(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メカニカルスプライスを保持するメカニカルスプライス保持部と、前記メカニカルスプライスの一端側で第1の光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、前記第1の光ファイバと突き合わせる第2の光ファイバを固定する接続治具に設けた案内部に沿ってスライド可能な被案内部とを有する光ファイバ接続用ユニットと、
前記光ファイバ接続用ユニットを案内する案内部と、前記第2の光ファイバを固定する光ファイバ固定部とを有する接続治具と、
前記メカニカルスプライスの両端を未把持固定状態から把持固定状態に切り替え可能な工具とを備え、
前記光ファイバ接続用ユニットには、前記メカニカルスプライスの一端側と前記光ファイバ把持部との間に第1の撓み幅が形成されており、
突き当ての際に前記メカニカルスプライスの他端側と前記光ファイバ固定部との間に、前記第1の撓み幅より短い第2の撓み幅が確保されており、前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側をいずれも未把持固定状態にした上で、前記接続治具の前記光ファイバ固定部に固定された前記第2の光ファイバを前記メカニカルスプライスにその他端側から挿入し、その状態にて、前記光ファイバ把持部に把持され前記メカニカルスプライスにその一端側から挿入された前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの突き当てを行うことで、前記メカニカルスプライスの一端側に前記第1の撓み幅の撓みを形成し、その状態で前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側を把持固定状態とする光ファイバ接続工具。
メカニカルスプライスを保持するメカニカルスプライス保持部と、前記メカニカルスプライスの一端側で第1の光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、前記第1の光ファイバと突き合わせる第2の光ファイバを固定する接続治具に設けた案内部に沿ってスライド可能な被案内部とを有する光ファイバ接続用ユニットと、
前記光ファイバ接続用ユニットを案内する案内部と、前記第2の光ファイバを固定する光ファイバ固定部とを有する接続治具と、
前記メカニカルスプライスの両端を未把持固定状態から把持固定状態に切り替え可能な工具とを備え、
前記光ファイバ接続用ユニットには、前記メカニカルスプライスの一端側と前記光ファイバ把持部との間に第1の撓み幅が形成されており、
突き当ての際に前記メカニカルスプライスの他端側と前記光ファイバ固定部との間に、前記第1の撓み幅より短い第2の撓み幅が確保される光ファイバ接続工具を使用し、
前記メカニカルスプライス保持部に保持した前記メカニカルスプライスの両端側をいずれも前記工具により未把持固定状態にした上で、前記光ファイバ接続用ユニットを、前記接続治具の案内部に沿って、前記光ファイバ固定部に接近する方向に移動させて、前記接続治具の前記光ファイバ固定部に固定された前記第2の光ファイバを前記メカニカルスプライスにその他端側から挿入し、その状態にて、前記光ファイバ把持部に把持され前記メカニカルスプライスにその一端側から挿入された前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの突き当てを行なうことで、前記メカニカルスプライスの一端側において前記第1の光ファイバに前記第1の撓み幅の撓みを形成し、その状態で前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側を把持固定状態とする、光ファイバの接続方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜
図4に示すように、光ファイバ接続工具100は、光ファイバケーブル24の端末24aに取り付けられた光ファイバ接続用ユニット10と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90(光ファイバ固定部)を保持する接続治具110と、を備えている。
以下の説明において、
図3における上下方向に即して上下方向を規定して説明を行うことがある。
【0010】
光ファイバ接続用ユニット10は、光ファイバケーブル24の端末から引き出される延出光ファイバ21(第1の光ファイバ)を、挿入光ファイバ1(第2の光ファイバ)と突き合わせて把持固定するメカニカルスプライス30と、光ファイバケーブル24を把持するケーブル把持部材70(光ファイバ把持部)と、これらを保持するユニットベース11と、スライダ120(被案内部)とを備えている。
光ファイバ接続用ユニット10については、ファイバホルダ90に近づく方向(
図3の右方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。また、メカニカルスプライスは、単に「スプライス」とも言う。
【0011】
図2、
図5、
図6、
図16に示すように、ユニットベース11は、スプライス30を脱着可能に保持するメカニカルスプライス保持部60(以下、スプライス保持部60と言う)と、光ファイバケーブル24の端末24aを脱着可能に把持するケーブル把持部材70が保持される把持部材保持部50と、を有する。
スプライス保持部60は、基体部61と、基体部61の一側縁に立設された一側突壁部62と、基体部61の他側縁に立設された他側突壁部63と、一側突壁部62の前端に設けられた前側突壁部64と、突壁部62、63の後端にそれぞれ設けられた後側突壁部65とを有する。
スプライス保持部60は、スプライス30を、向かい合う一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納して保持することができる。
