(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリイソシアナート(B)が、600〜3000mPa・sの粘度を有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートをベースとするイソシアヌラート基を有するポリイソシアナートである、請求項1記載のウレタン基を有する高官能性ポリイソシアナート。
化合物(A)に加えて、全部で使用されるヒドロキシ基の量の10〜70%がジオール(A1)及び/又はポリオール(A2)に由来する、請求項1記載のウレタン基を有する高官能性ポリイソシアナート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族ジイソシアナート及び/又は環式脂肪族ジイソシアナートをベースとする新規ウレタン基含有ポリイソシアナート及びそれらの使用に関する。
【0002】
欧州特許(EP-B1)第1091991号明細書には、A成分として高官能性の、好ましくは少なくとも四官能性のポリイソシアナートと、B成分としてポリオールとを有する二成分系ポリウレタン混合物が記載されている。前記B成分は低分子のジオールないしペンタオールを含有していてもよい。
【0003】
ポリイソシアナート及びポリオールは、0.6〜1.4:1のNCO:OH比で使用されるに過ぎない、それというのも、前記混合物は、本質的に全ての反応性基がその硬化後に反応し終わっているはずであるコーティング用のコーティング材料だからである。
【0004】
欧州特許(EP-B1)第1497351号明細書には、脂肪族のジイソシアナートとウレトジオンとを含有する混合物の三量化による高官能性ポリイソシアナートの製造が記載されている。アルコールは存在していない。
【0005】
欧州特許出願公開(EP-A)第1061091号明細書には、ポリイソシアナートと、モノアルコール並びに任意により高官能性のジオール又はポリオールとの反応によるアロファナート基を有する少なくとも二官能性のポリイソシアナートが記載されている。
【0006】
これにとって不利であるのは、1個アロファナート結合により2個以下のポリイソシアナートを互いに結合することしかできず、それにより生じた生成物の官能価が制限されていることである。
【0007】
欧州特許出願公開(EP-A2)第620237号明細書には、ジイソシアナートとポリオールとからのプレポリマーが記載されている。より高官能性のポリイソシアナートとの反応は開示されていない。
【0008】
これにとって不利であるのは、生じた生成物のNCO官能価が、使用されるポリオールのOH官能価よりも高くないことである。
【0009】
独国特許出願公開(DE-OS)第2305695号明細書には、ジイソシアナートとヒドロキシ基2〜4個を有する低分子ポリオールとからのプレポリマーが記載されている。
【0010】
より高官能性のポリイソシアナートとの反応は開示されていない。
【0011】
本発明の課題は、高い硬さ及び/又は耐引っかき性を有し、特に既に低温での硬化の場合でも及び/又は二成分系ポリウレタン塗料中でも促進された乾燥及び/又は改善された耐硫酸性を示す、塗料用、特にクリヤコート用の、高い官能価を有する新規ポリイソシアナートを提供することであった。
【0012】
前記課題は、
・少なくとも1種の第三級ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン(A)を、
・イソシアヌラート、ビウレット、ウレトジオン及び/又はアロファナート基を少なくとも1個有し、かつ脂肪族イソシアナート及び/又は環式脂肪族イソシアナートから構成されている、2を超える官能価を有する少なくとも1種のポリイソシアナート(B)と、
(A)と(B)との間でウレタン基が形成される反応条件下で、反応させることによって得ることができるが、但し、
・(B)と(A)との間のNCO基対OH基のモル比が少なくとも3:1である、
ウレタン基を有する高官能性ポリイソシアナートにより解決される。
【0013】
化合物(A)は第三級ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンであってよい。
【0014】
トリアルカノールアミンは、本明細書の範囲内で、アンモニアと、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド又はエチレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドとの反応生成物であると理解される。
【0015】
好ましいトリアルカノールアミン(A)は、式
【化1】
[式中、
n、o、pは、互いに独立してそれぞれ、1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の整数を表し、かつ極めて特に好ましくは1を表し、かつ
i=1〜n、1〜o及び1〜pについてのそれぞれX
iは、互いに独立して−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−及び−CH(CH
3)−CH
2−O−の群から選択されていてよく、好ましくは−CH
2−CH
2−O−を意味する]で示されるものである。
【0016】
好ましい実施態様において、トリアルカノールアミン(A)は5−[ビス(2′−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−オキサ−ペンタン−1−オール、トリエタノールアミン又はトリプロパノールアミン、特に好ましくはトリエタノールアミンである。
【0017】
第三級ジアルカノールアミンは、本明細書の範囲内で、第一級アミンと、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド又はエチレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドとの反応生成物であると理解される。
【0018】
好ましい第三級ジアルカノールアミンは、
【化2】
[式中、
R
1は、直鎖状又は分枝鎖状のC
1〜C
20−アルキル基、場合により置換されたC
5〜C
12−シクロアルキル基、場合により置換されたC
7〜C
10−アラルキル基、又は場合により置換されたC
6〜C
12−アリール基であってよく、
q及びrは、互いに独立してそれぞれ、1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の整数を表し、かつ極めて特に好ましくは1を表し、かつ
i=1〜q及び1〜rについてのそれぞれX
iは互いに独立して−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−及び−CH(CH
3)−CH
2−O−及び好ましくは−CH
2−CH
2−O−の群から選択されていてよい]である。
【0019】
これらの定義において、
直鎖状又は分枝鎖状のC
1〜C
20−アルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル又は1,1,3,3−テトラメチルブチルを意味し、
場合により置換されたC
5〜C
12−シクロアルキル基は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル並びに飽和又は不飽和の二環系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルを意味し、
場合により置換されたC
7〜C
10−アラルキル基は、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、o−、m−又はp−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、o−、m−又はp−メトキシベンジル又はo−、m−又はp−エトキシベンジルを意味し、
場合により置換されたC
6〜C
12−アリール基は、例えばフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、α−ナフチル又はβ−ナフチルを意味する。
【0020】
これらの基の中で好ましくは、R
1は、C
5〜C
12−シクロアルキル又はC
1〜C
20−アルキル、特に好ましくはC
5〜C
6−シクロアルキル又はC
1〜C
10−アルキル、極めて特に好ましくはC
1〜C
8−アルキル及び殊にC
1〜C
4−アルキルである。
【0021】
R
1に好ましいのは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、フェニル、α−又はβ−ナフチル、ベンジル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0022】
特に好ましい基R
1はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0023】
極めて特に好ましいのは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びn−ブチルである。
【0024】
第三級ジアルカノールアミンの例は、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−シクロペンチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン及びN−ブチルジプロパノールアミンである。
【0025】
好ましいのは、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びN−ブチルジエタノールアミンであり、特に好ましいのは、N−エチルジエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンである。
【0026】
