特許第5872287号(P5872287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872287
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20160216BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20160216BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/04 H
   G01N35/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-510164(P2011-510164)
(86)(22)【出願日】2010年4月7日
(86)【国際出願番号】JP2010002526
(87)【国際公開番号】WO2010122718
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2012年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-101528(P2009-101528)
(32)【優先日】2009年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(72)【発明者】
【氏名】千田 悟
(72)【発明者】
【氏名】岩松 博和
(72)【発明者】
【氏名】清水 協
(72)【発明者】
【氏名】中村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】海野 清孝
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−304812(JP,A)
【文献】 特開2000−046835(JP,A)
【文献】 特開2007−078363(JP,A)
【文献】 特開2003−083991(JP,A)
【文献】 特開2001−004639(JP,A)
【文献】 特開2004−061169(JP,A)
【文献】 特開2002−323506(JP,A)
【文献】 特開2004−075363(JP,A)
【文献】 特開2010−151569(JP,A)
【文献】 特開2005−300292(JP,A)
【文献】 特開平04−178558(JP,A)
【文献】 特開2004−012442(JP,A)
【文献】 特開2006−010363(JP,A)
【文献】 特開2004−093518(JP,A)
【文献】 特開平02−077651(JP,A)
【文献】 特表2007−535979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を分析する分析機構と、
前記生体試料が複数搭載されたラックを前記分析機構に搬送するラック搬送装置と、
前記ラックを前記ラック搬送装置に投入するラック投入口と、
前記ラックを取り出し可能な位置に回収するラック回収口と、
前記ラック搬送装置を制御する制御装置と、を備えた自動分析装置において、
前記制御装置は、
前記ラック回収口に回収されるラックの情報を指定する指定機構と、
当該指定された情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記ラック投入口から投入されたラックが、当該記憶部に記憶された情報と一致するか否かを照合し、
当該照合の結果、前記ラックが、前記記憶された情報と一致する場合には、
前記ラックが、前記分析機構に搬入済みであるか否かを判定し、
当該判定の結果、前記ラックが前記分析機構に搬入済みでない場合には、当該ラックを前記分析機構に搬入することなく、予定されていた分析を中断して前記ラック回収口に回収されるように、前記ラック搬送装置を制御し、
当該判定の結果、前記ラックが前記分析機構に搬入済みである場合には、前記記憶部に記憶された、当該ラックの回収適用条件に基づいて、当該ラックに搭載された生体試料の分注を中断して、あるいは、当該ラックに搭載された生体試料の分注が完了したときに、当該ラックが前記ラック回収口に回収されるように、前記ラック搬送装置を制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
自動分析装置内に保持される生体試料のうち、
何らかの原因で分析が実行できない生体試料を表示する表示機構を備え、
前記指定機構により、該表示機構に表示された生体試料の情報に基づいて、当該生体試料が搭載されたラックを前記ラック回収口に回収することを指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記表示機構は更に、分析が実行できない原因を表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析装置において、
