173から延出する一対の弾性片174とを有し、弾性片174,174間にクランプ部付きフェルール160を保持できる。
【0019】
図2および
図6に示すように、スライダ220は、基板部221(基部)と、その上面に立設された一対の側壁部222と、基板部221の上面から上方に突出して光コネクタ210を位置決めする一対の弾性係止片225と、基板部221の前端から前方に突出して形成されたハウジング支持部223と、を有する。
スライダ220は、側壁部222間の空間224に、前後方向に沿う姿勢の光コネクタ210を保持することができる。
【0020】
図6に示すように、弾性係止片225は、側壁部222よりやや後方において、基板部221から上方に突出する板状とされている。
以下、
図6のXYZ直交座標系を参照しつつ構造説明を行う。X方向は前後方向であって、側壁部222と弾性係止片225の並び方向でもある。Y方向は基板部221に平行な面内でX方向に直交する方向であり、Z方向はX方向およびY方向と直交する高さ方向である。
【0021】
弾性係止片225は、幅方向が前後方向(X方向)に沿い、長さ方向が高さ方向(Z方向)に沿う長板状とされ、先端部の内面には、光コネクタ210のつまみ170の側縁部170bに係止する係止凸部225aが形成されている。
弾性係止片225は、弾性的に曲げ変形可能な板状とされ、つまみ170の側方移動を規制し、光コネクタ210を位置決めできる。
【0022】
図6〜
図8に示すように、係止凸部225aは、内方に突出する断面略台形の凸部であって、弾性係止片225の幅方向(X方向)に延在して形成されている。図示例の係止凸部225aは、弾性係止片225のほぼ全幅範囲にわたって形成されている。
【0023】
図9は、係止凸部225aを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は前面図である。
図9(c)に示すように、係止凸部225aの断面形状は、XY平面に沿う下面225dと、XZ平面に沿う側面225eと、突出方向(内方)に向けて徐々に下降する傾斜面である上面225fとを有する略台形である。
係止凸部225aは、弾性係止片225が変形していない状態にあっては、つまみ170の上面170cの上に張り出して形成されており、つまみ170の上方移動を規制し、光コネクタ210を位置決めできる。
【0024】
係止凸部225aの前端部には、切欠き225cが形成されている。
切欠き225cにより形成される切欠き面225jは、前方(
図9(a)および
図9(b)の右方)に行くほど、突出高さ(弾性係止片225の内面225gからの突出高さ)(
図9(c)参照)を減じる傾斜面である。
切欠き面225jの下縁225k(傾斜内縁)は、前方(
図9(b)の右方)に行くほど内面225gに近くなるように傾斜している。図示例の下縁225kは、その最前端225mでは内面225gに達している。すなわち、切欠き面225jの下縁225kは、前方に行くほど突出高さ(内面225gからの突出高さ)を減じ、最前端225mでは突出高さはゼロとなっている。
【0025】
側壁部222の外面には、接続治具110の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起227が外側方に突出して形成されている。
【0026】
図2および
図3に示すように、ハウジング支持部223は、基体部226と、その上面から突出する一対の側板部227とを有し、側板部227、227間の収容空間228にハウジング180の延出筒部182を保持できる。
【0027】
図3に示すように、基体部226の一方の側面226a(ファイバホルダ190の他側延出部197側に相当)には、他側延出部197の照合用凸部197bが入り込むことができる照合用凹部226bが形成されている。
照合用凹部226bは、前後方向に沿う溝状に形成されている。
基体部226の他方の側面226c(ファイバホルダ190の一側延出部196側に相当)には、側方に突出する凸部226dが前後方向に沿って延在して形成されている。
スライダ220は、プラスチック製の一体成形品とすることができる。
【0028】
図2、
図3および
図5に示すように、クランプ部付きフェルール160のクランプ部163には、スプライス用工具230を取り付けることができる。
スプライス用工具230は、クランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間を押し広げる介挿片部231aを有する2つの介挿部材231と、介挿部材231を駆動するスリーブ状の介挿部材駆動部232と、介挿部材駆動部232から突出する一対の係合壁部237とを有する。
【0029】
2つの介挿部材231、231は、介挿部材駆動部232に、その軸線方向に互いに離隔させて設けられている。
スプライス用工具230は、介挿片部231aを後側延出片165と蓋部材166、167との間に割り込ませた状態でクランプ部163に取り付けられる。
【0030】
スプライス用工具230は、介挿部材駆動部232の両側部分を押圧して互いに接近させることで、介挿部材駆動部232の受圧壁部236に対して対向壁部235を上昇させることができる。これによって、介挿片部231aをクランプ部163から抜き去ることができる。
【0031】
係合壁部237の突端部には、光ファイバ接続用ユニット20に係止する突爪237aが内方に突出して形成されている。
スプライス用工具230は、係合壁部237、237間に光ファイバ接続用ユニット20を保持することができる。
【0032】