任意に、少なくとも1種のジオール(A1)及び/又はポリオール(A2)を、化合物(A)に追加して、例えば、全体で使用されるヒドロキシ基の量の70%まで、例えば10〜70%、好ましくは15〜55%及び特に好ましくは20〜40%がジオール(A1)及び/又はポリオール(A2)に由来する量で使用することが可能である。
【0027】
ポリオール(A2)は、少なくとも3、例えば3〜6、好ましくは3〜4、特に好ましくは3又は4及び極めて特に好ましくは3の官能価を有する。
【0028】
ポリオール(A2)の例は、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール及びイソマルトである。
【0029】
好ましいのは、3〜4の官能価を有するポリオール、特に好ましくは3の官能価を有するものである。
【0030】
好ましいポリオールはトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリトリトールであり、特に好ましいのはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びグリセリンであり、極めて特に好ましいのはトリメチロールプロパン及びグリセリンである。
【0031】
ジオール(A1)の例は、炭素原子を2〜20個、好ましくは2〜12個有する脂肪族ジオール、特に好ましくは1,2−エタンジオール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,3−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,10−デカンジオール、又は炭素原子6〜20個を有する環式脂肪族ジオール、好ましくはビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
【0032】
これらの中では、前記脂肪族ジオールが好ましく、好ましくは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2−プロピル−1,3−ヘプタンジオール、特に好ましくは2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2−プロピル−1,3−ヘプタンジオール、極めて特に好ましくは1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールである。
【0033】
本発明の好ましい実施態様は、ポリオール(A2)をアルコキシル化された形態で使用することである。
【0034】
アルコキシル化ポリオールはその際に、少なくとも1個のヒドロキシ基上で形式的に1種以上の同じか又は異なるアルキレンオキシドと反応されたポリオールであると理解される。
【0035】
そのようなアルコキシル化に適したアルキレンオキシドは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、n−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン及び/又はスチレンオキシドである。
【0036】
前記アルキレンオキシド鎖は好ましくは、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及び/又はブチレンオキシド単位から構成されていてよい。そのような鎖は、アルキレンオキシドの1種類から又はアルキレンオキシドの混合物から構成されていてよい。混合物が使用される場合には、異なるアルキレンオキシド単位がランダムに又は個々の種類の1のブロック又は複数のブロックとして存在していてよい。好ましいのは、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの混合物であり、特に好ましいのはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドのいずれかであり、かつ極めて特に好ましくはエチレンオキシドである。
【0037】
前記鎖中のアルキレンオキシド単位の数は、前記ポリオールのそれぞれのヒドロキシ基を基準として例えば1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4及び殊に1〜3である。
【0038】
特に好ましいのは、式(IIa)〜(IIc)
【化3】
[式中、
R
2は水素又はC
1〜C
18−アルキルを表し、
k、l、m、qは互いに独立してそれぞれ、1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4の整数を表し、かつ極めて特に好ましくは1〜3を表し、かつ
i=1〜k、1〜l、1〜m及び1〜qについてのそれぞれX
iは互いに独立して−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−、−CH(CH
3)−CH
2−O−、−CH
2−C(CH
3)
2−O−、−C(CH
3)
2−CH
2−O−、−CH
2−CHVin−O−、−CHVin−CH
2−O−、−CH
2−CHPh−O−及び−CHPh−CH
2−O−の群から、好ましくは−CH
2−CH
2−O−、−CH
2−CH(CH
3)−O−及び−CH(CH
3)−CH
2−O−の群、及び特に好ましくは−CH
2−CH
2−O−から選択されていてよく、
ここに、Phはフェニルを表し、かつVinはビニルを表す]で示されるアルコキシル化ポリオールである。
【0039】
好ましくは、これらは、ヒドロキシ基1個あたり一ないし五、特に好ましくは一ないし四及び極めて特に好ましくは一ないし三、エトキシル化された、プロポキシル化された又は混合エトキシル化及びプロポキシル化された及び特に専らエトキシル化された又は特別にアルコキシル化されていない、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリトリトールである。
【0040】
好ましくは、ジオール(A1)対ポリオール(A2)の比は、10:90〜90:10(ジオール及びポリオールのモル量を基準として)、特に好ましくは20:80〜80:20、極めて特に好ましくは30:70〜70:30及び殊に40:60〜60:40である。
【0041】
ポリイソシアナート(B)は、2を超える官能価、好ましくは少なくとも2.2、特に好ましくは少なくとも2.4、極めて特に好ましくは少なくとも2.8及び殊に少なくとも3の官能価を有する。
【0042】
ポリイソシアナート(B)は、脂肪族ジイソシアナート及び/又は環式脂肪族ジイソシアナートから、好ましくは脂肪族ジイソシアナート又は環式脂肪族ジイソシアナートのいずれかから構成されている。
【0043】
前記ジイソシアナートは好ましくは炭素原子4〜20個を有するイソシアナートである。常用のジイソシアナートの例は、脂肪族ジイソシアナート、例えばテトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、リシンジイソシアナートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアナート又はテトラメチルヘキサンジイソシアナート、環式脂肪族ジイソシアナート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−、又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン異性体混合物である。
【0044】
好ましいジイソシアナートは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート及び/又は4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、特に好ましいのは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート及び/又はイソホロンジイソシアナートであり、かつ極めて特に好ましいのは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートである。
【0045】
前記のジイソシアナートの混合物も存在していてよい。
【0046】
ポリイソシアナートとして、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナート、ウレトジオンジイソシアナート、ビウレット基を有するポリイソシアナート、直線状又は分枝鎖状のC
4〜C
20−アルキレンジイソシアナートからのウレタン基及び/又はアロファナート基を有するポリイソシアナート又は全部で炭素原子6〜20個を有する環式脂肪族ジイソシアナート又はそれらの混合物が考慮に値する。
【0047】
使用可能なポリイソシアナートは好ましくは、前記ジイソシアナート及びポリイソシアナート(混合物)を基準として10〜60質量%、好ましくは12〜50質量%及び特に好ましくは12〜40質量%のイソシアナート基の含有率(NCO、分子量=42g/モルとして計算)を有する。
【0048】
特に好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン又はそれらのポリイソシアナートであり、極めて特に好ましいのは、イソホロンジイソシアナート及びヘキサメチレンジイソシアナート又はそれらのポリイソシアナートであり、殊に好ましいのはヘキサメチレンジイソシアナート又はそのポリイソシアナートである。
【0049】
更に好ましいのは、次のものである:
1)脂肪族ジイソシアナート及び/又は環式脂肪族ジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナート。特に好ましいのは、この場合に、相応する脂肪族イソシアナトイソシアヌラート及び/又は環式脂肪族イソシアナトイソシアヌラート及び特にヘキサメチレンジイソシアナート及び/又はイソホロンジイソシアナートをベースとするものである。その際に存在しているイソシアヌラートは、特に、前記ジイソシアナートの環状三量体であるトリスイソシアナトアルキルイソシアヌラートもしくはトリスイソシアナトシクロアルキルイソシアヌラート、又は1を超えるイソシアヌラート環を有するそれらのより高次の同族体との混合物である。前記イソシアナトイソシアヌラートは、一般的に10〜30質量%、特に15〜25質量%のNCO含有率及び2.6〜4.5の平均NCO官能価を有する。
【0050】
2)脂肪族及び/又は環式脂肪族に結合したイソシアナート基を有するウレトジオンジイソシアナート及び特にヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されたもの。ウレトジオンジイソシアナートは、ジイソシアナートの環状二量化生成物である。
前記ウレトジオンジイソシアナートは、ポリイソシアナート(B)として、他のポリイソシアナート、特に1)で挙げたものとの混合物で、使用することができる。
【0051】
3)環式脂肪族又は脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ビウレット基を有するポリイソシアナート、特にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれとそのより高次の同族体との混合物。ビウレット基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に18〜22質量%のNCO含有率及び2.8〜4.5の平均NCO官能価を有する。
【0052】
4)脂肪族又は環式脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するポリイソシアナート、これらは例えば過剰量のヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートと、一価又は多価のアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)、2−エチルヘキサノール、n−ペンタノール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロパンジオールモノメチルエーテル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、又はそれらの混合物との反応により得ることができる。ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に12〜20質量%のNCO含有率及び2.5〜4.5の平均NCO官能価を有する。
【0053】
前記ポリイソシアナートは混合物で、場合によりジイソシアナートとの混合物でも、使用することができる。
【0054】
前記ウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートを製造するには、ポリイソシアナート(B)及び化合物(A)を、溶剤あり又はなしでウレタン化条件下で互いに反応させる。
【0055】
"ウレタン化条件"は、その際に、前記反応条件を、イソシアナート基含有成分(B)及びヒドロキシ基含有成分(A)の反応により少なくとも部分的にウレタン基が生じるように選択することを意味する。
【0056】
その温度は、この反応の際に通例150℃まで、好ましくは120℃まで、特に好ましくは100℃未満及び極めて特に好ましくは90℃未満であり、かつたいてい、前記ウレタン化反応を触媒する少なくとも1種の触媒の存在下で実施される。しかし前記反応は触媒の不在下でも実施することができる。
【0057】
通例、前記反応の温度は少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、特に好ましくは少なくとも40℃及び極めて特に好ましくは少なくとも50℃であるべきである。
【0058】
触媒はこの場合に、それらが出発物質混合物中に存在することにより、同一の反応条件下でそれらの不在下での同じ出発物質混合物よりも、ウレタン基含有反応生成物のより高い割合をもたらす化合物である。
【0059】
これらは、例えば有機アミン、特に脂肪族、環式脂肪族又は芳香族の第三級アミン、及び/又はルイス酸性有機金属化合物である。ルイス酸性有機金属化合物として、例えばスズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)ジアセタート、スズ(II)ジオクトアート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノアート)及びスズ(II)ジラウラート及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジメチルスズジアセタート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジブチラート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノアート)、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズマレアート、ジオクチルスズジラウラート及びジオクチルスズジアセタートが考慮に値する。そのうえ、亜鉛(II)塩、例えば亜鉛(II)ジオクトアートを使用することができる。また金属錯体、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、亜鉛及びコバルトのアセチルアセトナートも可能である。更なる金属触媒はBlank et al., Progress in Organic Coatings, 1999, Vol. 35, pp.19-29に記載されている。
【0060】
好ましいルイス酸性有機金属化合物は、ジメチルスズジアセタート、ジブチルスズジブチラート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノアート)、ジブチルスズジラウラート、ジオクチルスズジラウラート、亜鉛(II)ジオクトアート、ジルコニウムアセチルアセトナート及びジルコニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートである。
【0061】
ビスマス触媒及びコバルト触媒並びにセシウム塩も触媒として使用することができる。セシウム塩として、その際に次のアニオンが使用される化合物が考慮に値する:F
-、Cl
-、ClO
-、ClO
3-、ClO
4-、Br、I
-、IO
3-、CN
-、OCN
-、NO
2-、NO
3-、HCO
3-、CO
32-、S
2-、SH
-、HSO
3-、SO
32-、HSO
4-、SO
42-、S
2O
22-、S
2O
42-、S
2O
52-、S
2O
62-、S
2O
72-、S
2O
82-、H
2PO
2-、H
2PO
4-、HPO
42-、PO
43-、P
2O
74-、(OC
nH
2n+1)
-、(C
nH
2n-1O
2)
-、(C
nH
2n-3O
2)
-並びに(C
n+1H
2n-2O
4)
2-、ここに、nは1〜20の数を表す。
【0062】
好ましいのは、その際に、そのアニオンが式(C
nH
2n-1O
2)
-並びに(C
n+1H
2n-2O
4)
2-[式中、nは1〜20である]に従うカルボン酸セシウムである。特に好ましいセシウム塩は、アニオンとして一般式(C
nH
2n-1O
2)
-のモノカルボン酸イオンを有し、ここに、nは1〜20の数を表す。この場合に、特にギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ヘキサン酸イオン及び2−エチルヘキサン酸イオンを挙げることができる。
【0063】
更に、次のものが触媒として使用可能である:
・米国特許(US-A)第3817939号明細書に記載の式
【化4】
の有機金属塩、ここに、次の意味を有する:
Aは、ヒドロキシル基又は水素原子であり、
nは、1〜3の数であり、
Rは、線状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の多官能性炭化水素基であり、かつ
M
+は、カチオン、例えばアルカリ金属カチオン又は第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムである、並びに
・触媒として独国特許出願公開(DE-A)第2631733号明細書(米国特許(US-A)第4040992号明細書)に記載の式
【化5】
[式中、前記基については前記明細書に記載された定義を有する]の第四級ヒドロキシアルキルアンモニウム化合物。
【0064】
本方法のための触媒として特に適しているのは、式
【化6】
[式中、
Y
-=カルボン酸イオン(R
13COO
-)、フッ化物イオン(F
-)、炭酸イオン(R
13O(CO)O
-)又は水酸化物イオン(OH
-)]に相当する第四級アンモニウム塩であり、これらは例えばY
-=OH
-については米国特許第4324879号明細書に及び独国特許出願公開第2806731号及び同第2901479号明細書に記載されている。
【0065】
好ましくは、基Y
-はカルボン酸イオン、炭酸イオン又は水酸化物イオンであり、かつ特に好ましくはカルボン酸イオン又は水酸化物イオンである。
【0066】
R
13はその中で水素、C
1〜C
20−アルキル、C
6〜C
12−アリール又はC
7〜C
20−アリールアルキルであり、前記基はそれぞれ任意に置換されていてよい。
【0067】
好ましくはR
13は水素又はC
1〜C
8−アルキルである。
【0068】
好ましい第四級アンモニウム塩は、基R
9〜R
12が、炭素原子1〜20個、好ましくは1〜4個を有する同じか又は異なるアルキル基であり、前記基が場合によりヒドロキシル基又はフェニル基により置換されているものである。
【0069】
基R
9〜R