【0012】
突壁部62、63の上縁には、長さ方向の中間位置に、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82(受圧壁部86)が嵌合する嵌合凹部62c、63cが形成されている。
【0013】
図6に示すように、一側突壁部62の外面62a(ファイバホルダ90の一側延出部96側に相当)には、光ファイバ接続用ユニット10の前端部をファイバホルダ90のユニット収容空間99に収容したときに、ファイバホルダ90の照合用凸部96bが入り込むことができる照合用凹部62bが形成されている。照合用凹部62bは、前後方向に沿う溝状に形成されている。
【0014】
前側突壁部64と後側突壁部65との離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に応じて設定されており、スプライス30は、前側突壁部64と後側突壁部65によって基体部61に対する前後方向の位置ずれが規制される。
スプライス保持部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
【0015】
図6、
図17に示すように、把持部材保持部50は、基体部51と、基体部51の一側縁に立設された一側突壁部52と、基体部51の他側縁に立設された他側突壁部53と、ケーブル把持部材70を位置決めするレバー部材150とを有し、ケーブル把持部材70を基体部51上で保持できる。
【0016】
図6、
図12、
図17に示すように、レバー部材150は、把持部材保持部50に保持されたケーブル把持部材70に被せるカバー板151と、その両側に設けられた側板152、152と、後退規制片154とを有する。
レバー部材150は、把持部材保持部50の両側部の回転軸55を中心として回動することにより、ケーブル把持部材70を保持してその後退を規制する規制位置(
図12の実線で示す位置)と、ケーブル把持部材70の後退を規制しない待機位置(
図12の2点鎖線で示す位置)とを切り替え可能である。
【0017】
側板152は、把持部材保持部50の両側部に突設された回転軸55が挿入される軸受穴152aを有する。回転軸55を軸受穴152aに挿入すると、レバー部材150が把持部材保持部50に対して回動可能に枢着される。
レバー部材150は、規制位置において、後退規制片154(
図17参照)をケーブル把持部材70の後側に配置することにより、ユニットベース11に対するケーブル把持部材70の後退を規制することができる。
側板152は、把持部材保持部50の外面50aに突出された係合突起50bに係合する係合穴152bを有する。係合突起50bを係合穴152bに係合させることにより、レバー部材150を規制位置に維持することができる。
【0018】
把持部材保持部50及びスプライス保持部60は一体に形成することが好ましい。例えば、プラスチック製の一体成形品とすることができる。
なお、改変例として、把持部材保持部50が、ケーブル把持部材70を載せてスライド可能に設けられる板状のガイド部材(図示せず)を有する構造を挙げることができる。ガイド部材は、ケーブル把持部材70とともに前進することで、把持部材保持部50の内部へと収容される。
【0019】
図4、
図5に示すように、把持部材保持部50とスプライス保持部60の間には、ケーブル把持部材70の前側突出部75から突出する延出光ファイバ21の先端を、スプライス30のテーパ状開口部34b(
図3参照)に向けて案内する光ファイバ案内部13が設けられている。
光ファイバ案内部13は、テーパ状開口部34bの中央部に向けて傾斜する内面を有し、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入するときに、延出光ファイバ21の先端をスプライス30のテーパ状開口部34bへと案内することができる。
【0020】
ユニットベース11内には、スプライス30と、ケーブル把持部材70の把持ベース71との間に、延出光ファイバ21が撓み変形することが可能な撓み空間12が確保されている。
【0021】
図7〜
図9に示すように、スプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32と、これらを互いに閉じ合わせる方向に弾性付勢する細長形状のクランプばね33とを有する。
ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とは、半割り把持部材34を構成する。
【0022】
スプライス30については、その長手方向において、延出光ファイバ21が挿入される側(
図9の左側)を後、反対側(
図9の右側)を前として説明する。
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を後蓋部材とも言い、最も前側に位置する符号323の蓋部材を前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を中蓋部材とも言う。
【0023】
図8、
図9に示すように、スプライス30のベース部材31は、その長手方向の全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが形成されている。対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、ベース部材31の長手方向に沿う調心溝31bが形成されている。
調心溝31bは、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心する。調心溝31bは、例えばV溝(断面V字状の溝)である。調心溝31bはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝(断面U字状の溝)等も採用可能である。