前記分析が実行できない原因は、少なくとも検体識別情報読み取りエラー,試料詰まりエラーのいずれかを含むことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記ラック回収口に回収されたラックに搭載される生体試料のうち、再度分析が必要な生体試料については、その旨を表示する表示機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項2記載の自動分析装置において、
分析が実行できない原因を有する生体試料を自動分析装置内に保持される生体試料の中から検索する検索機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記指定機構により指定されたラックの回収ができない場合には、その旨を表示する表示機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記指定機構により指定されたラックを識別表示する表示機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記制御機装置は、
前記指定機構で指定したラックについては、予定されていた分析機構への搬送を中断して、前記ラック回収口に回収されるように、前記ラック搬送装置を制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の自動分析装置において、
発生したエラーを表示する表示機構を備え、エラーを選択することにより、選択したエラーが原因で分析が実行できない生体試料を特定し、前記指定機構により、前記エラーが原因で分析が実行できない生体試料が搭載されたラックを前記ラック回収口に回収することを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記指定機構は、自動分析装置に接続される上位分析システムから、前記ラック回収口に回収されるラックを指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記指定機構により、ラックが回収されるラック回収口を指定することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿等の生体試料の定量,定性分析を行う自動分析装置に係り、特に試料容器を分析装置に搬送する搬送装置を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿の如き生体試料の定量,定性分析を自動で行う自動分析装置は、多くの患者検体を短時間で処理する必要のある大病院,臨床検査センターを中心に普及しており、処理能力により、大型,中型,小型の各種の自動分析装置が開発されている。単位時間当たりに多数の検体を分析処理する大型の装置の場合には、検体の入った検体容器を検体ラックと呼称されるホルダーに保持した状態で搬送ライン(搬送装置)を介して複数の分析装置に搬送し、検査技師が検体ラック投入口にラックを投入するだけで、分析結果の出力まで自動で実行するものもある。
【0003】
その場合、検体ラックはベルトコンベア状の搬送ラインで検体ラック投入口に投入されたラックを搬送し、搬送途中にライン上のバーコード読取装置により、ラック種別、および検体を認識し、分析される。
【0004】
上記のように、1日で処理する患者検体が多い施設において、自動分析装置はできる限り早く測定結果を出力することが望まれている。
【0005】
一方で、このような大型の自動分析装置、あるいは、自動分析装置での分析が可能なように遠心分離などの前処理をサンプルに施す検体前処理装置では、何らかの原因でサンプルの分析あるいは処理が失敗することがある。例えばサンプルの分注時に分注ノズルに詰まりが発生したり、サンプル容器またはラックに付された識別IDの読み取りに失敗した場合などである。このような場合、血液サンプルの遠心分離等の前処理を行う検体前処理装置では、特許文献1に記載されているように、処理が失敗した時点ですぐに、前処理が完結できなかったラックをラック取り出し口に取り出す機能を備えたものが知られている。操作者は取り出し口にあるラックを再度、ラック供給部にセットしなおすことで、未完了の処理を完結させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−88861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の検体前処理装置では、検体ラックに搭載された試料のうちの1つでも処理が失敗した時点で無条件にラック取り出し口にラックが取り出されるため、失敗していない試料についての処理が遅れるという問題点がある。一方で、ラック搬送機構を備えた大型の自動分析装置では、上記検体前処理装置と異なり、1つのラックに複数の患者検体を搭載した状況で、そのうちの1つの検体において患者検体を特定するためのID情報の読み取りに失敗した場合であっても、同一のラックに搭載された他の患者検体の測定を継続する機能を備えるものがある。このような自動分析装置では、他の患者検体の測定がすべて終了するまでラックが回収されない。このため、ID情報の読み取りに失敗した検体の測定を行うためには、該検体が搭載されたラックがラック回収口へ回収されるまで待たされた後、該検体を再投入しなければならない。
【0008】