12のうち2個は、前記窒素原子及び場合により別の窒素原子又は酸素原子と一緒になって、五員、六員又は七員のヘテロ環を形成してもよい。基R
9〜R
11はそれぞれの場合に、基R
12がヒドロキシル基が好ましくは第四級窒素原子に対して2位に配置されている炭素原子2〜4個を有するヒドロキシアルキル基であるという条件で、第四級窒素原子及び別の第三級窒素原子と一緒になって二環式トリエチレンジアミン構造を形成するエチレン基であってもよい。ヒドロキシ置換された1個の基又はヒドロキシ置換された複数の基は、他の置換基、例えばC
1〜C
4−アルキルオキシ置換基を有していてもよい。
【0070】
その際に、前記アンモニウムイオンは、例えばピペラジン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン又はジアザ−ビシクロ−[2.2.2]−オクタンから誘導される、一員環系又は多員環系の部分であってもよい。
【0071】
炭素原子1〜20個を有する基R
9〜R
12の例は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、ノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0072】
好ましくは、互いに独立して基R
9〜R
12はC
1〜C
4−アルキルである。R
12は、付加的にベンジル又は式
【化7】
[式中、R
14及びR
15は互いに独立して水素又はC
1〜C
4−アルキルであってよい]で示される基であってよい。
【0073】
特に好ましい基R
9〜R
12は互いに独立して、メチル、エチル及びn−ブチルであり、かつR
12については付加的にベンジル、2−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシプロピルである。
【0074】
好ましくは、本発明による方法に次の触媒を使用することができる:
独国特許出願公開(DE-A)第3806276号明細書に記載の水酸化第四級アンモニウム、好ましくは水酸化N,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウム及び水酸化N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム。
欧州特許出願公開(EP-A)第10589号明細書(米国特許(US-A)第4324879号明細書)に記載のヒドロキシアルキル置換された水酸化第四級アンモニウム。
米国特許(US-A)第3817939号明細書に記載の式
【化8】
の有機金属塩、ここに、次の意味を有する:Aはヒドロキシル基又は水素原子であり、nは1〜3の数であり、Rは線状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の多官能性炭化水素基であり、かつMは強塩基のカチオン、例えばアルカリ金属カチオン又は第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムである。
【0075】
好ましい触媒は、亜鉛(II)塩、これらの中でも特に亜鉛アセチルアセトナートである。
【0076】
更に好ましいのはジブチルスズジラウラートである。
【0077】
前記触媒は、活性に応じて、使用されるイソシアナート基を基準として通常0.001〜10モル%、好ましくは0.5〜8モル%、特に好ましくは1〜7モル%及び極めて特に好ましくは2〜5モル%の量で使用される。
【0078】
ポリイソシアナート(B)は、化合物(A)中のヒドロキシ基を基準としてNCO基の少なくとも3倍の過剰量で、好ましくは少なくとも4倍の過剰量、特に好ましくは少なくとも5倍の過剰量及び極めて特に好ましくは少なくとも6倍の過剰量で使用される。
【0079】
ポリイソシアナート(B)の未反応部分は分離してよく、又は好ましくは反応混合物中に残っていてよい。
【0080】
前記反応は好ましくは溶剤なしで実施されるが、しかし少なくとも1種の溶剤の存在下でも実施することができる。同じように、得られた反応混合物を前記反応の終了後に溶剤中に配合することができる。
【0081】
溶剤として使用可能であるのは、イソシアナート基に対して反応性の基を有さず、かつ少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、極めて特に好ましくは少なくとも75質量%、殊に少なくとも90質量%及び特別に少なくとも95質量%のポリイソシアナートが可溶であるものである。
【0082】
この種の溶剤の例は、芳香族炭化水素(アルキル化されたベンゼン及びナフタレンも含む)及び/又は(環式)脂肪族炭化水素及びそれらの混合物、塩素化炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシル化されたアルカン酸アルキルエステル、エーテル、前記溶剤のそれぞれの混合物である。
【0083】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C
7〜C
14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を含みうるものが好ましく、特に好ましいのは、トルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン及びそのようなものを含有する混合物である。
【0084】
これらの例は、ExxonMobil Chemical社のSolvesso(登録商標)銘柄、特にSolvesso(登録商標) 100(CAS-No. 64742-95-6、主にC
9及びC
10−芳香族化合物、沸点範囲 約154〜178℃)、150(沸点範囲 約182〜207℃)及び200(CAS-No. 64742-94-5)、並びにShell社のShellsol(登録商標)銘柄、Petrochem Carless社のCaromax(登録商標)(例えばCaromax(登録商標) 18)及びDHC社のHydrosol(例えばHydrosol(登録商標) A 170として)である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物の炭化水素混合物は、Kristalloel(例えばKristalloel 30、沸点範囲 約158〜198℃又はKristalloel 60:CAS-No. 64742-82-1)、ホワイトスピリット(例えば同様にCAS-No. 64742-82-1)又はソルベントナフサ(ライト:沸点範囲 約155〜180℃、ヘビー:沸点範囲 約225〜300℃)の名称でも商業的に入手可能である。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有率は通例、90質量%を超え、好ましくは95質量%を超え、特に好ましくは98質量%を超え、かつ極めて特に好ましくは99質量%を超える。特に低減された含有率のナフタレンを有する炭化水素混合物を使用することが有意義でありうる。
【0085】
(環式)脂肪族炭化水素は、例えばデカリン、アルキル化デカリン及び直線状又は分枝鎖状のアルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物である。脂肪族炭化水素の含有率は、通例5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満及び特に好ましくは1質量%未満である。
【0086】
エステルは例えば酢酸n−ブチル、酢酸エチル、1−メトキシプロピルアセタート−2及び2−メトキシエチルアセタートである。
【0087】
エーテルは、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はジ−n−ブチルエーテルである。
【0088】
ケトンは例えばアセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン及びt−ブチルメチルケトンである。
【0089】
本発明の好ましい実施態様は、本発明による高官能性ポリイソシアナートを溶剤と配合することである。好ましい溶剤は酢酸n−ブチルである。
【0090】
前記溶液中の本発明によるポリイソシアナートの濃度は少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%及び特に好ましくは少なくとも70質量%であるべきである。
【0091】
本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートは、通例2を超えるNCO官能価、好ましくは少なくとも3、特に好ましくは少なくとも4、極めて特に好ましくは少なくとも5のNCO官能価及び殊に6を超えるNCO官能価を有する。
【0092】
本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートは、通例1000〜20000、好ましくは1200〜10000及び特に好ましくは1500〜5000g/モルの数平均分子量Mn及び1000〜50000及び好ましくは1500〜30000の質量平均分子量Mwを有する。これらの分子量は、適したポリマー標準及び溶離剤としてテトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドを用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより決定することができる。
【0093】
本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートは、例えば、イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基を有する少なくとも1種の成分(バインダー)を含有する二成分系ポリウレタン塗料において使用される。そのためには、本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートは単独で又は架橋剤成分として他のポリイソシアナート(C)との混合物で使用することができる。