調心溝31bは、ベース部材31の対向面31aの中蓋部材322に対向する部分に形成されている。
【0024】
対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において調心溝31bの両側に、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
【0025】
前蓋部材323の対向面323aには、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。
後蓋部材321の対向面321aには、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝321bが形成されている。
【0026】
スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34aの後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
【0027】
図7に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、介挿部材81の介挿片部81aを挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。
介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向の中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。
【0028】
図7〜
図9に示すように、クランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。
スプライス30のベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。
一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0029】
クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、切り込み部33dによって、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。
第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0030】
図9に示すように、延出光ファイバ21の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入される。
延出光ファイバ21のうち、半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0031】
延出光ファイバ21の挿入端部は、その先端の裸光ファイバ21aの部分がベース部材31と中蓋部材322との間に配置され、被覆21bを有する部分がベース部材31と後蓋部材321との間に配置される。
スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材322との間に、他の光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた挿入光ファイバ1とを、クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0032】
図8、
図9に示すように、挿入光ファイバ1の挿入端部は、その先端に口出しされた裸光ファイバ1aの部分がベース部材31と中蓋部材322との間に配置され、被覆1bを有する部分(被覆部)がベース部材31と前蓋部材323との間に配置される。
【0033】
図14(a)に示すように、ケーブル把持部材70は、光ファイバケーブル24を嵌め込むケーブル嵌合溝71aが形成された把持ベース71と、把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの溝幅方向両側の側壁部71b、71cの一方に枢着された押さえ蓋72と、把持ベース71から突出する前側突出部75と、を有する。
【0034】
把持ベース71は、底壁部71dに一対の側壁部71b、71cが立設され、これらの間にケーブル嵌合溝71aが確保されている。
側壁部71b、71cの互いに対向する面には、光ファイバケーブル24の端末24aを把持する複数の把持用突起71fが形成されている。図示例のケーブル把持部材70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
【0035】
押さえ蓋72は、薄肉部73を介して把持ベース71の第1側壁部71bに繋がっている天板部72aと、天板部72aの薄肉部73とは反対側の端部から天板部72aに垂直に形成された係止板部72bとを有する。
薄肉部73はヒンジ部として機能するため、押さえ蓋72は、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て回動可能とされている。
把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
【0036】
図14(b)に示すように、押さえ蓋72は、天板部72aがケーブル嵌合溝71aを閉じる状態で(閉状態)、第2側壁部71c外面の係止用爪71eを係止用窓孔72cに係止させることによって、把持ベース71に対する閉状態を安定維持できる。
ケーブル把持部材70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
【0037】