また、1つの検体で試料不足を検出した場合においても、上述と同様の問題がある。更に、ある検体に対して測定の依頼が不足していた場合においても、該検体を即座に回収し、再投入しなければならず、上述と同様の問題が発生する。
【0009】
本発明の目的は、ある検体において、患者検体ID読み取りエラー、または試料不足等の分析不能な異常が発生した場合、若しくは、測定の依頼が不十分であった場合であっても、迅速に再測定が可能である自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0011】
生体試料を分析する分析機構と、前記生体試料を前記分析機構に搬送する試料搬送装置と、前記生体試料を前記試料搬送装置に投入する試料投入口と、前記試料を取り出し可能な位置に回収する試料回収口と、を備えた自動分析装置において、指定した試料が前記試料回収口に回収されるように前記試料搬送装置を制御する制御機構を備えた自動分析装置。
【0012】
分析機構とはそれぞれの分析ユニットに物理的分離可能なものであっても良いし、物理的に分離できない一体の分析装置であっても良い。試料搬送装置は、試料を移送させる機能があればどのような形態のものでも適用可能である。試料をベルト上に載せ、該ベルトを移動させる、所謂ベルトコンベアであっても良いし、試料を押し出す押し出し爪を備えるものであっても良い。試料は試料容器に保持されていても良いし、1つ、または複数の試料容器を搭載可能な、所謂検体ラックに搭載されていても良い。試料を指定する指定手段を備えることが好ましい。指定手段は、画面上に指定可能な試料を一覧表示させ、表示された試料の中から任意の試料を指定する機能があることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
異常が発生したことで再分析が必要となった検体、若しくは再投入が必要となった検体を特定し、任意に該検体が搭載されたラックの分析を中断して回収することを可能としたことより、同一のラックに搭載された別な検体の分析終了を待つことなく、ユーザーが、再分析が必要となった検体の状況を再確認し、該検体を再投入することが可能となり、測定結果を迅速に得ることができる検体処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例である自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図。
図2】本発明の一実施例である自動分析システムのシステム操作の手順を示すフローチャート図。
図3】本発明の一実施例である自動分析システムのラック回収スケジュールを決定する手順を示すフローチャート図。
図4】本発明の一実施形態による分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索する手段を示す説明図。
図5】本発明の一実施形態による分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索した結果を表示、およびラック回収指示を実施する手段を示す説明図。
図6】本発明の一実施形態によるラック回収指示を実施した際の確認を行う手段を示す説明図。
図7】本発明の一実施形態によるラック回収指示を実施した際、実行が不可能な場合にはその理由をユーザーに通知する手段を示す説明図。
図8】本発明の一実施形態による再投入が必要な検体が搭載されたラックを回収するか否かを設定する手段を示す説明図。
図9】本発明の一実施形態による回収指示を行った検体ラックに対して回収を実施する条件を設定する手段を示す説明図。
図10】本発明の一実施形態による収納トレイに収納された検体ラック情報を表示する手段を示す説明図。
図11】本発明の一実施形態によるエラー表示機構において、エラーを選択することで分析が実施できなかった検体が搭載された検体ラックに対して回収指示を実施する手段を示す説明図。
図12】本発明の一実施例である自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図。
図13】本発明の一実施例による試料回収口の選択をする条件を設定する手段を示す説明図。
図14】本発明の一実施例による試料回収口の指定をする手段を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態による自動分析システムの構成および動作について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例である自動分析装置の全体概略構成図である。
【0017】
本実施形態による自動分析システムは、検体ラック投入部1と、ID読取部2と、搬送ライン3と、検体ラック待機部4と、分析モジュール5,6,7と、検体ラック回収部8と、全体管理用コンピュータ9を備えている。
【0018】
検体ラック投入部1は、それぞれ複数個の検体(試料)を保持する複数個の検体ラックを投入する部分である。分析モジュール5,6,7は、搬送ライン3に沿って配置されているとともに、搬送ライン3に取り外し可能な接続になっている。分析モジュールの数は任意に設定でき、本実施形態では、モジュール数3個の場合を示している。
【0019】