【0094】
この種の他のポリイソシアナート(C)は、イソシアナートモノマーのオリゴマー化により得ることができる。
【0095】
そのために使用されるイソシアナートモノマーは、芳香族、脂肪族又は環式脂肪族であってよく、好ましくは、本明細書において(環式)脂肪族と略称される脂肪族又は環式脂肪族であってよく、特に好ましいのは脂肪族イソシアナートである。
【0096】
芳香族イソシアナートは、少なくとも1個の芳香族環系を有するもの、すなわち、純芳香族化合物並びに芳香脂肪族化合物である。
【0097】
環式脂肪族イソシアナートは、少なくとも1個の環式脂肪族環系を有するものである。
【0098】
脂肪族イソシアナートは、専ら直鎖又は分枝鎖を有するもの、すなわち非環式化合物である。
【0099】
前記イソシアナートモノマーは、好ましくはちょうど2個のイソシアナート基を有するジイソシアナートである。しかし原則的に、イソシアナート基1個を有するモノイソシアナートであってもよい。
【0100】
原則的に、平均して2を超えるイソシアナート基を有するより高次のイソシアナートも考慮に値する。そのためには、例えばトリイソシアナート、例えばトリイソシアナトノナン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアナート又は2,4,4′−トリイソシアナトジフェニルエーテル又はジイソシアナート、トリイソシアナート及びより高次のポリイソシアナートの混合物が適しており、これらは例えば相応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化により得られ、かつメチレン橋状結合を有するポリフェニルポリイソシアナートである。
【0101】
これらのイソシアナートモノマーは、そのイソシアナート基とそれ自体との反応生成物を本質的に有しない。
【0102】
前記イソシアナートモノマーは、好ましくは炭素原子4〜20個を有するイソシアナートである。常用のジイソシアナートの例は、脂肪族ジイソシアナート、例えばテトラメチレンジイソシアナート、1,5−ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、リシンジイソシアナートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアナート又はテトラメチルヘキサンジイソシアナート、環式脂肪族ジイソシアナート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−、又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン異性体混合物、並びに芳香族ジイソシアナート、例えば2,4−又は2,6−トルイレンジイソシアナート及びそれらの異性体混合物、m−又はp−キシリレンジイソシアナート、2,4′−又は4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ジフェニレン−4,4′−ジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニル、3−メチルジ−フェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナートである。
【0103】
特に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート及び4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、極めて特に好ましいのはイソホロンジイソシアナート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートであり、殊に好ましいのは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートである。
【0104】
前記のイソシアナートの混合物も存在していてよい。
【0105】
イソホロンジイソシアナートは、たいてい混合物として、しかもシス異性体及びトランス異性体の混合物として、通例約60:40〜80:20(w/w)の比、好ましくは約70:30〜75:25の比で及び特に好ましくは約75:25の比で存在する。
【0106】
ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナートは、同様に多様なシス異性体及びトランス異性体の混合物として存在していてよい。
【0107】
相応するアミンのホスゲン化により得られるジイソシアナート、並びにホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲンフリー方法により製造されるジイソシアナートを使用することができる。例えば欧州特許出願公開(EP-A)第0126299号明細書(米国特許(US)第4596678号明細書)、欧州特許出願公開(EP-A)第126300号明細書(米国特許(US)第4596679号明細書)及び欧州特許出願公開(EP-A)第355443号明細書(米国特許(US)第5087739号明細書)の記載によれば、(環式)脂肪族ジイソシアナート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、アルキレン基中に炭素原子6個を有する脂肪族ジイソシアナート異性体、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン及び1−イソシアナト−3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナートもしくはIPDI)は、(環式)脂肪族ジアミンを例えば尿素及びアルコールと反応させて(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルにし、それらを相応するジイソシアナート及びアルコールに熱分解することにより製造することができる。前記合成は、たいてい連続的に循環法において及び場合によりN−非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート及び前記反応プロセスから返送される他の副生物の存在下で、行われる。こうして得られたジイソシアナートは通例、極めて僅かな割合又はそれどころか測定不可能な割合の塩素化化合物を有し、このことは例えばエレクトロニクス産業における使用に有利である。
【0108】
一実施態様において、使用されるイソシアナートは、200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、殊に15ppm未満及び特別に10ppm未満の加水分解性塩素の全含有率を有する。これは例えばASTM規格D4663-98により測定することができる。しかしもちろん、より高い塩素含有率、例えば500ppmまでを有するイソシアナートモノマーを使用することもできる。
【0109】
もちろん、前記(環式)脂肪族ジアミンと例えば尿素及びアルコールとの反応及び得られた(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルの分解により得られているイソシアナートモノマーと、相応するアミンのホスゲン化により得られているジイソシアナートとの混合物も使用することができる。
【0110】
イソシアナートモノマーをオリゴマー化して得ることができるポリイソシアナート(C)は通例、次のように特性決定されている:
そのような化合物の平均NCO官能価は、通例少なくとも1.8であり、かつ8まで、好ましくは2〜5及び特に好ましくは2.4〜4であってよい。
【0111】
そのオリゴマー化後のイソシアナート基の含有率は、NCO=42g/モルとして計算して、他に示されない場合には、通例5〜25質量%である。
【0112】
好ましくは、ポリイソシアナート(C)は次の化合物である:
1)芳香族ジイソシアナート、脂肪族ジイソシアナート及び/又は環式脂肪族ジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナート。特に好ましいのは、この場合に、相応する脂肪族イソシアナトイソシアヌラート及び/又は環式脂肪族イソシアナトイソシアヌラート及び殊にヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートをベースとするものである。その際に存在しているイソシアヌラートは、特に、前記ジイソシアナートの環状三量体であるトリスイソシアナトアルキルイソシアヌラートもしくはトリスイソシアナトシクロアルキルイソシアヌラート、又は1を超えるイソシアヌラート環を有するそれらのより高次の同族体との混合物である。前記イソシアナトイソシアヌラートは、一般的に10〜30質量%のNCO含有率、特に15〜25質量%及び2.6〜8の平均NCO官能価を有する。
【0113】
2)芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族に結合した、好ましくは脂肪族及び/又は環式脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ウレトジオン基を有するポリイソシアナート及び特にヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されるもの。ウレトジオンジイソシアナートは、ジイソシアナートの環状二量化生成物である。
前記ウレトジオン基を有するポリイソシアナートは、本発明の範囲内で他のポリイソシアナート、特に1)で挙げたものとの混合物で、得られる。そのためには、前記ジイソシアナートは、ウレトジオン基並びに他のポリイソシアナートが形成される反応条件下、又はまず最初に前記ウレトジオン基が形成され、かつこれらが引き続き他のポリイソシアナートに変換される反応条件下、又は前記ジイソシアナートがまず最初に他のポリイソシアナートに変換され、かつこれらが引き続きウレトジオン基含有生成物に変換される反応条件下で、反応することができる。