図10に示すように、第2案内部142に保持される光ファイバホルダ190は、ベース部191と、ヒンジ部となる基端部192aでベース部191に対し回動自在に結合された蓋体192とを有し、ベース部191上の挿入光ファイバ1を、蓋体192によってベース部191に押さえ込んで把持固定できる。
ファイバホルダ190については、光ファイバ接続用ユニット20に近づく方向を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。
【0033】
ベース部191は、基体部195と、その前端面の一側部から前方に延出する一側延出部196と、基体部195の前端面の他側部から前方に延出する他側延出部197とを備えている。
一側延出部196および他側延出部197は、その間に確保されたユニット収容空間199(第2ユニット収容空間)に、光ファイバ接続用ユニット20の前端部を収容できる。
【0034】
一側延出部196の内面196aには、前後方向に沿う溝状の凹部196bが形成されている。
他側延出部197の内面197aには、内方に突出する照合用凸部197bが前後方向に沿って形成されている。照合用凸部197bは、光ファイバ接続用ユニット20の照合用凹部226bに入り込む形状である。
【0035】
ベース部191(基体部195)の上面191bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部193aを有する第1保持壁部193と、位置決め凹部194aを有する第2保持壁部194と、位置決め凹部195aを有する台部195bと、が形成されている。
第2保持壁部194は第1保持壁部193の前方に、第1保持壁部193から離間して形成されている。
台部195bは第2保持壁部194の前方に、第2保持壁部194から離間して形成されている。
【0036】
ベース部191(基体部195)の上面には、位置決め凹部193aから位置決め凹部194aを経て前後方向に延在する直線状の位置決め溝191aが形成されている。位置決め溝191aは、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
一側延出部196および他側延出部197の外側面には、弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起198が外側方に突出して形成されている。係止用突起198の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0037】
蓋体192をベース部191の上面191bに被せた状態(閉状態)では、蓋体192は保持壁部193、194の間に配置される。
蓋体192の基端部192a(ヒンジ部)とは反対の端部である先端部192b側に形成された係止突起192cは、ベース部191に形成された係止凹部191cに係脱自在に嵌合できる。
蓋体192は、ベース部191の上面191bに被せた状態(閉状態)で、係止突起192cをベース部191の係止凹部191cに係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部191(基体部195)に押さえ込んで把持固定できる。
蓋体192はベース部191と一体に成形されてもよい。
【0038】
図11に示すように、接続治具110は、光ファイバ接続用ユニット20を案内する第1案内部132と、ファイバホルダ90を保持する第2案内部142(ファイバホルダ保持部)とを有する治具基部130を備えている。
第1案内部132は、光ファイバ接続用ユニット20をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部135、135とを有する。
【0039】
一対の案内壁部135は、第1案内部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ220の基板部221の両側縁部221aが当接することによって、光ファイバ接続用ユニット20の幅方向の移動を規制できる。
案内壁部135の下部内面には、光ファイバ接続用ユニット20の浮き上がり(接続治具110から離れる方向の光ファイバ接続用ユニット20の移動)を規制する溝部135aが形成されている。
溝部135aは、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部221の両側縁部221aが入り込むことによって、スライダ220の浮き上がりを規制できる。
【0040】
治具基部130には、第1案内部132上の光ファイバ接続用ユニット20を位置決めする一対の弾性係止片136が形成されている。
弾性係止片136は、第1案内部132の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ220の係止用突起227が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1案内部132の前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端はスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出して形成されている。
【0041】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ220の係止用突起227が入り込んで該係止用突起227と係合したときに、第1案内部132に対するスライダ220の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ220を挟み込み、スライダ220を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1案内部132に沿って前進させた光ファイバ接続用ユニット20(スライダ220)に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0042】