搬送ライン3は、検体ラック投入部1から検体ラックを、分析依頼に従って分析モジュール5,6,7への搬送、または、分析モジュール5,6,7での分析が終了した検体を保持する検体ラック待機部4へ搬送、若しくは分析依頼がなかった検体ラックを、検体ラック回収部8に搬送する。
【0020】
標準検体,精度管理試料や一般検体を搭載したラックが搬送される搬送ライン3に設置される検体ラック待機部4は、1つ以上の検体ラックを保持できるライン機構であり、搬送ライン3により搬送される任意の試料を搭載したラックを任意の時間保持し、任意のタイミングにて再びラックを分析モジュール若しくは検体ラック回収部8に対して供給することができる。
【0021】
検体ラック投入部1は、検体ラック投入部1,ID読取部2,搬送ライン3,検体ラック待機部4および検体ラック回収部8内の必要な制御を行う全体管理用コンピュータ9を備えている。全体管理用コンピュータ9には、更に必要な情報を入力する操作部10および分析結果を表示する表示部11が接続されている。
【0022】
検体ラックによって保持された検体には、検体に関する属性情報(受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)を示す検体IDを有し、更に、検体ラックには、ラック番号等のラック識別情報を示すラックIDを有する。検体ラック投入部1に置かれた検体ラックは、搬送ライン3によって搬送されるが、検体ラックが搬送ライン3に移った際に、検体IDや検体ラックIDが、ID読取部2で読み取られ、全体管理用コンピュータ9に送られる。全体管理用コンピュータ9は、その属性情報に基づいて、依頼された分析項目からどの分析モジュールで実施するかを決定する。
【0023】
この際、該検体と全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック回収要求情報との照合を行い、ラック搬送スケジューラを起動する。
【0024】
ラック搬送スケジューラはラック搬送開始時点で該ラックと全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック回収要求情報,自動回収情報,ラック搬送状況情報との照合を実施し、回収要求情報と一致するラック、または自動回収情報と一致するラックであれば、該ラック分析予定の分析モジュールへの搬送を中断し、ラック回収スケジュールを作成し、ラック回収を実施する。
【0025】
不一致であれば、該ラック分析予定の分析モジュールへのラック搬送スケジュールを作成し、ラック搬送を実施する。
【0026】
ラック回収要求情報とは、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶される情報であり、ユーザーが回収を指示したラックの情報である。
【0027】
自動回収情報とは、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶される情報であり、異常を検出した際に該当するラックの分析を中断し、ただちに回収することを指定する情報である。
【0028】
ラック搬送状況情報とは、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶される情報であり、検体ラック投入部1と、ID読取部2と、搬送ライン3と、検体ラック待機部4と、分析モジュール5,6,7と、検体ラック回収部8それぞれからラックの搬送移動時の報告、および分析の進捗状況の報告を受け、作成される。
【0029】
次に、図2図3を用いて、本実施形態による自動分析システムにおける検体ラック搬送スケジュールの決定処理について説明する。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による自動分析システムにおける検体ラック搬送スケジュールの決定処理を示すフローチャートである。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態による自動分析システムにおける検体ラック搬送スケジュールの決定処理のラック回収スケジュール決定処理を示すフローチャートである。
【0032】
ステップ201において、操作部10および表示部11より分析開始要求を与えられた全体管理用コンピュータ9は、分析モジュール5,6,7に分析開始の指示を与え、自動分析装置全体の状態を分析状態にする。
【0033】
ステップ202において、該当ラックが検体ラック投入部1より投入されたラックであるかを判別し、検体ラック投入部1より投入されたラックであればステップ203へ進む。
【0034】
それ以外のラックであれば、ステップ207へ進む。
【0035】
ステップ203において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック回収要求情報が存在するか判定を実施する。
【0036】
判定結果が“あり”の場合はステップ204へ進む。
【0037】
判定結果が“なし”の場合にはステップ211へ進む。
【0038】
ステップ204において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック回収要求情報と当該ラックが一致するか照合を実施する。