前側突出部75は、底壁部75bと、底壁部75bの上面側に突設された側壁部75cとを有するL字板状とされ、把持ベース71の前端部71gに、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に突出して形成されている。
底壁部75bの上面には、前側突出部75の延在方向に沿って、延出光ファイバ21を収容する光ファイバ保持溝74が形成されている。
光ファイバ保持溝74は、上に向けて開放されて形成されているため、内部に収容した延出光ファイバ21の上方移動を規制しない。このため、光ファイバ保持溝74に保持された部分の延出光ファイバ21は、上方に撓み変形することができる。
【0038】
図14(a)に示すように、押さえ蓋72を開放状態として、光ファイバケーブル24の端末24aをケーブル嵌合溝71aに嵌め込むと、把持ベース71の側壁部71b、71cの把持用突起71fが光ファイバケーブル24の外被25の側面に当接し、光ファイバケーブル24の端末24aが把持固定される。
光ファイバケーブル24の外被25の前端は、ケーブル嵌合溝71aの前端に達することが好ましい。
【0039】
図14(b)に示すように、押さえ蓋72を閉状態として側壁部71cに係止させることによって、ケーブル把持部材70は光ファイバケーブル24の端末24aに取り付けられる。
【0040】
図5に示すように、スライダ120は、基板部121と、その上面に立設された一対の側壁部122とを有する。
スライダ120は、側壁部122間の空間であるユニット収納空間126に、ユニットベース11を保持することができる。
【0041】
側壁部122の外面には、凹部122aが形成されている。凹部122aには、スプライス用工具80の係合壁部87が嵌合され、係合壁部87の前後方向の位置を規定する。
側壁部122の外面には、接続治具110の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
側壁部122には、係合壁部87の突爪87aが挿入される孔部125が形成されている。
【0042】
図16に示すように、光ファイバケーブル24は、例えば光ファイバ21を、該光ファイバ21に縦添えした一対の線状の抗張力体26とともに樹脂被覆材25(外被とも言う)中に埋め込んで一体化した構成の断面略長方形の光ファイバケーブルであり、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いられるものである。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
【0043】
延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0044】
図1、
図10〜
図12に示すように、スプライス30には、スプライス用工具80を取り付けることができる。
スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間を押し広げる介挿片部81aを有する2つの介挿部材81と、介挿部材81を駆動するスリーブ状の介挿部材駆動部82と、介挿部材駆動部82から突出する一対の係合壁部87とを有する。
【0045】
図12に示すように、2つの介挿部材81は、介挿部材駆動部82に、その軸線方向(前後方向)に互いに離隔させて取り付けられている。
介挿部材81は、介挿部材駆動部82に設けられた介挿部材支持部89に支持された幹部84と、幹部84から介挿部材駆動部82の中心軸線方向に延出する介挿片支持部83と、介挿片支持部83の延在方向複数箇所(図示例では2箇所)に突設された介挿片部81aとを有する。これら介挿片部81aは、介挿部材本体83の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0046】
図10および
図12に示すように、介挿部材駆動部82は、スプライス30に対面する受圧壁部86と、受圧壁部86に対向する対向壁部85と、受圧壁部86と対向壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88とを有する。
受圧壁部86は、突壁部62、63の嵌合凹部62c、63cに嵌合することによって、ユニットベース11に対してスプライス用工具80の前後方向の移動が規制され、位置決めされる。
介挿部材支持部89は、介挿部材駆動部82の対向壁部85の下面に、受圧壁部86に向かって突出して形成されており、その内部に、この方向(上下方向)に沿う貫通孔89aを有する。貫通孔89aの内部には、段差面89cを有する凹部89bが形成されている。
【0047】
図12に示すように、幹部84は、貫通孔89aに挿通して介挿部材駆動部82に取り付けられている。
幹部84先端部(延出端部)の側面には、外方に突出する係合爪84aが形成されている。係合爪84aは、貫通孔89a内の段差面89cに係合可能である。
【0048】
図11に示すように、スプライス用工具80は、介挿片部81aをスプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませた状態でスプライス30に取り付けられる。
【0049】
図10に示すように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の両側部分(駆動部側壁部88)を押圧して(側圧Pを参照)互いに接近させることができる。
すなわち、駆動部側壁部88(押圧用板部88c)に側圧Pを作用させて、これら押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、駆動部側壁部88を変形させて受圧壁部86と対向壁部85との間の離隔距離が増大させ、段差面89cに係合した幹部84を押し上げ、介挿片部81aをスプライス30から抜き去ることができる。
【0050】
係合壁部87は、受圧壁部86の両側部からそれぞれ介挿部材駆動部82外側に突出して形成されている。