【0114】
3)芳香族、環式脂肪族又は脂肪族に結合した、好ましくは環式脂肪族又は脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ビウレット基を有するポリイソシアナート、特にトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレット又はそれとそのより高次の同族体と混合物。ビウレット基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に18〜22質量%のNCO含有率及び2.8〜6の平均NCO官能価を有する。
【0115】
4)芳香族、脂肪族又は環式脂肪族に結合した、好ましくは脂肪族又は環式脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するポリイソシアナート、これらは例えば過剰量のジイソシアナート、例えばヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートと、一価又は多価のアルコールとの反応による。ウレタン及び/又はアロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に12〜24質量%のNCO含有率及び2.5〜4.5の平均NCO官能価を有する。ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するそのようなポリイソシアナートは、触媒作用なしで、又は好ましくは触媒、例えばカルボン酸アンモニウム又は水酸化アンモニウム、又はアロファナート化触媒、例えばZn(II)化合物の存在下で、それぞれ一価、二価又は多価の、好ましくは一価のアルコールの存在下で製造することができる。
【0116】
5)オキサジアジントリオン基を有するポリイソシアナート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されるもの。オキサジアジントリオン基を有するそのようなポリイソシアナートは、ジイソシアナート及び二酸化炭素から入手可能である。
【0117】
6)イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアナート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されるもの。そのようなイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアナートは、ジイソシアナートから特別な触媒を用いて製造可能である。
【0118】
7)ウレトンイミン変性ポリイソシアナート。
【0119】
8)カルボジイミド変性ポリイソシアナート。
【0120】
9)ハイパーブランチポリイソシアナート、これらは例えば独国特許出願公開(DE-A1)第10013186号又は独国特許出願公開(DE-A1)第10013187号明細書から知られている。
【0121】
10)ジイソシアナート及び/又はポリイソシアナートとアルコールとからの、ポリウレタン−ポリイソシアナートプレポリマー。
【0122】
11)ポリ尿素−ポリイソシアナートプレポリマー。
【0123】
12)ポリイソシアナート1)〜11)、好ましくは1)、3)、4)及び6)は、それらの製造後に、芳香族、環式脂肪族又は脂肪族に結合した、好ましくは(環式)脂肪族に結合したイソシアナート基を有し、ビウレット基又はウレタン基/アロファナート基を有するポリイソシアナートに変換することができる。ビウレット基の形成は、例えば水の添加又はアミンとの反応により行われる。ウレタン基及び/又はアロファナート基の前記形成は、場合により適した触媒の存在下での、一価、二価又は多価の、好ましくは一価のアルコールとの反応により行われる。ビウレット基又はウレタン基/アロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に18〜22質量%のNCO含有率及び2.8〜6の平均NCO官能価を有する。
【0124】
13)親水性に変性されたポリイソシアナート、すなわち、1〜12で記載された基に加え、前記の分子のイソシアナート基にNCO反応性基及び親水化基を有する分子が付加することにより形式的に生じる基を有するポリイソシアナート。後者は、アルキル−ポリエチレンオキシドのような非イオン性の基及び/又はリン酸、ホスホン酸、硫酸又はスルホン酸、もしくはそれらの塩から誘導されているイオン性の基である。
【0125】
14)デュアルキュア使用のために変性されたポリイソシアナート、すなわち、1〜12で記載された基に加え、前記の分子のイソシアナート基にNCO反応性基及び紫外線又は化学線により架橋可能な基を有する分子が付加することにより形式的に生じる基を有するポリイソシアナート。これらの分子は、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート及び他のヒドロキシビニル化合物である。
【0126】
前記のジイソシアナート又はポリイソシアナートは、少なくとも部分的にブロックされた形態で存在していてもよい。
【0127】
ブロックするのに使用される種類の化合物は、D. A. Wicks, Z. W. Wicks, Progress in Organic Coatings, 36, 148-172 (1999), 41, 1-83 (2001)並びに43, 131-140 (2001)に記載されている。
【0128】
ブロックするのに使用される種類の化合物の例は、フェノール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ピラゾール類、オキシム、N−ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH−酸性の環状ケトン、マロン酸エステル又はアセト酢酸アルキルである。
【0129】
本発明の好ましい実施態様において、ポリイソシアナート(C)は、イソシアヌラート、ビウレット、ウレタン及びアロファナートからなる群から、好ましくはイソシアヌラート、ウレタン及びアロファナートからなる群から、特に好ましくはイソシアヌラート及びアロファナートからなる群から選択されており、殊にイソシアヌラート基含有ポリイソシアナートである。
【0130】
特に好ましい実施態様において、ポリイソシアナート(C)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナートである。
【0131】
更に特に好ましい実施態様において、前記ポリイソシアナートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナートの混合物である。
【0132】
特に好ましい実施態様において、ポリイソシアナート(C)は、低粘度ポリイソシアナート、好ましくは600〜1500mPa・s、特に1200mPa・s未満の粘度を有するイソシアヌラート基を有するポリイソシアナート、200〜1600mPa・s、特に600〜1500mPa・sの粘度を有する低粘度のウレタン及び/又はアロファナート、及び/又はイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアナートを含有する混合物である。
【0133】
本明細書において、他に注記しない場合には、粘度は23℃でDIN EN ISO 3219/A.3に従い円すい−平板システムにおいて1000s
-1の速度勾配で記載される。
【0134】
本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナートは、場合により架橋剤成分として他のポリイソシアナート(C)との混合物で、少なくとも1種のバインダーと共にポリウレタン塗料において使用することができる。
【0135】
通例、ポリイソシアナート組成物、すなわち前記イソシアナート基含有化合物の合計について、
本発明によるウレタン基含有高官能性ポリイソシアナート50〜100質量%、好ましくは50〜90質量%及び特に好ましくは60〜80質量%、及び他のポリイソシアナート(C)0〜50質量%、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%を使用するが、
但し、その合計は常に100質量%である。
【0136】
前記バインダーは、例えばポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリ尿素ポリオール;ポリエステルポリアクリラートポリオール;ポリエステルポリウレタンポリオール;ポリウレタンポリアクリラートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば異なるガラス転移温度を有する前記の物質群からのグラフトポリマー、並びに前記のバインダーの混合物であってよい。好ましいのは、ポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールである。
【0137】
DIN 53240-2に従い測定される好ましいOH価は、ポリエステルについては40〜350mgKOH/g固体樹脂、好ましくは80〜180mgKOH/g固体樹脂、及びポリアクリラートオールについては15〜250mgKOH/g固体樹脂、好ましくは80〜160mgKOH/gである。
【0138】
付加的に、前記バインダーは、200mgKOH/gまで、好ましくは150mgKOH/gまで及び特に好ましくは100mgKOH/gまでのDIN EN ISO 3682による酸価を有していてよい。
【0139】
ポリアクリラートポリオールは、好ましくは少なくとも1000g/モル、特に好ましくは少なくとも2000g/モル及び極めて特に好ましくは少なくとも5000g/モルの分子量M