第2案内部142は、ファイバホルダ190をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部145、145とを有する。
一対の案内壁部145は、第2案内部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ190の幅方向の移動を規制できる。
【0043】
治具基部130には、ファイバホルダ190を位置決めする一対の弾性係止片146が形成されている。
弾性係止片146は、治具基部130から突出する突出板部146aの先端に、ファイバホルダ190の係止用突起198が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
係合片部146bは、突出板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出して形成されている。
【0044】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ190の係止用突起198が入り込んで該係止用突起198と係合したときに、第2案内部142に対するファイバホルダ190の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、突出板部146aの弾性によってファイバホルダ190を挟み込み、ファイバホルダ190を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2案内部142に沿って前進させたファイバホルダ190に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0045】
第1案内部132のスライド面133には、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って、溝部139が形成されている。
溝部139の底部には、スライド面133上に突出する弾性突出片137が形成されている。
弾性突出片137は、前後方向に沿って、第2案内部142に近づく方向に徐々に上昇しつつ延出する傾斜板部137aと、傾斜板部137aの延出端から前後方向に沿って、スライド面133と平行に延出する延出板部137bとを有する。
延出板部137bの上面の高さ位置は、第2案内部142上で位置決めされたファイバホルダ190から延出した挿入光ファイバ1に近接する位置であることが好ましい。
【0046】
弾性突出片137は、基端部137cにおいて弾性的に曲げ変形可能である。
このため、光ファイバ接続用ユニット20をスライド面133上で前進させる際には、傾斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット20に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット20の前進に支障が生じることはない。
【0047】
弾性突出片137には、挿入光ファイバ1の位置確認用の1または複数の表示140を形成することができる。
図示例の表示140は、光ファイバカッター(図示略)によって長さ調整される前の挿入光ファイバ1の先端の位置確認用の表示140aと、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aの先端の位置確認用の表示140bと、挿入光ファイバ1の被覆1bの先端の位置確認用の表示140cとを有する。
【0048】
治具基部130の第2案内部142の下部には、光ファイバ接続工具200を仮置きするための切欠き130aが形成されている。切欠き130aは、第2案内部142の下縁から後方に行くに従って徐々に上昇するように斜め方向に形成されている。
光ファイバ接続工具200は、例えばクロージャのケース(図示略)の端縁部を切欠き130aに挿入した状態で前記ケースに係止させることによって、仮置きすることができる。
【0049】
次に、光ファイバ接続工具200を用いて内蔵光ファイバ162と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する方法について、
図12を参照しつつ説明する。
図3〜
図5に示すように、予め、スプライス用工具230を光ファイバ接続用ユニット20に取り付けることによって、介挿片部231aをクランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間に挿入し、挿入光ファイバ1が挿入可能な状態とする。
【0050】
図10に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部191の位置決め溝191a内に配置し、蓋体192によってベース部191に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、前方への所定の突出長を確保してファイバホルダ190に固定する。
ファイバホルダ190は、第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起198を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させて位置決めする。