係合壁部87の突端部には、内方に突出された突爪87aが形成されている。
係合壁部87は、スライダ120の凹部122a内に配置するとともに、突爪87aを側壁部122の下縁(孔部125の内縁)に係合させることができ、これによって、スプライス用工具80は、ユニットベース11およびスライダ120を抱え込んだ形でスプライス30に取り付けられ、これら相互の移動が規制される。
【0051】
図15に示すように、接続治具110は、光ファイバ接続用ユニット10を案内する第1案内部132と、ファイバホルダ90を保持する第2案内部142(ファイバホルダ保持部)とを有する治具基部130を備えている。
第1案内部132は、光ファイバ接続用ユニット10をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部135、135とを有する。
【0052】
一対の案内壁部135は、第1案内部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ120の基板部121の両側縁部121aが当接することによって、光ファイバ接続用ユニット10の幅方向の移動を規制できる。
案内壁部135の下部内面には、光ファイバ接続用ユニット10の浮き上がり(接続治具110から離れる方向の光ファイバ接続用ユニット10の移動)を規制する溝部135aが形成されている。
溝部135aは、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
【0053】
治具基部130には、第1案内部132上の光ファイバ接続用ユニット10を位置決めする一対の弾性係止片136が形成されている。
弾性係止片136は、第1案内部132の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1案内部132の前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端はスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出して形成されている。
【0054】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1案内部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1案内部132に沿って前進させた光ファイバ接続用ユニット10(スライダ120)に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0055】
第2案内部142は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部145、145とを有する。
一対の案内壁部145は、第2案内部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90の幅方向の移動を規制できる。
【0056】
治具基部130には、ファイバホルダ90を位置決めする一対の弾性係止片146が形成されている。
弾性係止片146は、治具基部130から突出する突出板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
係合片部146bは、突出板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出して形成されている。
【0057】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2案内部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、突出板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2案内部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0058】
第1案内部132のスライド面133には、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って、溝部139が形成されている。
溝部139の底部には、スライド面133上に突出する弾性突出片137が形成されている。
弾性突出片137は、前後方向に沿って、第2案内部142に近づく方向に徐々に上昇しつつ延出する傾斜板部137aと、傾斜板部137aの延出端から前後方向に沿って、スライド面133と平行に延出する延出板部137bとを有する。
延出板部137bの上面の高さ位置は、第2案内部142上で位置決めされたファイバホルダ90から延出した挿入光ファイバ1に近接する位置であることが好ましい(
図19(a)参照)。
【0059】
弾性突出片137は、基端部137cにおいて弾性的に曲げ変形可能である。
このため、光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上で前進させる際には、傾斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
【0060】
弾性突出片137には、ファイバホルダ90からメカニカルスプライス30に向けて突出する挿入光ファイバ1の位置確認用の1または複数の表示140を形成することができる。
図示例では、表示140は、傾斜板部137aまたは延出板部137bに形成された凹部または孔部である。なお、表示140は識別可能であればよく、その形態は図示例に限定されず、凸部や着色によって形成してもよい。
図示例の表示140は、光ファイバカッター(図示略)によって長さ調整される前の挿入光ファイバ1の先端の位置確認用の表示140aと、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aの先端の位置確認用の表示140bと、挿入光ファイバ1の被覆1bの先端の位置確認用の表示140cとを有する。