【0039】
照合結果が一致の場合はステップ205へ進む。
【0040】
照合結果が不一致の場合はステップ208へ進む。
【0041】
ステップ205において、該当ラックに対してラック回収スケジュールを作成する。
【0042】
ここで図3を用いてラック回収スケジュール決定処理を説明する。
【0043】
ステップ301において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報を参照し、該ラックが分析部へ搬送済みのラックであるか照合を実施する。
【0044】
照合結果が一致の場合はステップ302へ進む。
【0045】
照合結果が不一致の場合はステップ307へ進む。
【0046】
ステップ302において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された回収適用条件情報が、“検体分注中断”であるか判定を実施する。
【0047】
回収適用条件が、“検体分注中断”である場合には、ステップ303へ進む。
【0048】
回収適用条件が、“検体分注中断”以外である場合には、ステップ304へ進む。
【0049】
ステップ303において、該ラックに対するラック搬送スケジュールを“検体分注を中断してラック回収部8への回収”として設定する。
【0050】
ステップ304において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された回収適用条件情報が、“検体分注完了”であるか判定を実施する。
【0051】
回収適用条件が、“検体分注完了”である場合には、ステップ305へ進む。
【0052】
回収適用条件が、“検体分注完了”以外である場合には、ステップ306へ進む。
【0053】
ステップ305において、該ラックに対するラック搬送スケジュールを“検体分注を完了後、ラック回収部8への回収”として設定する。
【0054】
ステップ306において、該ラックに対するラック搬送スケジュールを“スケジュールなし”として設定する。
【0055】
ステップ307において、該ラックに対するラック搬送スケジュールを“ラック回収部8への回収”として設定する。
【0056】
ステップ206において、該当ラックに対して決定した搬送スケジュールを起動し、ラック回収部8へ回収する。
【0057】
ステップ207において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報を参照し、該ラックが分析モジュール5,6,7より検体ラック待機部4へ搬送されたラックであるかを照合する。
【0058】
照合結果が一致の場合はステップ203へ進む。
【0059】
照合結果が不一致の場合にはステップ210へ進む。
【0060】
ステップ208において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された自動回収情報が自動回収指定有か、否かを判定する。
【0061】
自動回収指定“有り”となっている場合はステップ209へ進む。
【0062】
自動回収指定“無し”となっている場合はステップ211へ進む。
【0063】
ステップ209において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された該ラックに搭載された検体の測定結果に付加されるアラーム情報と、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された自動回収情報を照合し、該ラックに搭載された検体が回収対象であるかを判別する。
【0064】
照合結果が一致する場合には、自動回収対象と判別し、ステップ205へ進む。
【0065】
照合結果が不一致の場合には、自動回収対象外と判別し、ステップ211へ進む。
【0066】
ステップ210において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報を参照し、該ラックが分析モジュール5,6,7へ搬入済みであるラックであるかを照合する。
【0067】
照合結果が一致の場合はステップ203へ進む。
【0068】
照合結果が不一致の場合にはステップ202へ進む。
【0069】
ステップ211において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報を参照し、該ラックが分析モジュール5,6,7へ搬入済み以外のラックであるかを照合する。
【0070】
照合結果が一致の場合はステップ212へ進む。
【0071】
照合結果が不一致の場合にはステップ213へ進む。
【0072】
ステップ212において、該ラックに対して全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された分析依頼情報との照合を実施し、搬送すべき分析モジュールを特定し、ラック搬送スケジュールを設定する。
【0073】
ステップ213において、該ラックに対するラック搬送スケジュールを“スケジュールなし”として設定する。
【0074】