nを有する。分子量M
nは原則的に上限はなくてよいが、好ましくは200000g/モルまで、特に好ましくは100000g/モルまで、極めて特に好ましくは80000g/モルまで及び殊に50000g/モルまでであってよい。
【0140】
後者は、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本明細書において"(メタ)アクリル酸"と略称する)と、好ましくは炭素原子2〜20個及びヒドロキシ基少なくとも2個を有するジオール又はポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、162〜4500、好ましくは250〜2000のモル質量を有するポリ−THF、ポリ−1,3−プロパンジオール又は134〜2000のモル質量を有するポリプロピレングリコール又は238〜2000のモル質量を有するポリエチレングリコールとのモノエステルであってよい。
【0141】
好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリラート、1,4−ブタンジオールモノアクリラート又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリラート及び特に好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリラート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリラートである。
【0142】
前記ヒドロキシ基を有するモノマーは、他の重合可能な、好ましくはラジカル重合可能なモノマー、好ましくは、50質量%超がC
1〜C
20−、好ましくはC
1〜C
4−アルキル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、炭素原子を20個まで有するビニル芳香族化合物、炭素原子を20個まで有するカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、炭素原子4〜8個及び二重結合1又は2個を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びそれらの混合物からなるモノマーとの混合物で、その共重合へ装入される。特に好ましいのは、60質量%超がC
1〜C
10−アルキル(メタ)アクリラート、スチレン及びその誘導体、ビニルイミダゾール又はそれらの混合物からなるポリマーである。
【0143】
更にまた、前記ポリマーは、前記のヒドロキシ基含有率に相応するヒドロキシ官能性モノマー及び場合により別のモノマー、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルエポキシエステル、エチレン系不飽和酸、特にカルボン酸、酸無水物又は酸アミドを含有していてよい。
【0144】
更なるポリマーは、例えばポリエステルオールであり、例えばこれらはポリカルボン酸、特にジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの縮合により得ることができる。前記ポリエステルポリオールの前記重合に適した官能価を保証するために、部分的にトリオール、テトラオール等並びに三酸等も使用される。
【0145】
ポリエステルポリオールは、例えばUllmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 第4版, 第19巻, pp.62〜65から知られている。好ましくは、二価アルコールと二価カルボン酸との反応により得られるポリエステルポリオールが使用される。前記遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物を前記ポリエステルポリオールの製造に使用することもできる。前記ポリカルボン酸は、脂肪族、環式脂肪族、芳香族又はヘテロ環式であってよく、かつ場合により、例えばハロゲン原子により、置換されていてよい及び/又は不飽和であってよい。これらの例として次のものを挙げることができる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、ダイマー脂肪酸、それらの異性体及び水素化生成物並びに前記の酸が使用されるエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えばC
1〜C
4−アルキルエステル、好ましくはメチルエステル、エチルエステル又はn−ブチルエステル。好ましいのは、一般式HOOC−(CH
2)
y−COOH[式中、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]のジカルボン酸、特に好ましくはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。
【0146】
多価アルコールとして、前記ポリエステルオールの製造のために次のものが考慮に値する:1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、162〜4500、好ましくは250〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜1178のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール、134〜898のモル質量を有するポリ−1,2−プロパンジオール、106〜458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルト、これらは場合により前記のようにアルコキシル化されていてよい。
【0147】
好ましいのは、一般式HO−(CH
2)
x−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]のアルコールである。好ましいのは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールである。更に好ましいのはネオペンチルグリコールである。
【0148】
更に、ポリカーボネートジオールも考慮に値し、これらは例えば、ホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として挙げた過剰量の低分子アルコールとの反応により得ることができる。
【0149】
適しているのは、ラクトンベースのポリエステルジオールでもあり、これらは、ラクトンのホモポリマー又は混合ポリマー、好ましくは適した二官能性開始剤分子へのラクトンの末端ヒドロキシル基を有する付加生成物である。ラクトンとして、好ましくは一般式HO−(CH
2)
z−COOHの化合物から誘導されるものが考慮に値し、ここに、zは1〜20の数であり、かつメチレン単位の水素原子はC
1〜C
4−アルキル基によって置換されていてもよい。例はε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにそれらの混合物である。適した開始剤成分は、例えば前記ポリエステルポリオールの構成成分として上記で挙げた低分子二価アルコールである。ε−カプロラクトンの相応するポリマーが特に好ましい。低次のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、開始剤として前記ラクトンポリマーの製造に使用されていてもよい。ラクトンの前記ポリマーの代わりに、前記ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の化学的に等価な相応する重縮合物を使用することもできる。
【0150】
更に、ポリマーとして、H−活性成分へのエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドの付加により製造されるポリエーテルオールも適している。同じように、ブタンジオールからの重縮合物が適している。
【0151】
更に、ヒドロキシ官能性カルボン酸、例えばジメチロールプロピオン酸又はジメチロールブタン酸を使用することができる。
【0152】
前記ポリマーはもちろん、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有する化合物であってもよい。
【0153】
前記ポリウレタン塗料を製造するには、ポリイソシアナート組成物及びバインダーは、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜5:1、特に好ましくは0.3:1〜3:1、極めて特に好ましくは0.5:1〜2:1、殊に0.8:1〜1.2:1及び特別に0.9:1〜1.1:1のイソシアナート基対イソシアナートに対して反応性の基のモル比で互いに混合され、その際に場合により更に塗料に典型的な別の成分が混入されることができ、かつ下地上に施与される。
【0154】
引き続き、前記塗料混合物は、適した条件下で硬化される。用途に応じて、これは例えば100〜140℃で、例えばOEM用途における塗料の場合に、又は例えば20〜80℃のより低い温度範囲で行うことができる。
【0155】
これは、温度に応じて、通例12時間以下、好ましくは8時間まで、特に好ましくは6時間まで、極めて特に好ましくは4時間まで及び殊に3時間まで必要とする。
【0156】
更に、コーティング材料は少なくとも1種のUV安定剤を0〜10質量%含有していてよい。
【0157】
適した安定剤は、典型的なUV吸収体、例えばオキサニリド類、トリアジン類及びベンゾトリアゾール類(後者はCiba-SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標)銘柄として入手可能)及びベンゾフェノン類を含む。
【0158】