【0051】
次いで、
図12(a)および
図12(b)に示すように、光ファイバ接続用ユニット20を、接続治具110の第1案内部132のスライド面133上に載置し、案内壁部135によって幅方向の移動が規制された状態で、ファイバホルダ190に向かって前進させる。
光ファイバ接続用ユニット20の移動過程では、基板部221の両側縁部221aが側壁部135の内面の溝部135aに入り込むことによってスライダ220の浮き上がりが規制される。
【0052】
図12(c)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、係止用突起227を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させることによって、光ファイバ接続用ユニット20は、弾性係止片136によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面133上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット20の位置を前進限界位置と言う。
挿入光ファイバ1は、クランプ部付きフェルール160の調心溝169aに挿入され、内蔵光ファイバ162の後端に突き当てられる。符号C1は突き合わせ接続位置である。クランプ部付きフェルール160とファイバホルダ190の間の挿入光ファイバ1には撓みが形成されてもよい。
【0053】
図10に示すように、前進限界位置では、光ファイバ接続用ユニット20の前端部は、ファイバホルダ190の一側延出部196と他側延出部197との間に確保された第2ユニット収容空間199に進入する。
この際、ファイバホルダ190の照合用凸部197bは光ファイバ接続用ユニット20の照合用凹部226bに入り込む。
【0054】
図12(d)に示すように、スプライス用工具230を操作して、クランプ部163から介挿片部231aを抜き去ると、クランプばね168の弾性によって、後側延出片165と蓋部材166、167との間に光ファイバ1先端の裸光ファイバ1aが把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール160の内蔵光ファイバ162に対する光ファイバ1の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0055】
光ファイバ接続工具200では、接続治具110が、光ファイバ接続用ユニット20をファイバホルダ190に向けて案内する第1案内部132を備えているので、ファイバホルダ190を移動させず、光コネクタ210をファイバホルダ190に向けて移動させることによって、光ファイバ1、162の接続を行うことができる。
従って、挿入光ファイバ1の余長が短い場合でも、光ファイバ1、162の確実な接続が可能となる。
【0056】
次に、光コネクタ210をスライダ220に対して装着、およびスライダ220から取り外す操作について説明する。
図6に示すように、スライダ220の弾性係止片225は弾性的に曲げ変形可能であるため、弾性係止片225を、互いに離隔する方向に曲げ変形させることによって、光コネクタ210を弾性係止片225間に設置できる。
【0057】
図6および
図7に示すように、光コネクタ210をスライダ220から取り外すには、スライダ220の前部に相当する部分の光コネクタ210を上方移動させる。
これによって、光コネクタ210は、スライダ220の後部(弾性係止片225より後方の位置)に当接し、ここを支点として、スライダ220の前方に行くほど上昇するように傾斜する姿勢となる。
【0058】
図9に示すように、光コネクタ210の傾斜を大きくしていくと、光コネクタ210のつまみ170の側縁部170bは、係止凸部225aの切欠き面225jの下縁225kに当接する。
上述のように、下縁225kは、後方(
図7の左方)に行くほど突出高さを増すため、側縁部170bがさらに傾斜姿勢となると、係止凸部225aには、外側方の成分を含む力が下縁225kから加えられることになる。
このため、
図6および
図8に示すように、弾性係止片225は互いに離れる方向に変形し、つまみ170に対する係止凸部225aの係止が解除され、光コネクタ210をスライダ220から取り外すことができるようになる。
一方、光コネクタ210を傾斜させずに上方移動させると、つまみ170は係止凸部225aの下面225dに当接し、上方移動が阻止される。
【0059】
このように、光ファイバ接続用ユニット20では、弾性係止片225に、切欠き225cを有する係止凸部225aが形成されているため、通常状態では光コネクタ210はスライダ220から外れにくく、かつ、光コネクタ210をスライダ220から取り外す操作は容易となる。
【0060】
光ファイバ接続工具200では、光ファイバ接続用ユニット20を接続治具110上でファイバホルダ190に接近させることによって光ファイバ1、162の接続を行うことができるため、ファイバホルダ190は、治具基部130に固定されていてもよい。また、ファイバホルダ190は、治具基部130に一体に形成することもできる。
【0061】
接続機構、介挿部材、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
挿入光ファイバは特に限定されず、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアにわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等を例示できる。