次に、図4を用いて、本実施形態による自動分析システムにおける分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索する処理について説明する。
【0075】
図4は、本発明の一実施形態による分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索する手段を示す説明図である。
【0076】
検体検索ボタン401、または分析状況検索ボタン405のいずれかを選択し、検索するキー情報を設定する。
【0077】
検体検索ボタン401を選択した場合には、検体タイプ選択ボタン406を用いて検体タイプを選択する。更に検体種別選択ボタン407を用いて検体種別を選択する。
【0078】
その後、検体IDボタン402,ラックNo.ボタン403,コメントボタン404の中から、検索に用いるキー情報を選択する。
【0079】
引き続き、上記により選択した検索キー情報に従い、検体IDボタン402を選択した場合には、検体ID入力ボックス408に検索を実施する検体IDを入力する。
【0080】
ラックNo.ボタン403を選択した場合には、ラックNo.入力ボックス409に検索を実施するラックNo.を入力する。
【0081】
コメントボタン404を選択した場合には、コメント入力ボックス410に検索を実施する検体コメント情報を入力する。
【0082】
その後、OKボタン413を押下することで、指定した検体情報と、全体管理用コンピュータ9の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報中の検体情報との照合を実施し、一致する検体ラック情報を表示する。
【0083】
また、キャンセルボタン412を押下することで、検体検索を行わず、画面を閉じる。
【0084】
分析状況検索ボタン405を選択した場合には、分析状況選択ボタン411を用いて分析状況を選択する。
【0085】
その後、OKボタン413を押下することで、指定した分析状況と、全体管理用コンピュータ9の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報中の分析状況との照合を実施し、一致する検体ラック情報を表示する。
【0086】
上記に示すように、検体検索条件を複数用意し、選択可能とすることにより、ユーザーが運用状況にあわせた検索条件を選択することが可能となる。
【0087】
次に、図5図6図7を用いて、本実施形態による自動分析システムにおける分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索した結果を表示、およびラック回収指示を実施する処理について説明する。
【0088】
図5は、本発明の一実施形態による分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索した結果を表示、およびラック回収指示を実施する手段を示す説明図である。
【0089】
図6は、本発明の一実施形態によるラック回収指示を実施した際の確認を行う手段を示す説明図である。
【0090】
図7は、本発明の一実施形態によるラック回収指示を実施した際、実行が不可能な場合にはその理由をユーザーに通知する手段を示す説明図である。
【0091】
本画面では、図4において説明した検体検索を実施した結果、指定された検索キー情報に該当する検体ラック情報を一覧表示する。
【0092】
ラックNo.選択ボタン501に該当ラックNo.を表示し、ラックNo.選択ボタン501を押すことにより、選択したラックの情報を検体設置状況表示ボックス505,検体No.表示ボックス506,検体ID表示ボックス507,検体コメント表示ボックス508に表示する。
【0093】
検体設置状況表示ボックス502には、該当ラックに設置された検体の分析状況を表示する。
【0094】
回収予想時刻表示ボックス513には、該当ラックが分析を終了し、検体ラック収納部へ収納される予想時刻を表示することにより、ユーザーが該当ラックの分析を中断させて回収をするべきかを可能とする。
【0095】
ラック回収ボタン509を押すことで図6に示す確認画面の表示を行い、OKボタン602を押すことで現在ラックNo.選択ボタン501により選択されたラックに対する回収要求を全体管理用コンピュータ9へ指示する。
【0096】
全体管理用コンピュータ9は、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況情報と、回収要求を依頼されたラック情報の照合、および要求受付可否判定を実施する。
【0097】
判定した結果、受付が可能な状態であれば、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置にラック回収要求情報として記憶され、ラックNo.選択ボタン501の表示色を変更することで要求を受け付けたことをユーザーが確認することを可能とする。
【0098】
受け付け不可な状態であれば、操作部10に対して受け付け不可を通知する。
【0099】
受け付け不可通知を受信した操作部10は、表示部11に、図7に示す受け付け不可を示す画面を表示する。
【0100】