表示140aは傾斜板部137aに形成されている。表示140b、140cは、延出板部137bに、長さ方向に位置を違えて形成されている。
挿入光ファイバ1の先端を、表示140(140a〜140c)と照合することによって、ファイバホルダ90から突出する挿入光ファイバ1の処理長さ(長さ調整前の挿入光ファイバ1の長さ、裸光ファイバ1aの先端までの長さ、および被覆1bの先端までの長さ)を容易に確認でき、精度の高い接続作業が可能となる。
【0061】
治具基部130の第2案内部142の下部には、光ファイバ接続工具100を仮置きするための切欠き130aが形成されている。切欠き130aは、第2案内部142の下縁から後方に行くに従って徐々に上昇するように斜め方向に形成されている。
光ファイバ接続工具100は、例えばクロージャのケース(図示略)の端縁部を切欠き130aに挿入した状態で前記ケースに係止させることによって、仮置きすることができる。
【0062】
図13に示すように、光ファイバホルダ90は、ベース部91と、ヒンジ部となる基端部92aでベース部91に対し回動自在に結合された蓋体92とを有し、ベース部91上の挿入光ファイバ1を、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
ファイバホルダ90については、光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向(
図3の左方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。
【0063】
ベース部91は、基体部95と、その前端面の一側部から前方に延出する一側延出壁部96と、基体部95の前端面の他側部から前方に延出する他側延出壁部97とを備えている。
一側延出部96および他側延出部97の間に確保されたユニット収容空間99には、光ファイバ接続用ユニット10の前端部を収容できる。
【0064】
ベース部91(基体部95)の上面91bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部93aを有する第1保持壁部93と、位置決め凹部94aを有する第2保持壁部94とが形成されている。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成されている。
【0065】
ベース部91(基体部95)の上面には、位置決め凹部93aから位置決め凹部94aを経て前後方向に延在する直線状の位置決め溝91aが形成されている。位置決め溝91aは、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
一側延出部96および他側延出部97の外側面には、弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0066】
一側延出部96の下縁部の内面96aには、内方に突出する照合用凸部96bが前後方向に沿って延在して形成されている。
【0067】
蓋体92をベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)では、蓋体92は保持壁部93、94の間に配置される。
蓋体92の基端部92a(ヒンジ部)とは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部91cに係脱自在に嵌合できる。
蓋体92は、ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部91cに係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91(基体部95)に押さえ込んで把持固定できる。
蓋体92はベース部91と一体に成形されてもよい。
【0068】
図3に示すように、スプライス30の後端とケーブル把持部材70との間には、第1の撓み幅L1が形成されている。
撓み幅とは、突き合わせ接続する際に撓み変形が生じる可能性のある光ファイバの長さである。
図示例の第1の撓み幅L1は、延出光ファイバ21が露出した部分に相当する、スプライス30の後端とケーブル把持部材70との距離、詳しくは、スプライス30のテーパ状開口部34bの奥端と、把持ベース71のケーブル嵌合溝71a前端との直線距離である。
【0069】
後述するように、スプライス30内で光ファイバ1、21を突き合わせ接続する際には、光ファイバ1、21が互いに突き当てられた後(
図19(c)参照)、光ファイバ接続用ユニット10がさらに前進して前進限界位置に達する(
図19(d)参照)までの過程において、スプライス30の前端側とファイバホルダ90との間には、所定の撓み幅(例えば
図3に示す第2の撓み幅L2)が確保される。
図示例の第2の撓み幅L2は、挿入光ファイバ1が露出した部分に相当する、スプライス30とファイバホルダ90との距離、詳しくは、スプライス30のテーパ状開口部34aの奥端と、ファイバホルダ90の蓋体92による把持部分の前端(蓋体92の前端)との直線距離である。
【0070】
第2の撓み幅L2は、第1の撓み幅L1より短くされている。これにより、第1の撓み幅L1側で、第2の撓み幅L2側に比べて相対的に撓み変形21cが生じやすくできる。
第1の撓み幅L1は、例えば10mm以上(より好ましくは20mm以上)であり、第2の撓み幅L2は、例えば10mm以下(好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下)である。
第1の撓み幅L1をより大きくすることで、光ファイバに急な曲げが生じることで生じる損失を抑制することができる。第1の撓み幅L1の上限は、例えば40mm(好ましくは30mm)である。