これらは付加的に、適したラジカルスカベンジャー、例えばステリックヒンダードアミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はそれらの誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバカートを0〜5質量%含有していてよい。
【0159】
更に、コーティング材料は塗料に典型的な更なる添加剤を更に0〜10質量%含有していてよい。
【0160】
塗料に典型的な更なる添加剤として、例えば酸化防止剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、防炎加工剤、増粘剤、チキソトロープ剤、表面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート化剤を使用することができる。
【0161】
増粘剤として、ラジカル(共)重合された(コ)ポリマーに加え、常用の有機増粘剤及び無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロース又はベントナイトが考慮に値する。
【0162】
キレート化剤として、例えばエチレンジアミン酢酸及びそれらの塩並びにβ−ジケトンを使用することができる。
【0163】
適した充填剤は、シリケート類、例えば四塩化ケイ素の加水分解により得ることができるシリケート類、例えばDegussa社のAerosil(登録商標)、けい土、タルク、ケイ酸アルミニウム類、ケイ酸マグネシウム類、炭酸カルシウム類等を含む。
【0164】
下地のコーティングは当業者に知られた常用の方法により行われ、その際に少なくとも1種のコーティング材料をコーティングすべき下地上に所望の厚さで施与し、かつ前記コーティング材料の場合により含まれている揮発性成分を、場合により加熱しながら、除去する。この過程は、所望の場合には一度又は何度も繰り返すことができる。下地への施与は知られた方法で、例えば吹付け塗り、こて塗り、へら塗り、はけ塗り、ロール塗り(Rollen)、ロールコーティング(Walzen)、流し塗り、ラミネーション、バックモールディング(Hinterspritzen)又は同時押出により行うことができる。
【0165】
そのような硬化すべき層の厚さは、0.1μm〜数mm、好ましくは1〜2000μm、特に好ましくは5〜200μm、極めて特に好ましくは5〜60μmであってよい(前記溶剤が前記塗料から除去されている状態の前記塗料を基準として)。
【0166】
更に、本発明によるウレタン基含有ポリイソシアナートを含有する塗料でコーティングされた下地も、本発明の対象である。
【0167】
そのようなポリウレタン塗料は、特に高い塗布信頼性、屋外耐候性、光学的品質、耐溶剤性、耐薬品性及び耐水性が必要とされる用途のために特に適している。
【0168】
得られる二成分系コーティング材料及び塗料配合物は原則的に、下地、例えば木材、ベニヤ単板、紙、板紙、厚紙、テキスタイル、フィルム、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物質建築材料、例えばセメント成形ブロック及び繊維セメント板又は金属のコーティングに適しており、これらはそれぞれ任意に予備コーティングされていてよく、もしくは前処理されていてよい。しかしながら特に好ましくは、これらはプラスチック表面及び金属下地のコーティングに適している。
【0169】
好ましくは、これらのコーティング材料はクリヤコート、ベースコート及びトップコート、プライマー及びサーフェーサーとして使用され、特に、それらの高い耐引っかき性により、トップコートとして、好ましくはクリヤコートとして、殊に(大型)車両及び航空機へのコーティングにおいて及びOEM及び補修用途としての自動車塗料において、適している。
【0170】
本発明によるウレタン基含有ポリイソシアナートの利点は、これらがクリヤコートにおいて良好な弾性と同時に高い耐引っかき性を生じることである。そのうえ、本発明による生成物はたいていより低い粘度を生じる。
【0171】
実施例:
ポリイソシアナートA:
BASF SEのBasonat(登録商標) HI 100、22.2%のNCO含有率及び23℃で3500mPa・sの粘度を有するHDIイソシアヌラート、約3.4の官能価。
【0172】
ハーゼン色数:
DIN ISO 6271による工業用液体の黄色の色調を測定する方法。標準としてヘキサクロロ白金酸カリウムの酸性溶液を使用する。
【0173】
比較例1:
BASF SEのBasonat(登録商標) HI 100:22.2%のNCO含有率及び23℃で2800mPa・sの粘度を有するHDIイソシアヌラート。
【0174】
比較例2:
Bayer AGのDesmodur(登録商標) N3790:17.8%のNCO含有率及び23℃で2150mPa・sの粘度を有するHDIイソシアヌラート(酢酸ブチル中90%)。
【0175】
例1:
ポリイソシアナートA 300.00g(0.524モル)及びトリエタノールアミン13.00g(0.087モル)を酢酸ブチル134.1g中に混合した。この溶液は室温で二相であり、かつ15.0%のNCO含有率を有していた。この溶液は、その温度を室温から60℃に高めた後に均質になった。この混合物を、ジブチルスズジラウラート触媒を添加しながら反応させた。60℃で1時間後に、そのNCO含有率は12.1%であった。このバッチを次いで冷却し、ザイツ型ろ過器T5500を通してろ別した。相応する生成物は23℃で440mPa・sの粘度及び21のハーゼン色数を有していた。
【0176】
例2:
ポリイソシアナートA 360.99g(0.630モル)及びトリエタノールアミン10.43g(0.070モル)を酢酸ブチル159.2g中に混合した。この溶液は室温で二相であり、かつ14.5%のNCO含有率を有していた。この溶液は、その温度を室温から60℃に高めた後に均質であった。この混合物を、ジブチルスズジラウラート触媒を添加しながら反応させた。60℃で1.5時間後に、そのNCO含有率は12.2%であった。このバッチを次いで冷却し、ザイツ型ろ過器T5500を通してろ別した。相応する生成物は23℃で320mPa・sの粘度及び23のハーゼン色数を有していた。
【0177】
例3:
ポリイソシアナートA 343.80g(0.600モル)及びトリエタノールアミン7.45g(0.050モル)を酢酸ブチル150.54g中に混合した。この溶液は室温で二相であり、かつ15.5%のNCO含有率を有していた。この溶液は、その温度を室温から60℃に高めた際に均質になった。この混合物を、ジブチルスズジラウラート触媒を添加しながら反応させた。60℃で3時間後に、そのNCO含有率は13.5%であった。このバッチを次いで冷却し、ザイツ型ろ過器T5500を通してろ別した。相応する生成物は23℃で120mPa・sの粘度及び21のハーゼン色数を有していた。
【0178】
例4:
ポリイソシアナートA 343.80g(0.600モル)を酢酸ブチル153.5g中に混入し、1,4−ブタンジオール5.40g(0.060モル)及びトリエタノールアミン8.94g(0.060モル)を添加した。この溶液は室温で濁っており、かつ14.8%のNCO含有率を有していた。この溶液は、その温度を室温から60℃に高めた後に透明になった。この混合物を、ジブチルスズジラウラート触媒を添加しながら反応させた。60℃で2.5時間後に、そのNCO含有率は11.8%であった。このバッチを次いで冷却し、ザイツ型ろ過器T5500を通してろ別した。相応する生成物は23℃で370mPa・sの粘度及び28のハーゼン色数を有していた。
【0179】
応用技術的試験:
本発明によるポリイソシアナート並びに比較ポリイソシアナートを、アクリル酸フリーの、ヒドロキシ官能性ポリアクリラートポリオール(Joncryl(登録商標) 922、BASF社;固体含有率=酢酸ブチル中80%;OH価=143mgKOH/g、1:1のNCO/OH化学量論比に相当)と混合し、酢酸ブチルで20sの施与粘度(DIN 53 211、カップ4mm噴出口)に調節した。アプリケータフレームを用いて、200μmの湿潤塗膜の厚さを有するコーティングを金属板上に施与した。こうして得られたクリヤコートを、フラッシュオフ時間10分後に室温でもしくは耐引っかき性及び耐酸性の測定のために60℃で30分の期間にわたって硬化させた。前記試験の前に、前記塗膜を24hにわたって23±2℃及び50±10%空気湿度で貯蔵した。
【0180】
試験方法:
塗料配合と、前記塗料の完全なゲル化との間の期間をゲル化時間とみなす。
前記塗料表面の乾燥速度を求めるために、適用後の塗料に規則的な間隔で綿球で触れた。綿繊維がもはや前記塗料表面上に付着しなくなるとすぐに前記試験を終える。
【0181】
振かん硬度をKoenigにより測定した(EN ISO 1522)。
【0182】
クロスカットの測定をEN ISO 2409により行った。その際に、評点は0(極めて良好な付着性)〜5(極めて劣悪な付着性)である。
【0183】
前記塗料の耐引っかき性を測定するために、前記表面に、500gの重さをかけたコランダム粒子含有研磨不織布で引っかき傷をつける。その損傷を、前記塗料の光沢値により求める。そのリフローを、50回の往復運動による引っかき傷をつけた後に、表に示された温度で表に示された期間にわたって熱処理することにより求める。
【0184】
耐硫酸性の試験(エッチングテスト)を、EN ISO 2812-1(方法3)に従い35〜75℃の温度範囲内で行った:
ピペットを用いて、1%硫酸25μm滴を、勾配炉板上で所定の温度(80又は130℃で30分)で硬化させた塗料上に添加し、これを勾配炉中で35〜75℃で30分加熱した。前記板をその後水で洗い流し、乾燥させた。示されているのは、目でみることにより前記塗料の初期エッチングを確かめることができた最低温度である。
【0185】
表中で、80℃もしくは130℃は、前記塗料の硬化の温度を示している。
【0186】
n.b.は未測定の測定値を表す。
【0187】
【表1】
【0188】
【表2】