図7に示すOKボタン701を押すことで受け付け不可を示す画面を閉じる。
【0101】
キャンセルボタン601を押した場合には、ラック回収要求情報を記憶せず、確認画面を閉じる。
【0102】
次に、図8を用いて、本実施形態による再投入が必要な検体が搭載されたラックを回収するか否かを設定する処理について説明する。
【0103】
図8は、本発明の一実施形態による再投入が必要な検体が搭載されたラックを回収するか否かを設定する手段を示す説明図である。
【0104】
一般検体選択ボタン801、および緊急検体選択ボタン804を押すことで、一般検体,緊急検体それぞれに対して自動ラック回収設定を行う。
【0105】
また、サンプルエラーボタン802,805、およびバーコード読み取りエラーボタン803,806を押すことで、一般検体,緊急検体それぞれに対して自動ラック回収対象とするエラー情報を設定する。
【0106】
これにより、迅速に測定結果を出力することが求められる緊急検体に対して優先順位を付けた設定を行うことが可能となる。
【0107】
OKボタン808を押すと、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された自動回収情報へ記憶される。
【0108】
キャンセルボタン807を押すと、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶せず、本画面を閉じる。
【0109】
次に、図9を用いて、回収指示を行った検体ラックに対して回収を実施する条件を設定する処理について説明する。
【0110】
図9は、本発明の一実施形態による再投入が必要な検体が搭載されたラックを回収するか否かを設定する手段を示す説明図である。
【0111】
一般検体選択ボタン901、および緊急検体選択ボタン904を押すことで、一般検体,緊急検体それぞれに対して回収適用条件設定を行う。
【0112】
一般検体選択ボタン901を“On”に設定した際には、検体分注中断ボタン902,検体分注完了ボタン903、およびラック待機位置移動完了ボタン904のいずれかを選択し、一般検体に対する回収指示を適用する条件を設定する。
【0113】
緊急検体選択ボタン905を“On”に設定した際には、検体分注中断ボタン906,検体分注完了ボタン907、およびラック待機位置移動完了ボタン908のいずれかを選択し、緊急検体に対する回収指示を適用する条件を設定する。
【0114】
OKボタン910を押すと、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された回収適用条件設定情報へ記憶される。
【0115】
キャンセルボタン909を押すと、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶せず、本画面を閉じる。
【0116】
これにより、ユーザーの運用状況に応じた回収適用条件を選択することが可能となる。
【0117】
また、迅速に測定結果を出力することが求められる緊急検体に対して優先順位を付けた設定を行うことが可能となる。
【0118】
次に、図10を用いて、本実施形態による自動分析システムにおける検体ラック収納部に収納された検体ラック情報の表示する処理について説明する。
【0119】
図10は、本発明の一実施形態による検体ラック収納部に収納された検体ラック情報を表示する手段を示す説明図である。
【0120】
ラックNo.選択ボタン1001に該当ラックNo.を表示し、ラックNo.選択ボタン1001を押すことにより、選択したラックの情報を検体設置状況表示ボックス1004,検体No.表示ボックス1003,検体ID表示ボックス1006,検体コメント表示ボックス1007に表示する。
【0121】
ラック回収要求表示ボックス1011には、ラック回収指示により収納トレイに収納されたラックに対して識別可能な表示を行い、検体分析状況表示ボックス1002には、各検体の分析状況の表示を行い、各検体分析が完了したか、または分析が未完了であるかが識別可能である。
【0122】
上記表示により、回収指示により試料回収口に回収された試料のうち、再度分析が必要な検体が設置された検体ラックを識別できる情報を表示することで、再分析を実施する際の該当検体ラックの特定が可能となる。
【0123】
検体設置状況表示ボックス1004には、該当ラックに設置された検体の分析状況を表示する。
【0124】
検体設置状況表示ボックス1004に表示された分析状況を確認することにより、ユーザーが分析を中断して回収された検体を特定することを可能とする。
【0125】
次に、図11を用いて、本実施形態による自動分析システムにおけるエラー表示機構において、エラーを選択することにより、選択したエラーが原因で分析が実行できない試料を特定する処理について説明する。
【0126】
図11は、本発明の一実施形態によるエラー表示機構において、分析が実施できなかった試料に対し、回収指示をする手段を示す説明図である。
【0127】
エラー番号選択ボタン1101を選択することにより、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたエラー管理情報、およびラック搬送状況情報を元に、当該エラーが原因となり、分析が実行できない試料が存在するかを特定する。