本実施形態のようにスプライス30のテーパ状開口部34aの奥端から前端までの距離を設けたり、前進限界位置におけるスプライス30とファイバホルダ90との間に隙間がある場合、第2の撓み幅L2の下限は、2mm程度となる。
【0071】
撓み幅Lの光ファイバに撓み変形を生じさせるために必要な突き合わせ方向の力F(座屈応力)は、次の式(オイラーの公式)で表すことができる
(F:座屈応力、E:光ファイバのヤング率、I:光ファイバの断面二次モーメント、L:撓み幅)。
【0073】
第1の撓み幅L1側だけに撓み変形(座屈)を生じさせるためには、突き合せ部での光ファイバ同士の軸ズレによる力のロスなどを考慮すれば、延出光ファイバ21の座屈応力と挿入光ファイバ1の座屈応力に十分な差があることが望ましい。
例えば、延出光ファイバ21の座屈応力は、挿入光ファイバ1の座屈応力の2倍以上であることが好ましい。つまり、撓み幅L1が与えられている場合、延出光ファイバ21の座屈応力が挿入光ファイバ1の2倍以上となるように撓み幅L2を設定することになる。
これによって、確実に、挿入光ファイバ1に撓み変形を生じさせずに、延出光ファイバ21に撓み変形21cを生じさせることができる。
【0074】
次に、光ファイバ接続工具100を用いて延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する方法について、
図17〜
図19を参照しつつ説明する。
図17に示すように、予め、スプライス用工具80を光ファイバ接続用ユニット10に取り付けることによって、介挿片部81aをスプライス30の把持部材34間に割り入れ、スプライス30を、挿入された光ファイバ1、21が自由に挿入および抜去方向に移動できる状態としておく。
【0075】
図18に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部91の位置決め溝91a内に配置し、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、前方への所定の突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、挿入光ファイバ1に撓みが生じない場合に、スプライス30内の最適位置で裸光ファイバ1a、21a同士が突き当てられるように設定する。
前記突出長は、例えば、光ファイバ接続用ユニット10およびファイバホルダ90が弾性係止片136、146によって位置決めされたときに、裸光ファイバ1a先端がスプライス30の中央位置に達する長さとすることができる。
【0076】
ファイバホルダ90は、第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起98を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。
【0077】
次いで、
図17に示すように、光ファイバケーブル24を把持したケーブル把持部材70を把持部材保持部50に載せ、基体部51上で前進させることによって、スプライス30の一端側に延出光ファイバ21を挿入する。
把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの前端からの延出光ファイバ21の突出長は、光ファイバ接続用ユニット10が前進限界位置(後述)にあるときに、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くする。
レバー部材150を回動させてケーブル把持部材70の後退を規制する。
【0078】
図18および
図19(a)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10を、接続治具110の第1案内部132のスライド面133上に載置する。光ファイバ接続用ユニット10は、案内壁部135によって幅方向の移動が規制される。
【0079】
次いで、光ファイバ接続用ユニット10をファイバホルダ90に向かって前進させる。
光ファイバ接続用ユニット10の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部135の内面の溝部135aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上でファイバホルダ90に向かって前進させる際には、弾性突出片137の斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
【0080】
図19(b)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、挿入光ファイバ1は、スプライス保持部60内のスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
図19(c)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10をさらに前進させると、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aは調心溝31bに挿入されて、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられる。
符号C1は突き合わせ接続位置である。
【0081】
図19(d)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10をさらに前進させ、係止用突起127を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させる。