【0128】
エラー管理情報とは、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶される情報であり、自動分析装置内で発生したエラーを記憶する情報である。
【0129】
当該エラーが原因となり、分析が実行できない試料が存在する場合には、ラック回収ボタン1102を押下可能状態として表示する。
【0130】
当該エラーが原因となり、分析が実行できない試料が存在しない場合には、ラック回収ボタン1102を押下不可状態として表示する。
【0131】
ラック回収ボタン1102が押下可能な状態において、ラック回収ボタン1102を押下することにより、図6に示す確認画面の表示を行い、OKボタン602を押すことで現在エラー番号選択ボタン1101により選択されたエラーが原因で分析が実行できない試料に対する回収要求を全体管理用コンピュータ9へ指示することを可能とする。
【0132】
次に図12を用いて、本実施形態による自動分析装置に接続される上位分析システムから、前記試料回収口に回収される試料を指定する手段について説明する。
【0133】
図12は、本発明の一実施例である自動分析装置の全体概略構造図である。
【0134】
前記図1に示した全体概略構造図との違いは、検体ラック回収部8のほかに、検体ラック収納部14,15,16という、複数の検体ラック収納部が接続されることである。
【0135】
また、自動分析装置に接続される、上位分析システムに対して必要な情報を入力する操作部12およびその情報を表示する表示部13が接続される。
【0136】
前記図5図6図7を用いて説明した、本実施形態による自動分析システムにおける分析が不可能、または再測定が必要な検体を検索した結果を表示、およびラック回収指示を、上位分析システムである、操作部12および表示部13からも入力を可能とする。
【0137】
次に、図13図14を用いて、本実施形態による自動分析システムにおける指定した試料を回収する試料回収口を指定する処理について説明する。
【0138】
図13は、本発明の一実施形態による試料が回収される試料回収口を指定する条件を設定する手段を示す説明図である。
【0139】
図14は、本発明の一実施形態による試料が回収される試料回収口を指定して回収指示をする手段を示す説明図である。
【0140】
図13の一般検体の回収口自動選択ボタン1301,回収口手動選択ボタン1302、および緊急検体の回収口自動選択ボタン1303,回収口手動選択ボタン1304を押すことで、一般検体,緊急検体それぞれに対して回収口選択条件設定を行う。
【0141】
予め、回収口自動選択,回収口手動選択を一般検体、また迅速に測定結果を出力することが求められる緊急検体それぞれに対して設定可能することで、ユーザーがラック回収指示を実施する際、回収した検体ラックの識別が可能となり、該当検体ラックを取り出して迅速に再測定を実施することが可能となる。
【0142】
OKボタン1406を押すと、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された回収口選択条件設定情報へ記憶される。
【0143】
前記、図2に示したステップ205における、ラック回収スケジュール作成処理において、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶された回収口選択条件設定情報に従い、回収口の選択を実施する。
【0144】
回収口選択条件設定情報に、回収口自動選択が指定された場合、全体管理用コンピュータ9内の記憶装置に記憶されたラック搬送状況を用いて該当検体ラックの停止位置から、最も近いラック回収口を選択し、前記、図5に示したラック回収ボタンを押すことで図13に示す確認画面の表示を行い、試料回収口選択ボタン1301に、選択したラック回収口を表示する。
【0145】
回収口選択条件設定情報に、回収口手動選択が指定された場合、
前記、図5に示したラック回収ボタンを押すことで図13に示す確認画面の表示を行い、試料回収口選択ボタン1301を用いて試料が回収される試料回収口を指定する。
【0146】
OKボタン1303を押すことで現在ラックNo.選択ボタン501により選択されたラックに対する回収要求を全体管理用コンピュータ9へ指示する。
【0147】
以上に説明したように、本実施形態によれば、異常が発生したことで再分析が必要となった検体が発生した場合においても、該検体が搭載されたラックを特定し、該ラックの分析を中断して回収することを可能とし、同一のラックに搭載された別な検体の分析終了を待つことなく、異常が発生したことで再分析が必要となった検体を再投入することが可能となり、迅速に測定結果を得ることが実現できる。
【符号の説明】
【0148】
1 検体ラック投入部
2 ID読取部
3 搬送ライン
4 検体ラック待機部
5,6,7 分析モジュール
8 検体ラック回収部
9 全体管理用コンピュータ
10 操作部
11 表示部
図1
図2
図3
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