これによって、光ファイバ接続用ユニット10は、弾性係止片136によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面133上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット10の位置を前進限界位置と言う。
光ファイバ接続用ユニット10の前端部は、ファイバホルダ90の一側延出部96と他側延出部97との間に確保されたユニット収容空間99に収容される。
【0082】
光ファイバ1、21が互いに突き当てられた後(
図19(c)参照)、光ファイバ接続用ユニット10がさらに前進して前進限界位置に達する(
図19(d)参照)までの過程において、スプライス30の前端とファイバホルダ90との間には、第1の撓み幅L1より短い第2の撓み幅L2が確保される。
相対的に長い第1の撓み幅L1を有する延出光ファイバ21の座屈応力が相対的に低いため(ただし、光ファイバ1、21が同一種類のファイバである場合)、スプライス30とケーブル把持部材70との間の延出光ファイバ21が先に撓み変形を生じる(座屈する)。延出光ファイバ21に一旦撓みが生じると、スプライス30とファイバホルダ90との間の挿入光ファイバ1には撓みは生じない。
【0083】
次いで、
図19(e)および
図10に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿片部81aを抜き去る。
スプライス30から介挿片部81aを抜き去ると、スプライス30の半割り把持部材34が、クランプばね33の弾性によって裸光ファイバ1a、21aを、突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
延出光ファイバ21の撓み変形21cの大部分は、ユニットベース11の把持部材保持部50とレバー部材150に囲まれ、外力から保護される。
【0084】
延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続した光ファイバ接続工具100は、光ファイバ接続箱(例えばクロージャ、光成端箱等)内に収納して設置できる。
【0085】
光ファイバ接続工具100によれば、撓み変形21cにおける延出光ファイバ21の弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続することができる。
よって、スプライス用工具80を外して光ファイバ1、21を突き合わせ状態で固定したときに、高い接続信頼性が得られる。
光ファイバ接続工具100によれば、光ファイバケーブル24を把持する光ファイバ接続用ユニット10を、接続治具110の第1案内部132に沿ってファイバホルダ90に接近させることによって、延出光ファイバ21だけに撓み変形21cを生じさせて光ファイバ1、21の突き合わせ接続を行うことができる。
ファイバホルダ90とスプライス30との間に挿入光ファイバ1の撓み変形のための距離を確保する必要がないため、ファイバホルダ90とスプライス30とを近接させて配置できる。よって、確保できる挿入光ファイバ1の余長が短い場合でも確実な突き合わせ接続が可能となり、接続作業が容易となる。
このため、撓み変形21cにより生じた弾性的な反発力によって、光ファイバ1、21の接続における突き当て力を確保し、十分な接続信頼性を得ることができる。
また、ファイバホルダ90をスプライス30に近接させた設計が可能となるため、光ファイバ接続工具100を小型化できる。よって、光接続箱(クロージャ等)に収納する際の省スペース化の点で有利である。
【0086】
光ファイバ接続工具100では、延出光ファイバ21に撓み変形21cが形成されることにより、外被25と延出光ファイバ21の間で線膨張率の違いと環境温度の変化により延出光ファイバ21が外被25の中へと引き込まれる方向に力が生じたとしても、延出光ファイバ21に過度なテンションが作用するのを抑制し、光ファイバの損傷を防ぐことができる。
【0087】
光ファイバ接続工具100は、スプライス保持部60とケーブル把持部材70とファイバホルダ90とが一体化されるため、光ファイバケーブル24の端末24aと挿入光ファイバ1との相対位置が常に一定となることから、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、延出光ファイバ21および挿入光ファイバ1に過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。
【0088】
光ファイバ接続工具100では、光ファイバ接続用ユニット10を治具基部130上でファイバホルダ90に接近させることによって光ファイバ1、21の接続を行うことができるため、ファイバホルダ90は、治具基部130に固定されていてもよい。また、ファイバホルダ90は、治具基部130に一体に形成することもできる。
【0089】
上述の例では、光ファイバ接続工具100を用いて光ファイバ1、21を突き合わせ接続するにあたって、延出光ファイバ21をスプライス30に挿入した後に、挿入光ファイバ1をスプライス30に挿入する手順を採用したが、スプライス30に対する光ファイバの挿入の順序はこれに限定されない。
すなわち、先に挿入光ファイバ1をスプライス30に挿入し、次いでケーブル把持部材70をユニットベース11に導入して延出光ファイバ21をスプライス30に挿入することによって、光ファイバ1、21を突き合わせ接続してもよい。
【0090】
スプライス、介挿部材、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
挿入光ファイバは特に限定されず、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアにわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等を例示できる。